JP5045614B2 - ディーゼルパティキュレートフィルタ - Google Patents
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Description
DPFは、一般に、耐熱性に優れ、かつ、無数の細孔を有する多孔質セラミックスを素材としたハニカム構造とされ、多孔質の隔壁に存在する細孔中にPMを捕捉し、PMが堆積して細孔に目詰まりを起こして圧力損失が高くなると、バーナやヒータ等で加熱したり、機関の燃焼爆発後に少量の燃料を噴射するポスト噴射等によりDPF内に高温の燃焼排気を導入したりして、DPFを加熱し、DPF内に捕集されたPMを燃焼除去して再生できる構成とされている(例えば特許文献1、特許文献2等参照)。
本発明のように、複数の捕集セルを捕集セル群として、その周囲を包囲するように排出セルを配設すると、単位内の複数の捕集セル同士が隣接する隔壁の両側の圧力は殆ど等しいので、捕集セル間の隔壁にはPMが堆積し難くなり、専ら、捕集セルと排出セルとの間を区画する隔壁にPMが堆積することとなる。
このような状態で、PMの燃焼が起きた場合にも、PMの堆積する隔壁同士が排出セルによって隔離されているので、過剰なPMの燃焼によるDPFの損傷や触媒の劣化を避けることができる。
加えて、複数の捕集セル群によって捕集セル群を構成することによって、捕集セル群当たりの開口面積を拡大させ、圧力損失増加を抑制しつつ、捕集セル群内に存在する隔壁によって捕集セル群の熱容量を増加させることができる。
したがって、限界PM捕集量を向上させつつ、基材の熱的耐久性の向上が期待できる。
また、単位セル内に隔壁が形成されているので、該単位セルと同様の開口面積又は水力直径を有するセルを1つのセルで構成する場合に比べDPFを構成する基材のアイソスタティック強度も向上できる。
したがって、PMの急速燃焼によるDPFの損傷や触媒の劣化を防止して、より安全性、耐久性に優れたDPFが実現できる。
また、捕集セルと排出セルの大きさも同一である必要はなく、捕集セルの周囲を排出セルが包囲しつつ、捕集セルの断面積が請求項2に記載の範囲となるように、大小異なる大きさのセルを組み合わせた構成としても良い。
また、本発明の範囲を外れる場合には、セルの形状によっては、実質的にセル密度の低いPDFと同じだけのPM補修量しか確保できなくなってしまう虞もある。
また、触媒を担持すべくイットリア(Y2O3)、チタニア(TiO2)や、タングステン(W)、白金(PT)等の遷移金属等を添加しても良い。
次いで、結合剤、可塑剤、分散剤、潤滑剤、邂逅剤、界面活性剤、造孔剤等の助剤として、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、デンプン糊、ポリアルキレン誘導体、グリセリン、ゼラチン、ワックスエマルジョン、カーボン、おがくず等から適宜必要な材料を選択して、上記調合原料と混練してセラミック坏土とし、さらに、セラミック坏土を所定の流動特性となるよう含水率や粘度の調整を行う。 本実施形態においては、例えば、重量比でシリカ原料を19%、タルク原料を36%、アルミナ原料を45%の割合で混合し、これを100として、造孔剤21.6%、バインダ13.5%、水34%を加えたものを用いた。
得られたハニカム構造体の入口側と出口側との両端面において、所定のセルに封止剤を充填し、入口側が開口し出口側が閉鎖した捕集セルC1と、入口側が開口し出口側が開口した排出セルC2、C3とを設ける。
この時、捕集セルC1と排出セルC2、C3とは、隣接する複数の捕集セルC1によって構成される1単位の捕集セル群CUNTの外周が排出セルC2、C3によって完全に包囲されるように配設する。
入口側端面と出口側端面とのそれぞれに、所望のパターンで封止剤を充填し目封止栓を形成した後、乾燥後、樹脂フィルムの除去と同時に焼成を行う。この時、充填剤も同持に焼成される。コーディエライトの場合には、例えば、1400℃で焼成される。
以上により、入口側が開口し出口側が閉塞する捕集セルC1と、この周囲を完全に包囲するように配設された入口側が開口し出口側が閉塞する排出セルC2、C3とで構成されたDPF1が形成できる。
充填剤としては、ハニカム構造体を形成するセラミック原料と同質のものを主成分とし、水等の分散媒によってスラリー状にしたものを用いるのが望ましい。また、封止栓STPEN、STPEXは燃焼排気の通過を阻止すべく、隔壁よりも緻密な微構造とするのが望ましく、封止剤に造孔剤を添加する必要はない。
セル密度は、1平方インチ当たり150セルから400セル即ち、150cpiから400cpiに形成され、DPF1の断面積に対する保守セルC1の開口面積比が20%から80%の範囲で形成するが望ましい。
捕集セルC1は、多孔質セラミックスからなる隔壁WIOによって断面四角形に区画された筒状に形成されており、燃焼排気の流入する入口側は開口しており、出口側は出口封止栓STPEXによって閉塞されている。本実施形態においては隣接する2個の捕集セルC1によって1単位の捕集セル群CUNTが形成されている。
排出セルC2、C3は、多孔質セラミックスからなる隔壁WIO及び隔壁WOOによって断面四角形に区画された筒状に形成されており、燃焼排気の流入する入口側は入口封止栓STPENによって閉鎖されており、出口側は開口している。
排出セルC2、C3は、複数の捕集セルC1からなる1単位の捕集セル群CUNTの周囲を完全に包囲するように配設されている。
本実施形態においては、図1(a)に示すように、捕集セルC1は、正方形に形成され、排出セルC2は、1辺の長さが捕集セルC1の1辺の長さと等しく、他辺の長さがその半分の長さに等しい長方形に形成され、排出セルC3は、1辺の長さが捕集セルC1の半分の正方形に形成されている。
したがって、捕集セルC1と他の捕集セルC1との間に必ず排出セルC2、C3が介在するので、堆積したPMを燃焼させた時に、燃焼エネルギが他の捕集セルC1でのPM燃焼に伝播するのを抑制し、DPF1の過剰な温度上昇を招く虞がない。
また、隣接する複数の捕集セルC1のそれぞれを流れる流体の圧力は等しいので、隣接する複数の捕集セルC1間を区画する隔壁WIIを流体が透過することはほとんど無く隔壁WIIにはPMが堆積し難い。
DPFの試験片を形成し、PMを含んだ空気を該DPF試験片に一定時間導入し、PM捕集セルにPMを堆積させた後、本図(a)に示す条件にてDPFに導入される空気の温度を上昇させ、PMの燃焼が始まる600℃に達した時に導入する空気の流速を急減速に切り換える。
昇温時の条件は、空気流速を35g/s、昇温時間を約90秒、減速時の条件は、空気流量を7g/sとした。
DPF内に導入される空気流量が急減速されると、DPF内に堆積したPMが自己燃焼し、DPF内の温度が急上昇する。
本試験は、吸気スロットルの開度を閉じ側に制御して、燃焼排気の流速を急減速し、DPFのPMを燃焼除去するDPFの再生条件を模したものである。
DPF内に堆積させるPMの量を変化させた時の最高温度を測定し、最高温度がDPFにコーディエライトを用いた場合の耐久温度である110℃を超えた時を過剰燃焼と判断し、この時のPM捕集量を限界PM量とした。
隔壁の厚みが0.3mmで、セルの1辺が1.1mmの正方形に区画したセルが複数設けられたハニカム構造体を用いて、1個の捕集セルの周囲6個のセルが排出セルとなるように目封止パターンを形成したDPFを用いた時の限界PM量の試験結果を実施例1とし、同形状のハニカム構造体を用いて、捕集セルと排出セルとが交互に配設されるように目封止パターンを形成したDPFを用いた時の限界PM量の試験結果を比較例1として、本図(b)に示す。
この結果、実施例1は比較例1よりも限界PM量を向上させることができることが確認された。
捕集セルC1同士を区画する隔壁WIIの両側では捕集セルC1内を流れる燃焼排気の流速が略等速であるので、隣接する捕集セルC1間での気体の流れは小さく、隔壁WIIにPMは余り堆積せず、PMの堆積は専ら、捕集セルC1と排出セルC2とを区画する隔壁WIOの内側で行われる。このため、本図(a)から(c)のいずれの場合においても、PM燃焼時には、PM堆積面が排出セルC2によって離隔されているので、過剰なPM燃焼が抑制され、DPFの損傷を抑制することができる。
加えて、複数の捕集セルC1によって1単位の捕集セル群CUNTを構成することによって、捕集セル群CUNT当たりの開口面積を拡大させ、圧力損失増加を抑制しつつ、捕集セル群CUNT内に存在する隔壁によって単位セルの熱容量を増加させることができる。したがって、限界PM捕集量を向上させつつ、基材の熱的耐久性の向上が期待できる。また、捕集セル群CUNT内に隔壁WIIが形成されているので、捕集セル群CUNTと同等の開口面積あるいは水力直径を有するセルを1つのセルで形成する場合に比べ、DPF1を構成する基材のアイソスタティック強度も向上できる。
また、上記実施形態においては、捕集セルC1と排気セルC2とを異なる大きさに形成した例を示したが、本実施形態に示すように、捕集セルC1と排気セルC2とを同一の大きさで構成しても良い。
本実施形態のいずれの場合においても、上記実施形態と同様に、捕集セルC1aのPM捕集面間に排出セルC2aが必ず介在し、捕集セルC1aに堆積したPMの燃焼時に過剰な温度上昇が抑制される。
本実施形態においては、例えば、上記第2の実施形態と同様に断面三角形に形成したセルを多数設けたハニカム構造体の目封止パターンをDPF1eの中心部分と外周部分とで変化させた構成とし、図16に示すように、DPF1cの外周部は、4個の捕集セルC1aを捕集セル群CUNTとして、その周囲を18個の排出セルC2aによって包囲した構成とし、中心部は、2個の捕集セルC1aを捕集セル群CUNTとして、その周囲を14個の排出セルC2aによって包囲した構成としている。
本実施形態によれば、捕集セル群の周囲を排出セルで包囲することによって異常昇温を抑制する本発明の効果に加え、DPFの中心部を流れる燃焼排気の流速と外周部を流れる流速とが異なる場合において、外周部と中心部との目封止パターンを変化さえることにより、捕集セルC1aに捕集されるPM量を均一化して、さらに限界PM量を向上させることも可能となる。
本図(a)に示すように、捕集セルC1bと排出セルC2bとの間を区画する隔壁WIOを薄肉に形成し、複数の排出セルC2b同士を区画する隔壁WOOを厚肉に形成してある。このような構成とすることにより、捕集セルC1bから排出セルC2bへの燃焼排気の移動が容易となり圧力損失を抑え、内燃機関20の燃焼への影響を抑制しつつ、隣接する排出セルC2b同士を区画する隔壁WOOを厚くすることにより排出セルC2b間の拡散抵抗が高くなるので捕集セルC1b側から導入されたPM除去済みの排気が隣接する他の排出セルC2b側に逆流することなく下流側へと速やかに排出することができる。
また、このように、セルを区画する隔壁の厚みを変化させるためには、本図(b)に示すように、金型50において、捕集セルC1b同士を区画する隔壁WII及び捕集セルC1bと排出セルC2bとの間を区画する隔壁WIOとを押し出すための溝部SII及びSIOの隙間を狭くし、排出セルC2b同士を区画する隔壁WOOを押し出すための溝部SOOの隙間を広くし、さらに、溝部SII、SIOに連なる下孔HII、HIOは小径に形成し、溝部SOOに連なる下孔HOOを大径に形成すれば、溝部SII、SIO、SOOから押し出されるセラミック坏土の流速を等しくすることができる。また、下孔HIOの数を少なく、下孔HOOの数を多く形成することによって、溝部SII、SIO、SOOから押し出されるセラミック坏土の流速を調整しても良い。
内燃機関20は、高圧ポンプPによって高圧に昇圧された高圧燃料を蓄圧する各気筒200に共通のコモンレールRと、該コモンレールRに連結されて各気筒200の燃焼室にそれぞれ燃料を噴射する複数の燃料噴射弁INJを有し、内燃機関20の吸気マニホールド210は、吸気管218に連結しており、連結部に設けられる吸気スロットル214によって、吸気流量が調整されるようになっている。
内燃機関20からの排出ガスは、入口側が開口している捕集セルC1からDPF1内に入り、多孔性の隔壁WIOを通過する際にPMが捕集される。
排気と接触するDPF1内の隔壁WIOの表面に、PMの酸化を促進するための触媒を担持させることもできる。また、DPF1の上流側に酸化触媒110を設けた構成としても良い。さらに、DPF1の下流側には、図略の尿素SCR装置を設けて、DPF1によってPMを除去された排気中のNOxの除去処理を行う構成としても良い。
C1 捕集セル
CUNT 捕集セル群
C2、C3 排出セル
WIO 捕集セル−排出セル間隔壁
WOO 排出セル−排出セル間隔壁
WII 捕集セル−捕集セル間隔壁
STPEN 入口側目封止
STPEX 出口側目封止
Claims (4)
- 内燃機関の燃焼排気管内に設置されて燃焼排気中の粒子状物質を捕集すべく、多孔質セラミックスからなる隔壁によって区画した略筒状のセルを多数設けてハニカム構造となし、上記燃焼排気の流入する上記セルの入口側を開口せしめて出口側を閉塞せしめた捕集セルと、入口側を閉塞せしめて出口側を開口せしめた排出セルとを具備し、複数の上記排出セルによって上記捕集セルの周囲を完全に包囲せしめたディーゼルパティキュレートフィルタであって、
複数の上記捕集セルを隣接せしめて1単位の捕集セル群となし、複数の上記排出セルによって該捕集セル群の周囲を完全に包囲せしめたことを特徴とするディーゼルパティキュレートフィルタ。 - 上記捕集セルは、ディーゼルパティキュレートフィルタの有効断面積に対して20%以上80%以下の範囲で設けたことを特徴とする請求項1に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ。
- 上記捕集セルと上記排出セルとの間を区画する隔壁を薄肉に形成し、複数の上記排出セル同士を区画する隔壁を厚肉に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ。
- 上記捕集セル群の1単位当たりに隣接する捕集セルは7個以下としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ。
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