JP5057055B2 - 非磁性ステンレス鋼の鍛造製品、該鍛造製品を用いたドリルカラー及び該鍛造製品の製造方法 - Google Patents

非磁性ステンレス鋼の鍛造製品、該鍛造製品を用いたドリルカラー及び該鍛造製品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、非磁性ステンレス鋼の鍛造製品、非磁性ステンレス綱の鍛造製品を用いたドリルカラー及び非磁性ステンレス綱の鍛造製品の製造方法に関する。
ドリルカラーは石油等の抗井の掘削に使用される。具体的には、ドリルカラーは円筒状をなし、ビット(切削工具)とドリルパイプ(堀管)との間に介挿される。ドリルカラーはビットに対して荷重を加え、また、ドリルカラーの中には掘削の位置や方位等を調査するための測定機器が収容される。このため、ドリルカラーには、優れた機械的性質とともに、低透磁率であることが求められる。更に、掘削現場の環境は厳しいため、ドリルカラーには、優れた耐食性も求められる。
これらの条件を満足するドリルカラーの原材料として、特許文献1は、非磁性ステンレス綱を開示している。この非磁性ステンレス綱は、所定の組成を有することで、良好な強度及び耐食性を有する。また特許文献1は、非磁性ステンレス綱の製造方法を開示し、この製造方法によれば、700℃〜900℃の温度で15%〜70%の減面率で仕上加工することで、高強度の非磁性ステンレス綱が得られる。
また、特許文献2は、非磁性ステンレス綱の部品の製造方法を開示し、この製造方法によれば、所定組成の非磁性ステンレス綱に対し、860℃以下の表面温度で30%以上の加工率の熱間加工を施すことで、より高強度な非磁性ステンレス綱の部品が得られる。
特開2000-87187号公報 特開2004-156086号公報
しかしながら、ドリルカラーの原材料となる非磁性ステンレス鋼には、より優れた強度及び耐食性が求められている。
本発明は、上述した事情に基づいてなされ、その目的とするところは、良好な機械的性質及び耐食性を有する非磁性ステンレス綱の鍛造製品、非磁性ステンレス綱の鍛造製品を用いたドリルカラー、及び、非磁性ステンレス綱の鍛造製品の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するべく、本発明者等は種々検討を重ね、740℃〜760℃の温度域では炭化物又は窒化物等の析出物が析出し易いことを見出し、本発明に想到した。
本発明によれば、それぞれ質量濃度で、0%超0.06%以下のCと、0%超0.40%以下のSiと、15.5%以上17.0%以下のMnと、0.35%以上2.00%以下のCuと、2.50%以上4.00%以下のNiと、17.0%以上21.0%以下のCrと、合わせて0.5%以上1.5%以下のMo及びWのうち少なくとも一方又は両方と、0.42%以上0.65%以下のNと、0.01%以下のOと、0.040%以下のPと、0.010%以下のSと、0.05%以下の酸可溶性Alと、0.001%以上0.010%以下のBと、残部としてのFe及び不可避的不純物とを含有し、且つ、Ni、Cu、Cr、Mo、W及びMnの濃度を[%Ni]、[%Cu]、[%Cr]、[%Mo]、[%W]及び[%Mn]とそれぞれ表したときに、86([%Ni]+[%Cu])≧13[%Cr]+19[%Mo]+9[%W]+2[%Mn]で示される関係式を満たす非磁性ステンレス鋼を鍛造して得られる非磁性ステンレス綱の鍛造製品において、JIS G 0571:2003に規定される蓚酸エッチング試験方法を適用したとき、エッチング組織の分類が段状組織若しくは混合組織であり、前記エッチング組織の分類が混合組織である場合、エッチング面において結晶粒界に溝が部分的に存在する結晶粒の数の割合が全体の50%以下であることを特徴とする非磁性ステンレス綱の鍛造製品が提供される(請求項1)。
好ましくは、前記エッチング組織の分類が混合組織である場合、前記エッチング面において結晶粒界に溝が部分的に存在する結晶粒の数の割合が全体の20%以下である(請求項2)。
本発明によれば、それぞれ質量濃度で、0%超0.06%以下のCと、0%超0.40%以下のSiと、15.5%以上17.0%以下のMnと、0.35%以上2.00%以下のCuと、2.50%以上4.00%以下のNiと、17.0%以上21.0%以下のCrと、合わせて0.5%以上1.5%以下のMo及びWのうち少なくとも一方又は両方と、0.42%以上0.65%以下のNと、0.01%以下のOと、0.040%以下のPと、0.010%以下のSと、0.05%以下の酸可溶性Alと、0.001%以上0.010%以下のBと、残部としてのFe及び不可避的不純物とを含有し、且つ、Ni、Cu、Cr、Mo、W及びMnの濃度を[%Ni]、[%Cu]、[%Cr]、[%Mo]、[%W]及び[%Mn]とそれぞれ表したときに、86([%Ni]+[%Cu])≧13[%Cr]+19[%Mo]+9[%W]+2[%Mn]で示される関係式を満たす非磁性ステンレス鋼を鍛造して得られる非磁性ステンレス綱の鍛造製品において、前記非磁性ステンレス鋼は、650℃以下の鍛造温度で仕上鍛造されることを特徴とする非磁性ステンレス綱の鍛造製品が提供される(請求項3)。
好ましくは、前記非磁性ステンレス鋼は、1.1以上1.4以下の鍛錬比で鍛造される(請求項4)。
好ましくは、前記非磁性ステンレス綱は鍛造される前に1000℃以上の加熱温度に加熱され、前記非磁性ステンレス綱の温度は、前記加熱温度から前記鍛造温度まで低下する途中、少なくとも850℃以下では5℃/分以上の降温速度で低下させられる(請求項5)。
本発明によれば、請求項1乃至5の何れかに記載の非磁性ステンレス綱の鍛造製品を原材料として製造されたことを特徴とするドリルカラーが提供される(請求項6)。
本発明によれば、それぞれ質量濃度で、0%超0.06%以下のCと、0%超0.40%以下のSiと、15.5%以上17.0%以下のMnと、0.35%以上2.00%以下のCuと、2.50%以上4.00%以下のNiと、17.0%以上21.0%以下のCrと、合わせて0.5%以上1.5%以下のMo及びWのうち少なくとも一方又は両方と、0.42%以上0.65%以下のNと、0.01%以下のOと、0.040%以下のPと、0.010%以下のSと、0.05%以下の酸可溶性Alと、0.001%以上0.010%以下のBと、残部としてのFe及び不可避的不純物とを含有し、且つ、Ni、Cu、Cr、Mo、W及びMnの濃度を[%Ni]、[%Cu]、[%Cr]、[%Mo]、[%W]及び[%Mn]とそれぞれ表したときに、86([%Ni]+[%Cu])≧13[%Cr]+19[%Mo]+9[%W]+2[%Mn]で示される関係式を満たす非磁性ステンレス鋼を鍛造する鍛造工程を備えた非磁性ステンレス鋼の鍛造製品の製造方法において、前記鍛造工程では、前記非磁性ステンレス鋼は650℃以下の鍛造温度で仕上鍛造されることを特徴とする非磁性ステンレス綱の鍛造製品の製造方法が提供される(請求項7)。
好ましくは、前記鍛造工程において、前記非磁性ステンレス鋼は1.1以上1.4以下の鍛錬比で鍛造される(請求項8)。
好ましくは、前記鍛造工程よりも前に、前記非磁性ステンレス綱を1000℃以上の加熱温度に加熱する加熱工程と、前記加熱工程と前記鍛造工程との間に、前記非磁性ステンレス綱の温度を前記加熱温度から前記鍛造温度まで低下させる降温工程とを更に備え、前記降温工程において、前記非磁性ステンレス綱の温度は、少なくとも850℃以下では、5℃/分以上の降温速度で低下させられる(請求項9)。
本発明の請求項1の非磁性ステンレス綱の鍛造製品にあっては、エッチング組織が段状組織若しくは混合組織であり、エッチング組織が混合組織である場合、エッチング面において結晶粒界に溝が部分的に存在する結晶粒の数の割合が50%以下であり、結晶粒界での炭化物や窒化物等の析出物の析出が抑制されている。この結果として、この鍛造製品は、金属組織を構成するオーステナイトの結晶粒子がC及びNを十分に含んでおり、優れた強度及び耐食性を有する。
請求項2の非磁性ステンレス綱の鍛造製品にあっては、エッチング組織が混合組織である場合、エッチング面において結晶粒界に溝が部分的に存在する結晶粒の数の割合が20%以下であることにより、一層優れた強度及び耐食性を有する。
請求項3の非磁性ステンレス綱の鍛造製品にあっては、650℃以下の温度で仕上鍛造されることで、鍛造中に、結晶粒界に炭化物や窒化物等の析出物が析出することが抑制される。この結果として、この鍛造製品は、優れた強度及び耐食性を有する。
請求項4の非磁性ステンレス綱の鍛造製品によれば、1.1以上1.4以下の鍛錬比で鍛造することで、鍛造製品の強度を十分に確保しながら、鍛造機の負荷が低減される。
請求項5の非磁性ステンレス綱の鍛造製品にあっては、非磁性ステンレス綱の温度が850℃以下では5℃/分以上の降温速度で低下させられることで、析出物の析出がより一層抑制される。
請求項6のドリルカラーは、請求項1乃至5の鍛造製品を原材料として製造されるため、優れた強度及び耐食性を有する。
請求項7の非磁性ステンレス綱の鍛造製品の製造方法によれば、鍛造工程において、非磁性ステンレス鋼が650℃以下の鍛造温度で仕上鍛造されることで、結晶粒界に炭化物や窒化物等の析出物が析出することが抑制される。この結果として、得られる鍛造製品は、優れた強度及び耐食性を有する。
請求項8の非磁性ステンレス綱の鍛造製品の製造方法によれば、鍛造工程において、磁性ステンレス鋼を1.1以上1.4以下の鍛錬比で鍛造することで、得られる鍛造製品の強度を十分に確保しながら、鍛造機の負荷が低減される。
請求項9の非磁性ステンレス綱の鍛造製品の製造方法によれば、降温工程において、非磁性ステンレス綱の温度が850℃以下では5℃/分以上の降温速度で低下させられることで、析出物の析出がより一層抑制される。
図1は、一実施形態に係るドリルカラーを示す。
ドリルカラーは、ビット(切削工具)10とドリルパイプ(堀管)12との間に介挿され、掘削時、ビット10に荷重を加える。具体的には、ドリルカラーは中空の円筒状をなし、その両端には螺子が形成される。ドリルカラーの先端側の螺子にはビット10が連結され、基端側の螺子にはドリルパイプ12が連結される。
また、ドリルカラーの内部には略円柱状の測定装置14が配置され、測定装置14は掘削の位置及び方位を検知する。
ドリルカラーは非磁性ステンレス綱からなり、当該非磁性ステンレス鋼は、それぞれ質量濃度で、0%超0.06%以下のCと、0%超0.40%以下のSiと、15.5%以上17.0%以下のMnと、0.35%以上2.00%以下のCuと、2.50%以上4.00%以下のNiと、17.0%以上21.0%以下のCrと、合わせて0.5%以上1.5%以下となるようにMo及びWのうち少なくとも一方又は両方と、0.42%以上0.65%以下のNと、0.01%以下のOと、0.040%以下のPと、0.010%以下のSと、0.05%以下のSol-Al(酸可溶性Al)と、0.001%以上0.010%以下のBと、残部としてのFe及び不可避的不純物とを含有する。そして、この非磁性ステンレス鋼は、Ni、Cu、Cr、Mo、W及びMnの質量濃度を[%Ni]、[%Cu]、[%Cr]、[%Mo]、[%W]及び[%Mn]とそれぞれ表したときに、86([%Ni]+[%Cu])≧13[%Cr]+19[%Mo]+9[%W]+2[%Mn]で示される関係式を満たす。
このドリルカラーの金属組織は、オーステナイトの結晶粒子により構成され、結晶粒界に存在する炭化物粒子や窒化物粒子の析出物が少ない。具体的には、JIS G 0571:2003に規定される蓚酸エッチング試験方法を適用したとき、エッチング組織の分類が段状組織若しくは混合組織であり、混合組織である場合には、エッチング面において結晶粒界に溝が部分的に存在する結晶粒の数の割合が全体の50%以下であり、好ましくは20%以下である。
以下、上述したドリルカラーの製造方法について図2を参照して説明する。
原材料は、電気炉にて溶解されて溶鋼になり、溶鋼はAOD炉にて精錬される。精錬された溶鋼は、成分が調整された後に鋳込まれ、上記組成のインゴットが作製される。インゴットは均熱炉を用いて1180℃以上1220℃以下の温度にて十分に均熱され(第1均熱工程S10)、この後、プレス鍛造機により分塊されてビレットになる(分塊工程S20)。
なお、鍛錬比とは、鍛造前の断面積を鍛造後の断面積で除した値である。
ビレットは均熱炉を用いて1100℃以上1180℃以下の温度にて十分に均熱され(第2均熱工程S30)、この後、鍛造機によって適当な鍛錬比で鍛造(荒鍛造)されて第1の鋼片になる(荒鍛造工程S40)。
第1の鋼片は、均熱炉により1000℃以上の温度にて10時間以上加熱され(固溶化工程S50)、この後、鍛造機を用いて適当な鍛錬比で鍛造(予備鍛造)されて第2の鋼片になる(予備鍛造工程S60)。なお、予備鍛造工程S60は、850℃以上の温度で行われる。
第2の鋼片は、予備鍛造が終わると直ぐに衝風冷却、即ちブロアを用いて風を吹きつけることにより強制的に冷却される(降温工程S70)。これにより、少なくとも650℃以上850℃以下の温度範囲では、第2の鋼片は、5℃/分以上の降温速度にて冷却される。
第2の鋼片には、その全長に亘り、表面温度が650℃以下になったところで、鍛造(仕上鍛造)が実施される(仕上鍛造工程S80)。仕上鍛造では、第2の鋼片は、高速4面鍛造機を用いて鍛造されて、円柱状の丸棒(鍛造製品)になる。好ましくは、仕上鍛造は、第2の鋼片の表面温度が500℃以上650℃以下である間に行われる。
また、仕上鍛造の鍛錬比は、好ましくは1.1以上1.4以下の範囲にある。
また好ましくは、丸棒の0.2%耐力は140ksi(965MPa)以上である。0.2%耐力は、丸棒から切り出した試験片を引っ張ったときに、試験片のもとの長さの0.2%に相当する永久歪みを生じさせる力を、試験片のもとの断面積で除した値である。
得られた丸棒は、切削加工及び穿孔加工等の所定の機械加工を経て、ドリルカラーになる。
なお、図2においては、説明の都合上、各鍛造工程に相当する部分をジグザグに描いているが、温度がこのように変化しているのではない。
上記実施形態のドリルカラーにあっては、上述した非磁性ステンレス綱の丸棒(鍛造製品)を原材料として製造されるため、優れた強度及び耐食性を有する。
より詳しくは、上述した非磁性ステンレス綱の鍛造製品にあっては、JIS G 0571:2003に規定される蓚酸エッチング試験方法を適用したとき、エッチング組織の分類が段状組織若しくは混合組織であり、エッチング組織が混合組織である場合、エッチング面において結晶粒界に溝が部分的に存在する結晶粒の数の割合が50%以下であり、結晶粒界での炭化物や窒化物等の析出物の析出が抑制されている。この結果として、金属組織を構成するオーステナイトの結晶粒子がC及びNを十分に含んでおり、非磁性ステンレス綱の鍛造製品は優れた強度及び耐食性を有する。
そして、エッチング組織の分類が混合組織である場合、エッチング面において結晶粒界に溝が部分的に存在する結晶粒の数の割合が全体の20%以下であることにより、非磁性ステンレス綱の鍛造製品は、一層優れた強度及び耐食性を有する。
上述した非磁性ステンレス綱の鍛造製品において、結晶粒界での炭化物や窒化物等の析出物の析出が抑制されるのは、固溶化工程S50後に650℃以下の温度で仕上鍛造されることによる。これは、以下の理由による。
図3中、線Aは、非磁性ステンレス鋼を所定の温度及び時間にて放置したときの再活性化率が0.01である境界を示し、同じく、線B及び線Cは、再活性化率が0.1又は1.0である境界をそれぞれ示す。再活性化率が大きいほど析出物が析出し易いことから、図3から、650℃〜800℃では、短時間で析出物が析出し易いことがわかる。
そこで、固溶化工程S50後に650℃以下の温度で仕上鍛造すれば、650℃よりも高い温度で仕上鍛造した場合に比べ、結晶粒界に炭化物や窒化物等の析出物が析出することが抑制される。この結果として、この鍛造製品は、優れた強度及び耐食性を有する。
更に、上述した非磁性ステンレス綱の鍛造製品によれば、好ましくは1.1以上1.4以下の鍛錬比で鍛造することにより、鍛造製品の強度を十分に確保しながら、鍛造機の負荷が低減される。
また更に、非磁性ステンレス綱の鍛造製品にあっては、第2の鋼片の温度が850℃以下では5℃/分以上の降温速度で低下させられることで、析出物の析出がより一層抑制される。
1.試験片の作製
表1に示した組成を有する7tのインゴットを鋳造した。各インゴットを均熱炉で1180〜1220℃の温度にて十分に均熱してから、プレス鍛造機により分塊して400mm角のビレットにした。ビレットの疵取りを行った後、当該ビレットを均熱炉で1100℃の温度にて十分に均熱してから、高速4面鍛造機で荒鍛造して直径370mmの丸棒(第1の鋼片)にした。
得られた第1の鋼片を均熱炉で1060℃〜1090℃の温度にて8時間以上加熱してから、その直後に予備鍛造して丸棒(第2の鋼片)にした。予備鍛造での鍛錬比は、仕上鍛造での鍛錬比及びそれにより得られる丸棒の直径を考慮して適当に決定された。
予備鍛造の終了直後から、第2の鋼片を衝風冷却により5℃/分以上の降温速度で冷却し、第2の鋼片の表面温度が全長に亘り、表2に示した鍛造開始温度以下になったところで、仕上鍛造を開始した。このとき、仕上鍛造の鍛錬比及び仕上鍛造により得られた丸棒の直径(仕上直径)は表2に示した通りである。
かくして実施例1〜17及び比較例1〜9の丸棒を得た後、得られた全ての丸棒から0.2%耐力測定用の試験片を切り出すとともに金属組織観察用の試験片を切り出した。なお、各試験片は、外周面から25mmの深さの部分から切り出された。
2.試験片の評価方法
(1)0.2%耐力
実施例1〜17及び比較例1〜9の各試験片を引っ張り試験機により引っ張り、0.2%耐力を測定した。結果を表2に示す。
(2)金属組織
JIS G 0571:2003に規定されているように、実施例1〜17及び比較例1〜9の各試験片を研磨してから蓚酸を用いて電解エッチングした。光学顕微鏡を用いてエッチングされた研磨面を400倍の倍率で撮影し、エッチング組織が、段状組織、混合組織又は溝状組織のいずれに該当するかを判定した。判定結果を表2示す。
また、エッチング組織が混合組織の場合には、結晶粒界に部分的に溝がある結晶粒の数をかぞえ、全体の数に対する割合を求めた。この結果も表2に示す。
なお、段状組織とは、結晶粒界に溝のない組織であり、混合組織は、結晶粒界に部分的に溝があるものの、完全に溝で囲まれた結晶粒が1つも無いものである。溝状組織とは、完全に溝で囲まれた結晶粒が1つ以上あるものである。
これら混合組織、段状組織及び溝状組織の例として、実施例1、7及び比較例1の撮影結果を図4〜6に示す。
3.試験片の評価結果
表2から明らかなように、650℃以下の表面温度で仕上鍛造を開始した実施例1〜17の0.2%耐力は、650℃超の表面温度で仕上鍛造を開始した比較例1〜9の0.2%耐力よりも大きかった。
また、実施例1〜17の金属組織は、段状組織又は混合組織であり、結晶粒界への析出物の析出が抑制されている。
本発明は上記した実施形態及び実施例に限定されることはなく、種々の変形が可能である。例えば、上記した実施形態において、仕上鍛造の開始温度の下限は、特に限定されないけれども、鍛造機が過負荷により停止するのを防止するために、500℃以上であるのが好ましい。
上記した実施形態において、非磁性ステンレス鋼の鍛造製品は、固溶化工程S50前の熱処理及び鍛造条件は特に限定されることはない。
また、上記した実施形態では、固溶化工程S50後に予備鍛造工程S60が実施されているけれども、予備鍛造工程S60は、仕上鍛造工程S80での鍛錬比を適当な値に調整するために設けられており、省略可能である。なお、上述した実施形態では、予備鍛造工程S60が850℃以上の温度で行われることで、析出物の析出が抑制されている。
最後に、本発明の非磁性ステンレス綱の鍛造製品がドリルカラーの原材料以外にも適用可能であるのは勿論である。
一実施形態のドリルカラーを概略的に示す斜視図である。 図1のドリルカラーの原材料である非磁性ステンレス綱の鍛造製品の製造方法を概略的に説明するチャートである。 温度、時間及び再活性化率の関係を示す線図である。 実施例1の試験片のエッチング組織を示す光学顕微鏡写真である。 実施例7の試験片のエッチング組織を示す光学顕微鏡写真である。 比較例1の試験片のエッチング組織を示す光学顕微鏡写真である。
符号の説明
S60 予備鍛造工程
S70 降温工程
S80 仕上鍛造工程

Claims (9)

  1. それぞれ質量濃度で、0%超0.06%以下のCと、0%超0.40%以下のSiと、15.5%以上17.0%以下のMnと、0.35%以上2.00%以下のCuと、2.50%以上4.00%以下のNiと、17.0%以上21.0%以下のCrと、合わせて0.5%以上1.5%以下のMo及びWのうち少なくとも一方又は両方と、0.42%以上0.65%以下のNと、0.01%以下のOと、0.040%以下のPと、0.010%以下のSと、0.05%以下の酸可溶性Alと、0.001%以上0.010%以下のBと、残部としてのFe及び不可避的不純物とを含有し、且つ、Ni、Cu、Cr、Mo、W及びMnの濃度を[%Ni]、[%Cu]、[%Cr]、[%Mo]、[%W]及び[%Mn]とそれぞれ表したときに、86([%Ni]+[%Cu])≧13[%Cr]+19[%Mo]+9[%W]+2[%Mn]で示される関係式を満たす非磁性ステンレス鋼を鍛造して得られる非磁性ステンレス綱の鍛造製品において、
    JIS G 0571:2003に規定される蓚酸エッチング試験方法を適用したとき、エッチング組織の分類が段状組織若しくは混合組織であり、
    前記エッチング組織の分類が混合組織である場合、エッチング面において結晶粒界に溝が部分的に存在する結晶粒の数の割合が全体の50%以下である
    ことを特徴とする非磁性ステンレス綱の鍛造製品。
  2. 前記エッチング組織の分類が混合組織である場合、前記エッチング面において結晶粒界に溝が部分的に存在する結晶粒の数の割合が全体の20%以下であることを特徴とする請求項1に記載の非磁性ステンレス鋼の鍛造製品。
  3. それぞれ質量濃度で、0%超0.06%以下のCと、0%超0.40%以下のSiと、15.5%以上17.0%以下のMnと、0.35%以上2.00%以下のCuと、2.50%以上4.00%以下のNiと、17.0%以上21.0%以下のCrと、合わせて0.5%以上1.5%以下のMo及びWのうち少なくとも一方又は両方と、0.42%以上0.65%以下のNと、0.01%以下のOと、0.040%以下のPと、0.010%以下のSと、0.05%以下の酸可溶性Alと、0.001%以上0.010%以下のBと、残部としてのFe及び不可避的不純物とを含有し、且つ、Ni、Cu、Cr、Mo、W及びMnの濃度を[%Ni]、[%Cu]、[%Cr]、[%Mo]、[%W]及び[%Mn]とそれぞれ表したときに、86([%Ni]+[%Cu])≧13[%Cr]+19[%Mo]+9[%W]+2[%Mn]で示される関係式を満たす非磁性ステンレス鋼を鍛造して得られる非磁性ステンレス綱の鍛造製品において、
    前記非磁性ステンレス鋼は、650℃以下の鍛造温度で仕上鍛造される
    ことを特徴とする非磁性ステンレス綱の鍛造製品。
  4. 前記非磁性ステンレス鋼は、1.1以上1.4以下の鍛錬比で鍛造されることを特徴とする請求項3に記載の非磁性ステンレス綱の鍛造製品。
  5. 前記非磁性ステンレス綱は鍛造される前に1000℃以上の加熱温度に加熱され、
    前記非磁性ステンレス綱の温度は、前記加熱温度から前記鍛造温度まで低下する途中、少なくとも850℃以下では5℃/分以上の降温速度で低下させられる
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載の非磁性ステンレス綱の鍛造製品。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載の非磁性ステンレス綱の鍛造製品を原材料として製造されたことを特徴とするドリルカラー。
  7. それぞれ質量濃度で、0%超0.06%以下のCと、0%超0.40%以下のSiと、15.5%以上17.0%以下のMnと、0.35%以上2.00%以下のCuと、2.50%以上4.00%以下のNiと、17.0%以上21.0%以下のCrと、合わせて0.5%以上1.5%以下のMo及びWのうち少なくとも一方又は両方と、0.42%以上0.65%以下のNと、0.01%以下のOと、0.040%以下のPと、0.010%以下のSと、0.05%以下の酸可溶性Alと、0.001%以上0.010%以下のBと、残部としてのFe及び不可避的不純物とを含有し、且つ、Ni、Cu、Cr、Mo、W及びMnの濃度を[%Ni]、[%Cu]、[%Cr]、[%Mo]、[%W]及び[%Mn]とそれぞれ表したときに、86([%Ni]+[%Cu])≧13[%Cr]+19[%Mo]+9[%W]+2[%Mn]で示される関係式を満たす非磁性ステンレス鋼を鍛造する鍛造工程を備えた非磁性ステンレス鋼の鍛造製品の製造方法において、
    前記鍛造工程では、前記非磁性ステンレス鋼は650℃以下の鍛造温度で仕上鍛造される
    ことを特徴とする非磁性ステンレス綱の鍛造製品の製造方法。
  8. 前記鍛造工程において、前記非磁性ステンレス鋼は1.1以上1.4以下の鍛錬比で鍛造されることを特徴とする請求項7に記載の非磁性ステンレス綱の鍛造製品の製造方法。
  9. 前記鍛造工程よりも前に、前記非磁性ステンレス綱を1000℃以上の加熱温度に加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程と前記鍛造工程との間に、前記非磁性ステンレス綱の温度を前記加熱温度から前記鍛造温度まで低下させる降温工程と
    を更に備え、
    前記降温工程において、前記非磁性ステンレス綱の温度は、少なくとも850℃以下では、5℃/分以上の降温速度で低下させられる
    ことを特徴とする請求項7又は8に記載の非磁性ステンレス綱の鍛造製品の製造方法。
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