JP5038144B2 - 抗菌活性を有するポリペプチド及びそれをコードするポリヌクレオチド - Google Patents
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Description
本発明は、抗菌活性を有する単離されたポリペプチド及び前記ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。本発明はまた、前記ポリヌクレオチドを含んで成る、核酸構造体、ベクター及び宿主細胞、並びに前記ポリペプチドの生成及び使用方法にも関する。
抗菌活性を有するポリペプチド及び前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを供給することが本発明の目的である。
本発明は、(a)配列番号2のアミノ酸1〜42と少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド;
(b)(i)配列番号1のヌクレオチド145〜270、(ii)配列番号1のヌクレオチド1〜270に含まれるcDNA配列、又は(iii)(i)又は(ii)の相補鎖と、少なくとも中位の緊縮条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド;及び
(c)配列番号2のアミノ酸1〜42の1又は複数のアミノ酸の保存性置換、欠失及び/又は挿入を含んで成る変異体から成る群から選択された、抗菌活性を有するポリペプチドに関する。
(a)配列番号2のアミノ酸1〜42と、少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b)配列番号1のヌクレオチド145〜270と、少なくとも60%の同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(c)(i)配列番号1のヌクレオチド145〜270、(ii)配列番号1のヌクレオチド1〜270に含まれるcDNA配列、又は(iii)(i)又は(ii)の相補鎖と、少なくとも中位の緊縮条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドから成る群から選択された、抗菌活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドにも関する。
本発明はまた、前記ポリヌクレオチドを含んで成る、核酸構造体、組換え発現ベクター及び組換え宿主細胞にも関する。
(a)前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んで成る核酸構造体を含んで成る組換え宿主細胞を、前記ポリペプチドの生成の助けとする条件下で増殖し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る。
定義:
抗菌活性:用語“抗菌活性”とは、微生物細菌を殺害するか、又はその増殖を阻害できる活性として本明細書において定義される。本発明においては、用語“抗菌”とは、殺細菌及び/又は静菌、及び/又は殺真菌及び/又は静真菌効果、及び/又はウィルス効果が存在することを意味し、ここで用語“殺菌”とは、細菌細胞を殺害できるものとして理解されるべきである。用語“静菌”とは、細菌増殖を阻害でき、すなわち細菌細胞の増殖を阻害できるものとして理解されるべきである。用語“殺真菌”とは、真菌を阻害でき、すなわち真菌細胞の増殖を阻害できるものとして理解されるべきである。用語“殺ウィルス”とは、ウィルスを不活性化できるものとして理解されるべきである。用語“微生物細胞”とは、細菌又は真菌細胞(酵母を包含する)を示す。
本発明のためには、抗菌活性は、Lehrer など., Journal of Immunological Methods, Vol. 137 (2) pp. 167-174 (1991)により記載される方法に従って決定され得る。他方では、抗菌活性は、CLSI (Clinical and Laboratory Standards Institute; formerly known as National Committee for Clinical and Laboratory Standardsとして以前は知られている)からのNCCLSガイドラインに従って決定され得る。
本発明に関しては、2種のアミノ酸配列間の同一性の程度は、FASTAプログラムパッケージのバージョン2.0xに包含されるプログラムFASTAを用いて決定され得る(W. R. Pearson and D. J. Lipman (1988), "Improved Tools for Biological Sequence Analysis", PNAS 85:2444-2448; and W. R. Pearson (1990) "Rapid and Sensitive Sequence Comparison with FASTP and FASTA", Methods in Enzymology 183:63- 98を参照のこと)。使用される評点マトリックスはBLOSUM50であり、ギャップペナルティーは−12であり、そしてギャップ延長ペナルティーは−2であった。
下記一列整列の例においては、オーバーラップは、配列1のアミノ酸配列“HTWGER-NL”又は配列番号2のアミノ酸配列“HGWGEDANL”である。この例においては、ギャップは、“−”により示される。
配列番号1:ACMSHTWGER-NL
| ||| ||
配列番号2: HGWGEDANLAMNPS
抗菌活性を有するポリペプチド:
第1の観点においては、本発明は、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、及びさらに最も好ましくは少なくとも97%の配列番号2のアミノ酸1〜42(すなわち、成熟ポリペプチド)に対する同一性の程度を有し、そして抗菌活性を有する、アミノ酸配列を有する単離されたポリペプチド(この後、“相同ポリペプチド”)に関する。もう1つの好ましい観点においては、相同ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜42とは、10個のアミノ酸、好ましくは5個のアミノ酸、より好ましくは4個のアミノ酸、さらにより好ましくは3個のアミノ酸、最も好ましくは2個のアミノ酸、及びさらに最も好ましくは1個のアミノ酸により異なるアミノ酸配列を有する。
好ましい態様においては、本発明のポリペプチドは、デフェンシンポリペプチドである。もう1つの態様においては、本発明のポリペプチドは、3個のジ−システイン結合を含んで成る。
本発明のポリペプチドのN−末端延長は適切には、1〜50個のアミノ酸、好ましくは2〜20個のアミノ酸、特に3〜15個のアミノ酸から成る。1つの態様においては、N−末端ペプチド延長は、Arg(R)を含まない。もう1つの態様においては、N−末端延長は、下記にさらに定義されるように、kex2又はkex2−様分解部位を含んで成る。好ましい態様においては、N−末端は、少なくとも2個のGlu(E)及び/又はAsp(D)アミノ酸残基を含んで成るペプチド、例えば次の配列:EAE、EE、DE及びDDの1つを含んで成るN−末端延長である。
kex2部位(例えば、Methods in Enzymology Vol 185, ed. D. Goeddel, Academic Press Inc. (1990), San Diego, CA, "Gene Expression Technology"を参照のこと)及びkex2−様部位は、プロペプチドコード領域といくつかのタンパク質の成熟領域との間に見出される二塩基性認識部位(すなわち、分解部位)である。
本発明においては、kex2又はkex2−様部位の挿入は、配列番号2のアミノ酸1〜42として示される成熟ポリペプチドに比較して、延長される抗菌ポリペプチドをもたらすN−末端延長における一定の位置での分解を得るための可能性をもたらす。
融合されたポリペプチド:
本発明のポリペプチドは、いずれかの属の微生物から得られる。本発明のためには、用語“〜から得られる”とは、所定の源に関して本明細書において使用される場合、ヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドが前記源により、又はその源からのヌクレオチド配列が挿入されている細胞により生成されることを意味する。好ましい態様においては、ポリペプチドは細胞外に分泌される。
より好ましい観点においては、ポリペプチドは、ユーロチウム・アムステロダミポリペプチド、例えば配列番号2のポリペプチドである。
それらの種の株は、次の多くの培養物寄託所から容易に入手できる:American Type Culture Collection (ATCC), Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSM), Centraalbureau Voor Schimmelcaltures (CBS), 及びAgricultural Research Service Patent Culture Collection, Northern Regional Research Center (NRRL)。
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチドにも関する。好ましい観点においては、ヌクレオチド配列は、配列番号1により示される。もう1つの好ましい観点においては、ヌクレオチド配列は、配列番号1の成熟ポリペプチドコード領域である。本発明はまた、遺伝子コードの縮重により、それぞれ配列番号1とは異なる、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド、又はそれらの成熟ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列も包含する。本発明はまた、抗菌活性を有する、配列番号2のフラグメントをコードする配列番号1の副配列にも関する。
本発明はまた、制御配列と適合できる条件下で、適切な宿主細胞におけるコード配列の発現を指図する1又は複数の制御配列に作用可能に連結される本発明の単離されたポリヌクレオチドを含んで成る核酸構造体にも関する。
糸状菌宿主細胞のための好ましいリーダーは、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニジュランストリオースリン酸イソメラーゼについての遺伝子から得られる。
酵母宿主細胞のための有用なポリアデニル化配列は、Guo and Sherman, 1995, Molecular Cellular Biology 15: 5983-5990により記載されている。
酵母宿主細胞のための有用なシグナルペプチドは、サッカロミセス・セレビシアエα−因子及びサッカロミセル・セレビシアエインバーターゼについての遺伝子から得られる。他の有用なシグナルペプチドコード領域は、Romanos など., 1992, 前記により記載される。
シグナルペプチド及びプロペプチド領域の両者がポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、そのプロペプチド領域は、ポリペプチドのアミノ末端の次に位置し、そしてシグナルペプチド領域は、プロペプチド領域のアミノ末端の次に位置する。
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチド、プロモーター、及び転写及び翻訳停止シグナルを含んで成る組換え発現ベクターにも関する。上記の種々の核酸及び制御配列は、1又は複数の便利な制限部位でポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の挿入又は置換を可能にするためにそれらの部位を含むことができる組換え発現ベクターを生成するために一緒に連結され得る。他方では、本発明のヌクレオチド配列は、前記ヌクレオチド配列又は前記配列を含んで成る核酸構造体を、発現のための適切なベクター中に挿入することによって発現され得る。発現ベクターを創造する場合、そのコード配列はベクターに位置し、その結果、コード配列は発現のための適切な制御配列により作用可能に連結される。
酵母宿主細胞への使用のための複製の起点の例は、複製の2ミクロン起点、すなわちARS1, ARS4, ARS1及びCEN3の組み合わせ、及びARS4及びCEN6の組み合わせである。
本発明の組換え発現ベクターを構成するために上記要素を連結するために使用される方法は、当業者に良く知られている(例えば、Sambrookなど., 1989, 前記を参照のこと)。
本発明はまた、ポリペプチドの組換え生成において都合良く使用される、本発明のポリヌクレオチドを含んで成る組換え宿主にも関する。本発明のポリヌクレオチドを含んで成るベクターは、そのベクターが染色体組み込み体として、又は前記のような自己複製染色体外ベクターとして維持されるように、宿主細胞中に導入される。用語“宿主細胞”とは、複製の間に生じる突然変異のために、親細胞と同一ではない親細胞のいずれかの子孫を包含する。宿主細胞の選択は、ポリペプチドをコードする遺伝子及びその源に、かなりの程度依存するであろう。
宿主細胞は、単細胞微生物、例えば原核生物、又は単細胞微生物、真核生物であり得る。
宿主細胞は、真核生物、例えば哺乳類、昆虫、植物、又は菌類細胞であり得る。
本発明はまた、(a)その野生型において、前記ポリペプチドの生成の助けと成る条件下でポリペプチドを生成することができる細胞を培養し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る、本発明のポリペプチドの生成方法にも関する。好ましくは、細胞は、ユーロチウム属及びより好ましくは、ユーロチウム・アムステロダミのものである。
得られるポリペプチドは、当業界において知られている方法により回収され得る。例えば、ポリペプチドは、従来の方法、例えば遠心分離、濾過、抽出、噴霧−乾燥、蒸発又は沈殿(但し、それらだけには限定されない)により、栄養培地から回収され得る。
本発明はまた、ポリペプチドを、回収できる量で発現し、そして生成するために、本発明の抗菌活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列により形質転換されているトランスジェニック植物、その植物部分又は植物細胞にも関する。ポリペプチドは、植物又は植物部分から回収され得る。他方では、組換えポリペプチドを含む植物又は植物部分は、食物又は飼料の品質を改良し、例えば栄養価値、嗜好性及び流動性質を改良するために、又は抗栄養因子を破壊するために使用され得る。
本発明のポリペプチドを発現するトランスジェニック植物又は植物細胞は、当業界において知られている方法に従って構成され得る。手短には、植物又は植物細胞は、本発明のポリペプチドをコードする、1又は複数の発現構造体を、植物宿主ゲノム中に導入し、そして得られる修飾された植物又は植物細胞をトランスジェニック植物又は植物細胞中に成長せしめることによって構成される。
発現構造体の選択マーカー遺伝子及びいずれか他の部分は、当業界において入手できるそれらから選択され得る。
本発明はまた、本発明のポリペプチドを含んで成る組成物、例えば医薬組成物にも関する。好ましくは、組成物は、そのようなポリペプチドにおいて富化されている。用語“富化された”とは、組成物の抗菌活性が、例えば1.1の富化倍率、高められたことを示唆する。
組成物は、適切なキャリヤー材料を含んで成る。組成物はまた、それが医薬として使用される場合、所望する遺伝子座に、本発明の抗菌ポリペプチドを供給できる適切な供給ビークルを含んで成ることができる。
本発明のポリペプチド組成物の好ましい使用の例は、下記に与えられる。本発明のポリペプチド組成物の用量及び組成物が使用される他の条件は、当業界において知られている方法に基づいて決定され得る。
本発明はまた、抗菌活性を有するポリペプチドの使用方法にも向けられる。抗菌ポリペプチドは、典型的には、細菌、菌類、酵母又は藻類による汚染にさらされるいずれかの遺伝子座で有用である。典型的には、遺伝子座、微生物が殺害される必要があり、又はそれらの増殖が制御される必要がある、水性システム、例えば冷却水システム、洗濯すすぎ水、油システム、例えば切削油、滑剤、油田及び同様のものにおいて存在する。しかしながら、本発明はまた、既知の抗菌組成物が有用であるすべての用途、例えば木材、ラテックス、接着剤、グルー、紙、厚紙、布、革、プラスチック、コーキング及び飼料に使用され得る。
従って、本発明の抗菌ポリペプチドは、消毒液として、例えば眼又は口における感染、皮膚感染の処理において;発汗抑制剤又は脱臭剤において;コンタクトレンズ、及び歯(経口ケアー)の清浄及び殺菌のために有用である。
それはまた、水性ペイントにおける保存剤又は消毒剤としても使用され得る。
本発明はまた、本発明の抗菌ポリペプチド又は組成物の薬剤としての使用にも関する。さらに、本発明の抗菌ポリペプチド又は組成物はまた、微生物、例えば菌類又は細菌、好ましくはグラム陽性細菌を制御するか又は攻撃するための薬剤の製造のためにも使用され得る。
本発明の組成物は、有効量の本発明の抗菌ポリペプチドを含んで成る。
本発明はまた、創傷治癒組成物又は製品、例えば包帯、医療装置、例えばカテーテル、及び抗−フケ髪用製品、例えばシャンプーにも関する。
本発明の抗菌ポリペプチドの配合物はまた、皮膚感染、例えばアクネ、アトピー性皮膚炎又は脂漏性皮膚炎を有するか、又は素因を有する宿主にも投与され得;好ましくは、皮膚感染は、例えばスタフィロコーカス・エピダーミジス、スタフィロコーカス・アウレウス、プロピオニバクテリウム・アクネ、ピチロスポラム・オバレ又はマラセジア・フルフルにより引起される細菌性皮膚感染である。
本発明の化合物は、治療投与のために種々の配合物中に組込まれ得る。特に、本発明の化合物は、適切な医薬的に許容できるキャリヤー又は希釈剤と組合すことにより医薬組成物中に配合され、そして固体、半固体、液体又は気体形、例えば錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、クリーム、発泡体、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル、微小球、ローション及びエアロゾルでも調製物中に配合され得る。化合物の投与は、種々の手段、例えば経口、頬内、直腸、非経口、腹膜内、皮膚内、経皮内、鞘内、等の投与で達成され得る。本発明の抗菌ポリペプチドは、投与の後、全身性であるか、又は移植の部位で活性用量を保持するように作用する移植物又は他の配合物の使用により局在化され得る。
化合物は、吸入を通して投与されるエアロゾル配合物に使用され得る。本発明の化合物は、加圧された許容できる噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素及び同様のもの中に配合され得る。
さらに、化合物は、種々の塩基、例えば乳化塩基又は水溶性塩基と共に混合することにより、坐剤に製造され得る。本発明の化合物は、坐剤を通して直腸投与され得る。坐剤は、ビークル、例えば体温で溶解し、室温で固化される、コアアバター、カーボワックス及びポリエチレングリコールを含むことができる。
医薬的に許容できる賦形剤、例えばビークル、アジュバント、キャリヤー又は希釈剤は、公的に容易に入手できる。さらに、医薬的に許容できる補助物質、例えばpH調節及び緩衝剤、張度調節剤、安定剤、湿潤剤及び同様のものは、公的に容易に入手できる。
本発明の方法への使用に関しては、本発明の抗菌ポリペプチドは、他の医薬的活性剤、特に他の抗菌剤により配合され得る。興味ある他の剤は、当業界において知られているような広範囲の種類の抗生物質を包含する。抗生物質の種類は、ペニシリン、例えばペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、カルベニシリン、ナフシリン、アンピシリン、等;β−ラクタマーゼインヒビターと組合してのペニシリン、セファロスポリン、例えばセファクロール、セファゾリン、セフロキシム、モキサラクタム、等;カルバペネム;モノベクタム;アミノグリコシド;テトラサイクリン;マクロリド;リンコマイシン;ポリミキシン;スルホンアミド;キノロン;クロラムフェニコール;メトロニダゾール;スペクチノマイシン;トリメトプリム、バンコマイシン、等を包含する。
本発明の抗菌ペプチドは、当業界において知られている従来の方法を用いて、インビトロ合成により調製され得る。種々の市販の合成装置、例えばApplied Biosystems Inc., Beckman, 等による自動化された合成機は市販されている。合成機を用いることにより、天然に存在するアミノ酸は、不自然なアミノ酸、特にD−異性体(又はD−形)、例えばD−アラニン及びD−イソロイシン、ジアステレオ異性体、異なった長さ又は官能性を有する側鎖、及び同様のものにより置換され得る。特定の配列及び調製の態様は、便利性、経済性、必要とされる純度及び同様のものにより決定されるであろう。
本発明はまた、動物飼料への抗菌活性を有するポリペプチドの使用方法、及び本発明の抗菌ポリペプチドを含んで成る飼料組成物及び飼料添加物にも向けられる。
本発明に従っての使用においては、抗菌ポリペプチドは、食事の前、後又は同時に動物に供給され得る。後者が好ましい。
しかしながら、動物飼料への使用に関しては、純粋である抗菌ポリペプチドは必要ではなく;それは他の酵素を含むことができ、この場合、それは抗菌ポリペプチド調製物と呼ばれる。
そのような抗菌ポリペプチド調製物はもちろん、他の酵素と共に混合され得る。
特定の態様においては、植物タンパク質源は、1又は複数のマメ科植物、例えば大豆、ルピナス、エンドウ又はインゲン豆からの材料である。
もう1つの特定の態様においては、植物タンパク質源は、1又は複数のアカザ科植物、例えばビート、砂糖大根、ホウレンソウ又はキノアからの材料である。
大豆は、好ましい植物タンパク質源である。
植物タンパク質源の他の例は、穀物、例えば大麦、小麦ライ麦、オート麦、トウモロコシ、イネ、ライコムギ及びモロコシである。
抗菌ポリペプチドは、それが比較的純粋な抗菌ポリペプチドとして存在する場合、いずれかの形で、又は動物飼料への添加のために意図された他の成分との混合物の形で、すなわち動物飼料添加物、例えばいわゆる動物飼料のためのプレミックスの形で、飼料に添加され得る。
本発明の抗菌ポリペプチドとは別に、本発明の動物飼料添加物は、少なくとも1つの脂溶性ビタミン、及び/又は少なくとも1つの水溶性ビタミン、及び/又は少なくとも1つの微量鉱物、及び/又は少なくとも1つのマクロ鉱物を含むことができる。
特定の態様においては、それらの他の酵素は、十分に定義されている(抗菌ポリペプチド調製物について上記に定義されるように)。
他の抗真菌ポリペプチド(AFP)の例は、WO94/01459号及びWO02/090384号に開示されるように、アスペルギラス・ギガンテウス(Aspergillus giganteus)、及びアスペルギラス・ニガー(Aspergillus niger)ペプチド、並びに抗真菌活性を保持するそれらの変異体及びフラグメントである。
特定の態様においては、本発明の動物飼料添加物は、0.01〜10.0%、より特定には0.05〜5.0%;又は0.2〜1.0%(%は、100gの飼料当たりの添加物g数を意味する)のレベルで、動物規定食又は飼料への包含を意図される(又は包含すべきより意図される)。これは、特に、プレミックスのためである。
脂溶性ビタミンの例は、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE及びビタミンK、例えばビタミンK3である。
水溶性ビタミンの例は、ビタミンB12、ビオチン及びコリン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、葉酸及びパントテネート、例えばCa−D−パントテネートである。
マクロ鉱物の例は、カルシウム、リン及びナトリウムである。
それらの成分(家禽、及び子豚/豚により例示される)の栄養必要条件は、WO01/58275号の表Aに列挙される。栄養必要条件とは、それらの成分が示される濃度で規定食に供給されるべきであることを意味する。
本発明の動物飼料組成物は、50−800g/kgの粗タンパク質含有率を有し、そしてさらに、本明細書に請求されるように、少なくとも1つの抗菌ポリペプチドを含んで成る。
粗タンパク質は、係数6.25により掛け算される窒素(N)、すなわち粗タンパク質(g/kg)=N(g/kg)×6.25として計算される。窒素含有率は、Kjeldahl方法 (A. O. A. C. , 1984, Official Methods of Analysis 14th ed., Association of Official Analytical Chemists, Washington DC)により決定され得る。
特定の態様においては、本発明の動物飼料組成物は、上記に定義されるような少なくとも1つの植物タンパク質の又はタンパク質源を含む。
抗菌ポリペプチドは、1又は複数の次の量(用量範囲)で投与される:0.01-200 ; 又は0.01-100 ; 又は0.05-100 ;又は0.05-50; 又は0.10-10−すべてのそれらの範囲はmgプロテアーゼタンパク質/kg飼料(ppm)である。
本発明はまた、配列番号2のアミノ酸−48〜−29から成るシグナルペプチドをコードする、配列番号1のヌクレオチド1〜60から成る第1ヌクレオチド配列、及び配列番号2のアミノ酸−28〜−1から成るプロペプチドをコードする、配列番号1のヌクレオチド61〜144から成る第2ヌクレオチド配列の1つ、又は両者に作用可能に連結されるタンパク質をコードする、前記第1及び第2のヌクレオチド配列に対して外来性の遺伝子を含んで成る核酸構造体にも関する。
本発明はまた、(a)そのような組換え宿主細胞を、タンパク質の生成のために適切な条件で培養し;そして(b)タンパク質を回収することを含んで成るタンパク質の生成方法にも関する。
本発明はさらに、次の例により記載されるが、それらは本発明の範囲を制限するものではない。
例1:ユーロチウム・アムステロダミ(Eurotium amstelodami)のcDNAライブラリー:
cDNAライブラリーを、ジャガイモデキストロース寒天(PDA)上で5日間、増殖されたE.アムステロダミから調製した。ポリA富化されたRNAを精製し、cDNAを合成し、そしてライブラリーを、標準の分子生物学方法に従って製造した。一般的方法に基づく詳細なプロトコールは、国際特許出願WO01/12794号の実施例に見出され得る。クローニングのために使用されるベクターは、配列番号8で示され、そして次の特徴を有するpMhas5であった:
ユーロシンコードヌクレオチド配列を、次の態様でcDNAライブラリー(例1を参照のこと)から増幅した:1μlのcDNA(約10ngのDNA)を、次のプライマーA及びプライマーBとのPCR反応において鋳型として使用した:
プライマーA:TCTTGGATCCACCATGCACTTCACCAAGGTCTCC(配列番号4)
プライマーB:TCTTCTCGAGTTAGAAAGAACAGGTGCAGGTAGG(配列番号5)
PCR生成物挿入体を含むアスペルギラス発現プラスミドを、pMT2935と命名し、そして配列番号7として示す。
pMT2935(配列番号7を参照のこと)を用いて、アスペルギラス・オリザエ株BECh2を形質転換した(国際特許出願WO00/39322号を参照のこと)。30個の形質転換体を、スクロース及びアセトアミドを有するCove最少プレート上で、選択的及び非誘発性条件下で2度、再単離した。ユーロシンの発現を試験するために、形質転換体を、10mlのYPM(2%のペプトン、1%の酵母抽出物、2%のマルトース)を含む管において、30℃で6日間、増殖した。
発光ブイヨンを、0.22μmのCorning 431118フィルムを通して濾過し、そしてpHを蟻酸を用いて4.0に調節した。0.22μmのフィルターを通しての濾過を反復し、pHの調節の後、追加の沈殿物を除去した。導電率を測定し、そしてMQ−水(Millipore)の添加により約10mS/cm-1に調節した。次に、濾液を、AKTA Explorer HPLC計測器を用いて、12mlのSource 30S (Amersham Biosciences 17-1273-01)カラム上に充填した。充填緩衝液は、50mMの蟻酸、pH4(緩衝液A)であった。
原液を-20℃で貯蔵した。
精製されたユーロシンを、マイクロ希釈アッセイにおいて抗菌活性について評価した。最小阻害濃度(MIC)を、CLSI (Clinical and Laboratory Standards Institute)からのNCCLS/CLSIガイドラインに従って決定した。
ユーロシンを、次の濃度で試験した:32;16;8;4;2;1;0.50;0.25;0.13;及び0.06μg/ml。
表2に示されるように、ユーロシンは、種々のATCC株に対する強い抗菌活性を示す。
隠されたmarkovモデルプロフィール(HMMプロフィール)を用いての配列分析を、インターネット上でのオンラインで、又は良く知られたHMMERの自由に入手できるソフトウェアパッケージを用いて、コンピューター上で局部的に実施することができる。現在のバージョンは、2003年10月からのHMMER2.3.2である。
- デフェンシン_β 又は "β デフェンシン", 受託番号: PF00711 ;
- デフェンシン_propep 又は "デフェンシン プロペプチド", 受託番号: PF00879;
- デフェンシン_1 又は"哺乳類デフェンシン", 受託番号: PF00323;
- デフェンシン_2 又は "節足動物デフェンシン", 受託番号: PF01097;
- γ-チオニン 又は "γ-チオニンファミリー", 受託番号: PF00304。
hmmpfam -E 0.1 defensin.hmm sequence_file
評点がゼロ(0.0)よりも大きいか又は等しく、そしてE−値が0.1以上である場合、問題のアミノ酸配列は、本発明によればデフェンシンである。
PFAMデータベースはさらに、Batemanなど. (2004) "The Pfam Protein Families Database", Nucleic Acids Research, Vol. 32 (Database Issue) pp. D138-D141に記載されている。
Claims (14)
- (a)配列番号2のアミノ酸1〜42のアミノ酸配列;又は
(b)配列番号2のアミノ酸1〜42のアミノ酸配列において1個のアミノ酸を異にするアミノ酸配列;
から成る抗菌活性を有するポリペプチド。 - 配列番号2のアミノ酸1〜42から成る請求項1に記載のポリペプチド。
- 請求項1又は2に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成るポリヌクレオチド。
- 配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列に少なくとも1つの変異を有し、ここで前記変異体ヌクレオチド配列が配列番号2のアミノ酸1〜42から成るポリペプチドをコードする請求項3に記載のポリヌクレオチド。
- 発現宿主においてポリペプチドの生成を指図する1又は複数の制御配列に作用可能に連結される請求項3又は4に記載のポリヌクレオチドを含んで成る核酸構造体。
- 請求項5に記載の核酸構造体を含んで成る組換え発現ベクター。
- 請求項6に記載の核酸構造体を含んで成る組換え宿主細胞。
- 請求項1又は2に記載のポリペプチドの製造方法であって、
(a)請求項7に記載の宿主細胞を培養し;そして
(b)前記ポリペプチドを回収する、
ことを含んで成る方法。 - 請求項1又は2に記載のポリペプチドの生成方法であって、
(a)前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んで成るトランスジェニック植物又は植物細胞を、前記ポリペプチドの生成の助けとなる条件下で培養し;そして
(b)前記ポリペプチドを回収する;
ことを含んで成る方法。 - 請求項1又は2に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにより形質転換されている、トランスジェニック植物、植物部分又は植物細胞。
- 請求項1又は2に記載の抗菌ポリペプチドと微生物細胞とを接触することを含んで成る、微生物細胞を殺すか又はその細胞の増殖を阻害するための方法、但しヒトの治療方法を除く。
- 医薬、又は獣医又はヒト抗菌治療又は予防剤として使用するための請求項1又は2に記載の抗菌ポリペプチド。
- 微生物感染の処理又は予防使用のための獣医又はヒト治療剤の調製への請求項1又は2に記載の抗菌ポリペプチドの使用。
- 動物飼料への少なくとも1つの請求項1又は2に記載の抗菌ポリペプチドの使用。
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