JP5021202B2 - 建設車両用タイヤ - Google Patents
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Description
しかし、上記手段を用いて耐摩耗性を向上させた場合には、とりわけタイヤ負荷転動時におけるトレッド部の発熱が高くなる可能性があり、この発熱性の悪化は、トレッド部のヒートセパレーション等の故障を引き起こす原因となることがあった。
したがって耐摩耗性を維持しながら低発熱性の優れたトレッドゴムが必要とされるが、発熱と耐摩耗性は背反しており、高度にユーザーに応えるにはおのずから限界がある。
特に、ラグ溝の終端位置をそれぞれ実質上タイヤ周方向に結ぶことによって形成される2本タイヤ円周間の陸部は、放熱面積が少ないため発熱温度が高くなる傾向にある。
そのためトレッドボリュームの低下を最小限に抑え放熱面積を増やすべく20mm以下の幅の細溝を該陸部に配する技術が近年開発されたが(特願2005−229130)、さらに、特に建設車両の大型化に伴うタイヤサイズの大型化、扁平化及び重荷重化が進んできたことにより、トレッド部の発熱の悪化はますます顕著になる傾向にあり、トレッドセンター部の発熱は依然として問題である。
さらに、ゴム組成物の低発熱性と耐摩耗性とを両立させる充填剤として、含水ケイ酸(湿式シリカ)が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。このような低発熱性を追求しても、耐摩耗性を十分に維持させながらゴムの発熱、即ちタイヤの発熱を下げることには限界があり、達成することが容易にできない。
ゴムの熱伝導性を向上させるには金属粉の充填は効を奏するものの、金属粉は非補強性であるがゆえに、TEAR性、耐摩耗性の大幅な低下が見られ、タイヤ等の用途には不向きと言わざる得ない。
上記金属粉のようにゴム組成物の熱伝導性を高める材料として、特定の構造をした炭素繊維を配合することが試みられている(例えば、特許文献4および5参照)。
炭素繊維の場合は、上記目標をある程度達成することはできるが、近年の建設車両用タイヤの問題点を解決するためには炭素繊維の配合のみでは未だ充分とはいえない。
すなわち、本発明は、
(1) トレッド部幅方向両端のショルダー領域に複数本のラグ溝が配置され、タイヤ幅方向に沿っていて少なくとも一端がトレッド内に終端する複数本の幅方向細溝がタイヤセンター部に配置されたタイヤにおいて、タイヤ赤道を中心とするトレッド幅の25%領域に少なくとも1本のタイヤ周方向に延びる溝を設け、該タイヤ周方向に延びる溝が赤道上にタイヤ周方向に延びる浅溝であり、該浅溝の深さが、該ラグ溝深さの10〜25%であり、タイヤ赤道を中心とするトレッド幅の25%の領域で、前記赤道上浅溝を除いた領域におけるネガティブ率が2〜8%であり、かつトレッドゴムが炭素繊維を含有するゴム組成物から構成されていることを特徴とする建設車両用タイヤ、
(2) 前記赤道上にタイヤ周方向に延びる浅溝の幅が、30〜50mmである上記(1)の建設車両用タイヤ、
(3) 前記タイヤ周方向に延びる溝であって、前記ラグ溝の終端位置をタイヤ周方向に結んだ2本の直線に沿ってそれぞれタイヤ周方向に延びる非赤道上細溝が、さらに配置されている上記(1)又は(2)の建設車両用タイヤ、
(4) 前記タイヤ周方向に延びる非赤道上細溝の溝幅が、4〜20mmである上記(3)の建設車両用タイヤ、
(5) 前記タイヤ周方向に延びる非赤道上細溝の溝深さが、前記ラグ溝深さの10〜25%である上記(3)又は(4)の建設車両用タイヤ、
(6) 前記トレッド部が、キャップゴム層とベースゴム層を備えた2層構造からなり、前記キャップゴム層及び/又はベースゴム層が、炭素繊維を含有するゴム組成物から構成されている上記(1)〜(5)のいずれかの建設車両用タイヤ。
(7) 前記トレッド部が表層、キャップ層及びベース層の3層構造からなり、表層の厚さが4mm以下でありかつ、該表層ゴムが炭素繊維を含有するゴム組成物から構成されている上記(1)〜(6)のいずれかの建設車両用タイヤ、
(8) タイヤ赤道を中心とするトレッド幅25%の領域の少なくとも1層のトレッドゴムが、炭素繊維を含有するゴム組成物から構成されている上記(1)〜(7)のいずれかの建設車両用タイヤ、
(9) 炭素繊維の含有量が、ゴム成分100質量部当り、2〜50質量部である上記(1)〜(8)のいずれかの建設車両用タイヤ、
(10) 炭素繊維が、平均径0.5〜500nm、かつ平均長0.5〜50μmである上記(1)〜(9)のいずれかの建設車両用タイヤ、
(11) 炭素繊維のアスペクト比が、10以上である上記(1)〜(10)のいずれかの建設車両用タイヤ、
(12) 炭素繊維が、気相成長炭素繊維である上記(1)〜(11)のいずれかの建設車両用タイヤ、
(13) 前記ゴム組成物が炭素繊維以外の補強性充填剤を含有し、該補強性充填剤が、カーボンブラック及び無機充填剤から選ばれた少なくとも1種である上記(1)〜(12)のいずれかの建設車両用タイヤ、及び
(14) 無機充填剤がシリカである上記(13)の建設車両用タイヤ、
を提供するものである。
トレッド内とは、トレッド端よりもタイヤ幅方向内側のことである。ここで、トレッド端とは、空気入りタイヤをJATMA YEAR BOOK(2002年度版、日本自動車タイヤ協会規格)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用ザイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%を内圧として充填し、最大負荷能力を負荷したときのタイヤ幅方向最外の設置部分を示す。なお、使用地又は製造地においてTRA規格,ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
このように、少なくともタイヤ赤道上でタイヤ周方向に延びる赤道上浅溝が配置されており、これにより、タイヤセンター部に作用する圧縮応力を緩和させることができ、かつ放熱面積を増大させることができる。さらに、炭素繊維によるトレッド部からの放熱効果も加わり、タイヤ負荷時におけるトレッド部の温度上昇を効果的に抑制して、ヒートセパレーション等のタイヤ故障の発生を抑えた建設車両用タイヤとすることができる。この効果は、深さ70mm以上の主溝が形成されている場合であっても顕著に認められる。
前記赤道上浅溝の溝幅は30〜50mmであることが好ましい。赤道上浅溝の溝幅が30mm未満であると、タイヤ負荷転動時にタイヤセンター部に作用する圧縮応力を緩和する効果が十分に発揮できなくなる傾向があるからである。また、赤道上の浅溝の幅を50mm以上に大きくすると、タイヤセンター部接地領域が減少しすぎてトレッド側法域での接地圧増加を招き易く、ベルト端故障を生じやすくなる傾向があるからである。
また、前記赤道上浅溝の深さは前記ラグ溝の深さの10〜25%であることが好ましい。赤道上浅溝の溝深さがラグ溝の深さの10%よりも浅いと放熱効果が十分に得られず、また、25%より大きいと、トレッドボリュームの減少により耐摩耗性を悪化させる可能性があるからである。
前記非赤道上細溝の溝深さは前記ラグ溝深さの10〜25%であることがこのましく、また、前記非赤道上細溝の溝幅が4〜20mmであることが好ましい。
例えば、トレッド部が単層構造の場合はトレッドゴム層全体に、キャップ・ベース構造の場合はキャップゴム層及び/又はベースゴム層に適用することができる。
また、発熱が顕著であるタイヤ新品時からタイヤ使用初期にかけてタイヤセンター部の発熱を抑制するために、表層に炭素繊維を含有した高熱伝導性のゴム組成物を適用することによって、タイヤ走行初期のトレッドの発熱を抑えることができる。
表層の厚さは4mm以上が好ましい。表層の厚さの上限についてはタイヤサイズ及びタイヤの使用条件によって適宜決定されるため特に制限はないが、通常20mm程度である。
さらに、トレッド部の最も発熱し易い場所に炭素繊維を含有した高熱伝導性のゴム組成物適用し、トレッドの発熱を抑制することも可能である。例えば、タイヤ赤道を中心とするトレッド幅25%の領域に適用することが好ましい。
前記炭素繊維が上記範囲ゴム組成物に配合されていると、そのゴム組成物は熱伝導性が十分に高められ、また耐摩耗性が向上する。
前記炭素繊維の断面積の平均径が0.5nm以下であれば、炭素繊維を前記ゴム成分と共に混練することにより、その加硫ゴムの耐摩耗性を向上させると共に、金属粉とほぼ同等、或いはそれ以上の熱伝導性を保持してゴム温度を速やかに下げる。
また、前記炭素繊維平均径が、0.5nm〜500nmの場合、特に1nm〜400nmの範囲に収まる場合には、混練りの際にゴム成分中への分散も適度に達成でき、加硫ゴムの熱伝導性を十分高めると共に、耐摩耗性が低下することもない。
従って、本発明にあっては、ナノファイバー或いはナノチューブからなる炭素繊維であることが望ましい。
配合する炭素繊維の長さが0.5μm〜50μm、特に1μm〜40μmであれば、混練り時の炭素繊維のゴム成分中への分散性も良く、またアスペクト比も10以上とすることができるので、ゴム組成物に十分な耐摩耗性と熱伝導性とを付与することができる。
本発明においては、前記補強性及び/又は機能性充填剤として前記炭素繊維と共に、カーボンブラックのみを用いても良く、またシリカのみを用いても良く、また無機充填剤のみを用いても良く、或いは、カーボンブラックと、シリカと、無機充填剤とを併用してもよい。
具体的な無機充填剤としては、アルミナ一水和物(Al2O3・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al2O3)、クレー(Al2O3・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(A12SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸かレシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al2O3・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、各種ゼオライト、長石、マイカ、モンモリロナイト等が例示でき、Mがアルミニウムであることが好ましく、アルミナ類、クレー類であることが特に好ましい。
アルミナ類とは前記一般式(1)で表される物のうち、一般式(2)Al2O3・nH2O(但し、nは0乃至3の自然数)で表わされるものである。
クレー類では、クレー(Al2O3・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、モンモリロナイト等が挙げられる。
前記範囲内でカーボンブラック及び/又はシリカを前記ゴム成分と配合した場合、該ゴム組成物に耐摩耗性、及び発熱性に優れる。
前記範囲内で無機充填剤を配合した場合、該ゴム組成物を適用したタイヤにおいて、耐摩耗性、低発熱性が得られ、ゴム組成物に要求される他の物性を良好に維持することができる。
例えば、硫黄、不溶性硫黄等の加硫剤、ジフェニルグアニジンに代表されるグアニジン系、テトラメチルチウラムジスルフィドに代表されるチウラム系、ジチオカルバミン酸亜鉛に代表されるジチオカルバミン酸塩系、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドに代表されるスルファンアミド系、及び無水フタル酸等に代表されるスコーチリターダ等の加硫促進剤類、酸化亜鉛(亜鉛華)等に代表される加硫促進助剤、老化防止剤、及び軟化剤を配合することができる。
[第一実施形態]
先ず、第一実施形態について説明する。図1、図2に示すように本実施形態にかかわる建設車両用タイヤ10は両端がそれぞれビードコア11で折り返されたカーカス12を備えているカーカス12は一層又は複数層で構成される。
カーカス12のクラウン部12Cのタイヤ径方向外側には、複数枚のベルトプライが重ねられたベルト層14が埋設されている。ベルト層14の径方向外側には、溝を配設したトレッド部18が形成されている。トレッドゴムを形成するゴムとしては炭素繊維を含有した熱伝導性の優れたゴムが用いられている。
なお、トレッド部のゴム層については、図1に示す単層構造の他、2層構造(キャップ・ベース構造)、3層構造等が適用され(いずれも図示せず)、本発明に係る炭素繊維を含有したゴム組成物のトレッド部での配置については、後で詳述する。
また、タイヤセンター部Cには、タイヤ幅方向に略沿っている複数本の幅方向細溝24が配置されている。そして、この幅方向溝24は、タイヤ幅方向内内側端がトレッド内に終端するとともにタイヤ幅方向外側端がラグ溝22の先端に接続するように形成されている。各ラグ溝22の幅方向外側端は、トレッド端Tを越えてタイヤ幅方向外側へ排水可能なように延びている。
以上説明したように、建設車両用タイヤ10には、このように、タイヤ赤道上でタイヤ周方向に延びる赤道上浅溝26が配置されており、これにより、タイヤセンター部Cに作用する圧縮応力を緩和させることができ、かつ放熱面積を増大させることができる。従って、タイヤ負荷時におけるトレッド部18の温度上昇を、優れた熱伝導率を有するトレッドゴムとの併用によって、効果的に抑制してヒートセパレーション等のタイヤ故障を抑えた建設車両用タイヤ10とすることができる。
また、幅方向細溝24の幅が4〜20mmとされており、幅方向細溝24の溝深さがラグ溝22の溝深さの50〜95%とされている。これにより放熱性を高める効果が充分に発揮されるとともに、タイヤセンター部Cのブロック剛性がひくくなりすぎることが回避されている。
さらに、また、赤道上浅溝26の溝深さがラグ溝22の溝深さの10〜25%と去れている。これにより放熱効果が充分に得られると共に、トレッドボリュームの減少により耐摩耗性が悪化することが充分に回避されている。
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態に係る建設車両用タイヤでは、第1実施形態に比べ、幅方向細溝24に代えて、第3図に示すような幅方向細溝34がトレッド部28に形成されている。
幅方向細溝は、タイヤセンター部Cにタイヤ幅方向に略沿って配置されている。そして、この幅方向細溝は、赤道上浅溝をまたいでいて、両端部ともトレッド内に終端していて、ラグ溝22には接続していない。
これにより、仮に第1実施形態用に幅方向細溝とラグ溝とを接続した構造にすると、幅方向細溝とラグ溝とでトラクション力によって変形が異なって接続部位で応力集中により亀裂が生じるような大トラクション力を必要とするユーザーにとって大変有効な建設車両用タイヤとすることができる。
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態係る建設車両用タイヤでは、第1実施形態に比べ、図4に示すように、ラグ溝22の終端位置をタイヤ周方向に結んだ2本の直線に沿ってそれぞれのタイヤ集方向に延びる非赤上道細溝46が、さらに配置されている。非赤道上細溝46の溝深さはラグ溝22の溝深さの10〜25%されている。幅方向細溝34の両端は非赤道上細溝46につながっている。
本実施形態により、横滑り性を確保しかつ細溝により幅方向の剛性を落とさないことができる。
次に、第4実施形態について説明をする。本実施形態に係る建設車両用たいやでは、図5に示すように、第3実施形態と同様に非赤道上細溝46が配置されている。また、赤道上浅溝26も配置されている。
本実施形態では、ラグ溝52は、第3実施形態のラグ溝22に比べて形状が異なっており、非赤道上細溝に近づくほどラグ溝52の溝幅が細くなっている。ラグ溝52の終端は非赤道上細溝46につながっている。
また、第3実施形態で説明した幅方向細溝34に代えて幅方向細溝54がタイヤセンター部Cに形成されている。幅方向細溝54の両端は非赤道上細溝46につながっている。また、幅方向細溝54は、非赤道上細溝に近づくに従いタイヤ幅方向に対する傾斜角度が徐々に小さくなる曲線状の溝にされている。
さらに、タイヤ周方向に隣り合うラグ溝52の間には、タイヤ幅方向内側端が非赤道上細溝46につながる第二幅方向細溝46が形成されている。
本実施形態により、細溝によるブロック剛性の低下を最小限に抑え、耐横滑り及び耐トラクション方向滑りを確保することができる。
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態に係る建設氏車両用タイヤでは、第3実施形態に比べ、非赤道上細溝46に代えて、図6に示すようにタイヤ周方向に延びる非赤道上細溝66が形成されている。また、赤道上浅溝26も配置されている。
ラグ溝62には、第3実施形態のラグ溝22に比べて形状がことなっており、非赤道上細溝66の近くでは溝幅が細くなっている。そしてラグ溝62の終端は非赤道上細溝66につながっている。
また、第3実施形態で説明した幅方向細溝34に代えて幅方向細溝64がタイヤセンター部Cに形成されている。幅方向細溝64の両端は、ラグ溝62のタイヤ幅方向内側端よりもタイヤ赤道CL側に位置しており、このため、非赤道上細溝66はタイヤ周方向にジグザグ状に延びている。なお、タイヤ周方向にジグザグに延びるとは、タイヤ周方向に対して傾斜している溝部分が、傾斜方向に互い違いになるように折り返しながらタイヤ集方向に延びることをいう。
本実施形態により、ジグザグ状に延びる細溝によって表面積がより大きくなるので、高熱伝導性トレッドの放熱効果も合わせ、トレッド全体の温度低減が可能となる。このことは特に高速でタイヤを使用するユーザーに対して有効である。
次に、本発明の効果を確かめるために、第1実施形態の建設車両用タイヤ10の6例(以下実施例タイヤという)、及び、従来例の建設車両用タイヤの5例(以下比較例タイヤという)を作製し、性能評価を行なった。比較例タイヤの4例は、タイヤセンター部に周方向溝を形成していないことを除いて実施例のタイヤと同じ構成である。比較例タイヤの一例は、トレッド部に炭素繊維を含有するゴム組成物を含んでいないことを除いて実施例のタイヤと同じ構成である。なお、タイヤサイズはいずれも40.00R57である。
<ゴム組成物の評価>
1.熱伝導係数の測定
京都電子(株)製迅速熱伝導計QTM−500を用いて測定した。
ゴム組成物A1の値を100として指数表示した。数値が大きいほど、熱伝導性が良好である。
2.発熱性(反発弾性評価)
ブリティッシュ・スタンダード903:Part A8:1963に準じて行った反発弾性試験から、下記式により算出した。
反発弾性指数={供試試験片の反発弾性率/コントロール(ゴム組成物A1)の試験片の反発弾性率}×100(反発弾性指数が大きいほど、反発弾性或いは低発熱性の面で優れていること、すなわち発熱量が小さいことを示す。)
3.耐摩耗性(耐摩耗性ランボーン評価)
ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率25%の摩耗量を測定し、摩耗量の逆数を評価値とし、ゴム組成物A1の値を100として指数表示した。数値が大きいほど、良好である。
本試験例では、以下の2種類の試験を比較例のタイヤ、実施例のタイヤについて行なった。何れのタイヤについても、TRA正規リムに組み込み後、正規荷重、正規内圧にして試験を行なった。
ここで、「正規リム」とは、例えばJATMAが発行する2004年版のYEAR BOOKに定められた適用サイズにおける標準リムを示し、「正規荷重」及び「正規内圧」とは同じく2004年版のYEAR BOOKに定められた適用サイズ・プライレーティングにおける最大荷重及び該最大荷重に対する空気圧を示す。
使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が提供される場合は各々の規格に従う。
1.タイヤ温度の測定
各実施例、比較例のタイヤをTRA正規リムに組、正規荷重、正規内圧で24時間走行後、ブロック中央部のタイヤ周上6箇所にあらかじめ設けておいた細穴から熱電対を挿入し最外層上5mmの温度を測定し、6箇所の温度の平均値を算出した。比較例1のタイヤの温度を100として指数で示した。算出結果を第2表に示す。指数の大きいほうが低発熱であることを示す。
2.タイヤ摩耗試験
各実施例、比較例のタイヤをTRA正規リムに組、正規荷重、正規内圧にて190トンダンプの前輪に装着し速度10km/hのほぼ等速で1000時間走行した後、トレッドを幅方向に8分割した各位置での残溝測定を行い、走行に要したゲージの平均値を摩耗量として算出した。さらに、摩耗量を走行時間で割った値を耐摩耗値として算出した。そして性能評価を行なうに当り、比較例1のタイヤに置ける評価を指数100として指数で評価し、実施例のタイヤについては相対評価となる指数を算出した。算出した結果を第2表に示す。この指数(耐摩耗指数)の大きいほうが耐摩耗性が良いことを示す。
第1表示す配合内容に基づいて通常の方法にて炭素繊維を含有していないゴム組成物A1、A2、A3及びA4と炭素繊維を含有したゴム組成物B1、B2、B3およびB4を調製した。常法に基づいて加硫を行い製作された試料を用いて、熱伝導係数の測定、発熱性(反発弾性)の評価、ランボーン試験機による耐磨耗性の評価をおこなった。それぞれの測定結果を第1表に示す。
*1.SBR:スチレンブタジエンゴム、商品名「#1500」JSR社製
*2.カーボンブラック:N2SA 120(m2/g)、DBP 114(ml/100g) N220 旭カーボン社製
*3.カーボンブラック:N2SA 96(m2/g)、DBP 120(ml/100g) N339 東海カーボン社製
*4.シリカ:N2SA 230(m2/g) 商品名「ニップシールAQ]東ソー・シリカ社製
*5.炭素繊維:VGCF(商標)・H 昭和電工社製
*6.老化防止剤6C:N-(1,3ジメチル-ブチル)N’-フェニル-p-フェニレンジアミン
*7.加硫促進剤CZ:N−シクロヘキシル-2-ベンゾチアジル−スルフェンアミド
第2表に示す内容に基づいて、常法にて建設車両用タイヤを作成した。タイヤサイズはいずれも40.00R57である。
なお、第2表に記載されている、赤道上の浅溝の幅GW(mm)、赤道上の浅溝の深さd(mm)、ラグ溝の深さD(mm)及びセンター部に形成された幅方向細溝の幅SW(mm)は図2を参照。
トレッド部に用いるゴム組成物は、第1表に示される配合組成によって調製されたものであり、第2表の記載に基づいて各ゴム組成物をトレッド部に配置した。それぞれのタイヤについて、タイヤ温度の測定及びタイヤ摩耗試験を行った。評価結果を第2表に示す
1.赤道上にタイヤ周方向に延びる浅溝の効果について
比較例1は、比較例5に赤道上にタイヤ周方向に延びる浅溝がある以外比較例5は全て同じである。両者を比較すると浅溝のある比較例5のほうがタイヤの24時間走行後の温度が、指数で5ポイント改良されている。耐摩耗性については指数で101ポイントとほぼ同じである。
2.炭素繊維の効果について
実施例1は、トレッド部のキャップゴム層に10質量部の炭素繊維が配合されている以外は比較例5と同じであるが、実施例1のほうがタイヤの24時間走行後の温度が、指数で13ポイント改良されている。
赤道上にタイヤ周方向に延びる浅溝の配置されていない比較例1の従来タイヤと比較するとタイヤの24時間走行後の温度は、指数で18ポイント改良されている。耐摩耗性については両者間での差は認められない。
また、実施例3は、トレッド部のベースゴム層に20質量部の炭素繊維が配合されている以外は比較例5と同じであるが、タイヤの24時間走行後の温度が、指数で6ポイント改良されている。また、表層ゴム組成物及びタイヤ赤道を中心とした20%の範囲のみ、キャップゴム層に炭素繊維を配合したゴム組成物を配置した場合いずれも比較例5対比タイヤの24時間走行後の温度が、改良されており低発熱性であることがわかる。
以上、赤道上にタイヤ周方向に延びる浅溝を設け放熱面積を増すことによって、特にトレッドセンター部の発熱を抑え、耐摩耗性を維持改良したトレッド部にさらに、熱拡散性の優れる炭素繊維を含むトレッドゴム組成物を適用することによって、より効果的に放熱し発熱を抑制することにより、ヒートセパレーション故障を防止することができる。
22 ラグ溝
24 幅方向細溝
26 赤道上浅溝
28 トレッド部
34 幅方向細溝
46 非赤道上細溝
52 ラグ溝
54 幅方向細溝
62 ラグ溝
64 幅方向細溝
66 非赤道上細溝
C タイヤセンター部
CL タイヤ赤道
Claims (14)
- トレッド部幅方向両端のショルダー領域に複数本のラグ溝が配置され、タイヤ幅方向に沿っていて少なくとも一端がトレッド内に終端する複数本の幅方向細溝がタイヤセンター部に配置されたタイヤにおいて、タイヤ赤道を中心とするトレッド幅の25%領域に少なくとも1本のタイヤ周方向に延びる溝を設け、該タイヤ周方向に延びる溝が赤道上にタイヤ周方向に延びる浅溝であり、該浅溝の深さが、該ラグ溝深さの10〜25%であり、タイヤ赤道を中心とするトレッド幅の25%の領域で、前記赤道上浅溝を除いた領域におけるネガティブ率が2〜8%であり、かつトレッドゴムが炭素繊維を含有するゴム組成物から構成されていることを特徴とする建設車両用タイヤ。
- 前記赤道上にタイヤ周方向に延びる浅溝の幅が、30〜50mmである請求項1に記載の建設車両用タイヤ。
- 前記タイヤ周方向に延びる溝であって、前記ラグ溝の終端位置をタイヤ周方向に結んだ2本の直線に沿ってそれぞれタイヤ周方向に延びる非赤道上細溝が、さらに配置されている請求項1又は2に記載の建設車両用タイヤ。
- 前記タイヤ周方向に延びる非赤道上細溝の溝幅が、4〜20mmである請求項3に記載の建設車両用タイヤ。
- 前記タイヤ周方向に延びる非赤道上細溝の溝深さが、前記ラグ溝深さの10〜25%である請求項3又は4に記載の建設車両用タイヤ。
- 前記トレッド部が、キャップゴム層とベースゴム層を備えた2層構造からなり、前記キャップゴム層及び/又はベースゴム層が、炭素繊維を含有するゴム組成物から構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の建設車両用タイヤ。
- 前記トレッド部が表層、キャップ層及びベース層の3層構造からなり、表層の厚さが4mm以下でありかつ、該表層ゴムが炭素繊維を含有するゴム組成物から構成されている請求項1〜6のいずれかに記載の建設車両用タイヤ。
- タイヤ赤道を中心とするトレッド幅25%の領域の少なくとも1層のトレッドゴムが、炭素繊維を含有するゴム組成物から構成されている請求項1〜7のいずれかに記載の建設車両用タイヤ。
- 炭素繊維の含有量が、ゴム成分100質量部当り、2〜50質量部である請求項1〜8のいずれかに記載の建設車両用タイヤ。
- 炭素繊維が、平均径0.5〜500nm、かつ平均長0.5〜50μmである請求項1〜9のいずれかに記載の建設車両用タイヤ。
- 炭素繊維のアスペクト比が、10以上である請求項10記載の建設車両用タイヤ。
- 炭素繊維が、気相成長炭素繊維である請求項1〜11のいずれかに記載の建設車両用タイヤ。
- 前記ゴム組成物が炭素繊維以外の補強性充填剤を含有し、該補強性充填剤が、カーボンブラック及び無機充填剤から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜12のいずれかに記載の建設車両用タイヤ。
- 無機充填剤がシリカである請求項13に記載の建設車両用タイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005344420A JP5021202B2 (ja) | 2005-11-29 | 2005-11-29 | 建設車両用タイヤ |
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