JP5041617B2 - 口内微生物による酸化―還元(Eh)レベルを制御するための組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、口用ベヒクル中に分散された、遊離で利用可能な亜鉛を含有する亜鉛化合物と、少なくとも1つの安定化されたまたは安定なEh上昇化合物とを含む口用組成物を提供する。本発明はさらに、口腔内におけるアニオン性硫黄種の形成を阻害する、および口腔のEhの低下を防止する方法に関する。口内の腐敗作用を防止または減少することによって、口臭、歯肉炎および歯根膜炎を同時に低減する方法がまた、本発明によって提供される。
発明の背景
口の硬組織および柔組織は、異なる代謝能力を有する細菌を含む微生物の集団で覆われている。これらの微生物集団内のグラム陽性細菌は、炭水化物を容易に代謝して、口腔の硬組織を攻撃する酸を生成し、歯の齲食損傷(穴)の形成を生じる。対照的に、グラム陰性細菌、特に嫌気性菌(anacrobe)は、口腔中の唾液(およびより少ない程度の他の)のペプチドおよびタンパク質において含まれる種々のアミノ酸を容易に代謝して、口臭および歯根膜炎の形成に好都合である最終産物を形成する。口内細菌によるペプチド、タンパク質、およびアミノ酸の分解のこのプロセスは、口内細菌の腐敗作用と呼ばれる。タンパク質、ペプチド、およびアミノ酸の腐敗的な分解の間に、グラム陰性嫌気性細菌によって生成される悪臭性の化合物の混合物としては、硫化水素、メチルメルカプタン、ならびにジメチル硫化物(硫黄含有アミノ酸のシステイン、シスチン、およびメチオニンから形成される);インドールおよびスカトール(トリプトファンの代謝の間に生成される);カダベリンおよびプトレッシン(リシンおよびオルニチンから生成される)ならびにブチレートおよびバレレート(他のアミノ酸の代謝から生成される)が挙げられる。口腔におけるこれらの悪臭性の化合物の生成は、一般に口臭と呼ばれる状態を生じる。
硫化水素、メチルメルカプタン、ブチレート、およびプロピオネートはまた、歯根膜炎プロセスにおいて、細胞および組織の、非炎症性の役割を変化させる、腐敗作用の最終産物である。硫化水素およびメチルメルカプタンは、グラム陰性細菌によって生成されるトキシンおよび他の大きな分子量化合物の口上皮の透過能力を促進する際、ならびに歯肉炎および歯根膜炎の特徴である炎症および組織分解を導く際、特に効果を表わす化合物である。歯肉炎は、歯根が赤くなり、膨れ、および出血する状態である。処置しないままである場合、歯肉炎は、歯根膜炎(歯根膜組織の破壊(上皮の接着損失、歯根膜および靭帯の破壊、および歯肉および歯槽骨の損失を含む)によって特徴づけられる状態)に発達し得る。深い歯根のくぼみを生じる重篤な歯根膜炎は、最終的に歯の損失を生じ得る。
以前の研究は、歯肉炎−歯根膜炎および口臭を処置するための殺菌剤の使用に主に集中してきた。本発明による知見以前の研究では、歯肉炎−歯根膜炎および口臭が、共通のプロセスの、口内細菌性の腐敗作用から生じること;また、この腐敗作用の阻害が、口腔の酸化−還元ポテンシャル(Eh)を減少する口内細菌の能力を低下させると同時に、口内環境のEhが口内腐敗作用および口疾患の生成を補助しなくなるまで、既存のEhを上昇させることによって可能となることは、認識されていなかった。
口腔における嫌気性細菌の代謝および増殖は、Ehが低下される場合、好都合である。本発明は、酸化−還元ポテンシャル(Eh)が、口内細菌性の腐敗作用において重要な調節因子であることを発見した。口腔のEhの低下は、2つの工程(酸素の涸渇、その後の電子が豊富な化合物の生成)において生じることが見出された。本発明は、口内細菌による、ヒト唾液における窒素基質の単離および代謝に対する研究から、口腔のEhの低下を担う主な化合物が、システインおよびシスチンから主に由来する非揮発性のアニオン含有硫黄であることを、発見した(表1)。これらとしては、アニオン性硫黄種、硫化物(S2-)、硫化水素(HS-)、およびメチルメルカプタン(CH3S-)が挙げられる。このようなアニオンは、口内のグラム陰性嫌気性細菌が、増殖し、口内腐敗作用に従事し、および電子が豊富な化合物を生成することを可能にする還元の生態学的環境(より低いEh)(これは、口腔のEhの長期の低下、ならびに口臭、歯肉炎、および歯根膜炎の望ましくない状態を導き、そしてこの状態を維持する)に好都合である。より低いEhは、口内細菌の腐敗作用プロセスに好都合であるが、より高いEhは阻害性である。
本発明は、同時に、(i)電子が豊富な化合物の形成を阻害し、それによって、Ehが有害なレベルに落ちることを防止し、同時に(ii)形成された任意の電子が豊富な化合物と反応し、従って電子が豊富な化合物を中和することによってEhをより安全なレベルに上昇する、化合物を提供する。本発明に従って、遊離で利用可能な亜鉛を提供し得る亜鉛化合物と、安定化されたまたは安定なEh上昇化合物とを含む口用組成物は、Ehの低下を効果的に防止し得ることが、驚くべきことに発見された。これは、口内細菌性の腐敗作用、つまり口臭および歯肉炎−歯根膜炎の両方の発生を生じかつその基になる代謝プロセスを阻害するために、きわめて重要である。
亜鉛化合物、過酸化水素、および二酸化塩素は、それぞれ、口臭、および歯肉炎-歯根膜炎の形成に関与する有害な細菌を破壊するための口用組成物における治療剤として、使用されてきた。亜鉛が抗微生物効果および抗歯垢効果を有するとして同定された以前の研究は、亜鉛が遊離で利用可能である場合の亜鉛化合物と、そうではない場合の亜鉛化合物との区別をなにもしていない(例えば、Dhabharに対する米国特許第4,289,755号を参照のこと)。亜鉛種は、口腔内の遊離で利用可能な亜鉛(亜鉛イオン)が、病原性の腐敗作用性の微生物のEh低下能力を阻害するために必要とされるので、本発明において重要な要素である。以前に記載された組成物において使用される亜鉛化合物は、亜鉛が遊離で利用可能でない場合の化合物を含む。種々のリガンドに結合および錯体化される亜鉛、ならびに低い溶解性を有し、沈殿物を形成する亜鉛種は、Eh低下酵素および腐敗作用性の微生物によって生成される産物と反応することを妨げられ、従って本発明の目的のために、あまり好ましくない。
亜鉛化合物についての溶解性は、以下の表に示されるように変化する。
データは、Handbook of Chemistry and Physics、Chemical Rubber Company、第67版、CRC Press、Boca Raton、Florida、1986-87からである。
この表から、病原性微生物を制御するために、口腔において溶解性でありおよび利用可能な亜鉛の量は、かなり変化することが明らかである。溶液中で低いレベルの亜鉛を提供する亜鉛化合物(例えば、酸化亜鉛)は、本発明に適切ではない。種々の亜鉛化合物の間のこの区別は、本発明以前には認識されていなかった。本質において、Ehが有害なレベルに落ちることを阻害するためには、亜鉛イオンが遊離で利用可能であることが重要である。
以前の研究はまた、過酸化水素および二酸化塩素を、殺菌剤として同定した。二酸化塩素は、通常、亜塩素酸イオンに由来する。過酸化水素の殺菌活性は、酸素放出、ならびに口内嫌気性細菌を殺傷し、創傷部位を洗浄し、そして近づきにくい領域(例えば、歯の間)から組織および他の残渣を除去するための、化学的および機械的機構を提供する遊離ラジカルの形成に負うものである。過酸化水素からの酸素の放出は、カタラーゼ、有機物質、金属、および金属組成物の存在下において、特に著しい。本発明において、塩素イオンの使用によってこれが阻害され、それによって過酸化物は、殺菌剤としてよりもEh上昇化合物として作用する。Douglasらに対する米国特許第5,104,644号、同第5,174,990号、および同第5,310,546号は、このような殺菌剤としての過酸化水素の使用を記載する。具体的には、Douglasによって記載される口用組成物において、過酸化水素は、組織カタラーゼ及びペルオキシダーゼの存在下で分子酸素を放出し、口嫌気性細菌に対して作用する。以前の研究は、過酸化水素を安定させないので分解が生じない。
本明細書中に記載される口用組成物は、分解産物の形成を生じる化合物としてよりも、Eh上昇化合物として作用する。本発明において、これらの種を分解して、殺菌効果を生じることは、回避される。本明細書中に記載される組成物における過酸化水素は、塩素イオン、酸性pHを用いて、および使用する直前まで過酸化水素と亜鉛イオンとを混合することを回避して、安定化される。
二酸化塩素は、細菌の付着物を消毒および制御するために、産業において広範に使用される酸ハロゲン化合物である。これはまた、味、におい、金属イオンの酸化、および他の適用における色素除去を制御するために使用される。いくつかの研究は、口内洗浄剤の適用において、二酸化塩素を抗微生物剤として使用することを記載した。例えば、Ratcliffに対する米国特許第4,696,811号は、悪臭性の化合物を破壊するための方法および組成物を記載する;DraysonおよびButcherに対する特許第UK 2290233A号は、歯を白くするための組成物を記載する。他は、二酸化塩素の酸化の活性、および抗菌性の活性が、使用する直前に二酸化塩素を形成することによって活性化される発明を含む。この方法において二酸化塩素が生成される主な理由は、二酸化塩素は、室温で不安定な気体であり(11℃の沸点)、そして可視光線および紫外線による分解に感受性であるからである。以前の研究において、二酸化塩素は、一般に、酸性化によって亜塩素酸イオンから生成された。これは、通常、pH7〜8の周辺およびそれ以上に緩衝化された亜塩素酸ナトリウムとして提供され、そしてそれ自体、安定化された二酸化塩素と呼ばれる(Ratciffに対する米国特許第4,689,215号および同第4,837,009号、およびDraysonおよびButcherに対する特許第UK 2290233A号、ならびにRichterに対する特許第WO 95/27472号)。上述の過酸化水素のように、二酸化塩素は、口内細菌を殺傷の目的のために典型的に生成される。亜塩素酸の酸性化が行われる場合、生成される二酸化塩素のレベルは、通常、その殺菌目的のために十分である。しかし、二酸化塩素が、中性またはアルカリ性のpHで、亜塩素酸ナトリウムとして安定化される場合、亜塩素酸イオンからの二酸化塩素の形成は、比較的遅いプロセスである。従って、これらの組成物において、抗細菌剤として、口腔内で利用可能である二酸化塩素は非常にわずかである。対照的に、本明細書中の組成物において、亜塩素酸イオンは、殺菌剤として使用されない。その代わりに、これらは、二酸化塩素への分解が回避される場合、有効なおよび安定なEh上昇化合物として使用される。
以前の発明において、亜塩素酸イオンの使用は、亜塩素酸イオンの不均化を可能にする電子の(除去よりはむしろ)供給、および殺菌化合物である二酸化塩素の形成(酸付加によって刺激されるプロセス)を含む。酸化−還元変化は、+3から+4への酸化状態の変化を含む。一方、本発明におけるように、亜塩素酸イオンが、Eh上昇化合物として作用する場合、この酸化状態は、+3から-1に減少する。亜塩素酸イオンの還元は、種々の中間体を含む一連の反応を経た後、塩素イオンになる。この分析から明らかなことは、亜塩素酸イオンが反応条件により酸化剤としてまたは還元剤として、作用し得ることである。このような多工程、すなわち非典型の酸化還元緩衝効果を示す化合物は少ない。しかしながら、これは、この化合物が亜鉛イオンとともに口内腐敗作用を活発にし得るEhレベルのある種の変化に反撃または抵抗することを可能にして、本発明に適することを可能にする。
二酸化塩素の供給源としてよりはむしろEh上昇化合物として、亜塩素酸ナトリウムを使用することは非常に重要である。なぜなら、上昇したレベルでの二酸化塩素は、あるアミノ酸と結合して、潜在的に変異原性である化合物を生成するからである。それゆえ、亜塩素酸ナトリウムからの二酸化塩素の形成を顕著に阻害または防止することは、望ましく好適であり、ならびに禁忌されることは、十分な細菌を殺傷して顕著な口の効果を有するために、亜塩素酸ナトリウムを利用して大量の二酸化塩素をそこから生成することである。
中性のpHおよびそれを超えるpHは、亜塩素酸イオン安定性に、および二酸化塩素形成を回避するために重要である。また、塩素イオンは、pHの減少がある場合亜塩素酸ナトリウムをさらに安定化させるのに有用である。これは、亜塩素酸塩が亜塩素酸になり、そして亜塩素酸の不均化が生じる場合に、塩素イオンが生成されるからである。
5HClO2 → 4ClO2+Cl-+H++2H2O
この反応は、塩素イオンが提供される場合、量作用によって阻害される。
亜塩素酸ナトリウムのような過酸化水素は、これがまた酸化剤または還元剤ののいずれかとして、容易に反応し得る点で、Eh上昇化合物として挙動する。二酸化塩素/亜塩素酸塩/塩素系に類似するものは、分子酸素/過酸化水素/水系であり、ここでは亜塩素酸イオンおよび過酸化水素が、酸化−還元中間体として同様に位置付られる。以前の研究において、過酸化物は、口疾患に関与する口内細菌を殺傷するための酸素および/または酸素反応性種を生成するために使用される。亜塩素酸イオンについて見出されるように、本発明において過酸化物は、以前の特許におけるように電子を与えて不均化されるのではなく、腐敗作用の過剰な電子を除去してヒドロキシイオンを生成することによって、Eh上昇化合物として作用する。
過酸化水素の不均化反応
2H2O2 → 2H2O +O2
は、通常の条件下では非常に遅いが、口腔中の細菌のうちのいくつかにおいて見出される酵素であるカタラーゼおよびペルオキシダーゼの存在下で迅速である。過酸化水素もまた、不均化に関して熱動力学的に不安定であり、および酸化-還元反応における中間体として機能し得る、亜塩素酸イオンのような種である。さらに、塩素イオンも、過酸化水素の不均化を阻害するが、カタラーゼの阻害を介して行う。
過酸化水素における酸素−酸素単結合は、公知の最も弱い共有結合のうちの1つである。これは、容易に破壊され、このことは、これが容易に電子を受容すること、その結果、ヒドロキシルイオンを生成し得ることを示す。あるいは、過酸化水素は、安定な酸素分子に変化される。以前の研究は、18O標識した過酸化水素を使用して、生成される酸素が、完全に過酸化物種に由来し、水に由来しないことを示した。このことは、過酸化物の分解は、O-O結合の破壊を含まないが、適切な酸化剤に電子を提供することを示唆する。H2O2は、Eh上昇化合物として使用される場合、分子酸素の供給源として使用されない。
Douglasによる最近の研究(特許第5,104,644号、同第5,174,990号、および同第5,310,546号)は、歯肉炎−歯根膜炎を処置するために塩化亜鉛と過酸化水素とを組合わせる口用組成物を記載する。米国特許第5,174,990号は、塩化亜鉛と過酸化水素とを含有する口内洗浄剤を記載する。これらのDouglasの特許においては、記載される処方物を使用する前に、おもに亜鉛金属の存在のために高度に引き起こされる不安定性を打ち消す必要がある。亜鉛の安定化を補助するために、亜鉛に十分に結合するリガンド(例えば、シトレートおよびラウリルスルフェート)が添加される。しかし、これらの添加は、特に、これらのリガンドが、亜鉛に対するリガンドの高い比率で存在する場合、遊離亜鉛の利用可能性を減少する。特許第5,714,990号および同第5,310,546号における口内洗浄剤は、0.005%〜0.1%の範囲の塩化亜鉛の濃度、および0.25%〜0.65%の範囲の過酸化水素の濃度を有する。亜鉛を結合するリガンドの不在下では、これらの塩化亜鉛レベルで亜鉛イオンは、0.002%と0.047%との間の濃度範囲となる。さらに、最近の研究は、そこに記載される濃度での過酸化水素は、口内細菌のカタラーゼによって分解され、およびインビボで有効でないことを示した。RyanおよびKleinberg(1995)Archs. oral Biol.、40、753−763。従って、カタラーゼによる過酸化水素の迅速な分解を補うために、より高い濃度の過酸化水素(1%以上)の使用が必要である。3.0〜3.5%を超える過酸化水素の濃度で、研究は、過酸化水素が口腔の柔組織に有害であり得ることを示した。従って、治療剤として効果的であり、同時に、口腔の柔組織もしくは硬組織を害しない、または飲み込んだ場合に有害でない、過酸化水素を含有する口組成物について、その濃度は、約1%と3%との間であることが必要である。
対照的に、本発明において発見された口用組成物は、過酸化物のカタラーゼ加水分解を阻害するのに十分な塩素イオンを含み、それによって1%よりも低い過酸化物のレベルであってでも、過酸化物がそのままであることを可能にし、および過酸化物がEh上昇化合物として作用することを可能にし、ここで過酸化物からの毒性産物の形成が回避される。
溶液中に過酸化水素を含む多くの反応は、遊離のラジカル種(例えば、HO2およびOH)の生成を生じる。これらは細菌を殺傷するために有効な薬剤であり、このような形成は過酸化水素を消毒薬として使用するため根拠となる。遷移金属イオンで触媒される過酸化水素の分解は、遊離ラジカルの形成を容易に上昇させ得る。亜鉛の不安定化の影響は、2画分のアプローチ(ここで、亜鉛化合物との組合せは、使用の直前に提供され、遊離亜鉛の最大の利用性を確実にする)を用いることによって、本発明において回避される。本明細書中に記載される組成物は、亜鉛イオンと、Eh上昇化合物として使用される過酸化物と、塩素イオンとの間の共同作用を生じる。この2画分系は、以前に記載される口用組成物よりも、より望ましい、より有効なアプローチである。
メチレンブルーは、Eh上昇化合物として使用されてきた。これは、容易に電子を受容し、およびこの方法において、口内腐敗に好都合である低いEhを生成する電子蓄積を防止することを補助する。WilsonおよびHarveyに対する米国特許第5,087,451号において、メチレンブルーは、歯根膜炎を阻害するために使用される。メチレンブルー単独の有益な効果は、本発明の組成物でのように、亜鉛イオンとの組合せて使用される場合に達成されるよりも顕著に少ない。
発明の要旨
本発明は、口用ベヒクル中に分散された、亜鉛イオンが遊離で利用可能である亜鉛化合物と、安定化されたまたは安定な、少なくとも1つのEh上昇化合物とを含む口用組成物に関する。1つの実施態様において、口用組成物は、遊離で利用可能である亜鉛イオンを含有する亜鉛化合物、過酸化水素、および塩素イオン含有化合物を含む。別の実施態様において、口用組成物は、亜鉛イオン化合物および酸ハロゲン化合物を含む。本発明のさらなる実施態様は、亜鉛イオン化合物およびメチレンブルーを含有する、口用組成物を含む。
本発明はさらに、アニオン性硫黄種の形成を阻害し、それによって口腔のEhの低下を防止する方法に関する。具体的には、この方法は、口用ベヒクルに分散された、遊離で利用可能な亜鉛化合物と、安定化されたおよび安定な、少なくとも1つのEh上昇化合物とを含む、口用組成物の治療学的有効量を、口腔へ送達する工程を包含する。
本発明のさらに別の実施態様は、口臭および歯肉炎-歯根膜炎を低減するための方法であり、この方法は、亜鉛イオン化合物と、安定化されたおよび安定な、少なくとも1つのEh上昇化合物とを含む、口用組成物の治療学的有効量を、口腔へ送達する工程を包含する。
【図面の簡単な説明】
図1は、亜鉛イオンの濃度と、口内細菌がシステインから揮発性硫黄化合物および関連の硫黄アニオンを生成し得る速度との間の関係を示す。阻害は、指数関数的であり、および、一旦亜鉛イオン濃度が約0.2%に達すると、最大に生じる。
図2は、混合された、口内細菌と、(i)唾液上清、(ii)グルコース、(iii)唾液上清およびグルコース、ならびに(iv)水コントロールとのインキュベーション中の、Ehの変化を示す。
図3は、混合された、口内細菌および唾液上清と、(i)塩化亜鉛、(ii)過酸化水素、及び(iii)塩化亜鉛イオン+過酸化水素とのインキュベーションの間の、Ehの変化を示す。唾液上清と混合された口内細菌を含む、コントロールインキュベーションも示される。過酸化水素はそれ自体、インキュベーションの間の細菌カタラーゼによる過酸化水素の分解に起因して、Ehを低下するその能力をいくらか減じる。
図4は、塩化亜鉛(0.08%)、過酸化水素(1%)、およびNaCl(2.9%)を含有する口内洗浄剤ですすいだ後4時間までの間に間隔をおいて採取したサンプルにおいて生じた、平均Eh、におい指標、揮発性硫黄化合物(VSC)レベル、およびインドール/スカトールのレベルを示す。VSCレベルはHalimeterと呼ばれる装置で測定される。
図5は、6mM塩化亜鉛(0.08%)を含有する口内洗浄の前または後における、システインすすぎ後のインビボでの揮発性硫黄化合物の濃度及びEh(VSCおよびEh応答)を示す。
図6は、6mM塩化亜鉛(0.08%)、過酸化水素1%、および500mM塩化ナトリウム(2.9%)を含有する口内洗浄の前または後における、システインすすぎ後のインビボでの揮発性硫黄化合物の濃度およびEh(VSCおよびEh応答)を示す。
図7は、6mM塩化亜鉛(0.08%)及び0.5%亜塩素酸ナトリウムを含有する口内洗浄の前または後における、システインすすぎ後のインビボでの揮発性硫黄化合物の濃度およびEh(VSCおよびEh応答)を示す。
図8は、0.1%亜塩素酸ナトリウムを含有する口内洗浄の前または後における、システインすすぎ後のインビボでの揮発性硫黄化合物濃度(VSCおよびEh応答)を示す。
図9は、0.1%亜塩素酸ナトリウムおよび6mM塩化亜鉛(0.08%)を含有する、口内洗浄の前または後における、システインすすぎ後のインビボでの揮発性硫黄化合物濃度(VSCおよびEh応答)を示す。
発明の詳細な説明
本発明の組成物における本質的な成分およびそれらの関連する割合を、以下に記載する。本明細書中に言及される、全ての特許、刊行物、および試験方法は、参照により援用される。
本発明は、口用ベヒクルに分散された、高い濃度の遊離で利用可能な亜鉛が提供される亜鉛イオン化合物と、少なくとも1つのEh上昇化合物とを含有する口用組成物に関する。本発明によって規定されるような亜鉛イオン化合物は、口腔Ehの低下を阻害し得る、遊離で利用可能な亜鉛イオンを含有する化合物である。この点に関して重要なことは、口内細菌による唾液からのシステインまたはシスチン、粘膜組織(特に舌)、および食物の分解を阻害することである。遊離で利用可能な亜鉛イオンは、結合されていないイオンである。本発明の口用組成物に存在する亜鉛化合物としては、例えば、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、硫酸亜鉛、および硝酸亜鉛が挙げられる。本発明の1つの実施態様において、亜鉛化合物は、塩化亜鉛である。口用組成物における亜鉛イオンの濃度は、約0.02%〜約0.2%の範囲とすることができる。好ましい実施態様において、亜鉛イオンの濃度は、約0.04%〜約0.12%の範囲である。
本明細書中で規定されるように、安定化されたEh上昇化合物は、口腔のEhを、直接的にまたは間接的に上昇し得る化合物である。Eh上昇化合物の例としては、過酸化水素、酸ハロゲン種(例えば、亜塩素酸ナトリウム)、および生物学的に適合性の酸化−還元(酸化還元)緩衝剤(例えば、メチレンブルー)が挙げられる。Eh上昇化合物のさらなる例としては、一般の発酵可能な糖(例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース、マルトース、ラクトース、およびスクロース)が挙げられる。酸素の存在下、口内細菌、特に、口内連鎖球菌によって代謝される場合のこれらの化合物は、特に、過酸化水素を生成する。
本発明の口内化合物におけるEh上昇化合物の濃度は、組成物の約0.1重量%〜約3.0重量%の範囲とすることができる。好ましい実施態様において、Eh上昇化合物の濃度は、約0.1%〜約1.0%の範囲である。Eh上昇化合物が、過酸化水素または発酵可能な糖である場合、塩素イオンを含有する化合物は、口腔内でカタラーゼが過酸化水素を分解することを阻害するのに十分な量、口用組成物に添加される。塩素イオン含有化合物は、口腔におけるカタラーゼ活性を阻害し得る化合物である。適切な塩素イオン含有化合物としては、アルカリ金属の塩素塩およびアルカリ土類金属の塩素塩(例えば、NaClおよびCaCl2)が挙げられる。一般に、口用組成物における塩素イオンを含有する化合物の濃度は、組成物の約0.5重量%〜約2.5重量%の範囲である。いくつかの口内細菌は、発酵可能な糖の存在下で過酸化水素を生成するので、塩素イオンはまた、これをより効果的にするために添加される。
本発明の1つの実施態様において、亜鉛化合物は、塩化亜鉛であり、Eh上昇化合物は、過酸化水素であり、および塩素イオン含有化合物は塩化ナトリウムである。本発明の別の好ましい実施態様において、口用組成物は、塩化亜鉛、発酵可能な糖、および塩化ナトリウムを含有する。本発明のさらなる実施態様において、口用組成物は、塩化ナトリウムを伴ってまたは伴わずに、塩化亜鉛、および酸ハロゲン種の亜塩素酸ナトリウムを含有する。本発明のさらなる実施態様は、塩化ナトリウムを伴うまたは伴わない、塩化亜鉛およびメチレンブルーを含有する口用組成物からなる。
本発明者らは、本発明の口用組成物のpHは、使用される亜鉛化合物とEh上昇化合物との組合わせに特異的であることを発見した。Eh上昇化合物が、過酸化水素である場合、口用組成物の好ましいpHは、一般に、約3.0〜約6.0の範囲である。1つの実施態様においてpHは、約3.5〜約4.5の範囲である。酸性pHは、2つの望ましい効果を有する。第1に、pHが約6.0より上で、亜鉛イオンは、溶液中のヒドロキシルイオンと結合して、溶解性に乏しい水酸化亜鉛を形成し、それによって亜鉛イオンを利用不能にするので、酸性pHは、亜鉛イオンの利用性を確実にする。第2に、酸性pHは、硫黄アニオンを酸性形態に変換し、より高いEhを生じる。硫化水素の場合、硫化水素は揮発性であるので、その形成は、Ehの低下を特に補助する硫黄アニオンによって運搬される電子を取り除く、効果的な手段として作用する。第3に過酸化水素のカタラーゼ分解は、酸性pHで阻害される。酸性pHおよび塩素イオンの存在は、組成物における過酸化水素が、保存で分解されないことを確実にし、従って過酸化水素を有効なままに保つ。
他方、Eh上昇化合物が酸塩化物の亜塩素酸ナトリウムである場合、約3.0と約6.0との間のpHは、保存の間の亜塩素酸ナトリウムの安定性に適切ではない。酸性pHで不安定、およびあまり望ましくない二酸化塩素が生成される。本発明の目的について使用するために、保存の間の亜塩素酸ナトリウムのpHは、これが最も安定である約7.0と約8.5との間であることを必要とする。pH6.0以上での亜鉛イオンの不安定性、および約pH6.0以下での亜塩素酸の不安定性は、これらを、使用できるようにするまで、2区画系に別々に保つことを必要とする。混合物を使用する直前に互いに接触させる際の好ましいpHは、約5.5と約6.0との間である。塩化ナトリウムおよび/または塩化亜鉛の一部としての塩素イオンの添加は、共同作用的な活性とともに、安定性を提供する。本明細書中に記載される口用組成物のpHは、酸(例えば、塩酸および安息香酸)および塩基(例えば、水酸化ナトリウム)で制御できる。
亜鉛-過酸化物-塩素イオン組成物、亜鉛-酸ハロゲン組成物、および亜鉛-メチレンブルー組成物に加えて、本発明に従って記載される口用組成物は、特定の口用組成物として、任意の従来の成分を含み得る。例えば、液体口内洗浄剤は、溶媒(蒸留水または脱イオン水、およびエタノール);甘味剤(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、サッカリン、およびアスパルテーム);ならびに香味剤(例えば、ペパーミントオイルおよびスペアミントオイル)を含み得る。(米国特許第4,226,851号;同第4,209,754号;同第4,289,755号;および同第5,104,644号を参照のこと)。溶解性が乏しい水酸化亜鉛の形成から生じる、約6.0以上での亜鉛イオンの不安定性、および多くのEh上昇化合物(例えば、亜塩素酸ナトリウムおよび過酸化水素)の不安定性、に関連して処方が困難であるので、亜鉛イオン化合物とEh上昇化合物との2区画系は、それぞれの区画にあるが使用する直前に混合することができるものが好ましい。塩化亜鉛および亜塩素酸ナトリウムについての2画分の組成物の例は、表2に示される。
歯磨き剤は、例えば、従来の研磨剤(例えば、20〜60重量%の標準的な量での、カルシウムピロリン酸、水酸化アルミニウム、樹脂、不溶性のアルカリ金属メタリン酸、および二酸化ケイ素);結合剤(0.5〜5.0重量%の標準的な量での、ヒドロキシエチルセルロース、キサンチンガム、およびカルボキシメチルセルロースナトリウム);発泡剤(0.5〜3.0重量%の標準的な量での、ラウリル硫酸ナトリウム、ココナッツモノグリセリドスルホン酸ナトリウム、およびナトリウム-N-メチル-N-パルミトイルタウリド(Tauride);香味剤;甘味剤;防腐剤、および特定の処方物に必要とされる任意の他の成分を含むことができる。(米国特許第5,372,802号を参照のこと)。2画分送達系が好ましい。錠剤および粉末剤は、例えば、ベヒクル(例えば、ラクトースまたはマンニトール);結合剤(例えば、コーンスターチまたはカルボキシメチルセルロース;および崩壊剤を、2画分送達系の1つ以上において含むことができる。
本発明はまた、口用ベヒクル中に分散された、亜鉛イオン化合物と少なくとも1つのEh上昇化合物とを含有する口用組成物の治療学的有効量を、口腔に送達することによって、口腔内における硫黄含有アニオンの形成を阻害し、かつ口腔のEhの低下を防止する方法に関する。本発明によって規定されるように、硫黄含有アニオンとしては、例えば、硫化物(S2-)、硫化水素(HS-)およびメチルメルカプタンアニオン(CH3S-)が挙げられる。口用組成物の治療学的有効量は、硫黄含有アニオンの形成を阻害するのに、および口腔のEhの低下を防止するのに十分な量である。例えば、歯磨き剤または口内洗浄剤における口用組成物の治療学的有効量は、組成物の約0.5重量%〜約5重量%の範囲、好ましくは2重量%〜3重量%の範囲とすることができる。
許容されうる口用ベヒクルとしては、例えば、任意の従来の口送達系(歯科医療製品、食品、およびチューイングガム等)が挙げられる。歯科医療製品の例としては、例えば、歯磨き剤、局所用溶液またはペースト、液体、粉末、ゲル、錠剤の形態の口内洗浄剤、およびデンタルフロスが挙げられる。本明細書中に記載される口用組成物を含む食品の例としては、例えば、トローチ剤および糖菓剤が挙げられる。
本発明はさらに、口用ベヒクル中に分散された、亜鉛イオン化合物と少なくとも1つのEh上昇化合物とを含有する口用組成物の治療学的有効量を、口腔に送達することによって、口臭、歯肉炎、および歯根膜炎を低減する方法に関する。本明細書によって規定されるように、口用組成物の治療学的有効量は、口腔のEhを正常なレベルに上昇するのに、および口臭、歯肉炎、および歯根膜炎を防止または低減するのに十分な量である。例えば、口用組成物の治療学的有効量は、悪臭性の化合物(例えば、硫化水素)の形成、および歯肉炎および歯根膜炎を引き起こし得る有害なグラム陰性嫌気性細菌の増殖を、低減または防止するのに十分な量である。歯磨き剤または口内洗浄剤における口用組成物の治療学的有効量は、約0.5重量%〜約5重量%の範囲、好ましくは2重量%〜3重量%の範囲とすることができる。
本発明はさらに、パッケージング材料とこのパッケージング材料内に含まれる本明細書中に記載される口用組成物とを含有する製品を提供する。ここで口用組成物は、Ehの減少、口内腐敗作用、および口臭、歯肉炎および歯根膜炎の発生を防止および/または低減する上で、効果的であり、ならびにここで、このパッケージング材料は、Ehを上昇する上で、および口内腐敗作用、口臭、歯肉炎、および歯根膜炎を低減する上で、この口用組成物が効果的であることを示す標識を含む。口用組成物を含有するために使用されるパッケージング材料は、ガラス、プラスチック、金属、または任意の他の適切な不活性物質を含むことができる。例えば、本発明の口用組成物を含有する歯磨き剤は、典型的にはアルミニウム製、裏打ちされた鉛もしくはプラスチック製の折りたたみ可能なチューブ、若しくは内容物を定量分測り出すための圧搾器、ポンプ若しくは圧力式のディスペンサーに、または裂くことができる袋に入れることができる。
本発明をさらに説明するために、以下の実施例に記載される実験が行われた。本発明は、本明細書中に記載される特定の実施例または詳述に限定されないことが理解されるべきである。実施例に記載される実験から得られた結果は、添付の表および図面において示される。
実施例1
本実施例は、Kleinberg(1967および1970)Archs. oral Biol.、12:1457-1473;Advaces. oral Biol.(第4巻)New York、NY Academic Press 49-50頁によって開発された唾液沈殿物系モデルにおいて、唾液上清がEhを低下する能力、およびグルコースがEh上昇化合物として作用してEhを上昇する能力を実証する(図2参照)。このモデルは、全唾液から、遠心分離によって得られた唾液沈殿物において回収された、混合された口内細菌を利用する。多くの実験は、この系が代謝的に歯の歯垢のように挙動することを示している(Singerら(1983)Archs. oral Biol. 28:29-35;WijeyeweeraおよびKleinberg(1989aおよびb)Archs. oral Biol. 34:43-64;SalakoおよびKleinberg(1992)Archs. oral Biol. 37:821-829;RyanおよびKleinberg(1995)Archs. oral Biol. 40:743-752)。このモデルは、当該分野において、口腔の微生物代謝および関連の生化学的プロセスを研究するための有効な代用として、認識されている。唾液のペプチドおよびタンパク質から利用可能な、異なるアミノ酸が、唾液沈殿物系においてEhを低下する能力を表1に示す。
アッセイのために唾液沈殿物および唾液上清を回収するために、パラフィンワックスを噛むことによって刺激した唾液を、砕いた氷中で冷却した試験チューブへ、吐き出した。ドナーは、回収前の24時間の間、彼らの歯を磨かなかった。ドナーはまた、最小のレベルの内因性の炭水化物を含む、刺激された全唾液を提供するために、少なくとも12時間は絶食するように指示された。(KleinbergおよびJenkins(1964)Archs. oral Biol.、9:493-516)。回収後、唾液を、1740×gで15分間、遠心分離し、続いてピペットにより上清を除去し、そしてアッセイを行うまで氷上においた。次いで、沈殿物を氷冷した蒸留水で3回洗浄して、残余の唾液上清を除去した。洗浄した唾液沈殿物を、アッセイを行うまで、砕いた氷中で冷却した。サンプルをインキュベートしてアッセイを行う前に、洗浄した唾液沈殿物を蒸留水に、50%(v/v)の最終濃度に再懸濁した。
種々のアミノ酸および唾液上清が、Ehの低下を生じる能力をアッセイするために、以下を含むインキュベーションチューブを調製した:16.7%(v/v)唾液沈殿物、60mMリン酸緩衝液、および33.3(v/v)唾液上清または3mMアミノ酸のいずれか。コントロールチューブは、沈殿および水を含んだ。全てのインキュベーション混合物の調製は、37℃で24時間のインキュベーションのためにそれらを水浴に移すまで、砕いた氷中で冷却された試験チューブを用いて行った。測定を、以下の間隔で行った:0および30分、ならびに1、2、3、8、および24時間。
酸化−還元ポテンシャル(Eh)を、ミリボルトメーターとして使用されるpHメーターに連結されたカロメル参照電極に導かれたプラチナ電極および塩化カリウム塩架橋を使用して、各インキュベーション混合物において測定した。全てのEh測定は、この電位差測定系でなされた読み取り値に242ミリボルトの値を付加することによって、標準の水素電極に関連づけた。各アミノ酸で達成された最も低いEhを表1に示す。唾液上清および水で達成された、対応する最も低いEhレベルを、表の底部に示す。上清でのEhは、最も低いEhになり、そしてアミノ酸のシスチンによってのみ適合された。試験した種々のアミノ酸のうち、硫黄含有アミノ酸−シスチン、システイン、およびメチオニン(群C)は、最も低いEhを示し、;アルギニン、グルタミン酸、オルニチン、およびチロシン(群B)は、次に最も低く;ならびに残り(群A)は、最も高いEhのレベルを示した。唾液上清の分画化実験は、唾液上清のEh低下を主に担う構成要素として、シスチンを有する小ペプチドを同定した。
実施例II
実施例Iと同様のタイプのインビボ実験を行い、(i)塩化亜鉛、(ii)過酸化水素、および(iii)塩化亜鉛および過酸化水素が、口腔のEhの低下を防止する能力をアッセイした。以下を含むインキュベーションチューブを調製した;16.7%沈殿物、60mMリン酸緩衝液、および(i)濃度6.0mMの塩化亜鉛、(ii)濃度0.5%の過酸化水素、または(iii)濃度6.0mM(0.08%)の塩化亜鉛および濃度0.5%の過酸化水素。唾液沈殿物および唾液上清のみを含有するチューブを調製した(水コントロール)。図2は、37℃で24時間にわたるインキュベーションの間の、混合物のEhを示す。図3に示すように、塩化亜鉛および過酸化水素単独、またはその組み合わせは、唾液上清+唾液沈殿物コントロールに比べて、インキュベーション混合物のEhを顕著に上昇させた。沈殿物および上清のみを含むコントロールのインキュベーション混合物は、迅速なおよび広範なEhの低下を示した。塩化亜鉛単独又は過酸化水素単独を用いたインキュベーション混合物は、Ehのいくらかの減少を示した。過酸化水素単独は、塩化亜鉛とは異なり、カタラーゼによる分解を阻害する塩素が存在しなかったので、そのEh減少能力のいくらかを前進的に失った。塩化亜鉛および過酸化水素を、インキュベーションにおいて合わせた場合、Ehのわずかな減少のみが生じた。この実験の結果は、塩化亜鉛および過酸化水素を含む組成物が、Ehの減少を低減し、それによって口臭、歯肉炎、および歯根膜炎の発生を助ける口内腐敗作用を低減する能力を実証した。
実施例 III
本実施例は、本発明の亜鉛イオン-過酸化物-塩素イオン組成物が、口内細菌のEh低下活性を、および悪臭を生成するそれらの能力を、阻止または低減する能力を示す。実施例IIにおいて示したように、過酸化水素は、唾液沈殿物系のミクロフローラを構成する混合された細菌によるにおいの生成に対して、阻害効果を有し得る。しかし、この系においてまたは本来の歯-歯肉のまたは舌の歯垢において、過酸化物を維持することは困難である。なぜなら、それのミクロフローラは、例外的に高いカタラーゼ活性およびペルオキシダーゼ活性を有する細菌を含むからである。(RyanおよびKleinberg(1995)Archs. oral Biol. 40:743-752)。その結果として、過酸化物を口内で効果的にするために、このカタラーゼ活性を阻害することが必要である。そうでなければ、1%を十分に超える過酸化物のレベルが、口臭を低減するために必要であり、およびこの濃度は、口の柔組織に対して有害であり得る。現在、カタラーゼの活性に阻害性であると報告されている薬剤は、塩素イオンである。
このアッセイは、Ehおよび口内細菌のにおい生成活性に対する、ZnCl2、H2O2、およびNaClの組合せでのすすぎの効果を試験した。口内洗浄剤は、6mM ZnCl2(0.08%)、500mM NaCl(2.9%)および1%H2O2からなった。
口内洗浄剤を、口内細菌のEh低下活性および口臭形成活性に対するその効果について試験した。Halimeter(Model RH-17A Interscan Portable Analyser)を使用し、VSCを測定して、およびKovacの方法を使用し、インドール/スカトールの形成を測定して、口臭の形成を感覚反応検査により評価した。Gadebusch H.H.およびGabriel S.(1956)「インドールの検出のための、改変された安定なKovac試薬」Amer. J. Clin. Path. 26.1373-1375. 感覚反応検査による測定を、訓練した個体に、生成されたにおいを嗅がせ、そしてにおいを0〜4のスケールに評価させることによって行った。(ゼロは、悪臭なしを示し、および4は、強力な悪臭を示す)。Kovac法において、Kovac試薬(アミルアルコールに溶解され、そしてHClで酸性化された、P-ジメチルアミドベンズアルデヒド)を、各アッセイサンプルに添加し、そして青みをおびた/赤色を、分光光度計において567nmにて測定した。
実験を、最近12時間、絶食し、および口を衛生にしなかった被験者に対して行った。試験を、およそ午前9時と午前10との間で開始した。ベースラインのサンプルについて、被験者は、口から唾液を穏やかに吐き出して一掃し、そして2分間そのままにして新鮮な唾液を集めた。次いで、この唾液を、砕いた氷中で冷却した試験チューブに吐き出した。回収された唾液が750ml未満である場合、さらなる2分間を回収のために使用した。ベースラインの回収後、被験者は、5mlの試験溶液で20秒間口をすすぎ、そして唾液サンプルを上述のように回収した。再度の回収は、2分間であった。唾液サンプルをまた、すすいだ後4時間まで、何回かにわたり回収した。750mlの各唾液サンプルを、迅速に37℃の水浴中でインキュベートし、そして各サンプルにおけるEh、におい指標、および揮発性硫黄化合物(VSC)を、0、15、および30分で、ならびに1、2.3、4、8、および24時間で測定した;これらの値を平均し、各サンプルにおける各パラメーターのアッセイの平均値を得た。被験者を、3つの異なる日で試験した。1番目の日は、洗浄せず、2日目は、水洗浄を伴い、および3日目は、亜鉛−過酸化物−塩素イオン洗浄を伴った。
図4は、亜鉛−過酸化水素−塩素イオン洗浄後の結果を示す。この図において示されるように、本発明の亜鉛−過酸化水素−塩素イオン組成物は、よりポジティブなEhレベルに好都合であり、およびにおいに対するその効果は顕著であった。感覚的におよびインドール/スケルトン形成によって測定されたにおいの生成は、ほとんど全体的に阻止され、そしてVSCの生成は、顕著に減少された。水をすすぎ溶液とした場合、またはすすぎを行わなかった場合、ベースライン(BL)からの変化は観察されなかった。本発明の口用組成物は、洗浄の4時間後であっても、Ehに増強的に影響し、においのパラメーターを抑制した。インドール/スカトール形成のみが、4時間後に戻りはじめた。これらの結果は、本明細書中に記載される口用組成物が、口内細菌が口腔のEhを減少する能力を阻害することによって、口臭を低減する能力を実証した。
実施例 IV
システインのすすぎでの連続的な攻撃後、塩化亜鉛洗浄溶液が、インビボで揮発性硫黄化合物(VSC)の形成を低減または阻害する能力を、本実施例において研究した。洗浄溶液は、6mM塩化亜鉛(0.08%)からなった。実験を、少なくとも12時間、絶食し、および口を衛生にしなかった被験者に対して行った。被験者は、5mlの6mMシステイン溶液で30秒間、口をすすぎ、口内細菌による実質的なVSCの生成を刺激した。この試験は、歯の歯垢細菌の糖分解活性を測定するための攻撃基質としてのグルコースの使用(Stephan, R.M. 1944. J. dent. Res. 23, 257)または糖尿病活性をアッセイする上で、攻撃としての固定された量のグルコースの摂取と類似している。洗浄の前後に、Halimeter装置を使用して、生成された揮発性硫黄化合物(VSC)を測定した。同時に、プラチナ電極を、舌の後背面、有郭乳頭のすぐ前におき、Ehを測定した。20分後、被験者は、5mlの塩化亜鉛溶液で30秒間、口をすすいだ。さらに、被験者の口息のVSCおよびEhを測定した。次いで、被験者を、6mMシステイン溶液で、40、60、140、320、および380分で、連続的にすすぎ、そして被験者の口腔のVSCおよびEhを、Halimeterおよびプラチナ電極を用いて、各時間で再測定した(図5を参照)。図5に示すように、塩化亜鉛洗浄は、口内細菌が、システインのすすぎに応答してVSCを生成する能力を低減し、そしてその後約5時間、システインのすすぎに応答するVSCの生成を阻止した。同図はまた、システイン攻撃後、VSC応答と一致して生じるEh応答を示す。Ehは、塩化亜鉛溶液で洗浄する間、少々上昇した。唾液によるシステインのクリアランス、および口内細菌によるシステインの迅速な利用性は、各システイン攻撃エピソードの間、システインの除去、およびVSC及びの、それぞれのベースラインへの戻りを促進する。このインビボアッセイによって実証されるように、塩化亜鉛は、口内細菌が、揮発性硫黄化合物を生成する能力を低減し得る化合物である。これは、口内の腐敗作用活性の減少に寄与し、さらには口臭生成および歯肉炎-歯根膜炎の低減に寄与する。
実施例 V
システインのすすぎによる連続的な攻撃後、亜鉛−過酸化水素−塩組成物が、インビボでVSCの形成を低減または阻害する能力を、本実施例において、実施例IVと同じ方法で研究した。口内洗浄剤は、6mM塩化亜鉛(0.08%)、1%過酸化水素、および500mM塩化ナトリウム(2.9%)からなった。上述のように、本発明の5mlの亜鉛/過酸化物/塩素イオン組成物を、洗浄剤として30秒間、適用した。VSCおよびEhの測定をまた、上述のように行い、そして結果を図6に示す。本発明の亜鉛−過酸化物−塩素イオン洗浄剤は、過酸化物および塩素イオンを伴わないで、塩化亜鉛を試験した実施例IVにおけるよりも、VSC生成のより優れた阻害を、より長い時間示した。塩化亜鉛−酸化物−塩化ナトリウム組成物を用いた適用後に、Ehは、実施例IVにおける塩化亜鉛単独での適用よりも強力におよびより高く上昇し、そしてその後のEh応答は、最初のうちは阻害され、そしてベースライン応答への戻りは遅延された。本実施例は、本発明の口用組成物がインビボで導入された場合、システインからのVSC生成、およびEhを低下するその能力を顕著に阻害することができ、且つEhを上昇させる能力を有することを示した。
実施例 VI
システインのすすぎでの連続的な攻撃後、亜鉛−塩素イオン−亜塩素酸ナトリウム組成物が、インビボでVSCの形成を低減または阻害する能力を、本実施例において、実施例IVおよびVと同じ方法で研究した。口内洗浄剤は、6mM塩化亜鉛(0.08%)および0.5%亜塩素酸ナトリウムからなった。上述のように、本発明の5mlの亜鉛/過酸化物/塩素イオン組成物を、洗浄剤として30秒間、適用した。VSCおよびEhの測定をまた、上述のように行い、そして結果を図7に示す。本発明の亜鉛−塩素−亜塩素酸ナトリウム洗浄剤は、実施例Vと同様に、亜塩素酸ナトリウムを伴わないで塩化亜鉛を試験した実施例IVにおけるよりも、VSC生成のより優れた阻害を、より長い時間示した。塩化亜鉛−亜塩素酸ナトリウム組成物を用いた適用後に、Ehは、実施例IVにおける塩化亜鉛単独での適用よりも強力におよびより高く上昇し;その後のEh応答は、最初のうちは阻害され、そしてベースライン応答への戻りは、遅延された。本実施例は、本発明の口用組成物が、口腔内に導入された際、システインからのVSC生成、およびEhを低下するその能力を顕著に阻害することができ、且つEhを上昇させる能力を有することを示した。
実施例VII
上述のように、システインのすすぎでの連続的な攻撃後、0.1%亜塩素酸ナトリウム洗浄溶液(1つは、6mM塩化亜鉛(0.08%)を伴い、1つはこれを伴わない)が、インビボでVSCの形成を低減または阻害する能力について、本実施例において比較した。口内洗浄は、0.1%亜塩素酸ナトリウム溶液、または0.08%で塩化亜鉛が添加された、0.1%亜塩素酸ナトリウム溶液のいずれかを、5ml、30分間適用することからなった。VSCおよびEhの測定を、上述のように行い、そして結果を図8および9に示す。亜塩素酸ナトリウムは、VSC生成の阻害を何ら示さなかった(図8)のに対し、塩化亜鉛−亜塩素酸ナトリウムの組合せは、阻害性であり、実施例IVにおける塩化亜鉛単独について観察される(図5)よりも高かった。本実施例は、塩化亜鉛と亜塩素酸ナトリウムとの組合せが、それらの個々の効果の単純な加算から予測されるよりも優れた効果を生じ得ることを示す。
Claims (21)
- 塩化亜鉛、硫酸亜鉛、及び硝酸亜鉛からなる群より選択される、遊離で利用可能な亜鉛イオンを与える亜鉛化合物を含む第1の区画と、過酸化水素、メチレンブルー、及び亜塩素酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1つの酸化ポテンシャル上昇化合物を含む第2の区画とを含む口用組成物であって、
前記亜鉛化合物及び前記少なくとも1つの酸化ポテンシャル上昇化合物が、使用時まで別々であり、且つ組成物中の前記遊離で利用可能な亜鉛イオンの濃度が、質量比で0.02〜0.2%である、薬剤として使用するための口用組成物。 - 前記亜鉛化合物及び前記少なくとも1つの酸化ポテンシャル上昇化合物が、口用ベヒクルに各々分散されている請求項1記載の組成物。
- 組成物中の前記遊離で利用可能な亜鉛イオンの濃度が、質量比で0.04〜0.12%である、請求項1又は2記載の組成物。
- 組成物中の前記少なくとも1つの酸化ポテンシャル上昇化合物の濃度が、質量比で0.1〜3.0%である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- 前記亜鉛化合物が、塩化亜鉛である、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- 前記少なくとも1つの酸化ポテンシャル上昇化合物が、過酸化水素である請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
- 前記少なくとも1つの酸化ポテンシャル上昇化合物が、亜塩素酸ナトリウムである請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
- 前記亜鉛化合物が塩化亜鉛であり、前記少なくとも1つの酸化ポテンシャル上昇化合物が過酸化水素であり、更に塩化物イオン化合物を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- 前記亜鉛化合物が塩化亜鉛であり、前記少なくとも1つの酸化ポテンシャル上昇化合物が亜塩素酸ナトリウムであり、口用組成物が更に塩化物イオン化合物を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- 前記塩化物イオン化合物が、塩化ナトリウムである請求項8又は9の組成物。
- 前記塩化物イオン化合物の濃度が、質量比で0.5〜2.5%の範囲である請求項8〜10のいずれかに記載の組成物。
- 前記第1の区画及び/又は前記第2の区画が、更にpH緩衝剤を含む請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
- 前記亜鉛化合物を含む第1の区画のpHが3.0〜6.0の範囲であり、且つ過酸化水素を含む第2の区画のpHが3.0〜6.0の範囲である請求項1〜6及び8のいずれかに記載の組成物。
- 前記亜鉛化合物を含む第1の区画のpHが3.0〜6.0の範囲であり、且つ亜塩素酸ナトリウムを含む第2の区画のpHが7.0〜8.5の範囲である請求項1〜5、7及び9のいずれかに記載の組成物。
- 前記口用ベヒクルが、歯科医療製品である請求項2〜14のいずれかに記載の組成物。
- 前記歯科医療製品が、歯磨剤、局所用溶液、局所用ペースト、口内洗浄液、口内洗浄粉、口内洗浄ゲル、及び口内洗浄錠剤からなる群より選択される請求項15記載の組成物。
- パッケージング材料内に含まれる請求項1〜16のいずれかに記載の口用組成物を含む口腔細菌の腐敗を防止又は治療するためのキット。
- 口臭、歯肉炎及び歯根膜炎の防止又は治療用薬剤を製造するための請求項1〜16のいずれかに記載の口用組成物の使用。
- 第1の区画内の化合物と、第2の区画内の化合物が、使用前に混合される請求項18記載の口用組成物の使用。
- 前記防止又は治療が、口腔内におけるアニオン含有硫黄の形成の阻害、及び口腔内における酸化ポテンシャルの低下の防止である請求項18又は19記載の口用組成物の使用。
- 前記防止又は治療が、口腔内細菌の腐敗の阻止である請求項18〜20のいずれかに記載の口用組成物の使用。
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