JP5043559B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
そこで、電解質膜にグランド電位としての参照極を設け、この参照極とアノード側電極との電位差を監視し、この電位差と所定の基準線とが大きく異なると、燃料ガスが不足していると判断して、燃料ガスの供給量を増加させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システム1の構成を示す概略図である。
燃料電池システム1は、反応ガスとしての燃料ガスと酸化剤ガスとを反応させて発電を行う燃料電池10と、この燃料電池10に燃料ガスを供給する供給装置50と、これら燃料電池10および供給装置50を制御する制御装置40と、を有する。
膜電極構造体14とセパレータ16、18との間には、シール部材19が介装される。
膜電極構造体14は、電解質膜26と、この電解質膜26を挟んで設けられたアノード側電極28およびカソード側電極30と、を備える。
電解質膜26のアノード側電極28側には、グランド電位となる参照極32が取り付けられている。この参照極32には、導線34が接続されている。
イジェクタ52は、この燃料ガス供給路61に設けられている。
流量制御弁53は、燃料ガス供給路61の燃料ガスタンク51とイジェクタ52との間に設けられ、流量制御弁53により、燃料ガスタンク51からの燃料ガスの供給量が調整される。
また、参照極32から延びる導線34は、制御装置40に接続される。これにより、参照極32の電位が制御装置40に入力される。
さらに、セパレータ18は、制御装置40に接続される。このセパレータ18は、アノード側電極28と同電位となっており、これにより、アノード側電極28の電位が制御装置40に入力される。
制御装置40は、燃料ガス供給制御手段としての燃料ガス供給量制御部41と、アノード電位検出手段としてのアノード電位検出部42と、アノード電位変化率算出手段としてのアノード電位変化率算出部43と、燃料ガス増加量算出手段としての燃料ガス増加量算出部44と、発電電流制御手段としての発電電流制御部45と、発電電流減少量算出手段としての発電電流減少量算出部46と、を備える。
燃料ガスのストイキが低い場合では、燃料電池10の発電要求に対して燃料ガスの供給量が不足し、アノード電位が高くなっている。この状態から燃料ガスのストイキが上昇すると、アノード電位が低下し、燃料ガスのストイキが高い場合では、燃料電池10の発電要求に対して十分な燃料ガスが供給されており、アノード電位が低くなっている。
図5は、アノード電位の経時変化の具体例を示す図である。
時刻t0における微小時間をΔtとすると、電位上昇度αEは、この微小時間Δtにおけるアノード電位の上昇量ΔEを、微小時間Δtで除することにより算出される。
図6に示すように、電位上昇度αEが増加するに従って、燃料ガスの増加量が増加している。
したがって、燃料ガス増加量算出部44は、電位上昇度αEが大きいほど、燃料ガスの増加量を大きくする。
S1では、アノード電位検出部42により、アノード電位を検出する。
続いて、S2では、アノード電位変化率算出部43により、検出されたアノード電位の変化率、すなわち電位上昇度を算出する。
S4の判定がYESの場合はS5に移り、この判定がNOの場合は燃料ガスを増加する必要がないので、S1に戻る。
S8では、発電電流制御部45により、この算出した減少量だけ発電電流が減少できるか否かを判定する。この判定がYESの場合には、S9に移り、発電電流制御部45により発電電流を減少させた後、S1に戻る。一方、この判定がNOの場合には、燃料ガスの不足を燃料ガスの供給量や発電電流の制御によって解消できないので、S10に移り、S10では燃料電池システム1を停止する。
時刻t0からt1までの期間、燃料電池の発電電流に対する要求出力は一定値d1である。したがって、この期間では、必要な燃料ガス量は一定値g1であるため、アノード電位は一定値e1となり、燃料ガス増加量の指令値はゼロとなる。
ここで、燃料ガス増加量の指令値は、必要な燃料ガス量に加えて、さらに供給する増加量を示す指令値である。
従来では、破線で示すように、燃料ガスが不足しても、燃料ガス増加量の指令値は変化しないため、アノード電位は急激に上昇し、e3にまで達する。その後、燃料ガス量の不足が改善されると、アノード電位は、時刻t2の要求出力d2に見合うアノード電位e2に収束する。
このように、本実施形態では、アノード電位が大きく上昇するのを事前に察知し、燃料ガスの供給量を増加させる。
(1)燃料電池10のアノード側電極28と所定の参照極32との電位差をアノード電位として検出し、このアノード電位の変化率を算出する。そして、算出したアノード電位の変化率が大きいほど、燃料ガスの供給量を大きく増加させる。
したがって、アノード電位の変化率に基づいて燃料ガスの供給量を制御したので、アノード電位に基づいて燃料ガスの供給量を制御した場合に比べて、燃料ガスの不足を速やかに予測できるから、燃料ガス供給系の応答の遅れを低減できるうえに、燃料ガスを過剰に供給するのを防止できる。その結果、燃料電池10の劣化を抑制でき、さらに、燃料ガスの利用率を向上できる。
10 燃料電池
26 電解質膜
28 アノード側電極
30 カソード側電極
32 参照極
40 制御装置
41 燃料ガス供給量制御部(燃料ガス供給制御手段)
42 アノード電位検出部(アノード電位検出手段)
43 アノード電位変化率算出部(アノード電位変化率算出手段)
44 燃料ガス増加量算出部(燃料ガス増加量算出手段)
45 発電電流制御部(発電電流制御手段)
46 発電電流減少量算出部(発電電流減少量算出手段)
Claims (2)
- 燃料電池の電解質膜の一方の面に設けられたアノード側電極に燃料ガスを供給するとともに、前記電解質膜の他方の面に設けられたカソード側電極に酸化剤ガスを供給して発電を行う燃料電池システムであって、
燃料電池の発電電流に対する要求出力に応じて燃料ガスの供給量を制御する燃料ガス供給制御手段と、
前記アノード側電極と所定の参照極との電位差をアノード電位として検出するアノード電位検出手段と、
前記検出したアノード電位の上昇率を算出するアノード電位変化率算出手段と、を備え、
前記燃料ガス供給制御手段は、前記算出したアノード電位の上昇率の値が大きいほど、前記供給量に対する燃料ガスの増加量の値を大きく増加させ、当該増加量に応じて増加した燃料ガスの供給に伴い前記上昇率の値が低下すると、前記増加量の値を低下させることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記上昇率の値に応じた前記増加量の分の燃料ガスを増加することができない場合に、前記上昇率の値に基づき発電電流を減少させる発電電流制御手段であって、前記上昇率の値が大きいほど、大きな量の発電電流を減少させることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
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