JP5027423B2 - ステッピングモータの負荷推定方法および負荷推定装置 - Google Patents
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しかし、これらは手間がかかり、あるいは機構設計上不可能な場合も多いことから、つぎのような提案がなされている。
さらに計算による後者の方法では機構が複雑になるほど推定が不正確になる。
すなわち、ステッピングモータの駆動においては起動からいきなり運転速度を指令せず、時間をかけて直線状に加速して運転速度に到達、運転速度から時間をかけて直線状に減速し停止する速度プロファイルを形成する。時間をかけて変速することで加速度、すなわち加減速時の必要トルクを抑え、モータの同期が失われるのを防ぐ必要がある。
また運転電流の低減は消費電力、発熱、騒音の低減において効果的であるが、一方で負荷を駆動できるだけの電流値を与える必要がある。
しかしながら、特許文献1によって提供される情報では負荷を慣性、摩擦、重力などのパラメータに分解できず、特定の運転プロファイルに対する負荷パターンしか分からない。そのため運転プロファイルが毎回異なるような用途においては運転プロファイルごとに負荷を駆動して負荷パターンをあらかじめ調査、記憶する必要があり、実現が困難である。
また、本発明は、ステッピングモータのモータシャフトに取り付けられた負荷を推定する装置において、前記ステッピングモータに位置検出器を取付け、前記ステッピングモータを駆動するモータ駆動回路に、リアルタイムに変化する指令位置情報を出力する運転パターン生成装置を設け、該運転パターン生成装置から出力される指令位置情報と、前記位置検出器から出力されるモータ位置情報とが入力される負荷推定装置を設け、この負荷推定装置に、前記運転パターン生成装置に設けられた加速、一定速、減速、停止などの運転状態情報と、前記指令位置情報と、モータ位置情報を入力し、運転状態情報と、前記指令位置情報と、モータ位置情報から負荷情報を算出する手段を設け、前記負荷情報は、平均位置偏差を計算する際に読み取る指令位置情報Iとモータ位置情報Pの差分から平均位置偏差情報を運転状態別に取得することにある。
請求項2の発明によれば、複雑な機構で負荷計算が困難な場合でも本発明による装置を機械に組付けた状態で慣性、摩擦、重力などの負荷パラメータを取得でき、事前に運転プロファイルや電流設定を取得した慣性、摩擦、重力などの負荷パラメータに応じて最適値に計算し、モータの制御自体はシンプルな開ループで行うので、モータ駆動制御システムは安価である。
図1はステッピングモータの負荷推定方法のシステムを示したものである。
図1において、10はアクチュエータ等の負荷11を駆動操作するステッピングモータで、このステッピングモータ10のモータシャフトには、モータの回転位置を検出する位置検出器12が取付けられている。13はステッピングモータ10のステータの各相巻線に励磁電流を供給してステッピングモータ10のロータをステップ駆動するモータ駆動回路である。このモータ駆動回路13は、運転パターン生成装置14に接続され、運転パターン生成装置14から出力されるリアルタイムに変化する指令位置情報Iに基づきモータ巻線電流をステッピングモータ10のステータの各相巻線に供給するものである。
モータ駆動回路13は生成された運転パターンに従ってモータ10を駆動するように電流を出力する。
負荷推定装置15は運転パターン生成装置14からモータ駆動回路13へ伝達されるリアルタイムに変化する指令位置情報Iを読み取る。位置情報の伝達形態はパルス信号や、シリアル通信データ、パラレル通信データなどいろいろあるが、本発明はこれらの伝達形態を問わず実施可能である。
また、指令位置情報Iとともに位置検出器12からのモータ位置情報Pを読み取る。モータ位置情報Pも前述の指令位置情報I同様、伝達形態は問わない。
運転パターン生成装置14は負荷推定装置15へ加速、一定速、減速、停止などの運転状態情報Oを伝達する。
これは負荷推定装置15が平均位置偏差を計算する際に読み取る指令位置情報Iとモータ位置情報Pの差分から平均位置偏差情報を運転状態別に取得する必要があるためである。
図2における運転2、5において、ロータ位置を位置検出器12から読み出し、指令位置とロータ位置の差(以下、位置偏差)をリアルタイムに計測する。加速、一定速、減速など必要トルクの異なる各状態についてそれぞれ位置偏差の平均を計算する。
また、静止摩擦負荷の計測として運転2、5の起動時ピーク位置偏差を個別に記録する。
・運転2、5:慣性負荷、摩擦負荷、重力負荷、静止摩擦負荷計算用位置偏差の計測を する。
・運転1、4:静止摩擦負荷による反転時残留位置偏差(デッドバンド)除去をする。
・ 運転3、6:運転1、4による機械的計測位置のずれを補正する。
各状態について求めた推定負荷トルクから慣性、摩擦、重力、静止摩擦負荷を計算する。この運転パターン生成装置14からは、パルス信号、シリアル通信データ、パラレル通信データ等のリアルタイムに変化する指令位置情報Iと、加速、一定速、減速、停止などの運転状態情報Oとの信号が出力されるものである。
図4において、領域Aは加速運転領域である。以下、Bは定速運転領域、Cは減速運転領域、Dは停止領域、Eは(反対方向の)加速運転領域、Fは(反対方向の)定速運転領域、Gは(反対方向の)減速運転領域、Hは停止領域である。
また、A'とE'は、起動の瞬間の位置偏差である。
まず、重力負荷であるが、この負荷はアクチュエータの重力によって発生する負荷である。
たとえば、ワークを上下に移動させる際に発生する負荷のことである。
この負荷は、モータの運転状態に係わらず常に一定の値がかかる。よって、重力負荷を計算するためには、上記AからHまでの全ての運転領域の位置偏差の平均をとれば良いことになる。
最後に静止摩擦負荷であるが、この負荷の位置偏差は、アクチュエータが起動する瞬間のみ発生する。それがA'とE'である。よって静止摩擦負荷を計算するには、A'とE'の平均を取れば良い。
計測された位置偏差が小さい場合には電流指令を減少する、あるいは運転速度を増加することで要求トルクを増加、位置偏差を増大させ、十分な位置偏差が得られるようにすることで推定精度を向上する。
上下駆動する搬送物重量を変化させ、推定値の変化と計算による理論負荷を比較した。
点線は計算による理論負荷、実線は負荷推定による推定値である。搬送物重量を変えるとそれに伴い慣性負荷、重力負荷が理論値、推定値ともに変化していることがわかる。
また、摩擦負荷や静止摩擦負荷は変化しないはずであるが、実際の推定値もさほど影響されていないことが分かる。
回転体慣性を変化させ、推定値の変化と計算による理論負荷を比較した。
点線は計算による理論負荷、実線は負荷推定による推定値である。回転体慣性を変えるとそれに伴い慣性負荷が理論値、推定値ともに変化していることがわかる。
また、重力負荷、摩擦負荷や静止摩擦負荷は変化しないはずであるが、実際の推定値もさほど影響されていないことが分かる。
本発明の手法で慣性、摩擦、重力などの負荷パラメータが分かれば加速に必要なトルク、一定速運転に必要なトルク、減速に必要なトルク等を実際の運転速度プロファイルによる運転を行うことなく計算出来るため、運転直前に最短加速などの効率的な運転速度プロファイル、消費電流低減、振動低減を目的とした最適な電流を計算、設定することが可能になり、運転プロファイルごとの負荷パターン調査、記憶は不要となる。
また、本発明は事前に運転プロファイルや電流設定を取得した慣性、摩擦、重力などの負荷パラメータに応じて最適値に計算しモータの制御自体はシンプルな開ループで行うことを目的としている。そのため、モータ駆動制御システムは安価である。
所定の運転パターンでモータを駆動して、停止時、起動時、加速時、定速時、減速時のそれぞれの運転時の位置偏差を測定し、この位置偏差から、ステッピングモータシャフトに取り付けられた慣性、摩擦、重力などの負荷パラメータを推定するので、負荷計算が複雑な機構でも負荷情報取得が可能であるとともに、取得した負荷情報をベースに消費電流低減、振動低減を目的とした最適な電流値の計算が可能になる。また、負荷情報をベースに最短加速など、より効率的な運転プロファイル計算が可能になる。
11 負荷
12 位置検出器
13 モータ駆動回路
14 運転パターン生成装置
15 負荷推定装置
I リアルタイムに変化する指令位置情報
O 運転状態情報
P リアルタイムに変化するモータ位置情報
Claims (2)
- ステッピングモータのモータシャフトに取り付けられた負荷を推定する方法において、前記ステッピングモータに位置検出器を取付け、ロータ位置を位置検出器から読み出し、指令位置とロータ位置との差をリアルタイムに計測し、加速、一定速、減速、停止など必要トルクの異なる運転状態について位置偏差を求め、この位置偏差をステッピングモータのモータトルクと位置偏差特性(静的Θ−T特性)に当てはめて推定負荷トルクを求め、この推定負荷トルクから慣性、摩擦、重力、静止摩擦負荷を算出することを特徴とするステッピングモータの負荷推定方法。
- ステッピングモータのモータシャフトに取り付けられた負荷を推定する装置において、前記ステッピングモータに位置検出器を取付け、前記ステッピングモータを駆動するモータ駆動回路に、リアルタイムに変化する指令位置情報を出力する運転パターン生成装置を設け、該運転パターン生成装置から出力される指令位置情報と、前記位置検出器から出力されるモータ位置情報とが入力される負荷推定装置を設け、この負荷推定装置に、前記運転パターン生成装置に設けられた加速、一定速、減速、停止などの運転状態情報と、前記指令位置情報と、モータ位置情報を入力し、運転状態情報と、前記指令位置情報と、モータ位置情報から負荷情報を算出する手段を設け、前記負荷情報は、平均位置偏差を計算する際に読み取る指令位置情報Iとモータ位置情報Pの差分から平均位置偏差情報を運転状態別に取得することを特徴とするステッピングモータの負荷推定装置。
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