以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態に係るカメラ内部の電子回路のブロック図を図1に示す。
本第1の実施の形態に係るカメラ内部の電子回路には、CPU1、撮影レンズ2、撮像素子3、撮影レンズドライブ回路(LD)4、ピント判定回路5、画像処理回路6、メモリ6a、LCDドライバ7、表示器(LCD)8、レリーズボタン9aやピント位置確認スイッチ9b、ピント位置調節スイッチ9cなどの各スイッチ類、及びストロボ発光部12などが設けられている。
CPU1は、ワンチップマイコン等で構成される演算制御部であり、レリーズボタン9a等の各スイッチの操作状態により、内蔵のプログラムを動作させて、LD4、ピント判定回路5、画像処理回路6、LCDドライバ7の制御を含むカメラ全体の動作制御を行う。
撮影レンズ2は、被写体の像を撮像素子3上に結像させるためのレンズである。
撮像素子3は、撮影レンズ2を介して結像した被写体の像を電気信号である像信号に変換する。また、この像信号をデジタル変換して像データとする。そして、この像データをピント判定回路5に入力する。
LD4は、撮影レンズ2を駆動するための回路である。
ピント判定回路5はCPU1の制御の下で、撮像素子3から入力されてきた像データに基づいてピント位置を検出する。このピント位置の検出方法は、まずLD4を介して撮影レンズ2を繰り出し制御しながら被写体の像データを測定し、その像データから所定の空間周波数に対応する成分を取り出す。そして、その取り出した成分から被写体コントラストのピーク位置をピント判定回路5によって検出し、その検出したピーク位置に基づいてピント合わせを行う。
なお、このように、撮影レンズ2を繰り出し制御しながら被写体コントラストを測定してピント位置を検出するピント合わせの方式を「山登りAF」と称するが、この方式は撮影レンズ2を駆動制御しながらコントラスト測定を行うために時間がかかるという欠点がある。
ピント判定回路5によって検出したピント位置に撮影レンズ2を合わせた状態で、撮像素子3は、再び像データを取得し、この取得した像データを画像処理回路6に入力する。なお、このときに露出が足りない場合には、ストロボ発光部12を発光させたりして、光を補うような制御もCPU1により行われる。
画像処理回路6は、入力されてきた像データに対し圧縮などの各種画像処理を施す。この画像処理された画像は、メモリ6aに記憶させたりLCD8に画像表示したりできるようになっている。このとき、CPU1は、LCD8に画像表示するためにLCDドライバ7の制御を行う。更に、後述するピント合わせ状態確認機能を作動させる際には、画像処理回路6を介して撮像素子3の特定の部分のみを選択し、その特定部分の画像を切り出してLCD8に拡大表示させるようにLCDドライバ7を制御する。
このような構成のカメラをユーザが扱っている様子を図2(A)に示す。カメラ30の背面には、上記LCD8が設けられていて、レリーズボタン9aやピント位置確認スイッチ9b及びピント位置調節スイッチ9cなどの操作に応じて、表示画像を切り替えるようにCPU1によって制御される。
なお、レリーズボタン9aは、1stレリーズスイッチと2ndレリーズスイッチの2つのスイッチから構成されている。そして、レリーズボタン13の半押し操作で1stレリーズスイッチがONして撮像素子3で取得した像データの中から中央エリアの像データを抽出して不図示のRAMに記憶させ、レリーズボタン13の全押し操作で2ndレリーズスイッチがONして撮影レンズ2のピント合わせを行わせ、撮像した画像をメモリ6aに記憶させる。
また、ピント位置確認スイッチ9bは、後述する測距ポイント確認機能を動作させるためのスイッチであり、ピント位置調節スイッチ9cは、選択したピント合わせポイントにおけるピント位置の微調節を行うためのスイッチである。
ユーザは、図2(B)のようにLCD8に表示された画像8a内の測距ポイント選択マーク80が、どの被写体をマーキングしているのかを見て、自分の意図した通りのピント状態であるかを確認することができる。ここで、撮像素子3は図3のように3a,3b,3cの3つのピント検出エリアを有することを想定して説明を続けるが、このエリア数は3つに限らず、中央一点を含む5つでも7つでも良い。
このようにピント検出エリアを複数にすることによって、中央に被写体がいる場合はもとより、図1のような被写体が画面中央にいないシーンであってもピント位置検出が可能となる。なお、画面内の複数ポイントを測距可能としてピント合わせを行えるようにした方式を「マルチAF方式」と呼ぶが、こうしたマルチAF方式を用いる副作用によって、図2(B)のように本来ピントを合わせるつもりでなかった木11bに測距ポイント選択マーク80が合ってしまうことがある。このような状態で撮影シーケンスを続けてしまった場合、人物11aではなく木11bにピントが合わせられてしまうので何らかの対策が必要である。
そこで、本実施の形態ではレリーズボタン9aを2段押しとして構成し、このレリーズボタン9aの操作状態によって撮影シーケンスを2段階に分ける技術である、いわゆるフォーカスロック技術を応用してこのようなシーンに対応する。
まず、ユーザはピント合わせを行おうとしている主被写体、例えば、人物11aが撮影画面中央になるように撮影レンズ2を人物11aに向けておく。以後、本実施の形態に係るカメラは、図4のフローチャートにしたがった動作を行い、上記のようなシーンに対応する。
カメラの不図示のメインスイッチがONされると、図4のフローの動作が開始され、カメラのCPU1は撮像素子3を動作させて被写体の像データを取得する(ステップS1)。次に、この撮像素子3によって取得した像データに基づいてLCD8上に撮影画像の表示を行う(ステップS2)。同時に測距ポイント選択マーク80をLCD画面内の中央に表示する。なお、これらの表示はLCD8に表示されると同時にカメラの不図示のファインダにも表示される。この状態において、CPU1は、レリーズボタン9aの半押し操作がなされ1stレリーズスイッチがONされたか否かを判定する(ステップS3)。1stレリーズスイッチがONされていないと判定した場合には、上記ステップS1に戻る。
1stレリーズスイッチがONされたと判定した場合には、上記ステップS1において撮像素子3が取得した像データの中から中央エリア3b内の主被写体、例えば、人物11aの像データを抽出する(ステップS4)。この像データが現在の状態におけるユーザの選択した主被写体の像データとなる。なお、一般的に主被写体の像データは、他の部分の像データに比べて出力レベルが高いため、主被写体の像データの取得は、例えば、中央エリア3b内において、ある一定レベル以上の出力の像データのみを抽出するようにすれば良い。次に、この抽出した主被写体の像データを不図示のRAMに記憶させる(ステップS5)。
主被写体の像データの記憶が終了した後、ユーザは自分の好みの構図になるように、図5の矢印aで示されるようにカメラの向きを移動させる。この状態において、CPU1は、レリーズスイッチ9aの全押し操作がなされて2ndレリーズスイッチがONされたか否かを判定する(ステップS6)。
2ndレリーズスイッチがONされていないと判定した場合には、1stレリーズスイッチがONのままであるか否かを判定する(ステップS7)。1stレリーズスイッチがOFFされたと判定した場合には、上記ステップS1に戻る。1stレリーズスイッチがONのままであると判定した場合には、図5の矢印aで示されるようにしてカメラの向きを変えることで、ユーザは自由に構図を変更することができる。なお、図5では矢印aが一方向のみとして示されているが、逆方向にカメラの向きを変えることができることは勿論である。
カメラの向きが変更された場合には、CPU1は再び撮像素子3を動作させて撮影画面内全ての被写体の像データを取得する(ステップS20)。そして、この撮影画面内全ての被写体像データの中からRAMに記憶されている主被写体の像データと類似の像データの検出を行う(ステップS21)。以後、このような類似像データの検出動作をオブジェクトサーチと称する。
この検出結果に基づいて、上記ステップS20において取得した撮影画面内全ての被写体像データの中にRAMに記憶されている主被写体像データと類似の像データが存在しているか否かを判定する(ステップS22)。ステップS20において取得した像データの中にRAMに記憶されている主被写体像データと類似の像データが存在していると判定した場合には、図2(C)のように測距ポイント選択マーク80の表示位置を、RAMに記憶されている主被写体像データと類似の像データを出力する被写体の位置に変更して(ステップS23)、ステップS25に進む。
一方、上記ステップS22の判定において、撮影画面内全ての被写体像データの中に、RAMに記憶されている主被写体像データと類似の像データが存在しないと判定した場合、例えば、ローコントラスト被写体の像データや海の波などのように変化する像データの場合や撮影画面内にRAMに記憶された像データが存在していない場合等には、測距ポイント選択マーク80の表示位置を変更せずに(ステップS24)、そのままステップS25に進む。
ユーザはLCD8に表示された画像を見て、自分の気に入った構図であるかを確認する。そして、この確認結果に応じてピント位置確認スイッチ9b又はピント位置調節スイッチ9cを操作する。CPU1は、これらピント位置確認スイッチ9b又はピント位置調節スイッチ9cがユーザにより操作されたか否かを判定する(ステップS25)。これらのスイッチが操作されていないと判定した場合には、そのまま上記ステップS6に戻る。一方、これらのスイッチが操作されたと判定した場合には、スイッチの操作に応じて測距ポイント選択マーク80の表示位置を変更する(ステップS26)。そして、測距ポイント選択マーク80が位置している被写体の像データをRAMに上書き記憶させて(ステップS27)、上記ステップS6に戻る。
上記ステップS6の判定において、2ndレリーズスイッチがONされたと判定した場合には、現在の状態において再び撮像素子3を動作させて撮影画面内全ての被写体の像データを取得する(ステップS8)。そして、この撮影画面内全ての被写体像データの中からRAMに記憶されている主被写体像データと類似の像データの検出を行う上記オブジェクトサーチを行う(ステップS9)。この結果に基づいて、上記ステップS8において取得した撮影画面内全ての被写体像データの中にRAMに記憶されている被写体像データと類似の像データが存在しているか否かを判定する(ステップS10)。
RAMに記憶されている被写体像データと類似の像データが存在していると判定した場合には、その類似の像データを抽出して(ステップS11)、ステップS14に進み、取得した像データを用いて山登りAFを開始する。なお、山登りAFに入る前に、図2(C)のように、類似の像データを出力する被写体に測距ポイント選択マーク80を合わせた状態を表示しても良いし、この結果を確認した後、上記ピント位置調節スイッチ9cなどでピント位置の微調節が行えるようにしても良い。なお、ここでは、これらの処理については省略している。
一方、上記ステップS10の判定において、RAMに記憶されている被写体像データと類似の像データが存在しないと判定した場合には、警告表示又は警告音等で警告を行った後(ステップS12)、主被写体が存在している可能性の高い中央エリア3bの被写体像データを取得して(ステップS13)、ステップS14に進み、山登りAFを開始する。
ステップS14の山登りAFが開始された後、CPU1は山登りAFが終了したか否かを判定する(ステップS15)。山登りAFが終了していないと判定した場合には、山登りAFが終了するまでステップS15の判定を繰り返す。一方、山登りAFが終了したと判定した場合には、露光動作を行い(ステップS16)、撮影画像をメモリ6aに記憶させる。
この露光動作及びメモリ6aへの画像記憶の後に、ピント位置確認スイッチ9b又はピント位置調節スイッチ9cが操作されたか否か、即ち、ピント状態の確認機能を動作させるか否かを判定する(ステップS17)。ピント状態の確認機能を動作させると判定した場合には、ピント合わせを行った被写体をLCD8上に図2(D)のような拡大表示する(ステップS18)。一方、ピント状態の確認機能を動作させないと判定した場合には、そのまま本フローの動作を終了する。
なお、上記ステップS18で行った拡大表示は、上記ステップS16の露光動作の前に行うようにしても良い。このようにすれば、ユーザは撮影前にこの拡大表示によってピント合わせポイントや被写体の表情などを確認することができる。また、図2(B)のようにピント位置を誤った状態のままレリーズ操作を継続した場合には、図2(E)のように本来意図していない木11bが拡大されるため、間違いを更に防止できる。
更に、選択したポイントにおいて、どうしてもピントが合わない場合に、警告を行った後、LCD8上の指示位置を変更して、ステップS14の山登りAFからやり直すことにより、シャッタチャンスを重視した撮影ができるようにしても良い。
以上説明したように、本発明によれば、時間のかかる山登りAFに対し山登り動作に入る前に上記オブジェクトサーチを行って、ユーザの狙っている被写体をカメラに認識させることで、ピント合わせの誤判断の可能性が減少する。
また、余分な山登り動作を行わせずにすむため、レリーズタイムラグを短くすることができる。
更に、ピント合わせの後に、ピント合わせを行った被写体を拡大表示するようにすれば、ユーザはピント合わせの状態を正確かつ容易に確認することができる。この表示結果を見て、気に入らないピント状態である場合には、撮影した画像データを簡単に消去できる等のデジタルカメラのメリットを生かして再撮影すれば良い。
[第2の実施の形態]
図6を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係るカメラは、上記第1の実施の形態で用いた撮像素子を用いたピント合わせと、2つの受光レンズ20a,20bを介してセンサアレイ21a,21bで得た像信号の、2つの受光レンズ20a,20bの視差によって生じた位置差xを用いて測距を行う、いわゆる外光式三角測距方式によるピント合わせとを併用して上記オブジェクトサーチを行うものである。センサアレイ21a,21bで得た像信号はA/D変換部(A/D)22によってデジタル信号化され像データとなる。これらの像データは、CPU1に入力される。
CPU1では、これら2つの像データの比較によって、前述のxを求め三角測距の原理式であるL=Bf/xより被写体距離Lを算出する。ここで、Bは両受光レンズ間距離であり、fは受光レンズ20aとセンサアレイ21aとの間の距離又は受光レンズ20bとセンサアレイ21bとの間の距離である。
このようにして、得られた被写体距離Lに基づいて、CPU1は上記LD4を介して撮影レンズ2のピント合わせを行う。この後、実際に撮像を行う際に、CPU1は撮影レンズ2の受光量や撮像素子3の受光量に基づいてストロボ発光部12の光量制御も行う。
なお、この三角測距の原理に基づいた測距装置は公知の技術であるため、その詳細な説明については省略する。また、撮像素子3を用いたピント合わせについても上記第1の実施の形態で説明を行ったため、ここでは説明を省略する。なお、本実施の形態では上記第1の実施の形態におけるピント合わせを行った被写体をLCDに拡大表示する機能を省略することで、測距ポイント等の表示をファインダ内にスーパーインポーズ表示させるカメラにも適用できる。
ここで、撮影シーン10内で、前述の三角測距用のセンサアレイがモニタする範囲23は図6(B)に示すようになっている。したがって、センサアレイ21aの24L,24C,24Rのいずれのエリアを測距ポイントとして用いるかによって画面内3点の測距が可能となる。
ここで、この図6(B)はセンサアレイ21a,21bのうち一つのみ(例えばセンサアレイ21a)を示したものであり、実際にはこれと同じものがもう一つ存在する。これ以後センサアレイ21aを対象に説明を続けていくが、センサアレイ21bについても同様の説明を行うことができる。また、この測距エリアも上記第1の実施の形態と同様に3点のエリア数に限らず、用いるエリアの分割の仕方によって5点にも7点にもできる。
このような構成のカメラを前面から見た図が図7である。基本的な外観は上記第1の実施の形態と同様であるが、撮影レンズ2の上方に上記受光レンズ20a,20b用の窓である測距用窓25を設けた点が異なる。また、本実施の形態ではピント合わせを行った被写体を拡大表示する機能を省略しているため、上記ピント位置確認スイッチ9b及びピント位置調節スイッチ9cは省略されている。
次に、以上のような構成を持つ本実施の形態に係るカメラの動作制御プログラムについて図8のフローチャートを参照して説明する。なお、本実施の形態においても、レリーズボタン9aを2段階押し下げ式で構成し、半押し操作で1stレリーズスイッチがONして中央エリア24Cの撮像を開始して主被写体像データの取得を開始する。また、全押し操作で2ndレリーズスイッチがONしてピント合わせ及び撮像した画像をメモリ6aに記憶させる動作を開始するものとする。また、本フローの動作を開始させる前にユーザはピントを合わせようとしている被写体が撮影画面内の中央にくるようにしておくものとする。
まず、カメラの不図示のメインスイッチがONされると、CPU1は、ファインダ画面内の中央にターゲットマーク(測距用の枠)の表示を行う(ステップS70)。この状態で1stレリーズスイッチがONされたか否かを判定する(ステップS71)。1stレリーズスイッチがONされていないと判定した場合には、1stレリーズスイッチがONされるまで待機し、1stレリーズスイッチがONされたと判定した場合には、センサアレイ21a,21bを用いて撮影画面内の中央エリア24Cにおいてターゲットマークが合っている被写体の像データI0を取得して(ステップS72)、その被写体像データI0に基づいて撮影画面内の中央エリア24Cにおける被写体距離データL0を算出する(ステップS73)。
以上の動作によって、カメラはユーザの望む被写体の被写体距離データや像データを検出したことになる。次に、これら被写体距離データL0及び像データI0を不図示のRAMに記憶させる(ステップS74)。これらのデータを記憶させた後、ユーザは自分の気に入った構図になるようにカメラの向きを変えて、レリーズボタン9aを全押し(2ndレリーズスイッチをON)操作する。
次に、CPU1は、2ndレリーズスイッチがONされたか否かを判定する(ステップS75)。2ndレリーズスイッチがONされていないと判定した場合には、1stレリーズスイッチがONのままであるか否かを判定する(ステップS84)。1stレリーズスイッチがONのままであると判定した場合には、上記ステップS75に戻る。また、1stレリーズスイッチがOFFされたと判定した場合には、上記ステップS71に戻る。
上記ステップS75の判定で2ndレリーズスイッチがONされたと判定した場合には、撮影画面全体の撮像を行って撮影画面全体における像データを取得する(ステップS76)。そして、この取得した像データに基づいて、各測距エリア24L,24C,24Rの3点について被写体距離を測定する(ステップS77)。次に、上記I0及びL0と類似のデータを出力するポイントが測距エリア24L,24C,24R内に存在したか否かを判定する(ステップS78)。
類似のデータを出力するポイントが測距エリア24L,24C,24R内に存在したと判定した場合には、その類似の像データをピント合わせポイントの像データとして選択して(ステップS81)、ステップS82に進む。
一方、上記ステップS78の判定において、類似のデータを出力するポイントが測距エリア24L,24C,24R内に存在していないと判定した場合には、上記3つの測距エリア以外において、像データI0と類似の像データを出力するポイントが存在したか否かを判定する(ステップS79)。類似の像データを出力するポイントが存在したと判定した場合には、その類似の像データをピント合わせポイントの像データとして選択して(ステップS81)、ステップS82に進む。
ステップS79の判定において、類似の像データを出力するポイントが存在しないと判定した場合には、撮影画面中央エリア24Cの像データをピント合わせポイントの像データとして選択して(ステップS80)、ステップS82に進む。
ピント合わせを行う選択ポイントの像データが見つかった後は、その選択ポイントの像データを用いて山登りAFを行い(ステップS82)、山登りAF処理が終了した後に露光動作を行って(ステップS83)、撮影した画像をメモリ6aに記憶させる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、被写体像データ(被写体像信号)と被写体距離とによってユーザがピント合わせを行いたい被写体を絞り込むため、より間違いのないピント合わせが行える。
なお、本実施の形態では画像の表示系を単純化した構成となっているが、上記第1の実施の形態と同様に、構図を変えた場合に測距ポイント選択マークが追従するようにしても良いし、拡大表示によるピント状態の確認機能を設けても良い。
[第3の実施の形態]
図9乃至図12を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、類似の像データを検出する技術を用いて、ピント合わせを行う被写体をLCDに拡大表示する例である。なお、構成的には上記第1の実施の形態と同様のものを想定している。ここで、上記ピント位置確認スイッチ9b及びピント位置調節スイッチ9cについて図9を参照して補足しておく。
ピント位置確認スイッチ9b及びピント位置調節スイッチ9cは、本実施の形態において、図9のように1つのスイッチ31として構成されている。このスイッチ31はプッシュスイッチ部51とダイヤルスイッチ部52とからなり、ダイヤルスイッチ部52の中心には孔が設けられていて、その孔からプッシュスイッチ部51を通すことになる。
このプッシュスイッチ部51が押し下げされることにより、切片57も押されて、電極58と導通し、この結果出力される信号がCPU1に入力されることでピント合わせ状態の確認機能を動作させる。つまり、上記ピント位置確認スイッチ9bの役割を果たすのである。
また、ダイヤルスイッチ部52を回転させることで、その動きに連動して切片53も回転する。この回転状態によって、電極54と電極55又は電極56と電極55が導通し、この結果出力される信号がCPU1に入力されることでピント位置の微調節が行われる。つまり、上記ピント位置調節スイッチ9cの役割を果たすのである。
例えば、電極54と電極55とが導通した場合には撮影レンズ2が繰り出す方向に移動し前ピン側への調節が行うことができ、電極56と電極55とが導通した場合には撮影レンズ2が繰り込む方向に移動し後ピン側への調節を行うことができるようになっている。
このような構成のカメラを用いて、例えば図10(B)のような構図の写真を撮影する場合には、図11において、まず、撮影画面中央に表示されているターゲットマーク90を主被写体11aに合わせるように、図11中の一点鎖線で示す10aの構図とする。次に、ターゲットマーク90を従被写体である木11bに合わせるように、図11中の破線で示す10bの構図にカメラを構えなおす。このように、ユーザがターゲットマーク90によって被写体を狙う操作を以後SPOT操作と称することにする。このSPOT操作の後には、ユーザによって選択された被写体の像データが撮像素子3によって取得される。
図12を参照して本実施の形態に係るカメラの動作制御について説明する。なお、本実施の形態においてもユーザは、あらかじめ図10(A)のようにピント合わせを行おうとしている被写体を撮影画面内の中央にしておくものとする。また、図12のフローはカメラの拡大表示に拘わる部分について示したものであり、露光動作などの制御については省略されているが、これらの制御には上記第1又は第2の実施の形態のものを適用することができる。
まず、CPU1は、SPOT操作がなされたか否かを判定する(ステップS90)。SPOT操作がなされていないと判定した場合には、SPOT操作がなされるまで待機し、SPOT操作がなされたと判定した場合には、ターゲットマーク90が合っている被写体の像データI1を取得して(ステップS91)、その像データI1を不図示のRAMに記憶させる(ステップS92)。
ここで、ユーザはターゲットマーク90で別の被写体、つまり、被写体以外でピントの状態を確認したい被写体を狙う。CPU1は再びSPOT操作がなされたか否かを判定する(ステップS93)。SPOT操作がなされていないと判定した場合には、SPOT操作がなされるまで待機し、SPOT操作がなされたと判定した場合には、ターゲットマーク90が合っている被写体の像データI2を取得して(ステップS94)、その像データI2を不図示のRAMの上記像データI1を記憶させた領域とは別の領域に記憶させる(ステップS95)。
次に、CPU1は不図示のモニタボタンの操作状態によりLCD8への表示を行うか否かを判定する(ステップS96)。LCD8への表示を行わないと判定した場合には、RAMに記憶させた像データをクリアするか否かを判定する(ステップS97)。
なお、この判定は、例えば、所定時間の経過を判定させて、所定時間の経過により像データがクリアされるようにするなどの方法がある。このステップS97の判定により像データをクリアしないと判定した場合には、上記ステップS96に戻る。像データをクリアすると判定した場合には、RAM内に記憶されている像データをクリアして(ステップS98)、上記ステップS90に戻る。
上記ステップS96の判定によりLCD8への表示を行うと判定した場合には、撮影画面内全ての像データを取得する(ステップS99)。次にこの取得した像データの中から上記像データI1,I2と類似の像データを抽出する(ステップS100)。次に、プッシュスイッチ部51がONされたか否か、つまり、ピント状態確認のために拡大表示を行うか否かを判定する(ステップS101)。拡大表示を行わないと判定した場合には、そのまま本フローを抜ける。
一方、拡大表示を行うと判定した場合には、抽出した像データI1,I2に相当する画像を図2(F)のようにLCD8上に拡大表示する(ステップS102)。次に、CPU1は、プッシュスイッチ部51がOFFされたか否か、つまり、拡大表示を解除するか否かを判定する(ステップS103)。拡大表示を解除すると判定した場合には、拡大表示を解除して(ステップS104)、本フローを抜ける。
一方、拡大表示を解除しないと判定した場合には、ダイヤルスイッチ部52が操作されたか否か、つまり、ピント位置の微調節を行うか否かを判定する(ステップS105)。ダイヤルスイッチ部52が操作されたと判定した場合には、ダイヤルスイッチ部52の操作量に応じて撮影レンズ2の繰り出し又は繰り込みを行った後(ステップS106)、上記ステップS99に戻り、画像の変更を行う。ダイヤルスイッチ部52が操作されていないと判定した場合には、上記ステップS102に戻る。
以上説明したように、本実施の形態によれば、本発明の特徴である類似の像データ検出技術を用いて、ユーザの求める被写体が撮影画面内のいずれのポイントに存在するかを特定し、それを拡大表示することにより高速のピント合わせ及び正確なピント状態の確認が可能となる。なお、本実施の形態では、2ポイントのピントの関係をLCD表示という形で目視が可能なようにしているが、この2つの像のコントラストが最良の関係になるようなピント位置にピント合わせされるような応用も可能である。
以上実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
ここで、本発明の要旨をまとめると特許請求の範囲に記載したものに加えて以下のようなものを含む。
(1) 上記ピント合わせ時に取得した像データの中に上記記憶手段に記憶させた像データと類似の部分が無い場合には、警告を行った後、上記撮影画面内中央部の被写体に撮影レンズのピントを合わせることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ。
(2) ピント合わせを行うピント合わせポイントを任意に選択できる選択手段を更に具備し、
上記選択手段によってピント合わせポイントが選択されたときには、選択されたピント合わせポイントにおける被写体の像データの取得を行わせることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のカメラ。