[第1の実施形態]
以下、図面を参照し、本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態における通信システムは、基地局装置700(第1の通信装置)と端末装置900(第2の通信装置)とを備える移動体通信システムである。本実施形態における通信システムでは、ハイブリッド自動再送HARQを行う。すなわち、端末装置900は、基地局装置700からの受信信号から検出したデータ信号に誤りを検出すると再送を要求し、基地局装置700は、当該基地局装置700が送信したデータ信号を受信した端末装置900からの再送の要求を受けると、送信したデータ信号の再送データ信号を送信する。図1は、本実施形態における通信システムの概要を説明するシーケンス図である。図1において、横軸は時間軸であり、基地局装置700の軸は、基地局装置700の行う処理の概要を表し、端末装置900(初送)の軸は、端末装置900が初送パケットに対して行う処理の概要を表し、端末装置900(再送)の軸は、端末装置900が再送パケットに対して行なう処理の概要を表している。
まず、基地局装置700が下りリンクを介して初送パケットであるデータ信号P1とP2を多重して移動局である端末装置900に送信する(Sa1)。伝送に要する時間を経て信号を受信した端末装置900は、データ信号P1とP2が多重された受信信号を記憶し(Sa2)、干渉キャンセル処理とデータ検出処理を行う。ここで、干渉とは多重された他の信号を意味する。例えば、コード多重されているシステムにおけるコード間干渉、あるいは空間多重されているシステムにおけるストリーム間干渉においては、データ信号P1にとっては、データ信号P2が干渉であり、データ信号P2にとってはデータ信号P1が干渉である。干渉キャンセル処理とは、受信信号から干渉信号を再生した信号(干渉レプリカ信号)を除去する処理であり、例えばデータ信号P2を検出するデータ検出処理には、干渉キャンセル処理により受信信号からデータ信号P1のレプリカを除去した信号を用いる。
ここでは、端末装置900における上述のデータ検出処理の結果、データ信号P1とP2の両方のパケットにおいて誤りを検出したものとして説明する。端末装置900は、データ信号P1とP2のパケットにおいて誤りを検出したことを基地局装置700に報告するための成否情報(否定応答NACK1、NACK2)を含む信号(応答信号)を生成し、上りリンクを介して基地局装置700に送信する(Sa3)。
シーケンスSa3の応答信号を受信した基地局装置700は、否定応答NACKを返された初送パケットのデータ信号P1に対する再送パケットのデータ信号である再送データ信号PN+1を生成して、下りリンクを介して端末装置900に送信する(Sa4)。このように、本発明に係る基地局装置700は、否定応答NACKを返された複数のパケットのうち、一部のパケットに対する再送データ信号のみを生成して送信する。
シーケンスSa4の再送データ信号PN+1を受信した端末装置900は、この再送データ信号PN+1と、シーケンスSa2にて記憶してあるデータ信号P1とP2が多重された受信信号とを合成して、干渉キャンセル処理とデータ検出処理(再検出処理)を行う。
前述したように、干渉キャンセル処理は、多重された他のパケットのレプリカを除去することにより、データ検出処理における検出精度を向上させる。ハイブリッド自動再送HARQ方式による再送では、初送パケットと再送パケットを合成した信号を用いてデータ検出するので、初送パケットのみを用いてデータ検出するより良好な検出精度を得ることができる。
すなわち、シーケンスSa1にて初送パケットを受信したときのデータ検出処理より、再送パケットを合成したときのデータ検出処理の方が、データ信号P1の検出精度が向上する。そのため、データ信号P1のレプリカの精度が向上し、データ信号P2に対する干渉キャンセル処理の精度が向上するため、データ信号P2に対するデータ検出処理における検出精度も向上する。
このように、再送データ信号PN+1に対応するデータ信号P1のみならず、データ信号P1に多重されたデータ信号P2の品質(例えば誤り率)を改善し、データ信号P2の成否結果を初送の結果とは異ならせることができる。ここでは、シーケンスSa4の再送データ信号PN+1を受信した端末装置900が、干渉キャンセル処理とデータ検出処理を行い、データ信号P1とデータ信号P2の両方のパケットについて誤りを検出しなかったとして説明する。
端末装置900は、再送データ信号PN+1、すなわちデータ信号P1とデータ信号P2のパケットにおいて誤りを検出しなかったことを基地局装置700に報告するための成否情報(肯定応答ACKN+1、肯定応答ACK2)を含む信号(応答信号)を生成し、上りリンクを介して基地局装置700に送信する(Sa5)。
肯定応答ACKN+1とACK2を受信した基地局装置700は、それ以降、データ信号P1とP2に対応する再送を行う必要がなくなる。結果的に、データ信号P1に対応する再送データ信号PN+1を再送することにより、データ信号P1とP2両方のパケットにおける誤りを改善し、データ信号P2に対応する再送を行うことなく、データ信号P1とP2におけるデータ検出が可能となる。
図2は、本実施形態における初送パケットのデータ信号に対する応答信号の上りリンクへの配置を示す図である。図2において、横軸は時間軸であり、符号C1〜C5を付した矩形は、各々に制御チャネルまたはデータチャネル(共用チャネル)が割当てられる領域を表す。本実施形態は、基地局装置700からのデータ信号に対して、一定時間後に端末装置900から応答信号を必ず報告するため、データ信号の送信先である端末装置900には、図2に符号C1で示すように基地局装置700からのデータ信号に対応した上りリンクの応答信号用制御チャネルが割り当てられる。なお、図2の領域C1の網掛けは応答信号が配置されていることを示しており、領域C2〜C5の白抜きは端末装置900から基地局装置700へのデータ信号が配置されていることを示している。
例えば、図1に示す初送パケットのデータ信号P1が送信されたときは、データ信号P1に対応して端末装置900に割り当てられた応答信号用制御チャネルを用いて否定応答NACK1を報告し、再送パケットである再送データ信号PN+1が送信されたときは、再送データ信号PN+1に対応して端末装置900に割り当てられた応答信号用制御チャネルを用いて肯定応答ACKN+1(あるいは肯定応答ACK1)を報告する。
図3は、本実施形態における再送パケットの再送データ信号に対する応答信号の上りリンクへの配置を示す図である。上述したように、再送パケットの再送データ信号PN+1が送信されたときに、端末装置900がデータ検出処理の結果を表す肯定応答ACKN+1と肯定応答ACK2を報告するには、再送データ信号PN+1に対応して端末装置900に割り当てられた応答信号用制御チャネル(領域C1’)だけでは、肯定応答ACKN+1を配置するだけでリソースを使い切ってしまい、肯定応答ACK2を配置するリソースが不足する。
そこで、本実施形態では、図3に示すように、データチャネルの一部(領域C2’)を用いて、肯定応答ACK2、すなわち再送データ信号に対応するデータ信号と多重されたデータ信号についての、再送データ信号を用いたデータ検出処理(再検出処理)の結果を示す応答信号を報告する。なお、図3の領域C1’の網掛けは応答信号が配置されていることを示しており、領域C2’の斜線は再送データ信号に対応するデータ信号と多重されたデータ信号についての、再送データ信号を用いたデータ検出処理(再検出処理)の結果を示す応答信号を示しており、領域C3’〜C5’の白抜きは端末装置900から基地局装置700へのデータ信号が配置されていることを示している。
本実施形態では、図1に示すように、データチャネルの一部を用いて再検出結果である肯定応答ACK2を報告する場合を例に挙げた。基地局装置700からのデータ信号に対して、一定時間後に端末装置900から応答信号を必ず報告するシステムの場合、肯定応答ACKと否定応答NACKはそれぞれ成否のみを表すことが多い。このため、肯定応答ACKや否定応答NACKの報告を受けた基地局装置700は、肯定応答ACKや否定応答NACKの報告を受けた応答信号用チャネルの番号(あるいはタイミング)を参照して、いずれのデータ信号に対応する応答信号であるかを判断する。
例えば図1の場合は、応答信号である肯定応答ACKN+1がデータ信号PN+1に対応する応答信号用制御チャネルを用いて報告されるため、基地局装置700は、報告された応答信号が再送データ信号PN+1に対応するものであると判断する。一方、データチャネルの一部を用いて報告する肯定応答ACK2に関しては、応答信号用チャネルの番号は参照できないものの、予め基地局装置700が初送パケットにおいてデータ信号P1とP2が多重されたことを記憶しておくことにより、シーケンスSa5でデータチャネルに配置された肯定応答ACK2がデータ信号PN+1に対応する初送パケットであるデータ信号P1に多重されたデータ信号P2に対応する応答信号であると判断することができる。
なお、端末装置900は、再送データ信号PN+1を用いたデータ検出処理の結果の応答信号は、誤りを検出しなかったデータ信号に対する応答信号(肯定応答ACK)のみを送信するようにし、基地局装置700は、再送データ信号PN+1に対応するデータ信号P1と多重されたデータ信号のうち、応答信号を受けたデータ信号のみ、以降、再送を行わないようにしてもよい。
これ以外にも、図4に示すような方法を用いるようにしてもよい。図4は、本実施形態における通信システムの変形例の概要を説明するシーケンス図である。図4では、シーケンスSa1からSa4までは、図1と同様であるが、図1のシーケンスSa5に代えたシーケンスSa5’においてデータ信号P2の再検出処理が成功したこと、すなわち誤りを検出しなかったことを示す肯定応答ACK2ではなく、データ信号P2を示す識別情報ID2をデータチャネルを介して基地局装置700に報告する。
ここで、識別情報ID2は、データ信号P2に振られたパケット番号であってもよいし、データ信号P2を送信する停止待ちハイブリッド自動再送HARQ(SAW−HARQ)プロセスの基地局装置700におけるプロセス番号であってもよい。この他にも基地局装置700に対して、再検出処理に成功したデータ信号がいずれのデータ信号であるかを端末装置900が報告できるような信号であればよい。この場合、予め基地局装置700が初送パケットにおいてデータ信号P1とP2が多重されたことを記憶しておく必要はない。
なお、上記の説明では、2つのパケットが多重されている場合を例に挙げたが、これに限るものではない。2つを越えるパケットが多重され、干渉キャンセル処理とデータ検出処理を行う通信システムに対しても、同様にして適用可能である。
このように、基地局装置700から端末装置900へ複数の初送パケットを多重して送信し、端末装置900において干渉(多重された他のパケット)を除去しながらデータ信号を検出し、かつデータ信号の検出に失敗した場合に、基地局装置700から端末装置900へハイブリッド自動再送HARQ方式を用いて再送パケットを送信するようなシステムにおいて、多重された複数の初送パケットの検出に失敗し、その一部のパケットに対応する再送パケットが送信された際に、一部のパケットのみでなく初回に検出に失敗した他の初送パケットについてもデータ信号を再度検出し、検出に成功すれば、検出成功を示す情報をデータ送信用のチャネルを介して基地局装置700に送信する。これにより、一つの再送パケットで、複数の初送パケットを検出することができるため、下りリンクにおける再送パケット数の増加を抑制し、優れた伝送効率を得ることができる。
以下、本実施形態における基地局装置700および端末装置900の構成を説明する。本実施形態における移動体通信システムでは、基地局装置700がデータ信号をコード多重し、端末装置900で繰り返し並列型MCI(Multi Code Interference;コード間干渉)キャンセラを用いる。なお、繰り返し並列型MCIキャンセラは、MCIレプリカを生成し、受信信号から減算することでコード間干渉MCIの抑圧を行う。
図5は、本実施形態による基地局装置700の構成を示す概略ブロック図である。基地局装置700は、コードチャネル信号生成部701−1、・・・、701−N(ただし、Nはコード多重数)、コード多重部702、インタリーバ部703、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)部704、パイロット信号生成部705、多重部706、GI(Guard Interval:ガードインターバル)挿入部707、無線送信部708、アンテナ709、無線受信部710、分離部711、再送制御部712、再送制御信号生成部713を備えている。本実施形態では、コードチャネル信号生成部701−1〜701−Nとコード多重部702と再送制御部712とで、送信信号生成部として機能する。
コードチャネル信号生成部701−1〜701−Nの各々は、符号部714、レートマッチ部715、変調部716、拡散部717、符号化ビット記憶部718を備えている。なお、上りリンク信号に関する部分については後述する。
基地局装置700から端末装置900への下りリンク信号の送信処理に関して説明する。コードチャネル信号生成部701−1〜701−Nの各々は、情報ビット(送信データ)からコードチャネル毎のデータ信号を生成する。また、データ信号の検出処理結果を表す端末装置900からの応答信号が、データ信号検出失敗を示すときは、再送制御部712の指示に従い再送データ信号を生成する。なお、後述するように、多重して送信したデータ信号のうち、複数のデータ信号の応答信号がデータ信号検出失敗を示しているときは、再送制御部712は、これら複数のデータ信号のうちの一部(本実施形態では一つ)のデータ信号に対する再送データ信号の生成を指示する。
まず、各コードチャネル信号生成部701−1〜701−Nの符号部714は、各々に対応するコードチャネルの情報ビット系列が入力され、入力された情報ビット系列に対してチャネル符号化処理を行い、符号化ビット系列を出力する。ここでチャネル符号化としては、畳み込み符号化、リードソロモン符号化などの誤り訂正能力を有する符号化を用いることが好ましい。より好ましくは、後述する図6に示すようなターボ符号化、LDPC(Low Density Parity Check:低密度パリティ検査)符号化などの高い誤り訂正能力を有する符号化を用いる。
レートマッチ部715は、符号部714から出力された符号化ビット(初送パケットのとき)あるいは符号化ビット記憶部718から出力された符号化ビット(再送パケットのとき)に対して、再送制御部712から出力される再送回数に応じたパンクチャリング(ビット除去)、ビットパディング(ビット挿入)あるいはビットリピティション(ビット繰り返し)処理を行う。好ましくは、さらにビットインタリーブ処理を施す。符号化ビット記憶部718(送信データ記憶部とも称する)は、符号部714の出力である符号化ビット系列を記憶する。また、再送制御部712の制御に従い、記憶している符号化ビット系列を削除する。これらの処理の詳細については後述する。なお、符号部714の出力する符号化ビットに代えて、符号部714へ入力される情報ビット自体を再送用に記憶しても良い。
変調部716は、レートマッチ部715から出力された符号化ビット(パンクチャド符号化ビット)系列に対して変調処理を行い、変調シンボル系列を出力する。このとき変調方式としては、PSK(Phase Shift Keying:位相偏移変調)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)などの変調方式を用いることができる。さらに好ましくは、基地局装置700と端末装置900との間の伝搬路に応じた変調方式を用いる。
拡散部717は、変調部716から出力されたシンボル系列を拡散率分だけ複製し、コードチャネル毎の拡散符号(Cn、n=1、・・・、N)を乗算することにより、チップ系列(コードチャネル毎のデータ信号)を生成し、コード多重部702に出力する。コード多重部702は、コードチャネル信号生成部701−1、・・・、701−Nの出力であるコードチャネル毎のデータ信号を多重して、インタリーバ部703に出力する。インタリーバ部703は、コード多重部702から出力された信号に、チップインタリーブやシンボルインタリーブなどのインタリーブ処理を施す。
IFFT部704は、インタリーバ部703が出力した周波数方向に並べられた信号(データ信号)に対して、逆フーリエ変換処理を行うことにより、時間領域の信号に変換する。パイロット信号生成部705は、端末装置900において伝搬路推定に用いるためのパイロット信号を生成する。再送制御信号生成部713は、再送制御部712から通知される各コードチャネルの信号の再送回数を端末装置に通知するための信号(再送制御信号)を生成する。
多重部706は、IFFT部704から出力された時間領域の信号と、パイロット信号生成部705から出力されたパイロット信号と、再送制御信号生成部713から出力された再送制御信号とを多重する。多重部706が多重した信号に、GI挿入部707は、ガードインターバルを付加する。無線送信部708(送信部とも称する)は、このガードインターバルを付加した信号を、無線周波数にアップコンバートした後、アンテナ709を介して端末装置900に送信する。
図6は、チャネル符号化として符号化率が3であるターボ符号化を用いる場合の符号部714の構成を示す概略ブロック図である。符号部714は、内部符号器801、内部インタリーバ802、内部符号器803を備えている。符号部714は、入力された情報ビットと、入力された情報ビットを内部符号器801が符号化した第1パリティビットと、入力された情報ビットを内部インタリーバ802がインタリーブした後、内部符号器803が符号化した第2パリティビットとを出力する。これら、情報ビットと、第1パリティビットと、第2パリティビットとを合わせたビット系列が、符号化ビット系列である。
図5のレートマッチ部715は、再送制御部712の制御の基で、符号部714からの出力である符号化ビットあるいは、符号化ビット記憶部718からの出力である符号化ビットに対して、上述したようなパンクチャド処理などを行う。好ましくは、符号部715からの出力である符号化ビットに適用するパンクチャパターンと、符号化ビット記憶部718からの出力である符号化ビット、すなわち再送パケットの符号化ビットに適用するパンクチャパターンとが異なるようにパンクチャリングする。
さらに好ましくは、符号部714からの出力である符号化ビットに適用するパンクチャパターンは、符号化ビット中の情報ビットを除去せず、第1パリティビットまたは第2パリティビットの中から除去するパターンを用い、符号化ビット記憶部718からの出力である符号化ビットに適用するパンクチャパターンは、符号部715からの出力である符号化ビットに適用するパンクチャパターンにおいて除去したビットを除去しないようなパターンを用いる。なお、ここでは、必ずビット除去する場合について説明したが、必ずしもビットを除去しなくても良い。すなわち、ビットを除去しないようなパンクチャパターンを用いても良い。
図7は、本実施形態による端末装置900の構成を示す概略ブロック図である。端末装置900は、アンテナ901、無線受信部902、分離部903、伝搬路推定部904、伝搬路推定値記憶部905、GI除去部906、FFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)部907、受信信号記憶部908、受信パケット管理部909、干渉キャンセラ部910、コードチャネルレプリカ生成部911−1〜911−N、ビットLLR(Log Likelihood Ratio:対数尤度比)記憶部912、成否情報信号生成部913(応答信号生成部)、多重部914、無線送信部915(送信部)を備えている。なお、本実施形態では、干渉キャンセラ部910とコードチャネルレプリカ生成部911−1〜911−Nとで、データ信号検出部として機能する。このデータ信号検出部は、無線受信部902が複数のデータ信号が多重された信号を受信すると、該複数のデータ信号の検出処理を行い、さらに無線受信部902がこれらの複数のデータ信号に対する再送データ信号を受信すると、これらの複数のデータ信号のうち、再送データ信号に対応するデータ信号と、検出処理を失敗した少なくとも1つのデータ信号との再検出処理を、再送データ信号を用いて行う。干渉キャンセラ部910は、コードチャネル信号検出部9101−1〜9101―Nを備えている。コードチャネルレプリカ生成部911−1、・・・、911−Nはそれぞれ、シンボルレプリカ生成部916、拡散部917を備えている。
まず、アンテナ901を介して、無線受信部902(受信部とも称する)が基地局装置700からの信号(データ信号、再送データ信号を含む)を受信する。この無線受信部902が受信した信号を、分離部903は、パイロット信号と再送制御情報信号と情報データ信号とに分離する。伝搬路推定部904は、分離部903において分離されたパイロット信号を用いて、基地局装置700と端末装置900の間の伝搬路特性を推定し、推定結果である伝搬路推定値を伝搬路推定値記憶部905に記憶させるとともに、この伝搬路推定値を干渉キャンセラ部910に出力する。
GI除去部906は、分離部903において分離された情報データ信号からガードインターバルを除去する。FFT部907は、GI除去部905によりガードインターバルが除去された情報データ信号に、高速フーリエ変換処理を施すことにより、周波数領域の信号に変換し、この周波数領域の信号を受信信号記憶部908に記憶させるとともに、干渉キャンセラ部910に出力する。
受信パケット管理部909は、分離部903において分離された再送制御情報信号と、干渉キャンセラ部910から出力される成否情報に基づいて、干渉キャンセラ部910、ビットLLR記憶部912、受信信号記憶部908、伝搬路推定値記憶部905に対して各種指示をするとともに、成否情報信号生成部913に対して、応答信号の生成を指示する。なお、受信パケット管理部909の詳細な動作については後述する。
干渉キャンセラ部910は、受信パケット管理部909の指示に基づき、伝搬路推定部904から出力された伝搬路推定値を参照しながら、FFT部907から出力される周波数領域の信号から各パケット(データ信号)の情報ビット系列を検出して外部に出力するとともに、各パケットの情報ビット系列の検出に関する成否情報を受信パケット管理部909に出力する。干渉キャンセラ部910は、情報ビット系列の検出を、符号化ビットLLRを検出してコードチャネルレプリカ生成部911−1〜Nのうち該当するコードチャネルのコードチャネルレプリカ生成部に出力し、コードチャネルレプリカ生成部911−1〜Nから入力されたレプリカ信号を用いて再度符号化ビットLLRを検出することを繰り返す繰返し信号検出処理により行なう。また、干渉キャンセラ部910は、上述の繰返し処理により検出した符号化ビットLLRを、ビットLLR記憶部912に記憶させる。
また、ビットLLR記憶部912から符号化ビットLLRが出力された場合は、干渉キャンセラ部910は、受信信号記憶部908から出力される受信信号から当該符号化ビットLLRと伝搬路推定値記憶部905の出力である伝搬路推定値とを用いて、情報ビット系列の検出を行う。なお、干渉キャンセラ部910の動作の詳細な例については後述する。
コードチャネルレプリカ生成部911−1、・・・、911−N(データ信号レプリカ生成部とも称する)は、拡散符号C1、・・・、CNに対応するコードチャネルにおけるレプリカ信号を生成する。詳しくは、シンボルレプリカ生成部916が、干渉キャンセラ部910から出力された符号化ビットLLR(検出したデータ信号)に基づいてシンボルレプリカ信号を生成する。シンボルレプリカ生成部916から出力されたシンボルレプリカ信号を、拡散部917が、拡散率分だけ複製し、各コードチャネルにおける拡散符号C1・・・CNを乗算して、コードチャネルレプリカ信号(データ信号レプリカ)を生成する。
ビットLLR記憶部912は、受信パケット管理部909の指示の下で、干渉キャンセラ部910から出力される符号化ビットLLRを記憶する。また、受信信号に再送パケットが多重されていた場合は、ビットLLR記憶部912は、記憶しておいた符号化ビットLLRを干渉キャンセラ部910に出力し、干渉キャンセラ部910から出力される符号化ビットLLRを再び記憶する。つまり、ビットLLR記憶部912は、記憶内容を更新して、記憶していた符号化ビットLLRを新たに出力された符号化ビットLLRに置き換える。
成否情報信号生成部913(応答信号生成部)は、受信パケット管理部909の指示の下で、応答信号(成否情報信号)を生成し、多重部914に出力する。すなわち、成否情報生成部913は、干渉キャンセラ部910によるデータ信号各々の検出処理の成否を表す第1の応答信号と、干渉キャンセラ部910による再送データ信号に対応するデータ信号の再検出処理の成否を表す第2の応答信号と、検出処理を失敗した少なくとも1つのデータ信号の再検出処理の成否を表す第3の応答信号とを生成する。
多重部914は、受信パケット管理部909の指示の下で、成否情報信号生成部913の出力である応答信号を応答信号用制御チャネルあるいはデータ信号用チャネルに割り当て、外部から入力された上りリンクデータ信号(逆方向データ信号)をデータチャネルに割り当てることにより、応答信号と上りリンクデータ信号を多重して無線送信部915に出力する。多重部914から出力された信号を、無線送信部915(報告送信部とも称する)は、アンテナ901を介して基地局装置700へ送信する。
図8は、本実施形態による干渉キャンセラ部910の構成のうち、拡散符号がCkのコードチャネルの信号検出を行なうコードチャネル信号検出部9101−kを示す概略ブロック図である。本実施形態では、干渉キャンセラ部910は、繰返し並列型MCI干渉キャンセラであり、コードチャネル信号検出部9101−1〜9101−Nを備える。すなわち干渉キャンセラ部910は、コードチャネル信号検出部9101−1からコードチャネル信号検出部9101−Nまでのコードチャネル数N個のコードチャネル信号検出部を備える。コードチャネル信号検出部9101−1からコードチャネル信号検出部9101−Nは、各々が所望のコードチャネルの拡散符号を用いる点と、そのMCIレプリカ生成部1004が所望のコードチャネルに対するMCIレプリカ信号を生成する点とが異なるのみであり、その他は同様の構成であるので、ここでは代表として、拡散符号Ckを用いるコードチャネル信号検出部9101−kについて説明する。初回にすべての情報ビットを誤り無く検出できた場合を除いて、干渉キャンセラ部910における一連の処理は、コードチャネルレプリカ生成部911−1〜911−Nにおける処理と交互に繰り返し実行される。この繰り返し実行される処理をまとめて、繰り返し信号検出処理という。
コードチャネル信号検出部9101−kは、伝搬路補償部1001、デインタリーバ部1002、コード分離部1003、MCIレプリカ生成部1004、減算部(干渉除去部とも称する)1005を備えている。コード分離部1003は、逆拡散部1006、復調部1007、レートマッチ部1008、合成部1009、復号部(判定部とも称する)1010を備えている。
コードチャネル信号検出部9101−kのMCIレプリカ生成部1004(干渉信号レプリカ生成部とも称する)は、コードチャネルレプリカ生成部911−1、・・・、911−Nから出力されたコードチャネルレプリカ信号Sr,1、・・・、Sr,Nの中で、Sr、k以外のコードチャネルレプリカ信号と、伝搬路推定部904(あるいは伝搬路推定値記憶部905)から出力された伝搬路推定値とに基づいて、MCIレプリカ信号(干渉レプリカ信号)を生成して出力する。
図9は、本実施形態によるコードチャネル信号検出部9101−kのMCIレプリカ生成部1004の構成を示す概略ブロック図である。MCIレプリカ生成部1004は、コード多重部1101、インタリーバ部1102、伝達関数乗算部1103を備えている。MCIレプリカ生成部1004に入力されたコードチャネルレプリカ信号を、コード多重部1101が多重する。インタリーバ部1102は、コード多重部1101が多重した信号をインタリーブ処理する。その後、伝達関数乗算部1103は、伝搬路推定値から算出される(あるいは伝搬路推定値そのものである)伝達関数を、インタリーブ処理された信号に乗算し、MCIレプリカ信号を生成する。なお、インタリーバ部1102は、図5のインタリーバ部703と同様の処理を行うため、同様の回路で実現することができる。また、繰り返し信号検出処理の初回においては、MCIレプリカ生成部604はMCIレプリカ信号を生成する必要はない。
図8に戻り、減算部1005(干渉除去部)は、FFT部907(あるいは受信信号記憶部908)が出力した周波数領域の信号からMCIレプリカ(干渉信号レプリカ)を減算する。伝搬路補償部1001は、伝搬路推定部904(あるいは伝搬路推定値記憶部905)の出力である伝搬路推定値に基づいて、減算部1005による減算結果に対して伝搬路補償を行う。具体的には、伝搬路の影響で生じた位相回転等を再現するような処理が行われる。好ましくは、伝搬路推定値からMRC(Maximum Ratio Combining;最大比合成)重みやORC(Orthogonall restoring Combining;直交復元合成)重み、あるいはMMSE(Minimum Mean Squared Error;最小2乗誤差)重みを算出し、算出した重みを減算部1005による減算結果に対して乗算する。
デインタリーバ部1002は、伝搬路補償部1001による乗算結果に対して、デインタリーブ処理を行う。このデインタリーブ処理は、図5のインタリーバ部703におけるインタリーブ処理により並べ替えられた順を、元に戻すような並べ替えである。逆拡散部1006は、デインタリーバ部1002によるデインタリーブ処理結果(データ信号が多重された信号)に対して、拡散符号Ckを(対応するコードチャネルの拡散符号)用いた逆拡散処理を行うことにより、拡散符号Ckに対応するコードチャネルの信号を抽出し、逆拡散された信号を出力する。拡散符号Ckは、拡散係数C1、C2、・・・、CNの中の任意の一つのものである。この拡散係数Ckの選択により逐次型干渉キャンセラの検出順を変えることができる。
復調部1007(あるいは伝搬路補償部1001、復調部1007、レートマッチ部1008をまとめて復調部と称する)は、逆拡散部1006からの出力信号である逆拡散された変調シンボル系列に対して復調処理を行い、各変調シンボルが表すビット毎の信号を抽出して出力する。好ましくは、ビット毎の対数尤度比LLRであるビットLLRを出力する。
以下では復調部1007が復調結果として、ビットLLR(ビット毎のLLR)を出力する場合について説明する。ここで、ビットLLRを求める一例として、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:4値位相偏移変調)変調の場合を示す。受信信号S’が送信された際のビット系列をb0、b1(b0、b1は、1または−1)とすると、ビット系列b0、b1をQPSK変調した送信信号Sは、式(1)のように表せる。
ただし、jは虚数単位を表す。これよりb0のビットLLRであるλ1(b0)は、式(2)となる。
また、b1のビットLLRは式(2)の実部と虚数部を入れ替えれば良い。ただし、Re(x)は複素数xの実部を表し、μは受信信号の等価振幅、すなわち受信信号の振幅の基準となる値である。
なお、この場合、シンボルレプリカ生成部916の処理としては、シンボルレプリカSr’を式(3)にて算出すれば良い。
ただし、シンボルレプリカSr’を構成するビットLLRがλ2(b0)、λ2(b1)である。ここで、λ2()は復号部1007の出力である。
レートマッチ部1008は、基地局装置700内のレートマッチ部715において行われたパンクチャリング(ビット除去)、ビットパディング(ビット挿入)あるいはビットリピティション(ビット繰り返し)処理に対して逆の処理を行う。すなわち、パンクチャリングされたビットに対してはビットデパンクチャリング(ビットLLR挿入)処理を、ビットパディング(ビット挿入)されたビットに対してはビット除去処理を、ビットリピティション(ビット繰り返し)されたビットに対してはビットLLR合成を行う。
合成部1009(伝搬路補償部1001、復調部1007、レートマッチ部1008、合成部1009をまとめて信号合成部とも称する)は、初送パケットあるいは1度目の再送パケットである場合、レートマッチ部1008の出力である符号化ビットLLRをそのまま出力する。一方、2度目以降の再送パケットである場合、ビットLLR記憶部912に記憶してある符号化ビットLLR(対応する初送パケットにおける符号化ビットLLR)とレートマッチ部1008の出力である符号化ビットLLRを合成して出力する。合成部1009から出力された符号化ビットLLRは、復号部1010に入力される。また、再送パケットである場合は、合成部1009から出力された符号化ビットLLRがビットLLR記憶部912に送られる。
復号部1010は、合成部1009から入力された符号化ビットLLRに対して復号処理を行い、復号結果である情報ビットと、情報ビットに誤りが含まれるかどうかを示す成否情報と、復号処理により対数尤度比が更新された符号化ビットLLRとを出力する。なお、復号部1010は、復号結果の情報ビットに誤りを検出したときは情報ビットを出力せずに符号化ビットLLRを出力し、誤りを検出しなかったときは符号化ビットLLRを出力せずに情報ビットを出力するようにしても良い。
なお、復号部1010における情報ビットの誤り検出は、例えば、送信側で情報ビットにCRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)を付加しておき、受信側で巡回冗長検査CRCを算出して誤り検出を行えば良い。
次に、図5を用いて、端末装置900からの上りリンク信号に関する基地局装置700による受信処理に関して説明する。端末装置900から送信された信号(第1の応答信号、第2の応答信号、第3の応答信号)はアンテナ709を介して無線受信部710(応答受信部とも称する)が受信する。分離部711(報告分離部とも称する)は、受信信号に多重された上りリンクデータ信号と応答信号とを分離する。
再送制御部712は、分離部711により分離された応答信号が表す成否情報に基づいて、再送パケット(再送データ信号)を送信する準備を行う。すなわち、成否情報が受信失敗を表す情報(否定応答NACK)であった場合、再送制御部712は符号化ビット記憶部718に対して、否定応答NACKを返されたパケットに対応する符号化ビット系列を出力するように指示する。また、レートマッチ部715に対して、符号化ビット記憶部718から出力された符号化ビット系列に対してレートマッチング処理を行うように指示する。ただし、当該基地局装置700が多重して送信したデータ信号のうち、複数のデータ信号に対する応答信号がデータ信号検出失敗を示しているときは、再送制御部712は、これら複数のデータ信号のうちの一部(本実施形態では一つ)のデータ信号を選択し、その選択したデータ信号について、符号化ビット系列の出力とレートマッチング処理実施とを符号化ビット記憶部718およびレートマッチ部715に指示することで、該一部のデータ信号の再送データ信号を生成させる。
なお、レートマッチ処理は初送時と同様の処理であっても良いが、再送回数に応じてレートマッチ処理を変更することが好ましい。さらに、再送制御部712は多重するパケットの再送回数を示す情報を再送制御信号生成部713に通知し、再送制御信号生成部713はこの情報を示す信号(再送制御信号)を生成して出力する。
なお、多重するパケットの再送回数を示す情報としては、回数そのものを示す情報であることが好ましいが、単に初送か再送かを示す情報など、再送回数を加工した情報であっても良い。
一方、成否情報が受信成功を表す情報(肯定応答ACK)であった場合、再送制御部712は符号化ビット記憶部718に対して、肯定応答ACKを返されたパケットに対応する符号化ビット系列を削除するように、すなわち符号化ビット系列を記憶している記憶領域を解放するように指示する。
次に、図7および図8を用いて、端末装置900における受信信号にコード多重されたパケットが初送のときに情報ビットを抽出する処理と、受信パケット管理部909が行う制御の流れとについて説明する。まず、基地局装置700からの信号を、無線受信部902が受信した後、分離部903、GI除去部906、FFT部907が処理を施して周波数領域の信号に変換する。これらの処理が施された周波数領域の信号は、受信信号記憶部908に入力されて記憶されるとともに、干渉キャンセラ部910に入力される。
次に、FFT部907からの周波数領域の信号に対して、干渉キャンセラ部910とコードチャネルレプリカ生成部911−1〜911−Nとの繰返し処理により、各コードチャネルのパケットの情報ビットを検出する繰り返し信号検出処理が行なわれる。この繰り返し信号検出処理では、まず、FFT部907から干渉キャンセラ部910に入力された周波数領域の信号は、干渉キャンセラ部910のコードチャネル信号検出部9101−1〜9101−Nの各々に入力され、コードチャネル信号検出部9101−1〜9101−Nの各々は、受信信号にコード多重されたパケット(例えば、図1のデータ信号P1のパケットとデータ信号P2のパケット)のうち、各々の所望のコードチャネルのパケットの符号化ビットLLRを検出する処理を行う。すなわち、コードチャネル信号検出部9101−1〜9101−Nの各々は、各々の所望のコードチャネルのパケットを対象として次のような処理を行う。
まず、初回であるから減算部1005での減算処理が行われずに、伝搬路推定部904において推定された伝搬路推定値を用いて、伝搬路補償部1001は、FFT部907から入力された周波数領域の信号を伝搬路補償する。伝搬路補償部1001により伝搬路補償された信号を、デインタリーバ部1002がデインタリーブ処理した後、対象としているパケットが伝送されたコードチャネル、すなわち所望のコードチャネルに対応する拡散符号を用いて逆拡散部1006が逆拡散処理して、対象としているパケットの信号を抽出する。この逆拡散処理により抽出された信号に対して、さらに、復調部1007が復調処理して、対象としているパケットのビットLLRを生成し、レートマッチ部1008がレートマッチング処理して、対象としているパケットの符号化ビットLLRを生成する。
一方、受信パケット管理部909(図7)は、受信信号にコード多重されたパケット各々について初送であるか否かを判定している。受信パケット管理部909からこの判定結果を受けた合成部1009は、対象としているパケットが受信パケット管理部909により初送であると判定されたときは、レートマッチング処理された符号化ビットLLR、すなわち対象としているパケットの符号化ビットLLRを復号部1010に出力し、復号部1010は、この符号化ビットLLRに対して復号処理を行う。なお、受信パケット管理部909が、初送でないと判定したとき、すなわち再送であると判定したときについては、後述する。
次に、各コードチャネルに対応したコードチャネルレプリカ生成部911が、同じコードチャネルに対応する復号部1010により復号処理された符号化ビットLLRから初送パケットのコードチャネルレプリカを生成する。すなわち、コードチャネルレプリカ生成部911は、対応するコードチャネルの初送パケットのコードチャネルレプリカを生成する。
次に、この繰り返し信号検出処理の2回目以降の繰返しを行う。すなわち、各コードチャネル信号検出部9101−1〜9101−Nでは、コードチャネルレプリカ生成部911−1〜911−Nが生成したコードチャネルレプリカのうち、当該コードチャネル信号検出部の所望コードチャネル以外のコードチャネルのコードチャネルレプリカと伝搬路推定値を用いて、MCIレプリカ生成部1004がMCIレプリカを生成する。減算部1005は、FFT部907からの周波数領域の信号から、このMCIレプリカを減算することで、干渉キャンセルを行う。減算部1005による減算の結果の信号に対して伝搬路補償部1001が伝搬路補償を行い、さらにデインタリーバ部1002がデインタリーブ処理した後、対象としているパケットが伝送されたコードチャネル、すなわち所望のコードチャネルに対応する拡散符号を用いて逆拡散部1006が逆拡散処理して、対象としているパケットの信号を抽出する。
この逆拡散処理により抽出された信号に対して、さらに、復調部1007が復調処理して、対象としているパケットのビットLLRを生成し、レートマッチ部1008がレートマッチング処理して、対象としているパケットの符号化ビットLLRを生成する。この符号化ビットLLRを、合成部1009はそのまま出力し、復号部1010は、復号処理して、受信信号に含まれる初送パケットからの情報ビットの抽出を行い、この情報ビットと、情報ビットに誤りが検出されたかどうかを示す成否情報と、復号処理により対数尤度比が更新された符号化ビットLLRとを出力する。情報ビットに誤りが検出されていたときは、コードチャネルレプリカ生成部911−1〜911−Nと干渉キャンセラ部910とで、繰り返し信号検出処理の繰り返しを継続する。ただし、復号部1010は、繰り返し信号検出処理の終了判定を行い、復号部1010にてカウントしている繰り返し信号検出処理の繰り返し回数が予め決められた最大回数を超えたと判定したとき、あるいは、全ての復号部1010において情報ビットに誤りが検出されなかったときは、繰り返し信号検出処理を終了する。
繰り返し信号検出処理(検出処理)が終了すると、受信パケット管理部909は、干渉キャンセラ部910が出力した成否情報に基づき、各パケットについての成否情報を成否情報信号生成部913に出力する。これらの成否情報を受けた成否情報信号生成部913は、各成否情報の成否情報信号を生成し、多重部914に出力する。多重部914は、これらの成否情報信号(第1の応答信号)を、受信パケット管理部909からの指示に従い、各成否情報信号に対応するパケット(データ信号)に応じた応答信号用制御チャネル(制御チャネル)に配置して、上りリンクデータの信号に多重する。多重された信号を、無線送信部915が、アンテナ901を介して基地局装置700に送信する。
なお、ここでは受信信号に初送パケットのみが多重されているときを説明したが、受信信号に再送パケットも多重されているときは、減算部1005によるコードチャネルレプリカのキャンセルは、再送パケットのレプリカもキャンセルすることが好ましい。
一方、受信パケット管理部909が、初送でないと判定したとき、すなわち再送であると判定したときについて説明する。再送パケットが多重された受信信号に対しても、初送パケットが多重された信号を受信したときと同様に、無線受信部902、分離部903、伝搬路推定部904、伝搬路推定値記憶部905、GI除去部906、FFT部907は前述の動作を行って、FFT部907の出力である周波数信号に変換された再送パケットを、受信信号記憶部908に記憶させるとともに、干渉キャンセラ部910に出力する。まず受信パケット管理部909は、受信信号に多重されたパケットが再送であると判定したときは、さらに、1度目の再送であるか2度目以降の再送であるかを判定する。受信パケット管理部909は、この判定に基づき、コードチャネル信号検出部9101−1〜9101−Nのうち、再送パケットを対象としているコードチャネル信号検出部を以下のように制御する。
1度目の再送と判定したときは、コードチャネル信号検出部9101−1〜9101−Nのうち、再送パケットを対象としているコードチャネル信号検出部は、減算部1005をそのまま通過させた後に伝搬路補償、デインタリーブ、逆拡散、復調およびレートマッチング処理した符号化ビットLLRをビットLLR記憶部912に出力して記憶させる。2度目以降の再送と判定したときは、減算部1005をそのまま通過せた後に伝搬路補償、デインタリーブ、逆拡散、復調およびレートマッチング処理した符号化ビットLLRとビットLLR記憶部912において記憶されていた符号化ビットLLRとを合成部1009に合成させた後、合成後の符号化ビットLLRをビットLLR記憶部912に記憶させる。本実施形態では、この合成は、各ビットにおいて、復調およびレートマッチング処理された符号化ビットLLRの対数尤度比と、記憶されていた符号化ビットLLRの対数尤度比との和をとることで行い、符号化ビットLLRを得るが、各対数尤度比に何らかの重みを付けてから和をとるなど、その他の方法であってもよい。
なお、ここでは再送であるとき、復調およびレートマッチング処理された符号化ビットLLRをビットLLR記憶部912において記憶する場合について説明したが、繰り返し干渉キャンセル後の復調およびレートマッチング処理された符号化ビットLLRをビットLLR記憶部912において記憶するようにしても良い。
また、再送パケットが復号処理可能なビット数である場合は、復調処理の後、レートマッチング処理した符号化ビットLLRを合成部1009による合成処理をせずに復号処理し、さらには繰り返し信号検出処理を行って、情報ビットを算出するようにしても良いし、そのような復号処理および繰り返し信号検出処理を省略するようにしても良い。再送パケットのみで復号処理が可能でない場合は、復号処理を行わず、再送パケットに対応する初送パケットに対する処理を続けて行うようにすれば良い。
記憶された符号化ビットLLRは、この再送パケットに対応する初送パケットを含む過去の受信信号に含まれるパケットから情報ビットを抽出する処理において用いられる。
次に、上述の再送パケットの符号化ビットLLRをビットLLR記憶部912に記憶させる上述の処理後に続けて行なわれる処理、すなわち上述の再送パケット(再送データ信号)に対応する初送パケット(データ信号)を含む過去の受信信号に含まれるパケット(再送パケットを含んでいても良い)の情報ビットを抽出する再検出処理と受信パケット管理部909が行う制御の一例を挙げて説明する。
まず、再送パケットに対応する初送パケットが多重された過去の受信信号(周波数領域の信号)を受信信号記憶部908から取得する。この過去の受信信号に対して、先にビットLLR記憶部912に記憶させた再送パケットの符号化ビットLLRまたは再送パケットを含む合成された符号化ビットLLRを後述するように用いて、干渉キャンセラ部910とコードチャネルレプリカ生成部911−1〜911−Nとによる繰り返し信号検出処理を行う。
この繰り返し信号検出処理の1回目の繰り返しでは、再送パケットに対応する初送パケットのコードチャネルを所望のコードチャネルとした、例えばコードチャネル信号検出部9101−kにおいては、伝搬路推定値記憶部905に記憶された当該受信信号受信時の伝搬路推定値を用いて、伝搬路補償部1001は、先に受信信号記憶部908から取得した過去の受信信号に対して、伝搬路補償を行う。なお、伝搬路補償された受信信号を受信信号記憶部908が記憶しておくようにしても良い。その場合、ここでの伝搬路補償は行わなくて良い。
次に、伝搬路補償された信号を、デインタリーバ部1002、逆拡散部1006が処理した後、復調部1007が復調処理し、レートマッチ部1008がレートマッチング処理して符号化ビットLLRを求める。次に、この求めた符号化ビットLLRと、この初送パケットに対応する再送パケットの符号化ビットLLRとを合成部1009において合成する。ここで再送パケットの符号化ビットLLRについては、先にビットLLR記憶部912に記憶させたものを、合成部1009が読み出す。復号部1010は、この合成して得られた符号化ビットLLRを、復号処理して、復号処理して対数尤度比が更新された符号化ビットLLRを生成する。
一方、再送パケットに対応する初送パケットのコードチャネル以外を所望のコードチャネルとした、コードチャネル信号検出部9101−kを除くコードチャネル信号検出部9101−1〜9101−Nは、この繰り返し信号検出処理の1回目の繰り返しにおいても、初送パケットが多重された信号、すなわち受信信号記憶部908から読み出した過去の受信信号を受信したときと同様の繰り返し信号検出処理の一回目の繰り返しの処理を行ない、それぞれのコードチャネルのパケットの符号化ビットLLRを生成する。
コードチャネルレプリカ生成部911−1〜911−Nは、コードチャネル信号検出部9101−1〜9101−Nが生成した符号化ビットLLRを用いて、コードチャネルレプリカの信号を生成する。
次に、過去の受信信号に対する繰り返し信号検出処理の2回目以降の繰り返しが施される。すなわち、コードチャネル信号検出部9101−1〜9101―N各々のMCIレプリカ生成部1004は、所望のコードチャネル以外のコードチャネルのコードチャネルレプリカの信号をコードチャネルレプリカ生成部911−1〜911−Nから取得して、MCIレプリカの信号を生成する。減算部1005は、受信信号記憶部908から取得した過去の受信信号から、このMCIレプリカの信号を減算することで干渉キャンセル処理を行う。伝搬路補償部1001は、減算部1005による干渉キャンセル処理された信号に対して伝搬路補償を行い、さらにデインタリーバ部1002は、デインタリーブ処理を行い、逆拡散部1006は、逆拡散処理を行い、復調部1007およびレートマッチ部1008は復調およびレートマッチング処理して符号化ビットLLRを算出する。
次に、コードチャネル信号検出部9101−1〜9101−Nのうち、再送パケット(再送データ信号)に対応する初送パケット(データ信号)のコードチャネルを所望のコードチャネルとするコードチャネル信号検出部9101−kでは、算出した符号化ビットLLR(干渉信号レプリカを減算した信号であり、復調部1007の復調結果)と再送パケットの符号化ビットLLR(ビットLLR記憶部912に記憶された符号化ビットLLR、再送データ信号に基づく信号)とを合成部1009が合成する。この合成した符号化ビットLLR(信号合成部が合成した信号)に対して、復号部1010は復号処理することにより、過去の受信信号に含まれる初送パケットの情報ビットの抽出を行う、すなわち再送パケット(再送データ信号)に対応する初送パケット(データ信号)の再検出する。
一方、コードチャネル信号検出部9101−1〜9101−Nのうち、コードチャネル信号検出部9101−k以外のコードチャネル信号検出部では、レートマッチ部1008が算出した符号化ビットLLRが入力された合成部1009は、その符号化ビットLLRをそのまま出力する。この符号化ビットLLR(干渉信号レプリカを減算した信号)に対して、復号部1010は、復号部1010は復号処理することにより、過去の受信信号に含まれるパケットのうち、再送パケットに対応する初送パケットを除いたパケットからの情報ビットの抽出を行う。
コードチャネル信号検出部9101−1〜9101−Nの復号部1010は、この抽出した情報ビットと、情報ビットに誤りが検出されたかどうかを示す成否情報と、復号処理により対数尤度比が更新された符号化ビットLLRとを出力する。情報ビットに誤りが検出されていたときは、コードチャネルレプリカ生成部911−1〜911−Nと干渉キャンセラ部910とで、繰り返し信号検出処理の繰り返しを継続する。ただし、繰り返し信号検出処理の繰り返しを予め決められた最大回数繰り返したとき、あるいは、全ての復号部1010において情報ビットに誤りが検出されなかったときは、繰り返し信号検出処理を終了する。
繰り返し信号検出処理(再検出処理)が終了すると、受信パケット管理部909は、干渉キャンセラ部910が出力した成否情報に基づき、各パケットについての成否情報を成否情報信号生成部913に出力する。これらの成否情報を受けた成否情報信号生成部913は、各成否情報の成否情報信号を生成し、多重部914に出力する。多重部914は、受信パケット管理部909からの指示に従い、これらの成否情報信号のうち、再送パケットに対応する初送パケットについての成否情報信号(第2の応答信号)を、この再送パケット(再送データ信号)に応じた応答信号用制御チャネル(制御チャネル)に配置し、それ以外の過去の受信信号に多重されていたパケットについての成否情報信号(第3の応答信号)をデータチャネル(第1の応答信号が配置される制御チャネルおよび第2の応答信号が配置される制御チャネルとは異なるチャネルであって、基地局装置700宛てのデータ信号が配置されるチャネル)に配置して、上りリンクデータの信号に多重する。多重された信号を、無線送信部915が、アンテナ901を介して基地局装置700に送信する。
ただし、コードチャネルレプリカのキャンセルは、過去の受信信号に含まれる再送パケットのレプリカもキャンセルすることが好ましい。
図10は、初送パケットの情報ビットの検出と成否情報の報告、および再送と初送パケットの情報ビットの再検出の一連の処理の流れの一例を示す図である。まず、基地局装置700が下りリンクを介して初送パケットであるデータ信号P1〜PNを多重して端末装置900に送信する(Sb1)。信号を受信した端末装置900は、データ信号P1〜PNが多重された受信信号を記憶し(Sb2、Sb2’)、干渉キャンセル処理とデータ検出処理とからなる繰り返し信号検出処理を行う。ここでは、繰り返し信号検出処理の結果、データ信号P1〜PNのすべてのパケットにおいて誤りが検出された場合について説明する。
端末装置900は、データ信号P1〜PNのすべてのパケットにおいて誤りが検出されたことを基地局装置700に報告するための成否情報(否定応答NACK1〜NACKN)を含む応答信号を生成し、上りリンクを介して基地局装置900に送信する(Sb3)。ここで、否定応答NACK1〜NACKNのそれぞれは、データ信号P1〜PNに対応してそれぞれ割り当てられた応答信号用制御チャネルを介して基地局装置700に送信される。
応答信号を受信した基地局装置700は、否定応答NACKを返されたデータ信号P1に対する再送データ信号PN+1を生成し、下りリンクの他のパケットと多重して端末装置900に送信する(Sb4)。ここで、基地局装置700は、否定応答NACKを返されたデータ信号P1〜PNのうち、一部のデータ信号であるデータ信号P1のパケットに対する再送パケットを生成して送信している。
下りリンク信号を受信した端末装置900は、再送データ信号PN+1の復調結果(本実施形態では符号化ビットLLR)を記憶するとともに、再送データ信号PN+1の復調結果と、記憶してあるデータ信号P1〜PNが多重された受信信号とを用いて、干渉キャンセル処理とデータ検出処理とからなる繰り返し信号検出処理を行う。ここでは、この繰り返し信号検出処理の結果、データ信号P1〜PNのすべてのパケットにおいて誤りが検出された場合について説明する。
端末装置900は、再送データ信号PN+1のパケットにおいて誤りが検出されたことを基地局装置700に報告するための成否情報(否定応答NACKN+1)を含む応答信号を生成し、これを上りリンクを介して、基地局装置700に送信する(Sb6)。ここで、端末装置900により、否定応答NACKN+1が配置されるチャネルは、再送データ信号PN+1に対応して割り当てられた応答信号用制御チャネルである。
基地局装置700は、シーケンスSb4において再送データ信号PN+1を端末装置900に送信した後、否定応答NACKを返されたデータ信号P2に対する再送データ信号PN+2を生成し、下りリンクの他のパケットと多重して端末装置900に送信する(Sb5)。なお、この再送データ信号PN+2の送信は、シーケンスSb6の否定応答NACKN+1の受信より前(図10の例)であってもよいし、後であってもよい。シーケンスSb5による下りリンク信号を受信した端末装置900は、再送データ信号PN+2の復調結果と記憶してある再送データ信号PN+1と記憶してあるデータ信号P1〜PNが多重された受信信号とを用いて、干渉キャンセル処理とデータ検出処理とからなる繰り返し信号検出処理を行う。ここでは、データ信号P1〜PNのすべてのパケットにおいて誤りが検出されない場合について説明する。
端末装置900はデータ信号P1〜PNのパケットにおいて誤りが検出されなかったことを基地局装置700に報告するための成否情報(肯定応答ACK1,ACKN+2,ACK3〜ACKN)を含む信号を生成し、上りリンクを介して基地局装置700に送信する(Sb7)。ここで、肯定応答ACKN+2は、再送データ信号PN+2に対応して割り当てられた応答信号用制御チャネルに配置して、基地局装置700に送信する。一方、送信されたパケットは再送データ信号PN+2のみであるため、肯定応答ACK1、ACK3〜ACKNを送信するための応答信号用制御チャネルは端末装置900には割り当てられて「いないため、肯定応答ACK1、ACK3〜ACKNについてはデータチャネルに配置して基地局装置700に送信する。
肯定応答ACK1、ACKN+2、ACK3〜ACKNを受信した基地局装置700は、それ以降、データ信号P1〜PNに対応する再送を行う必要がなくなるので、これらのデータ信号に対する再送を停止する。結果的に、データ信号P1に対応する再送データ信号PN+1およびデータ信号P2に対応する再送データ信号PN+2を再送することにより、データ信号P1〜PNにおける誤りを改善し、データ信号P3〜PNに対応する再送を行うことなく、データ信号P1〜PNにおける信号検出が可能となる。
なお、ここでは基地局装置700は、否定応答NACKN+1の報告を受ける前に再送データ信号PN+2を送信する場合について説明したが、基地局装置700は、再送データ信号PN+2の送信を、否定応答NACKN+1受信の後に行うようにしてもよい
次に、受信パケット管理部909において管理するパケット情報について説明する。
受信パケット管理部909は、それぞれの受信タイミングで受信した受信信号(受信フレーム)を指定する情報(例えば受信フレームに対応する番号)と、各受信信号に含まれるパケットを指定する情報(例えばパケットに対応する番号)と、各パケットの再送回数を示す情報と、各パケットに対応する再送パケットの符号化ビットLLR、すなわちビットLLR記憶部912に記憶されている符号化ビットLLRを指定する情報とを記憶している。
受信信号を受信すると、受信パケット管理部909は受信信号を指定する情報を受信信号記憶部908と伝搬路推定値記憶部905に通知する。受信信号記憶部908は、受信信号を指定する情報に関連付けて受信信号自体を記憶し、伝搬路推定値記憶部905は、受信信号を指定する情報に関連付けて受信信号に対応する伝搬路推定値を記憶する。
再送パケット受信時に、過去に記憶した受信信号に含まれるパケットを再検出する際、受信パケット管理部909は再送パケットに対応する初送パケットを含む受信信号を指定する情報を受信信号記憶部908と伝搬路推定値記憶部905に通知する。
受信信号記憶部908は、受信パケット管理部909から受信信号を指定する情報が通知されると、その情報に関連付けられた受信信号を出力する。また、伝搬路推定値記憶部905は、受信パケット管理部909から受信信号を指定する情報が通知されると、その情報に関連付けられた伝搬路推定値を出力する。
また、受信信号を受信すると、受信パケット管理部909は、受信信号に含まれる再送パケットの再送回数を参照し、再送回数が2回以上である再送パケットがある場合には、ビットLLR記憶部912に対して、その再送パケットに対応する再送パケットの符号化ビットLLRを指定する情報を通知する。ビットLLR記憶部912は、通知された情報に基づいて、記憶しておいた符号化ビットLLRを出力する。
さらに、受信パケット管理部909は、受信信号に含まれる再送パケットに再送回数が1回であるパケットがある場合には、そのパケットに対応する再送パケットの符号化ビットLLRを指定する情報を生成し、ビットLLR記憶部912に通知する。ビットLLR記憶部912は、通知された情報に関連付けて、キャンセラ部910から出力されるビットLLRを記憶する。
また、受信パケット管理部909は、受信信号に含まれるパケットを指定する情報と各パケットの再送回数を示す情報とを干渉キャンセラ部910に通知する。干渉キャンセラ部910は、受信信号に含まれるパケットを指定する情報と各パケットの再送回数を示す情報から、レートマッチ部1008におけるデパンクチャ処理に用いるパターンを決定する。
また、再送回数が0(すなわち初送)の場合は、合成部1009において合成は行わず、レートマッチ部1008の出力をそのまま復号部1010に出力する。再送回数が1の場合は、再送パケットを含む受信信号の処理時に、干渉キャンセラ部910は、合成部1009において合成は行わず、レートマッチ部1008の出力をそのままビットLLR記憶部912に出力する。
再送回数が2以上の場合は、再送パケットを含む受信信号の処理時に、干渉キャンセラ部910は、合成部1009において、レートマッチ部1008の出力とビットLLR記憶部912とを合成し、ビットLLR記憶部912に出力する。
再送パケット受信時に、過去の受信信号に含まれるパケットを再検出する際、受信パケット管理部909は、ビットLLR記憶部912に対して、再検出するパケットに対応する再送パケットの符号化ビットLLRを指定する情報を通知する。ビットLLR記憶部912は、通知された情報に関連付けられた符号化ビットLLRを出力する。
また、再送パケット受信時に、過去の受信信号に含まれるパケットを再検出する際、受信パケット管理部909は、再検出する受信信号に含まれるパケットを指定する情報と再送回数を指定する情報とを干渉キャンセラ部910に通知する。
キャンセラ部910は、再送回数が1回以上のパケットについては合成部1009において符号化ビットLLRの合成を行い、再送回数が0のパケットについては合成を行わない。
また、受信パケット管理部909は多重部914に対して、成否情報信号生成部913の出力である応答信号を多重するチャネルが応答信号用制御チャネルであるかデータチャネルであるかを指示する。より詳細に説明すると、送信されたパケットに対応する情報ビット検出の成否を示す成否情報の応答信号は、応答信号用制御チャネルに割り当てるように指示し、送信されたパケット以外のパケット、すなわち送信されたパケットが再送パケットであり、かつその再送パケットに対応する初送パケットに多重されていたパケットに対応する情報ビット再検出の成否を示す成否情報の応答信号は、データチャネルに割り当てるように指示する。
なお、以上の説明では、送信されたパケット以外のパケット に対応する情報ビット再検出の成否を示す応答信号は、データチャネルを用いて基地局装置700に報告する場合について説明したが、後述する第2の実施形態のように予め用意された繰り返し応答用の応答信号用制御チャネルの一部を用いて送信するようにしてもよい。この場合、繰り返し応答せずに応答信号の品質が要求値を超える(あるいは超えると予測される)場合のみ肯定応答ACK2を送信し、繰り返し応答しなければ応答信号の品質が要求値を下回る(あるいは下回ると予測される)場合は肯定応答ACK1のみを送信するとしてもよい。また、送信されたパケット以外のパケットに対応する情報ビット再検出の成否を示す応答信号が多い場合、その中の一部(例えば、再送回数の多いパケット)を選択して送信するようにしても効果は得られる。
このように、基地局装置700から端末装置900へ複数の初送パケットを多重して送信し、端末装置900において干渉(多重された他のパケット)を除去しながらデータを検出し、かつデータ検出に失敗した場合に、基地局装置700から端末装置900へ再送パケットを送信するようなシステムにおいて、多重された複数の初送パケットの検出に失敗し、その一部のパケットに対応する再送パケットが送信された際に、一部のパケットのみでなく初回に検出に失敗した他の初送パケットにおいても再度検出し、検出に成功すれば、検出成功を示す情報を基地局装置700に送信する。これにより、下りリンクの再送パケット数を抑制することができるため、スループットが向上する。
[第2の実施形態]
以下、図面を参照し、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、再送パケットが送信された際に、再送パケットに対応する初送パケットのみでなく初回に検出に失敗した他の初送パケットにおいても再度検出し、検出に成功すれば、検出成功を示す情報をデータ送信用のチャネルを介して基地局装置に送信する場合について説明した。第2の実施形態においても、同様に検出を行なうが、応答信号を割当てるチャネルが異なる。
本実施形態における移動体通信システムは、基地局装置700a(第1の通信装置)と端末装置900a(第2の通信装置)とを有し、端末装置900aは、再検出に成功した際に、検出成功を示す情報を繰り返し応答用の応答信号用チャネルの一部を介して基地局装置700aに送信する。図11は、本実施形態における基地局装置700aの構成を示す概略ブロック図である。基地局装置700aは、コードチャネル信号生成部701−1、・・・、701−N(ただし、Nはコード多重数)、コード多重部702、インタリーバ部703、IFFT部704、パイロット信号生成部705、多重部706、GI挿入部707、無線送信部708、アンテナ709、無線受信部710、分離部711a、再送制御部712、再送制御信号生成部713を備えている。同図において図5の各部に対応する部分には同一の符号(701−1〜701−N、702〜710、712、713)を付け、その説明を省略する。分離部711aは、受信信号に多重された上りリンクデータ信号と応答信号とを分離する。ここで、応答信号は、応答用制御チャネルに配置されている。
図12は、本実施形態における端末装置900aの構成を示す概略ブロック図である。端末装置900aは、アンテナ901、無線受信部902、分離部903、伝搬路推定部904、伝搬路推定値記憶部905、GI除去部906、FFT部907、受信信号記憶部908、受信パケット管理部909a、干渉キャンセラ部910、コードチャネルレプリカ生成部911−1、・・・、911−N、ビットLLR記憶部912、成否情報信号生成部(応答信号生成部)913、多重部914、無線送信部915を備えている。同図において図7の各部に対応する部分には同一の符号(901〜908、910、911−1〜911−N、912〜915)を付け、その説明を省略する。
受信パケット管理部909aは、多重部914に対して、成否情報信号生成部913の出力である応答信号を応答信号用制御チャネルにどのように配置するかを指示する。すなわち、応答信号が、送信されたパケットに対応する情報ビット検出の成否を示す成否情報のみの応答信号(第1の応答信号)のときは、受信パケット管理部909aは、応答信号に対応するパケット(データ信号)に応じた複数の応答信号用制御チャネルを割り当て、応答信号を繰り返し送信させる。一方、応答信号が、送信された再送パケットに対応するパケットの情報ビット検出の成否を示す成否情報と、送信された再送パケットに対応するパケット以外のパケットに対応する情報ビット再検出の成否を示す成否情報とを含むときは、送信された再送パケットに対応するパケットの成否情報の応答信号(第2の応答信号)の繰り返し送信の繰り返し数を削減して、該応答信号に対応する再送パケット(再送データ信号)に応じた複数の応答信号用制御チャネルの一部(繰り返し数の削減分を除いた部分)に配置し、削減した分の応答信号用制御チャネル(第1の応答信号が配置される制御チャネルおよび第2の応答信号が配置される制御チャネルとは異なる制御チャネル)に、後者の成否情報の応答信号(第3の応答信号)を割り当てるように指示する。
なお、本実施形態に係る再送のシーケンスは第1の実施形態におけるシーケンスと同じになるので、すなわち図1に示すシーケンスを例にして説明する。図1に示すように、シーケンスSa4にて送信された再送データ信号PN+1を用いて再検出した際、端末装置900aは再送データ信号PN+1とデータ信号P2のパケットにおいて誤りが検出されなかったことを基地局装置700aに報告するための成否情報(肯定応答ACKN+1、ACK2)を含む信号を生成し、上りリンクを介して基地局装置700aに送信する(Sa5)。
肯定応答ACKN+1、ACK2を受信した基地局装置700aは、それ以降、データ信号P1とP2に対応する再送を行う必要がなくなる。結果的に、データ信号P1に対応する再送データ信号PN+1を再送することにより、データ信号P1とP2両方における誤りを改善し、データ信号P2に対応する再送を行うことなく、データ信号P1とP2における情報ビットの検出が可能となる。
図13は、本実施形態における上りリンクのチャネル配置と送信されたパケットに対する応答信号の割り当て例を示す図であり、図14は、本実施形態における送信されたパケットとその他のパケットとに対する応答信号の割り当て例を示す図である。応答信号の送信は比較的高い品質が要求されるため、本実施形態においては、受信パケット管理部909aの指示に従い、多重部914は、図13に示すように1つの応答信号に対して複数の応答信号用制御チャネルを割り当て、応答信号を繰り返し送信する。なお、図13の網掛け部分は応答信号が配置されていることを示しており、白抜き部分は端末装置900aから基地局装置700aへの上りリンクデータが配置されていることを表している。
例えば、図1において初送パケットのデータ信号P1が送信されたときは、データ信号P1に対応して端末装置900aに割り当てられた応答信号用制御チャネルを用いて否定応答NACK1を報告し、再送パケットである再送データ信号PN+1が送信されたときは、再送データ信号PN+1に対応して端末装置900aに割り当てられた複数の応答信号用制御チャネルを用いて、繰り返し肯定応答ACKN+1(あるいは肯定応答ACK1)を報告する。
しかしながら、上述したように、再送データ信号PN+1を送信し、端末装置900aで検出した結果、肯定応答ACKN+1と肯定応答ACK2を報告する場合、再送データ信号PN+1に対応して端末装置900aに割り当てられた複数の応答信号用制御チャネルを用いて肯定応答ACKN+1を繰り返し報告すると、肯定応答ACK2の報告に要するリソースが足りない。そこで、図14に示すように、再送データ信号PN+1に対応して端末装置900aに割り当てられた複数の応答信号用制御チャネルの一部を用いて、肯定応答ACK2を報告する。
なお、図14において、符号Ch1を付した網掛け部分は送信されたパケットに対応する応答信号(図1の場合は肯定応答ACKN+1)が配置された応答信号用制御チャネルを示しており、符号Ch2を付した斜線部分は再送されていないもののキャンセル処理により再検出に成功したパケットに対応する応答信号(図1の場合は肯定応答ACK2)が配置された応答信号用制御チャネルを示しており、白抜き部分が端末装置900aから基地局装置700aへの上りリンクデータが配置されていることを表している。
なお、ここでは、データ信号P2の再検出に成功した場合に、肯定応答ACKN+1とACK2の両方を送信する場合のみ説明したが、繰り返し応答せずに応答信号の品質が要求値を超える(あるいは超えると予測される)場合のみ肯定応答ACK2を送信し、繰り返し応答しなければ応答信号の品質が要求値を下回る(あるいは下回ると予測される)場合は肯定応答ACKN+1のみを送信するとしてもよい。
また、上記の説明では、基地局装置700aと端末装置900aとを有する移動体通信システムについて示したが、後述する第3の実施形態のような移動体通信システムに適用することができるのは勿論である。
このように、基地局装置700aから端末装置900aへ複数の初送パケットを多重して送信し、端末装置900aにおいて干渉(多重された他のパケット)を除去しながらデータを検出し、かつデータ検出に失敗した場合に、基地局装置700aから端末装置900aへハイブリッド自動再送HARQ方式を用いて再送パケットを送信するようなシステムにおいて、多重された複数の初送パケットの検出に失敗し、その一部のパケットに対応する再送パケットが送信された際に、一部のパケットのみでなく初回に検出に失敗した他の初送パケットにおいても再度検出し、検出に成功すれば、検出成功を示す情報を再送パケットに対応する応答信号用制御チャネルの一部を介して基地局装置700aに送信する。これにより、下りリンクの再送パケット数を抑制することができるため、スループットを向上することができる。
[第3の実施形態]
以下、図面を参照し、本発明の第3の実施形態について説明する。第1および第2の実施形態では、パケットが拡散符号によって多重され、コード間干渉MCIをキャンセラによって除去する場合について説明した。本実施形態では、基地局装置1300(第1の通信装置)と端末装置1400(第2の通信装置)とを有する移動体通信システムにおいて、基地局装置1300から送信されたパケットがMIMO(Multiple Input Multiple Output:多入力多出力)を用いて空間多重され、端末装置1400が他ストリームの信号を干渉キャンセラによって除去する場合について説明する。なお、干渉キャンセラとして繰り返しSIC(Successive Interference Canceller:逐次型干渉キャンセラ)を用いる場合を説明する。
図15は、本実施形態による基地局装置1300の構成を示す概略ブロック図である。基地局装置1300は、ストリーム信号生成部1301−1、・・・、1301−N(ただし、Nはストリーム数)、アンテナ1309−1〜1309−N、無線受信部1310、分離部1311、再送制御部1312、再送制御信号生成部1313を備えている。ストリーム信号生成部1301−1〜1301−Nのそれぞれは、符号部1314、レートマッチ部1315、変調部1316、インタリーバ部1303、IFFT部1304、パイロット信号生成部1305、多重部1306、GI挿入部1307、無線送信部1308、符号化ビット記憶部1318を備えている。
ストリーム信号生成部1301は、入力された情報ビットからストリーム毎の送信データ信号を生成する。まず、符号部1314は、ストリーム信号生成部1301に入力された情報ビットの系列に対してチャネル符号化処理を行い、符号化ビット系列を出力する。ここでチャネル符号化としては、畳み込み符号化、リードソロモン符号化などの誤り訂正能力を有する符号化を用いることが好ましい。より好ましくはターボ符号化、LDPC符号化などの高い誤り訂正能力を有する符号化を用いる。
レートマッチ部1315は、符号部1314から出力された符号化ビットあるいは符号化ビット記憶部1318から出力された符号化ビットに対して、再送制御部1312から出力される再送回数に応じたパンクチャリング(ビット除去)、ビットパディング(ビット挿入)あるいはビットリピティション(ビット繰り返し)処理を行う。これらの処理については第1の実施形態にて既に説明した。そして、好ましくは、さらにビットインタリーブ処理を施す。なお、レートマッチングの例としてパンクチャリングに関する一例を後述する。
符号化ビット記憶部1318は、符号部1314の出力である符号化ビット系列を記憶する。また、再送制御部1312の制御の基で、記憶している符号化ビット系列を削除する。
変調部1316は、レートマッチ部1315から出力された符号化ビット(パンクチャド符号化ビット)系列に対して変調処理を行い、変調シンボル系列を出力する。このとき変調方式としては、PSK、QAMなどの変調方式を用いることができる。さらに好ましくは、基地局装置1300と端末装置1400との間の伝搬路に応じた変調方式を用いる。
インタリーバ部1303は、変調部1316から出力された信号に、シンボルインタリーブ(周波数インタリーブ)などのインタリーブ処理を施す。
IFFT部1304は、インタリーブ処理結果の周波数方向に並べられた信号に対して、逆高速フーリエ変換処理を行うことにより、時間領域の信号に変換する。
パイロット信号生成部1305は、端末装置1400において伝搬路推定に用いるためのパイロット信号を生成する。好ましくは、ストリーム毎に直交したパイロット信号を生成する。
再送制御信号生成部1313は、再送制御部1312から通知される各ストリームのデータ信号の再送回数を端末装置1400に通知するための信号(再送制御信号)を生成する。なお、ここでは再送制御信号はストリーム信号生成部1801−1におけるストリームに多重される構成となっているが、これに限るものではない。いずれのストリーム(複数も可能)に多重されても良い。
多重部1306は、IFFT部1304から出力された周波数領域の信号(データ信号)と、パイロット信号生成部1305から出力されたパイロット信号と、再送制御信号生成部1313から出力された再送制御信号とを多重する。
多重部1306から出力された信号を、GI挿入部1307はガードインターバルを付加し、無線送信部1308はアンテナ1309−1を介して端末装置1400に送信する。他のストリーム信号生成部1301−2〜1301−Nおよびアンテナ1309−2〜1309−Nにおいても同様の処理が行われる。
端末装置1400から送信された信号はアンテナ1309−1を介して無線受信部1310(報告受信部とも称する)で受信される。なお、ここではアンテナ1309−1のみを介して受信する構成について説明するが、これに限るものではない。いずれのアンテナ(複数も可能)を介して受信しても良い。分離部1311では、受信信号に多重された上りリンクデータと成否情報とを分離する。再送制御部1312は、分離部1311で上りリンクデータから分離された成否情報に基づいて、再送パケット(再送データ信号)を送信する準備を行う。詳細は、後述する。
図16は、本実施形態による端末装置1400の構成を示す概略ブロック図である。端末装置1400は、アンテナ1401−1〜1401―M(ただし、Mはアンテナ数)、アンテナ毎受信処理部1402−1〜1402−M、受信パケット管理部1410、干渉キャンセラ部1411、ビットLLR記憶部1412、成否情報信号生成部1413、多重部1414、無線送信部1415を備えている。アンテナ毎受信処理部1402−1〜1402−Mの各々は、無線受信部1403、分離部1404、伝搬路推定部1405、伝搬路推定値記憶部1406、GI除去部1407、FFT部1408、受信信号記憶部1409を備えている。伝搬路推定部1405〜ビットLLR記憶部1412をデータ信号検出部とも称する。
アンテナ1401−1〜1401−Mを介して受信された信号は、アンテナ毎受信処理部1402−1〜1402−Mにおいて受信処理が施される。まず、アンテナ毎受信処理部1402−1〜1402−M各々の無線受信部1403(受信部とも称する)が受信した信号を、分離部1404は、パイロット信号と再送制御情報信号とデータ信号とに分離する。
伝搬路推定部1405は、分離部1404において分離されたパイロット信号を用いて、基地局装置1300の各アンテナ1309−1〜1309−Nと端末装置1400のアンテナ1401−1〜1401−Mとの間の伝搬路特性を推定し、伝搬路推定値を出力する。伝搬路推定値記憶部1406は、伝搬路推定部1405の出力である伝搬路推定値を記憶する。
GI除去部1407は、分離部1404で分離されたデータ信号からガードインターバルを除去する。FFT部1408は、GI除去部1407の出力信号に高速フーリエ変換処理を施すことにより、周波数領域の信号に変換する。受信信号記憶部1409は、FFT部1408の出力である周波数領域の信号を記憶する。
受信パケット管理部1410は、分離部1404において分離された再送制御情報信号と、干渉キャンセラ部1411から出力される成否情報に基づいて、干渉キャンセラ部1411、ビットLLR記憶部1412、受信信号記憶部1409、伝搬路推定値記憶部1406に対して各種指示をするとともに、成否情報信号生成部1413に対して、応答信号の生成を指示する。また、受信パケット管理部1410は多重部1414に対して、成否情報信号生成部の出力である応答信号を多重するチャネルが応答信号用制御チャネルであるかデータ信号用制御チャネルであるかを指示する。
より詳細に説明すると、送信されたパケットに対応する送信データ検出の成否を示す応答信号は、応答信号用制御チャネルに割り当てるように指示し、送信されたパケット以外のパケット、すなわち送信されたパケットが再送パケットであり、かつその再送パケットに対応する初送パケットに多重されていたパケットに対応する送信データ再検出の成否を示す応答信号は、データ信号用チャネルに割り当てるように指示する。
干渉キャンセラ部1411は、受信パケット管理部1410の指示に基づき、伝搬路推定部1405から出力された伝搬路推定値を参照しながら、アンテナ1401−1〜1401−Mの各々ごとに受信処理部1402−1〜1402−Mから出力される信号から、アンテナ1309−1〜アンテナ1309−N毎に情報ビットを検出するとともに、成否情報を出力する。また、ビットLLR記憶部1412から符号化ビットLLRが出力された場合は、受信信号記憶部1409から出力される受信信号から当該符号化ビットLLRと伝搬路推定値記憶部1406の出力である伝搬路推定値とを用いて、情報ビットの検出を行う。なお、干渉キャンセラ部1411の動作の詳細な例については後述する。
ビットLLR記憶部1412は、受信パケット管理部1410の指示の下で、干渉キャンセラ部1411から出力される符号化ビットLLRを記憶する。また、受信信号に再送パケットが多重されていた場合は、記憶しておいた符号化ビットLLRを干渉キャンセラ部1411に出力し、干渉キャンセラ部1411から出力される符号化ビットLLRを再び記憶する。つまり、ビットLLR記憶部1412は、記憶しておいた符号化ビットLLRを新たに出力された符号化ビットLLRに置き換える。
成否情報信号生成部1413は、受信パケット管理部1410の指示の下で、応答信号を生成し、多重部1414に出力する。
多重部1414は、受信パケット管理部1410の指示の下で、成否情報信号生成部1413の出力である応答信号を応答信号用制御チャネルあるいはデータチャネルに割り当て、上りリンクデータ信号をデータチャネルに割り当てることにより、応答信号と上りリンクデータ信号を多重して無線送信部1415に出力する。出力された信号は無線送信部1415(報告送信部とも称する)からアンテナ1401を介して基地局装置1300へと送信される。なお、ここでは上りリンクの信号はアンテナ1401−1のみから送信される構造を例に挙げて説明するが、これに限るものではない。他のアンテナであっても良いし、複数のアンテナを用いて送信する構成を取っても良い。
図17は、本実施形態による干渉キャンセラ部1411の構成を示す概略ブロック図である。なお、ここでは、1番目のストリームから逐次N番目のストリームまでの情報ビットを検出する場合について説明する。干渉キャンセラ部1411における一連の処理は、初回にすべてのストリームの情報ビットを誤り無く検出できた場合を除いて、1番目のストリームから逐次N番目のストリームまでの情報ビットを検出する処理を繰り返し実行する繰り返し信号検出処理である。
干渉キャンセラ部1411は、ストリーム検出部1501−1〜1501−N、受信レプリカ生成部1502−1〜1502−N、減算部1503−1〜1503−N、シンボルレプリカ生成部1504−1〜1504−Nを備えている。
ストリーム検出部1501−1は、MIMO分離部1505(空間多重分離部とも称する)、デインタリーバ部1506、復調部1507、レートマッチ部1508、合成部1509、復号部1510を備えている。ストリーム検出部1501−2〜1501−Nも、ストリーム検出部1501−1と同様の構成を有する。
受信レプリカ生成部1502−k(干渉信号レプリカ生成部とも称する)は、シンボルレプリカ生成部1504−1、・・・、1504−Nから出力されたシンボルチャネルレプリカSr、1、・・・、Sr、Nの中で、シンボルチャネルレプリカSr、k以外のシンボルチャネルレプリカと、伝搬路推定部1405(あるいは伝搬路推定値記憶部1406)から出力された伝搬路推定値とに基づいて、ストリームレプリカ(干渉レプリカ)を生成して出力する。その他の受信レプリカ生成部1502−1〜1502−Nも同様である。なお、繰り返し信号検出処理の初回においては、受信レプリカ生成部1502−1〜1502−Nは受信レプリカを生成する必要はない。また、繰り返し信号検出処理の繰り返し中における各シンボルレプリカは、最後に生成(更新)されたものを用いる。
減算部1503−1〜1503−Nは、FFT部1408(あるいは受信信号記憶部1409)の出力からストリームレプリカを減算する。
ストリーム検出部1501−1のMIMO分離部1505は、伝搬路推定部1405(あるいは伝搬路推定値記憶部1406)の出力である伝搬路推定値に基づいて、減算部1503−1の出力に対してMIMOストリーム分離(空間多重分離)を行う。具体的には、最尤推定によりストリームのデータ信号を再現する。あるいは減算部1503−1の出力に対するMMSE(Minimum Mean Square Error;最小二乗誤差)重みを算出し、算出した重みを減算部1503−1の出力に対して乗算するなどの分離方法を用いる。その他のストリーム検出部1501−2〜1501−NのMIMO分離部1505も、減算部1503−1の出力に代えて、それぞれ減算部1503−2〜1503−Nの出力に対してMIMOストリーム分離を行う点を除き、同様である。
ストリーム検出部1501−1〜1501−Nのデインタリーバ部1506は、MIMO分離部1505からの出力に対して、デインタリーブ処理を行う。このデインタリーブ処理は、インタリーバ部1303におけるインタリーブ処理により並べ替えられた順を、元に戻すような並べ替えであることが好ましい。
ストリーム検出部1501−1〜1501−Nの復調部1507(あるいはMIMO分離部1505、デインタリーバ部1506、復調部1507、レートマッチ部1508をまとめて復調部とも称する)では、デインタリーバ部1506からの出力信号である変調シンボル系列に対して復調処理を行い、ビット毎の信号を抽出する。好ましくは、ビット毎の対数尤度比(LLR)を出力する。
ストリーム検出部1501−1〜1501−Nのレートマッチ部1508では、基地局装置1300内の対応するレートマッチ部1315において行われたパンクチャリング(ビット除去)、ビットパディング(ビット挿入)あるいはビットリピティション(ビット繰り返し)処理に対して逆の処理を行い符号化ビットLLRを出力する。すなわち、パンクチャリングされたビットに対してはビットデパンクチャリング(ビットLLR挿入)処理を、ビットパディング(ビット挿入)されたビットに対してはビット除去処理を、ビットリピティション(ビット繰り返し)されたビットに対してはビットLLR合成を行う。
ストリーム検出部1501−1〜1501−Nの合成部1509(MIMO分離部1505、デインタリーバ部1506、復調部1507、レートマッチ部1508、合成部1509をまとめて信号合成部とも称する)は、初送パケットあるいは1度目の再送パケットについて処理している場合、レートマッチ部1508の出力である符号化ビットLLRをそのまま出力する。
一方、2度目以降の再送パケットについて処理している場合、合成部1509は、ビットLLR記憶部1312に記憶してある符号化ビットLLR(対応する初送パケットにおける符号化ビットLLR)とレートマッチ部1508の出力である符号化ビットLLRを合成して出力する。
ストリーム検出部1501−1〜1501−N各々の合成部1509から出力された符号化ビットLLRは、ストリーム検出部1501−1〜1501−N各々の復号部1510に入力される。また、再送パケットである場合は、出力された符号化ビットLLRがビットLLR記憶部1312に送られる。
ストリーム検出部1501−1〜1501−Nの復号部1510は、合成部1509から入力された符号化ビットLLRに対して復号処理を行い、復号結果である情報ビットと、情報ビットに誤りが含まれるかどうかを示す成否情報と、復号処理により対数尤度比が更新された符号化ビットLLRとを出力する。なお、復号部1510は、復号結果の情報ビットに誤りを検出したときは情報ビットを出力せずに符号化ビットLLRを出力し、誤りを検出しなかったときは符号化ビットLLRを出力せずに情報ビットを出力するようにしても良い。
次に、端末装置1400から基地局装置1300への上りリンク信号の送信処理に関して説明する。
端末装置1400から送信された信号はアンテナ1309−1を介して無線受信部1310(報告受信部とも称する)が受信する。なお、ここではアンテナ1309−1のみを介して受信する構成について説明するが、これに限るものではない。いずれのアンテナ(複数も可能)を介して受信しても良い。
分離部1311は、無線受信部1310が受信した受信信号に多重された上りリンクデータと成否情報とを分離する。
再送制御部1312は、分離部1311で上りリンクデータから分離された成否情報に基づいて、以下のように再送パケット(再送データ信号)を送信する準備を行う。
成否情報が受信失敗を表す情報(否定応答NACK)であった場合、再送制御部1312は符号化ビット記憶部1318に対して、否定応答NACKを返されたパケットに対応する符号化ビット系列を出力するように指示する。また、レートマッチ部1315に対して、符号化ビット記憶部1318から出力された符号化ビット系列に対してレートマッチング処理を行うように指示する。なお、レートマッチ処理は初送時と同様の処理であっても良いが、再送回数に応じてレートマッチ処理を変更することが好ましい。
さらに、再送制御部1312は多重するパケットの再送回数を示す情報を再送制御信号生成部1313に通知し、再送制御信号生成部1313はこの情報を示す信号(再送制御信号)を生成して出力する。なお、多重するパケットの再送回数を示す情報としては、回数そのものを示す情報であることが好ましいが、単に初送か再送かを示す情報など、再送回数を加工した情報であっても良い。成否情報が受信成功を表す情報(肯定応答ACK)であった場合、再送制御部1312は符号化ビット記憶部1318に対して、肯定応答ACKを返されたパケットに対応する符号化ビット系列を記憶した記憶領域を解放する(消去する)ように指示する。
次に、端末装置1400において受信信号に含まれる初送パケットから情報ビットを抽出する処理と受信パケット管理部1410が行う制御について説明する。
まず、無線受信部1403が受信した受信信号を、分離部1404、GI除去部1407、FFT部1408が処理を施して周波数領域の信号を生成し、この周波数領域の信号は、受信信号記憶部1409に記憶される。
次に、干渉キャンセラ部1411が、1連のストリームについて干渉キャンセルと信号検出とを繰り返す繰り返し信号検出処理を行う。すなわち、まず、繰り返し信号検出処理の初回では、ストリーム検出部1501−1〜1501−Nの各々が、受信信号に含まれるパケット(ストリーム)のうち、それぞれに対応するパケット(ストリーム)に対する処理を行う。ストリーム検出部1501−1〜1501−NのMIMO分離部1505は、伝搬路推定部1405において推定された伝搬路推定値を用いて、FFT部1408が生成した周波数領域の信号について、対応するストリームの信号を分離するMIMOストリーム分離を行う。
デインタリーバ部1506が、MIMOストリーム分離された信号をデインタリーバ処理した後、復調部1507およびレートマッチ部1508が復調処理とレートマッチング処理を行い、受信パケット管理部1410が初送であるか否かを判定し、初送であれば、復調およびレートマッチング処理を施された結果である符号化ビットLLRを、合成部1509は、そのまま複合部1510に出力する。復号部1510は、合成部1509から入力された符号化ビットLLRに対して復号処理を行い、復号結果である情報ビットと、情報ビットに誤りが含まれるかどうかを示す成否情報と、復号処理により対数尤度比が更新された符号化ビットLLRとを出力する。なお、復号部1010は、復号結果の情報ビットに誤りを検出したときは情報ビットを出力せずに符号化ビットLLRを出力し、誤りを検出しなかったときは符号化ビットLLRを出力せずに情報ビットを出力するようにしても良い。
さらに、繰り返し信号検出処理の2回目が施される。繰り返し信号検出処理の2回目では、まず、ストリーム検出部1501−1〜1501−Nの復号部1510の復号処理により更新された符号化ビットLLRを用いて、シンボルレプリカ生成部1504−1〜1504−N各々がシンボルチャネルレプリカを生成する。受信レプリカ生成部1502−1〜1502−Nは、生成されたシンボルチャネルレプリカのうち、所望のストリーム以外のストリームのシンボルチャネルレプリカからストリームレプリカ(干渉信号レプリカ)を生成する。減算部1503−1〜1503−Nは、FFT部1408が生成した周波数領域の信号から、所望のストリームの干渉信号レプリカを減算して、干渉(次に検出するストリームに対する干渉)を除去する。続いて、ストリーム検出部1501−1〜1501−Nが、繰り返し信号検出処理の初回と同様に動作する。以降、繰り返し信号検出処理の3回目以降が、2回目と同様に行われる。繰り返し信号検出処理の各回において、復号部1510は、復号処理した際に、繰り返し信号検出処理の終了判定を行い、繰り返し信号検出処理の繰り返しを予め決められた最大回数繰り返したとき、あるいは、全ての復号部1510において情報ビットに誤りが検出されなかったときは、繰り返し信号検出処理を終了する。
このように繰り返し信号検出処理の中で、受信信号に含まれるそれぞれの初送パケットに対する処理において、逐次的に送信データの検出と、次の検出対照である送信データを含むストリームにおける干渉除去を繰り返し行う。
すなわち、MIMO分離を行い、復号およびレートマッチング処理を施し、得られたビットLLRを用いて復号し、復号部1510の出力である符号化ビットLLRを用いて、ストリームレプリカを生成し、ストリームレプリカを用いて干渉を除去する。ただし、ストリームレプリカのキャンセルは、再送パケットのレプリカもキャンセルすることが好ましい。
一方、再送パケットに関しては、初送パケットに対する繰り返し信号検出処理と同様の処理が行われるが、以下の点が異なる。まず受信パケット管理部1410において1度目の再送であるか2度目以降の再送であるかを判定し、1度目の再送ならば、レートマッチ部1508によりレートマッチング処理された符号化ビットLLRをビットLLR記憶部1312において記憶し、合成部1509、復号部1510は動作しない。2度目以降の再送ならば、レートマッチ部1508によりレートマッチング処理された符号化ビットLLRとビットLLR記憶部1312において記憶されていた符号化ビットLLRとを合成部1509において合成した後、合成後の符号化ビットLLRをビットLLR記憶部1312に記憶する。この際は復号部1510は動作しない。
なお、ここでは再送であるとき、復調およびレートマッチング処理されたビットLLRをビットLLR記憶部1312において記憶する場合について説明するが、繰り返し干渉キャンセル後の復調およびレートマッチング処理されたビットLLRを、ビットLLR記憶部1312において記憶するようにしても良い。
また、再送パケットのみで復号が可能である場合は、レートマッチング処理あるいは合成処理した後、復号部1510が符号化ビットLLRを復号しても良い。
記憶された符号化ビットLLRは、続いて行われる再送パケットに対応する初送パケットを含む過去の受信信号に含まれるパケットから情報ビットを抽出する繰り返し信号検出処理において用いられる。次に、この過去の受信信号に含まれるパケットから情報ビットを抽出する繰り返し信号検出処理と受信パケット管理部1410が行う制御について説明する。この過去の受信信号に含まれるパケットから情報ビットを抽出する繰り返し信号検出処理の初回では、まず、干渉キャンセル部1411が、再送パケットに対応する初送パケットを含む過去の受信信号(周波数領域の信号)を受信信号記憶部1309から取得する。
次に、伝搬路推定値記憶部1306に記憶された当該受信信号受信時の伝搬路推定値を用いて、各ストリーム検出部1501−1〜1501−NのMIMO分離部1505が、過去の受信信号から所望のストリームの信号を分離するMIMOストリーム分離を行う。
MIMOストリーム分離された信号を、デインタリーバ部1506がデインタリーブ処理した後、復調部1507およびレートマッチ部1508が復調およびレートマッチング処理して、符号化ビットLLRを求める。
次に、各ストリーム検出部1501−1〜1501−Nのうち、再送パケットに対応する初送パケットのストリームを所望のストリームとするストリーム検出部では、求めたビット符号化LLRと、この初送パケットに対応する再送パケットの符号化ビットLLR(ビットLLR記憶部1412に記憶されたビットLLR)とを合成部1509が合成し、この合成して得られた符号化ビットLLRに対して、復号部1510が復号する。
また、残りのストリーム検出部では、レートマッチ部1508が求めたビット符号化LLRを合成部1509がそのまま出力し、この符号化ビットLLRに対して、復号部1510が復号処理する。
続いて、この過去の受信信号に含まれるパケットから情報ビットを抽出する繰り返し信号検出処理の2回目が施される。この繰り返し信号検出処理の2回目では、まず、ストリーム検出部1501−1〜1501−Nの復号部1510の復号処理により更新された符号化ビットLLRを用いて、シンボルレプリカ生成部1504−1〜1504−N各々がシンボルチャネルレプリカを生成する。受信レプリカ生成部1502−1〜1502−Nは、生成されたシンボルチャネルレプリカのうち、所望のストリーム以外のストリームのシンボルチャネルレプリカからストリームレプリカ(干渉信号レプリカ)を生成する。減算部1503−1〜1503−Nは、FFT部1408が生成した周波数領域の信号から、所望のストリームの干渉信号レプリカを減算して、干渉(次に検出するストリームに対する干渉)を除去する。
続いて、ストリーム検出部1501−1〜1501−Nが、繰り返し信号検出処理の初回と同様に動作する。以降、繰り返し信号検出処理の3回目以降が、2回目と同様に行われる。繰り返し信号検出処理の各回において、復号部1510は、復号処理した際に、繰り返し信号検出処理の終了判定を行い、繰り返し信号検出処理の繰り返しを予め決められた最大回数繰り返したとき、あるいは、全ての復号部1510において情報ビットに誤りが検出されなかったときは、繰り返し信号検出処理を終了する。ただし、ストリームレプリカのキャンセルは、過去の受信信号に含まれる再送パケットのレプリカもキャンセルすることが好ましい。
なお、以上の説明では、第1の実施形態と同様に、送信されたパケット以外のパケットに対応する情報ビット再検出の成否を示す応答信号は、データチャネルを用いて基地局装置1300に報告する場合について説明したが、第2の実施形態のように予め用意された繰り返し応答用の応答信号用制御チャネルの一部を用いて送信するようにしてもよい。この場合、繰り返し応答せずに応答信号の品質が要求値を超える(あるいは超えると予測される)場合のみ、送信されたパケット以外のパケットに対応する情報ビット再検出の成功を示す肯定応答ACKも送信し、繰り返し応答しなければ応答信号の品質が要求値を下回る(あるいは下回ると予測される)場合は、送信されたパケットに対応する情報ビット再検出の成功を示す肯定応答ACKのみを送信するとしてもよい。また、送信されたパケット以外のパケット に対応する送信データ再検出の成否を示す応答信号が多い場合、その中の一部を選択して送信するようにしても効果は得られる。
MIMO通信を行う端末装置1400において、このようなストリーム間干渉キャンセル処理を行うシステムであっても、第1、2の実施形態と同様のハイブリッド自動再送HARQ処理を行うことができる。
このように、基地局装置1300から端末装置1400へ複数の初送パケットを多重して送信し、端末装置1400において干渉(多重された他のパケット)を除去しながらデータを検出し、かつデータ検出に失敗した場合に、基地局装置1300から端末装置1400へ再送パケットを送信するようなシステムにおいて、多重された複数の初送パケットの検出に失敗し、その一部のパケットに対応する再送パケットが送信された際に、一部のパケットのみでなく初回に検出に失敗した他の初送パケットにおいても再度検出し、検出に成功すれば、検出成功を示す情報を基地局装置に送信する。これにより、下りリンクの再送パケット数を抑制することができるため、スループットが向上する。
なお、上記の各実施形態では、端末装置900、1400が、復調されたビットLLRを合成部1009、1509において合成する場合について説明したが、基地局装置700、1300において初送パケットと再送パケットに対して同様のレートマッチング処理を行う場合は、復調前の変調シンボル系列を合成するようにしても良い。この場合、ビットLLR記憶部912、1412は、復調後のビットLLRを記憶する代わりに、変調シンボル系列を記憶すれば良い。
なお、上記の各実施形態では、端末装置900、1400が、送信データ検出に成功するか否かに係らず、データ信号のレプリカを生成する際に、復号部1010、1510の出力である符号化ビットLLRを用いる場合について説明したが、これに限るものではない。好ましくは、情報ビット検出に成功したデータ信号のレプリカは、復号部1010、1510の出力である情報ビットを用いて生成する。これにより、レプリカ生成の精度を向上することができる。
なお、上記の各実施形態では、端末装置900、1400は、再送パケットを合成して、初送パケットに含まれる送信データを再検出した後、送信データ再検出に成功した場合は肯定応答ACKを基地局装置700、1300に報告し、送信データ再検出に失敗した場合は否定応答NACKを基地局装置700、1300に報告する場合について説明したが、これに限るものではない。
例えば、送信データ再検出に成功した場合は、端末装置900、1400は、肯定応答ACKを基地局装置700、1300に報告し、送信データ再検出に失敗した場合は何も報告しないなど、成功したかどうかにより、異なる報告処理を行えば良い。この例の場合、基地局装置700、1300は、一定時間肯定応答ACKが報告されない場合は、否定応答NACKが報告された場合と同様の処置を行えば良い。
なお、上記の各実施形態では、ハイブリッド自動再送HARQを用いる場合について説明したが、ARQ(初送パケットと再送パケットを合成しない場合)においても本発明を適用することは可能である。初送パケットと再送パケットを合成する代わりに、再送パケットの復号結果(あるいは復調結果)を用いてシンボルレプリカを生成し、このシンボルレプリカと初送時の伝搬路推定結果とを用いて干渉信号レプリカを生成すれば良い。この場合、初送パケットに比べて再送パケット送信時の伝搬路特性が良好であるか、あるいは再送パケットの方が低伝送レートで送信されるなど、再送パケットの送信データ検出精度が初送パケットに比べて良好であれば、効果が得られる。
また、図5におけるコードチャネル信号生成部701−1〜701−N、コード多重部702、インタリーバ部703、IFFT部704、パイロット信号生成部705、多重部706、GI挿入部707、分離部711、再送制御部712、再送制御信号生成部713、および図7における分離部903、伝搬路推定部904、GI除去部906、FFT部907、受信パケット管理部909、干渉キャンセラ部910、コードチャネルレプリカ生成部911−1〜911−N、成否情報信号生成部913、多重部914、および図11におけるコードチャネル信号生成部701−1〜701−N、コード多重部702、インタリーバ部703、IFFT部704、パイロット信号生成部705、多重部706、GI挿入部707、分離部711a、再送制御部712、再送制御信号生成部713、および図12における分離部903、伝搬路推定部904、GI除去部906、FFT部907、受信パケット管理部909a、干渉キャンセラ部910、コードチャネルレプリカ生成部911−1〜911−N、成否情報信号生成部913、多重部914、および図15におけるストリーム信号生成部1301−1〜1301−N(符号化ビット記憶部1318、無線送信部1308を除く)、分離部1311、再送制御部1312、再送制御信号生成部1313、および図16におけるアンテナ毎受信処理部1402−1〜1402−M(無線受信部1403、伝搬路推定値記憶部106、受信信号記憶部1409を除く)、受信パケット管理部1410、干渉キャンセラ部1411、成否情報信号生成部1413、多重部1414の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを基地局装置または移動局装置が備えるコンピュータシステム(図示せず)に読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。