JP5030174B2 - デジタル音響信号処理装置 - Google Patents

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本発明は、複数のスピーカを配列したアレースピーカによって、特定の方向に高い指向性で音波を放射させることができる音響再生信号を生成するデジタル音響信号処理装置に関する。
音を特定方向の狭い範囲に放射させる用途が増加しているが、このような超指向性のビーム形成は、超音波による方法以外にはまだ商用されていない(非特許文献1参照)。しかし、スピーカアレーと2次元デジタルフィルタで構成される通常の指向性アレースピーカ(非特許文献2,3)によって非常に狭い指向特性に設計すれば、超指向性ビームを形成することができる。ここで、低域特性をできるだけ向上させようとすれば、スピーカアレーには大きなサイズが要求されるが、低域をそれほど重視しなくてよければスピーカアレーは小形にすることができる。
同様にスピーカアレーを用いて特定の位置、すなわち焦点に集束音響ビームを形成する方法があり、用いる2次元デジタルフィルタに、音の集束のために、方向により異なる直線位相の2次元位相特性が設定される(非特許文献4,5参照)。この方法では、スピーカアレーから近い距離では、位相特性が効果的に働いて、焦点位置に旨く集束する音響ビームが形成される。
西川清、「ビームフォーミングの2次元領域解析」、電子通信学会論文誌、社団法人電子情報通信学会、1994年9月、第J77−A巻、第9号、p.1304−1306 松本康志、西川清、「一定サイドローブ量の指向性アレースピーカの設計法」、信学技報、社団法人電子情報通信学会、2004年10月、EA2004−74、p.13−18 西川清、外4名、「広帯域ビーム形成用2次元FIRファンフィルタの2次元フーリエ級数近似による設計法」、電子通信学会論文誌、社団法人電子情報通信学会、2000年12月、第J83−A巻、第12号、p.1357−1367 西川清、横山哲哉、宮岸美貴子、「直線状スピーカアレーと2次元FIRフィルタを用いた音像移動の方法」、電子情報通信学会論文誌、社団法人電子情報通信学会、2000年7月、第J83−A巻、第7号、p.839−849 西川清、志村智、横山哲哉、宮岸美貴子、「2次元ディジタルフィルタを用いた音像移動と集束ビーム形成」AES東京コンベンション‘99予稿集、p.166−169
焦点位置を遠くに設定する狭角ビーム形成の場合には、低域での位相設定の範囲が狭いために、位相特性の効果が出にくく、焦点位置に旨く集束する音響ビームが形成されない。
本発明の目的は、指向性アレースピーカの集束ビームの焦点を遠距離に設定することによって、スピーカアレー近傍から焦点位置の後方にまで狭く細長い高い指向性を有する音響ビームを形成することができるデジタル音響信号処理装置を提供することである。
本発明は、音源から入力したデジタル音響信号を、2次元デジタルフィルタによって指向特性を制御し、直線の方向に沿って配列された複数のスピーカから成るスピーカアレーによって再生するデジタル音響信号処理装置であって、
前記2次元デジタルフィルタは、時間およびスピーカの位置について2次元フーリエ変換した音響信号のスペクトルを、時間周波数軸と空間周波数軸とから成る2次元周波数平面上で表したとき、低域での振幅特性を非物理領域に拡大し、空間周波数軸に平行な断面が物理領域から非物理領域にわたる単峰形の通過域として設定されることを特徴とするデジタル音響信号処理装置である。
また本発明は、直線の方向に沿って配列された複数のマイクロフォンから成るマイクロフォンアレーから出力された信号を、2次元デジタルフィルタによって指向特性を制御するデジタル音響信号処理装置であって、
前記2次元デジタルフィルタは、時間およびマイクロフォンの位置について2次元フーリエ変換した音響信号のスペクトルを、時間周波数軸と空間周波数軸とから成る2次元周波数平面上で表したとき、低域での振幅特性を非物理領域に拡大し、空間周波数軸に平行な断面が物理領域から非物理領域にわたる単峰形の通過域として設定されることを特徴とするデジタル音響信号処理装置である。
本発明によれば、音源から入力したデジタル音響信号の指向特性を制御する2次元デジタルフィルタは、時間およびスピーカの位置について2次元フーリエ変換した音響信号のスペクトルを、時間周波数軸と空間周波数軸とから成る2次元周波数平面上で表したとき、低域での振幅特性を非物理領域に拡大するので、アレースピーカの集束ビームの焦点を遠距離に設定することによって、スピーカアレー近傍から焦点位置の後方にまで狭く細長い高い指向性を有する音響ビームを形成することができる。
また本発明によれば、マイクロフォンアレーから出力された信号の指向特性を制御する2次元デジタルフィルタは、時間およびマイクロフォンの位置について2次元フーリエ変換した音響信号のスペクトルを、時間周波数軸と空間周波数軸とから成る2次元周波数平面上で表したとき、低域での振幅特性を非物理領域に拡大するので、狭く細長い高い指向性を有するビームを得ることができる。
図1は本発明の実施の一形態の2次元デジタルフィルタ4を備えるデジタル音響信号処理装置の全体の構成を示すブロック図である。本実施の形態のデジタル音響信号処理装置は、複数(本実施の形態では7)のスピーカ2a,2b,…,2f,2gから成るスピーカアレー2と、スピーカアレー2の各スピーカ2a〜2gに直列に接続される1次元フィルタ3a,3b,…,3f,3gから成る2次元デジタルフィルタ4とを含む。2次元デジタルフィルタ4は、たとえば2次元FIRフィルタによって実現される。
本実施の形態では、周波数と方向のパラメータを用いるのではなく、時間周波数と空間周波数とによって表わされる2次元周波数平面での2次元デジタルファンフィルタを所望の周波数および指向特性に近似して設計する手順について説明する。焦点位置を遠くに設定する狭角ビーム形成の場合、低域での位相設定の範囲が狭く、その効果が出にくいことから、低域での位相設定範囲を拡大し、振幅の設定が行われるすべての領域に、すなわちスペクトルの分布する領域だけでなく、スペクトルの分布しない非物理領域5にも位相設定することによって、高い指向性が得られる2次元デジタルフィルタを備えるデジタル音響信号処理装置について説明する。
指向性アレースピーカ1は、図1に示すように、スピーカアレー2(スピーカ間隔D,スピーカ個数(N+1))と2次元デジタルフィルタ4とによって構成され、2次元デジタルフィルタ4の振幅特性と位相特性を設定することによって、図1のように、スピーカアレー2の中心点0から角度φ0、距離rの点Pに音響ビームの焦点を仮想音源点として形成することができる。以下に2次元デジタルフィルタ4の設計法の概略について述べる。
図2は、2次元周波数平面における2次元音響信号のスペクトルとファンフィルタ特性との関係を説明するためのグラフであり、横軸は時間周波数f1であり、縦軸は、空間周波数f2である。
2次元周波数平面において、非物理領域5とは、φ=90°の直線とφ=−90°の直線とを境界としてf2とf1との比の値の絶対値f2/f1がρより大きい領域であって、音響信号のスペクトルの存在しない領域をいう。また、2次元周波数平面における非物理領域5を除く領域を、物理領域6という。ファンフィルタの低域での振幅特性は、空間周波数f2に平行な断面で、物理領域6から非物理領域5にわたる単峰形の通過域として設定される。
(振幅特性の設定)
スピーカアレー2から、角度φで放射される音響波のスペクトルは、2次元周波数平面では次式の直線上に分布する。
Figure 0005030174
ただし、fは時間周波数、fは空間周波数であり、それぞれ1/T(T:サンプリング間隔)と1/Dで規格化してある。
ビーム中心をφ=φ、ビーム肩幅をφ=φP+〜φP−、ビーム半値幅をφ=φC+〜φC−、ビームの広がりをφ=φS+〜φS−とする指向性音響ビームを形成するために、2次元デジタルフィルタ4の目標振幅特性A(f,f)として、図2に示すようなくさび型過渡域のファンフィルタ特性を設定して用いる。図2中のψは、通過域の中心とf軸とのなす角、α,αとβ,βはそれぞれ通過域と過渡域の開き幅を決めるパラメータであり、ψはビーム中心角度φとの対応により、α,αとβ,βはそれぞれビームの半値遮断角度φC−,φC+とビーム端角度φS−,φS+との対応により決定される。このとき、空間エリアシングの影響を入れないために次式が用いられる。
Figure 0005030174
なお、|f|>ρ|f|の領域は、スペクトルが存在しないので、非物理領域5と呼ばれている。
φ=0°(ψ=0°)を扱う場合は、φC+=−φC−=φ,φS+=−φS−=φ,α=α=α、β=β=βとおく。また、低域では有限次数による振幅劣化の改善のために、f軸上で幅2Wの方形特性を設定している。
図1において、原点0を中心とする円の波面(実線)を点Pを中心とする小円の波面(破線)に変形するという設定で、原点からφ方向の両波面間の伝搬遅延差τ(φ)を、波面位置を∞として導出し、これより導いた位相
Figure 0005030174
を2次元デジタルフィルタ4の位相特性として設定する。ビーム形成を確実にするために、ビーム端角度φS+=φ+φe+,φS−=φ−φe−と置く。ただし、φe+,φe−は図1のスピーカアレー2の長さN・Dと焦点位置(距離r,角度φ)により決まる角度であり、次式で与えられる。
Figure 0005030174
Figure 0005030174
なお、式(3)による位相はρsinφS−・f<f<ρsinφS+・fにおいて有効に設定される。
2次元デジタルフィルタ4の目標特性H(f,f)を振幅A(f,f)と位相θ(f,f)を用いて次式のように表す。
Figure 0005030174
次数を(N,N)とすると、2次元離散フーリエ級数近似によって得られる2次元デジタルフィルタの伝達関数H(z,z)は次式となる。
Figure 0005030174
Figure 0005030174
ただし、M,Mの値はN,Nの10倍程度以上で2のべき乗の値に選ぶ。
図3は、φ=0°の場合の振幅および位相の設定領域を示す図である。図3(a)は、振幅設定域を示す図であり、図3(b)は、位相設定域を示す図である。本研究では、ビーム中心φ=0°とし、焦点位置rを遠くに設定してビーム端角度φの小さい超指向性(狭指向性)ビームの形成方法を検討する。φが小さいと、図3(b)から分かるように、低域から中域にかけての広い範囲で、式(3)による位相の変化が現れるほどの設定とはならず、そのために、焦点形成への寄与も小さく集束不十分なビーム形成となる。そこで、焦点形成を高めるために、非物理領域5を含む低域での位相特性の設定法についての検討を行う。なお、図3(a)に示したf=fは、同一指向特性を与える帯域の下端であり、幅2Wの方形振幅が設定される低域の上端とほぼ一致し、次式で与えられる。
Figure 0005030174
図4は、位相設定域の拡大(1)を示す図である。最初に、図3(b)の位相設定域を超えてそれより広い図3(a)の振幅設定域にまで位相を設定する方法として、2通りを考える。図4(a)は、ρsinφ|f|<|f|<Wの領域に、境界φ=φでの位相と同一の値をf方向に推移して設定し、図4(b)ではρsinφ|f|<|f|<ρ|f|(|f|<W)の領域に式(3)による位相を、ρ|f|<|f|<Wの領域には境界φ=90°での位相と同一の値をf方向に推移して設定するものであり、それぞれをw−1−s,w−1−90と呼ぶことにする。
低域で方形の断面振幅に設定された2次元フィルタ4は2次元離散フーリエ級数近似の結果、低域でのf方向の断面振幅特性はsinc関数に似た形状となり、主振幅の範囲(メインローブ域)は約2倍の1.89Wに広がる。そこで、低域での位相設定範囲を拡大するために、低域での目標振幅特性として方形振幅特性をf方向にフーリエ級数近似した結果の振幅特性を用い、位相設定範囲は|f|<1.89Wとする。
図5は、位相設定域の拡大(2)を示す図である。図5(a)は、w−2−sについてのものであり、図5(b)は、w−2−90についてのものである。
スピーカアレー長ND=1.26m、スピーカ間隔D=0.07m、フィルタ次数(N,N)=(30,18)、焦点距離r=5.0mとして、上記の4タイプの超指向性ビームの設計を行う。このとき、ビーム端角度φ=7.18°、ビーム半値角度φ=5.71°、サンプリング周波数f=8635Hzである。しかし、本文でのサンプリング周波数については、図を拡大表示するために、便宜上f=5550Hzとした。
図6〜図9に結果の振幅と位相の周波数特性を示す。図6は、設計結果の周波数特性(w−1−s)を示す図である。図6(a)は、振幅の周波数特性を示し、図6(b)は、位相の周波数特性を示す。図7は、設計結果の周波数特性(w−1−90)を示す図である。図7(a)は、振幅の周波数特性を示し、図7(b)は、位相の周波数特性を示す。図8は、設計結果の周波数特性(w−2−s)を示す図である。図8(a)は、振幅の周波数特性を示し、図8(b)は、位相の周波数特性を示す。図9は、設計結果の周波数特性(w−2−90)を示す図である。図9(a)は、振幅の周波数特性を示し、図9(b)は、位相の周波数特性を示す。これらの振幅特性の図において、φ=φでの振幅がφ=0°の振幅の−6dBとなる周波数を見ると、いずれも式(9)からのf=0.247(1370Hz)よりやや小さく、w−2−90の特性が最も小さい値を示している。また、位相特性については、w−2−sとw−2−90とが、より低域から方向φによる位相推移の違いを見せ、位相の設定範囲拡大の効果を示している。さらに、w−1−90とw−2−90は低域での周波数に比例するように振幅の低下を示し、それに対応して位相の落差が生じている。
図10は、2次元デジタルフィルタ4の振幅および位相特性(w−2−90)を示す図である。図10(a)は、振幅特性を示す図であり、図10(b)は、位相特性を示す図である。図11は、w−2−90の指向特性を示す図である。4タイプの設計結果の中で位相設定効果の大きいw−2−90について、2次元デジタルフィルタ4の振幅、位相特性および振幅の指向特性をそれぞれ図10および図11に示す。
図4および図5に示す位相設定について、非物理領域5|f|>ρ|f|に位相を置かない、すなわち、位相0とした場合も特性を求めて効果を調べたが、いずれも置いた場合に比べてその効果はわずかに低かった。
超指向性ビームについて、空間応答を求めて低域位相拡大設定の効果を比較考察する。図12は、インパルス列応答の空間分布を示す図である。図12(a)は、w−2−sについて求めた図であり、図12(b)は、w−2−90について求めた図である。ただし、各応答は、x→∞で振幅1となるように大きさを補正した上で、振幅0.5以上の部分を表示してある。また、参考のために、スピーカアレー配置(左側)、φ=±φ,±φの放射ラインおよび焦点を中心とする同心円を重ねて示す。両応答とも焦点位置で集束する様子には見えず、原点から距離とともに成長するくさび形ビームのように形成されているが、w−2−90の方がわずかに焦点位置でのy方向に測った幅が狭い。
図13は、w−2−90に対して求めた正弦波音圧分布を示す図である。図13(a)は、f=0.1(555Hz)について示す図である。図13(b)は、f=0.2(1110Hz)について示す図である。図13(c)は、f=0.3(1665Hz)について示す図である。図13(d)は、f=0.45(2498Hz)について示す図である。これも振幅0.5以上の部分を表示してある。高い周波数では、図12に示すインパルス列応答の成長に対応する形で狭いビーム、すなわち、超指向性のビームが形成されており、周波数が低くなるにつれてビーム幅は広くなる。
図14は、w−2−sに対して求めた正弦波音圧分布を示す図である。図14(a)は、f=0.1(555Hz)について示す図である。図14(b)は、f=0.2(1110Hz)について示す図である。w−2−sに対して求めた図14に示す正弦波音圧分布と比べると、中・高周波数ではほとんど差はないが、低い周波数ではw−2−90の方がビーム幅は狭い。
次に、各位相設定の違いによる超指向性ビームの良否を焦点形成の度合いと結びつけて評価する。そこで、インパルス列応答の結果を用いて定量評価を行う。対象とする応答として、図12に示されたインパルス列応答中の第1番目,第3番目および第9番目(距離はそれぞれ2m,5m,14m)に注目して、それぞれについてピーク値(H2,H5,H14)とy軸方向に測った振幅0.5の場所の幅(W2,W5,W14)および焦点の先鋭度H5/W5を求める。実際には、比較のため図3の設定によるもの(これをw−0とする)と位相設定なしの場合(これをphase−0とする)も含めて計6タイプについてピーク値、幅、焦点先鋭度を求めた。
表1および表2にそれらを示す。表1および表2から分かるように、ピーク値H5についてはw−2−sとw−2−90とが特に大きく、幅W5についてはw−1−90とw−2−90とが特に小さくなっている。結果の焦点先鋭度H5/W5については、焦点形成をしないよりする方が高く、また、位相設定の範囲も通常の設定より広げてできるだけ振幅設定に合わせて広い範囲で設定する方が高くでき、w−2−90が最大となった。
Figure 0005030174
Figure 0005030174
図15は、アレー正面方向の超指向性ビームを基に焦点位置変更法を用いてビーム中心をφ=60°に傾けた超指向性ビームのインパルス列応答の空間分布を示す図である。図15(a)は、w−1−90について示したものであり、図15(b)は、w−2−90について示したものである。正面方向のビームと比べていずれも2倍以上のビーム幅に劣化するが、この中ではw−2−90が最も幅の狭いビームとして形成されている。
超指向性ビームの広帯域設計を試みる。そのために、前述の2次元ファンフィルタの振幅特性に代えて、阻止領域リプル近似の1次元フィルタを2次元周波数平面の非物理領域5においてのみ大きなリプル振幅となるように設計して空間周波数方向の断面に敷き詰めて合成した振幅特性を用いる。図16は、広帯域超指向性ビーム形成のための断面振幅および位相の設定法を示す図である。集束ビームに形成するために、位相設定域は図5(b)のw−2−90とほぼ同一のものとするが、実際には図16に示すように振幅0のラインAで囲まれたメインローブ域とする。
超指向性ビームの設計において示した仕様に、非物理領域振幅を加えて超指向性ビームの設計を行った。図17は、2次元デジタルフィルタ4の振幅特性を示す図である。図18は、超指向性ビームの指向特性を示す図である。図19は、振幅と位相の周波数特性を示す図である。図19(a)は、振幅を示し、図19(b)は、位相を示す。非物理領域5を利用した本実施例では、帯域下端周波数f=0.214(1188Hz)であり、このことから、図19(a)と図9(a)の振幅特性を比べて分かるように、同一指向性を与える帯域は本設計法の方がより低域に広くなっている。また、図18および図19(a)によって、ほぼ一定のサイドローブ量を与えていることも分かる。さらに、位相特性についても本実施例の方がより低域から方向φによる位相の変化が大きく現れている。
そこで、本実施例についてもインパルス列応答の空間分布を求め、それより算出した焦点先鋭度H5/W5は0.926であった。したがって、広帯域化と位相の広域設定の効果がこの数値に反映されている。
位相の設定方法として、このほかにφ=90°までの物理領域全域に広げて設定する場合も設計した。結果の振幅特性はサイドローブが幾らか低下したが、メインローブがわずかに広がり、位相特性も中・高周波数で位相の変化が幾らか減少した。その結果、インパルス列応答から求めた焦点先鋭度は0.845と低下したものとなった。
本実施例では、集束形ビーム形成の方法を用いて、より特性の向上した超指向性ビームを形成する方法を提案した。焦点形成の効果を高めるために低域での位相設定範囲の拡大を検討し、振幅が設定される2次元周波数領域のすべて、すなわち、スペクトルの分布する物理領域6だけでなく非物理領域5にも位相設定するとよい結果を与えることが分かり、広帯域設計への適用例も示した。
実際にアレースピーカシステムを使って超指向性音響ビームの形成を確認した。提案法による超指向性ビームは、図1からも分かるように、スピーカアレー軸(y軸)に関して回転対称性を有するので、超音波の方法のようなスポット照射ではなく帯状領域への照射となる。また、ビーム方向の電子的可変も容易という特長もある。図20は、超指向性音響ビームの横断歩道への適用例を示す図である。横断歩道の斜め上方に設けたスピーカアレー2によって、横断歩道の幅を持った超指向性ビームが横断歩道の全体に照射される。横断歩道を渡ろうとし、または横断している歩行者には必要な情報のアナウンスが聴こえる。図21は、超指向性音響ビームの危険回避するためのアナウンスへの適用例を示す図である。後進する自動車の後方を横切ろうとする歩行者に注意を促すために超指向性ビームが照射される。
図22は指向性アレーマイクロフォン8において2次元デジタルフィルタ4の構成を示すブロック図である。本実施の形態において、指向性アレースピーカ1について説明してきたが、他の実施の形態である指向性アレーマイクロフォン8について説明する。指向性アレーマイクロフォン8を構成するマイクロフォンアレー7からの出力は、2次元デジタルフィルタ4に入力される。2次元デジタルフィルタ4は、時間およびマイクロフォンの位置について2次元フーリエ変換した音響信号のスペクトルを、時間周波数軸と空間周波数軸とから成る2次元周波数平面上で表したとき、低域での振幅特性を非物理領域5に拡大するので、狭く細長い高い指向性を有するビームを得ることができる。2次元デジタルフィルタ4から出力された信号は、スピーカから出力することができ、あるいは音声記録媒体に記録させることができる。
指向性アレースピーカ1の焦点形成を示す図である。 2次元周波数平面における2次元音響信号のスペクトルとファンフィルタ特性との関係を説明するためのグラフである。 φ=0°の場合の振幅および位相の設定領域を示す図である。 位相設定域の拡大(1)を示す図である。 位相設定域の拡大(2)を示す図である。 設計結果の周波数特性(w−1−s)を示す図である。 設計結果の周波数特性(w−1−90)を示す図である。 設計結果の周波数特性(w−2−s)を示す図である。 設計結果の周波数特性(w−2−90)を示す図である。 2次元デジタルフィルタ4の振幅および位相特性(w−2−90)を示す図である。 w−2−90の指向特性を示す図である。 インパルス列応答の空間分布を示す図である。 w−2−90に対して求めた正弦波音圧分布を示す図である。 w−2−sに対して求めた正弦波音圧分布を示す図である。 φ=60°に傾けた超指向性ビームのインパルス列応答の空間分布を示す図である。 広帯域超指向性ビーム形成のための断面振幅および位相の設定法を示す図である。 2次元デジタルフィルタ4の振幅特性を示す図である。 超指向性ビームの指向特性を示す図である。 振幅と位相の周波数特性を示す図である。 超指向性音響ビームの横断歩道への適用例を示す図である。
超指向性音響ビームの危険回避するためのアナウンスへの適用例を示す図である。 指向性アレーマイクロフォン8において2次元デジタルフィルタ4の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 指向性アレースピーカ
2 スピーカアレー
3 1次元デジタルフィルタ
4 2次元デジタルフィルタ
5 非物理領域
6 物理領域
7 マイクロフォンアレー
8 指向性アレーマイクロフォン

Claims (2)

  1. 音源から入力したデジタル音響信号を、2次元デジタルフィルタによって指向特性を制御し、直線の方向に沿って配列された複数のスピーカから成るスピーカアレーによって再生するデジタル音響信号処理装置であって、
    前記2次元デジタルフィルタは、時間およびスピーカの位置について2次元フーリエ変換した音響信号のスペクトルを、時間周波数軸と空間周波数軸とから成る2次元周波数平面上で表したとき、低域での振幅特性を非物理領域に拡大し、空間周波数軸に平行な断面が物理領域から非物理領域にわたる単峰形の通過域として設定されることを特徴とするデジタル音響信号処理装置。
  2. 直線の方向に沿って配列された複数のマイクロフォンから成るマイクロフォンアレーから出力された信号を、2次元デジタルフィルタによって指向特性を制御するデジタル音響信号処理装置であって、
    前記2次元デジタルフィルタは、時間およびマイクロフォンの位置について2次元フーリエ変換した音響信号のスペクトルを、時間周波数軸と空間周波数軸とから成る2次元周波数平面上で表したとき、低域での振幅特性を非物理領域に拡大し、空間周波数軸に平行な断面が物理領域から非物理領域にわたる単峰形の通過域として設定されることを特徴とするデジタル音響信号処理装置。
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