JP5037539B2 - 透明赤外線カットフィルム形成用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、透明な赤外線カットフィルム(可視光で透明であり、近赤外線以上の波長の光を吸収および/または反射するフィルム)を形成するための組成物であって、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末を赤外線カット材として用いた透明赤外線カットフィルム形成用組成物に関する。
従来、赤外線カット材として、ITO粉末(インジウム錫酸化物粉末)やアンチモン錫酸化物粉末(以下、ATO粉末という)を用いることが知られている。ここで、ITO粉末は、透明性および赤外線カット性能に優れている、という利点を有しているが、高価であるためコスト高になる。一方、ATO粉末は、ITO粉末と比較して安価であるが、可視光の透過率が低く、高透明の要求に対応できないのみならず、近赤外線カット性能がITO粉末より劣る、という問題がある(特許文献1)。また、ランタンボライド、タングステン系化合物等の赤外線カット材は、可視光の吸収があり、かつ近赤外の吸収能が劣るという問題がある。
特開平7−69632号公報
本発明は、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末を赤外線カット材として用いることにより上記問題を解決したものであり、安価で透明性が高く、ITO粉末を用いたフィルムと1500nm以上の近赤外カット性能が同等である透明赤外線カットフィルムを形成することが可能な組成物を提供するものである。
本発明は、以下の構成を有することによって上記問題を解決した透明赤外線カットフィルム形成用組成物に関する。
(1)赤外線カット材であるSbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末、および樹脂固形分と溶剤を含むバインダーを含有し、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末の含有量が、SbフリーFドープ酸化錫粉末、ITO粉末およびバインダー中の樹脂固形分の合計質量の50〜85質量%であり、かつSbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末の合計質量を100%としたとき、SbフリーFドープ酸化錫粉末が20〜95%であり、残部の80〜5%がITO粉末である透明赤外線カットフィルム形成用組成物であって、可視光透過率(%Tv)が80%以上であり、可視光透過率(%Tv)の日射透過率(%Ts)に対する比([%Tv/%Ts])が1.2以上である透明赤外線カットフィルムを形成することを特徴とする、透明赤外線カットフィルム形成用組成物。
(2)波長1500nmの透過率が20%以下であり、波長2000nmの透過率が5%以下である透明赤外線カットフィルムを形成する、(1)記載の透明赤外線カットフィルム形成用組成物。
(3)SbフリーFドープ酸化錫粉末のFドープ量が、0.1〜3質量%である、上記(1)または(2)記載の透明赤外線カットフィルム形成用組成物。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか記載の透明赤外線カットフィルム形成用組成物により形成された、厚さが0.1〜5μmの透明赤外線カットフィルム。
(5)上記(4)記載の透明赤外線カットフィルムを有する、車両用窓ガラス、建材用窓ガラス、医療機器用ガラス、または一般包装物もしくはショーケースの透明部。
本発明(1)の透明赤外線カットフィルム形成用組成物は、赤外線カット材であるSbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末を分散させたものであり、安価で、優れた赤外線カット性能を有し、かつ高透明であるという透明赤外線カットフィルムを形成することができる利点を有する。
本発明(1)によれば、赤外線カット材としてSbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末を含有する組成物であって、可視光透過率(%Tv)が80%以上、好ましくは83%以上であり、可視光透過率(%Tv)の日射透過率(%Ts)に対する比([%Tv/%Ts])が1.2以上、好ましくは1.25以上である透明赤外線カットフィルムを形成することが可能である、透明赤外線カットフィルム形成用組成物を得ることができる。
本発明(2)によれば、波長1500nmの透過率が20%以下、好ましくは15%以下であり、波長2000nmの透過率が5%以下、好ましくは3%以下である、透明赤外線カットフィルム形成用組成物を得ることができる。
本発明(1)〜(3)の透明赤外線カットフィルム形成用組成物は、分散液、塗料またはペースト等の多様な形態で使用することができる。
本発明(4)によれば、透明で赤外線カット性のあるフィルムを、多様な形態で利用することができる。
また、本発明(5)によれば、自動車等各種車両の窓ガラス、建材の窓ガラス、医療機器等各種装置の窓ガラス、または一般包装物もしくはショーケースの透明部として、広く適用することができる。
ATO粉末含有膜の透過率の一例を示す図である。 本発明の実施例で用いたITO粉末の含有膜の透過率の一例を示す図である。 本発明の実施例で用いたFドープ酸化錫粉末の含有膜の透過率の一例を示す図である。 本発明の透明赤外線カットフィルムの透過率の一例を示す図である。
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。なお%は特に示さない限り、また数値固有の場合を除いて質量%である。
本発明の透明赤外線カットフィルム形成用組成物は、赤外線カット材であるSbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末、および樹脂固形分と溶剤を含むバインダーを含有し、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末の含有量が、SbフリーFドープ酸化錫粉末、ITO粉末およびバインダー中の樹脂固形分の合計質量の50〜85質量%であり、かつSbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末の合計質量を100%としたとき、SbフリーFドープ酸化錫粉末が20〜95%であり、残部の80〜5%がITO粉末であり、可視光透過率(%Tv)が80%以上、好ましくは83%以上であり、可視光透過率(%Tv)の日射透過率(%Ts)に対する比([%Tv/%Ts])が1.2以上、好ましくは1.25以上である透明赤外線カットフィルムを形成することを特徴とする。また、波長1500nmの透過率が、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下であり、波長2000nmの透過率が、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である透明赤外線カットフィルムを形成することができる。
本発明の赤外線カット材とは、可視光を透過する能力があり、かつ赤外線、特に波長1500nm以上の透過率が低い材料をいい、具体的には、該赤外線カット材を含む透明赤外線フィルムの可視光透過率(%Tv)を80%以上にし、可視光透過率(%Tv)の日射透過率(%Ts)に対する比([%Tv/%Ts])を1.2以上にするものをいう。好ましくは、透明赤外線フィルムの波長1500nmの透過率を20%以下にし、波長2000nmの透過率を5%以下にするものをいう。
SbフリーFドープ酸化錫粉末は、Sbを含まない。ここで、Sbを含まないとは、原料および工程中でSb源を使用せず、従って検出限界500ppmの標準的な測定装置によってSb元素が検出されないことをいう。
SbフリーFドープ酸化錫粉末は、Fを含み、Fドープ量が、0.1〜3質量%であることが好ましい。Fドープ量が0.1質量%より少ないと波長2000nmでの透過率が高くなり、3質量%より多くドープしても赤外線カット効果が頭打ちになるので好ましくない。ここで、Fドープ量の分析は、「管状炉燃焼(パイロハイドロリシス)−イオンクロマトグラフィー」により、具体的には、試料1gを磁性ボートにサンプリングし、1000℃に加熱した石英管状炉にボートを挿入後、水蒸気を含む空気を試料に注入し、30分間反応させ、発生したHFを炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合液に吸収させた後、吸収液をイオンクロマトグラフで測定する。
SbフリーFドープ酸化錫粉末の粒径は、特に限定されないが、可視光透過率および日射透過率の観点から、0.005〜50μmが好ましく、0.01〜10μmがより好ましい。ここで、粒径とは、比表面積より換算したBET径を指す。また、SbフリーFドープ酸化錫粉末の形状は、粒状が好ましい。
また、SbフリーFドープ酸化錫粉末は、淡灰褐色乃至淡灰青色であることが、赤外線カット性の観点から好ましい。
SbフリーFドープ酸化錫粉末は、(1)酸化錫粉末に、フッ化第一錫、ホウフッ化第一錫の少なくとも何れかを作用させてFドープしたもの、(2)水酸化第二錫に、フッ化第一錫、ホウフッ化第一錫の少なくとも何れかを作用させてFドープし、焼成してFドープ酸化錫としたもの、(3)第二錫イオンと水酸化アルカリを反応させて水酸化第二錫を沈殿させる際に、フッ化第一錫、ホウフッ化第一錫の少なくとも何れかを加えて共沈させた後に、焼成してFドープ酸化錫としたもののどれを用いてもよい。淡灰褐色乃至淡灰青色で、粉末全体が均一なSbフリーFドープ酸化錫粉末を得るためには、(3)の共沈法を用いる方法が好ましい。
ITO粉末は、平均粒径0.2μm以下の粉末が適当であり、0.1μm以下の粉末が好ましい。また、ITO粉末は、粒状が好ましい。
ITO粉末は、Snの質量比〔Sn/(Sn+In)〕が1〜20%の粉末が好ましい。Snが1%未満のときには、熱線遮蔽性能が劣る傾向があり、また、In成分が多くなるため、高価になる。一方、Snの質量比が20%より多いと、上記同様に熱線遮蔽性能に劣る傾向があるため、好ましくない。
ITO粉末のLab表色系の色度は、熱線遮蔽性に関係し、ITO粉末はb/L=−0.05以下の粉末が好ましい。b/L=−0.05超のときには熱線遮蔽性能に劣る傾向がある。
バインダーは、樹脂固形分と溶媒を含む。ここで、樹脂固形分は、使用する溶媒に溶解でき、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末を分散することができ、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末を結合して透明赤外線カットフィルムを形成し得るものであれば、一般的に分散液、塗料、ペースト等で用いられている任意の樹脂固形分を用いることができる。ここで、樹脂固形分としては、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
溶媒としては、水、トルエン、アセトン、エタノール等が挙げられる。樹脂固形分と溶剤が予め混合されたアクリル塗料、ポリエステル塗料、ウレタン塗料等も好適に用いられる。市販製品としては、関西ペイント製アクリリック、DIC製アクリディック等が挙げられる。
本発明の透明赤外線カットフィルム形成用組成物は、赤外線カット材であるSbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末の含有量が、SbフリーFドープ酸化錫粉末、ITO粉末およびバインダー中の樹脂固形分の合計質量の50〜85質量%であり、60〜80質量%であると、好ましい。50質量%以上であると、充分な赤外線カット効果が得られ、85質量%以下であると、赤外線カットフィルムの透明性が良好である。
また、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末の比率は、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末の合計質量を100%としたとき、SbフリーFドープ酸化錫粉末が20〜95%であり、残部の80〜5%がITO粉末である。SbフリーFドープ酸化錫粉末が、25〜50%であると、好ましい。ITO粉末が5%以上であると、充分な赤外線カット効果が得られ、80%以下であると、コストメリットが得られる。
透明赤外線カットフィルム形成用組成物のバインダーは、バインダー中に樹脂固形分を3〜50質量%で含むことが好ましく、5〜20質量%であると、より好ましい。
溶剤の使用量については、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末をバインダーに分散させて、最終的に得られる組成物の粘性が、塗布または印刷に適したものとなるように調製することができる。また、樹脂固形分と溶剤が予め混合されたバインダーを用いる場合には、SbフリーFドープ酸化錫粉末、ITO粉末とバインダーを混合した後、溶剤で組成物の粘性を調製してもよい。本発明の透明赤外線カットフィルム形成用組成物においては、粘度が2〜10000cps(E型粘度計:20℃)の範囲内にあることが好ましい。
さらに、本発明の透明赤外線カットフィルム形成用組成物には、その目的を損なわない範囲内で、上記以外の慣用の各種添加剤を配合してもよい。このような添加剤として、分散剤、分散助剤、重合禁止剤、硬化触媒、酸化防止剤、レベリング剤等を挙げることができる。
本発明の透明赤外線カットフィルム形成用組成物は、例えば、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末を樹脂固形分に分散させ、その後、溶剤を加えて分散させることにより製造することができる。また、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末を溶剤に分散させ、その後、上記樹脂固形分を加えて分散させることによっても製造することができる。必要に応じて、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末を、樹脂固形分と溶剤が予め混合されたバインダー中に加えて分散させることによっても製造することができる。無論、SbフリーFドープ酸化錫粉末、ITO粉末、樹脂固形分および溶剤の4成分を同時に混合し、分散させることによっても製造することができる。このような分散操作は、常法により、ペイントシェーカー、ボールミル、サンドミル、セントリミル、三本ロール等によって行うことができる。無論、通常の攪拌操作によって分散させることもできる。
本発明の透明赤外線カットフィルム形成用組成物を塗布して、本発明の透明赤外線カットフィルムを形成する基板としては、電気・電子機器をはじめとして様々な分野において広く用いられている、各種の合成樹脂、ガラス、セラミックス等を挙げることができ、これらはシート状、フィルム状、板状等の任意の形状であり得る。合成樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびフェノール樹脂等を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
本発明の透明赤外線カットフィルム形成用組成物の基板への塗布または印刷は、常法により、例えば、ロールコート、スピンコート、スクリーン印刷、アプリケーター等の手法で行うことができる。その後、バインダー成分を、必要により加熱して溶剤を蒸発させ、塗膜を乾燥させて硬化させる。このとき、加熱または紫外線等を照射してもよい。
本発明の透明赤外線カットフィルムの厚さは、透明性と赤外線カット性の観点から、0.1〜5μmであると好ましく、0.5〜2μmであるとより好ましい。
本発明の透明赤外線カットフィルム形成用組成物は、可視光透過率(%Tv)が80%以上、好ましくは83%以上であり、可視光透過率(%Tv)の日射透過率(%Ts)に対する比([%Tv/%Ts])が、1.2以上、好ましくは1.25以上である透明赤外線カットフィルムを形成することができ、また、波長1500nmの透過率が、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下であり、波長2000nmの透過率が、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である透明赤外線カットフィルムを形成することができる。
可視光透過率(%Tv)は、JIS R3106(1998年制定)に基づき、求めた値である(波長範囲:380〜780nm)。
日射透過率(%Ts)は、JIS R3106(1998年制定)に基づき、求めた値である(日射の波長範囲:300〜2500nm)。また、1500nm、2000nmの透過率は、この測定に基づく値である。
なお、可視光透過率(%Tv)の日射透過率(%Ts)に対する比([%Tv/%Ts]、以下「赤外線カット比」という)は、赤外線カット性能を表し、標準的な態様において、概ね以下に示す水準である。
(イ)酸化錫粉末含有膜は、可視光透過率(%Tv)が84%前後の透明性を有する場合に、日射透過率(%Ts)も81%前後と高く、従って、赤外線カット比は、1.0程度と低い。1500nmの透過率は70%程度であり、2000nmの透過率は40%以下である。
(ロ)ATO粉末含有膜は、可視光透過率(%Tv)が80%前後の透明性を有する場合に、日射透過率(%Ts)は概ね65%前後であり、従って、赤外線カット比は、1.2程度であり、酸化錫粉末を含有するものより該カット比は高い。1500nmの透過率は、30%程度であり、2000nmの透過率は10%程度である。図1に、ATO粉末含有膜の透過率の一例を示す。この例では、可視光透過率は79.7%、日射透過率は64.8%、赤外線カット比は、1.23であり、1500nmの透過率は、31%、2000nmの透過率は7%である。
(ハ)ITO粉末含有膜は、上記(イ)、(ロ)の酸化錫粉末やATO粉末と同程度の含有量である場合、可視光透過率(%Tv)は約90%前後であり、透明性に優れ、また日射透過率(%Ts)は約60%程度と低く、従って、赤外線カット比は、1.4以上と高いものがある。1500nmの透過率は、3%程度、2000nmの透過率は1%程度である。図2に、本発明の実施例で用いたITO粉末の含有膜の透過率の一例を示す。この例では、可視光透過率は85.4%、日射透過率は64.8%、赤外線カット比は、1.32であり、1500nmの透過率は、2%、2000nmの透過率は0.2%である。
一方、本発明の透明赤外線カットフィルム形成用組成物により形成される透明赤外線カットフィルムは、アンチモンフリーでありながら、Fドープ酸化錫とITO粉末を用いることにより、可視光透過率(%Tv)80%以上、好ましくは83%以上、波長1500nmの透過率が好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下であり、2000nmの透過率が好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下であって、赤外線カット比が1.2以上、好ましくは1.25以上である。図3に、本発明の実施例で用いたFドープ酸化錫粉末の含有膜の透過率の一例を、図4に、本発明の透明赤外線カットフィルムの透過率の一例を示す。ここで、透明赤外線カットフィルムは、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末の含有量が、SbフリーFドープ酸化錫粉末、ITO粉末およびバインダー中の樹脂固形分の合計質量の80質量%であり、かつSbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末の合計質量を100%としたとき、SbフリーFドープ酸化錫粉末が70%であり、残部の30%がITO粉末である。図3では、可視光透過率は83.5%、日射透過率は70.2%、赤外線カット比は、1.19であり、1500nmの透過率は、37%、2000nmの透過率は2%である。図4では、可視光透過率は82.9%、日射透過率は61.9%、赤外線カット比は、1.34であり、1500nmの透過率は、2%、2000nmの透過率は0.3%である。図4からわかるように、本発明の赤外線カットフィルムは、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末の合計質量に対して、ITO粉末を30質量%しか含有していなくても、すなわち安価で、ITO粉末の含有膜と同等の透過率のプロファイルを示す。
本発明の透明赤外線カット組成物は、分散液、塗料、ペースト等の形態で供給が可能である。また、これらによって形成された赤外線カットフィルムは、塗膜、あるいは印刷膜等の多様な形態で利用することができる。また、本発明の透明赤外線カットフィルムは、自動車等の各種車両用窓ガラス、建材用窓ガラス、医療機器用等の各種装置用のガラス、または一般包装物もしくはショーケース等の透明部等に広く適用することができる。
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔SbフリーFドープ酸化錫粉末の調製〕
塩化第二錫水溶液に、フッ化第一錫(試料名:a1〜a5)、ホウフッ化第一錫(試料名:b1〜b5)を、第二錫イオン量に対して、それぞれ30、20、10、5、1mol%となるように加えた、この溶液と、1N水酸化ナトリウム溶液とを、80℃の温水に、撹拌しながらpHを3〜4に保ちながら同時滴下を行い、Fドープ水酸化第二錫を得た。これを、酸素を遮断して、水蒸気を含んだ窒素雰囲気下で、600℃で1時間焼成し、淡灰褐色乃至淡灰青色のSbフリーFドープ酸化錫粉末を得た。
これらの試料を管状炉燃焼(パイロハイドロリシス)−イオンクロマトグラフィーによりFドープ量の分析を行った結果を表1に示す。
〔透明赤外線カットフィルム形成用組成物の調製〕
これらの試料からFドープ量の異なる試料a5、b3、b1を選び、三菱マテリアル(株)製ITO粉末(製品名:P−2)と、表2〜4の比率になるようにトルエン・エタノールに分散させ、これに市販のDIC製アクリル塗料(製品名:アクリディック)を、表2〜4に示す塗膜中含有量(透明赤外線カットフィルム形成用組成物乾燥時の〔(SbフリーFドープ酸化錫粉末+ITO粉末の質量)/(SbフリーFドープ酸化錫粉末+ITO粉末の質量+樹脂固形分の質量)〕)になるように調製し、透明赤外線カットフィルム形成用組成物を作製した。
〔透明赤外線カットフィルムの形成〕
作製した透明赤外線カットフィルム形成用組成物を、アプリケーターでPETフィルム上に塗布し、100℃で乾燥し、厚さ2μmの透明赤外線カットフィルムを形成した。
〔透明赤外線カットフィルムの可視光透過率および日射透過率の測定〕
形成した透明赤外線カットフィルムについて、日立社製分光光度計(U−4000)を用い、PETフィルムの[%Tv]、[%Ts]をベースラインとして、可視光透過率(%Tv)、日射透過率(%Ts)、および1500nm、2000nmの透過率を測定した。結果を表2〜4に示す。
参考として、本発明で用いたITO粉末を用いて作成した塗膜の可視光透過率(%Tv)、日射透過率(%Ts)、および1500nm、2000nmの透過率を測定した。結果を表5に示す。
表1に示すように、酸化錫粉末に0.2〜2.9質量%のFを含有させることができた。また、表2〜4に示すように、塗膜中含有量50〜85質量%では、可視光透過率、日射透過率、[%Tv/%Ts]、および1500nm、2000nmの透過率の全てにおいて良好な結果であった。これに対して、塗膜含有量50、および90質量%においては、[%Tv/%Ts]が1.2より低く、塗膜含有量50質量%においては、a5:20質量%+ITO:80質量%のときを除き、可視光透過率が80%より低かった。また、塗膜含有量が50〜85質量%であれば、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末の合計質量に対するFドープ酸化錫粉末の比率が20〜95質量%で、可視光透過率、日射透過率、[%Tv/%Ts]、および1500nm、2000nmの透過率の全てにおいて良好な結果を得た。特に、Fドープ酸化錫粉末の比率が95質量%において、すなわちITO粉末を5質量%しか含有しない透明赤外線カットフィルムであっても、良好な可視光透過率、日射透過率、[%Tv/%Ts]、および1500nm、2000nmの透過率を得ることができた。このように、本発明の透明赤外線フィルムは、ITO粉末を用いて作製した塗膜と、同等の透過率特性を有することがわかった。
本発明は、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末を赤外線カット材として用いることにより、安価で透明性が高く、ITO粉末を用いたフィルムと1500nm以上の近赤外カット性能が同等である透明赤外線カットフィルムを形成することが可能な組成物を提供するものである。

Claims (5)

  1. 赤外線カット材であるSbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末、および樹脂固形分と溶剤を含むバインダーを含有し、SbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末の含有量が、SbフリーFドープ酸化錫粉末、ITO粉末およびバインダー中の樹脂固形分の合計質量の50〜85質量%であり、かつSbフリーFドープ酸化錫粉末とITO粉末の合計質量を100%としたとき、SbフリーFドープ酸化錫粉末が20〜95%であり、残部の80〜5%がITO粉末である透明赤外線カットフィルム形成用組成物であって、可視光透過率(%Tv)が80%以上であり、可視光透過率(%Tv)の日射透過率(%Ts)に対する比([%Tv/%Ts])が1.2以上である透明赤外線カットフィルムを形成することを特徴とする、透明赤外線カットフィルム形成用組成物。
  2. 波長1500nmの透過率が20%以下であり、波長2000nmの透過率が5%以下である透明赤外線カットフィルムを形成する、請求項1記載の透明赤外線カットフィルム形成用組成物。
  3. SbフリーFドープ酸化錫粉末のFドープ量が、0.1〜3質量%である、請求項1または2記載の透明赤外線カットフィルム形成用組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の透明赤外線カットフィルム形成用組成物により形成された、厚さが0.1〜5μmの透明赤外線カットフィルム。
  5. 請求項4記載の透明赤外線カットフィルムを有する、車両用窓ガラス、建材用窓ガラス、医療機器用ガラス、または一般包装物もしくはショーケースの透明部。
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