JP5038504B2 - 移動通信ネットワークにおいてローカルブレークアウトを提供するための方法と装置 - Google Patents

移動通信ネットワークにおいてローカルブレークアウトを提供するための方法と装置 Download PDF

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Description

本発明は、移動通信ネットワークにおけるローカルブレークアウトの分野に関する。
移動通信ネットワークでは、ユーザが自分のホームネットワークの外にあるネットワークを使用している場合、ユーザは「ローミング」していると判断される。在圏ネットワークの中のユーザの移動ノードから送信されたメディアはいずれも、在圏領域のゲートウェイを経由してホーム領域のゲートウェイへと送信される。ホーム領域のゲートウェイは、ユーザのホームネットワークの中に位置している。次いでメディアは、前方への伝送のためのネットワークノード、またはメディアの最終着信先としてのネットワークノードに渡される。
「ローカルブレークアウト(local breakout:LBO)」という用語は、在圏ネットワークの中の移動ノード(mobile node:MN)からのトラヒックが、ユーザのホームネットワークを経由してルーティングされるのではなく、代わりに、別のやり方でルーティングされる状況を言うのに用いられる。ローカルブレークアウトに関するいずれかの関連ポリシーを適用するためには、ホームネットワークに留まることがこのルーティングの制御と管理にとって有利である。メディアがホームネットワークを経由してルーティングされるのではない場合、LBOは、ホームネットワークにかかる負荷を軽減することができる。
様々なメカニズムを使ってローカルブレークアウトを提供することが可能だが、多くの移動通信ネットワークにはLBOが導入されていない。LBOを採用することが有利であると考えられるネットワークの一例は、3GPP Systems Architecture Evolution(SAE)アーキテクチャであり(3GPP TR 23.882 V1.9.0、System Architecture Evolutionを参照)、これは階層的な移動通信ネットワークである。SAEアーキテクチャは、モビリティプロトコルとしてProxy−Mobile IP(P−MIP)を用いることがある。
3GPP SAEのローミングアーキテクチャは、MNにサービス提供する2つのSAEゲートウェイを提供する。1つめは、ホーム・パケットデータネットワーク(PDN) SAEゲートウェイであり、2つめは、在圏PDN SAEゲートウェイである。それらのPDN SAEゲートウェイはそれぞれ、そのゲートウェイに関連するPDNに対するインタフェース(SGi)を有する。
その結果、SAEアーキテクチャはIPモビリティ管理を階層的に適用するように設計されていることが理由で、2つのIPアドレスをMNに割り当てることができる。ホーム公衆陸上移動通信網(HPLMN)によって割り当てられるIPアドレスは、グローバル通信用として使用することができる。在圏PLMN(VPLMN)によって割り当てられる追加のIPアドレスは、MNがLBO用として使用する。各IPアドレスは、異なる役割と特性と意味とを有しており、HPLMNによって提供される前者のIPアドレスは、恒久的なIPアドレスであり、他方、VPLMNによって提供されるIPアドレスは、MNがVPLMNに接続している間だけ用いられる一時的なIPアドレスである。
VPLMNによって提供されるIPアドレスはLBO用として用いられる。しかし、どちらのIPアドレスを使うことができ、そして何のために使うことができるのかが常に明確であるとはいえないため、MNにとって2つのIPアドレスを使うことは煩わしい。
モバイルIP(MIP)は、IETF RFC3344の中で記述されているが、それによって移動通信デバイスのユーザは、彼らが現在どのネットワークの中にいるのかを問わず、恒久的なIPアドレスを維持したままで或るネットワークから別のネットワークへ移動することができる。これによって、ユーザは、移動中も接続を維持することができる。例えば、ユーザがボイス・オーバーIP(VoIP)セッションに参加しており、そしてそのセッション中にユーザが或るのネットワークから別のネットワークへ移動した場合、MIPサポートがなければユーザのIPアドレスは変わることがある。これではVoIPセッションに問題が生じるであろう。
移動ノード(MN)には2つのIPアドレス、すなわち恒久的なホームアドレスと気付アドレス(CoA)が割り当てられる。CoAは、ユーザが現在在圏中のネットワークの中のノードに関連付けられる。MNと通信するには、パケットはMNのホームアドレスへ送信される。これらのパケットは現在のCoAを知っている、ホームネットワーク内のホームエージェントによってインターセプトされる。次いでホームエージェントは、元のIPヘッダを維持しつつ、新しいIPヘッダを使ってMNのCoAへとパケットをトンネルする。MNは、パケットを受信すると、新しいIPヘッダを除去して元のIPヘッダを入手する。MNはパケットを、在圏ネットワーク内の外部エージェント(foreign agent)を経由して、別のノードへ直接送信する。外部エージェントは、在圏MNの各々のCoAを含んだ、在圏MNについての情報を維持する。
上述のとおり、IPモビリティ管理のため、SAEネットワーク内でP−MIPネットワーク(IETF draft−sgundave−mip6−proxymip6−01)を使用することができる。P−MIPネットワークは、MIPネットワークと似ているが、プロキシ・モバイルエージェント(PMA)機能を用いる。この機能は、MNが自分のホームネットワークにいるかのようにMNに振舞わせるために、ホームのリンクプロパティをエミュレートし、かつ、普通ならMIPv6をサポートしないはずのネットワーク上でのモビリティのサポートを可能にする。
PMAは通常、アクセスルータに実装される。PMAは、MNの代わりにモビリティ関連のシグナリングを送受信する。MNは、PMAを有するアクセスルータに接続すると、アクセス認証手順の一部としてネットワーク・アクセス識別子(NAI)の形で自分のIDを提示する。MNが認証されると、PMAは、ポリシーストアからユーザのプロフィールを入手する。ユーザプロフィールおよびNAIの知識を有するPMAは、今度はMNのホームネットワークをエミュレートすることができる。その後MNは、自分のホームアドレスをPMAから入手する。またPMAは、バインド更新メッセージを用いてMNの現在位置をMNのホームエージェントに知らせる。バインド更新メッセージは、MNのNAIを用いる。バインド更新メッセージを受信した時点で、ホームエージェントは、PMAへのトンネルを設定して、バインド肯定応答をPMAへ送信する。バインド肯定応答を受信した時点で、PMAは、ホームエージェントへのトンネルを設定する。MNからのすべてのトラヒックは、トンネルを経由してホームエージェントへとルーティングされる。
ホームエージェントは、MNへ送信されたあらゆるパケットを受信し、そして、受信したパケットをトンネルを通してPMAへ転送する。パケットを受信した時点で、PMAはトンネルヘッダを除去し、パケットをMNへ送信する。PMAは、アクセスリンク上のデフォルトルータとして動作する。MNから送信されたパケットはいずれもPMAを経由してホームエージェントへ送信され、次いでホームエージェントがパケットを最終着信先へさらに送信する。
SAEと共にP−MIPネットワークが用いられる場合、MNのために2つのIPアドレスを用いることに起因する諸問題の可能性がない状態でLBOを提供することが有利であろう。これらの問題には、複数のIPプレフィックスをMNに通知することが含まれる。MNは、複数のIPアドレスを使うことができるかもしれないが、各IPアドレスがどのように使われるべきかを知らないかもしれない。
本発明は、階層的なモビリティ管理の協調を用いる移動通信ネットワークにおいてローカルブレークアウトを制御するための方法および装置を提供する。本発明の一実施形態によれば、階層的に管理される移動通信ネットワーク内で用いる、ローカルブレークアウトゲートウェイ(LBO Gateway)という名の新たなノードが提案される。LBOゲートウェイは、モビリティアンカーの内部の機能要素として実装されてもよい。グローバル・モビリティ管理(GMM)アンカーの中のLBOゲートウェイは、ピア・ツー・ピアのやり方でローカル・モビリティ管理(LMM)の中のLBOゲートウェイと対話して、LBOの管理に必要な情報を交換する。GMMアンカーとLMMアンカーとの間で実行されるモビリティプロトコルは、LBOに関連する情報をLBOゲートウェイ間で伝送するのに用いられてもよい。LBOゲートウェイを用いることによって、ホームネットワークオペレータは、LBOの最中のユーザトラヒックのルーティングパスをホームネットワークオペレータのLBOポリシーに従って管理することができる。本発明は、複数のIPアドレスを有するモバイルノードの問題を含めて、上述の諸問題の一部を除去する。
本発明の第1の態様によって、階層的移動通信ネットワーク内で用いるローカルブレークアウトゲートウェイ・ノードを提供する。ノードは、複数のローカルブレークアウトポリシー・ルールを含むデータベースと、ノードが位置するネットワークに接続している移動ノードからIPパケットを受信するための受信器とを備えており、そのネットワークは、その移動ノードにとっては在圏ネットワークである。ノードはさらに、複数のローカルブレークアウトポリシー・ルールの中からローカルブレークアウトポリシーを選択するための手段と、選択されたローカルブレークアウトポリシーを受信したIPパケットに適用する手段とを備える。ノードはさらに、受信したIPパケットにネットワークアドレス変換を適用するネットワークアドレス変換機能と、適用されたローカルブレークアウトポリシーに従ってIPパケットを着信先(あて先)へ送信するための送信器とを備える。
ノードはさらに、IPパケットにアプリケーションレイヤーゲートウェイ処理を実行するためのアプリケーションレイヤーゲートウェイ機能を備えることが望ましい。
ノードが、適用可能なポリシーを使って更新され続け、特定のMNに関するLBOポリシーを入手できるということを保証することを目的として、ノードが、移動ノードのホームネットワーク内のローカルブレークアウトゲートウェイ・ノードからローカルブレークアウトポリシー交渉に関連するシグナリングを受信するための手段と、そして、ローカルブレークアウトポリシー交渉の結果としてデータベースを更新するための手段とを備えることが望ましい。
シグナリングは、在圏ネットワーク内のローカルブレークアウト・ノードとホームネットワーク内のローカルブレークアウト・ノードとの間で、拡張されたモビリティプロトコルを用いて送信されてもよい。この場合、ノードは、ローカルブレークアウトポリシー情報をホームネットワーク内のローカルブレークアウトゲートウェイ・ノードへ送信するための手段を備えてもよい。ここで、この情報はProxy Binding Updateメッセージの中で送信され、Proxy Binding Updateメッセージはローカルブレークアウトを実行するための在圏ネットワークの能力を示す。また、ノードは、ローカルブレークアウトポリシー情報をホームネットワーク内のローカルブレークアウトゲートウェイ・ノードから受信するための手段を備えてもよい。ここで、ローカルブレークアウトポリシー情報はProxy Binding Acknowledgementメッセージの中で送信される。
あるいは、シグナリングは、ホームネットワーク内のローカルブレークアウト・ノードと在圏ネットワーク内のローカルブレークアウト・ノードとの間で、それぞれホームネットワーク内のPolicy and Charging Rules Functionノードおよび在圏ネットワーク内のPolicy and Charging Rules Functionノードを経由して、送信されてもよい。
さらにノードには、IPパケットのヘッダの中にタグを挿入する手段が含まれてもよい。タグは、適用されるローカルブレークアウトポリシーに従うIPパケットのルーティングパスを示す。
データベースには、以下の情報、すなわち、
移動ノードを識別するデータエントリと、
各データエントリについて、移動に割り当てられた恒久的なIPアドレスおよび一時的なIPアドレスと、そして、
移動ノードに適用されることになる少なくとも1つのローカルブレークアウトポリシーとが含まれることが望ましい。
2以上のLBOポリシーが適用されうる場合を考慮に入れるため、データベースにはさらに、各ローカルブレークアウトポリシーに関連する優先度の指標が含まれてもよい。そして、優先度の指標は、2以上のローカルブレークアウトポリシーがIPパケットに当てはまる場合にそのIPパケットのためのローカルブレークアウトポリシーを選択するために使用される。
本発明の第2の態様によって、ローカルブレークアウトをIPパケットに適用する方法を提供する。本方法には、在圏ネットワーク内に位置するローカルブレークアウト・ノードにおいて、在圏ネットワークに接続している移動ノードからIPパケットを受信することが含まれる。次いで、データベースの中に格納された複数のローカルブレークアウトポリシー・ルールからローカルブレークアウトポリシーが選択され、そのローカルブレークアウトポリシーが、受信されたIPパケットに適用される。また、ネットワークアドレス変換が、受信されたIPパケットに適用され、IPパケットは、適用されたローカルブレークアウトポリシーに従って着信先(あて先)へ送信される。
本発明の一実施形態によるアーキテクチャを略示する図である。 階層的モビリティ管理ネットワークの制御プレーンおよびユーザプレーンにおけるシグナリングを略示する図である。 ローカルブレークアウトゲートウェイの機能要素を略示する図である。 本発明の一実施形態によるローカルブレークアウトゲートウェイの構成要素を略示する図である。 本発明の一実施形態によるLBOゲートウェイによって実行されるパケット処理を図解するフロー図である。 LBOポリシーデータベースのコンテンツ間の関係を略示する図である。 3GPP SAEローミングアーキテクチャを用いる場合の本発明の一実施形態のアーキテクチャを略示する図である。 図6に示すアーキテクチャを用いる場合のLBOポリシー交渉およびプロキシバインド登録のためのシグナリングを略示する図である。 同じVPLMNに在圏している2つのMN間の例示的なルートパスを略示する図である。
図1では、移動ノード(MN)が、MNユーザのホームネットワークオペレータとは異なるネットワークによって運用される、在圏ネットワーク(Visited Network)に接続している。ホームネットワーク領域では、GMMアンカーが、グローバルなモビリティアンカーとしてMNにサービス提供する。在圏ネットワーク領域では、LMMアンカーが、ローカルなモビリティアンカーとしてMNにサービス提供する。各ネットワークでは、一意のIPアドレスが移動ノードに割り当てられ、IPアドレスはそれぞれ、グローバル・ホームアドレス(GhoA)とローカル・ホームアドレス(LhoA)とである。移動ノードは、自分の通信には自分のGHoAを用いる。LBOゲートウェイ(LBO GW)が、GMMアンカーとLMMアンカーとのそれぞれに位置している。
GMMアンカーとLMMアンカーの間のモビリティプロトコルを用いて、LBOゲートウェイ間で交換された情報、たとえばLBOポリシー情報、MNに割り当てられたIPアドレスのリスト等を伝送する。また、LBOポリシーの交渉も、LBOゲートウェイ間で行われる。
ユーザトラヒックは、ローカルにブレークアウトされるかまたはそのホームネットワークにトンネリングで戻されてもよい。LBOの場合、自分のピアに対するルーティングパスをショートカットすることが、MNにとって有利であるかもしれない。MNは、LBOが行われた場合には、通信用として自分のLhoAを用いるのではなく、自分のGHoAを維持する。
図2に、階層的モビリティ管理ネットワークの中の制御プレーンおよびユーザプレーンのフローシーケンスを示す。この例では、MNが、ローカル・モビリティ管理を処理するためにLMMアンカーが移動ノードにサービス提供するような在圏ネットワークに接続し、従って、図1に示すアーキテクチャに実装されてもよいだろう。在圏ネットワークおよびホームネットワーク内のLBOゲートウェイは、それぞれが在圏ネットワークおよびホームネットワーク内のLMMアンカーおよびGMMアンカーの機能要素であるから、図示しない。
MNが在圏ネットワークに接続する場合、MNは、ネットワークによって認証され、ローミングクライアントとしてホーム移動通信オペレータおよび在圏移動通信オペレータによってサービス提供されることを許可される。MNが認証されると、MNは、LMMアンカーへのバインド登録を行う。従って、LMMアンカーで、MNのためのBCEが作成される。また、LMMアンカーは、LBOをサポートすることから、LBOデータベース(後述)の中に新規エントリを作成する。LMNアンカーは、MNの代理して動作しているGMMアンカーに対してバインド登録を行う。GMMアンカーは、MNのBCEを更新し、すなわち、LMMアンカーによって行われたバインド登録要求に従ってMNの現在位置を更新する。Binding Registration Requestは、LMMアンカーがLBOをサポートすることを示すことから、GMMアンカーの内部のLBOゲートウェイの機能要素が、MNのLBOポリシーを判定する。次いで、ポリシー情報が、LMMアンカーへ送信されたBinding Registration Responseメッセージに追加される。従って、LMMアンカーは、MNのためのLBOポリシーのエントリを更新する。その後、MNによって生成されたかまたはMNへ宛てられたユーザトラヒックは、LBOの対象となりうる。
留意すべきだが、ネットワークベースのモビリティプロトコル(例えばプロキシ・モバイルIPv6)を使用することもできる。この場合、モビリティシグナリングメッセージを送信または受信するエンティティは、図2に示すものとは違っていてもよい。PMIPv6ネットワークでは、PMAが、MNの代わりにモビリティシグナリングメッセージを送信または受信する。
LBOゲートウェイは、ネットワークオペレータ各社によって交渉されたポリシーによるLBOを可能にする。LBOゲートウェイには、図3に示す各種の機能要素が含まれる。これらの要素とは、以下のとおりである。
・ポリシー実行1およびポリシーデータベース2
・LBOポリシーベースのルーティング3
・ネットワークアドレス変換(NAT)4
・アプリケーションレベルゲートウェイ(ALG)5
LBOポリシー管理機能は、ルーティングの決定を支配することから、LBOにおいて重要な役割を果たす。アドレス指定とルーティングとは、IPネットワークモデルの中で相互に関連しているため、ポリシーベースのIPルーティングとNAT要素とは、密接に関連している。また、例えばIPアドレスやポート番号のようなNATによって修正されたネットワーク情報を処理するのにALGが必要になることがあるという意味で、NATとALG要素とは関連している。
LBOゲートウェイは複数の機能要素の統合体であるが、各機能要素は別個のノードに個別に実装することができる。あるいは、LBOゲートウェイは、例えば3GPP SAEネットワークアーキテクチャにおけるサービングSAEゲートウェイまたは在圏PDN SAEゲートウェイのような、別のネットワークノードと統合されてもよい。図4に、1つのボックス6の中に実装されたLBOゲートウェイを示す。LBOは、IPパケットを送受信するための受信器7と送信器8とを備えている。さらにLBOは、LBOポリシーデータベースを格納するためのメモリ9と、必要に応じて、着信パケットを分析し、データベース9を参照し、そして、LBOポリシーをパケットに適用するためのプロセッサ10とを備えている。
図5は、LBOゲートウェイによって行われるパケット処理を示すフローチャートである。LBOゲートウェイは、LBOポリシーデータベースに基づいてパケットフィルタリングを行い、そして、LBOを行うかどうかを決定する。
IPパケットが受信されると(11)、ポリシー実行要素が、IPパケットからフロー情報(5タプル)を抽出し(12)、そして、合致するポリシーがあるかどうか確認するためにLBOポリシーデータベースがチェックされる(13)。LBOの対象とならないIPパケットについては、特別の処理は行われず、LBOゲートウェイによって通常のIPルーティング(14)が行われる。IPパケットがLBOの対象である場合、合致するポリシーがALGを必要とするかどうか、チェックが行われる(15)。ALGが必要でない場合には、NATがパケットに適用され(16)、パケットはルーティングされる(17)。ALGが必要である場合には、ALGが適用され(18)、NATが適用され(19)、パケットがルーティングされる(20)。
LBOゲートウェイは、1つのインタフェースから別のインタフェースへとIPパケットを転送するという意味で、ルータであると考えてもよい。LBOゲートウェイは、ポリシーに基づくルーティングを行うと同時に、LBOポリシーデータベースに従ってアドレス変換を行う。
LBOゲートウェイによって処理されることになるすべての上りリンクおよび下りリンクのIPパケットが処理されることを保証することを目的として、ポリシー実行ポイントが適切に設置されなければならない。ポリシー実行ポイントにおいて、フロー情報がIPパケットから抽出されて、LBOポリシーデータベースの中に含まれるエントリと比較される。フロー情報(5タプル)と、サポートされるALGアプリケーションタイプの詳細情報とが、IPパケットから抽出されてLBOポリシーデータベースのエントリと比較される。ポリシーデータベースは、各ポリシーエントリが異なる基準に基づいた優先度値を有するようなかたちで実装されてもよい。所与のフローと合致するポリシーエントリが2つ以上ある場合、最高の優先度値を持つエントリが選択され、その後のパケット処理が実行されるであろう。
NATに関してであるが、IPパケットを送受信するためにMNによって用いられることになるIPアドレスは、IPパケットがそこを介してルーティングされるモビリティアンカーのトポロジ上の位置と一致しなければならないことから、ネットワーク環境でLBOを行うためにはアドレス変換が必要である。ネットワーク内で行われることになるソースIPアドレスの検査(例えば発側フィルタリング)がまったく行われない場合でも、リターンパスについての問題がある。すなわち、ピアは通常、前回の通信におけるIPパケットのソースIPアドレスへの応答を送信するであろう。
LBOゲートウェイは、通常のNATデバイスが行うのと同じ形で、アドレスマッピングテーブルを維持する。マッピングテーブルの各エントリには、MNについての恒久的なIPアドレスと一時的なIPアドレスとの間の関連性が含まれる。
LBOゲートウェイにおけるアドレス変換は、LBOポリシーデータベースに従って行われる。
留意すべきだが、アプリケーションが例えばIPアドレスおよび/またはポート番号のようなネットワーク情報を処理する必要があるような一部の例では、アドレス変換の結果がALGに影響を与えることがある。
また、LBOゲートウェイが、LBOポリシーデータベースに基づいてALGとして機能してもよい。ALGはもともと各アプリケーションについて定義されているのだから、ALGの振舞いはアプリケーション固有のものである。LBOゲートウェイにおけるALG処理は、LBOポリシーデータベースに従って行われる。
RFC2694の中で説明されるDNS−ALGは、DNSサーバからのDNS応答をALGがLBOポリシーデータベースに従って修正することを保証するために拡張されてもよい。これによって、ホームネットワークオペレータが名前の変換(名前からアドレスへ)に関してMNの振舞いを制御できることが保証される。DNSデータベースでは、Fully Qualified Domain Name(FQDN)が、冗長性のため、2つ以上のIPアドレス(DNSリソースレコードのタイプである、AレコードまたはAAAAレコード)と関連付けられてもよい。ALGによって行われる修正の一例として、DNS要求への応答の中に含まれる候補IPアドレスの数を減らすことがある。
LBOポリシーの管理はLBOゲートウェイの重要な役割であるが、それは、IPルーティング、アドレス変換、そしてALGの決定はすべて、LBOゲートウェイによって用いられるポリシーに従って行われるからである。LBOポリシーデータベースは、LBOポリシーが格納されているデータベースである。
LBOポリシーは、MNのためのホームネットワークオペレータと在圏ネットワークオペレータの間で行われる交渉に従って判定され、構成される。ホームネットワークおよび在圏ネットワークにあるLBOゲートウェイは、LBOポリシー交渉の間にLBOポリシー情報について交渉する。LBOポリシー交渉は、帯域外シグナリングによってかまたはホームネットワーク領域と在圏ネットワーク領域の間のモビリティプロトコルを用いてかいずれか一方で行われてもよい。LBOポリシー交渉は、LMMアンカーによってかまたはGMMアンカーによってかいずれか一方で開始することができる。LBOポリシー交渉は、例えばLMMアンカーが上りリンクトラヒックをMNから受信することのような、各種のイベントによってトリガすることができる。LBOポリシーデータベースは、LBOポリシー交渉の結果に従って動的に更新される。
トラヒックフローは、下記の情報を用いてLBOデータベースの中に記述されてもよい。
・ソーストラヒック選択器(開始IPアドレス、最終IPアドレス、開始ポート番号、最終ポート番号)
・着信先トラヒック選択器(開始IPアドレス、最終IPアドレス、開始ポート番号、最終ポート番号)
・IPプロトコル(例えばTCP)
・LBOレベル(1−5)
この情報を用いて、所与のトラヒックフローがLBOの対象であるべきか否かを判定する。
トラヒック選択器の概念は、IKEv2仕様(C.Kaufman他「Internet Key Exchange(IKEv2)Protocol」RFC4306、2006年12月)から導出される。
LBOレベルは、1から5への降順でローカルブレークアウトを求める希望の程度を示す。LBOポリシー交渉は、在圏ネットワークオペレータが、ホームネットワークオペレータによって提示されるいかなるポリシーにも従わなければならないようなかたちで行われる。
いったん在圏ネットワークの中でLBOポリシーデータベースが形成されると、LBOの決定は、ホームネットワーク領域に相談することなく、在圏ネットワーク領域でローカルに行うことができる。しかし、環境によっては、所与のトラヒックフローについて採用されることになるポリシーに関してホームネットワーク領域からの入力を在圏ネットワーク領域が要求することが望ましいこともある。
在圏ネットワークのLBOポリシーデータベースの論理構造に関して、データベースの第1のレベルは、登録されたMNのリストである。MNが在圏ネットワーク領域に接続する場合、MNのためのLBOサポートを起動することを目的としてLBOポリシーゲートウェイへの登録が行われなければならない。留意すべきだが、登録の実際の手順は、MN自身によって行われるのではなく、他のネットワークエンティティ(例えばGMMアンカーおよび/またはLMMアンカー)によって行われる。各エントリには、各MNを識別するのに十分な情報が含まれる。各MNのための恒久的なIPアドレスおよび一時的なIPアドレスは、リストの各エントリに含まれる。
LBOポリシーデータベースの第2のレベルは、ポリシーテーブルであり、これは、所与のMNについてのポリシーの集合である。各々のポリシーエントリには、以下の情報が含まれる。
・MNのID
・ポリシーの方向(上りリンクか下りリンクか)
・フロー情報。5タプル(ソースIPアドレス、あて先IPアドレス、ソースポート、あて先ポート、上位レイヤプロトコル)を用いてフローを識別する。上位レイヤプロトコル情報には、IPプロトコル番号が含まれ、また、ALGのためのフローを多重化するのに役立つ、アプリケーション固有情報も含まれる。
・NATおよびALGの予想される処理のテンプレート。テンプレートには、NATとALGとがパケットフロー上でどのようにして実行されなければならないかについての命令が含まれる。テンプレートは、下記の情報で構成される。
・NAT − IPアドレス、すなわち、所与のMNについての恒久的なIPアドレスおよび一時的なIPアドレス、のマッピング。
・ALG − 予想されるALG処理に必要なアプリケーション固有情報。
図6は、LBOポリシーデータベースの第1のレベルと第2のレベルの関係を示す。図に示すように、MN IDと恒久的なアドレスと一時的なアドレスとを有する第1のレベルのエントリは各々、関連するポリシーテーブルへのリンクを有する。
本発明は、さまざまなタイプのネットワークに実装されてもよい。本発明の一実施形態によると、本発明は、(3GPP TS 23.402 3GPP System Architecture Evolution Architecture Enhancements for non−3GPP accesses、リリース8に記述するような)3GPP SAEネットワークに適用されてもよい。3GPP SAEローミングアーキテクチャは、IPモビリティ管理の観点からは階層的モビリティ管理ネットワークとみなすことができ、従って、本発明を3GPP SAEネットワークに実装することができる。
図7は、LBOゲートウェイを用いた3GPP SAEローミングアーキテクチャの例示的なネットワークシナリオを示す。ホーム公衆陸上移動通信網(HPLMN)では、ホーム・パケットデータネットワーク(PDN)SAEゲートウェイが、GMMアンカーとしてMNにサービス提供する。ホームPDN SAEゲートウェイによって、IPアドレスプールからMNにGHoAが割り当てられる。MNがローミングしている在圏公衆陸上移動通信網(VPLMN)では、2つのネットワークエンティティ、すなわち、在圏PDN SAEゲートウェイとサービングSAEゲートウェイとがMNにサービス提供している。在圏PDN SAEゲートウェイによって、IPアドレスプールからMNにLHoAが割り当てられる。在圏PDN SAEゲートウェイとサービングSAEゲートウェイとの組み合わせは、1つのLMMアンカーに相当する。留意すべきだが、在圏PDN SAEゲートウェイとサービングSAEゲートウェイとは、別個であってもよいし、1つのボックスの中に配置されてもよい。この例では、ローミングインタフェース(S8b)のためのプロトコルとしてプロキシ・モバイルIPv6が用いられることを想定している。
LBOゲートウェイをホームPDN SAEゲートウェイ及びサービングSAEゲートウェイの中に統合することによって、LBO機能をMNに提供することができる。プロキシ・モバイルIPv6がローミングインタフェースプロトコルとして用いられる場合、VPLMNにおいてLBOゲートウェイとLBOポリシーデータベースとを設定するための情報を搬送する目的で、プロキシ・モバイルIPv6に一連の拡張が行われる。
LBOポリシー交渉は、多様なやり方で行うことができる。交渉を行う1つのやり方は、GMMアンカーとLMMアンカーの間で実行されるモビリティプロトコルを用いることである。従って、この例では、LBOポリシー情報はプロキシ・モバイルIPv6シグナリングメッセージによって搬送される。あるいは、LBOポリシー情報は、3GPPアーキテクチャの中のPolicy Control and Charging(PCC)機能上で、すなわち、ホーム・Policy and Charging Rules Function(hPCRF)と在圏Policy and Charging Rules Function(vPCRF)とによって、搬送される。図7に示すように、ホームPDN SAEゲートウェイとサービングSAEゲートウェイとは、それぞれhPCRFとvPCRFとに対するインタフェース(S7インタフェース)を有する。従って、それらのLBOゲートウェイが、S7およびS9上でLBOポリシー情報を交換することが可能である。
図8に、プロキシバインド登録を伴うLBOポリシー交渉に必要なシグナリングを示す。話を簡単にするためにMNを認証して許可する手順は、図8には示していない。サービングSAEゲートウェイは、プロキシ・モバイルエージェント(PMA)の役割を果たしており、Proxy Binding Update(PBU)メッセージを、ローカル・モビリティアンカー(LMA)であるホームPDN SAEゲートウェイへ送信する。関連するLBOポリシー情報が、PBUメッセージの中に含まれる。情報は、上述のとおり、LBOポリシーデータベースについてフォーマットされる。LMAがPBUメッセージを処理して、MNのためのBCEを作成する。加えて、LBOポリシー情報が、PBUメッセージから抽出されて、ホームネットワーク内のLBOゲートウェイへと渡される。ホームLBOゲートウェイは、LBOポリシー情報を検査して、自分のLBOポリシーデータベースに従って応答メッセージを作成する。応答メッセージはPBAメッセージの中に含まれ、サービングSAEゲートウェイへと送信される。サービングSAEゲートウェイは、応答メッセージで受信したLBOポリシー情報に従って在圏LBOポリシーデータベースを更新する。その後、MNからのユーザトラヒックが、サービングSAEゲートウェイでローカルにブレークアウト可能である。そのようなLBOユーザトラヒックは、S5インタフェースによって在圏PDN SAEゲートウェイへとルーティングされる。
別の実施形態では、本発明は、プロキシ・モバイルIPv6(PMIPv6)(S.Gundavelli、K.Leung、V.Devarapalli、B.Patil、「Proxy Mobile IPv6」、draft−ietf−netlmm−proxymip6−00、internet−draft、work−in−progressを参照のこと。)がGMMプロトコルとLMMプロトコルの両方に用いられるネットワーク内に実装されてもよい。
そのようなネットワークでは、ホームネットワーク内のLMAは、MNのためのGMMアンカーとして機能する。在圏ネットワーク領域には、LMAとPMAの両方の能力を有するLMMアンカーが存在する。LMMアンカーは、それがMNのGMMアンカーへのバインドを登録するという意味で、PMAの役割を果たす。他方、在圏領域内では、LMMアンカーは、MNが接続しているPMAからのプロキシバインド登録を受信することで、LMAの役割を果たす。MNは、2つのIPアドレス、すなわち、GHoAとLHoAとを有する。GHoAとLHoAとはそれぞれ、GMMアンカーとLMMアンカーのIPアドレスプールから入手される。
MNのためにLBO機能を提供することを目的として、GMMアンカーとLMMアンカーのそれぞれにおいて、LBOゲートウェイが統合される。上りリンクトラヒックについてLBOを実行することを目的として、LMMアンカーの内部のLBOゲートウェイが、MNのためのソースIPアドレス(GhoA)をLHoAで上書きすることによってアドレス変換を行い、そして必要に応じて、上位レイヤのプロトコル情報を修正する。下りリンクトラヒックについては、LMMアンカーの中のLBOゲートウェイが、GhoAをLHoAと置換することによって、IPパケットの着信先IPアドレスを書き換える。
LMMアンカーの中のLMAは、MNのための固有のバインドデータベースを作成する必要がある。バインドはGHoA−LHoAとLHoA−CoAという2つのレベルで行われる。移動アクセスゲートウェイ(MAG)は、複数のIPアドレスという先行技術における諸問題を未然に防ぐことを目的として、GHoAが導出される元であるホームプレフィックスをMAGが通知するようなかたちで構成される。
更に別の実施形態では、本発明は、階層的モバイルIPv6(HMIPv6)ネットワークの中に実装されてもよい(H.Soliman、C.Catelluccia、K.El Malki、L.Bellier「Hierarchical Mobile IPv6 mobility management(HMIPv6),RFC4140を参照のこと)。
HMIPv6によると、ホームネットワーク内のモバイルIPv6ホームエージェントは、GMMアンカーとして機能し、そして、在圏ネットワーク内のモビリティアンカーポイント(MAP)は、MNのためのLMMアンカーとして機能する。MNには、2つのIPアドレス、すなわち、ホームアドレス(HoA)と地域的気付アドレス(RcoA)とが割り当てられている。HoAは、MIPv6ホームアドレスであり、RcoAは、地域的気付アドレスであって、在圏ネットワーク内でMNによって用いられる。
LBOゲートウェイは、在圏領域内のMAPに統合することができる。LBOゲートウェイは、MNに割り当てられた2つのIPアドレスを認識しており、LBOポリシーデータベースに従ってLBOを行う。
上りリンクトラヒックのためにローカルブレークアウトを実行することを目的として、LBOゲートウェイは、HMIPv6固有のやり方でアドレス変換を行う。すなわち、LBOゲートウェイは、HA−MNトンネルのためのトンネリングヘッダである外側ヘッダ(src:RCoA、dst:HA)を除去し、そして元のIPヘッダ(src:HoA、dst:CN)のためのアドレス変換を行う。ソースIPアドレス(HoA)はRCoAによって上書きされ、そして、必要に応じて、上位レイヤプロトコル情報が修正される。
各種の実施形態において上述したような各種の拡張が本発明に対して行われうる。ネットワークオペレータは、多様な情報に基づいてLBOポリシーデータベースを構成することができる。その情報は動的であってもよいし、静的であってもよい。この情報には以下が含まれてもよいが、それらに限定されない。
・HSSの中に記憶されたユーザプロファイル(加入者情報)
・入力データに基づいて動的にユーザによって行われたユーザの選好
・MN上で現在アクティブである無線アクセスのタイプ
・MNが実行しているアプリケーションのタイプ
・MNの通信相手であるピアのタイプ
・MNの位置、そして、
・通信ピアのホームネットワークオペレータおよび/または在圏ネットワークオペレータと、MNのホームネットワークオペレータおよび/または在圏ネットワークオペレータとの間の契約
さらに、HPLMNとVPLMNによるLBOポリシー交渉が、何らかの拡張を伴うローミングインタフェースを用いて行われてもよい。例えば、LBOポリシー交渉をサポートするため、拡張されたPMIPv6を用いることも可能である。PMIPv6では、PBUメッセージおよびPBAメッセージを、LBPポリシー情報を搬送するように拡張することができる。
AAAインフラストラクチャのサポートがあってもなくても、LBOポリシー交渉を実行することは可能である。さらに、LBOポリシー交渉は、PCCエンティティ(hPCRFとvPCRF)を含めて実行することも可能である。
PMIPv6がLMMプロトコルとして用いられるようなネットワーク環境では、LBOポリシーデータベースおよびPMIPv6バインドデータベースの一部が共有されてもよい。MNを識別する情報は、GHoAとLHoAであってもよい。
LBOゲートウェイは、上記のプロトコルによってLMMアンカーと対話することができる。LBOゲートウェイは、IPパケットにタグを挿入して、ルーティングパスに関して行われた選択を示してもよい。LBOゲートウェイは、タグ情報に従ってパケットをルーティングするであろう。パケットの処理が行われた後で、タグは除去される。あるいは、LBOゲートウェイは、ソースルーティングを利用(leverage)してもよい。
本発明の別の態様は、LBOゲートウェイがIPパケットのルーティングパスを選択できるということである。LBOゲートウェイによって、ネットワークオペレータがLBOポリシーデータベースに基づいてきめの細かいルーティングパス選択を行えるようになる。図9は、同じVPLMNに在圏している2つのMNの間のさまざまなルートパスを示す。この例では、MN1もMN2も、そのHPLMNの中に1つ、そしてVPLMNの中に1つという、2つのIPアドレスを有することが想定されている。留意すべきだが、図9に描かれているパケットルーティングパスはいずれも、図を見やすくするため、LBOゲートウェイを通り抜けるように示されていないが、すべての上りリンクおよび下りリンクのトラヒックは、上記のようにLBOゲートウェイを通り抜けなければならない。
LBOゲートウェイは、技術を組み合わせることによって、MNからのIPパケットのフローを効率よくリダイレクトすることができる。これらの技術とは、アドレス変換、および、予想されるルーティングパスをLMMアンカーに知らせるためのLMMアンカーへのシグナリングである。アドレス変換は、その後のルーティングパスをリダイレクトする目的でLBOゲートウェイによって行われるが、それは、中間ルータが、IPパケットの着信先IPアドレスを参照しながらIPルーティングを行うからである。場合によっては、ソースアドレスおよび/または着信先アドレスが、IPパケットをリダイレクトする際に効力を生じないことがある。そのような場合、LBOゲートウェイは、LMMアンカーにシグナルを送って、IPパケットがどのルーティングパスをとるべきかをLMMアンカーに知らせる。留意すべきだが、このルート最適化スキームにはモビリティプロトコルは関与していない。
MN1がIPパケットをMN2へ送信すると仮定する。パケットルーティングパスに関して主として以下の4つの選択肢がある。
・パス1は、最適なパスである。サービングSAEゲートウェイがパケットをMN1から直接MN2へルーティングする。サービングSAEゲートウェイは、パケットをMN2へのモビリティトンネルに投入すると想定される。
・パス2は、次善のパスである。MN2のHPLMNは、MN2の着信トラヒックのルートを最適化することに合意するが、MN1のHPLMNは、MN1の発信トラヒックのルートを最適化することに合意しない。
・パス3も次善のパスである。MN1のHPLMNは、MN1の発信トラヒックのルートを最適化することに合意するが、MN2のHPLMNは、MN2の着信トラヒックのルートを最適化することに合意しない。
・パス4は、最も冗長なパスである。どちらのHPLMNも、パケットのルートを最適化することに合意しない。IPパケットは、MN1から、サービングSAEゲートウェイへ、MN1のHPLMNへ、MN2のHPLMNへ、そしてまたサービングSAEゲートウェイを通ってMN2まで延々と移動する。デフォルトでは、このルーティングパスが選択される。
LBOゲートウェイは、MNにサービス提供する各HPLMNと交渉されたLBOポリシーに従って、選択的にルーティングパスの選択を行うことができる。すべてのIPパケットは、LBOゲートウェイによって検査される。ルート最適化は、アドレス変換メカニズムと併せてポリシーベースのIPルーティングメカニズムを使って、LBOゲートウェイによって行われる。また、LBOゲートウェイは、選択されたパスを進むようにIPパケットルーティングを実行する際、他の技術も利用してもよい。例えば、LBOゲートウェイが、タグを挿入し、それが、パケットが着信先までにどのルーティングパスをとるべきかを示してもよい。また、LBOゲートウェイは、ソースルーティングメカニズムを利用(leverage)してもよい。
留意すべきだが、このメカニズムは、両方の通信ピアが同じVPLMNに在圏している場合の選択的ルーティングパス選択の場合に限って有効である。いずれかのピアが別のVPLMNに在圏している場合には、別のメカニズムが必要である。この場合、関連するVPLMNの中のLBOゲートウェイ間での対話が必要となる。
本発明は、ネットワークオペレータとユーザの両方にいくつもの利点を提供する。下記は、利点のリストである。本発明は、階層的なモビリティ管理ネットワークにおいてMNが複数のIPアドレスを有するという問題を解決する。また本発明は、ネットワークオペレータによって全体的に制御されうるローカルブレークアウトを可能にする。さらに、本発明によって、MNが1つのIPアドレスを有することが可能になり、しかもMNを変更する必要がない。
当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、上記の諸実施形態に対して各種の修正が行われうることを理解するであろう。
本明細書では、下記の略語が用いられる。
ALG アプリケーションレベルゲートウェイ(Application Level Gateway)
DNS ドメイン名システム(Domain Name System)
GHoA グローバル・ホームアドレス(Global Home Address)
GMM グローバル・モビリティ管理(Global Mobility Management)
HMIPv6 階層的モバイルIPv6(Hierarchical Mobile IPv6)
HPLMN ホームPLMN(Home PLMN)
HA ホームエージェント(Home Agent)
HSS ホーム加入者サーバ(Home Subscriber Server)
IKEv2 インターネット・キー・エクスチェンジ・プロトコル バージョン2(Internet Key Exchange Protocol version 2)
LBO ローカルブレークアウト(Local Breakout)
LHoA ローカル・ホームアドレス(Local Home Address)
LMA ローカル・モビリティアンカー(Local Mobility Anchor)
LMM ローカル・モビリティ管理(Local Mobility Management)
MAG モバイルアクセスゲートウェイ(Mobile Access Gateway)
MAP モビリティアンカーポイント(Mobility Anchor Point)
MIP モバイルIP(Mobile IP)
MIPv6 モバイルIPv6(Mobile IPv6)
MN 移動ノード(Mobile Node)
NAT ネットワークアドレス変換器(Network Address Translator)
PCC (Policy Control and Charging)
PCRF (Policy and Charging Rules Function)
PMA プロキシ・モバイルエージェント(Proxy Mobile Agent)
PMIPv6 プロキシ・モバイルIPv6(Proxy Mobile IPv6)
PLMN 公衆陸上移動通信網(Public Land Mobile Network)
VPLMN 在圏PLMN(Visited PLMN)

Claims (12)

  1. 階層的移動通信ネットワークにおいて使用するためのローカルブレークアウトゲートウェイ・ノードであって、
    対象とするIPパケットを識別するための5タプルを各々が含む複数のローカルブレークアウトポリシー・ルールを含むデータベースと、
    前記ローカルブレークアウトゲートウェイ・ノードが位置するネットワークに接続している移動ノードからIPパケットを受信する受信器と、
    を備え、
    前記ネットワークは前記移動ノードにとって在圏ネットワークであり、
    前記移動ノードは、グローバル・ホームアドレスおよびローカル・ホームアドレスを持ち、
    前記ローカルブレークアウトゲートウェイ・ノードは、
    前記複数のローカルブレークアウトポリシー・ルールの中に前記受信したIPパケットに対応する5タプルを含むローカルブレークアウトポリシーが存在する場合に、当該対応する5タプルを含むローカルブレークアウトポリシーを選択する手段と、
    前記受信したIPパケットに前記選択したローカルブレークアウトポリシーを適用する手段と、
    前記適用されたローカルブレークアウトポリシーに従って、前記受信したIPパケットにネットワークアドレス変換を適用するネットワークアドレス変換機能と、
    前記適用されたローカルブレークアウトポリシーに従って前記IPパケットをあて先へ送信する送信器と、
    を備えることを特徴とするローカルブレークアウトゲートウェイ・ノード。
  2. アプリケーションレイヤーゲートウェイ処理を実行するアプリケーションレイヤーゲートウェイ機能を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のローカルブレークアウトゲートウェイ・ノード。
  3. 前記移動ノードのホームネットワーク内のローカルブレークアウトゲートウェイ・ノードから、ローカルブレークアウトポリシー交渉に関するシグナリングを受信する手段と、
    前記ローカルブレークアウトポリシー交渉の結果として前記データベースを更新する手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のローカルブレークアウトゲートウェイ・ノード。
  4. 前記シグナリングは、前記在圏ネットワーク内の前記ローカルブレークアウト・ノードと前記ホームネットワーク内の前記ローカルブレークアウト・ノードとの間で、拡張されたモビリティプロトコルを使用して送信されることを特徴とする請求項3に記載のローカルブレークアウトゲートウェイ・ノード。
  5. ホームネットワーク内のローカルブレークアウトゲートウェイ・ノードへローカルブレークアウトポリシー情報を送信する手段であって、当該情報は、ローカルブレークアウトを実行する前記在圏ネットワークの能力を示すProxy Binding Updateメッセージの中で送信される、手段と、
    ホームネットワーク内のローカルブレークアウトゲートウェイ・ノードからローカルブレークアウトポリシー情報を受信する手段であって、当該情報はProxy Binding Acknowledgementメッセージの中で送信される、手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項4に記載のローカルブレークアウトゲートウェイ・ノード。
  6. 前記シグナリングは、前記ホームネットワーク内の前記ローカルブレークアウト・ノードと前記在圏ネットワーク内の前記ローカルブレークアウト・ノードとの間で、前記ホームネットワーク内のPolicy and Charging Rules Functionノードおよび前記在圏ネットワーク内のPolicy and Charging Rules Functionノードをそれぞれ介して送信されることを特徴とする請求項3に記載のローカルブレークアウトゲートウェイ・ノード。
  7. 適用された前記ローカルブレークアウトポリシーに従う前記IPパケットのルーティングパスを示すタグを前記IPパケットのヘッダに挿入する手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のローカルブレークアウトゲートウェイ・ノード。
  8. 前記データベースは、
    前記移動ノードを識別するデータエントリと、
    各エントリについて、前記移動ノードに割り当てられた恒久的なIPアドレスおよび一時的なIPアドレスと、
    前記移動ノードに適用される少なくとも1つのローカルブレークアウトポリシーと、
    を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のローカルブレークアウトゲートウェイ・ノード。
  9. 前記データベースは、各ローカルブレークアウトポリシーに関連付けられた優先度の指標を更に含み、
    前記優先度の指標は、前記受信したIPパケットに対応する5タプルを含むローカルブレークアウトポリシーが2つ以上存在する場合に当該IPパケットのためのローカルブレークアウトポリシーを選択するために使用される
    ことを特徴とする請求項8に記載のローカルブレークアウトゲートウェイ・ノード。
  10. IPパケットにローカルブレークアウトを適用する方法であって、在圏ネットワーク内に位置するローカルブレークアウト・ノードにおいて、
    前記在圏ネットワークに接続している、グローバル・ホームアドレスおよびローカル・ホームアドレスを持つ移動ノードからIPパケットを受信するステップと、
    データベースに格納された、対象とするIPパケットを識別するための5タプルを各々が含む複数のローカルブレークアウトポリシー・ルールの中に、前記受信したIPパケットに対応する5タプルを含むローカルブレークアウトポリシーが存在する場合に、当該対応する5タプルを含むローカルブレークアウトポリシーを選択するステップと、
    前記受信したIPパケットに前記選択したローカルブレークアウトポリシーを適用するステップと、
    前記適用されたローカルブレークアウトポリシーに従って、前記受信したIPパケットにネットワークアドレス変換を適用するステップと、
    前記適用されたローカルブレークアウトポリシーに従って前記IPパケットをあて先へ送信するステップと、
    を備えることを特徴とする方法。
  11. 前記IPパケットにアプリケーションレイヤーゲートウェイ処理を適用するステップを更に備えることを特徴とする、請求項10に記載の、IPパケットにローカルブレークアウトを適用する方法。
  12. 前記移動ノードのホームネットワーク内のローカルブレークアウトゲートウェイ・ノードから、ローカルブレークアウトポリシー交渉に関するシグナリングを受信するステップと、
    前記ローカルブレークアウトポリシー交渉の結果として前記データベースを更新するステップと、
    を更に備えることを特徴とする、請求項10又は11に記載の、IPパケットにローカルブレークアウトを適用する方法。
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