JP5033618B2 - 人工水晶の加工方法及び人工水晶加工用冶具 - Google Patents

人工水晶の加工方法及び人工水晶加工用冶具 Download PDF

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Description

本発明は、人工水晶の表面を基準としてこの人工水晶を傾けて当該人工水晶の切断を行う方法及び人工水晶を加工するための人工水晶加工用治具に関する。
人工水晶は、光学素子や水晶振動子の材料として用いられており、例えばオートクレーブ(金属塔炉)と呼ばれる圧力容器内に種結晶を吊し、例えば水酸化ナトリウム溶液などの育成溶液に溶解させた原料の水晶(ラスカ)をこの種結晶の表面に析出させて水晶を育成する水熱合成法と呼ばれる方法によって製造される。育成された後の人工水晶はアズグロウン人工水晶と呼ばれ、その後例えばX軸及びZ軸などの結晶軸に垂直な面が正確にこれらの面に対応する面方位(格子面)となるように研磨されることによって、ランバード人工水晶と呼ばれる状態に加工される。このランバード人工水晶は、例えばワイヤーソーなどによって、用途に応じた特性が得られるように、例えば図18に示す様々な切断方位において多数枚の水晶板に切断されることとなる。
このように人工水晶を切断するにあたり、人工水晶の表面における切断面との間の角度が既知の面を基準として、この基準面が所定の角度となる初期位置に人工水晶を位置決めし、この初期位置から切断面と基準面との間における角度差分だけ人工水晶を傾けることによって、例えばワイヤーソーにおけるワイヤーの走行方向と切断面とが平行になるようにしている。この時、人工水晶を傾ける角度が大きいと切断角度に誤差が生じるおそれがあり、一方例えば水晶振動子の重要な品質のパラメータである周波数温度特性が切断角度に大きく依存するので、上記の基準面としては、切断面と最も平行に近い面が選ばれる。
例えば同図に示すATカット面は、X軸のプラス方向から見てX−Z平面を反時計回りに例えば35°15′傾けた面である。このATカット面は、切断角度に対する要求が極めて厳しいので、上記の初期位置を正確に設定する必要がある。ところで、育成後の人工水晶の表面には、いわゆるr面と呼ばれる(01−11)面が自然に形成されており、このr面は、上記のATカット面から僅かに2°58′程反時計回りに傾けた面であり、そのためATカット面と最も平行に近い面となっている。また、このr面に対してX線を照射すると、この面にて回折するX線は、ピーク強度が極めて強く、またピークの半値幅が狭くなる。そのため、ATカットを行う時には、このr面を基準面として用いて、X線回折を利用したX線角度測定器により秒単位で正確に人工水晶の初期位置を決めるようにしている。
通常であれば、人工水晶の育成後におけるr面には微少な凹凸があるもののほぼ平坦に近く透明な状態なので、r面にて回折するX線は、他の格子面から放出されるX線に比べて強度が極めて大きく、また半値幅についても極めて狭いシャープなピークとなる。従って、r面を基準として切断角度を設定することにより、極めて正確に人工水晶を位置決めでき、そのためATカット面において正確に切断することができる。
しかし、例えば既述の育成溶液として炭酸ナトリウム(Na2CO3)溶液を用いた場合には、微少な異物が付着することによってr面が白濁してしまう場合がある。また、育成中のオートクレーブ内の温度条件や育成日数などの条件によっては、r面に一度析出した人工水晶が再溶解し、へこみが形成される場合がある。これらのようにr面が平坦でない場合には、このr面にて回折するX線は、回折強度が小さくなり、更に半値幅が広がってブロードなピークとなってしまう。また、表面が平坦であったとしても、育成条件によってはr面の面積が小さくなってしまい、そのため回折強度が小さくなってしまう場合もある。そのような人工水晶は、正確な切断角度の設定が困難であり、切断精度が低くなるおそれがあることから、歩留まりの低下や生産性の低下の原因となるので、その後の工程に流すことができなかった。
また、例えば生産効率を高めるためにY軸方向に長い水晶を育成した場合には、例えば上記のワイヤーソーに設置できる人工水晶の大きさの制約から、このワイヤーソーに設置できる大きさとなるように、人工水晶を例えば外周刃やバンドソーを用いて切断する必要がある。この時例えば人工水晶をY軸方向に対して垂直に切断すると、その後上記のようにY軸方向に対して傾いたATカット面などにおいて切断した場合には、上記の外周刃やバンドソーを用いて垂直に切断した面の近傍には大きな端材が残るので、その領域の人工水晶が無駄になってしまう。
特許文献1及び特許文献2には、人工水晶を加工する技術が記載されているが、上記の課題については検討されていない。
特開平5−123955(図1、図2) 特開平9−234657(図4、図5)
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、人工水晶をウェハ状に切断する時の切断角度を正確に求めることができる人工水晶の加工方法及びこの方法を行うための人工水晶加工用の冶具を提供することにある。
本発明の人工水晶の加工方法は、
育成されたアズグロウン人工水晶を加工する方法において、
人工水晶の光学軸に垂直な二つのZ面((0001)面)の少なくとも一方を研磨して平坦化する工程と、
人工水晶をATカットに切断するときにX線回折法を用いて当該人工水晶の向きを設定するための基準とされるr面が上向きかつ水平となるように傾斜角度が設定され、Z面を支持するための傾斜面を備えた保持冶具を用い、前記工程で研磨されたZ面を保持冶具の傾斜面に沿って固定する工程と、
保持冶具に固定された人工水晶の上面を水平面とするために研削及び研磨の少なくとも一方を行う工程と、を含むことを特徴とする。
傾斜面に沿って固定する工程の前に、更に前記人工水晶の電気軸に垂直なX面((11−20)面)を研磨して平坦化する工程を行い、
前記固定する工程は、保持冶具に設けられた保持手段により、前記研磨されたX面が垂直となるように当該X面を固定する工程を含むことが好ましい


本発明の人工水晶加工用冶具は、
アズグロウン人工水晶の光学軸に垂直な二つのZ面((0001)面)の少なくとも一方が研磨されて平坦化された人工水晶に対して、砥石を鉛直軸回りに回転させながら人工水晶の上方から下側に向けて押圧することによって当該人工水晶の上面を研削及び研磨の少なくとも一方により加工する時に用いられる加工用冶具であって、
人工水晶をATカットに切断するときにX線回折法を用いて当該人工水晶の向きを設定するための基準とされるr面が上向きかつ水平となるように傾斜角度が設定され、Z面を支持するための傾斜面と、この傾斜面に研磨されたZ面が沿うように前記人工水晶を固定する保持手段と、を備えたことを特徴とする。
前記人工水晶加工用冶具は、更に前記人工水晶の電気軸に垂直なX面((11−20)面)が研磨されて平坦化された人工水晶を加工するときに用いられる冶具であり、
前記保持手段は、前記研磨されたX面が垂直となるよう当該X面を固定する手段であることが好ましい。
本発明によれば、アズグロウン人工水晶の光学軸に垂直な二つのZ面が研磨されて平坦化された人工水晶をATカットに切断するにあたり、このATカットに切断するときにX線回折法を用いて当該人工水晶の向きを設定するための基準とされるr面が上向きかつ水平となるように傾斜角度が設定された傾斜面を備えた保持冶具を用い、研磨されたZ面を前記保持冶具の傾斜面に沿って固定して、この人工水晶の上面を研削及び研磨の少なくとも一方を行うことにより当該上面を水平面としている。そのために、r面にX線を照射した時にこのr面にて回折するX線の回折強度が強くなり、また半値幅が狭くなるので、このr面を基準とすることで、極めて正確に人工水晶の向きを設定することができる。従って、このr面を基準として人工水晶の向きを設定して当該人工水晶を切断することによって、極めて正確に角度設定されたウェハ状の人工水晶を得ることができる。
本発明の人工水晶の加工方法を説明する前に、本発明の加工方法に用いられる人工水晶を育成するためのオートクレーブ2の構成について図1を参照して説明する。オートクレーブ2は、水熱合成法により人工水晶を育成するための反応装置であり、特殊鋼製の円筒容器であるオートクレーブ本体21と、このオートクレーブ本体21を密閉するための金属蓋25と、オートクレーブ本体21内を加熱するためのヒータ24と、から構成されている。オートクレーブ本体21内は、対流制御板であるバッフル板22によって上下に仕切られており、上方側には多数の種子結晶1が吊された支持具23が設置され、下方側には人工水晶の原料となる多数のラスカ10が格納されたかご状のラスカ容器26が設置されている。
このオートクレーブ本体21内には、例えば炭酸ナトリウム溶液などの育成溶液11が満たされており、バッフル板22に多数設けられた貫通孔22aを介してこの育成溶液11が上下に対流するように構成されている。また、オートクレーブ本体21内の育成溶液11は、ヒータ24により上方側が例えば300〜350℃に加熱され、下方側が例えば360〜400℃に加熱されて、上方側の温度が低く下方側の温度が高くなる温度勾配が形成されている。既述の金属蓋25には、圧力計27が設けられており、人工水晶の育成中にはオートクレーブ本体21内の圧力が例えば1,000〜1,500kgf/cm2に維持されるように構成されている。
このオートクレーブ2において人工水晶を育成する時には、先ず、例えばZ面(X−Y平面)が広く形成され、Y方向に長い板状の多数の種子結晶1が支持された支持具23をオートクレーブ本体21内の上方側に配置し、下方側には多数のラスカ10が保持されたラスカ容器26を設置する。そして、オートクレーブ本体21内を育成溶液11で満たすと共に、金属蓋25によりオートクレーブ本体21を密閉する。次いで、オートクレーブ本体21内を上記のように上方側の温度が低くなるように温度勾配を付けて加熱すると共に加圧する。下方側では、ラスカ10が育成溶液11に溶解して、このラスカ10が溶解した育成溶液11は、オートクレーブ本体21内の温度勾配により上昇する。そして、この下方側から上昇した育成溶液11が上方側において冷やされて過飽和となるので、この領域の種子結晶1の表面において水晶が析出する。この上方側の育成溶液11は、下方側から上昇してくる育成溶液11により下側に押し戻されて、再び加熱されると共に、ラスカ10が溶解することとなる。
このように上方側と下方側とにおける育成溶液11の対流により徐々に種子結晶1の表面に水晶が析出していき、この反応を所定の期間続けることによって、所定の大きさのアズグロウン人工水晶が得られる。このアズグロウン人工水晶の表面には、種子結晶1の形状に倣うように、光学軸に垂直な一対のZ面がY方向の長さ方向に互いに平行に伸びるように形成され、また同様に電気軸に垂直な一対のX面が形成されている。また、このアズグロウン人工水晶の端部側には、後述するように、r面が形成されている。
次に、本発明の人工水晶の加工方法について説明する。先ず、このアズグロウン人工水晶の一対の例えばX面の一方が下側となるように例えば研磨機における支持面に例えば保持冶具を介して固定して、X面の他方側を上向きにする。そして、このアズグロウン人工水晶を鉛直軸回りに回転させると共に、上方から例えば砥石を回転させながら研削水を供給してこのX面の他方側に押圧し、当該他方側の面を研磨して平坦化する。
次いで、例えばX線カット面検査器を用いて、この研磨面(X面)の角度の精度を測定するには以下の手順が実施される。まず、結晶格子面のX面((11−20)面)と極めて平行に加工されたスタンダードを用いて最も大きな回折ピークを得られるようにスタンダード主面のX面の入射部および検知器、試料ホルダー、ゴニオメーターの角度を設定する。そのときのスタンダードの主面と密着している試料ホルダーの主面が(11−20)面と極めて平行な基準面となる。当該試料ホルダーの基準面をゼロとして、研磨面のX面を押し当てて研磨面から反射する回折強度を測定し最大のピークを得られたときのゴニオメーターの角度のズレ(差)から研磨面のX面の角度精度が求められる。このとき得られた角度精度(研磨面と格子面とのズレ)が所定の公差以上の場合には、研磨面が上記の公差内となるように前記研磨機における例えば支持面の角度を調整して、再度アズグロウン人工水晶の上面の研磨を行う。そして、上記のX線を用いた角度測定とアズグロウン人工水晶の上面の研磨とを繰り返すことによって、当該上面の角度精度が所定公差内に収まるように研磨する。
次に、この上面(他方側)が下側となるように既述の支持面に固定して、X面の一方側を上向きにし、同様に当該一方側の面の研磨とX線による角度測定とを繰り返す。これによって、このアズグロウン人工水晶の表面には、互いに平行でかつこのX面に対応する面方位となるように研磨された一対のX面が形成される。また、同様にこの研磨とX線による角度測定とをZ面に対して行うことで、このZ面についてもZ面に対応する面方位(0001)となり、互いに平行な一対の面が得られて、ランバード人工水晶3と呼ばれる状態となる。尚、このX面の研磨とZ面の研磨とは、どちらを先に行っても構わない。
次に、上記のランバード人工水晶3に対して、既述のATカットを行う。このATカットとは、図2に示すように、X軸のプラス方向から見てX−Z平面を反時計回りに34°43′〜35°43′傾けたATカット面5を切断面として切断する方法であり、この例では35°15′傾けた場合を例として説明する。
このランバード人工水晶3における長辺方向であるY軸方向の端面には、図2〜図4に示すように、(01−11)面に対応するr面4と呼ばれる面が人工水晶の育成時に形成されている。この(01−11)面は、ATカット面5を更に反時計回りに2°58′傾けた面であり、上記のATカット面5に近い角度と言える。そこで、以下に説明するように、この(01−11)面を基準として人工水晶の角度を設定し、ATカット面5と平行にウェハ状に人工水晶を切断する。
この(01−11)面を基準とするにあたり、本発明では、先ず(01−11)面に対応する面であるr面4を極めて正確に上記の(01−11)面と平行となるように研磨する。この研磨に用いる冶具について、以下に説明する。
図5〜図7は、ランバード人工水晶3を研磨するための保持冶具である人工水晶加工用冶具30を示している。この人工水晶加工用冶具30は、上記の(01−11)面が正確に水平となるように設定するためのものであり、ランバード人工水晶3のZ面の支持面を保持するための傾斜面をなす板状の保持部31と、この保持部31を両側から支持する垂直面をなす固定部32と、を備えている。この保持部31は、水平面とのなす傾斜角度βが例えば51°47′となるように、両側から例えば各々3カ所においてボルトなどの留め具33により固定部32に固定されている。この保持部31の傾斜面から上方側に離れた位置における固定部32の夫々には、例えばネジ孔34が上下に2カ所形成されており、またこのネジ孔34に嵌合するように、ランバード人工水晶3のX面を両側から押圧し、当該X面を垂直に保持するための例えばボルトなどの保持手段35が設けられている。
そして、この人工水晶加工用冶具30において、図8、図9に示すように、この保持部31の傾斜面に複数例えば5個のランバード人工水晶3をr面4が上方を向き、またZ面がこの傾斜面に倣うように並べる。また、保持手段35によりX面が垂直になるように、両側面からランバード人工水晶3のX面を押圧する。既述のように、この保持部31の傾斜角度βが51°47′に設定されており、またランバード人工水晶3のX面が垂直となるようにを両側から押圧しているので、図10及び図11に示すように、r面4が上向きとなり、またランバード人工水晶3の上面における(01−11)面が水平となる。尚、この保持手段35としては、ボルト以外にも、例えば接着剤などにより接着する方法などであっても良い。
次に、このランバード人工水晶3のr面4を例えばロータリー自動研削機あるいは回転式研磨板などを用いて加工する方法の一例について説明する。図12(a)に示すように、例えば水平に保持された回転定盤40の表面に上記の複数のランバード人工水晶3が保持された人工水晶加工用冶具30を周方向に等間隔に複数個例えば6個固定する。そして、回転定盤40を鉛直軸回りに回転させることによって、人工水晶加工用冶具30を公転させる。また、同図(b)に示すように、人工水晶加工用冶具30の上方に、外径が回転定盤40の外径とほぼ同径であり、また下方側の周縁部に例えば#1000程度の砥粒径の例えばWA(ホワイトアルミナ)が砥粒層41aとして形成されたリング状の砥石41を上記の回転定盤40と同心となるように設置する。そして、この砥石41を回転定盤40とは反対方向に回転させながら、砥石41を下側に向けて押圧すると共に、研削水供給部42から砥粒層41aとランバード人工水晶3の上面との間に研削水を供給することによって、ランバード人工水晶3のr面4を研磨する。この研磨を所定の時間行うことによって、図13に示すように、r面4が水平となり、極めて平坦でかつ(01−11)面と平行なr面4が得られる。また、研磨によってr面4が下側に後退していくので、当該r面4の面積が広くなる。
その後、このランバード人工水晶3における切断角度をX線角度測定器を用いて以下のように設定する。このX線角度測定器内には、図14(a)に示すように、ランバード人工水晶3を載置するための板状の加工冶具43と、X線照射部50及びX線受光部51と、が設置されている。このX線照射部50とX線受光部51とは、このX線角度測定器内に載置された加工冶具43に対する位置が予め設定されており、つまり加工冶具43上の所定の鉛直面45に対して角度αで水平にX線を入射し、またこの鉛直面45から角度αで水平に放出されるX線を受光するように夫々の位置が設定されている。この角度αは、既述の(01−11)面において得られるX線の回折ピークのうち、最も大きな回折ピークが得られる角度(θ=13°19′)に設定されている。従って、この鉛直面45とランバード人工水晶3のr面4とが重なった時に、X線受光部51において極めて大きな強度のX線が受光されることとなる。また、この鉛直面45は、例えば加工冶具43上の中心位置とランバード人工水晶3のX面の中心位置とが重なり合い、また例えば加工冶具43とランバード人工水晶3とが平行となった時に当該ランバード人工水晶3のr面4と重なり合うように設定されている。
そこで、この加工冶具43上においてX面(Y−Z平面)が水平となるように、また加工冶具43の中心位置とランバード人工水晶3のX面の中心位置とが重なり合うようにランバード人工水晶3を載置して、X線照射部50からX線を鉛直面45に照射すると共に、X線受光部51において受光されるX線の回折強度が最も強くなるようにランバード人工水晶3を図示しない回動機構により回転させる。そして、X線受光部51において受光されるX線の回折強度が最も強くなる位置にてランバード人工水晶3を停止させると、加工冶具43とランバード人工水晶3とが例えば平行となり、非常にシャープなX線の回折ピークが得られて、加工冶具43に対するランバード人工水晶3の位置が正確に位置決めされる。その後、加工冶具43上にこのランバード人工水晶3を上記において調整した位置で接着する。
そして、例えばワイヤーソーなどの切断用の装置において、加工冶具43と共にランバード人工水晶3を設置する。このワイヤーソーにおいては、同図(b)に示すように、この加工冶具43を例えばボルトなどにより固定すると、ワイヤーの走行方向44とランバード人工水晶3におけるATカット面5とが平行になるように、ワイヤーソーと加工冶具43との間の相対位置が予め設定されている。
そこで、このワイヤーソーに加工冶具43を固定し、ワイヤーの走行方向44と平行に例えば多数本のワイヤーを張り、砥粒及び研削水を供給すると共に多数本のワイヤーの並びに対してX面が平行となるようにランバード人工水晶3を押圧しながらワイヤーを長さ方向に走行させることによって、ランバード人工水晶3がATカット面5と平行に切断されて、多数枚のウェハ状の人工水晶が得られる。
上述の実施の形態によれば、人工水晶を育成した後、Z面を研磨して平坦化し、次いで既述の人工水晶加工用冶具30を用いてZ面を基準としてr面4に対応する格子面である(01−11)面が人工水晶の上側を向いて水平となるようにし、そしてこのr面4を(01−11)面と平行となるように研磨している。そのために、人工水晶の育成後のr面4が例えば微少な異物の付着により白濁していたり、あるいは育成中にr面4の表面に析出した水晶が再溶解して当該r面4が凹んでいたりすることによって、平坦でない場合や、または人工水晶の育成後のr面4の面積が小さい場合でも、このr面4が(01−11)面に平行でかつ平坦となり、またr面4の面積が大きくなる。従って、r面4にX線を照射した時にこのr面4にて回折するX線の回折強度が研磨前と比較して強くなり、また半値幅についても研磨前と比較して狭くなるので、このr面4を基準とすることで、極めて正確にランバード人工水晶3の向きを設定することができる。そのために、このr面4を基準としてランバード人工水晶3の向きを設定して、当該ランバード人工水晶3を切断することによって、極めて正確に角度設定されたウェハ状の人工水晶を得ることができる。
そのために、従来であればr面4にて回折するX線の回折強度が弱いためにあるいは半値幅が広いために後工程である切断工程に流すことのできなかったランバード人工水晶3であっても、このようにr面4を研磨することによって精度高く切断できるので、歩留まりを高めることができる。
このようにr面4を研磨するにあたり、保持部31と保持手段35とを備えた既述の人工水晶加工用冶具30を用いているので、r面4が上を向いて保持部31にZ面が沿うようにランバード人工水晶3を固定することによって、一義的に(01−11)面が正確に水平となるので、簡便にランバード人工水晶3の向きを設定することができる。
上記の例では、ランバード人工水晶3に形成された見かけ上のY’軸及びZ’軸が結晶軸におけるY軸及びZ軸と平行となるように育成されたランバード人工水晶3について説明したが、例えば図15に示すように、種子結晶1を調整するときの切断角度を用途に応じて変えることがあり、見かけ上のY’軸及びZ’軸が結晶軸におけるY軸及びZ軸から角度θ0だけ傾くように育成する場合がある。このような角度θ0としては、例えば1°、1°30′、2°などが挙げられる。そのような場合は、所定の面方位から各々の角度θ0だけ傾いた面方位となるようにアズグロウン人工水晶を研磨して、その後r面4を研磨する時には(01−11)面が水平になるように既述の傾斜角度βを角度θ0だけ大きく、つまり保持部31を寝かせるようにすれば良い。具体的には、上記の角度θ0が1°、1°30′、2°である時には、傾斜角度βが夫々52°47′、53°17′、53°47′となり、つまり51°47′+θ0となる。この場合でも、上記の例と同様にr面4の研磨とこの研磨後のr面4に基づいた角度設定とが行われて、人工水晶の切断が正確に行われる。従って、特許請求の範囲におけるZ面は、このように角度θ0だけ傾けた面を含む。
尚、図17(a)に示すように、例えばランバード人工水晶3が通常の長さつまり既述のワイヤーソーにおいて加工できる程度の長さLである場合には、このランバード人工水晶3の長さ方向の両端を除いた領域であるATカットウェハを取得できる領域60からこのATカットウェハが取得されるが、同図(b)に示すように、例えば生産性を高めるために種子結晶1を長さ方向(Y軸方向)に長くして、育成後の人工水晶の長さが上記の長さLよりも長く、例えば長さLの2倍程度の長さL1である場合には、ワイヤーソーにおいて加工できる大きさにするために、例えばランバード人工水晶3を外周刃あるいはバンドソーを用いて2分割する必要がある。この時同図(b)に示すようにY軸方向に垂直に切断すると、この切断面の両側には大きな端材が二つ生成して、ATカットウェハを取得できない領域61が広く形成されてしまう。そこで、同図(c)に示すように、r面4とほぼ平行となるように切断することで、ATカットウェハを取得できる領域60を広くすることができ、またこの時切断したランバード人工水晶3を他の短い寸法の例えば同図(a)に示すランバード人工水晶3と同じように、r面4の研磨工程に流すことができる。
尚、r面4の研磨を行う前にX線角度測定器を用いてこのr面4におけるX線の回折強度を測定し、所定の値よりも強度が弱く、かつ半値幅が広いランバード人工水晶3に対してr面4の研磨を行い、それ以外のランバード人工水晶3についてはr面4の研磨を行わずにその後の工程に流すようにしても良い。また、上記の例では、研磨によりアズグロウン人工水晶からランバード人工水晶3に加工するにあたり、Z面については一対の面を両面研磨したが、上記の人工水晶加工用冶具30により支持される支持面であるZ面の一方だけを研磨するようにしても良い。更に、X面についても両面研磨したが、例えば上記の人工水晶加工用冶具30に一つだけランバード人工水晶3を保持する場合には、X面の一方だけを研磨するようにしても良い。この時、人工水晶加工用冶具30にランバード人工水晶3を保持するときには、Z面を保持部31に沿わせると共に、例えばX面の一方の研磨面が高さ方向に亘って既述の固定部32に圧接されるように、他方のX面側(研磨されていないX面側)から保持手段35により他方のX面を押圧するようにしても良い。
尚、r面4を研磨するときには、例えば砥粒径が大きい砥石41から砥粒径が小さい砥石41に順次変えて、粗研削と仕上げ研磨とを行うことが好ましい。また、この仕上げ研磨の後に、ランバード人工水晶3を例えばフッ化水素酸やフッ化アンモニウムなどのエッチング液に浸析してr面4の表面の微細な凹凸や加工歪みを取り除くことが好ましい。上記のようにr面4においてX線の回折強度が強く、かつ半値幅が小さくなるのであれば、研削によりr面4を加工するようにしても良い。
また、上記の例の他、上記のZ面の代わりに、他のR面などを基準としてr面4を研磨するようにしても良い。また、本発明は、ATカットウェハを取得する以外にも適用でき、例えば既述の図18に示すCTカットを行う場合には、既述の保持部31の傾斜角度βは、58°に設定される。
本発明の人工水晶の加工方法を実施するための人工水晶を育成するための反応装置の一例を示す縦断面図である。 上記の反応装置において育成された人工水晶の一例をX軸方向から見た平面図である。 上記の人工水晶をZ軸方向から見た平面図である。 上記の人工水晶をY軸方向から見た平面図である。 本発明の人工水晶の加工方法を実施するための人工水晶加工用冶具の一例を示す斜視図である。 上記の人工水晶加工用冶具を示す側面図である。 上記の人工水晶加工用冶具を示す正面図である。 上記の人工水晶加工用冶具に人工水晶を保持させた時の側面図である。 上記の人工水晶加工用冶具に人工水晶を保持させた時の正面図である。 上記の人工水晶加工用冶具に保持させた時の人工水晶の傾斜角度を示す概略図である。 上記の人工水晶加工用冶具に保持させた時の人工水晶の傾斜角度を示す概略図である。 上記の人工水晶加工用冶具を用いて人工水晶を研磨する方法の一例を示す説明図である。 研磨前後における上記の人工水晶のr面を示す説明図である。 上記の研磨後の人工水晶を切断する方法の一例を示す説明図である。 人工水晶の角度に応じた当該人工水晶の傾斜角度の設定方法を示す説明図である。 人工水晶の角度に応じた当該人工水晶の傾斜角度の設定方法を示す説明図である。 長尺の人工水晶の切断方法の一例を示す平面図である。 人工水晶における結晶軸と切断面とを示す人工水晶の斜視図である。
符号の説明
1 種子結晶
2 オートクレーブ
3 ランバード人工水晶
4 r面
5 ATカット面
30 人工水晶加工用冶具
31 保持部
32 固定部
35 保持手段

Claims (4)

  1. 育成されたアズグロウン人工水晶を加工する方法において、
    人工水晶の光学軸に垂直な二つのZ面((0001)面)の少なくとも一方を研磨して平坦化する工程と、
    人工水晶をATカットに切断するときにX線回折法を用いて当該人工水晶の向きを設定するための基準とされるr面が上向きかつ水平となるように傾斜角度が設定され、Z面を支持するための傾斜面を備えた保持冶具を用い、前記工程で研磨されたZ面を保持冶具の傾斜面に沿って固定する工程と、
    保持冶具に固定された人工水晶の上面を水平面とするために研削及び研磨の少なくとも一方を行う工程と、を含むことを特徴とする人工水晶の加工方法。
  2. 傾斜面に沿って固定する工程の前に、更に前記人工水晶の電気軸に垂直なX面((11−20)面)を研磨して平坦化する工程を行い、
    前記固定する工程は、保持冶具に設けられた保持手段により、前記研磨されたX面が垂直となるように当該X面を固定する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の人工水晶の加工方法。
  3. アズグロウン人工水晶の光学軸に垂直な二つのZ面((0001)面)の少なくとも一方が研磨されて平坦化された人工水晶に対して、砥石を鉛直軸回りに回転させながら人工水晶の上方から下側に向けて押圧することによって当該人工水晶の上面を研削及び研磨の少なくとも一方により加工する時に用いられる加工用冶具であって、
    人工水晶をATカットに切断するときにX線回折法を用いて当該人工水晶の向きを設定するための基準とされるr面が上向きかつ水平となるように傾斜角度が設定され、Z面を支持するための傾斜面と、この傾斜面に研磨されたZ面が沿うように前記人工水晶を固定する保持手段と、を備えたことを特徴とする人工水晶加工用冶具。
  4. 前記人工水晶加工用冶具は、更に前記人工水晶の電気軸に垂直なX面((11−20)面)が研磨されて平坦化された人工水晶を加工するときに用いられる冶具であり、
    前記保持手段は、前記研磨されたX面が垂直となるよう当該X面を固定する手段であることを特徴とする請求項に記載の人工水晶加工用冶具。
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