以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施例であるスロットマシン1の前面扉3が閉じた状態を示した斜視図であり、図2は、そのスロットマシン1の前面扉3が開いた状態を示した斜視図である。
図1及び図2を参照して、スロットマシン1の全体構成について説明する。スロットマシン1は、図1に示すように、本体2と前面扉3とから正面視略矩形状の箱状体に構成されている。本体2は、図2に示すように、スロットマシン1の骨格をなす部材であり、回胴L,M,Rやホッパ47等を収納するために、前面側が開放した中空状の箱状体に形成されている。
本体2の内部には、図2に示すように、各種の図柄等が表示され回転可能に構成された3本の回胴L,M,Rと、スロットマシン1の遊技を制御する制御装置40、電源スイッチ41とリセットスイッチ42と設定キー挿入孔43とを備える電源ボックス44、メダルを貯留する補助タンク45とこの補助タンク45内のメダルを払出用通路61に通じる開口62を介してメダル払出口32へ払い出す払出装置46とを備えるホッパ47等が収納されている。
前面扉3は、上述した本体2の前面側開放部分に覆設される部材であり、図2に示すように、その前面扉3の裏面側辺部に取着されたヒンジ部材10により本体2に開閉可能に連結されている。よって、前面扉3を閉じることにより本体2の前面側開放部分を閉封することができ、図1に示すように、本体2内に収納される回胴L,M,Rやホッパ47等をその本体2と共に被包することができる。一方、前面扉3を開くことにより本体2の前面側を開放することができ、ホッパ47内に貯留されたメダルの回収等を行うことができる。なお、前面扉3には、図1に示すように、施錠装置9が配設されており、かかる施錠装置9により本体2と前面扉3とを図1に示す状態で施錠することができる。
前面扉3は前面枠4によりその外形が形成されており、前面枠4は、枠部材視認部4aと枠部材操作部4bと枠部材貯留部4cとに3分割されて構成されている。前面扉3の上段部(前面枠4の枠部材視認部4a)には、図1に示すように、遊技の進行に伴って点灯し又は点滅する上部ランプ11、遊技の進行に伴って種々の効果音等を発生するスピーカ12,12、各種の内容を表示する液晶ディスプレイ(以下「LCD」と略す)13、左回胴Lと中回胴Mと右回胴Rとをそれぞれ透視可能な露出窓14L,14M,14R、メダルのベット数(賭け数)に応じて点灯する5つのベットランプ15,16,16,17,17、クレジット数表示部18、ゲーム数表示部19、払出枚数表示部20などが設けられている。
前面扉3の中段部(前面枠4の枠部材操作部4b)には、図1に示すように、メダルを貯玉するか否かを切り替えるクレジットボタン21と、左中右の各回胴L,M,Rの停止を指示する左・中・右回胴用ストップボタン22〜24と、メダルの詰まりを解消するメダル詰まり解消ボタン25と、貯玉されたメダルから1枚のメダルを賭けるための1枚ベットボタン26と、2枚のメダルを賭ける2枚ベットボタン27と、最大である3枚のメダルを賭けるマックスベットボタン28と、各回胴L,M,Rの回転を開始させるスタートレバー29と、メダル投入口30と、機種名や遊技に関わるキャラクタ等が表示された表示プレート31等とが設けられている。また、前面扉3の下段部(前面枠4の枠部材貯留部4c)には、図1に示すように、メダル払出口32から払い出されたメダルを受けて貯留するメダル受け皿33、タバコの吸い殻等を入れる灰皿34などが設けられている。
図3は、スロットマシン1の電気的構成を示したブロック図である。スロットマシン1の主制御基板Cは、制御装置40内に配設されている。この主制御基板Cには、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU51と、そのMPU51と接続されると共に各種のI/O装置と接続された入出力ポート54とが搭載されている。MPU51には、MPU51により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM52と、そのROM52内に記憶される制御プログラムの実行に当たって各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM53と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
ROM52には、制御プログラムの一部として、後述のフローチャートに示すプログラムが記憶されている。また、固定値データの一部として、励磁時間テーブル52a(図4参照)が記憶されている。励磁時間テーブル52aの詳細については、RAM53の加速カウンタ53fの説明の際に後述する。
RAM53には、回胴番号メモリ53aと、図柄番号メモリ53bと、図柄オフセットメモリ53cと、励磁データメモリ53dと、励磁時間メモリ53eと、加速カウンタ53fと、加速済みフラグ53gと、原点センサSAVEフラグ53hと、回胴停止位置調整タイマ53iと、原点後距離ワークメモリ53jと、原点後距離保存メモリ53kと、原点迄距離ワークメモリ53mと、原点迄距離保存メモリ53nとが設けられている。また、RAM53には、スロットマシン1の電源のオフ後においても、後述する電源基板55からバックアップ電圧が供給され、スロットマシン1の電源のオフ後もデータを保持(バックアップ)できるように構成されている。
回胴番号メモリ53aは、モータ制御処理(S32)及び原点センサ判定処理(S50)において、制御対象となる回胴を示すためのメモリであり、その値は、回胴モータ制御処理(S17)によって設定される。具体的に、回胴番号メモリ53aの値が「1」であれば左回胴Lが制御対象として指定され、「2」であれば中回胴Mが、「3」であれば右回胴Rが、それぞれ制御対象として指定される。モータ制御処理及び原点センサ判定処理では、回胴番号メモリ53aで指定された回胴に対応するメモリ等が参照され、その値等に基づいて、回胴番号メモリ53aで指定された回胴の制御が行われる。なお、回胴番号メモリ53aの値の「0」は、左・中・右のすべての回胴L,M,Rについてモータ制御処理が終了したことを示す。
図柄番号メモリ53bは、遊技者が視認できる位置にある図柄の図柄番号を記憶するメモリであり、左・中・右の各回胴L,M,Rのそれぞれに設けられている(53bL,53bM,53bR)。各回胴L,M,Rの表面に表示される図柄は、各露出窓14L,14M,14Rから縦方向にそれぞれ3図柄ずつ遊技者が視認できるようにされている。図柄番号メモリ53bに記憶される図柄番号の図柄は、ちょうど露出窓14L,14M,14Rの下段に位置する状態となっている。各回胴L,M,Rの表面には略等間隔に21の図柄が表示されている。よって、この21の図柄に対応して、図柄番号メモリ53bには「0〜20」の値が記憶される。なお、制御上、図柄番号メモリ53bの値が「21」以上になることがあるが、かかる場合は回胴L,M,Rの回転を阻害する何らかの異常状態(モータや回路の異常、或いは手操作により回胴L,M,Rの回転が強制的に止められている異常)の発生時である。かかる場合には、異常処理として再加速設定処理(S64)が行われる。
図柄オフセットメモリ53cは、図柄番号メモリ53bで指定される表示図柄の1図柄未満の移行量を記憶するメモリであり、左・中・右の各回胴L,M,Rのそれぞれに設けられている(53cL,53cM,53cR)。各回胴L,M,Rは、ステッピングモータ64L,64M,64Rによりそれぞれ回転駆動される。本実施例での駆動は1−2相励磁で行われ、24ステップで1図柄分移行する。前述した通り、回胴L,M,Rには21図柄が表示されているので、21図柄×24ステップ=504ステップで回胴L,M,Rが1回転する。ステッピングモータ64L,64M,64Rが1ステップ駆動されると、図柄オフセットメモリ53cの値が1加算される。加算後の図柄オフセットメモリ53cの値が24に達すると、図柄オフセットメモリ53cの値は0クリアされ、これと共に図柄番号メモリ53bの値が1加算される。即ち、図柄オフセットメモリ53cの値は「0〜23」の範囲で更新される。
なお、図柄番号メモリ53bの値の初期化(クリア)は、各回胴L,M,Rに設けられ、各回胴L,M,Rに同期してぞれぞれ回転する遮蔽板67L,67M,67Rが原点センサ63L,63M,63Rを通過(回転原点の検出)した後、後述する原点後距離保存メモリ53kおよび原点迄距離保存メモリ53nに記憶される合計のステップ数分、ステッピングモータ64L,64M,64Rが駆動されたタイミングで行われる。この図柄番号メモリ53bの値の初期化時に、図柄オフセットメモリ53cの値も、改めて初期化される。即ち、図柄番号メモリ53bと図柄オフセットメモリ53cの各値は、回胴L,M,Rが1回転する毎に初期化されるので、回胴L,M,Rに回転のズレがあっても、このズレを1回転する毎に解消できる。
励磁データメモリ53dは、ステッピングモータ64L,64M,64Rを1−2相励磁で駆動する場合の出力励磁相を記憶するメモリであり、左・中・右の各回胴L,M,Rのそれぞれに設けられている(53dL,53dM,53dR)。この励磁データメモリ53dに記憶される値が入出力ポート54からステッピングモータ64L,64M,64Rのドライバ回路(図示せず)へ出力されることにより、ドライバ回路を介して、ステッピングモータ64L,64M,64Rの励磁が行われる。
励磁時間メモリ53eは、励磁データメモリ53dに記憶される出力励磁相の出力時間(励磁時間)を記憶するメモリであり、左・中・右の各回胴L,M,Rのそれぞれに設けられている(53eL,53eM,53eR)。本実施例のステッピングモータ64L,64M,64Rの励磁は、1.490ms(ミリ秒)の整数倍の時間で行われ、且つ、ステッピングモータ64L,64M,64Rの駆動制御を行うタイマ割込処理は、1.490ms毎に実行される。よって、励磁時間メモリ53eには、励磁時間を1.490msで除算した商が励磁時間として記憶される。励磁時間メモリ53eの値は、モータ制御処理(S32)によって、1ずつ減算され、その値が0であれば、励磁データメモリ53dの値が次の出力励磁相に切り替えられ、その励磁時間が励磁時間メモリ53eに設定される。
加速カウンタ53fは、励磁時間メモリ53eに設定される励磁時間を、励磁時間テーブル52a(図4参照)から読み出すために使用されるカウンタであり、左・中・右の各回胴L,M,Rのそれぞれに設けられている(53fL,53fM,53fR)。まず、図4を参照して、励磁時間テーブル52aについて説明する。
図4は、励磁時間テーブル52aの構成を模式的に示した図である。図4に示すように励磁時間テーブル52aは、励磁時間メモリ53eに設定される励磁時間を記憶したデータテーブルであり、加速カウンタ53fの「1〜25」の値に対応した25バイトのデータで構成されている。即ち励磁時間テーブル52aの実体は、最上行に「データ」として示される列の25バイトのデータが図4に示す配列で構成されたものである。最上行に「励磁期間」「1−2相励磁」「加速方向」として示した列の内容は、ステッピングモータ64L,64M,64Rの励磁方式を理解するための説明である。また、最上行に「加速カウンタの値」として示される列の値は、加速カウンタ53fの値と、その加速カウンタ53fの値に基づいて取得される励磁時間テーブル52aのデータとの関係を示すためのものであり、実際の励磁時間テーブル52aには、この値も記憶されない。
ステッピングモータ64L,64M,64Rの駆動を開始する場合、加速カウンタ53fの値は、まず「25」に設定される。この加速カウンタ53fの値に対応する励磁時間テーブル52aのデータは「129」であり、これが励磁時間メモリ53eに書き込まれる。モータ制御処理(S32)の実行毎に、励磁時間メモリ53eの値は1ずつ減算され、減算の結果、励磁時間メモリ53eの値が0の状態でモータ制御処理が実行されると、加速カウンタ53fの値が1減算され、その減算後の加速カウンタ53fの値に対応する励磁時間テーブル52aのデータが読み出され、励磁時間メモリ53eに設定される。即ち、励磁時間メモリ53eへ「129」を設定した後、「励磁期間」の列に記載される130割込後に励磁時間メモリ53eの値が0の状態でモータ制御処理が実行されるので、かかる場合には、加速カウンタ53fの値が1減算されて「24」となり、その「24」に応じた励磁時間テーブル52aの値「7」が励磁時間メモリ53eへ設定される。このように加速カウンタ53fの値は25から減算方向に更新されるので、ステッピングモータ64L,64M,64Rの駆動制御は、「加速方向」の列に示すように、励磁時間テーブル52aのデータが下方から上方へ使用されて、加速制御が行われる。
また、ステッピングモータ64L,64M,64Rの加速は、加速カウンタ53fの値が「1」に達すると終了する。その後は停止制御(ブレーキ処理(S59))が開始されるまで定速駆動を続ける。定速駆動時の加速カウンタ53fの値は「1」に設定される。なお、加速カウンタ53fの値が「0」に設定されると、ステッピングモータ64L,64M,64Rの停止制御が開始される。
図3の加速済みフラグ53gは、ステッピングモータ64L,64M,64Rの加速制御が終了したことを示すためのフラグであり、左・中・右の各回胴L,M,Rのそれぞれに設けられている(53gL,53gM,53gR)。加速済みフラグ53gは、加速カウンタ53fの値が1になると、オンされる。加速済みフラグ53gがオンされ、これにより回胴の情報が正常回転中とされると(S82)、回胴L,M,Rのストップボタン22〜24が押下可能な状態となり、かかる状態でストップボタン22〜24が押下されると、対応する回胴L,M,Rの停止制御が開始される。
原点センサSAVEフラグ53hは、各回胴L,M,Rの回転位置の基準となる回転原点の検出のために使用されるフラグであり、左・中・右の各回胴L,M,Rのそれぞれに設けられている(53hL,53hM,53hR)。本実施例では回胴L,M,Rの回転原点は、遮蔽板67L,67M,67Rが原点センサ63L,63M,63Rを通過するタイミングで検出される。よって、原点センサ判定処理(S50)で前回読み込んだ原点センサ63L,63M,63Rの状態をフラグとして記憶しておき、今回読み込んだ状態と比較して、遮蔽板67L,67M,67Rが原点センサ63L,63M,63Rを通過したタイミングであるか否かを判断し、回転原点を検出するのである。
ここで、図5を参照して、各回胴L,M,Rの回転原点の検出方式について説明する。図5は、左回胴Lの側面図であり、説明の便宜上、回転原点の検出機構のみを図示している。図中の矢印は、回胴Lの回転方向を示している。なお、中回胴Mおよび右回胴Rも、左回胴Lと同様に構成されるので、左回胴Lについてのみ説明し、中回胴Mおよび右回胴Rの説明は省略する。
原点センサ63Lは、発光素子63Laと受光素子63Lbとが対になった光センサで構成され、回胴Lが回転可能に取り付けられたフレーム(図示せず)に固定されている。前記フレームの反体側の回胴Lの側面(図5における手前面)には、側面視(図5における正面視)十字状のアーム68Lが設けられている。アーム68Lの中心は、ステッピングモータ64Lの回転軸に直結されているので、ステッピングモータ64Lが回転すると、アーム68Lと共に回胴Lが回転する。十字状の4本のアーム68Lの1本には、原点センサ63L側へ突出した細板状の遮蔽板67Lが一体的に固設されている。遮蔽板67Lは、ステッピングモータ64Lの回転により回胴Lと共に回転し、回胴Lが1回転する毎に原点センサ63Lを1回通過するようにされている。
原点センサ63Lは、発光素子63Laから照射された光が遮蔽板67Lで遮られ受光素子63Lbで受光できない場合には0値が出力され、逆に、発光素子63Laから照射された光が遮蔽板67Lに遮られず受光素子63Lbで受光できる場合には1値が出力される。よって、原点センサ63Lの出力が0から1へ立ち上がるタイミングが、遮蔽板67Lが原点センサ63Lを通過したタイミングであり、かかるタイミングが回転原点とされる。図3の原点センサSAVEフラグ53hは、かかる回転原点の検出のために、前回検出した原点センサ63Lの状態を記憶するのである。
なお、回転原点は、必ずしも遮蔽板67Lが原点センサ63Lを通過したタイミングに限られるのではない。例えば、遮蔽板67Lが原点センサ63Lへ到達したタイミングを回転原点としても良い。かかる場合には、原点センサ63Lの出力が1から0へ立ち下がるタイミングが回転原点となる。更に、当然のことながら、原点センサ63Lの出力値は、上記実施例と反転された逆の値であっても良い。その場合には、上記実施例と逆の論理で回転原点が検出される。
図3の回胴停止位置調整タイマ53iは、本来回転原点を基準として行われる図柄番号メモリ53bおよび図柄オフセットメモリ53cの初期化のタイミングを遅延させるためのタイマであり、左・中・右の各回胴L,M,Rのそれぞれに設けられている(53iL,53iM,53iR)。図柄番号メモリ53bおよび図柄オフセットメモリ53cの初期化のタイミングを遅延させることにより、回胴L,M,Rの停止位置のズレを補正するのである。回胴停止位置調整タイマ53iには、回転原点が検出されたタイミングで、原点後距離保存メモリ53kおよび原点迄距離保存メモリ53nに記憶される値の合計値が設定される。前述した通り、原点後距離保存メモリ53kおよび原点迄距離保存メモリ53nに記憶される各値は、ステッピングモータ64L,64M,64Rのステップ数として記憶されているので、回転原点の検出後に、かかる合計値のステップ数分のステッピングモータ64L,64M,64Rの駆動がなされたタイミングで、図柄番号メモリ53bおよび図柄オフセットメモリ53cの初期化が行われる。
原点後距離ワークメモリ53jは、原点後距離保存メモリ53kに記憶(格納)すべき値を求めるために使用されるワークメモリであり、回胴L,M,Rの駆動開始位置から回転原点までの距離(ステップ数)をカウントする。左・中・右の各回胴L,M,Rのそれぞれに設けられている(53jL,53jM,53jR)。原点後距離ワークメモリ53jの値は、原点センサ判定処理(S50)の実行時に1ずつ加算され、回転原点の検出時に0クリアされる。そして、停止制御(ブレーキ処理(S59))の開始時に、原点後距離保存メモリ53kにデータが格納されていなければ、この原点後距離ワークメモリ53jの値が原点後距離保存メモリ53kに書き込まれ格納される。原点センサ判定処理は、ステッピングモータ64L,64M,64Rが1ステップ駆動する毎に1回実行されるので、原点後距離ワークメモリ53jの値は、ステッピングモータ64L,64M,64Rのステップ数として記憶される。なお、原点後距離ワークメモリ53jは、スロットマシン1の電源投入毎に、原点後距離保存メモリ53kへデータを1回格納するために用いられるものであり、原点後距離保存メモリ53kへ一旦データが格納された後は、電源がオフされるまで原点後距離ワークメモリ53jの値が使用されることは実質的にない。
原点後距離保存メモリ53kは、後述する原点迄距離保存メモリ53nと共に、回胴L,M,Rの停止位置のズレを補正するための調整量を記憶するメモリであり、左・中・右の各回胴L,M,Rのそれぞれに設けられている(53kL,53kM,53kR)。原点後距離保存メモリ53kには、回転原点から、かかる調整量の算出時の停止制御(ブレーキ処理(S59))が開始された位置までの距離がステッピングモータ64L,64M,64Rのステップ数として記憶される。
原点迄距離ワークメモリ53mは、原点迄距離保存メモリ53nに記憶(格納)すべき値を求めるために使用されるワークメモリであり、回転原点から停止制御の開始位置までの距離(ステップ数)をカウントする。左・中・右の各回胴L,M,Rのそれぞれに設けられている(53mL,53mM,53mR)。原点迄距離ワークメモリ53mの値は、原点センサ判定処理(S50)の実行時に1ずつ加算され、停止制御(ブレーキ処理(S59))の開始時で且つ原点後距離保存メモリ53kへのデータ格納時に0クリアされる(この時、原点迄距離保存メモリ53nの値も0クリアされる)。そして、回転原点の検出時に、原点後距離保存メモリ53kにデータが格納されており且つ原点迄距離保存メモリ53nにデータが格納されていなければ、その時の原点迄距離ワークメモリ53mの値が原点迄距離保存メモリ53nに書き込まれ格納される。原点センサ判定処理は、ステッピングモータ64L,64M,64Rが1ステップ駆動する毎に1回実行されるので、原点迄距離ワークメモリ53mの値は、ステッピングモータ64L,64M,64Rのステップ数として記憶される。なお、原点迄距離ワークメモリ53mは、スロットマシン1の電源投入毎に、原点迄距離保存メモリ53nへデータを1回格納するために用いられるものであり、原点迄距離保存メモリ53nへ一旦データが格納された後は、電源がオフされるまで原点迄距離ワークメモリ53mの値が使用されることは実質的にない。
原点迄距離保存メモリ53nは、前述した原点後距離保存メモリ53kと共に、回胴L,M,Rの停止位置のズレを補正するための調整量を記憶するメモリであり、左・中・右の各回胴L,M,Rのそれぞれに設けられている(53nL,53nM,53nR)。原点迄距離保存メモリ53nには、かかる調整量の算出時の停止制御が行われることにより回胴L,M,Rが実際に停止した停止位置から、回転原点までの距離がステッピングモータ64L,64M,64Rのステップ数として記憶される。
なお、原点後距離保存メモリ53kおよび原点迄距離保存メモリ53nの各値を利用した、停止位置のズレ補正の方式については、図6を参照しつつ後述する。
入出力ポート54は、前述した通りROM52及びRAM53を内蔵したMPU51と接続されると共に、各種のI/O装置と接続されている。具体的に入出力ポート54は、遊技状態をリセットするためのリセットスイッチ42と、設定キー挿入孔43内に設けられ設定キーの操作により遊技の当選確率を6段階に切り替えるための設定キースイッチ61と、1枚・2枚・マックスベットボタン26〜28と、クレジットボタン21と、スタートレバー29と、左・中・右回胴用ストップボタン22〜24と、払い出されたメダルを検出するための払出センサ62と、回胴L,M,Rの原点位置(回転原点)をそれぞれ検出するための左・中・右回胴用原点センサ63L,63M,63Rと、左・中・右の各回胴L,M,Rをそれぞれ回転させるための左・中・右回胴用ステッピングモータ64L,64M,64Rと、1枚〜3枚ベットランプ15〜17と、クレジット枚数表示部18と、ゲーム数表示部19と、払出枚数表示部20と、ホッパ駆動モータ65と、メダル通路切替ソレノイド66と、主制御基板Cから送信されるコマンドを受信して、スピーカ12から効果音などの出力制御を行うと共に表示用制御基板Dを制御してLCD13上に演出表示などを行わせるサブ制御基板Sと、更には、電源基板55に設けられた停電監視回路57とにそれぞれ接続されている。サブ制御基板Sには、上部ランプ11と、スピーカ12と、サブ制御基板Sから送信されるコマンドを受信してLCD13上に演出表示などを行う表示用制御基板Dとがそれぞれ接続されている。なお、サブ制御基板Sと表示用制御基板Dとは、データ等の送受信が双方向に可能に構成されている。
電源基板55は、前述した電源ボックス44内に設けられており、主制御基板Cをはじめ、スロットマシン1の各電子機器に駆動電力を供給する電源部56と、電源断の発生を監視する停電監視回路57とを備えている。スロットマシン1の電源のオフ後には、電源基板55の電源部56からRAM53へバックアップ電圧が供給される。
停電監視回路57は、停電等の発生による電源断時(電源スイッチ41のオフによる電源断を含む)に、主制御基板CのNMI端子および入出力ポート54へ停電信号58を出力するための回路である。この停電監視回路57は、電源基板55から出力される最も大きい電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号58を出力するように構成されている。この停電信号58の出力によって、主制御基板Cは、停電の発生を認識し、停電時処理(S13)を実行する。なお、電源基板55は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御基板Cは、停電時処理を正常に実行することができる。また、停電監視回路57を、電源基板55ではなく、例えば主制御基板Cに設けるようにしても良い。
次に、図6を参照して、本実施例における停止位置のズレ補正の方式について説明する。なお、図6における矢印は回胴L,M,Rの回転方向を示している。また、UPは、露出窓14L,14M,14Rの上段位置に停止表示されるべき図柄の上端を、CPは、その中段位置に停止表示されるべき図柄の上端を、DPは、その下段位置に停止表示されるべき図柄の上端を、それぞれ示している。更に、ラインGは、遮蔽板67が原点センサ63を通過する位置(回転原点)と回胴L,M,Rの中心とを結んだ線であり、ラインSは、下段位置に停止表示されるべき図柄の上端と回胴L,M,Rの中心とを結んだ線である。
回胴L,M,Rの停止制御は、回胴L,M,Rが定速駆動に至り、且つ停止させたい図柄番号(停止図柄番号)と図柄番号メモリ53bに記憶される図柄番号とが一致した時点でブレーキ処理をかけて行われる。ブレーキ処理は、ステッピングモータ64L,64M,64Rの1−2相励磁を全相励磁に切り替えて行われるので、回胴L,M,Rの回転慣性モーメントとブレーキ力とのバランスにより、回胴L,M,Rの停止時には、その回胴L,M,Rに特有の一定量の滑りが生じる。
ここで、図柄番号「0」の図柄を下段位置DPに停止させるにために、図6(a)の状態、正に図柄番号「0」の図柄が下段位置DPにある状態でブレーキ処理を実行したとする。ブレーキ処理の結果、回胴L,M,Rが、図6(b)に示す位置に停止した場合、回胴L,M,Rの停止時にはブレーキ処理により滑り量Zが生じることがわかる。よって、図6(c)に示すように、図柄番号「0」の図柄の上端が下段位置DPより滑り量Zだけ手前(上方)にある位置でブレーキ処理を行えば、その図柄番号「0」の図柄を下段位置DPに停止させることができる。
そこで、滑り量Zの算出が必要になるが、滑り量Zは、ステッピングモータ64L,64M,64Rの滑りによって生じるものなので、これを直接検出することはできない。よって、次のように滑り量Zを求める。まず、回胴L,M,Rを1回駆動して、回転原点の位置(ラインG)から停止制御(ブレーキ処理)を開始した位置(ラインS)までの距離X(図6(b)参照)を記憶する。次に、回胴L,M,Rの2回目の駆動を行って、ブレーキ処理により実際に停止した位置(ラインS’)から回転原点の位置(ラインG)までの距離Y(図6(b)参照)を記憶する。すると、回胴L,M,Rの2回の駆動(試動)によって、滑り量Zが、滑り量Z=(回胴の1回転分の距離)−(距離X+距離Y)として求められる。
滑り量Zが求められても、その滑り量Zだけ手前の位置で如何にして停止制御を行うかが課題となる。本来制御は遅延させることはできても、逆に、進行済みの制御を進行前の状態に戻すことはできないからである。そこで、本実施例では、回胴L,M,Rが回転駆動することに着目し、図6(d)に示すように、回転原点の位置(ラインG)から停止制御(ブレーキ処理)を開始した位置(ラインS)までの距離Xと、ブレーキ処理により実際に停止した位置(ラインS’)から回転原点の位置(ラインG)までの距離Yとを加算した距離分だけ停止制御の開始タイミングを遅延させて、結果的に滑り量Zだけ手前の位置で停止制御を行うようにした。これにより、停止位置のズレを補正して、回胴L,M,Rを正しい位置に停止させることができる。なお、具体的には、上記距離Xは原点後距離保存メモリ53kに記憶され、上記距離Yは原点迄距離保存メモリ53nに記憶される。そして、両メモリ53k,53nの値の和(加算値)が回転原点の検出時に回胴停止位置調整タイマ53iに設定されて、その設定された値分だけ停止制御の開始タイミングがズラされる。
次に、図7から図10に示すフローチャートを参照して、主制御基板Cで行われる各処理について説明する。図7は、主制御基板Cで定期的(本実施例では1.490ms毎)に実行されるタイマ割込処理のフローチャートである。このタイマ割込処理では、各回胴用ステッピングモータ64L,64M,64Rの駆動制御をはじめ、各種I/O装置への入出力処理や、コマンド送信処理等が実行される。
タイマ割込処理では、まず、停電時処理を実行する(S13)。停電時処理では、停電が発生しているか否かを確認し、停電が発生していればデータ等のバックアップを行って以降の処理の進行を停止する。一方、停電が発生していなければ、停電時処理を終了し、S14の処理へ移行する。
S14からの処理では、誤動作の発生を監視するウォッチドッグタイマの値を初期化するウォッチドッグタイマクリア処理(S14)と、割込終了宣言処理(S15)と、各種スイッチの状態を読み込むスイッチ状態読み込み処理(S16)と、左・中・右の各回胴L,M,Rを回転させるために左・中・右回胴用ステッピングモータ64L,64M,64Rを駆動する回胴モータ制御処理(S17)(図8参照)と、各種センサの状態を監視するセンサ監視処理(S18)と、各カウンタやタイマの値を減算するタイマ減算処理(S19)と、IN・OUTカウンタ処理(S20)と、サブ制御基板Sへコマンドを送信するコマンド出力処理(S21)と、クレジット枚数表示部18とゲーム数表示部19と払出枚数表示部20とにそれぞれ表示されるセグメントデータを設定するセグメントデータ設定処理(S22)と、そのセグメントデータ設定処理で設定されたセグメントデータを各表示部18〜20へそれぞれ表示するセグメントデータ表示処理(S23)と、入出力ポート54から出力データを出力するポート出力処理(S24)とが、順に実行される。これらの処理の実行後は、このタイマ割込処理を終了する。
図8は、回胴モータ制御処理(S17)のフローチャートである。回胴モータ制御処理では、左・中・右の各回胴L,M,Rを回転させるために、左・中・右回胴用ステッピングモータ64L,64M,64Rがそれぞれ駆動制御される。
回胴モータ制御処理では、まず、回胴番号メモリ53aの値を3とし(S31)、制御対象を右回胴用ステッピングモータ64Rとして、モータ制御処理を実行する(S32)。モータ制御処理の実行後、更に回胴番号メモリ53aの値を1減算して(S33)、その値を2とし(S31)、制御対象を中回胴用ステッピングモータ64Mとしてモータ制御処理を実行する(S32)。モータ制御処理の実行後、更に回胴番号メモリ53aの値を1減算して(S33)、その値を1とし(S31)、制御対象を左回胴用ステッピングモータ64Lとしてモータ制御処理を実行する(S32)。
モータ制御処理の実行後、更に回胴番号メモリ53aの値を1減算する(S33)。減算の結果、回胴番号メモリ53aの値が0であれば(S34:Yes)、左・中・右回胴用ステッピングモータ64L,64M,64Rのすべてについてモータ制御処理が実行されたので、その実行により更新された各励磁データメモリ53dL,53dM,53dRの値を該当するポートへ出力し、左・中・右回胴用ステッピングモータ64L,64M,64Rの出力励磁相をそれぞれ切り替えて、ステッピングモータ64L,64M,64Rを駆動する。
図9は、モータ制御処理(S32)のフローチャートである。モータ制御処理は、図8の回胴モータ制御処理(S17)により、回胴番号メモリ53aの値で制御対象のステッピングモータを指定した上で実行される。具体的には、回胴番号メモリ53aに3が設定された状態では右回胴用ステッピングモータ64Rが、2が設定された状態では中回胴用ステッピングモータ64Mが、1が設定された状態では左回胴用ステッピングモータ64Lが、それぞれ制御対象として指定されたものとなる。以降は、回胴番号メモリ53aに1が設定されて、左回胴用ステッピングモータ64Lが制御対象として指定された場合を例にして説明する。
モータ制御処理では、まず、励磁時間メモリ53eLの値が0であるか否かを確認し(S41)、0でなければ(S41:No)、励磁時間メモリ53eLの値を1減算して(S42)、その回のモータ制御処理を終了する。一方、励磁時間メモリ53eLの値が0であれば(S41:Yes)、S43以降の各処理により、ステッピングモータ64Lの出力励磁相(励磁データメモリ53dLの値)が更新される。モータ制御処理は、タイマ割込処理(図7)の1回の実行により、各ステッピングモータ64L,64M,64Rに対して1回ずつ実行される。タイマ割込処理は1.490ms毎に実行されるので、励磁時間メモリ53eLの値×1.490msの時間、ステッピングモータ64Lの出力励磁相(励磁データメモリ53dLの値)の励磁が行われる。
S43の処理では、加速カウンタ53fLの値が0であるか否かを確認し(S43)、0でなければ(S43:No)、加速カウンタ53fLの値を1減算して更新する(S44)。更新後の加速カウンタ53fLの値が0であれば(S45:Yes)、加速処理は終了したので、加速カウンタ53fLの値を1とすると共に加速済みフラグ53gLをオンする(S46)。一方、更新後の加速カウンタ53fLの値が0でなければ(S45:No)、未だ加速処理中であるのでS46の処理をスキップする。
加速カウンタ53fLの値の更新後は、その更新後の値に基づいて励磁時間テーブル52aから励磁時間のデータを読み出し、これを励磁時間メモリ53eLへ書き込むと共に(S47)、励磁データメモリ53dLの値を更新して(S48)、次の励磁に備える。そして、図柄オフセットメモリ53cLの値を1加算して(S49)、図10に示す原点センサ判定処理を実行する(S50)。
原点センサ判定処理の実行後は、図柄オフセットメモリ53cLの値が23以下であるか否かを確認し(S51)、24以上であれば(S51:No)、ステッピングモータ64Lが1図柄分移行したことになるので、図柄オフセットメモリ53cLの値を0クリアし(S52)、図柄番号メモリ53bLの値を1加算する(S53)。
一方、図柄オフセットメモリ53cLの値が23以下であれば(S51:Yes)、回胴Lの回転が正常に行われているか否かを確認する。具体的には、回胴停止位置調整タイマ53iLの値が0で(S61:Yes)、図柄番号メモリ53bLの値が21以上で(S62:Yes)、且つ図柄オフセットメモリ53cLの値が4以上であれば(S63:Yes)、回胴Lの回転を阻害する何らかの異常状態(モータや回路の異常、或いは手操作により回胴Lの回転が強制的に止められている異常)が発生している。よって、かかる場合には異常状態を解消するべく再加速設定処理を実行して(S64)、今回のモータ制御処理を終了する。なお、図柄オフセットメモリ53cLの値が23以下である場合に(S51:Yes)、回胴停止位置調整タイマ53iLの値が0以外であったり(S61:No)、図柄番号メモリ53bLの値が21未満であるか(S62:No)、或いは図柄オフセットメモリ53cLの値が4未満であれば(S63:No)、回胴Lの回転に異常はないものと判断して、処理をS57へ移行する。
S57及びS58の処理では、停止制御の実行タイミングがチェックされる。図柄オフセットメモリ53cLの値が3以下で(S57:Yes)、図柄番号メモリ53bLの値が停止図柄番号と一致すれば(S58:Yes)、ブレーキ設定処理が実行されて、ステッピングモータ64Lの停止制御が行われる(S59)。詳細には、加速カウンタ53fLの値を0としてブレーキ処理の実行開始を示し、励磁データメモリ53dLの値を0FFhとしてステッピングモータ64Lを全相励磁するようにし、更に励磁時間メモリ53eLへブレーキ処理を施す時間を設定する。これにより、励磁時間メモリ53eLの値が0になるまでの間、ステッピングモータ64Lに対して全相励磁のブレーキ処理が施され、回胴Lの回転が停止する。
このブレーキ処理(S59)の実行に伴って、原点後距離保存メモリ53kLへのデータ格納処理が行われる(S65〜S67)。まず、原点後距離保存メモリ53kLに既にデータが格納されているか否かを確認し(S65)、格納されていれば(S65:Yes)、S66及びS67の各処理の実行をスキップして、ブレーキ処理を実行する(S59)。一方、S65の処理において、原点後距離保存メモリ53kLにデータが格納されていなければ(S65:No)、原点後距離ワークメモリ53jLの値を、原点後距離保存メモリ53kLへ格納し(S66)、原点迄距離ワークメモリ53mLと原点迄距離保存メモリ53nLの各値を0クリアした後に(S67)、ブレーキ処理を実行する(S59)。
原点迄距離保存メモリ53nLの値は、原点後距離保存メモリ53kLの値に対応した値が記憶されるので、原点後距離保存メモリ53kLへのデータ格納時に、原点迄距離ワークメモリ53mLと原点迄距離保存メモリ53nLとの値をクリアしている。原点後距離保存メモリ53kLには、回転原点から停止制御(ブレーキ処理)の開始位置までのステッピングモータ64Lのステップ数が記憶され、原点迄距離保存メモリ53nLには、その原点後距離保存メモリ53kLに記憶されるステップ数を求めた駆動の後の最初の駆動によって駆動開始から回転原点を検出するまでのステッピングモータ64Lのステップ数が記憶されるからである。
S57の処理において、図柄オフセットメモリ53cLの値が4以上であったり(S57:No)、図柄番号メモリ53bLの値が停止図柄番号と不一致であれば(S58:No)、ブレーキ処理(S59)の実行はスキップされる。停止図柄番号には、通常0FFhが設定されており、ストップボタン22が押下されると、下段位置DPの停止図柄が決定されて、その決定された「0〜20」の図柄番号が停止図柄番号に書き込まれる。よって、ストップボタン22の押下前の状態では、図柄番号メモリ53bLの値は停止図柄番号と常に不一致となるので、停止制御(ブレーキ処理)が行われることはない。
ブレーキ処理(S59)の実行後、加速カウンタ53fLの値が0で、且つ励磁時間メモリ53eLの値が0となると(S41:Yes,S43:Yes)、ブレーキ処理は完了する。よって、かかる場合には、励磁データメモリ53dLの値を0としてステッピングモータ64Lを全相オフし、一連の回胴Lの駆動処理を終了する。
図10は、モータ制御処理(S32)の中で実行される原点センサ判定処理(S50)のフローチャートである。原点センサ判定処理も、モータ制御処理と同様に、図8の回胴モータ制御処理(S17)により、回胴番号メモリ53aの値で制御対象のステッピングモータを指定した上で実行される。具体的には、回胴番号メモリ53aに3が設定された状態では右回胴用ステッピングモータ64Rが、2が設定された状態では中回胴用ステッピングモータ64Mが、1が設定された状態では左回胴用ステッピングモータ64Lが、それぞれ制御対象として指定されたものとなる。以降は、回胴番号メモリ53aに1が設定されて、左回胴用ステッピングモータ64Lが制御対象として指定された場合を例にして説明する。
原点センサ判定処理では、まず、原点後距離ワークメモリ53jLと原点迄距離ワークメモリ53mLの各値にそれぞれ1ずつ加算した後(S70)、原点センサ63Lの出力情報を読み出す(S71)。前述した通り、本実施例の原点センサ63Lは、発光素子63Laから照射された光が遮蔽板67Lで遮られ受光素子63Lbで受光できない場合に0値が出力され、逆に、発光素子63Laから照射された光が遮蔽板67Lに遮られず受光素子63Lbで受光できる場合に1値が出力される。読み出した原点センサ63Lの出力値が0であれば(S72:No)、原点センサSAVEフラグ53hLをオフして(S73)、今回の原点センサ63Lの出力情報を記憶し、処理をS77へ移行する。一方、読み出した原点センサ63Lの出力値が1であれば(S72:Yes)、原点センサSAVEフラグ53hLの状態、即ち前回の原点センサ63Lの出力情報をチェックし(S74)、オンであれば(S74:Yes)、原点センサ63Lの出力情報に変化はないので、処理をS77へ移行する。
逆に、読み出した原点センサ63Lの出力値が1で(S72:Yes)、原点センサSAVEフラグ53hLの状態がオフであれば(S74:No)、原点センサ63Lの出力が0から1へ立ち上がったこととなる。即ち、遮蔽板67Lが原点センサ63Lを通過したタイミング、回転原点の到来である。かかる場合には、処理をS75へ移行して、今回の原点センサ63Lの出力情報を記憶するべく原点センサSAVEフラグ53hLをオンすると共に(S75)、回転原点の到来に伴って、回転原点からの距離(ステップ数)をカウントする原点後距離ワークメモリ53jLの値を0クリアする(S91)。
原点後距離保存メモリ53kLにデータが格納されているか否かを確認し(S92)、格納されていなければ(S92:No)、原点迄距離保存メモリ53nLへのデータ格納や回胴停止位置調整タイマ53iLへの正式な値の設定はできないので、かかる場合には、回胴停止位置調整タイマ53iLへディフォルト値を設定し(S93)、今回の原点センサ判定処理を終了する。この場合、回胴停止位置調整タイマ53iLには滑り量Zに応じた値が設定できていないので、停止位置のズレ補正は正確に行われない。
一方、原点後距離保存メモリ53kLにデータが格納されていれば(S92:Yes)、更に、原点迄距離保存メモリ53nLに既にデータが格納されているか否かを確認し(S94)、データが格納されていなければ(S94:No)、停止後の駆動開始位置から回転原点までの距離(ステップ数)をカウントする原点迄距離ワークメモリ53mLの値を原点迄距離保存メモリ53nLへ格納する(S95)。原点迄距離保存メモリ53nLへのデータ格納後、またはS94の処理において既に原点迄距離保存メモリ53nLにデータが格納されている場合には(S94:Yes)、共に処理をS96へ移行する。S96の処理では、原点後距離保存メモリ53kLの値と原点迄距離保存メモリ53nLの値とを加算し、これを回胴停止位置調整タイマ53iLへ設定して(S96)、今回の原点センサ判定処理を終了する。
S77の処理では、回胴停止位置調整タイマ53iLの値が0であるか否かを確認し(S77)、0であれば(S77:Yes)、今回の原点センサ判定処理を終了する。一方、回胴停止位置調整タイマ53iLの値が0でなければ(S77:No)、その値を1減算し(S78)、減算結果が0でなければ(S79:No)、今回の原点センサ判定処理を終了する。減算結果が0であれば(S79:Yes)、図柄番号メモリ53bL及び図柄オフセットメモリ53cLの各値を初期化(0クリア)する(S80)。図柄番号メモリ53bL及び図柄オフセットメモリ53cLの各値の初期化は、本来、回転原点の到来タイミングで行われる。しかし、本実施例では、かかる初期化を、原点後距離保存メモリ53kLの値と原点迄距離保存メモリ53nLの値とを加算した値分だけ遅延させて行うことにより、回胴Lの停止位置のズレをソフト制御で補正している(図6(d)参照)。即ち、該構成により、滑り量Zに応じたステップ数分、停止制御(ブレーキ処理)の開始タイミングを遅延させることができるので、滑り量Zに拘わらず、回胴Lを所望の位置に停止させることができるのである。
S80の処理後は、加速済みフラグ53gLの状態をチェックし(S81)、オフであれば(S81:No)、回胴Lは未だ加速駆動の最中なので、そのままの状態で今回の原点センサ判定処理を終了する。一方、加速済みフラグ53gLがオンであれば(S81:Yes)、回胴Lの加速駆動は既に終了し定速駆動になっているので、回胴Lの駆動情報を正常回転中として、今回の原点センサ判定処理を終了する。回胴Lの駆動情報を正常回転中とすることにより、ストップボタン22が押下可能な状態、即ち回胴Lを停止可能な状態となる。
以上説明したように、本実施例のスロットマシン1によれば、回胴L,M,Rの停止位置のズレを補正するために、原点後距離保存メモリ53kと原点迄距離保存メモリ53mとの値を求め、これらの値の加算値を回転原点の検出時に回胴停止位置調整タイマ53iに設定する。そして、この回胴停止位置調整タイマ53iの値が0となるタイミングで、図柄番号メモリ53b及び図柄オフセットメモリ53cの各値の初期化する。本来、図柄番号メモリ53b及び図柄オフセットメモリ53cの各値の初期化は、回転原点の到来タイミングで行われるが、本実施例のように、かかる初期化を、原点後距離保存メモリ53kの値と原点迄距離保存メモリ53mの値との加算値分遅延させて行うことにより、回胴L,M,Rの停止位置のズレをソフト制御で自動的に補正することができる。よって、従来のように、回胴L,M,Rを一旦完成させた後に、生産現場で試動し、回転原点の検出位置を機械的に変更する調整作業を簡略化し或いは不要にして、生産工程を簡略化することができる。
また、回転原点の位置を機械的に調整可能にスロットマシン1を構成する必要が無いので、回胴L,M,Rの構造の簡略化と、それに伴う設計の簡易化とにより、その分、装置コストを低減することができる。但し、本実施例の構成を備えたスロットマシン1に、回胴L,M,Rの回転原点の機械的な調整機構を、合わせて搭載しても良い。
更に、停止位置のズレ補正をソフト制御で行うことにより、ズレ補正を高精度に且つ詳細に行うことができる。例えば、本実施例の回胴停止位置調整タイマ53iに設定される値としては、ステッピングモータ64L,64M,64Rのステップ数が記憶されるので、その最大値は回胴L,M,Rの1周未満分に相当する503である(本実施例の回胴は504ステップで1周する)。従来の機械的な調整では、構造的な制約により、原点センサと遮蔽板との相対位置はせいぜい3箇所に変更することがやっとであった。このように、従来行われていた機械的な調整が3段階であるのに対し、本実施例の場合には最大503段階に調整できるので、ズレ補正を高精度に且つ詳細に行うことができるのである。また、従来の停止位置のズレの補正は原点センサ63と遮蔽板67との相対位置を調整することにより行われたので、複数の図柄が表示されたフィルムの貼着位置(例えば、フィルムの貼着先頭位置)は、自ずと回胴L,M,Rのある一定範囲内の位置に制限された。しかし、本実施例のスロットマシン1によれば、回胴L,M,Rの1回転のすべての範囲に対して停止位置のズレの補正を行うことができるので、かかるフィルムの貼着位置が制限されることはない。よって、回胴L,M,Rへのフィルムの貼着作業を簡略化することができる。
原点後距離保存メモリ53kの値は、回胴L,M,Rを1回駆動し停止することにより求めることができ、原点迄距離保存メモリ53mの値は、原点後距離保存メモリ53kの値を求めた後に、回胴L,M,Rを再度駆動することにより求めることができる。原点後距離保存メモリ53kの値に続いて、原点迄距離保存メモリ53mの値が求められると、停止位置のズレ補正を正確に行うことが可能となる。このように、本実施例のスロットマシン1によれば、何ら操作を加えることなく、回胴L,M,Rの2回目以降の駆動から停止位置のズレ補正を自動的に行うことができる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記実施例では、環状回転体としては、主制御基板Cにより駆動制御される回胴(環状リール)L,M,Rを例示して説明した。しかし、かかる回胴L,M,Rとは別に補助リール(補助回胴)を設け、この補助リールをサブ制御基板Sで駆動制御する場合に、その補助リールを環状回転体として本発明を適用するようにしても良い。また、回胴などの回転体を備えたパチンコ機であれば、その回転体に本発明を適用するようにしても良い。
回胴L、M、Rの停止位置のズレ補正のために回胴停止位置調整タイマ53iに設定される値は、ステッピングモータ64L,64M,64Rのステップ数とされたが、このステップ数に代えて、実際の駆動距離や駆動時間のデータを、回胴停止位置調整タイマ53iに設定するようにしても良い。
原点後値記憶手段に相当する原点後距離保存メモリ53kと、原点迄値記憶手段に相当する原点迄距離保存メモリ53nとは、必ずしも2つのメモリで構成する必要は無く、これらを1のメモリで構成しても良い。即ち、1のメモリに、原点後距離保存メモリ53kの値と原点迄距離保存メモリ53nの値との加算値を記憶して、この加算値を直接、回胴停止位置調整タイマ53iへ設定するようにしても良い。
更に、原点後値記憶手段に相当する原点後距離保存メモリ53kと原点迄値記憶手段に相当する原点迄距離保存メモリ53nとを、不揮発性のEEPROMやフラッシュROMなどに設けても良い。また、これらをスタティックRAMに設けて、そのデータをバックアップするように構成しても良い。かかる構成によれば、原点後距離保存メモリ53k及び原点迄距離保存メモリ53nの各値を一旦記憶することにより、遊技機の電源投入後の最初の駆動時にも、停止位置のズレ補正を正確に行うことができる。
一方、原点後値記憶手段に相当する原点後距離保存メモリ53kと原点迄値記憶手段に相当する原点迄距離保存メモリ53nとをバックアップ不能に構成する場合には、電源投入後の最初の駆動だけは停止位置のズレ補正を自動的に行うことができないので、電源投入後に回胴L,M,Rを1回又は2回以上試動するように構成しても良い。1回の試動でも、次の駆動の停止時から停止位置のズレ補正を自動的に行うことができる。しかし、1回の試動後、手操作で回胴L,M,Rが強制的に回転させられる環境下においては、かかる試動を2回行って、その2回の試動により、原点後距離保存メモリ53kと原点迄距離保存メモリ53nとの両値を確定することが好ましい。原点後距離保存メモリ53kと原点迄距離保存メモリ53nとの両値を確定した後は、手操作で回胴L,M,Rが強制的に回転させられても、停止位置のズレ補正を正確に行うことができるからである。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
以下に本発明の遊技機およびその変形例を示す。回転可能に構成された環状回転体と、その環状回転体を回転駆動する駆動手段と、前記環状回転体の回転原点を検出する原点検出手段と、その原点検出手段により検出される回転原点に基づいて回転中の環状回転体を所望の位置に停止させるための停止制御を行う停止手段とを備えた遊技機において、前記停止手段による停止制御の実行により生じる前記環状回転体のズレ量を検出するズレ量検出手段を備え、前記停止手段は、そのズレ量検出手段により検出されるズレ量と前記原点検出手段により検出される回転原点とに基づいて、回転中の環状回転体を所望の位置に停止させる停止制御を行うものであることを特徴とする遊技機1。
回転可能に構成された環状回転体と、その環状回転体を回転駆動する駆動手段と、前記環状回転体の回転原点を検出する原点検出手段と、その原点検出手段により検出される回転原点に基づいて回転中の環状回転体を所望の位置に停止させるための停止制御を行う停止手段とを備えた遊技機において、前記原点検出手段により検出された回転原点から前記停止手段による停止制御の開始位置または停止目的位置までの値を記憶する原点後値記憶手段と、その原点後値記憶手段に記憶される値を求めた停止制御によって停止した位置から前記原点検出手段により回転原点が検出される迄の値を記憶する原点迄値記憶手段とを備え、前記停止手段は、前記原点後値記憶手段および前記原点迄値記憶手段とに記憶される値と前記原点検出手段により検出される回転原点とに基づいて、回転中の環状回転体を所望の位置に停止させる停止制御を行うものであることを特徴とする遊技機2。遊技機2によれば、原点後値記憶手段および原点迄値記憶手段とに記憶される値と原点検出手段により検出される回転原点とに基づいて、停止手段によって停止制御が行われるので、回転された環状回転体を所望の位置に停止させることができる。よって、従来のように、環状回転体を一旦完成させた後に、生産現場で試動し、回転原点の検出位置を機械的に変更する調整作業を簡略化し或いは不要にして生産工程を簡略化できる。また、回転原点の位置を機械的に調整可能な構成にすることが不要になるので、環状回転体の構造の簡略化と、それに伴う設計の簡易化とにより、その分、装置コストを低減することができる。但し、遊技機2の構成に、環状回転体の回転原点の機械的な調整機構を、合わせて搭載しても良い。
なお、遊技機2において、原点後値記憶手段および原点迄値記憶手段に記憶される値としては、回転原点からの或いは回転原点迄の駆動距離や駆動時間、或いは駆動ステップ数などを例示することができる。特に、原点後値記憶手段および原点迄値記憶手段に記憶される値として駆動時間を用いる場合には、環状回転体の駆動が常時定速で行われることを条件とすることが好ましい。また、原点後値記憶手段および原点迄値記憶手段に記憶される値として駆動ステップ数を用いる場合には、駆動手段はステップ駆動が可能な駆動装置(例えばステッピングモータ等)で構成されることが条件とされる。また、遊技機2において、停止制御の開始位置とは、駆動手段の回転駆動を停止するブレーキ処理の開始位置を例示することができ、また、停止目的位置とは、ブレーキ処理により停止させようとする目的位置を例示することができる。更に、原点後値記憶手段としては原点後距離保存メモリを、原点迄値記憶手段としては原点迄距離保存メモリを、それぞれ例示することができる。
遊技機2において、前記環状回転体の回転原点に対する相対的な回転位置を記憶する回転位置記憶手段と、その回転位置記憶手段の内容を前記環状回転体の回転に伴って更新する回転位置更新手段と、前記原点検出手段により回転原点が検出されてから前記原点後値記憶手段および前記原点迄値記憶手段に記憶される値分の前記環状回転体の回転後に前記回転位置記憶手段の内容を初期化する回転位置初期化手段とを備え、前記停止手段は、前記回転位置記憶手段に記憶される回転位置に基づいて停止制御を行うものであることを特徴とする遊技機3。
従来の停止位置のズレの補正は原点センサと遮蔽板との相対位置を調整することにより行われたので、環状回転体に対する複数の図柄が表示されたフィルムの貼着位置は自ずとある程度の範囲内に制限された。しかし、原点後値記憶手段および原点迄値記憶手段に記憶される値に基づいて環状回転体の1回転のすべての範囲について、回転位置初期化手段による回転位置記憶手段の内容の初期化位置を設定し得るので、かかるフィルムの貼着位置が制限されることはない。よって、環状回転体へのフィルムの貼着作業を簡略化することができる。なお、回転位置記憶手段としては、例えば、環状回転体の表面図柄のうち遊技者に表示されている図柄の図柄番号を記憶する図柄番号メモリや、その表示されている図柄の1図柄未満の移行量である図柄オフセットメモリと前記図柄番号メモリとの組を例示することができる。また、回転位置初期化手段による初期化は、必ずしも回転位置記憶手段の内容を0クリアすることに限られず、所定値に設定する初期化であっても良い。
遊技機2又は3において、前記原点迄値記憶手段には、前記原点後値記憶手段に記憶される値を求めた停止制御の後の前記環状回転体の最初の駆動によって前記原点検出手段により回転原点が検出される迄の値が記憶されるものであることを特徴とする遊技機4。遊技機4によれば、原点迄値記憶手段の値を、原点後値記憶手段に記憶した値を求めた停止制御に対応づけて記憶することができるので、停止手段による停止位置のズレ補正を一層正確に行うことができる。
遊技機2から4のいずれかにおいて、前記原点後値記憶手段へ値を記憶する場合に、前記原点迄値記憶手段の値をクリアする原点迄値消去手段を備えていることを特徴とする遊技機5。停止手段による停止位置のズレ補正は、原点後値記憶手段の値に対応づけて原点迄値記憶手段の値が記憶されることにより有効となる。遊技機5によれば、原点後値記憶手段へ値を記憶する場合には、原点迄値消去手段によって原点迄値記憶手段の値はクリアされる。よって、原点後値記憶手段へ値を記憶した場合に、原点後値記憶手段に記憶される値と無関係な値が原点迄値記憶手段に残った(記憶された)状態で環状回転体の駆動制御が行われることはない。従って、停止位置のズレ補正を正確に行わせることができる。
遊技機2から5のいずれかにおいて、前記原点後値記憶手段および前記原点迄値記憶手段とにそれぞれの値を記憶するために、前記環状回転体を少なくとも1回以上試動する試動手段を備えていることを特徴とする遊技機6。遊技機6によれば、試動手段によって環状回転体が少なくとも1回以上試動されると、その試動により、原点後値記憶手段の値が求められ記憶される。かかる試動手段の実行後、環状回転体が更に駆動されると、原点後値記憶手段の値に対応する原点迄値記憶手段の値が求められ記憶され、これらの値に基づいて、その回の駆動の停止時から停止位置のズレ補正を行うことができる。よって、試動手段の実行により、それ以降の環状回転体の駆動において、停止位置のズレ補正を正確に行うことができる。
遊技機2から6のいずれかにおいて、前記駆動手段はステッピングモータを有し、そのステッピングモータの回転により前記環状回転体を回転駆動するものであり、前記原点後値記憶手段および前記原点迄値記憶手段に記憶される値は前記ステッピングモータのステップ数として記憶されるものであることを特徴とする遊技機7。遊技機7によれば、環状回転体を回転駆動するステッピングモータのステップ数を、環状回転体の停止位置のズレを補正するための調整値にできるので、ズレ位置の調整を詳細に且つ高精度に行うことができる。従来の機械的な調整では、構造的な制約により、原点センサと遮蔽板との相対位置はせいぜい3箇所に変更することがやっとであった。これに対し、ステッピングモータのステップ数を調整値として使用することにより、例えば504ステップで1回転する環状回転体であれば、調整値を最大503段階に持つことができるので、ズレ位置の調整を詳細に且つ高精度に行うことができる。なお、必ずしもステッピングモータのステップ数をそのまま調整値とする必要はなく、例えばそのステップ数をn倍した数を調整値として記憶するようにしても良い。
遊技機7において、前記駆動手段は、ステッピングモータを加速駆動した後に定速駆動するものであり、前記停止手段による前記環状回転体の停止制御は、前記ステッピングモータの定速駆動時にのみ行われるものであることを特徴とする遊技機8。遊技機8によれば、環状回転体の停止制御はステッピングモータの定速駆動時にのみ行われるので、停止制御を常にほぼ同一条件で行うことができ、これにより環状回転体の停止位置のズレ量を略同一量にすることができる。よって、停止手段の停止制御により回転中の環状回転体を所望の位置に確実に停止させることができる。
遊技機2から8のいずれかにおいて、前記原点後値記憶手段および前記原点迄値記憶手段は、遊技機の電源オフ後も値を記憶可能な不揮発性メモリで構成されていることを特徴とする遊技機9。遊技機9によれば、原点後値記憶手段および原点迄値記憶手段にそれぞれの値が一旦記憶された後は、遊技機の電源がオフされても、それらの値は保持されるので、停止位置のズレ補正を正確に行うことができる。
遊技機1から9のいずれかにおいて、遊技の主な制御を行う主制御手段と、その主制御手段からの指示に基づいて動作し遊技状況に応じた演出制御を行うサブ制御手段とを備えており、前記環状回転体は、前記主制御手段によって駆動制御及び停止制御がなされるものであることを特徴とする遊技機10。遊技機10によれば、遊技者に遊技の結果を告知する主リール(例えば回胴)に、本発明の環状回転体を適用することができる。
遊技機1から10のいずれかにおいて、遊技の主な制御を行う主制御手段と、その主制御手段からの指示に基づいて動作し遊技状況に応じた演出制御を行うサブ制御手段とを備えており、前記環状回転体は、前記サブ制御手段によって駆動制御及び停止制御がなされるものであることを特徴とする遊技機11。遊技機11によれば、遊技状況に応じた演出等を行うサブリールにも、本発明の環状回転体を適用することができる。
遊技機1から11のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機12。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において変動表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機1から11のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機13。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機1から11のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機14。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の変動開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。