JP5053235B2 - 電気泳動兼転写装置およびその構成器具ならびに電気泳動および転写方法 - Google Patents

電気泳動兼転写装置およびその構成器具ならびに電気泳動および転写方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気泳動機能および転写機能の両者の機能を兼ね備える電気泳動兼転写装置、電気泳動兼電気泳動チップ、ならびに電気泳動および転写方法に関するものである。
従来、プロテオーム解析では、一次電気泳動、二次電気泳動、および転写膜に対する被分離物質(サンプル)の転写が連続して行われており、これら手順を簡略化する技術が既に知られている。
特許文献1には、一次電気泳動および二次電気泳動を連続処理可能な電気泳動装置が開示されている。また、特許文献2には、電気泳動および転写を連続処理可能な電気泳動兼転写装置が開示されている。
特開2007−64848号公報 特開2006−71494号公報
しかしながら、特許文献2に記載の電気泳動兼転写装置のように、単に電気泳動の経路上に転写電極が設けられた構成の装置では、電気泳動の際、電圧を印加することができない。具体的には、特許文献2に記載の転写電極は平板状であり、このような転写電極が設けられた電気泳動装置では、泳動用ゲル内の電位が一様になってしまうため、サンプルが移動できない。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、実用的かつ操作が簡便な電気泳動兼転写装置、電気泳動兼電気泳動チップ、ならびに電気泳動および転写方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、電気泳動の経路上に転写用電極を設けた場合でも、転写用電極として互いに絶縁され、かつ、電気泳動方向に沿って並べられた複数の電極領域を有した電極を用いることによって、電気泳動を容易に行い得ることを見出し、発明を完成させた。
すなわち、本発明に係る電気泳動兼転写装置は、第1媒体中に導入された被分離物質を分離方向に分離した後に、第1媒体から当該第1媒体に重ねられた第2媒体へ上記被分離物質を転写する電気泳動兼転写装置であって、第1媒体に対して上記分離方向に電圧を印加する分離電圧印加手段と、第1媒体に対して当該第1媒体から第2媒体に向かう方向に電圧を印加する転写電圧印加手段とを備えており、上記転写電圧印加手段は、第1媒体および第2媒体を挟む一対の転写電極を備えており、上記転写電極は、上記分離方向に沿って並べられた複数の電極領域と、当該複数の電極領域間を接続する整流素子とを備えており、上記転写電圧印加手段は、上記整流素子に印加されるバイアスの正負を切り替えるスイッチング機構をさらに備えていることを特徴としている。
上記構成では、転写電圧印加手段の備える転写電極が、分離方向に沿って並べられた複数の電極領域と、当該複数の電極領域間を接続する整流素子とを備えている。整流素子に逆方向のバイアスを印加すると、整流素子には電流が流れず、各電極領域は絶縁される。このため、被分離物質の分離時、整流素子に逆方向のバイアスを印加していれば、電極領域が分離電圧印加手段による電圧に影響を及ぼすことを防止できる。よって、転写電極が存在しても被分離物質の分離を好適に行うことができる。
また、整流素子に正方向のバイアスを印加すると、整流素子に電流が流れて、各電極領域は電気的に接続される。よって、被分離物質の分離終了後、整流素子に正方向のバイアスを印加して転写電極間に電圧を印加すれば、分離された被分離物質を第2媒体へと転写することができる。
したがって、上記の構成によれば、実用的かつ簡便に電気泳動および転写を行うことができる。例えば、生体高分子の分析において、上記電気泳動兼転写装置を用いれば、電気泳動法およびブロッティング法の両方を簡便に行うことができ、非常に有用である。また、電極領域同士の電気的な接続に整流素子を用いているため、微細な線幅の電極領域に対しても、再現性よく電気的な接続を行うことができる。
本発明に係る電気泳動兼転写装置において、上記電極領域の形状は線状であり、上記電極領域は、上記分離方向に直交して互いに平行に配置されていることが好ましい。
上記構成によれば、電極領域によって、ゲルに対する目的範囲の平面を容易に充填することができる。このため、第1媒体中の被分離物質を第2媒体へと効率よく転写することができる。
また、電極領域は、分離方向に直行して互いに平行に配置されているため、分離電圧印加手段による電圧にほぼ影響を及ぼすことがない。よって、転写電極が存在しても被分離物質の分離をより好適に行うことができる。
本発明に係る電気泳動兼転写装置において、上記整流素子は、上記線状の電極領域のいずれか一方の端部に接続されていてもよい。
また、本発明に係る電気泳動兼転写装置において、上記整流素子は、上記線状の電極領域の中央部に接続されていてもよい。
上記構成によれば、電極領域を構成する材料の抵抗が高かったとしても、当該電極領域に対して均一に電圧印加することができる。
また、本発明に係る電気泳動兼転写装置において、上記整流素子は、上記線状の電極領域の両端部にそれぞれ接続されていてもよい。
上記構成によれば、線状の電極領域が長く構成されている場合であっても、電極領域に対して均一に電圧印加することができる。よって、第1媒体および第2媒体が大面積である場合にも好適に対応することができる。
本発明に係る電気泳動兼転写装置において、上記整流素子は、P/N接合ダイオードであることが好ましい。
上記構成によれば、整流素子の整流作用を簡便な構造によって実現することができる。
さらに、本発明に係る電気泳動兼転写装置において、上記整流素子がシリコン、ゲルマン、ガリウム砒素、ガリウム砒素リン、窒化ガリウム、および炭化珪素からなる群より選ばれた少なくとも1種の半導体材料を含んでなることが好ましい。
上記構成によれば、整流素子を従来の半導体技術を用いて簡便に形成することができる。
また、本発明に係る電気泳動兼転写装置は、第1媒体および第2媒体を挟む一対の基板をさらに備えており、上記転写電極の一方は、上記基板の一方における第1媒体との接触面に形成されており、上記転写電極の他の一方は、上記基板の他の一方における第2媒体との接触面に形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、転写電極を、従来の半導体技術を用いて簡便に形成することができる。
本発明に係る電気泳動兼転写装置において、上記整流素子は、上記基板と上記電極領域との間に配置されることが好ましい。
上記構成によれば、電気泳動および転写に伴う電界ダメージ、ならびに、種々の緩衝液からの化学的ダメージから、整流素子を保護することができる。また、ゲルを支持する基板の平面が平坦化されるため、凹凸によって電気泳動および転写に対して悪影響を与えることがない。
本発明に係る電気泳動兼転写装置の構成器具は、電気泳動兼転写装置が備える、電気泳動兼転写装置の構成器具であって、上記基板および上記転写電圧印加手段を備えていることを特徴としている。
上記構成によれば、本発明に係る構成器具を脱着可能な部品として電気泳動兼転写装置に設けることができる。本発明に係る構成器具を設けた電気泳動兼転写装置は、本発明に係る電気泳動兼転写装置と同様の効果を奏することができる。
本発明に係る電気泳動および転写方法は、上述の電気泳動兼転写装において、上記整流素子に逆方向バイアスを印加するとともに、上記分離電圧印加手段により、上記第1媒体に対して電圧を印加する分離工程と、上記分離工程に続いて、上記整流素子に対して順方向バイアスを印加するとともに、上記転写電圧印加手段により、上記第1媒体に対して電圧を印加する転写工程とを、包含することを特徴としている。
上記分離工程では、整流素子に逆方向のバイアスを印加すると、整流素子には電流が流れず、各電極領域は絶縁される。よって、分離電圧印加手段による電圧に対する電極領域の影響が抑制され、被分離物質の分離を好適に行うことができる。
上記転写工程では、整流素子に正方向のバイアスを印加すると、整流素子に電流が流れて、各電極領域は電気的に接続される。よって、転写電極による電圧が印加され、分離された被分離物質を第2媒体へと転写することができる。
また、転写電極による電圧のオンオフが整流素子よって行われるため、上記分離工程と上記転写工程との切り替えを素早く確実に行うことができる。
本発明に係る電気泳動装置によれば、転写電極が、分離方向に沿って並べられた複数の電極領域と、当該複数の電極領域間を接続する整流素子とを備えているので、複数の電極領域の電気的な接続および非接続が再現性よく行われ、電気泳動および転写を安定的かつ簡便に行うことができる。
本発明の一実施形態について図1から図8に基づいて説明すると以下の通りである。
なお、本実施形態では、電気泳動兼転写装置10が、二次元電気泳動兼転写装置100に組み込まれているものとして説明するが、本発明はこれに限られず、単体で利用されるものであってもよい。
(二次元電気泳動兼転写装置100)
まず、二次元電気泳動兼転写装置100の概略構成について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る二次元電気泳動兼転写装置100を示す模式図である。
図2に示すように、二次元電気泳動兼転写装置100は、等電点によりサンプルを分離する一次元目電気泳動領域101と、分子量により被分離物質を分離する二次元目電気泳動領域102(電気泳動兼転写装置10)と、抗原抗体反応の高い特異性でサンプルを検出する免疫反応領域103とから構成されている。
なお、本実施形態におけるサンプル(被分離物質)はタンパク質抽出物であるが、本発明はこれに限定されず、電気泳動によって分析すべき物質であればよい。具体的には、生物材料(例えば、生物個体、体液、細胞株、組織培養物、または組織断片)からの調製物を好適に用いることができ、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドをより好適に用いることができる。
一次元目電気泳動領域101には、サンプル導入および膨潤槽106、等電点電気泳動槽107、およびSDS平衡化槽108が設けられている。サンプル導入および膨潤槽106では、支持体104の先端に支持された固定化pH勾配(Immobilized pH Gradient、IPG)ゲル105に対してサンプルが導入される。
等電点電気泳動槽107では等電点電気泳動が行われ、固定化pH勾配ゲル105中のサンプルは、タンパク質の等電点の違いによって分離(Isoelectric Focusing、IEF)される。また、SDS平衡化槽108では、分離された固定化pH勾配ゲル105中のサンプルにSDSが導入される。
SDS平衡化槽108における処理が終わった後、固定化pH勾配ゲル105は、電気泳動兼転写装置10に運ばれ、ゲル(SDS−PAGE用ゲル)6のサンプル導入領域に配置される。電気泳動兼転写装置10では、後述にて詳細に説明するが、SDS−PAGE電気泳動および転写が行われる。
電気泳動兼転写装置10における処理が終わった後、ゲル6から転写された転写膜7は、免疫反応領域103の反応槽109に運ばれ、好適なサンプル解析(抗原抗体反応等)が行われる。
(電気泳動兼転写装置10)
次に、電気泳動兼転写装置10について、図2を参照して以下に説明する。
図2に示すように、電気泳動兼転写装置10は、緩衝液槽2および3、ならびに分離電極4および5、ならびに一対の基板8(構成器具1)を備えている。緩衝液槽2および3は緩衝液を充填するために用いられる。緩衝液としては、一般に電気泳動に用いられる組成の緩衝液を用いればよい。緩衝液槽2内には分離電極4が設けられており、また、緩衝液槽3内には分離電極5が設けられている。電気泳動は、これら分離電極4および5によって行われる。
緩衝液槽2および3に挟まれた領域上には、一対の基板8が設けられている。基板8上には、ストライプ電極(転写電極)9が形成されている。ここで、ストライプ電極9を形成された基板8の各々は、構成器具1として電気泳動兼転写装置10に対して脱着可能であるように構成されている。一対の構成器具1は、ストライプ電極9が対向するように配置される。対向するストライプ電極9の間には、ゲル(第1媒体)6および転写膜(第2媒体)7が挟まれる。
なお、図2において、下側のストライプ電極9を陰極とし、上側のストライプ電極9を陽極とするとき、ゲル6は下側のストライプ電極9上に、転写膜7は上側のストライプ電極9に接するように配置される。
本実施形態におけるゲル6としては、タンパク質の分離に好適なポリアクリルアミドゲルであることが好ましいが、本発明はこれに限られず、アガロースゲルなど一般に電気泳動に用いられるゲルであればよい。転写膜7としては、上記サンプルを固定し得る物質からなるものであればよく、形状も特に限られないが、薄膜状のものが好ましい。具体的には、周知のウェスタンブロッティング法等の生体高分子解析技術に用いられる、ニトロセルロースメンブレン、PVDFメンブレン、またはナイロンメンブレン等を用いることが好ましい。
〔本発明の前提となる構成例〕
ここで、本発明の前提となる電気泳動兼電気泳動装置の構成器具の構成例について、図10を参照して以下に説明する。図10は、構成例に係る構成器具200を示す斜視図である。
図10示すように、構成器具200は、ストライプ電極202を形成された基板201から構成されている。ストライプ電極202は、線状の導電体203を複数有している。導電体203は、互いに絶縁されており、引き出し配線等を有さない。また、各導電体203は、電気泳動用の分離電極4および5による電圧の印加方向に直行する線状の形状をしており、上記印加方向に沿って並べられている。したがって、電気泳動時、各導電体203が分離電極4および5による電圧の印加方向の電位を一様にすることがないため、ゲル6内のサンプルは移動し得る。
また、構成器具200では、導電体203との電気的な接続および非接続、すなわちストライプ電極202のスイッチングは、何らかの結線具によって行われる。このような結線具は、導電体203と接触/非接触することによって、ストライプ電極202のスイッチングを行う。
構成器具200は、結線具と導電体203とが接触するための領域である結線部204を有している。転写時、結線部204には、+または−の電位を有する電圧供給手段に接続された結線具が、全ての導電体203にまたがるように配置される。結線具が各導電体203と接触することによって、ストライプ電極202には電位が与えられる。このとき、一対のストライプ電極202の間にゲル6および転写膜7を配置し、一方のストライプ電極202に−の電位が、他の一方のストライプ電極202に+の電位が与えられることによって、転写が可能となる。
しかしながら、構成器具200は結線具を配置する結線部を必要とするため、ゲル6が配置される電気泳動領域が減少してしまう。電気泳動の分解能を向上させるためにはゲル6の面積を広くすることが好ましいため、電気泳動領域が減少した構成器具200では、高い分解能を必要とする分析を行うことが難しくなる可能性がある。また、構成器具200ではスイッチングが機械的な手段により行われるため、結線具周辺の構造が複雑化してしまい、再現性よくスイッチングすることが困難であるという問題がある。
そこで、以下に記載する構成器具1では、導電体同士の電気的な接続を再現性よく行うことによって、ストライプ電極のスイッチングを安定化することを目的としている。
〔本発明に係る実施形態〕
本発明に係る構成器具1の構成について図1を参照して説明する。図1は、構成器具1およびゲル6を示す斜視図である。
図1に示すように、ストライプ電極9は、平行に複数並べられた線状の導電体11、および導電体11の各々の間に配置されたダイオード(整流素子)12を備えている。導電体11の線状に伸びる方向は、電気泳動兼転写装置10における分離電極4および5間の泳動方向と直交する方向である。導電体11の材料は、導電性を有する材料であればよく、緩衝液に接触させても劣化しない素材であることが好ましい。導電体11の各々の幅、長さ、厚さ、および導電体同士の間隔は特に限定されず、基板8のサイズに依存して決定すればよい。
ダイオード12は、整流作用(電流を一定方向にしか流さない作用)を有する。ダイオード12は、その両側にある導電体11と電気的に接続されており、各導電体11はダイオード12を介して一列に接続されている。列の両端にある導電体11は、引き出し配線13を介して、電源(スイッチング機構)14に接続されている。電源14は、後述するように、電位差を与える方向を切り替えることができる。このような電源14は、例えば、一般的なスイッチ等を用いて構成することができる。また、スイッチング機構については、シリコン半導体プロセスで製造した半導体回路によって構成してもよい。スイッチング機構を半導体回路として製造する場合、ダイオード12と同時に基板8に形成することができる。
ストライプ電極9は、パターニングによって基板8上に形成することができる。具体的には、ガラス基板またはアクリル板等からなる基板8上に、白金、金、銅、亜鉛、タングステン、またはモリブデンなどの金属薄膜を堆積し、所望のストライプ状にパターニングすることによって、ストライプ電極9の導電体11が形成される。パターニングは、従来の半導体技術を用いて容易に実施することができる。例えば、金属マスク等による堆積、フォトリソグラフィーとエッチング、またはレーザーカッター等による切削等を用いることができる。このとき、導電体11の幅および長さは、基板8のサイズに依存して決定される。パターニングされた導電体11同士の間にはダイオード12が設けられる。
ダイオード12としては、PN接合ダイオード、ショットキーバリアダイオード、定電圧ダイオード、定電流ダイオード、トンネルダイオード、トリガ・ダイオード、可変容量ダイオード、またはPINダイオード(p-intrinsic-n Diode)等を用いることができる。特に、半導体のPN接合の整流作用を有するPN接合ダイオードは、簡便な構造であり、製造コストが低く、かつ、微細加工が可能であるため、本発明において最も好適なダイオードである。本実施形態では、ダイオード12はPN接合ダイオードであるとする。
なお、PN接合ダイオードは、N型半導体とP型半導体とが接合した構造を有しており、この接合部には、互いの電子と正孔との打ち消しあいによる、キャリアの不足した空乏層が形成される。空乏層の両端では電位差(拡散電位)が生じ、空乏層の内部では電位差につり合うようにキャリアが再結合しようとするため、この状態において、両端の電圧はゼロである。
次に、導電体11とダイオード12との関係について、図3(a)(b)を参照して説明する。図3(a)は、ストライプ電極9がオンの状態を示す回路図であり、図3(b)は、ストライプ電極9がオフの状態を示す回路図である。なお、ストライプ電極9がオンの状態とは、ストライプ電極9を用いてゲル6に電圧を印加可能な状態を指し、ストライプ電極9がオフの状態とは、ストライプ電極9の導電体11間が互いに絶縁されている状態を指す。
図3(a)に示されるストライプ電極9には、順方向バイアスがかけられている。このとき、電源14は、ダイオード12のアノード側に正電圧、カソード側に負電圧を印加している。この場合、N型半導体には電子、P型半導体には正孔が注入されるため、多数キャリアが過剰となる。このため、空乏層は縮小および消滅し、キャリアは接合部付近で次々に結びついて再結合する。したがって、電子がカソード側からアノード側に流れる。すなわち、電流がアノード側からカソード側に流れ、図3(a)に示すようにストライプ電極9はオンになる。このとき、図4に示すように、ストライプ電極9間に電圧が印加されることによって、電気泳動兼転写装置10では、ゲル6からサンプルが転写膜7に転写される。図4は、一対の構成器具1におけるストライプ電極9を示す回路図である。
図3(b)に示されるストライプ電極9には、逆方向バイアスがかけられている。このとき、電源14は、ダイオード12のアノード側に負電圧を印加している。このとき、N型領域には正孔、P型領域には電子が注入されるため、それぞれの領域において多数キャリアが不足する。よって、接合部付近の空乏層は大きくなるのに伴い内部電界は強くなるため、拡散電位が大きくなる。拡散電位は外部から印加された電圧を打ち消すように働く。したがって、電流が流れにくくなり、ストライプ電極9はオフになる。
以上のように、構成器具1では、機械的な接続具を用いず、ダイオード12の整流作用によって、ストライプ電極9のスイッチングが電子回路的に制御される。ダイオード12が図3(b)に示す状態になることによって、ストライプ電極9の導電体11は互いに絶縁され、電気泳動兼転写装置10では、電気泳動用の分離電極4および5の電界によって、ゲル6中でサンプルが電気泳動される。
次に、電気泳動兼転写装置10の動作について図1を参照して以下に説明する。なお、以下の動作は、二次元電気泳動兼転写装置100におけるSDS平衡化槽108による処理まで終わった後に行われるものであり、ゲル6のサンプル導入領域にはサンプル分離後の固定化pH勾配ゲル105が配置されているものとする。
まず、電気泳動兼転写装置10は電気泳動動作を行う。具体的には、ダイオード12に対して逆方向バイアス(図3(b)参照)を印加し、ストライプ電極9をフローティング状態(他の導電体等に電機的に接続されていない状態)にする。一方、分離電極4および5には、所望の電圧(定電圧電気泳動)、または、所望の電流(定電流電気泳動)を印加する。固定化pH勾配ゲル105が配置された側の分離電極4はマイナス(−)の電位に、もう一方の側の分離電極5はプラス(+)の電位にする。SDSで平衡化されたサンプルは、ゲル6中をマイナスからプラス方向に向けて移動する。このとき、ストライプ電極9はサンプルの移動を妨げない。
次に、電気泳動兼転写装置10は転写動作を行う。転写動作時は、電気泳動動作の時とは逆に、分離電極4および5をオフにする。一方、ダイオード12に対して順方向バイアス(図3(a)参照)を印加する。一方のストライプ電極9(ゲル6が配置された側)は−の電位に、他の一方のストライプ電極9(転写膜7が配置された側)は+の電位にする(図4参照)。ゲル6内のサンプルは、陰極のストライプ電極9から陽極のストライプ電極9へ向かう方向に移動する。すなわち、ゲル6中のサンプルはゲル6から転写膜7へ向かう方向に移動するため、サンプルは転写膜7に転写される。
なお、電気泳動動作と転写動作との間における分離電極4および5の電位の切り替えには、周知慣用の技術を用いればよい。また、電気泳動時および転写時に印加される電圧には、一般的な電気泳動装置または転写装置において用いられる電圧を用いればよく、電圧を印加する手段も、上述した部分以外は周知慣用の技術を用いればよい。
最後に、サンプルが転写された転写膜7を、二次元電気泳動兼転写装置100の反応槽109に移動する。これによって、好適なサンプル解析(抗原抗体反応等)を実施することができる。
導電体11に対するダイオード12の配置としては、種々のものを好適に用いることができる。ダイオード12の配置について、図5〜図7を参照して以下に説明する。図5〜図7は、ストライプ電極9を示す回路図である。
図5に示すように、ダイオード12は、導電体11の一方の端部に設けられてもよい。
また、図6に示すように、ダイオード12は導電体11の中央部に設けられてもよい。この配置は、導電体11に対して均一に電圧印加を行うことができるため、導電体11が高抵抗材料を用いて形成されている場合、導電体11の線幅が狭い場合、または導電体11の厚さが小さい場合など、導電体11の抵抗が高い場合に好適である。
図5および図6の示す配置では、ダイオード12は隣り合う導電体11間に1つ配置されるのみであるが、図7に示すように、ダイオード12は導電体11の両端にパラレルに設けられていてもよい。この配置は、導電体11により均一に電圧印加を行うことができ、基板8が大面積である場合に好適である。
その他、ダイオード12は、導電体11の両端に交互(例えば図7において、導電体11の下端、上端、下端、上端の順)に設けられたり、導電体11の長手方向に順次ずれていく配置(例えば図7において、左右いずれかの端にあるダイオード12から隣のダイオード12に移る毎に、導電体11の下端から少しずつ上端方向にすれるような配置)に設けられたり等、種々の配置を実現することができる。
ダイオード12の詳細な構成について図8(a)(b)を参照して以下に説明する。図8(a)は、構成器具1の一部を模式的に示す上面図であり、図8(b)はその断面図である。図8に示すように、導電体11の各々の一端には、あるダイオード12のN型半導体15と、これとは別のダイオード12のP型半導体16とがそれぞれ接触している。これによって、隣り合う導電体11同士はダイオード12を介して電気的に接続されている。
また、図8(b)に示すように、導電体11は、N型半導体15とP型半導体16とのP/N接合上に設けられる。なお、導電体11の下層は、N型半導体/P型半導体、P型半導体/N型半導体のどちらの組み合わせでも構わない。
ダイオード12であるP/N接合ダイオードを形成する材料としては、シリコン材料が好ましく、N型半導体に対してはリンまたはヒ素等をドーピングすればよく、P型半導体に対してはボロンをドーピングすればよい。シリコン材料としては、高温ポリシリコン、低温ポリシリコン、アモルファスシリコン、または連続粒界結晶シリコン(CGS、Continuous Grain Silicon)等を用いることができる。
また、ダイオード12は、図9(a)(b)に示すように埋め込み構造を有していてもよい。図9(a)は、埋め込み型の構成器具1の一部を模式的に示す上面図であり、図9(b)はその断面図である。図9(a)に示すように、ダイオード12は絶縁膜17によって絶縁されており、ダイオード12と導電体11とはスルーホール18を介して電気的に接続されている。このような埋め込み構造を用いると、平坦化された絶縁膜17上に導電体11を形成することが可能となる。また、フォトリソグラフィーにおけるフォーカスマージンが広がる等、微細加工上の制約がなくなるため、より微細化された導電体11の実現が可能となる。
以上のように、本発明に係る電気泳動兼転写装置10によれば、微細なストライプ電極9に対して、安定に、再現性よく接続および非接続(スイッチング)をすることができる。また、ストライプ電極9を機械的に接続する結線具を用いることがないため、結線具を用いる電気泳動兼電気泳動チップよりも電気泳動領域を拡張することができる。
〔実施例〕
実施例として、50mm幅の基板8に対して、導電体11の幅を100μmとし、導電体11間のスペースを100μmとして、250本の導電体11をストライプ状に形成した構成器具1を準備した。この構成器具1を設けた電気泳動兼転写装置10に対して、20〜30V程度の電圧を印加したところ、サンプルの転写が良好に行われた。
発明者らの実験的な検証によれば、少なくとも50μmの幅の導電体11に対してダイオード12を良好に接続することができた。また、現状の最新の微細加工技術を用いるならば、1μm以下の導電体11に対してもダイオード12を接続することが十分に可能である。
本発明は、医療、研究、教育等における生体分子の分析装置の製造分野に利用可能である。
本発明の一実施形態に係る構成器具を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る二次元電気泳動兼転写装置を示す側面図である。 (a)(b)は本発明の一実施形態に係る構成器具におけるストライプ電極を示す回路図である。 二つの構成器具におけるストライプ電極を示す回路図である。 構成器具の変形例におけるストライプ電極を示す回路図である。 構成器具の変形例におけるストライプ電極を示す回路図である。 構成器具の変形例におけるストライプ電極を示す回路図である。 P/N接合ダイオードを説明する模式図である。 埋め込み構造のP/N接合ダイオードを説明する模式図である。 本発明の前提となる構成例に係る電気泳動チップを示す斜視図である。
符号の説明
1 構成器具
8 基板
9 ストライプ電極
10 電気泳動兼転写装置
11 導電体
12 ダイオード

Claims (10)

  1. 第1媒体中に導入された被分離物質を分離方向に分離した後に、第1媒体から当該第1媒体に重ねられた第2媒体へ上記被分離物質を転写する電気泳動兼転写装置であって、
    第1媒体に対して上記分離方向に電圧を印加する分離電圧印加手段と、
    第1媒体に対して当該第1媒体から第2媒体に向かう方向に電圧を印加する転写電圧印加手段とを備えており、
    上記転写電圧印加手段は、第1媒体および第2媒体を挟む一対の転写電極を備えており、
    上記転写電極は、上記分離方向に沿って並べられた複数の電極領域と、当該複数の電極領域間を接続する整流素子とを備えており、
    上記転写電圧印加手段は、上記整流素子に印加されるバイアスの正負を切り替えるスイッチング機構をさらに備えていることを特徴とする電気泳動兼転写装置。
  2. 上記電極領域の形状は線状であり、上記電極領域は、上記分離方向に直交して互いに平行に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動兼転写装置。
  3. 上記整流素子は、上記線状の電極領域のいずれか一方の端部に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の電気泳動兼転写装置。
  4. 上記整流素子は、上記線状の電極領域の中央部に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の電気泳動兼転写装置。
  5. 上記整流素子は、上記線状の電極領域の両端部にそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項2に記載の電気泳動兼転写装置。
  6. 上記整流素子は、P/N接合ダイオードであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電気泳動兼転写装置。
  7. 第1媒体および第2媒体を挟む一対の基板をさらに備えており、
    上記転写電極の一方は、上記基板の一方における第1媒体との接触面に形成されており

    上記転写電極の他の一方は、上記基板の他の一方における第2媒体との接触面に形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の電気泳動兼転写装置。
  8. 上記整流素子は、上記基板と上記電極領域との間に配置されていることを特徴とする請求項に記載の電気泳動兼転写装置。
  9. 請求項またはに記載の電気泳動兼転写装置が備える、電気泳動兼転写装置の構成器具であって、上記基板および上記転写電圧印加手段を備えていることを特徴とする電気泳動兼転写装置の構成器具。
  10. 請求項1から8のいずれか1項に記載の電気泳動兼転写装置において、
    上記整流素子に逆方向バイアスを印加するとともに、上記分離電圧印加手段により、上記第1媒体に対して電圧を印加する分離工程と、
    上記分離工程に続いて、上記整流素子に対して順方向バイアスを印加するとともに、上記転写電圧印加手段により、第1媒体に対して電圧を印加する転写工程とを、包含することを特徴とする電気泳動および転写方法。
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