JP5061295B2 - 機能性布帛処理剤及びこれを用いた機能性布帛の製造方法、並びに機能性布帛 - Google Patents

機能性布帛処理剤及びこれを用いた機能性布帛の製造方法、並びに機能性布帛 Download PDF

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Description

本発明は、シクロデキストリン包接体を含有する機能性布帛処理剤に関する。また、本発明は、前記機能性布帛処理剤を用いた機能性布帛の製造方法及びこの製造方法によって得られる機能性布帛に関する。
シクロデキストリンはデンプンに酵素を作用させて得られる天然環状分子であり、例えばグルコースが6個繋がったα−シクロデキストリン、グルコースが7個繋がったβ−シクロデキストリン、及びグルコースが8個繋がったγ−シクロデキストリン等が知られている。このシクロデキストリンは、分子内に他の機能性成分を取り込み、化学量論的な割合(例えばシクロデキストリン1分子に対して機能性成分1分子)で包接体と呼ばれる複合体を形成する。熱や紫外線等の外部環境に対して不安定な機能性成分であっても、シクロデキストリン包接体を構成することで安定化し、その効果を持続させることができる。例えばヨウ素やアリルチオシアネートは抗菌性、メントールは害虫忌避効果、ビタミンEは抗酸化能、ジカプリル酸ピリドキシンは皮脂分泌抑制、ジパルミチン酸アスコルビルは美白・コラーゲン産生、ヘスペリジンは血行促進等、包接される機能性成分に応じて様々な効果が得られる。
近年、シクロデキストリン包接体の優れた機能を布帛の表面に付与するため、様々な試みがなされている。例えば、特許文献1には、水に難溶なアスコルビン酸誘導体の水不溶の包接化合物を界面活性剤で乳化分散させた水溶液で処理する、機能化繊維製品の製造方法が記載されている。
特開2004−052138号公報
ところで、特許文献1では界面活性剤を用いてシクロデキストリン包接体を水に乳化分散させているが、界面活性剤の使用は極力避けることが望ましい。また、シクロデキストリン包接体を布帛に固着させる際には、繰り返しの洗濯にも耐え得るように強固に固着させる必要があるが、前記特許文献1で得られる固着力は必ずしも満足のいくものではない。
本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ゲスト分子の放出を極力抑制しつつ布帛の表面にシクロデキストリン包接体を強固に固着させることが可能な機能性布帛処理剤、及びこれを用いた機能性布帛の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、シクロデキストリン包接体が強固に付着した機能性布帛を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明に係る機能性布帛処理剤は、シクロデキストリン包接体と、水性ポリイソシアネート化合物と、ゲスト分子を包接しないシクロデキストリン類と、水とを含有し、前記ゲスト分子を包接しないシクロデキストリン類と前記シクロデキストリン包接体を構成するシクロデキストリン類とのグルコース単位数が同じであることを特徴とする。ここで、グリオキザール系樹脂をさらに含有することが好ましい。また、本発明に係る機能性布帛の製造方法は、前記機能性布帛処理剤を布帛に付着させる工程と、前記機能性布帛処理剤に含有される前記水性ポリイソシアネート化合物を前記布帛表面で重合させる工程とを有することを特徴とする。さらに、本発明に係る機能性布帛は、前記製造方法により得られることを特徴とする。
以上のような機能性布帛処理剤においては処理液として水を用いるので、シクロデキストリン包接体からのゲスト分子の放出が抑制される。このため、本発明の布帛処理剤を用いることで、より多くのゲスト分子を包接した状態でシクロデキストリン包接体を布帛に固着させることができる。また、固着対象であるシクロデキストリン包接体の他、ゲスト分子を包接しないシクロデキストリン類を布帛処理剤に添加することによって、シクロデキストリン包接体の布帛への固着量の増大効果が得られる。さらに、シクロデキストリン包接体を布帛の表面に固着させるために用いる水性ポリイソシアネート化合物は、布帛処理剤中の水との反応を抑制しつつシクロデキストリン包接体中の官能基と反応するので、布帛へのシクロデキストリン包接体の固着力の向上が実現される。
本発明によれば、ゲスト分子として機能性成分を包接したシクロデキストリンを布帛の表面に大量且つ強固に固着させることができるので、所望の機能性が確実に付与されるとともに耐洗濯性に優れた機能性布帛を製造することができる。したがって、本発明によれば、シクロデキストリン包接体のさらなる用途拡大や新製品開発に大きく貢献することができる。
以下、本発明を適用した機能性布帛処理剤及びこれを用いた機能性布帛の製造方法、並びに機能性布帛について詳細に説明する。
先ず、シクロデキストリン包接体と水性ポリイソシアネート化合物とゲスト分子を包接しないシクロデキストリン類と水とを含有する機能性布帛処理剤について説明する。
機能性布帛処理剤に含有されるシクロデキストリン包接体とは、シクロデキストリン類がゲスト分子を包接した複合体のことをいう。シクロデキストリン包接体としては、水に対して易溶性を示すシクロデキストリン包接体、水に対して難溶性を示すシクロデキストリン包接体のいずれも使用可能である。水に対して易溶性を示すシクロデキストリン包接体としては、例えばゲスト分子としてヨウ素を包接し、シクロデキストリンとしてメチル化β−シクロデキストリンを用いたものが挙げられる。本発明において水に対して難溶性を示すシクロデキストリン包接体とは、水に対する溶解度が5%以下であるシクロデキストリン包接体を言う。このようなシクロデキストリン包接体としては、ゲスト分子が脂溶性ビタミン類であるものが例示される。ゲスト分子として使用可能な脂溶性ビタミン類としては、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、コエンザイムQ10、ビタミンCエステル等が例示される。また、ゲスト分子としてα−リポ酸も使用可能である。
一方、シクロデキストリン包接体を構成するシクロデキストリン類には、グルコースが環状に結合したシクロデキストリンがある。シクロデキストリンとしては、具体的にはα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等が知られており、ゲスト分子に応じて適当な種類を選択すればよい。また、本発明のシクロデキストリン類には、シクロデキストリンにメチル基、アセチル基、グリコシル残基等を付加したシクロデキストリン誘導体も含まれる。シクロデキストリン誘導体としては、ヒドロキシプロピル化シクロデキストリンやアセチル化シクロデキストリン、メチル化シクロデキストリン、グリコシルシクロデキストリン、マルトシルシクロデキストリン等が挙げられる。
機能性布帛処理剤には、シクロデキストリン包接体の他、ゲスト分子を包接しないシクロデキストリン類を添加する。機能性布帛処理剤にシクロデキストリン類を添加することで、シクロデキストリン包接体の布帛への固着量を増加させることができる。
機能性布帛処理剤に添加するシクロデキストリン類のグルコース単位数は、シクロデキストリン包接体のグルコース単位数と同じとすることが好ましい。例えば、ビタミンEのγ−シクロデキストリン包接体を固着させる場合、添加用シクロデキストリン類として、γ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル化γ−シクロデキストリン、アセチル化γ−シクロデキストリン、メチル化γ−シクロデキストリン、グリコシルγ−シクロデキストリン、マルトシルγ−シクロデキストリン等を用いることが好ましい。
機能性布帛処理剤中でのシクロデキストリン類の添加量は、シクロデキストリン包接体と同程度の重量とすることが好ましく、具体的にはシクロデキストリン包接体に対して重量比で1/10倍〜10倍量とすることが好ましい。前記範囲内とすることでシクロデキストリン包接体の固着量の増大効果は大きなものとなる。
水性ポリイソシアネート化合物とは、水に溶け又は水に分散し、且つ水との反応が抑制されたポリイソシアネート化合物のことを指し、本発明では公知の水性ポリイソシアネートを用いることができる。水性ポリイソシアネート化合物は主に3種類に分類される。第1にはポリイソシアネート化合物を微粒子状として水中に分散させた分散型、第2には乳化剤を用いてポリイソシアネート化合物を水に乳化させた強制乳化型、第3には分子内に乳化できるようなアニオン系やノニオン系親水基を導入し、水に分散させた自己乳化型である。本発明の達成にはいずれの分類の水性ポリイソシアネートを用いても良い。ただし、イソシアネートは本来水と反応するため、水との反応を回避しつつ水中でシクロデキストリン包接体等の物質と反応させるには、イソシアネート基をオキシムやラクタム基などのブロック剤で保護したブロックイソシアネートの使用が望ましい。ブロックイソシアネートとしては、例えば自己乳化型エラストロンBNシリーズ(第一工業製薬社製)やタケネートWB−920(三井化学ポリウレタン社製)等が挙げられる。ブロックイソシアネートを用いれば、処理を二段階にすることで反応を効率的に進めることが可能である。すなわち、最初の低い加温で水を蒸発させ、さらにブロックがはずれ、イソシアネート基が遊離になる二段階目の高い加温時には水は存在せず、これを包接体などの望んだ物質とのみ反応させることが可能になるからである。
機能性布帛処理剤は、シクロデキストリン包接体、水性ポリイソシアネート及びゲスト分子を包接しないシクロデキストリン類の他、グリオキザール系樹脂を含むことが好ましい。機能性布帛処理剤にグリオキザール系樹脂を含ませることにより、耐洗濯性を向上させることができる。グリオキザール系樹脂の具体例としては、ベッカミンLF−55Pコンク(大日本インキ化学社製)、ハイレジンK−56N(高松油脂社製)等が挙げられる。また、グリオキザール系樹脂に限らず、シクロデキストリン上の水酸基、イソシアネート基、又はイソシアネート基が分解して生成するアミノ基と反応する官能基を複数個分子内に有している化合物であれば、グリオキザール系樹脂と同様の効果が期待される。その官能基とは例えばカルボジイミド基やオキサゾリン基等である。
次に機能性布帛処理剤の作製方法の一例を示すが、本発明の機能性布帛処理剤を調製する方法としては特に制限されない。シクロデキストリン包接体の粉末とゲスト分子を包接しないシクロデキストリン類と水とを混練してペーストを作製する。前記ペーストを得る方法としては特に制限されないが、例えば、超音波処理する方法、すり鉢で混練する方法等が挙げられる。さらに前記ペーストに水を加え、所望の濃度に調整する。水性ポリイソシアネート化合物、グリオキザール系樹脂等は、この液に添加すればよい。
以上により、本発明の機能性布帛処理剤が得られる。また、望みのゲスト分子が包接体として市販されていない場合には、水中でゲスト分子とシクロデキストリンとを混合することで、包接体の水溶液あるいは懸濁液を調整し、水性ポリイソシアネート化合物、グリオキザール系樹脂等を添加しても同様の機能性布帛処理剤が得られる。
以下、本発明の布帛処理剤を用いて機能性布帛を製造する方法について説明する。
先ず、機能性布帛処理剤を布帛に付着させる。布帛を構成する繊維としては、天然繊維、合成繊維等の公知の繊維を使用可能である。また、布帛の形態も特に限定されず、織物、編物、不織布等、公知の形態をとることが可能である。さらに、それらに表面処理が施されていてもよい。布帛に機能性布帛処理剤を付着させる方法としては、例えばパディング法、コーティング法、スプレー法等の公知の方法が挙げられる。また、必要に応じて、布帛が布帛処理剤を含む量(ピックアップ量)をマングル等で調整してもよい。
次に、布帛の表面で水性ポリイソシアネートとシクロデキストリン包接体とを重合させ、布帛表面にシクロデキストリン包接体を固着させる。水性ポリイソシアネートとシクロデキストリン包接体とを重合させるには、先ず、処理剤が付着した布帛に対し、布帛に残存している水を蒸発させる。これは80℃〜120℃、1分間〜20分間の条件で加熱乾燥する工程により達成される。
前記加熱乾燥工程の後、固定化工程を行う。固定化工程は、例えば130℃〜180℃、0.5分間〜30分間の条件で行うことができる。これにより、布帛の表面でポリイソシアネート化合物とシクロデキストリン包接体が重合し、シクロデキストリン包接体が固着した機能性布帛が得られる。
先ず、ビタミンEをゲスト分子とするシクロデキストリン包接体の布帛への固着について検討した。
<実験1>
布帛処理剤として、γ−シクロデキストリンのビタミンE包接体(シクロケム社製)0.4gを少量の水でペースト状にし、さらにγ−シクロデキストリン0.4g、水性ポリイソシアネート化合物であるエラストロンBN−11(第一工業製薬社製)13.3g、エラストロンCAT−21(第一工業製薬社製)1.33gを加え、最後に全量を水で100gとしたものを調製した。この布帛処理剤にポリエステル繊維布帛(目付け108g/m、たて糸密度51本/cm、よこ糸密度35本/cm)を浸漬させ、マングルでピックアップ量を調整した後、120℃で2分間予備乾燥し、さらに170℃で5分間キュアリングを行った。さらに、固定化されなかったシクロデキストリン等を除くため、水洗を2分間行い、実験1の機能性合成繊維布帛を得た。
得られた機能性布帛について、以下のように、洗濯を所定回数行った後のビタミンE残存率に基づき耐久性を評価した。機能性布帛に対して洗濯を繰り返し、ビタミンEの残存量を測定した。洗濯回数は5回、10回、又は30回とした。洗濯は、JlS L 0217−103法に準じた条件で行った。表1に示す回数の洗濯を行った後、布帛に固着されたシクロデキストリン包接体中のビタミンEを、エタノール中で超音波処理することで抽出し、定量した。抽出及び定量には、島津製作所社製高速液体クロマトグラフシステム(システムコントローラCBM−20A、送液ポンプLC−20AT、UV−VIS検出器SPD−20A、オートサンプラSIL−20AC、カラムオーブンCTO−20A、脱気装置DGS−20A)を用いた。洗濯前の機能性布帛から抽出されたビタミンE量を100%とした時の、洗濯後のビタミンEの残存量を割合として表した。結果を表1に示す。表1に示すように、複数回洗濯を繰り返した後であっても十分な量のビタミンEが残存していた。以上より、水性ポリイソシアネート化合物を用いることで、機能性成分としてビタミンEを包接したシクロデキストリン包接体を付着に強固に固着させることができ、耐洗濯性を高めることが可能であることがわかる。
Figure 0005061295
以下の実験2及び実験3では、実験1において布帛処理剤にさらにグリオキザール系樹脂を添加した場合の効果について検討した。
<実験2>
布帛処理剤として、γ−シクロデキストリンのビタミンE包接体(シクロケム社製)0.2gを少量の水でペースト状にし、さらにγ−シクロデキストリン(シクロケム社製)0.2g、水性ポリイソシアネート化合物であるエラストロンBN−11(第一工業製薬社製)2g、触媒0.2g、さらにグリオキザール系樹脂であるベッカミンLF−55Pコンク(大日本インキ化学社製)4%、グリオキザール系樹脂用触媒であるキャタリストGT−3(大日本インキ化学社製)1.2%を加え、最後に全量を水で100gとしたものを調製した。この処理剤にポリエステル繊維布帛(目付け108g/m、たて糸密度51本/cm、よこ糸密度35本/cm)を浸漬させ、マングルでピックアップ量を調整した後、120℃で2分間予備乾燥し、さらに170℃で5分間キュアリングを行った。固定化されなかったシクロデキストリン等を除くため、水洗を2分間行い、実験2の機能性布帛を得た。
得られた機能性布帛について、以下のように耐久性を評価した。機能性布帛に対して洗濯を繰り返し、ビタミンEの残存量を測定した。洗濯回数は5回又は10回とした。洗濯は、JlS L 0217−103法に準じた条件で行った。表2に示す回数の洗濯を行った後、布帛をエタノール中で超音波処理することでビタミンEを抽出し、定量した。抽出及び定量には実験1で用いたものと同じ高速液体クロマトグラフシステムを用いた。結果を表2に示す。
<実験3>
前記実験2に対する比較実験として、グリオキザール系樹脂及びグリオキザール系樹脂用触媒を添加しない他は、実験2と同様にして機能性布帛を得た。実験2と同様にして耐久性を評価した。結果を表2に示す。表2に示すように、グリオキザール系樹脂を用いることにより、耐久性の向上が可能となることがわかる。
Figure 0005061295
以下の実験4及び実験5では、ビタミンEを包接していないシクロデキストリンの添加量の最適範囲について検討を行った。
<実験4>
合成繊維布帛処理剤として、γ−シクロデキストリンのビタミンE包接体(シクロケム社製)1gを少量の水でペースト状にし、さらにγ−シクロデキストリン(シクロケム社製)2.0g、水性ポリイソシアネート化合物であるエラストロンBN−11(第一工業製薬社製)13.33g、触媒1.33gを加え、最後に全量を水で100gとしたものを調製した。この処理剤にポリエステル繊維布帛(目付け108g/m、たて糸密度51本/cm、よこ糸密度35本/cm)を浸漬させ、マングルでピックアップ量を調整した後、120℃で2分間予備乾燥し、さらに170℃で5分間キュアリングを行った。
得られた機能性布帛について、以下のようにしてビタミンE固着率を評価した。すなわち、エタノール中で布帛を超音波処理することでビタミンEを抽出し、定量した。抽出及び定量には実験1で用いたものと同じ高速液体クロマトグラフシステムを用いた。製造直後に測定した布帛の重量増加率と布帛処理剤中の固形分割合とから製造直後の布帛のビタミンE固着量を計算し、計算値に対するビタミンE実測値の比率(ビタミンE固着率)を算出した。結果を表3に示す。実験4で測定されたビタミンEの固着率は62.5%であった。
<実験5>
布帛処理剤に添加するγ−シクロデキストリン量を1.0gとしたこと以外は、実験4と同様にして機能性布帛を得た。また、実験4と同様にしてビタミンE固着率を求めた。結果を表3に示す。
<実験6>
布帛処理剤に添加するγ−シクロデキストリン量を0.5gとしたこと以外は、実験4と同様にして機能性布帛を得た。また、実験4と同様にしてビタミンE固着率を求めた。結果を表3に示す。
<実験7>
布帛処理剤にγ−シクロデキストリンを添加しなかったこと以外は、実験4と同様にして機能性布帛を得た。また、実験4と同様にしてビタミンE固着率を求めた。結果を表3に示す。
表3より、ゲスト分子を包接しないシクロデキストリンを布帛処理剤に添加することによって、布帛へのシクロデキストリン包接体固着量、すなわち機能性成分の固着量を向上させられることが明らかとなった。また、シクロデキストリンの添加量をシクロデキストリン包接体と同程度としたとき、最も高い効果が得られた。
Figure 0005061295
以下の実験8〜実験11では、ヨウ素をゲスト分子とするシクロデキストリン包接体の布帛への固着について検討した。
<実験8>
布帛処理剤として、水30gにヨウ素(ナカライテスク社製)0.2g及びα−シクロデキストリン(シクロケム社製)2.8gを加え撹拌し、均一な溶液にした後、さらにエラストロンBN−11(第一業製薬社製)13.3g、触媒1.33gを加え、最後に全量を水で100gとしたものを調製した。なお、加えたヨウ素とシクロデキストリン量とから計算した包接体量は1.0wt%、過剰のシクロデキストリン量は2.0wt%であった。この布帛処理剤にポリエステル繊維布帛(目付け108g/m、たて糸密度51本/cm、よこ糸密度35本/cm)を浸漬させ、マングルでピックアップ量を調整した後、120℃で2分間予備乾燥し、さらに170℃で5分間キュアリングを行い、実験8の機能性布帛を得た。
得られた機能性布帛について、ヨウ素固着率を評価した。すなわち、クロロホルム/水混合溶媒中で布帛を超音波処理することでヨウ素を抽出し、日立ハイテクノロジーズ社製分光光度計(U−3310)を用いて定量した。製造直後に測定した布帛の重量増加率と布帛処理剤中の固形分割合とから製造直後の布帛のヨウ素固着量を計算し、計算値に対するヨウ素実測値の比率(ヨウ素固着率)を算出した。結果を表4に示す。
<実験9>
布帛処理剤において過剰のα−シクロデキストリンが1.0wt%となるようにα−シクロデキストリンの添加量を変化させたこと以外は、実験8と同様にして機能性布帛を得た。また、実験8と同様にしてヨウ素固着率を求めた。結果を表4に示す。
<実験10>
布帛処理剤において過剰のα−シクロデキストリンが0.5wt%となるようにα−シクロデキストリンの添加量を変化させたこと以外は、実験8と同様にして機能性布帛を得た。また、実験8と同様にしてヨウ素固着率を求めた。結果を表4に示す。
<実験11>
布帛処理剤においてα−シクロデキストリンとヨウ素とが化学量論的比率で存在するようにシクロデキストリンの添加量を変化させたこと以外は、実験8と同様にして機能性布帛を得た。また、実験8と同様にしてヨウ素固着率を求めた。結果を表4に示す。
結果を表4に示す。
表4より、α−シクロデキストリンを処理剤に過剰に存在させることで、布帛へのシクロデキストリン包接体固着量、すなわち機能性成分の固着量を向上させられることが明らかとなった。また、シクロデキストリンの添加量をシクロデキストリン包接体と同程度としたとき、最も高い効果が得られた。
Figure 0005061295

Claims (4)

  1. シクロデキストリン包接体と、水性ポリイソシアネート化合物と、ゲスト分子を包接しないシクロデキストリン類と、水とを含有し、
    前記ゲスト分子を包接しないシクロデキストリン類と前記シクロデキストリン包接体を構成するシクロデキストリン類とのグルコース単位数が同じであることを特徴とする機能性布帛処理剤。
  2. グリオキザール系樹脂をさらに含有することを特徴とする請求項記載の機能性布帛処理剤。
  3. 請求項1又は2項記載の機能性布帛処理剤を布帛に付着させる工程と、
    前記機能性布帛処理剤に含有される前記水性ポリイソシアネート化合物と前記シクロデキストリン包接体とを前記布帛表面で重合させる工程とを有することを特徴とする機能性布帛の製造方法。
  4. 請求項記載の製造方法によって得られる機能性布帛。
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