JP5051250B2 - Atカット水晶振動素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ATカット水晶振動素子における周波数温度特性の改良に関するものである。
伝送通信機器やOA機器の処理速度の高速化、或は通信データや処理量の大容量化が進むのに伴って、それらに用いる基準周波数信号源としての水晶振動子においては、高周波化の要求が強くなっている。
従来例として同一出願人による特開平11−284484号公報には、UHF成膜上の制約及び信頼性確保の為、従来薄膜化に限界があるとされていた電極膜厚を超薄肉振動部の肉厚に対応して十分に薄くして、水晶基板と電極との界面に生じる熱歪みを低減し、良好な周波数温度特性を実現して、高性能、高信頼性の水晶振動子、及びフィルタを得る技術について開示されている。
特開平11−284484号公報
特許文献1に開示されている従来技術は、凹陥部を形成することによって超薄肉振動部を設け、一方の面に全面電極を、他方の面に部分電極を形成する極超短波振動子において、−40℃〜+85℃における共振周波数偏差が±40ppm以下となるように電極膜材料として金を用いると共に、超薄肉振動部の厚みと全面電極膜厚(水晶密度換算膜厚)との比を規定していた。
しかしながら、水晶基板と電極との界面に生じる熱歪みの影響に着目した膜材料と厚みで規定しているため、質量付加の影響をも考慮した総合的な条件設定ではなかった。
本発明は、かかる課題に鑑み、凹陥部を形成することによって振動部を設け、両面に電極を形成する振動素子において、−40℃〜+85℃における共振周波数偏差が±50ppm以下となるように、電極材料振動部の厚みに対する両面の電極の厚み(ATカット水晶材料の密度に換算した厚み)の比(以下、周波数低下量と記す)を規定したATカット水晶振動素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、ATカット水晶基板の少なくとも一方の主面の一部に凹陥部を形成することによって該凹陥部の底部に振動部を設け、該振動部の両面に電極を形成するATカット水晶振動素子の製造方法であって、前記振動部の厚みをTとし、前記振動部の両面に形成された夫々の前記電極の厚みの和をtとしたとき、前記ATカット水晶振動素子の周波数温度特性を3次近似して3次多項式を設定し、前記3次多項式の1次温度係数の周波数低下量Δ依存性を求めた後、前記1次温度係数の変化の許容限界での周波数低下量Δを求め、該周波数低下量Δに対し、水晶の密度を前記電極材料の密度で除した値と前記振動部の厚みTとを乗ずることにより、前記電極の厚みの和tを決定することを特徴とする
応力を極力少なくするためには電極の厚みを薄くする必要がある。そこで所望の温度範囲において共振周波数偏差が所望の値以下となる電極の厚みを実験的に確認する。確認された電極の厚みから1次温度係数の変化が許容できる限界を求めることができる。そして温度と周波数カーブを3次近似したときの各係数は、周波数低下量Δを変化した時に2次、3次の係数は変化しないが1次の係数は敏感に変化することが分っている。そこで本発明では、1次の係数に着目して1次温度係数の周波数低下量Δ依存性を求めた後、1次温度係数の変化が許容できる限界の周波数低下量Δを実験的に確認し、電極の厚みを決定した。ここで、周波数低下量Δは、電極材料と振動部の厚みに対する両面の電極の厚みの和(水晶密度換算)の比である。従って、所望の周波数低下量Δから電極の厚みを決定することができる。
かかる発明によれば、ATカット水晶振動素子の周波数温度特性カーブを3次近似して3次多項式を設定し、この3次多項式の1次温度係数の周波数低下量Δ依存性を求めた後、1次温度係数の変化の許容限界での周波数低下量Δを求め、この周波数低下量Δに対し、水晶の密度を電極の材料の密度で除した値と振動部の厚みTとを乗ずることにより、振動部における両面の電極の厚みの和tを決定するので、1次温度係数の変化が所望の温度範囲において共振周波数偏差が所望の値以下となるように変化し、広い温度範囲に亘って周波数変動が少ないATカット水晶振動素子を製造することができる。
請求項は、前記電極がAlを含み、前記電極材料の密度が2,690kg/m であることを特徴とする
かる発明によれば、電極の材料にアルミニュウムを含む場合にも、1次温度係数の変化が−40℃〜+85℃の温度範囲において共振周波数偏差が±50ppm以下となるように変化し、広い温度範囲に亘って周波数変動が少ないATカット水晶振動素子を製造することができる。
請求項は、前記電極がAuを含み、前記電極材料の密度が18,800kg/m であることを特徴とする
かる発明によれば、電極の材料に金を含む場合にも、1次温度係数の変化が−40℃〜+85℃の温度範囲において共振周波数偏差が±50ppm以下となるように変化し、広い温度範囲に亘って周波数変動が少ないATカット水晶振動素子を製造することができる。
請求項の発明によれば、ATカット水晶振動素子の周波数温度特性カーブを3次近似して3次多項式を設定し、3次多項式の1次温度係数の周波数低下量Δ依存性を求めた後、1次温度係数の変化の許容限界での周波数低下量Δを求め、この周波数低下量Δに対し、水晶の密度を電極の材料の密度で除した値と振動部の厚みTとを乗ずることにより、振動部における両面の電極の厚みの和tを決定するので、1次温度係数の変化が所望の温度範囲において共振周波数偏差が所望の値以下となるように変化し、広い温度範囲に亘って周波数変動が少ないATカット水晶振動素子を製造することができる。
また請求項2又は3では、電極の材料にアルミニュウム又は金を含む場合にも、1次温度係数の変化が所望の温度範囲において共振周波数偏差が所望の値以下となるように変化し、広い温度範囲に亘って周波数変動が少ないATカット水晶振動素子を製造することができる。
本発明の水晶振動素子の一形態例を示す構成図。 本発明の基板厚Tと電極寸法を同一にして、電極材料と膜厚を変化させた場合の共振周波数との関係を表す図。 本発明の各電極材料における膜厚の影響を示した図。 本発明のAu電極における下地電極材料の影響を表す図。 本発明の同一膜厚における電極材料の影響を表す図。 本発明の同一の周波数低下量(Δ)における電極材料の影響を表す図。 本発明の同一の周波数低下量においてAuとAlのヒステリシス特性を比較した図。 本発明の熱機械分析法(X、Z’)とレーザ干渉法(Y’)によるATカット水晶の線膨張計測実測特性を表す図。 図2から図8までの実験結果を考察するための図。 本発明の周波数低下量と温度係数との関係を示す図。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
以下、本実施形態では圧電振動素子としてATカットの水晶振動素子(モノリシックフィルタ)を使用した場合について説明する。図1は本発明の水晶振動素子の一形態例を示す構成図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。尚、(a)の断面図は(b)の平面図のA−Aで切断した図である。即ち、符号1は例えばカットアングルが3°00′のATカット水晶基板であって、水晶基板1の一方の面の一部をエッチング等の手法によって掘り下げて凹陥部5aを形成することによって、凹陥部5aの底部に超薄肉振動部5を形成したものである。この超薄肉振動部5を振動部として利用するために、凹陥部5aを有する面には部分的に部分電極6と、部分電極6より基板端縁に向けて延出したリード電極8及び外部接続用のパッド電極7を形成する共に、他方の平坦な面上には互いに近接配置した2つの部分電極2と、部分電極2より基板端縁に向けて延出したリード電極3及び外部接続用のパッド電極4を形成する。これらの電極2、6、リード電極3、8及びパッド電極4、7は、マスク蒸着や、フォトリソグラフィ技術等により形成したものである。
図1に示した形態例の水晶振動子の特徴は、部分電極2と6の膜材料を、夫々金(以下、Auと記す)或いはアルミニュウム(以下、Alと記す)とし、更に前記超薄肉振動部5の水晶振動子厚みTと、少なくとも両面の部分電極2と6の膜厚t2、t6との関係を、以下に詳述する様に設定することにより、共振周波数の温度特性を大幅に改善した点にある。即ち、周波数温度特性を改善するためには、水晶基板1と、電極との間に生じる熱歪みを低減する必要があるが、部分電極2、6の水晶基板1面に対する占有面積は小さく、熱歪み発生には大きな影響を及ぼさない。ここで、膜厚t2+t6=tとした場合、tに対する指標として、膜厚比=(水晶密度換算した膜厚t)/(振動部5の基板厚T)%を定義し、基準化する。なお、水晶基板1の共振周波数により基板厚T及び膜厚tの絶対値は異なってくるが、この膜厚比が同一であれば全てほぼ等価なものとみなして差し支えない。
以下、本発明の水晶振動子の各特性を測定するために、アジレント・テクノロジー製インピーダンスアナライザ(HP4291A)を使用し、測定条件として入力電流値0.5mAにして測定した結果について説明する。
図2は基板厚Tと電極寸法を同一にして、電極材料と膜厚を変化させた場合の共振周波数との関係を表す図である。この図は、横軸に各サンプルの番号、電極材料、電極の片面の膜厚(nm)、共振周波数(MHz)及び比較条件を表し、縦軸に各条件のサンプル番号1〜10を表している。この図ではサンプル番号1〜4は電極材料をニッケル下地に金(以下、Au/Niと表す)として、膜厚が例えばサンプル番号1の場合は、Auが20nm、ニッケル(以下、Niと記す)が7nmの構成(以下、20/7と表す)で、そのときの共振周波数は657.87MHzであることを表している。以下同様に、30/7のときは622.08MHz(これを基準条件とする)、60/7のときは534.80MHz、90/7のときは469.00MHzとなる。この結果から、下地の膜厚を一定にして金の膜厚を厚くすると共振周波数がそれに伴って低下しているのが解る。
次に、サンプル番号5、6の電極材料をクロム下地に金(以下、Au/Crと表す)として、膜厚が例えばサンプル番号5の場合は、Auが30nm、クロム(以下、Crと記す)が7nmの構成(以下、30/7と表す)で、そのときの共振周波数は624.31MHzであることを表している。これはサンプル番号2と同じ膜厚であるが、下地をCrに変更した場合である。以下同様に、60/7のときは536.45MHzとなり、これはサンプル番号3と同じ膜厚であるが、下地をCrに変更した場合である。この結果から、金の膜厚と下地の膜厚の比率が同じ場合、下地の材料を変更しても共振周波数が殆ど変化しないことが解る。
次に、サンプル番号7〜10の電極材料をAlとして、膜厚が例えばサンプル番号7の場合は60nmで、そのときの共振周波数は719.71MHzであることを表している。これはサンプル番号3のAuと同じ膜厚である。以下同様に、90nmのときは701.33MHzとなり、これはサンプル番号4のAuと同じ膜厚であり、170nmのときは656.63MHzとなり、これはサンプル番号1と周波数低下量(詳細は後述する)が同等であり、240nmのときは621.94MHzとなり、これはサンプル番号2と周波数低下量が同等である。この結果から、Alの場合、Auの膜厚と同じであっても共振周波数が高くなることが解る。また、電極材料がAuの場合と周波数低下量が同じであっても、Alの場合は膜厚が極端に厚くなることが解る。
図3は各電極材料における膜厚の影響を示した図である。図3(a)は電極材料をAu/Niの場合であり、縦軸に周波数偏差(ppm)を示し、横軸に温度(℃)を示す。電極材料はNi下地にAuを積層した材料を使用し、Niの膜厚を7nm一定としてAuの膜厚を20、30、60、90nmとして、温度を−40℃〜+85℃に変化させたときの周波数偏差をプロットしたものである。この図からAu/Ni=20/7(符号20)とAu/Ni=30/7(符号21)の場合が最も偏差が少ないのが解る。また、Au/Ni=60/7(符号22)の場合は、一応全温度範囲で±50ppm内に収まっているのがわかる。しかし、Au/Ni=90/7(符号23)の場合は、全温度範囲で±150ppmとなり偏差が最も大きいことが解る。
図3(b)は電極材料をAlにした場合の特性である。縦軸に周波数偏差(ppm)を示し、横軸に温度(℃)を示す。Alの膜厚を60nm(符号24)、90nm(符号25)、170nm(符号26)、240nm(符号27)として、温度を−40℃〜+85℃に変化させたときの周波数偏差をプロットしたものである。この図から膜厚が60nm(符号24)と90nm(符号25)の場合に最も偏差が少なくなることが解る。また、170nm(符号26)、240nm(符号27)の場合は、全温度範囲で±200〜350ppmとなり偏差が非常に大きくなっているのが解る。
以上の結果から、周波数偏差を例えば±50ppm以内にする場合は、電極の膜厚をAu/Niの場合で60/7以下にする必要があり、Alの場合は、90nm以下にする必要があることが解る。
図4はAu電極における下地電極材料の影響を表す図である。図4(a)はAuの膜厚が30nmで下地としてNi、Crそれぞれ7nmの場合であり、図4(b)はAuの膜厚が60nmで下地としてNi、Crそれぞれ7nmの場合を表している。それぞれ縦軸に周波数偏差(ppm)を表し、横軸は温度(℃)を表している。この図から明らかなように、図4(a)では下地がNiの場合の符号30と下地がCrの場合の符号31共に周波数偏差が±10ppm以内であるのに対して、図4(b)は下地がNiの場合の符号32と下地がCrの場合の符号33共に±70ppmの範囲で変動している。このことから、金の膜厚が厚すぎると周波数偏差が大きくなることが解る。
図5は同一膜厚における電極材料の影響を表す図である。図5(a)はAuとAlの膜厚が60nmの場合であり、図5(b)はAuとAlの膜厚が90nmの場合を表している。それぞれ縦軸に周波数偏差(ppm)を表し、横軸は温度(℃)を表している。この図から明らかなように、図5(a)ではAlの場合の符号36の周波数偏差が±20ppm以内であるのに対して、Auの場合の符号35の周波数偏差が±70ppmの範囲で変動している。このことから、同一膜厚の場合は、Alの方がAuより周波数偏差が少ないことが解る。図5(b)ではAlの場合の符号38の周波数偏差が±50ppm以内であるのに対して、Auの場合の符号37の周波数偏差が±150ppmの範囲で変動している。このことからも、同一膜厚の場合はAlの方がAuより周波数偏差が少ないことが解る。そして図5(a)、(b)から同一膜厚の場合はAlの方がAuより周波数偏差が少なく、且つ絶対値の膜厚が薄い方が周波数偏差が少ないことが解る。
図6は同一の周波数低下量(Δ)における電極材料の影響を表す図である。ここで周波数低下量(Δ)について説明する。簡単に説明すると、周波数低下量(Δ)とは電極膜材料と超薄肉振動部の厚みに対する両面電極膜厚(水晶密度換算膜厚)の比をいう。ここで図1の超薄板型構造の水晶振動子において、膜厚比とは、超薄肉部5の厚みTと、超薄肉部5の表面に形成された部分電極の膜厚t(t2+t6)を水晶密度に換算した膜厚txとの比を%表示したものである。即ち、水晶の密度は約2,650kg/m3であるのに対し、Alは2,690kg/m3、Auは18,800kg/m3と、夫々密度が異なるので、一般に水晶密度換算厚みとして水晶の密度で正規化した値が用いられる。例えば、Auの水晶密度換算厚みは、tx=(18.8/2.65)×tとなる。従って、Auを用いた場合の膜厚比は、膜厚比={(18.8/2.65)×t}/Tを%表示したものとする。また、別の言い方をすると、電極部共振周波数をfr、無電極部共振周波数をfi、水晶基板厚をHx、電極膜厚(水晶密度換算)をHeとした場合、周波数低下量Δは、Δ=(fi−fr)/fr=He/Hxとなる。
そして図6(a)は周波数低下量(Δ)が0.15の場合であり、図6(b)は周波数低下量(Δ)が0.22の場合を表している。それぞれ縦軸に周波数偏差(ppm)を表し、横軸は温度(℃)を表している。この図から明らかなように、図6(a)ではAuの場合の符号40の周波数偏差が±20ppm以内であるのに対して、Alの場合の符号41の周波数偏差が±200ppmの範囲で変動している。このことから、同一周波数低下量の場合は、Auの方がAlより周波数偏差が少ないことが解る。しかし、図6(b)ではAlの場合の符号43の周波数偏差が±20ppm以内であるのに対して、Auの場合の符号42の周波数偏差が±320ppmの範囲で変動している。このことから、同一周波数低下量の場合でも周波数低下量が大きくなるとAlの方がAuより周波数偏差が少なくなることが解る。
以上から同じAlでも周波数低下量の値によって周波数偏差が良くなったり、悪くなったりすることが解る。
図7は同一の周波数低下量においてAuとAlのヒステリシス特性を比較した図である。縦軸にヒステリシス(ppm)を表し、横軸に温度(℃)を表す。このときの条件はAu/Ni=30/7nm、Al=240nmである。この図からAuの特性は符号45のように全温度範囲に亘ってヒステリシスの変化はみられない。それに対してAlの特性は符号46のように、25℃を境に高温側ではヒステリシスは小さいが、低温側ではヒステリシスが大きくなっている。この原因として考えられることは、応力残留と解放のメカニズムが影響していると考えられるが、まだ明確には解明されていない。
図8は熱機械分析法(X、Z’)とレーザ干渉法(Y’)によるATカット水晶の線膨張計測実測特性を表す図である。この図は図7のAuとAlのヒステリシス特性の原因を推定するための一助とするために引用する。この図で符号47、48、49は水晶のX、Y、Zについて線膨張係数を測定した実測値であり、符号50、51、52、53は金属材料の線膨張係数を文献から読み取りプロットしたものである。この図から水晶の係数(符号47、48、49)は温度を変化させても大きな変動はしないことがわかる。また2つの金属Au50とNi52が水晶と近い係数を有している。よってこの2つの金属の組合わせなら歪みが少なくなりヒステリシスも小さいと推定できる。一方、Al51は水晶と係数が大きく異なるので、ヒステリシスが大きくなっているのではないかと推定できる。
図9は前記図2から図8までの実験結果を考察するための図であり、図9(a)は1次温度係数の膜厚依存性について示した図である。縦軸に1次温度係数を示し、横軸に膜厚(nm)を示す。符号55はAu/Ni、符号56はAu/Cr、符号57はAlを表している。この図から電極膜厚に対して1次温度係数が線形的に低下し、傾きは電極材料により異なっている。例えば膜厚が90nmのとき比重はAu>Alであるので、Auは−25、Alは−12となりAuの方が1次温度係数の絶対値(傾き)は大きいことが解る。即ち、同一膜厚の場合、Mass Loadingが支配的となる。また符号55と56の傾きは略同一であるので、Au電極における下地電極(膜厚同一)の影響は少ないことが解る。
図9(b)は1次温度係数の周波数低下量依存性について示した図である。縦軸に1次温度係数を示し、横軸に周波数低下量(Δ)を示す。符号58はAu/Ni、符号59はAu/Cr、符号60はAlを表している。これは図9(a)より1次温度係数の閾値を−15×10-7とした場合の膜厚は、Auは65nm以下、Alは90nm以下であり、この膜厚の下で例えば周波数低下量(Δ)が0.2のときのAuの1次温度係数は2.5×10-7であるのに対して、Alの1次温度係数は50×10-7となり極端に大きくなることが解る。これは、同一周波数低下量の場合、実膜厚が支配的となり、実膜厚が大きくなると、それに伴って熱応力が大きくなり、線膨張係数のミスマッチが助長されるものと推測される。即ち、熱応力を極力少なくするためには電極の膜厚を薄くする必要がある。そこで−40℃〜+85℃の温度範囲において共振周波数偏差が±50ppm以下となる膜厚は、図9(a)よりAuの場合60nm以下、Alの場合は90nm以下であることが実験的に確認されている。その膜厚から1次温度係数の変化が許容できる限界は、−15×10-7である。そして温度と周波数カーブを3次近似したときの各係数は、周波数低下量Δを変化した時に2次、3次の係数は変化しないが、1次の係数は敏感に変化することが分っている(図10により説明する)。そこで、1次の係数に着目して、1次温度係数の変化が許容できる限界(−15×10-7)の周波数低下量Δを実験的に確認した結果、Auは0.4以下、Alは0.08以下であることがわかった。
図10は周波数低下量と温度係数との関係を示す図である。図でα61、β62、γ63は温度−周波数カーブを3次近似したときの各係数を表している。縦軸に温度係数を表し、横軸に周波数低下量を表している。図10(a)はAuの場合であり、図10(b)はAlの場合である。この図から明らかなように、(a)、(b)ともに周波数低下量(Δ)を変化させたとき、α61が敏感に変化するものの、β62、γ63はあまり変化しない。この結果からβ62、γ63は無視しても影響がないと思われる。つまり、図9はこの結果から1次温度係数のみに着目して示した図である。
以上、本実施形態では圧電振動素子としてATカットの水晶振動素子の場合について説明しているが、他の圧電振動素子に対しても適用可能であることは言うまでもない。
1 ATカット水晶基板、2、6 部分電極、3、8 リード電極、4、7 パッド電極、5 超薄肉振動部、5a 凹陥部

Claims (3)

  1. ATカット水晶基板の少なくとも一方の主面の一部に凹陥部を形成することによって該凹陥部の底部に振動部を設け、該振動部の両面に電極を形成するATカット水晶振動素子の製造方法であって、
    前記振動部の厚みをTとし、前記振動部の両面に形成された夫々の前記電極の厚みの和をtとしたとき、
    前記ATカット水晶振動素子の周波数温度特性を3次近似して3次多項式を設定し、
    前記3次多項式の1次温度係数の周波数低下量Δ依存性を求めた後、
    前記1次温度係数の変化の許容限界での周波数低下量Δを求め、
    該周波数低下量Δに対し、水晶の密度を前記電極材料の密度で除した値と前記振動部の厚みTとを乗ずることにより、前記電極の厚みの和tを決定することを特徴とするATカット水晶振動素子の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記電極がAlを含み、前記電極材料の密度が2,690kg/m であることを特徴とするATカット水晶振動素子の製造方法。
  3. 請求項1において、
    前記電極がAuを含み、前記電極材料の密度が18,800kg/m であることを特徴とするATカット水晶振動素子の製造方法。
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