JP5051491B2 - 環状分子減量ポリロタキサンの製造方法 - Google Patents

環状分子減量ポリロタキサンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、環状分子の総量を減少させることで、溶剤に可溶な環状分子減量ポリロタキサンの製造方法に関する。
従来より、ゲル材料は、食品、医療品、生活用品及び工業製品等に幅広く利用されており、これに用いられる高分子化合物の種類も多様であるが、構造という観点から眺めてみると、物理ゲルと化学ゲルのわずか2種類しか存在しない。
物理ゲルは、ゼラチンや寒天などのように自然界でよく見られるゲルであり、また、生体組織の大半も多種多様な物理ゲルが占めている。
かかる物理ゲルは、高分子間に働く物理的引力相互作用によってネットワークを構成しているため、温度や溶媒に対する安定性が低い。
一方、化学ゲルは、ネットワーク全体が共有結合で直接つながった巨大な1分子であるため、温度や溶媒に対する安定性に優れており、多方面に産業利用されている。
しかし、化学ゲルでは、架橋点が固定されているため、架橋反応において形成される不均一な構造が永久に保持され、機械強度が著しく低いという欠点があった。
これに対し、近年では、斬新な手法を用いて物理ゲル、化学ゲルのいずれにも分類されない新しい種類のゲル、即ち「環動ゲル又はトポロジカルゲル」が提案されており、このような環動ゲルには、ポリロタキサンが用いられている。
このポリロタキサンは、環状分子(回転子:rotator)の開口部を直鎖状分子(軸:axis)で串刺し状に貫通して環状分子を直鎖状分子で包接し、且つ環状分子が脱離しないように直鎖状分子の両末端に封鎖基を配置して成るもので、かかるポリロタキサンを複数架橋して成り、環動ゲルに適用可能な架橋ポリロタキサンが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許第3475252号公報
この架橋ポリロタキサンは、直鎖状分子に串刺し状に貫通されている環状分子が当該直鎖状分子に沿って移動可能(滑車効果)なために粘弾性を有し、張力が加わっても、この滑車効果によって当該張力を均一に分散させることができるので、従来の架橋ポリマーとは異なり、クラックや傷が極めて生じ難いという優れた性質を有するものである。
しかしながら、かかる従来のポリロタキサンにあっては、親水性のある水酸基を多数有しているが、水酸基がグルコース環に結合しているために、有機溶剤にも殆ど溶解しない。
このため、ポリロタキサンの適用範囲が狭くなりがちであり、特に耐久性が必要される塗料や接着剤等への適用が困難であるという問題があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、溶剤に可溶な環状分子減量ポリロタキサンの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、分子量が1,000〜5,000であるポリエチレングリコールに包接されるシクロデキストリンの総量を減少させるに際して、ジメチルホルムアミドとジメチルスルホキシドとを体積比でジメチルホルムアミド:ジメチルスルホキシド=75:25〜80:20の割合で混合した溶媒に溶解させることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の環状分子減量ポリロタキサンの製造方法は、環状分子と、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有するポリロタキサンにおいて、
上記環状分子の包接量が、該直鎖状分子が環状分子を包接する最大量である最大包接量を1とすると、0.06〜0.17であり、
上記直鎖状分子の分子量が1,000〜5,000であり、
上記直鎖状分子がポリエチレングリコールであり、
上記環状分子がシクロデキストリンである
環状分子減量ポリロタキサンを製造するに当たり、
(1)環状分子と直鎖状分子とを混合し、環状分子の開口部を直鎖状分子で串刺し状に貫通して直鎖状分子に環状分子を包接させる工程と、
(2)包接された環状分子の数を減らし、得られた擬ポリロタキサンの両末端を封鎖基で封鎖する工程と、
を行う環状分子減量ポリロタキサンの製造方法であって、
上記工程(2)において包接された環状分子の数を減らすに際して、ジメチルホルムアミドとジメチルスルホキシドとを体積比でジメチルホルムアミド:ジメチルスルホキシド=75:25〜80:20の割合で混合した溶媒に溶解させることを特徴とする。
本発明によれば、分子量が1,000〜5,000であるポリエチレングリコールに包接されるシクロデキストリンの総量を減少させるに際して、ジメチルホルムアミドとジメチルスルホキシドとを体積比でジメチルホルムアミド:ジメチルスルホキシド=75:25〜80:20の割合で混合した溶媒に溶解させることとしたため、溶剤に可溶な環状分子減量ポリロタキサンの製造方法を提供することができる。
以下、環状分子減量ポリロタキサンにつき詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を表すものとする。
上述の如く、環状分子減量ポリロタキサンは、環状分子と、両末端に封鎖基を持つ直鎖状分子を有するものである。
また、環状分子の開口部を串刺し状に貫通することによって当該環状分子を包接しており、更に、その両末端に配置された封鎖基が包接した環状分子の脱離を防止している。
ここで、環状分子減量ポリロタキサンにおいて、直鎖状分子に包接される環状分子の個数(包接量)は、その最大包接量を1としたときに、0.06〜0.17となるようにする。また、より好ましくは0.06〜0.11であることが良い。
これにより、1分子のポリロタキサン中の全ての環状分子が有する水酸基の総量が減少し、疎水性に近づくので、種々の溶剤に溶解するようになる。
0.06未満では滑環効果が発現しにくく、0.17を超えると、環状分子が有する水酸基が多過ぎ、溶剤への溶解性が低下する。
かかる環状分子としては、反応基を有するものが好ましく、環状分子同士を結合又は架橋する際、この反応基を用いて容易に反応を行うことができる。
かかる反応基は、用いる架橋剤の種類に応じて適宜変更することができるが、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基及びアルデヒド基などを例示できる。
また、反応基としては、後述する封鎖基を形成する(ブロック化反応)際に、この封鎖基と反応しない基が好ましい。
環状分子の具体例としては、種々のシクロデキストリン類、例えばα−シクロデキストリン(グルコース数:6個)、β−シクロデキストリン(グルコース数:7個)、γ−シクロデキストリン(グルコース数:8個)、ジメチルシクロデキストリン、グルコシルシクロデキストリン及びこれらの誘導体又は変性体を挙げることができる。
上述のシクロデキストリン等の環状分子は、その1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
かかる環状分子としては、特にα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンが良好であり、被包接性の観点からはα−シクロデキストリンが好ましい。
なお、シクロデキストリンの水酸基に疎水性の修飾基を導入すれば、環状分子減量ポリロタキサンの溶剤可溶性を更に向上させることができる。
更に導入された疎水性の修飾基が官能基を有していることにより、他のポリマーとの反応性を向上させることが可能になる。
なお、環状分子としては、上述の如き直鎖状分子に包接されて滑環効果を奏するものである限り特に限定されるものではなく、種々の環状物質を挙げることができる。
また、環状分子は実質的に環状であれば十分であり、「C」字状のように完全な閉環ではないものも含まれる。
一方、直鎖状分子は、実質的に直鎖であればよく、回転子である環状分子が回動可能で滑環効果を発揮できるように包接できる限り、分岐鎖を有していてもよい。
また、環状分子の大きさにも影響を受けるが、その長さも環状分子が滑環効果を発揮できる限り特に限定されない。
なお、直鎖状分子としては、その両末端に反応基を有するものが好ましく、これにより、上記封鎖基と容易に反応させることができるようになる。
かかる反応基としては、採用する封鎖基の種類などに応じて適宜変更することができるが、水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びチオール基などを例示できる。
そして、環状分子減量ポリロタキサンにおいて、直鎖状分子は疎水性を有するが、これにより、後述するシクロデキストリンなどの環状分子の水酸基に必ずしも疎水性の修飾基を持たせなくても有機溶剤に可溶となる。
かかる溶剤可溶性の発現は、従来は水系溶剤や有機系溶剤に難溶性ないしは不溶性であったポリロタキサンに対し、有機溶剤という反応場、典型的には架橋場を提供するものである。即ち、本発明におけるポリロタキサンは、有機溶剤の存在下で他のポリマーとの架橋や修飾基による修飾が容易に行える反応性の向上したものである。
また、直鎖状分子の分子量は1,000〜5,000とする
子量が1,000未満では、シクロデキストリン等の環状分子の最大包接量が小さ過ぎて滑環効果が低下し易く、20,000を超えると、溶剤への溶解性が低下し易い。
なお、ポリロタキサンを単独で用いる場合には、1,000〜3,000であることが好ましく、ポリロタキサン以外の樹脂と混合して用いる場合には、1,000〜2,000であることが好ましい。
かかる直鎖状分子としては、ポリエチレングリコールを挙げることができる。
次に、封鎖基は、上述の如き直鎖状分子の両末端に配置されて、環状分子が直鎖状分子によって串刺し状に貫通された状態を保持できる基であれば、如何なる基であってもよい。
かかる基としては、「嵩高さ」を有する基又は「イオン性」を有する基などを挙げることができる。またここで、「基」とは、分子基及び高分子基を含む種々の基を意味する。
「嵩高さ」を有する基としては、球形の基や側壁状の基を例示できる。
また、「イオン性」を有する基のイオン性と、環状分子の有するイオン性とが相互に影響を及ぼし合い、例えば反発し合うことにより、環状分子が直鎖状分子に串刺しにされた状態を保持することができる。
このような封鎖基の具体例としては、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基などのジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類及びピレン類、並びにこれらの誘導体又は変性体を挙げることができる。
次に、上記環状分子減量ポリロタキサンの製造方法について説明する。
上述の如き、環状分子減量ポリロタキサンは、(1)環状分子と直鎖状分子とを混合し、環状分子の開口部を直鎖状分子で串刺し状に貫通して直鎖状分子に環状分子を包接させる工程と、(2)包接された環状分子の数を減らすと同時に、得られた擬ポリロタキサンの両末端(直鎖状分子の両末端)を封鎖基で封鎖して、環状分子が串刺し状態から脱離しないように調製する工程と、で処理することにより得られる。
このとき、環状分子の包接量を減少させるには、擬ポリロタキサンを良溶媒に溶解させることで、環を動き易く、また脱離し易くする方法などが挙げられる。
以上のような製造方法によって、上述の如く反応性や溶剤溶解性に優れたポリロタキサンが得られる。
かかる溶剤としては、特に限定されるものではないが、イソプロピルアルコールやブチルアルコールなどのアルコール類、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル類、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルやジオキサンなどのエーテル類、トルエンやキシレンなどの炭化水素溶剤などを挙げることができ、環状分子減量ポリロタキサンは、これらの2種以上を混合した溶媒についても良好な溶解性を示す。
次に、架橋ポリロタキサンについて説明する。
橋ポリロタキサンは、上述した環状分子減量ポリロタキサンをポリマーと架橋して成るものであり、このポリマーは環状分子減量ポリロタキサンの環状分子を介して環状分子減量ポリロタキサンと結合している。
ここで、環状分子減量ポリロタキサンと環状分子を介して架橋されるポリマーとしては、特に限定されるものではないが、主鎖又は側鎖に水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ビニル基、チオール基又は光架橋基、及びこれらの任意の組合せに係る基を有するものが好ましい。
なお、光架橋基としては、ケイ皮酸、クマリン、カルコン、アントラセン、スチリルピリジン、スチリルピリジニウム塩及びスチリルキノリン塩などを例示できる。
また、2種以上のポリマーを混合使用してもよいが、この場合、少なくとも1種のポリマーが環状分子を介して環状分子減量ポリロタキサンと結合していることを要する。
更に、かかるポリマーは、ホモポリマーでもコポリマーでもよい。コポリマーの場合、2種以上のモノマーから構成されるものでもよく、ブロックコポリマー、交互コポリマー、ランダムコポリマー又はグラフトコポリマーのいずれであってもよい。
かかるポリマーの具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、澱粉及びこれらの共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン及び他のオレフィン系単量体との共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂などのポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートや(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体などのアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂及びこれらの誘導体又は変性体、ポリイソブチレン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアニリン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ナイロン(登録商標)などのポリアミド類、ポリイミド類、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどのポリジエン類、ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン類、ポリスルホン類、ポリイミン類、ポリ無水酢酸類、ポリ尿素類、ポリスルフィド類、ポリフォスファゼン類、ポリケトン類、ポリフェニレン類、ポリハロオレフィン類、及びこれらの誘導体を挙げることができる。
誘導体としては、上述した水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ビニル基、チオール基又は光架橋基及びこれらの組合せに係る基を有するものが好ましい。
なお、環状分子減量ポリロタキサンと上記ポリマーとの配合比は、用途や所望物性などに応じて適時変更することができるが、代表的には、重量比で(環状分子減量ポリロタキサン/ポリマー)が1/4〜10/1とすることができる。
橋ポリロタキサンにおいて、ポリロタキサンの環状分子とポリマーとの結合は、架橋剤による化学結合であることが好ましい。
架橋剤としては、分子量が2000未満、好ましくは1000未満、更に好ましくは600未満、いっそう好ましくは400未満のものを用いることができる。
かかる架橋剤の具体例としては、塩化シアヌル、トリメソイルクロリド、テレフタロイルクロリド、エピクロロヒドリン、ジブロモベンゼン、グルタールアルデヒド、フェニレンジイソシアネート、ジイソシアン酸トリレイン、ジビニルスルホン、1,1’−カルボニルジイミダゾール又はアルコキシシラン類を挙げることができ、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、上述の如く、環状分子減量ポリロタキサンの直鎖状分子としてポリカプロラクトンを用いる場合、その分子量を5,000〜100,000とすることが好ましいが、特に、ポリカプロラクトンの分子量を5,000〜20,000とすることが好ましく、5,000〜10,000とすることが更に好ましい。
図1は、環状分子減量ポリロタキサンを概念的に示す模式図である。
同図において、この環状分子減量ポリロタキサン5は、直鎖状分子6と、環状分子7と、直鎖状分子6の両末端に配置された封鎖基8を有し、直鎖状分子6は環状分子7の開口部を貫通して環状分子7を包接している。
また、図2は、架橋ポリロタキサンを概念的に示す模式図である。
同図において、この架橋ポリロタキサン1は、ポリマー3と上記環状分子減量ポリロタキサン5を有する。そして、このポリロタキサン5は、環状分子7を介して架橋点9によってポリマー3及びポリマー3’と結合している。
このような構成を有する架橋ポリロタキサン1に対し、図2(A)の矢印X−X’方向の変形応力が負荷されると、架橋ポリロタキサン1は、図2(B)に示すように変形してこの応力を吸収することができる。
即ち、図2(B)に示すように、環状分子7は滑車効果によって直鎖状分子6に沿って移動可能であるため、上記応力をその内部で吸収可能である。
このように、架橋ポリロタキサンは、図示したような滑車効果を有するものであり、従来のゲル状物などに比し優れた伸縮性や粘弾性、機械的強度を有するものである。
また、この架橋ポリロタキサンの前駆体である環状分子減量ポリロタキサンは、上述の如く有機溶剤への溶解性が改善されており、有機溶剤中での架橋などが容易である。
よって、架橋ポリロタキサンは、有機溶剤が存在する条件下で容易に得ることができ、特に、環状分子減量ポリロタキサンと有機溶剤可溶性のポリマーとを架橋させることにより、容易に製造することができる。
即ち、架橋ポリロタキサンは、その適用範囲が拡大されており、例えば、有機溶剤に可溶な塗膜ポリマーを用いる塗料や接着剤、特に耐洗車性、耐引っ掻き性、耐チッピング性、耐衝撃性及び耐候性の要求される自動車用の塗料、樹脂基材及び接着剤、並びに家電用の塗料や樹脂基材等についても適用可能であり、これらの用途においても優れた滑車効果を発現できるものである。
また別の観点からは、架橋ポリロタキサンは、環状分子減量ポリロタキサンの架橋対象である上記ポリマーの物性を損なうことなく、当該ポリマーと当該ポリロタキサンとを複合体化したものである。
従って、以下に説明する架橋ポリロタキサンの製造方法によれば、上記ポリマーの物性と環状分子減量ポリロタキサン自体の物性を併有する材料が得られるのみならず、ポリマー種を選択することにより、所望の機械的強度などを有する材料、特にゲル状物などを得ることができる。
なお、架橋ポリロタキサンは、架橋対象のポリマーが疎水性であり、その分子量が余り大きくない場合、例えば分子量が数千程度までなら有機溶剤に溶解する。
次に、架橋ポリロタキサンの製造方法について説明する。
この架橋ポリロタキサンは、まず上述の如く環状分子減量ポリロタキサンを製造し、(a)得られた環状分子減量ポリロタキサンをポリマーと混合し、(b)ポリマーの少なくとも一部を物理的及び/又は化学的に架橋し、(c)ポリマーの少なくとも一部とポリロタキサンとを環状分子を介して結合させる、ことにより製造できる。
なお、直鎖状分子ポリロタキサンは、有機溶剤に可溶であるため、(a)工程〜(c)工程を有機溶剤中で円滑に行うことができる。
なお、(b)工程においては、化学架橋することが好ましく、これは上述如き架橋剤によって行うことができる。また、(b)工程と(c)工程をほぼ同時に実施してもよい。
(a)工程の混合工程は、用いるポリマーに依存するが、溶媒無しで又は溶媒中行うことができる。使用可能な溶媒としては、特に限定されるものではないが、水、トルエン、キシレン、ベンゼン、アニソール、シクロヘキサン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド及びアセトニトリルなどを挙げることができる。
(b)工程の架橋工程は、用いるポリマーに応じて従来公知の架橋条件下で行えばよい。
例えば、(ア)ポリマーがエポキシ基のような活性な置換基を有している場合は、加熱又はアミンや酸無水物のような活性水素の存在下で架橋反応を起こせばよい。また、光酸発生剤、光塩基発生剤の存在下で光照射を行うことでも架橋反応を起こすことができる。
(イ)ポリマーがビニル基のような不飽和二重結合を有している場合は、熱又は光ラジカル発生剤の存在下で加熱又は光照射を行うことにより架橋反応を起こせる。
(ウ)ポリマーが上述の光架橋基を有している場合は、加熱又は光照射によって架橋反応を起こせる。
(エ)ポリマーが水酸基、アミノ基、カルボキシル基などを有している場合は、多置換イソシアネート類やカルボジイミド類、トリアジン類、シラン類の存在により架橋官能を起こすことができる。
(オ)ポリマーが各種の基を有していない場合は、電子線照射によって架橋反応を生じさせることができる。
(c)工程の結合工程は、ポリマーが主鎖及び/又は側鎖に有する基、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ビニル基、チオール基及び光架橋基などと、環状分子が有する基、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ビニル基、チオール基及び光架橋基などとを化学反応させることにより、行うことができる。
この結合工程の条件は、ポリマーが有する基、環状分子が有する基などに影響を受けるが、上述の架橋条件を適用することができる。
なお、架橋ポリロタキサンは、上述の製造方法において、ポリマーを対応するモノマーから得、得られたポリマーを用いることによっても製造することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)PEGのTEMPO酸化によるPEG−カルボン酸の調製
PEG(分子量 1000)10g、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル)100mg、臭化ナトリウム1gを水100mlに溶解させた。
市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度5%)5mlを添加し、室温で10分間攪拌した。余った次亜塩素酸ナトリウムを分解させるためにエタノールを最大5mlまでの範囲で添加して反応を終了させた。
50mlの塩化メチレンを用いた抽出を3回繰返して無機塩以外の成分を抽出した後、エバポレーターで塩化メチレンを留去し、250mlの温エタノールに溶解させてから冷凍庫(−4℃)に一晩おいてPEG−カルボン酸のみを析出させ、回収、乾燥した。
(2)PEG−カルボン酸とα−CDを用いた包接錯体の調製
(1)で調製したPEG−カルボン酸3g及びα−CD(シクロデキストリン)12gをそれぞれ別々に用意した70℃の温水50mlに溶解させた後混合し、よく振り混ぜた後、冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。
クリーム状に析出した包接錯体を凍結乾燥し回収した。
(3)α−CDの減量及びアダマンタンアミンとBOP試薬反応系を用いた包接錯体の封鎖
室温でDMF(ジメチルホルムアミド)10mlにBOP試薬(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロフォスフェート)3g、HOBt1g、アダマンタンアミン1.4g、ジイソプロピルエチルアミン1.25mlをこの順番に溶解させた。
この溶液をDMF/DMSO(ジメチルスルホキシド)混合溶媒(75/25)20mlに分散させた(2)で得られた包接錯体14gに加え、すみやかによく振り混ぜた。
スラリー状になった試料を冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。一晩静置した後、DMF/メタノール=1:1混合溶液50mlを加えてよく混ぜ、遠心分離して上澄みを捨てた。
このDMF/メタノール混合溶液による洗浄を2回繰り返した後、さらにメタノール100mlを用いた洗浄を同様の遠心分離により2回繰り返した。
得られた沈殿を真空乾燥で乾燥させた後、50mlのDMSOに溶解させ、得られた透明な溶液を700mlの水中に滴下してポリロタキサンを析出させた。析出したポリロタキサンを遠心分離で回収し、真空乾燥又は凍結乾燥させた。
このDMSOに溶解−水中で析出−回収−乾燥のサイクルを2回繰り返し、最終的に精製ポリロタキサンを得た。
また、H−NMR、GPC(ゲル浸透クロマトグラフ法)で同定し、所望のポリロタキサンであることを確認した。
(実施例2)
(1)PEGのTEMPO酸化によるPEG−カルボン酸の調製
PEG(分子量 1000)10g、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル)100mg、臭化ナトリウム1gを水100mlに溶解させた。
市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度5%)5mlを添加し、室温で10分間攪拌した。余った次亜塩素酸ナトリウムを分解させるためにエタノールを最大5mlまでの範囲で添加して反応を終了させた。
50mlの塩化メチレンを用いた抽出を3回繰返して無機塩以外の成分を抽出した後、エバポレーターで塩化メチレンを留去し、250mlの温エタノールに溶解させてから冷凍庫(−4℃)に一晩おいてPEG−カルボン酸のみを析出させ、回収、乾燥した。
(2)PEG−カルボン酸とα−CDを用いた包接錯体の調製
(1)で調製したPEG−カルボン酸3g及びα−CD12gをそれぞれ別々に用意した70℃の温水50mlに溶解させた後混合し、よく振り混ぜた後冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。
クリーム状に析出した包接錯体を凍結乾燥し回収した。
(3)α−CDの減量及びアダマンタンアミンとBOP試薬反応系を用いた包接錯体の封鎖
室温でDMF10mlにBOP試薬3g、HOBt1g、アダマンタンアミン1.4g、ジイソプロピルエチルアミン1.25mlをこの順番に溶解させた。
この溶液をDMF/DMSO混合溶媒(80/20)20mlに分散させた(2)で得られた包接錯体14gに加え、すみやかによく振り混ぜた。
スラリー状になった試料を冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。一晩静置した後、DMF/メタノール=1:1混合溶液50mlを加えてよく混ぜ、遠心分離して上澄みを捨てた。
このDMF/メタノール混合溶液による洗浄を2回繰り返した後、更にメタノール100mlを用いた洗浄を同様の遠心分離により2回繰り返した。
得えられた沈殿を真空乾燥で乾燥させた後、50mlのDMSOに溶解させ、得られた透明な溶液を700mlの水中に滴下してポリロタキサンを析出させた。析出したポリロタキサンを遠心分離で回収し、真空乾燥又は凍結乾燥させた。
このDMSOに溶解−水中で析出−回収−乾燥のサイクルを2回繰り返し、最終的に精製ポリロタキサンを得た。
また、H−NMR、GPC(ゲル浸透クロマトグラフ法)で同定し、所望のポリロタキサンであることを確認した。
参考例3)
(1)PEGのTEMPO酸化によるPEG−カルボン酸の調製
PEG(分子量 5万)10g、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル)100mg、臭化ナトリウム1gを水100mlに溶解させた。
市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度5%)5mlを添加し、室温で10分間攪拌した。余った次亜塩素酸ナトリウムを分解させるためにエタノールを最大5mlまでの範囲で添加して反応を終了させた。
50mlの塩化メチレンを用いた抽出を3回繰返して無機塩以外の成分を抽出した後、エバポレーターで塩化メチレンを留去し、250mlの温エタノールに溶解させてから冷凍庫(−4℃)に一晩おいてPEG−カルボン酸のみを析出させ、回収、乾燥した。
(2)PEG−カルボン酸とα−CDを用いた包接錯体の調製
(1)で調製したPEG−カルボン酸3g及びα−CD12gをそれぞれ別々に用意した70℃の温水50mlに溶解させた後混合し、よく振り混ぜた後冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。
クリーム状に析出した包接錯体を凍結乾燥し回収した。
(3)α−CDの減量及びアダマンタンアミンとBOP試薬反応系を用いた包接錯体の封鎖
室温でDMF10mlにBOP試薬3g、HOBt1g、アダマンタンアミン1.4g、ジイソプロピルエチルアミン1.25mlをこの順番に溶解させた。
この溶液をDMF/DMSO混合溶媒(75/25)20mlに分散させた(2)で得られた包接錯体14gに加え、すみやかによく振り混ぜた。
スラリー状になった試料を冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。一晩静置した後、DMF/メタノール=1:1混合溶液50mlを加えてよく混ぜ、遠心分離して上澄みを捨てた。
このDMF/メタノール混合溶液による洗浄を2回繰り返した後、さらにメタノール100mlを用いた洗浄を同様の遠心分離により2回繰り返した。
得られた沈殿を真空乾燥で乾燥させた後、50mlのDMSOに溶解させ、得られた透明な溶液を700mlの水中に滴下してポリロタキサンを析出させた。析出したポリロタキサンを遠心分離で回収し、真空乾燥又は凍結乾燥させた。
このDMSOに溶解−水中で析出−回収−乾燥のサイクルを2回繰り返し、最終的に精製ポリロタキサンを得た。
また、H−NMR、GPC(ゲル浸透クロマトグラフ法)で同定し、所望のポリロタキサンであることを確認した。
参考例4)
(1)PEGのTEMPO酸化によるPEG−カルボン酸の調製
PEG(分子量 5万)10g、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル)100mg、臭化ナトリウム1gを水100mlに溶解させた。
市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度5%)5mlを添加し、室温で10分間攪拌した。余った次亜塩素酸ナトリウムを分解させるためにエタノールを最大5mlまでの範囲で添加して反応を終了させた。
50mlの塩化メチレンを用いた抽出を3回繰返して無機塩以外の成分を抽出した後、エバポレーターで塩化メチレンを留去し、250mlの温エタノールに溶解させてから冷凍庫(−4℃)に一晩おいてPEG−カルボン酸のみを析出させ、回収、乾燥した。
(2)PEG−カルボン酸とα−CDを用いた包接錯体の調製
(1)で調製したPEG−カルボン酸3g及びα−CD12gをそれぞれ別々に用意した70℃の温水50mlに溶解させた後混合し、よく振り混ぜた後冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。
クリーム状に析出した包接錯体を凍結乾燥し回収した。
(3)α−CDの減量及びアダマンタンアミンとBOP試薬反応系を用いた包接錯体の封鎖
室温でDMF10mlにBOP試薬3g、HOBt1g、アダマンタンアミン1.4g、ジイソプロピルエチルアミン1.25mlをこの順番に溶解させた。
この溶液をDMF/DMSO混合溶媒(80/20)20mlに分散させた(2)で得られた包接錯体14gに加え、すみやかによく振り混ぜた。
スラリー状になった試料を冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。一晩静置した後、DMF/メタノール=1:1混合溶液50mlを加えてよく混ぜ、遠心分離して上澄みを捨てた。
このDMF/メタノール混合溶液による洗浄を2回繰り返した後、更にメタノール100mlを用いた洗浄を同様の遠心分離により2回繰り返した。
得えられた沈殿を真空乾燥で乾燥させた後、50mlのDMSOに溶解させ、得られた透明な溶液を700mlの水中に滴下してポリロタキサンを析出させた。析出したポリロタキサンを遠心分離で回収し、真空乾燥又は凍結乾燥させた。
このDMSOに溶解−水中で析出−回収−乾燥のサイクルを2回繰り返し、最終的に精製ポリロタキサンを得た。
また、H−NMR、GPC(ゲル浸透クロマトグラフ法)で同定し、所望のポリロタキサンであることを確認した。
(比較例1)
(1)PEGのTEMPO酸化によるPEG−カルボン酸の調製
PEG(分子量 1000)10g、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル)100mg、臭化ナトリウム1gを水100mlに溶解させた。
市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度5%)5mlを添加し、室温で10分間攪拌した。余った次亜塩素酸ナトリウムを分解させるためにエタノールを最大5mlまでの範囲で添加して、反応を終了させた。
50mlの塩化メチレンを用いた抽出を3回繰返して無機塩以外の成分を抽出した後、エバポレータ−で塩化メチレンを留去し、250mlの温エタノールに溶解させてから冷凍庫(−4℃)に一晩おいてPEG−カルボン酸のみを析出させ、回収、乾燥した。
(2)PEG−カルボン酸とα−CDを用いた包接錯体の調製
(1)で調製したPEG−カルボン酸3g及びα−CD12gをそれぞれ別個に用意した70℃の温水50mlに溶解させた後混合し、よく振り混ぜた後、冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。
クリーム状に析出した包接錯体を凍結乾燥し回収した。
(3)α−CDの減量及びアダマンタンアミンとBOP試薬反応系を用いた包接錯体の封鎖
室温でDMF10mlにBOP試薬3g、HOBt1g、アダマンタンアミン1.4g、ジイソプロピルエチルアミン1.25mlをこの順番に溶解させた。
この溶液をDMF/DMSO混合溶媒(65/35)20mlに分散させた(2)で得られた包接錯体14gに加え、すみやかによく振り混ぜた。
スラリー状になった試薬を冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。一晩静置した後、DMF/メタノール=1:1混合溶液50mlを加えてよく混ぜ、遠心分離して上澄みを捨てた。このDMF/メタノール混合溶液による洗浄を2回繰返した後、更にメタノール100mlを用いた洗浄を同様の遠心分離により2回繰返した。
得られた沈殿を真空乾燥で乾燥させた後、50mlのDMSOに溶解させ、得られた透明な溶液を700mlの水中に滴下してポリロタキサンを析出させた。析出したポリロタキサンを遠心分離で回収し、真空乾燥又は凍結乾燥させた。
このDMSOに溶解−水中で析出−回収−乾燥のサイクルを2回繰返し、最終的に精製ポリロタキサンを得た。
また、H−NMR、GPC(ゲル浸透クロマトグラフ法)で同定し、所望のポリロタキサンであることを確認した。
(比較例2)
(1)PEGのTEMPO酸化によるPEG−カルボン酸の調製
PEG(分子量 1000)10g、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル)100mg、臭化ナトリウム1gを水100mlに溶解させた。
市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度5%)5mlを添加し、室温で10分間攪拌した。余った次亜塩素酸ナトリウムを分解させるためにエタノールを最大5mlまでの範囲で添加して、反応を終了させた。
50mlの塩化メチレンを用いた抽出を3回繰返して無機塩以外の成分を抽出した後、エバポレータ−で塩化メチレンを留去し、250mlの温エタノールに溶解させてから冷凍庫(−4℃)に一晩おいてPEG−カルボン酸のみを析出させ、回収、乾燥した。
(2)PEG−カルボン酸とα−CDを用いた包接錯体の調製
(1)で調製したPEG−カルボン酸3g及びα−CD12gをそれぞれ別個に用意した70℃の温水50mlに溶解させた後混合し、よく振り混ぜた後、冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。
クリーム状に析出した包接錯体を凍結乾燥し回収した。
(3)α−CDの減量及びアダマンタンアミンとBOP試薬反応系を用いた包接錯体の封鎖
室温でDMF10mlにBOP試薬3g、HOBt1g、アダマンタンアミン1.4g、ジイソプロピルエチルアミン1.25mlをこの順番に溶解させた。
この溶液をDMF/DMSO混合溶媒(85/15)20mlに分散させた(2)で得られた包接錯体14gに加え、速やかによく振り混ぜた。
スラリー状になった試薬を冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。一晩静置した後、DMF/メタノール=1:1混合溶液50mlを加えてよく混ぜ、遠心分離して上澄みを捨てた。
このDMF/メタノール混合溶液による洗浄を2回繰返した後、更にメタノール100mlを用いた洗浄を同様の遠心分離により2回繰返した。
得られた沈殿を真空乾燥で乾燥させた後、50mlのDMSOに溶解させ、得られた透明な溶液を700mlの水中に滴下してポリロタキサンを析出させた。析出したポリロタキサンを遠心分離で回収し、真空乾燥又は凍結乾燥させた。
このDMSOに溶解−水中で析出−回収−乾燥のサイクルを2回繰返し、最終的に精製ポリロタキサンを得た。
また、H−NMR、GPC(ゲル浸透クロマトグラフ法)で同定し、所望のポリロタキサンであることを確認した。
(比較例3)
(1)PEGのTEMPO酸化によるPEG−カルボン酸の調製
PEG(分子量 5万)10g、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル)100mg、臭化ナトリウム1gを水100mlに溶解させた。
市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度5%)5mlを添加し、室温で10分間攪拌した。余った次亜塩素酸ナトリウムを分解させるためにエタノールを最大5mlまでの範囲で添加して、反応を終了させた。
50mlの塩化メチレンを用いた抽出を3回繰返して無機塩以外の成分を抽出した後、エバポレータ−で塩化メチレンを留去し、250mlの温エタノールに溶解させてから冷凍庫(−4℃)に一晩おいてPEG−カルボン酸のみを析出させ、回収、乾燥した。
(2)PEG−カルボン酸とα−CDを用いた包接錯体の調製
(1)で調製したPEG−カルボン酸3g及びα−CD12gをそれぞれ別個に用意した70℃の温水50mlに溶解させた後混合し、よく振り混ぜた後、冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。
クリーム状に析出した包接錯体を凍結乾燥し回収した。
(3)α−CDの減量及びアダマンタンアミンとBOP試薬反応系を用いた包接錯体の封鎖
室温でDMF10mlにBOP試薬3g、HOBt1g、アダマンタンアミン1.4g、ジイソプロピルエチルアミン1.25mlをこの順番に溶解させた。
この溶液をDMF/DMSO混合溶媒(65/35)20mlに分散させた(2)で得られた包接錯体14gに加え、すみやかによく振り混ぜた。
スラリー状になった試薬を冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。一晩静置した後、DMF/メタノール=1:1混合溶液50mlを加えてよく混ぜ、遠心分離して上澄みを捨てた。このDMF/メタノール混合溶液による洗浄を2回繰返した後、更にメタノール100mlを用いた洗浄を同様の遠心分離により2回繰返した。
得られた沈殿を真空乾燥で乾燥させた後、50mlのDMSOに溶解させ、得られた透明な溶液を700mlの水中に滴下してポリロタキサンを析出させた。析出したポリロタキサンを遠心分離で回収し、真空乾燥又は凍結乾燥させた。
このDMSOに溶解−水中で析出−回収−乾燥のサイクルを2回繰返し、最終的に精製ポリロタキサンを得た。
また、H−NMR、GPC(ゲル浸透クロマトグラフ法)で同定し、所望のポリロタキサンであることを確認した。
(比較例4)
(1)PEGのTEMPO酸化によるPEG−カルボン酸の調製
PEG(分子量 5万)10g、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル)100mg、臭化ナトリウム1gを水100mlに溶解させた。
市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度5%)5mlを添加し、室温で10分間攪拌した。余った次亜塩素酸ナトリウムを分解させるためにエタノールを最大5mlまでの範囲で添加して、反応を終了させた。
50mlの塩化メチレンを用いた抽出を3回繰返して無機塩以外の成分を抽出した後、エバポレータ−で塩化メチレンを留去し、250mlの温エタノールに溶解させてから冷凍庫(−4℃)に一晩おいてPEG−カルボン酸のみを析出させ、回収、乾燥した。
(2)PEG−カルボン酸とα−CDを用いた包接錯体の調製
(1)で調製したPEG−カルボン酸3g及びα−CD12gをそれぞれ別個に用意した70℃の温水50mlに溶解させた後混合し、よく振り混ぜた後、冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。
クリーム状に析出した包接錯体を凍結乾燥し回収した。
(3)α−CDの減量及びアダマンタンアミンとBOP試薬反応系を用いた包接錯体の封鎖
室温でDMF10mlにBOP試薬3g、HOBt1g、アダマンタンアミン1.4g、ジイソプロピルエチルアミン1.25mlをこの順番に溶解させた。
この溶液をDMF/DMSO混合溶媒(85/15)20mlに分散させた(2)で得られた包接錯体14gに加え、速やかによく振り混ぜた。
スラリー状になった試薬を冷蔵庫(4℃)中で一晩静置した。一晩静置した後、DMF/メタノール=1:1混合溶液50mlを加えてよく混ぜ、遠心分離して上澄みを捨てた。
このDMF/メタノール混合溶液による洗浄を2回繰返した後、更にメタノール100mlを用いた洗浄を同様の遠心分離により2回繰返した。
得られた沈殿を真空乾燥で乾燥させた後、50mlのDMSOに溶解させ、得られた透明な溶液を700mlの水中に滴下してポリロタキサンを析出させた。析出したポリロタキサンを遠心分離で回収し、真空乾燥又は凍結乾燥させた。
このDMSOに溶解−水中で析出−回収−乾燥のサイクルを2回繰返し、最終的に精製ポリロタキサンを得た。
また、H−NMR、GPC(ゲル浸透クロマトグラフ法)で同定し、所望のポリロタキサンであることを確認した。
[性能評価]
各例のポリロタキサンの各種溶剤への溶解性を下記の条件下で調査した。得られた結果を表1に示す。
(試験条件)
50℃に加温した有機溶剤(トルエン、酢酸ブチル)に、ポリロタキサンを徐々に添加し、溶解性を確認した。
透明、且つ固形分なしであれば「○」とし、透明だが、固形物ありであれば「×」とした。
Figure 0005051491
表1から明らかなように、本発明の範囲に含まれる実施例1、2のポリロタキサンは、トルエンやエステル類などの溶剤に可溶であるが、比較例1〜4のポリロタキサンはこれら溶剤への溶解性に劣ることが分かる。
よって、実施例1のポリロタキサンは、各種有機溶剤を必要とする塗料、接着剤及び油脂などへ適用可能なものである。
状分子減量を概念的に示す模式図である。 橋ポリロタキサンを概念的に示す模式図である。
符号の説明
1 架橋ポリロタキサン
3、3’ ポリマー
5 環状分子減量ポリロタキサン
6 直鎖状分子
7 環状分子
8 封鎖基
9 架橋点

Claims (2)

  1. 環状分子と、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有するポリロタキサンにおいて、
    上記環状分子の包接量が、該直鎖状分子が環状分子を包接する最大量である最大包接量を1とすると、0.06〜0.17であり、
    上記直鎖状分子の分子量が1,000〜5,000であり、
    上記直鎖状分子がポリエチレングリコールであり、
    上記環状分子がシクロデキストリンである
    環状分子減量ポリロタキサンを製造するに当たり、
    (1)環状分子と直鎖状分子とを混合し、環状分子の開口部を直鎖状分子で串刺し状に貫通して直鎖状分子に環状分子を包接させる工程と、
    (2)包接された環状分子の数を減らし、得られた擬ポリロタキサンの両末端を封鎖基で封鎖する工程と、
    を行う環状分子減量ポリロタキサンの製造方法であって、
    上記工程(2)において包接された環状分子の数を減らすに際して、ジメチルホルムアミドとジメチルスルホキシドとを体積比でジメチルホルムアミド:ジメチルスルホキシド=75:25〜80:20の割合で混合した溶媒に溶解させることを特徴とする環状分子減量ポリロタキサンの製造方法。
  2. 上記環状分子が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンから成る群より選ばれた少なくとも1種のシクロデキストリンであることを特徴とする請求項1に記載の環状分子減量ポリロタキサンの製造方法。
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