JP5052756B2 - 燃料電池発電システムの運転方法、燃料電池発電システム - Google Patents

燃料電池発電システムの運転方法、燃料電池発電システム Download PDF

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Description

本発明は反応ガスの酸化・還元反応により発電する燃料電池発電システムの運転方法及び燃料電池発電システムに関する。
従来、酸化剤極及び燃料極を有する燃料電池と、燃料電池の酸化剤極に酸化剤を供給する酸化剤供給系と、燃料電池の燃料極に燃料を供給する燃料供給系と、燃料電池で作動される電力負荷とを用い、電力負荷の負荷変動に対応する燃料需要信号を、燃料ポンプ及び燃料流量制御弁等に出力し、電力負荷の負荷変動に対して応答遅れなしに燃料ガスを燃料電池に供給する燃料電池発電システムの運転方法が知られている(特許文献1)。
特開平9−22713号公報
上記した燃料電池発電システムによれば、電力負荷の負荷変動に対応して応答遅れなしに燃料ガスを燃料電池に供給することにしているが、燃料ガスに含まれる利用率を強制的に変化させるものではない。
上記した燃料電池発電システムによれば、電力負荷の負荷変動に応じて、燃料電池の発電量を増加させる方向に変化させたり、あるいは、燃料電池の発電量を減少させる方向に変化させたりする。このように電力負荷の負荷変動が頻繁に繰り返されると、燃料電池の耐久性を低下させ、燃料電池の発電電圧が低下し易くなり、燃料電池の長寿命化を図るには不利となる。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、電力負荷の負荷変動が繰り返されるときであっても、燃料電池の耐久性を確保し、燃料電池の長寿命化を図るのに有利な燃料電池発電システムの運転方法及び燃料電池発電システムを提供することを課題とする。
(1)本発明者は燃料電池システムについて鋭意開発を進めている。そして上記したように燃料電池の発電量を変化させるときには、反応ガスの利用率を発電量変化前の利用率よりも減少させる利用率減少操作を実行すれば良いことを知見した。その理由としては次のように推察される。即ち、燃料電池の内部の発電部位における発電密度は、発電反応で生じる生成水等の影響を受け、微視的にみれば、必ずしも均一ではないと考えられる。殊に、燃料電池の発電量を増加させる方向に変化させるとき、あるいは、燃料電池の発電量を減少させる方向に変化させるときには、燃料電池の内部において反応ガスに含まれている活物質の欠乏が部分的に生じ易いと考えられる。これが燃料電池の構成材料の劣化を促進させる要因の一つと考えられる。ここで、燃料に含まれる活物質を酸化させる反応が生じる燃料極では、燃料の欠乏により、活物質以外の他の材料(触媒等)の酸化が進行するおそれがあると考えられる。酸化剤ガスに含まれる活物質の還元反応により生成水が生じる酸化剤極では、過酸化水素水が生じたり、燃料極から酸化剤極に移行したプロトンの還元により水素が生じるおそれがあると考えられる。
しかしながら上記したように反応ガスの利用率を発電量変化前の利用率よりも減少させる操作を行えば、燃料電池の発電部位における酸化剤や燃料といった活物質の部分的な欠乏の発生が効果的に抑えられ、燃料電池の構成材料の劣化を抑制するものと推察される。
(2)本発明に係る燃料電池発電システムの運転方法は、反応ガスの酸化・還元反応により発電する燃料電池と、燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給系と、燃料電池で発電された電気エネルギにより作動される電力負荷とを用意する工程と、
燃料電池で発電された電気エネルギにより電力負荷を作動させる作動工程とを実施する燃料電池発電システムの運転方法において、
燃料電池の発電反応で生じる給電流の調整により燃料電池の発電量を増加方向および減少方向に変化させるとき、燃料電池の発電量の変化を開始させると同時に、燃料電池に供給させる反応ガスの単位時間当たりの流量の増加を開始させることにより反応ガスの利用率を発電量変化前の利用率よりも減少させる利用率減少操作を実行することを特徴とするものである。
ここで、『燃料電池の発電量を増加方向および減少方向に変化させるとき』とは、燃料電池の発電量を増加させる操作と、減少させる操作との双方を行うことをいう。この場合、燃料電池の発電量を増加させる操作の後において減少させる操作を行う形態、発電量を減少させる操作の後において増加させる操作を行う形態を含む。
(3)本発明に係る燃料電池発電システムは、反応ガスの酸化・還元反応により発電する燃料電池と、燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給系と、燃料電池で発電された電気エネルギにより作動される電力負荷とを具備する燃料電池発電システムにおいて、
燃料電池で発電された電気エネルギにより電力負荷を作動させる作動工程を実施するにあたり、燃料電池の発電反応で生じる給電流の調整により燃料電池の発電量を増加方向および減少方向に変化させるとき、燃料電池の発電量の変化を開始させると同時に、燃料電池に供給させる反応ガスの単位時間当たりの流量の増加を開始させることにより反応ガスの利用率を発電量変化前の利用率よりも減少させる利用率減少操作を実行する制御手段を有することを特徴とするものである。
(4)上記したように燃料電池の発電量を増加方向に変化させるとき、反応ガスの利用率を発電量変化前の利用率よりも減少させれば、また、燃料電池の発電量を減少方向に変化させるとき、反応ガスの利用率を発電量変化前の利用率よりも減少させれば、燃料電池の構成材料の劣化が抑制され、燃料電池の耐久性、寿命が向上する。利用率を減少させる操作を行えば、燃料電池の内部における活物質の部分的な欠乏の発生が効果的に抑えられるものと推察される。
また、利用率減少操作を実行した後に、燃料電池の発電量が定常運転になると、利用率減少操作を行った後の定常運転における反応ガスの利用率を、利用率減少操作における利用率よりも増加させることが好ましい。この場合、燃料電池に対する反応ガスの供給量が減少し、定常運転時におけるコストが低減される。
本発明によれば、燃料電池の発電量を増加方向させるとき、または、減少方向に変化させるとき、燃料電池の発電量の変化を開始させると同時に、燃料電池に供給させる反応ガスの単位時間当たりの流量の増加を開始させることにより反応ガスの利用率を発電量変化前の利用率よりも減少させる利用率減少操作を実行すれば、燃料電池の構成材料の劣化が抑制される。ひいては燃料電池の耐久性、寿命が向上する。
本発明によれば、反応ガスの酸化・還元反応により発電する燃料電池と、燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給系と、燃料電池で発電された電気エネルギにより作動される電力負荷とを用いる。反応ガスは燃料ガス及び酸化剤ガスとすることができる。燃料ガスは燃料電池の燃料極に供給される。酸化剤ガスは燃料電池の酸化剤極に供給される。燃料ガスとしては水素含有ガス、水素ガスが挙げられる。酸化剤ガスとしては空気等の酸素含有ガス、酸素ガスが挙げられる。利用率減少操作としては、燃料ガス及び酸化剤ガスのうちの少なくとも一方について実行できる。
本発明によれば、燃料電池の発電量を増加させる方向に変化させるとき、及び/または、燃料電池の発電量を減少させる方向に変化させるとき、反応ガスの利用率を発電量変化前の利用率よりも減少させる利用率減少操作を実行する。反応ガスの利用率は、反応ガスに含まれている発電反応に寄与する活物質の利用率を意味する。活物質の利用率は発電反応における使用される割合を意味する。利用率は(K2/K1)×100%で定義される。ここで、K1は、燃料電池に供給される発電前の反応ガスに含まれている活物質の量を意味する。K2は、燃料電池における発電に寄与した活物質の量を意味する。
燃料ガスの場合には、燃料ガスに含まれている活物質の利用率を意味する。従って、燃料ガスが水素含有ガスの場合には、水素の利用率を意味する。酸化剤ガスの場合には、酸化剤ガスに含まれている活物質の利用率を意味する。従って、酸化剤ガスが酸素含有ガスの場合には、酸素の利用率を意味する。
反応ガスの利用率を低減させると、反応ガスの単位時間当たりの使用量が増加するため、発電コストが高くなるおそれがある。また燃料電池の内部における活物質の分圧が増加するため、所謂クロスリークが生じるおそれもある。そこで、燃料電池の発電量が定常運転になると、利用率減少操作を行った後の定常運転における反応ガスの利用率を、利用率減少操作における利用率よりも増加させ、発電コスト及びクロスリークを抑える、定常運転とは、電力負荷の負荷変動が抑えられた状態での運転を意味する。
本発明方法によれば、後述する試験例で示すように、利用率減少操作における反応ガスの流量のピークをPとすると、ピークPは、定常運転時において燃料電池に供給される反応ガスの流量よりも高い流量を示す形態を例示することができる。なお本明細書では、特に断らない限り、流量とは、単位時間当たりの流量を意味する。
本発明によれば、反応ガスが燃料ガスである場合には、燃料電池の発電量を増加または減少させる変化させるとき、利用率減少操作を実行する前(例えば定常運転)における反応ガスの利用率を1として相対表示すると、あるいは、利用率減少操作を実行した後の定常運転における反応ガスの利用率を1として相対表示すると、利用率減少操作において反応ガスの利用率の相対表示としては、必要に応じて、0.95〜0.45の範囲内、0.92〜0.55の範囲内、または、0.85〜0.65の範囲内に減少させることができる。この場合、燃料電池に要請される耐久性、発電コスト、クロスリーク等を考慮して設定できる。
また、反応ガスが酸化剤ガスである場合には、燃料電池の発電量を増加または減少させる変化させるとき、利用率減少操作を実行する前(例えば定常運転)における反応ガスの利用率を1として相対表示すると、あるいは、利用率減少操作を実行した後の定常運転における反応ガスの利用率を1として相対表示すると、利用率減少操作における反応ガスの利用率の相対表示としては、必要に応じて、0.75〜0.15の範囲内、0.65〜0.25の範囲内、または、0.65〜0.25の範囲内に減少させることができる。この場合、燃料電池に要請される耐久性、発電コスト、クロスリーク等を考慮して設定できる。
また本発明によれば、反応ガスは燃料ガス及び酸化剤ガスであり、利用率減少操作において、酸化剤ガスの利用率に関する減少率をα1とし、燃料ガスの利用率に関する減少率をα2とすると、α1>α2とされている形態を採用することができる。減少率は、利用率減少操作を実施する前に対して利用率が減少している割合を意味する。この場合、利用率減少操作において、酸化剤ガスの利用率に関する減少率の方が、燃料ガスの利用率に関する減少率よりも高い。このように酸化剤ガスの利用率に関する減少率が高いときには、酸化剤極における酸化剤ガスの活物質の欠乏が効果的に抑制され易くなる。
ここで、利用率減少操作前における反応ガスの利用率をU1とし、利用率減少操作時における反応ガスの利用率をU2(U1>U2)とするとき、利用率に関する減少率は、(U1−U2)/U1で表される概念である。
本発明によれば、後述する試験例で述べるように、燃料電池の発電量を増加または減少させる方向に変化させた後に、発電量を高くまたは低くした状態で燃料電池を定常運転させるときには、発電量を高くした状態または低くした状態で定常運転する領域における反応ガスの流量を越えてピークPaを描くように、利用率減少操作における反応ガスの流量を多めに燃料電池に供給する形態を採用することができる。
本発明によれば、反応ガスは燃料ガス及び酸化剤ガスであり、利用率減少操作において、酸化剤ガスの利用率に関する減少率をα1とし、燃料ガスの利用率に関する減少率をα2とすると、α1<α2とされている形態を採用することができる。この場合、利用率減少操作において、燃料ガスの利用率に関する減少率の方が、酸化剤ガスの利用率に関する減少率よりも高い。このように燃料ガスの利用率に関する減少率が高いときには、燃料極における燃料の活物質の欠乏が効果的に抑制され易くなる。
本発明によれば、燃料電池に供給される前の反応ガスを加湿する加湿器等の加湿手段が設けられており、利用率減少操作に伴なう反応ガスの流量の増加に応じて、加湿手段により反応ガスを加湿する加湿量を増加させる形態を採用することができる。これにより燃料電池の内部における過剰乾燥が抑制される。加湿量を増加させるに当たり、加湿手段に供給する水分を増加させたり、加湿手段と反応ガスとが接触する面積を増加させたりする手段を採用できる。なお、本発明によれば、燃料電池のスタックの内圧を一定値に保持することを必ずしも意図するものではない。
以下、本発明の実施例について図1を参照して具体的に説明する。図1はシステム図を示す。燃料電池発電システムは、高分子膜型の固体電解質膜10を挟持する酸化剤極11及び燃料極12を有する燃料電池1と、燃料電池1の酸化剤極11に酸化剤ガスを供給する反応ガス供給系として機能する酸化剤ガス供給系2と、燃料電池1の燃料極12に燃料ガスを供給する反応ガス供給系として機能する燃料ガス供給系3と、燃料電池1で発電された電気エネルギにより作動される電力負荷4とを有する。酸化剤ガス供給系2は、加湿部20を有する加湿器21を有する。搬送源51により搬送された酸化剤ガスは、加湿器21で加湿された後に、バルブ52を介して燃料電池1の酸化剤極11に供給される。燃料電池1で発電反応に寄与した酸化剤ガスのオフガスは、バルブ53を経て加湿器21に供給され、加湿器21の加湿部20に湿分を付与させる。
燃料ガス供給系3は、改質器30と燃焼器31とを有する改質装置32と、CO浄化部33とを有する。燃焼器31には燃焼用の燃料が搬送源54により供給される。改質原料として原料ガスが搬送源55により改質器30に供給される。水系原料が搬送源56により改質器30に供給される。燃焼用空気が搬送源57により燃焼器31に供給される。これにより改質器30において改質ガス(水素含有ガス)が生成される。改質ガスはCO浄化部33で浄化された後に、燃料ガスとして燃料電池1の燃料極12にバルブ58を介して供給される。燃料電池1で発電反応に寄与した燃料ガスのオフガスには水素が残留する可能性があるため、そのオフガスはバルブ59を経て凝縮器60に至り、凝縮器60で湿分が除去された後に、燃焼器31に供給され、燃焼器31における燃焼に使用される。
作動工程では、スイッチング素子42がオンされており、燃料電池1で発電した電気エネルギにより電力負荷4は作動される。
そして制御ユニット7(制御手段)は、電力負荷4の負荷量を増加させるときには、燃料電池1の発電量を増加させる方向に変化させ、発電反応で生じる総電流を増加させる。このとき総電流を増加させ得るように、制御ユニット7は、燃料電池1の燃料極12に供給する燃料ガスの流量を増加させるとともに、燃料電池1の酸化剤極11に供給する酸化剤ガスの流量を増加させる。
上記のように電力負荷4の負荷量を増加させるとき、制御ユニット7は第1利用率減少操作を実行する。即ち、第1利用率減少操作では、酸化剤ガスの利用率を発電量変化前の酸化剤ガスの利用率よりも減少させる。同様に、燃料ガスの利用率を発電量変化前の燃料ガスの利用率よりも減少させる。
その後、電力負荷4の負荷量が増加した状態で、燃料電池1の定常運転が維持される。この場合、制御ユニット7は、第1利用率減少操作を行った酸化剤ガスの利用率を、第1利用率減少操作における酸化剤ガスの利用率よりも増加させる。この場合、第1利用率減少操作を実行する前の酸化剤ガスの利用率に復元させることができる。但し、これに限定されるものではなく、第1利用率減少操作を実行する前の酸化剤ガスの利用率に近い値でも良い。
同様に、制御ユニット7は、第1利用率減少操作を行った燃料ガスの利用率を、第1利用率減少操作における燃料ガスの利用率よりも増加させる。この場合、第1利用率減少操作を実行する前の燃料ガスの利用率に復元させることができる。但し、これに限定されるものではなく、第1利用率減少操作を実行する前の燃料ガスの利用率に近い値でも良い。
本実施例によれば、酸化剤ガスの利用率とは、酸化剤ガスに含まれている酸素の利用率を意味する。燃料ガスの利用率とは、燃料ガスに含まれている水素の利用率を意味する。
前述したように本実施例によれば、第1利用率減少操作を実行した後に、電力負荷4の負荷量が増加した高負荷状態で燃料電池1の定常運転が継続される。ここで、第1利用率減少操作における単位時間当たりの反応ガスの流量のピークをPとする。ピークPは、第1利用率減少操作を実行した後における高負荷状態の定常運転時において燃料電池1に供給される単位時間当たりの反応ガスの流量よりも高い流量を示すように設定されている。従って、第1利用率減少操作前に実行されている低負荷状態の定常運転時において搬送源51による単位時間当たりの反応ガスの搬送量をMAとし、また、第1利用率減少操作時のピークPの時点において搬送源51による単位時間当たりの反応ガスの搬送量をMBとし、また、第1利用率減少操作後の高負荷状態の定常運転時において搬送源51による単位時間当たりの反応ガスの搬送量をMCとすると、MB>MA、MB>MCとなるように設定されている。なお燃料側についても同様とされている。
また、上記したように高負荷状態で燃料電池1の定常運転が継続されている状態から、電力負荷4の作動力を小さくすべく、電力負荷4の負荷量を減少させることがある。この場合には、制御ユニット7は、燃料電池1の発電量を減少させる方向に変化させる。このとき発電量の減少に伴い、燃料電池1に供給する酸化剤ガスの流量、燃料ガスの流量を減少させる。このように電力負荷4の負荷量を減少させるとき、制御ユニット7は第2利用率減少操作を実行する。第2利用率減少操作においては、酸化剤ガスの利用率を、第2利用率減少操作を実行する前の酸化剤ガスの利用率よりも減少させる。同様に、燃料ガスの利用率を、第2利用率減少操作を実行する前の燃料ガスの利用率よりも減少させる。
そして、第2利用率減少操作後には、電力負荷4の負荷量が減少した低負荷状態で燃料電池1の定常運転が継続される。負荷量が減少した低負荷状態における定常運転では、制御ユニット7は、第2利用率減少操作を行った酸化剤ガスの利用率を、第2利用率減少操作における酸化剤ガスの利用率よりも増加させる。この場合、第2利用率減少操作を実行する前の酸化剤ガスの利用率に復元させることができる。但し、これに限定されるものではなく、第2利用率減少操作を実行する前の酸化剤ガスの利用率に近い値でも良い。同様に、定常運転では、第2利用率減少操作を行った燃料ガスの利用率を、第2利用率減少操作における燃料ガスの利用率よりも増加させる。この場合、第2利用率減少操作を実行する前の燃料ガスの利用率に復元させることができる。但し、これに限定されるものではなく、第2利用率減少操作を実行する前の燃料ガスの利用率に近い値でも良い。
ところで、上記したように第1利用率減少操作及び第2利用率減少操作において反応ガスの利用率を低減させるときには、燃料電池1に供給される反応ガスの流量が増加するため、発電コストが高くなるおそれがある。また、燃料電池1の内部における活物質の分圧が増加するため、反応ガスのクロスリークが生じるおそれがある。
この点について本実施例によれば、燃料電池1の発電量を増加させた後に定常運転に移行すると、反応ガスの利用率を、第1利用率減少操作における利用率よりも増加させるので、反応ガスの単位時間当たりの流量が制限され、上記した発電コストの高騰化及びクロスリークを抑えることができる。同様に、燃料電池1の発電量を減少させるように変化させた後に定常運転に移行すると、反応ガスの利用率を、第2利用率減少操作における利用率よりも増加させるので、上記した発電コストの高騰化及びクロスリークを抑えることができる。
本実施例によれば、燃料ガスについては、第1利用率減少操作を実行する前における反応ガスの利用率を1として相対表示すると、燃料電池1に要請される耐久性の向上効果等を考慮して、第1利用率減少操作において反応ガスの利用率を0.95〜0.52の範囲内に減少させることができる。第2利用率減少操作についても同様とすることができる。
また、酸化剤ガスについては、第1利用率減少操作を実行する前における反応ガスの利用率を1として相対表示すると、燃料電池1に要請される耐久性の向上効果等を考慮して、第1利用率減少操作における反応ガスの利用率を0.75〜0.15の範囲内に減少させることができる。第2利用率減少操作についても同様とすることができる。
本実施例によれば、燃料電池1の酸化剤極11に供給される前の酸化剤ガスを加湿する加湿手段として機能する加湿器21が設けられている。上記したように第1利用率減少操作及び第2利用率減少操作を実行するときには、燃料電池1の酸化剤極に供給される単位時間当たりの酸化剤ガスの流量がかなり(例えば、従来の1.3〜6倍、1.3〜5倍、1.5〜4倍、2〜4倍、3〜4倍)増加する傾向がある。このように燃料電池1に供給される酸化剤ガスの流量が増加するため、燃料電池1の内部の過剰乾燥が生じるおそれがある。そこで、第1利用率減少操作及び第2利用率減少操作を実行するときには、制御ユニット7は、加湿器21による加湿量を増加させる制御を行う。これにより酸化剤ガスの流量増加に伴い、酸化剤ガスを多めに加湿でき、燃料電池1の内部の過剰乾燥を抑制するのに有利となる。酸化剤ガスを燃料電池1の酸化剤極11の入口11iに供給する酸化剤通路25の途中に水分補給要素25mを設け、酸化剤ガスに含まれる水分の総量を水分補給要素25mにより増加させることができる。水分補給要素25mとしては、酸化剤通路25を流れる酸化剤ガスに水滴または水蒸気を追加的に補充する手段、あるいは、酸化剤通路25を流れる酸化剤ガスを貯留水に吹き込むバブラー方式等を適宜採用できる。
また本実施例によれば、燃料ガスについて、第1利用率減少操作及び第2利用率減少操作を実行するときには、燃料電池1に供給される燃料ガスの流量が増加する傾向がある。このとき、改質装置32の改質器30に供給される改質用の原料ガスの単位時間当たりの流量、水系原料の単位時間当たりの流量を従来技術よりも増加させる必要がある。そして、原料ガスの流量、水系原料の流量の増加に伴い、改質装置32の燃焼器31で発生させる単位時間当たりの熱エネルギも増加させる必要がある。
この点について本実施例によれば、第1利用率減少操作及び第2利用率減少操作を実行するときには、燃料電池1の燃料極12に供給される燃料ガスの単位時間当たりの流量が増加するため、燃料電池1の燃料極12から単位時間あたり吐出される燃料ガスの発電反応後のオフガスに含まれている活物質(水素)の濃度が高くなる傾向がある。このとき、制御ユニット7は、燃料ガスの発電反応後のオフガスをバルブ59及び凝縮器60を介して改質装置32の燃焼器31に供給して燃焼させるので、燃焼器31における熱エネルギの増加に有利である。
なお、本実施例によれば、第1利用率減少操作では、酸化剤ガスの利用率、燃料ガスの利用率の双方を減少させることにしているが、これに限らず、いずれか一方でも良い。また第2利用率減少操作では、酸化剤ガスの利用率、燃料ガスの利用率の双方を減少させることにしているが、これに限らず、いずれか一方でも良い。なお、燃料電池1の発電量を増加させる操作の後において発電量を減少させる操作を行う形態でも良いし、あるいは、発電量を減少させる操作の後において発電量を増加させる操作を行う形態でも良い。
(試験例)
以下、試験例1〜3について比較例と共に説明する。試験例及び比較例では、燃料ガスは模擬ガスを用いた。模擬ガスはモル%で水素が約76%、窒素が約4%、二酸化炭素が約19%、メタンが約1%、一酸化炭素が約10ppmの組成を有する。酸化剤ガスとしては空気を用いた。燃料電池1は高分子膜型の固体電解質膜(パーフルオロスルホン酸膜)を挟持する酸化剤極11及び燃料極12を有する。酸化剤極11側の触媒は白金とした。燃料極12側の触媒は白金−ルテニウムとした。燃料電池1の電極面の大きさとしては、サイズが130ミリメートル×100ミリメートルであり、セル積層数は18とした。
図2〜図5は、燃料電池1で発電した総電流、利用率、ガス流量(相対表示)が変化する過程を示す。図2〜図5において、特性線Wは燃料電池1で発電した総電流を示し、特性線Uは酸素の利用率を示し、特性線Uは水素の利用率を示す。また特性線Fは空気の流量を示し、特性線Fは水素の流量を示す。
図2〜図5の特性線Wに示すように、時刻T1から時刻T2にかけて燃料電池1は総電流が低い低負荷状態で定常的となる定常運転(電力負荷4の負荷量が相対的に低い低負荷状態)している。そして、時刻T2から時刻T3(過渡期)にかけて電力負荷4の負荷の増加に伴い、燃料電池1が発電する総電流が急激に増加している。時刻T3から時刻T4にかけて燃料電池1は、総電流が高い高負荷状態で定常的となる定常運転(電力負荷4の負荷量が相対的に高い高負荷状態)している。時刻T4以降は、電力負荷4の負荷の減少に伴い、燃料電池1が発電する総電流が減少している。
(試験例1)
試験例1は、第1利用率減少操作及び第2利用率減少操作において、酸化剤ガスの利用率に関する減少率をα1とし、燃料ガスの利用率に関する減少率をα2とすると、α1>α2とされている。
試験例1における酸素の利用率について説明する。試験例1では酸素の利用率を積極的に変化させる。図2の特性線Wに示すように、時刻T1から時刻T2にかけて燃料電池1は、総電流が低い低負荷状態で定常運転しており、このとき酸素の利用率は、図2の特性線Uに示すように、約40%で安定している。総電流が急激に増加する時刻T2から、酸素の利用率は急激に減少する。総電流が変化している時刻T2から時刻T3にかけて、酸素の利用率は約20%とかなり減少した値として安定的に維持されている。図2の特性線Uに示すように、第1利用率減少操作に相当する時刻T2から時刻T3において、酸素の利用率が安定的に維持されているため、セル内に酸素が充分に供給されているため、総電流の変動時における酸素欠乏が抑制されることが期待される。
時刻T3の直前から、酸素の利用率は急激に増加する。従って時刻T2から時刻T3は、基本的には、第1利用率減少操作を実行している期間に相当する。
総電流が高い高負荷状態で定常運転する時刻T3から時刻T4にかけて、図2の特性線Uoに示すように、酸素の利用率は約40%で安定している。更に、総電流が急激に減少する時刻T4以降では、酸素の利用率を20%を目標として減少させている。時刻T4以降は、基本的には、第2利用率減少操作を実行している期間に相当する。
このように本試験例によれば、燃料電池1の発電量を増加させる方向に変化させる場合、時刻T1〜時刻T2までの酸化剤ガスに含まれている酸素の利用率を相対表示で1(利用率:40%)とするとき、第1利用率減少操作において酸化剤ガスの酸素の利用率の相対表示は、0.5(20%/40%=0.5,利用率:20%)とされている。
図2の特性線Fに示すように、総電流が低い低負荷状態で定常運転している時刻T1から時刻T2にかけて、空気の単位時間当たりの流量はV11とされている。更に、総電流が高い高負荷状態で定常運転している時刻T3から時刻T4にかけて、空気の単位時間当たりの流量はV31とされている。これに対して、図2の特性線Fに示すように、総電流が急激に増加する時刻T2〜時刻T3(第1利用率減少操作)にかけて、燃料電池1に供給される空気の単位時間当たりの流量はV21のように増加する。ここで第1利用率減少操作における(時刻T2〜時刻T3)空気の単位時間当たりの流量V21のピークをPaとすると、ピークPaは、高負荷状態の定常運転時(時刻T3〜時刻T4)において燃料電池1に供給される空気の単位時間当たりの流量V31よりも、高単位時間当たりの流量を示す。なお空気の流量は、空気に占める酸素の割合を換算すれば、酸素の流量に相当すると考えることができる。
ここで、図2の特性線Fに示すように、上記したピークPaの単位時間当たりの流量は相対表示で5.2で示され、高負荷の定常運転時(時刻T3〜時刻T4)における空気の単位時間当たりの流量V31の単位時間当たりの流量は相対表示で3で示される。このため、ピークPaで示される空気の流量は、高負荷の定常運転時における空気の単位時間当たりの流量V31に対して1.73倍(5.2/3≒1.73)に増加しているものである。
換言すると、図2の特性線Fに示すように、総電流が増加して高い高負荷状態で定常運転している時刻T3から時刻T4にかけて供給される酸素の流量よりも、第1利用率減少操作における空気の単位時間当たりの流量のピークPaは増加しているものである。
更に換言すると、燃料電池1の発電量を変化させた後に、その変化後の状態で燃料電池1を定常運転させるときには、図2の特性線Fに示すように、燃料電池1が定常運転する領域(時刻T3〜時刻T4)において燃料電池1に供給される反応ガスの単位時間当たりの流量を越えてピークPaを描くように、利用率減少操作における反応ガスの単位時間当たりの流量を多めに燃料電池1に供給するものである。
次に試験例1における水素の利用率について説明する。図2の特性線Uに示すように、水素の利用率の変化率は酸素の利用率の変化率ほど大きくない。即ち、燃料電池1が定常運転している時刻T1から時刻T2にかけて、水素の利用率は約90%で安定している。総電流が増加し始める時刻T2から水素の利用率は約85%に減少するが、その後、約87〜89%に維持されている。総電流が高い高負荷状態で燃料電池1が定常運転する時刻T3から時刻T4にかけても、水素の利用率は約88%に維持されている。更に、総電流が減少する時刻T4以降でも、水素の利用率はあまり変化していない。
なお試験例1によれば、図2の特性線Wに示すように、燃料電池1の発電量を増加させる操作の後において減少させる操作を行う形態であるが、これに限らず、発電量を減少させる操作の後において増加させる操作を行うことにしても良い。
(試験例2)
試験例2は、第1利用率減少操作及び第2利用率減少操作において、酸化剤ガスの利用率に関する減少率をα1とし、燃料ガスの利用率に関する減少率をα2とすると、α1>α2とされている。
試験例2における酸素の利用率について説明する。試験例2では酸素の利用率を積極的に変化させる。図3の特性線Wに示すように、時刻T1から時刻T2にかけて燃料電池1は総電流が低い低負荷状態で定常運転しており、図3の特性線Uに示すように、酸素の利用率は約40%で安定している。総電流が増加する時刻T2から酸素の利用率は急激に減少する。図3の特性線Uに示すように、時刻T2から時刻T3にかけて、酸素の利用率は約13%とかなり減少した値に維持されている。時刻T3の直前から酸素の利用率は増加する。従って時刻T2から時刻T3は、基本的には、第1利用率減少操作を実行している期間に相当する。
総電流が高い高負荷状態で安定する時刻T3から時刻T4にかけて、図3の特性線Uに示すように、酸素の利用率は約40%で安定している。更に、総電流が減少する時刻T4以降では、酸素の利用率を約13%を目標として減少させている。時刻T4以降は、基本的には、第2利用率減少操作を実行している期間に相当する。
このように本試験例によれば、燃料電池1の発電量を増加または減少させる変化させる場合、時刻T1〜時刻T2間における酸化剤ガスに含まれている酸素の利用率を相対表示で1(利用率:40%)とするとき、利用率減少操作において酸化剤ガスの酸素の利用率の相対表示は、0.33(13%/40%≒0.33,利用率:13%)とされている。
また、図3の特性線Fに示すように、総電流が低い低負荷状態で定常運転している時刻T1から時刻T2にかけて、空気の単位時間当たりの流量はV12とされている。更に、総電流が高い高負荷状態で定常運転している時刻T3から時刻T4にかけて空気の単位時間当たりの流量はV32とされている。これに対して、図3の特性線Fに示すように、総電流が急激に増加する第1利用率減少操作を実行している時刻T2から時刻T3にかけて、空気の流量は単位時間当たりのV22とされている。そして図3の特性線Fに示すように、第1利用率減少操作における空気の単位時間当たりの流量V22のピークをPbとすると、ピークPbは、高負荷状態の定常運転時の空気の単位時間当たりの流量V32よりも高い流量を示す。
ここで、図3の特性線Fに示すように、空気の単位時間当たりの流量V22のピークPbの流量は相対表示で7.6で示され、空気の単位時間当たりの流量V32の流量は相対表示で3で示される。このため、ピークPbで示される空気の単位時間当たりの流量は、単位時間当たりの流量V32に対して2.53倍(7.6/3≒2.53)とかなり増加しているものである。
換言すると、図3の特性線Fに示すように、総電流が増加して高い高負荷状態で燃料電池1が定常運転している時刻T3から時刻T4にかけて燃料電池1に供給される空気の単位時間当たりの流量よりも、第1利用率減少操作における空気の単位時間当たりの流量のピークPbは、増加しているものである。
更に換言すると、図3の特性線Fに示すように、燃料電池1の発電量を増加させる方向に変化させ、その状態で燃料電池1を定常運転させるときには、当該定常運転する領域における反応ガスの流量V32を越えてピークPbを描くように、利用率減少操作における反応ガスの単位時間当たりの単位時間当たりの流量を多めに燃料電池1に供給するものである。
次に、試験例2における水素の利用率について説明する。図3の特性線Uに示すように、水素の利用率の変化率は酸素の利用率の変化率ほど大きくない。即ち、総電流が低い低負荷状態で燃料電池1が定常運転している時刻T1から時刻T2にかけて、水素の利用率は約90%で安定している。総電流が増加する時刻T2から水素の利用率は約85%に減少するが、その後、約87〜89%に維持されている。総電流が高い高負荷状態で定常運転する時刻T3から時刻T4にかけて、水素の利用率は約88%に維持されている。更に、総電流が減少する時刻T4以降でも、水素の利用率はあまり変化していない。
(試験例3)
試験例3は、第1利用率減少操作及び第2利用率減少操作において、酸化剤ガスの利用率に関する減少率をα1とし、燃料ガスの利用率に関する減少率をα2とすると、試験例1,2とは逆であり、α1<α2とされている。
試験例3における水素の利用率について説明する。試験例3では水素の利用率を積極的に変化させる。図4の特性線Uに示すように、時刻T1から時刻T2にかけて燃料電池1は定常運転しており、水素の利用率は約90%で安定している。そして、図4の特性線Uに示すように、総電流が増加する時刻T2から水素の利用率を約71%まで急激に減少させる。時刻T2から時刻T3にかけて水素の利用率は約71〜74%のようにかなり減少した値に維持されている。時刻T3の直前から水素の利用率は増加する。従って時刻T2から時刻T3は、基本的には、第1利用率減少操作を実行している期間に相当する。
図4の特性線Uに示すように、総電流が高い高負荷状態で燃料電池1が定常運転している時刻T3から時刻T4にかけて、水素の利用率は約88〜89%で安定している。更に、総電流が減少する時刻T4以降では、水素の利用率を約70%を目標として減少させている。時刻T4以降は、基本的には、第2利用率減少操作を実行している期間に相当する。
本試験例によれば、燃料電池1の発電量を増加または減少させる変化させるとき、燃料ガスに含まれている水素の利用率を相対表示で1(利用率:90%)とするとき、利用率減少操作において燃料ガスの水素の利用率の相対表示は、0.78〜0.82((71%〜74%)/90%≒0.78〜0.82,利用率:71%〜74%)の範囲内とされている。
図4の特性線Fに示すように、総電流が低い低負荷状態で燃料電池1が定常運転している時刻T1から時刻T2にかけて、水素の単位時間当たりの流量はV13とされている。更に、総電流が高い高負荷状態で燃料電池1が定常運転している時刻T3から時刻T4にかけて水素の単位時間当たりの流量はV33とされている。これに対して、総電流が急激に増加する第1利用率減少操作を実行する時刻T2から時刻T3にかけて、水素の単位時間当たりの流量はV23とされている。そして図4の特性線Fに示すように、第1利用率減少操作における水素の単位時間当たりの流量V23のピークをPcとすると、ピークPcは高負荷運転状態における水素の単位時間当たりの流量V33よりも高い流量を示す。ここで、図4の特性線Fに示すように、単位時間当たりの流量V23のピークPcの流量は相対表示で5.2で示され、流量V33の単位時間当たりの流量は相対表示で4.7で示されるため、ピークPcで示される水素の単位時間当たりの流量は、水素の単位時間当たりの流量V33に対して1.1倍(5.2/4.7≒1.1)と増加しているものである。
換言すると、図4の特性線Fに示すように、総電流が増加して高い状態で定常運転している時刻T3から時刻T4にかけて供給される水素の単位時間当たりの流量V33よりも、第1利用率減少操作における水素の単位時間当たりの流量のピークPcは増加しているものである。
試験例3における酸素の利用率について説明する。図4の特性線Uに示すように、酸素の利用率の変化率は水素の利用率の変化率ほど大きくない。即ち、燃料電池1が発電出力が小さい状態で定常運転している時刻T1から時刻T2にかけて、酸素の利用率は約40%で安定している。総電流が増加する時刻T2においても、酸素の利用率は約40%で安定している。発電出力が大きい状態で定常運転する時刻T3から時刻T4にかけても、酸素の利用率は約40%に維持されている。更に、総電流が減少する時刻T4以降でも、酸素の利用率はあまり変化していない。
(比較例及び評価)
図5の特性線Uに示すように、酸素の利用率としては約40%でほぼ一定に維持されている。更に、特性線Uに示すように、水素の利用率としては約85%前後でほぼ一定に維持されている。比較例では、電力負荷の負荷変動が繰り返されるときには、試験例1〜3に比べて、セル電位の低下が大きかった。これに対して試験例1〜3では、電力負荷の負荷変動が繰り返されるときであっても、比較例に比べて、セル電位の低下が小さかった。このため試験例1〜3は燃料電池1の耐久性を確保し、長寿命化を図るのに有利である。
(他の実施例)
前述したように、図2の特性線Fに示すように、総電流が急激に増加する時刻T2〜時刻T3(第1利用率減少操作)にかけて、燃料電池1に供給される単位時間当たりの酸素の流量はV21のように増加する。そして、第1利用率減少操作における(時刻T2〜時刻T3)単位時間当たりの酸素の流量V21のピークPaは、高負荷の定常運転時(時刻T3〜時刻T4)において燃料電池1に供給される単位時間当たりの酸素の流量V31よりも高い流量を示す。このため第1利用率減少操作が実行される前の低負荷の定常運転時(時刻T1〜時刻T2)における単位時間当たりの加湿総量をHAとし、第1利用率減少操作におけるピークPa付近の単位時間当たりの加湿総量をHBとし、第1利用率減少操作が実行された後の高負荷の定常運転時(時刻T3〜時刻T4)における単位時間当たりの加湿総量をHCとすると、HB>HA、HB>HCとする形態を例示することができる。
その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
・(付記項1)各請求項において、利用率減少操作における反応ガスの単位時間当たりの流量のピークをPとすると、Pで示される反応ガスの単位時間当たりの流量は、利用率減少操作後または利用率減少操作前に実行される高負荷の定常運転時における反応ガスの単位時間当たりの流量よりも多くなるように(例えば1.3倍〜4倍)設定されていることを特徴とする燃料電池発電シテスムの運転方法及び燃料電池発電システム。例えば1.5倍〜4倍、1.5倍〜3倍にできる。燃料電池の耐久性を確保し、長寿命化を図るのに有利となる。
・(付記項2)反応ガスの酸化・還元反応により発電する燃料電池と、前記燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給系と、前記燃料電池で発電された電気エネルギにより作動される電力負荷とを用意する工程と、前記燃料電池で発電された電気エネルギにより前記電力負荷を作動させる作動工程とを実施する燃料電池発電システムの運転方法において、前記燃料電池の発電量を増加方向または減少方向に変化させるとき、反応ガスの利用率を発電量変化前の利用率よりも減少させる利用率減少操作を実行することを特徴とする燃料電池発電システムの運転方法。ここで、『燃料電池の発電量を増加方向または減少方向に変化させるとき』とは、燃料電池の発電量を増加させる操作と減少させる操作とのうちの一方または双方を行うことをいう。
・(付記項3)反応ガスの酸化・還元反応により発電する燃料電池と、前記燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給系と、前記燃料電池で発電された電気エネルギにより作動される電力負荷とを具備する燃料電池発電システムにおいて、前記燃料電池で発電された電気エネルギにより前記電力負荷を作動させる作動工程を実施するにあたり、前記燃料電池の発電量を増加方向または減少方向に変化させるとき、反応ガスの利用率を発電量変化前の利用率よりも減少させる利用率減少操作を実行する制御手段を具備することを特徴とする燃料電池発電システム。

本発明は例えば定置用、車両用、電気機器用、電子機器用、携帯用等の燃料電池発電システムに利用することができる。
燃料電池発電システムを模式的に示す構成図である。 試験例1に係り、試験結果を示すグラフである。 試験例2に係り、試験結果を示すグラフである。 試験例3に係り、試験結果を示すグラフである。 比較例に係り、試験結果を示すグラフである。
1は燃料電池、11は酸化剤極、12は燃料極、2は酸化剤ガス供給系(反応ガス供給系)、21は加湿器、3は燃料ガス供給系(反応ガス供給系)、32は改質装置、4は電力負荷、7は制御ユニット(制御手段)をそれぞれ示す。

Claims (7)

  1. 反応ガスの酸化・還元反応により発電する燃料電池と、前記燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給系と、前記燃料電池で発電された電気エネルギにより作動される電力負荷とを用意する工程と、
    前記燃料電池で発電された電気エネルギにより前記電力負荷を作動させる作動工程とを実施する燃料電池発電システムの運転方法において、
    前記燃料電池の発電反応で生じる給電流の調整により前記燃料電池の発電量を増加方向および減少方向に変化させるとき、
    前記燃料電池の発電量の変化を開始させると同時に、前記燃料電池に供給させる前記反応ガスの単位時間当たりの流量の増加を開始させることにより前記反応ガスの利用率を発電量変化前の利用率よりも減少させる利用率減少操作を実行することを特徴とする燃料電池発電システムの運転方法。
  2. 請求項1において、前記利用率減少操作を実行した後に、前記燃料電池の発電量が定常運転になると、前記利用率減少操作を行った後の前記定常運転における反応ガスの利用率を、前記利用率減少操作における利用率よりも増加させることを特徴とする燃料電池発電システムの運転方法。
  3. 請求項1または2において、前記反応ガスは燃料ガス及び/又は酸化剤ガスであり、前記利用率減少操作における酸化剤ガスの利用率に関する減少率をα1とし、燃料ガスの利用率に関する減少率をα2とすると、α1>α2またはα1<α2とされていることを特徴とする燃料電池発電システムの運転方法。
  4. 請求項1〜3のうちの一項において、前記利用率減少操作を実行した後に、前記燃料電池の発電量が定常となる定常運転を実行し、
    前記利用率減少操作において前記反応ガスの単位時間当たりの流量のピークPがあらわれ、前記ピークPは、前記利用率減少操作を実行した後の前記定常運転時において前記燃料電池に供給される前記反応ガスの単位時間当たりの流量よりも高い流量を示すことを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
  5. 反応ガスの酸化・還元反応により発電する燃料電池と、前記燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給系と、前記燃料電池で発電された電気エネルギにより作動される電力負荷とを具備する燃料電池発電システムにおいて、
    前記燃料電池で発電された電気エネルギにより前記電力負荷を作動させる作動工程を実施するにあたり、前記燃料電池の発電反応で生じる給電流の調整により前記燃料電池の発電量を増加方向および減少方向に変化させるとき、前記燃料電池の発電量の変化を開始させると同時に、前記燃料電池に供給させる前記反応ガスの単位時間当たりの流量の増加を開始させることにより前記反応ガスの利用率を発電量変化前の利用率よりも減少させる利用率減少操作を実行する制御手段を有することを特徴とする燃料電池発電システム。
  6. 請求項において、前記利用率減少操作を実行した後に、前記制御手段は、前記燃料電池の発電量が定常となる定常運転を実行し、前記利用率減少操作を行った後の定常運転における反応ガスの利用率を、前記利用率減少操作における利用率よりも増加させることを特徴とする燃料電池発電システム。
  7. 請求項5または6において、前記利用率減少操作を実行した後に、前記制御手段は、前記燃料電池の発電量を定常とさせる定常運転を実行し、
    前記利用率減少操作において前記反応ガスの単位時間当たりの流量のピークPがあらわれ、前記ピークPは、前記利用率減少操作を実行した後の前記定常運転時において前記燃料電池に供給される反応ガスの単位時間当たりの流量よりも高い流量を示すことを特徴とする燃料電池システム。
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