JP5018267B2 - 高圧放電ランプ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、高圧放電ランプ装置に係わり、特に、水銀が0.2mg/mm以上封入され、点灯時の圧力が200気圧以上になる高圧放電ランプを用いた高圧放電ランプ装置に関する。
一般に、プロジェクター装置には、液晶パネルを使う方式とDLPを使う方式とがある。液晶パネルを使う方式は、1枚式と3枚式があるがいずれの方式であっても、光源からの放射光を3色(RGB)に分離して、液晶パネルにおいて画像情報に対応させた光を透過調整し、その後、液晶パネルを透過した3色を合成させてスクリーン上に投射させるものである。
一方、DLPを使う方式は、光源からの放射光を3色(RGB)の領域が分割形成された回転フィルターを介して空間変調素子(光変調デバイスともいい、具体的にはDMD素子等をいう)等を時分割で照射し、このDMD素子で特定の光を反射させてスクリーンに照射するものである。DMD素子とは、1画素ごとに小さな鏡を数百万個敷き詰めたものであって、1つ1つの小さな鏡の向きを制御することによって光の投射が制御されるものである。DLP方式は、液晶方式と比較して、光学系が簡易であるとともに3枚もの液晶パネルを使う必要がないことから装置全体が小型簡易化するメリットがある。
特許第2829339号
プロジェクター装置の光源には、一般に、高い水銀蒸気圧の高圧放電ランプを凹面反射鏡に取り付けたランプユニットが使用される。水銀蒸気圧を高くすることによって、可視波長域の光を高い出力で得られるからである。また、プロジェクター装置の光源は、上記のように高い光出力が求められる一方で、映像を映す環境や状況に応じてスクリーン照度を調整する調光機能が求められている。この要求に対して、ランプユニットからの放出光を減光手段を使って調光することも可能ではあるが、プロジェクター装置の小型化の要求も考慮すると、光源自体からの放射光強度を調整することによって調光する方法が最も現実的な意味において求められている。これは、例えば、明るい部屋や大きなスクリーンに対しては、高圧放電ランプヘの投入電力を上げて高圧放電ランプの放射強度を増大させ、比較的暗い部屋や小さなスクリーンに対しては高圧放電ランプヘの投入電力を下げて使用するというものである。
また、高圧放電ランプヘの投入電力を下げることによって、高圧放電ランプの寿命が長くなる効果もあるとともに、消費電力を節約できる効用もあるので、このような投入電力を下げる点灯はエコモードと呼ばれる。このエコモードを含めて電力を低減した状態で使用するモードのことを本願においては「小電力モード」と呼ぶことにする。
さらに、近年では、プロジェクター市場から高圧放電ランプの長寿命化の要求が一層高まっており、そのため、ランプ放電空間内の材料の高純度化が要請され、ランプ電極材料に、従来よりより一層高純度の5N(99.999%)タングステンを使用しなければならなくなってきている。しかし、タングステンは、使用温度の高温化や材料の高純度化に伴い、再結晶が進み、粒径が粗大化し易くなることが知られている。また同時に、結晶粒界に事前に有していた欠陥の連続性が高まり、この結晶粒界と強度は相反する関係にあるので、高純度材料は従来材料に比べて強度が弱いという問題がある。
一方、プロジェクター用の高圧放電ランプは、交流用の高圧放電ランプが主流となってきており、電極の温度が直流用の高圧放電ランプより高くなるという問題がある。交流用の高圧放電ランプの電極温度が高くなる理由は、1対の各電極は熱電子放出する陰極を兼ねる必要があるために、各電極を直流用の高圧放電ランプのように極端に大型化できないため、陽極としての動作時に耐えうる十分な熱容量を確保することができないからである。
さらに、光源のコンパクト化、光量の増大化に伴い、高圧放電ランプは大電力かつ高い動作圧力に耐えうる設計が求められ、電極頭部の熱容量の増加および封止部の電極芯棒径の縮小化が進められてきた。しかし、このことによって電極頭部と芯棒径の重量アンバランスが顕在化し、石英開口部における電極のモーメントが大きくなり、電極芯棒の石英ガラス内壁への同心円状の均等な接触が失われ、熱収縮時のタングステンと石英ガラス間のストレスが大きくなるという問題を生じている。また、プロジェクター市場では、教育用途等が増大しており、そのため光源の点滅の頻度の高い使用態様が増加し、点滅耐性の高い電極が必要となってきている。
このような交流用の高圧放電ランプを用いて、定格電力によってランプの点灯・消灯を繰り返すと、高圧放電ランプの電極軸部が折れ曲がり、その結果、放電アークの位置が凹面鏡の光軸からずれて、ランプユニットからの光出力が低下するという問題が発生じる。
図13は、電極軸部の折れ曲がりが生じた高圧放電ランプの一部正面図である。
ここで、電極軸部の折れ曲がりとは、同図に示すように、高圧放電ランプ100の内部に配置された1対の電極101、102が、放電空間内に露出する石英ガラスの開口部103、104付近において、電極頭部105、106の中心が、封止部107、108に埋設された電極芯棒109、110の長手方向の軸に対して離間するように折れ曲がった状態をいう。この電極軸部の折れ曲がり、つまり、電極芯棒107、108の長手方向の軸に対する電極頭部105、106の中心位置の離間距離は、例えば、電極頭部105、106の中心位置から石英ガラスの開口部103、104との距離が5mmの高圧放電ランプにおいて1.5mm以上にも達し、製品の寿命故障レベルに相当する重大なものである。
本発明の目的は、高圧放電ランプの電極軸部の折れ曲がりを解決し、ランプ寿命の長い高圧放電ランプ装置を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような手段を採用した。
第1の手段は、0.20mg/mm以上の水銀と10−6μmol/mm〜10−2μmol/mmの範囲のハロゲンが封入され、一対の電極が2.0mm以下の間隔で対向配置された高圧放電ランプと、この高圧放電ランプに対して交流電力を供給する給電装置とから構成される高圧放電ランプ装置において、前記高圧放電ランプの電極は、純度5N(99.999%)以上の高純度タングステンからなり、前記給電装置は、前記高圧放電ランプの消灯に際し、前記高圧放電ランプを、ランプ点灯電力が定格電力の55%以上90%以下であり、かつ、期間が1秒以上である小電力モードによって点灯した後に消灯することにより、電極軸部の折れ曲がりの発生を防止したことを特徴とする高圧放電ランプ装置である。
第2の手段は、0.20mg/mm 以上の水銀と10 −6 μmol/mm 〜10 −2 μmol/mm の範囲のハロゲンが封入され、一対の電極が2.0mm以下の間隔で対向配置された高圧放電ランプと、この高圧放電ランプに対して交流電力を供給する給電装置とから構成される高圧放電ランプ装置において、前記高圧放電ランプの電極は、純度5N(99.999%)以上の高純度タングステンからなり、前記給電装置は、前記高圧放電ランプの消灯に際し、前記高圧放電ランプを、ランプ点灯電力が1秒間当たり定格電力の55%以下の速度で減少し、かつ期間が1秒以上で定格電力の55%以上90%以下の範囲を経由する小電力モードによって点灯した後に消灯することにより、電極軸部の折れ曲がりの発生を防止したことを特徴とする高圧放電ランプ装置である。
本発明の高圧放電ランプ装置によれば、電極材料として純度5N(99.999%)以上の高純度タングステンを用いた高圧放電ランプにおいても、少なくとも消灯する直前の一定時間、小電力モードで点灯することにより、電極軸部の折れ曲がりの発生を防止することができる。
本発明者らは、鋭意検討した結果、高圧放電ランプにおいて、電極軸部の折れ曲がりは、高圧放電ランプの消灯時における急激な電極軸部の温度変化(温度低下)に原因があることを突き止めた。この電極軸部の急激な温度変化と折れ曲がりとの関連については後述するが、ここで電極軸部の折れ曲がりの究明に至った実験結果について説明する。
電極軸部が折れ曲がり現象の原因を突き止めるために、定格200Wの高圧放電ランプを次の4つ態様でそれぞれ10灯ずつ600時間点灯した後、電極軸部の折れ曲がりの有無を観察した。
図1から図4は、それぞれ実験に供した点灯態様Aから点灯態様Dを示す図である。
図1(点灯態様A)は、定格200Wで2時間点灯後に30分間消灯するサイクルを繰り返した点灯態様である。図2(点灯態様B)は、定格200Wで連続点灯した点灯態様である。図3(点灯態様C)は、ランプ点灯電力が160Wの小電力で2時間点灯後に30分間消灯のサイクルを繰り返した点灯態様である。図4(点灯態様D)は、定格200Wで2時間点灯後に30分間消灯のサイクルを繰り返し、消灯時に2秒間、ランプ点灯電力を160Wの小電力モードにて点灯後に消灯する点灯態様である。
ここで、図3(点灯態様C)の小電力(160W)点灯における最初の約1分間は、定格電力(200W)で点灯されるため、点灯初期の条件は他の図1(点灯態様A)、図2(点灯態様B)および図4(点灯態様D)と同じである。
上記の4つの点灯態様Aから点灯態様Dについて、電極軸部の折れ曲がりについて観察した。観察の結果、図1(点灯態様A)の定格点灯・消灯サイクルの点灯態様では電極軸部に折れ曲がりが見られた。また、図2(点灯態様B)の定格点灯・連続点灯の点灯態様では電極軸部に折れ曲がりは見られなかった。そこで、図1(点灯態様A)と図2(点灯態様B)とを対比すると、高圧放電ランプの点滅、すなわち、始動および消灯時における過程で問題が引き起こされているといえる。また、図3(点灯態様C)の小電力点灯・消灯サイクルの点灯態様では電極軸部の折れ曲がりは見られなかった。そこで、図1(点灯態様A)と図3(点灯態様C)とを対比すると、安定点灯時または消灯直前の電力が電極軸部の折れ曲がりの有無に影響を与えているといえる。また、図4(点灯態様D)の定格力点灯・消灯サイクルであって消灯直前の一定期間の小電力点灯後に消灯する点灯態様では電極軸部の折れ曲がりは見られなかった。そこで、図1(点灯態様A)と図3(点灯態様C)と図4(点灯態様D)を対比すると、消灯直前の入力電力および消灯時の挙動が電極軸部の折れ曲がりの有無に影響を与えているといえる。
より詳細には、図1(点灯態様A)の場合、10灯の内5灯の高圧放電ランプに電極軸部の折れ曲がりが発生したが、図2(点灯態様B)から図4(点灯態様D)の3つの点灯態様では、電極軸郭の折れ曲がりが全く見られなかった。これらの結果から、電極軸部の折れ曲がりは、消灯の過程において発生しており、また、消灯時の条件に依存することが判明した。なぜなら、図1(点灯態様A)と図2(点灯態様B)の比較では、同じ定格点灯であっても消灯過程の無い図2(点灯態様B)では電極軸部の折れ曲がりは発生せず、また図3(点灯態様C)と図4(点灯態様D)の比較から、電極軸部の折れ曲がりは、ランプ点灯電力には依らず、消灯直前の条件に依存することが分かるからである。さらに、上述したように図3(点灯態様C)も含め点灯初期の条件は4つの点灯態様とも同じであるから、始動過程における条件は電極軸部の折れ曲がりに関係していないことも分かる。
以上の実験結果から、少なくとも消灯直前の一定期間、小電力モードで点灯すれば電極軸部の折れ曲がりが発生しないことが分かる。
図5は、図4の点灯態様Dの条件を見極めるために行った実験の結果得られた電極軸部の折れ曲がりの発生率(%)を示す表である。なお、ここで電極軸部の折れ曲がりと判断したのは「電極頭部の中心位置から石英ガラスの開口部との距離が5mmの高圧放電ランプで実験し、その電極頭部の中心位置の、電極軸部の長手方向に対する離間距離が1.5mmを超えたもの」である。
同表において、左欄は消灯直前の小電力W1を定格電力W0に対する比率k(%)で示したものであり、上欄は消灯直前の小電力W1から消灯するまでのシフト期間T(秒)を示している。なお、この実験に使用した定格電力200Wの高圧放電ランプ数は10本、点灯30分・消灯30分の繰り返し回数は250回であり、これらはいずれも始動から安定時までの電力負荷は同じとした。
これらの実験結果から明らかなように、消灯直前の小電力が定格電力でシフト期間0秒で点灯・消灯を繰り返した場合の電極軸部の折れ曲がりの発生率は50%に達している。一方、消灯直前の小電力が定格電力の90%〜55%の範囲でシフト期間1秒以上で点灯・消灯を繰り返した場合の電極軸部の折れ曲がりの発生率は0%である。
図6は、図5に示した表を図形化したものである。
図5の表で得られた実験結果によれば、定格電力から定格電力の55%まで電力を瞬時に低くして1秒間保持した後、高圧放電ランプを消灯することによって電極軸部の折れ曲がりの発生率が0%の効果が得られたように、図6に示すように、55%以下/秒の速度でランプ点灯電力を減少させ、1秒以上経過後にランプ点灯電力を55%以上90%以下まで低くした後に消灯した場合も同等の効果が得られる。すなわち、ランプ点灯電力を、図6において定格電力90%〜55%および1秒以上で囲まれる範囲を経由する小電力モードにおいても、同様の効果が得られる。つまり、消灯に至るランプ点灯電力の変化は、この範囲を経由するのであれば、2段階の電力変化のみならず、3段階以上の電力変化であったり、連続的に電力変化するものであっても同様の効果が得られる。
図7は、本発明の高圧放電ランプ装置に使用される高圧放電ランプ1を示す図である。
同図に示すように、高圧放電ランプ1は、石英ガラスからなる放電容器によって形成された概略球形の発光部2を有する。発光部2の中には、1対の電極4が2mm以下の間隔で対向配置している。また、発光部2の両端部には封止部3が形成される。封止部3には、モリブデンよりなる導電用金属箔5が、例えば、シュリンクシールにより気密に埋設される。金属箔5の一端には電極4の軸部41が接合されており、また、金属箔5の他端には外部リード6が接合されて外部の不図示の給電装置から給電が行なわれる。
発光部2には、水銀と、希ガスと、ハロゲンガスが封入されている。水銀は、必要な可視光波長、例えば、波長360〜780nmの放射光を得るためのもので、0.2mg/mm以上封入されている。この封入量は、温度条件によっても異なるが、点灯時200気圧以上で極めて高い蒸気圧となる。また、水銀をより多く封入することにより点灯時の水銀蒸気圧250気圧以上、300気圧以上という高い水銀蒸気圧の高圧放電ランプを作ることができ、水銀蒸気圧が高くなるほどプロジェクター装置に適した光源を実現することができる。
希ガスは、例えば、アルゴンガスが約13kPa封入される。その機能は点灯始動性を改善することにある。ハロゲンは、沃素、臭素、塩素等が水銀またはその他の金属と化合物の形態で封入される。ハロゲンの封入量は、10−6μmol/mm〜10−2μmol/mmの範囲から選択される。ハロゲンの機能は、いわゆるハロゲンサイクルを利用した長寿命化にあるが、この実施例の高圧放電ランプ1のように極めて小型できわめて高い点灯蒸気圧のものは、放電容器の失透防止という作用もある。
本発明が適用される高圧放電ランプ1の数値例を示すと、例えば、発光部2の最大外径9.5mm、電極間距離1.0mm、発光管内容積75mmであり、定格電圧70V、定格電力200Wで交流点灯される。また、この種の高圧放電ランプ1は、小型化するプロジェクター装置に内蔵されるものであり、全体寸法として極めて小型化が要請させる一方で高い発光光量も要求される。このため、発光部2内の熱的影響は極めて厳しいものとなる。ランプの管壁負荷値は0.8〜2.0W/mm、具体的には1.5W/mmとなる。このような高い水銀蒸気圧や管壁負荷値を有する高圧放電ランプ1がプロジェクター装置やオーバーヘッドプロジェクターのようなプレゼンテーション用機器に搭載された場合に、演色性の良い光を発光させることができる。なお、ランプの管壁負荷値は0.8〜2.0W/mmの範囲であれば、200W以上、または200W以下の高圧放電ランプを用いることもできる。
図8は図7に示した電極4の拡大図である。
同図に示すように、1対の電極4は、それぞれ塊状部41と軸部42から構成される。 塊状部41は、軸部42にタングステンワイヤーをコイル状に巻きつけて溶融して形成してもよいし、塊状部41の直径のタングステン棒を切削加工によって、塊状部41と軸部42とを形成してもよい。この実施例で用いられる高圧放電ランプ1においては、電極間距離が2mm以下と短く、電極先端への熱的な負荷が大きいため先端部に塊状部41を有し、また200気圧以上という高い圧力に耐える封止部3を形成するために軸部42を細くする必要がある。一例を挙げると、200Wランプの高圧放電ランプ1の塊状部41の直径は1.5mm、軸部42の直径は0.4mmである。このような先端部の塊状部41が大きく、軸部42の細い電極4の構造も軸部42の折れ曲がりを発生させ易い一因なっている。
図9は、先の実験において電極軸部42の折れ曲がりが発生した高圧放電ランプ1の一部を示す図である。
同図において、7は点灯にともなって発生した堆積物である。このような堆横物7は電極軸部42の折れ曲がりが発生しなかった高圧放電ランプ1においても同様に見られたので、堆積物7の発生だけで電極軸部42の折れ曲がりが生じているわけではない。なお、このような堆種物7を分析した結果、珪素を含む化合物であったことから、封入されたハロゲンと放電容器との化学的な作用によって輸送・堆積したものと考えられる。電極軸部42の折れ曲がりは、塊状部41の先端中心から発光部2の開口部21までの距離が約5mmである。
次に、先の実験結果および堆積物等の観察結果に鑑みて、電極軸部42の折れ曲がりの機構について考察する。
図9に示すように、堆積物7の位置(図9では電極軸部42の上側)に対して反対方向へ(図9では下へ)電極軸部42の折れ曲がりが発生している。このことと先の実験によって判明した電極軸部の折れ曲がりが消灯過程において発生するという事実とから、電極軸部の折れ曲がりは以下の機構によって発生するものと考えられる。
すなわち、消灯後電極4の温度が低下するのにともなって電極軸部42は収縮するが、堆積物7のある軸側面(図9では上側)の収縮は堆積物7によって妨げられるため、収縮が妨げられない方へ(図9では下へ)折れ曲がるものと考えられる。換言すると、熱収縮の差によって、電極軸部42が変形すると言える。ここで、高圧放電ランプ1を定格電力点灯から消灯すると、熱収縮の差による電極軸部42の急速な変形が発生し、重い先端塊状部41の慣性運動(図9では下への運動)を誘起して、電極軸部42の大きな変形が発生する。この変形がタングステン材料の弾性限界を超えて塑性変形が生じることによって、消灯のたびに変形が蓄積し、電極軸部42の折れ曲がりに至るものと考えられる。
上述のごとく、温度変化による熱収縮が、電極軸部42のストレスとなる機構から考えると、温度の絶対値の変化をより小さくすれば、ストレスが緩和されることは自然のことであり、図5に示した実験結果の、消灯前に、ランプ点灯電力をある一定時間を小電力にすることが電極軸部の折れ曲がりの抑制効果に必要であることを考え合わせると、電極軸部の折れ曲がりを防止するためには、温度変化幅の制限と保持時間の確保の両方の要素が必要であり、かつ、温度変化/時間を緩やかにすることが効果的であるといえる。
上記の点に鑑みると、小電力点灯から消灯する場合は、点灯時における電極軸部42の温度が比較的低く、上記の熱収縮差も比較的小さいため、電極軸部42の折れ曲がりに至るほどの急速な変形は生じない。また、定格点灯から一定時間小電力点灯した後消灯する場合も、消灯過程における電極軸部42の温度低下の速度の点からは小電力点灯から消灯する場合と同様であるから、電極軸部42の折れ曲がりは同様に防止される。
上記の一定時間は、好ましくは1秒以上である。これ以下の場合は、定格点灯から小電力点灯に切り替えても、電極軸部42の温度が十分に低下する前に消灯することになるため、電極軸部42の折れ曲がりを防止する効果は小さい。また、上記の小電力モードにおけるランプ点灯電力は、好ましくは定格電力の55%以上90%以下である。90%より大きい場合は、電極軸部42の温度が定格電力点灯時の場合とあまり違わず、55%より小さい場合は、電極軸部42の温度変化が大き過ぎる問題がある。
また、これまで述べたように、消灯過程において、小電力モードに一度にランプ点灯電力を切り換えるのではなく、1秒間当たり定格電力の55%以下の速度で緩やかに、1秒以上、定格電力の55%以上90%以下のランプ点灯電力まで下げた後、消灯しても同様の効果が得られる。なぜなら、このように緩やかにランプ点灯電力を低くすれば、電極軸部42の温度はランプ点灯電力の低下に追従して低下するからである。
図10は、高圧放電ランプ1に対して交流電力を供給する給電装置8の回路構成を示す図である。
同図に示すように、給電装置8は、直流電圧が供給される降圧チョッパー回路9と、降圧チョッパー回路9の出力側に接続され直流電圧を交流電圧に変化させて高圧放電ランプ1に供給するフルブリッジ型インバータ回路10(以下、「フルブリッジ回路」ともいう)と、高圧放電ランプ1に直列接続されたコイルL1、コンデンサC1、およびスタータ回路11とから構成される。なお、降圧チョッパー回路9、フルブリッジ回路10、スタータ回路11により給電装置8が構成され、高圧放電ランプ1を含めて高圧放電ランプ装置と称される。
降圧チョッパー回路9は、不図示の直流電源VDCに接続され、スイッチング素子Qxと、ダイオードDxと、コイルLxと、平滑コンデンサCxと、スイッチング素子Qxの駆動回路Gxから構成される。スイッチング素子Qxは、駆動回路Gxによりオン/オフ駆動される。この駆動によって、スイッチング素子Qxのデューティ比が調整されて、高圧放電ランプ1に供給される電流または電力が制御される。すなわち、抵抗R1、R2で検出された電圧信号Sv、R3で検出された電流信号Siおよび外部からの電力信号Swに基づいて制御回路12が駆動回路Gxを介して、スイッチング素子Qxをフィードバック制御する。これにより、高圧放電ランプ1のランプ点灯電力を一定値とする定電力制御が実施される。
フルブリッジ回路10は、ブリッジ状に接続されたトランジスタやFET等のスイッチング素子Q1〜Q4と、スイッチング素子Q1〜Q4の駆動回路G1〜G4から構成される。なお、スイッチング素子Q1〜Q4には、各々と並列にダイオードが逆並列に接続されることもあるが、この実施例においてはダイオードは省略している。スイッチング素子Q1〜Q4は、不図示の制御部を介して駆動回路G1〜G4により駆動される。フルブリッジ回路10の動作は、スイッチング素子Q1、Q4と、スイッチング素子Q2、Q3を交互にオン、オフを繰り返して行われる。スイッチング素子Q1、Q4がオンするときは、降圧チョッパー回路9→スイッチング素子Q1→コイルL1→高圧放電ランプ1→スイッチング素子Q4→降圧チョッパー回路9に電流が流れる。一方、スイッチング素子Q2、Q3がオンするときは、降圧チョッパー回路9→スイッチング素子Q3→高圧放電ランプ1→コイルL1→スイッチング素子Q2→降圧チョッパー回路9の経路で放電ランプ1に交流矩形波電流を供給する。
スタータ回路11は、スイッチ素子Q5、駆動回路G5、抵抗R1、コンデンサC2、トランスT2より構成される。高圧放電ランプ1の始動時にコンデンサC2に蓄積したエネルギーをスイッチ素子Q5をオンすることによりトランスT2に印加し昇圧して高圧放電ランプ1に高電圧を印加し高圧放電ランプ1を始動させる。ここでは、高圧放電ランプ1の外表面に高電圧印加用導体を配管した、いわゆる外部トリガ方式を示す。
図11は、図10に示した制御回路12の内部構成を示す図である。
図10および図11を用いて上記の定電力制御について説明すると、制御回路12にランプ電圧信号Svと信号発生器13からの電力信号Swが演算器121に入力されて基準電流値が算出され、この基準電流値は信号Si-refとして比較器122に入力される。電流信号Siは比較器122の他方の端子に入力され、比較器122では基準電流信号Si-refと電流信号Siを比較して、ランプ電流が基準電流値に一致するようにパルス幅制御回路(PWM)123、駆動回路Gxを介して、スイッチング素子Qxを制御する。このようにして、高圧放電ランプ1のランプ点灯電力は電力信号Swに対応する電力に保たれる。
次に、定格200Wの高圧放電ランプ1を定格200Wの定電力点灯から消灯するまでの過程の動作について説明する。
高圧放電ランプ1の点灯は、給電装置8の外部から点灯信号Ssが信号発生器13に与えられると、信号発生器13から制御回路12へ点灯電力200Wに対応する電力信号Swが入力され、高圧放電ランプ1は、定格200Wの電力によって定電力点灯される。高圧放電ランプ1の消灯は、まず、給電装置8の外部から消灯信号Ssが信号発生器13に与えられると、電力信号発生器131により、電力信号Ssが、例えば、160W(定格電力の80%)に対応する値に変更され、小電力モードに対応する電力信号Swとして制御回路12に出力される。その結果、高圧放電ランプ1は定格電力より低い電力160Wで点灯される。電力信号Ssが小電力モードに対応する信号に変更されてから所定時間経過後、例えば、2秒後、消灯信号Ssが信号発生器13の遅延回路132によって所定時間遅らされて制御回路12に入力される。消灯信号Ssが制御回路12に入力されると、パルス幅制御回路(PWM)123は駆動回路Gxを停止し、スイッチング素子Qxがオフに固定されて、高圧放電ランプ1ヘの電流の供給が停止されることによって消灯する。このようにして、高圧放電ランプ1のランプ点灯電力が小電力モードに変更されてから所定時間後に、高圧放電ランプ1が消灯する。
以上の制御の態様を図12(a)に示す。図12(a)は、ランプ点灯電力を階段状に下げる場合であり、これ代えて、図12(b)に示すように、略直線状にランプ点灯電力を下げた後に消灯するようにしてもよい。
上記の給電装置8では、外部から消灯信号Ssが給電装置8に与えられる構成を示したが、電力信号Swと消灯信号Ssの両方とも給電装置8の外部から、図12(a)または図12(b)に示すような時間的な関係をもって与えられる構成としてもよい。その場合、信号発生器13は省略され、電力信号Swと消灯信号Ssが制御回路12に直接入力される構成とすることができる。
高圧放電ランプ1の点灯態様Aを示す図である。 高圧放電ランプ1の点灯態様Bを示す図である。 高圧放電ランプ1の点灯態様Cを示す図である。 高圧放電ランプ1の点灯態様Dを示す図である。 図4に示した点灯態様Dの条件を見極めるために行った実験の結果得られた電極軸部の折れ曲がりの発生率(%)を示す表である。 図5に示した表を図形化した図である。 本発明の高圧放電ランプ装置に使用される高圧放電ランプ1を示す図である。 図7に示した電極4の拡大図である。 電極軸部42の折れ曲がりが発生した高圧放電ランプの一部を示す図である。 高圧放電ランプ1に対して交流電力を供給する給電装置8の回路構成を示す図である。 図10に示した制御回路12の内部構成を示す図である。 高圧放電ランプ1の消灯時の制御態様を示す図である。 電極軸部の折れ曲がりが生じた高圧放電ランプ100の一部正面図である。
符号の説明
1 高圧放電ランプ
2 発光部
21 開口部
3 封止部
4 電極
41 塊状部
42 軸部
5 導電用金属箔
6 外部リード
7 堆積物
8 給電装置
9 降圧チョッパー回路
10 フルブリッジ型インバータ回路(フルブリッジ回路)
11 スタータ回路
12 制御回路
121 演算器
122 比較器
123 パルス幅制御回路(PWM)
13 信号発生器
131 電力信号発生器
132 遅延回路

Claims (2)

  1. 0.20mg/mm以上の水銀と10−6μmol/mm〜10−2μmol/mmの範囲のハロゲンが封入され、一対の電極が2.0mm以下の間隔で対向配置された高圧放電ランプと、この高圧放電ランプに対して交流電力を供給する給電装置とから構成される高圧放電ランプ装置において、
    前記高圧放電ランプの電極は、純度5N(99.999%)以上の高純度タングステンからなり、前記給電装置は、前記高圧放電ランプの消灯に際し、前記高圧放電ランプを、ランプ点灯電力が定格電力の55%以上90%以下であり、かつ、期間が1秒以上である小電力モードによって点灯した後に消灯することにより、電極軸部の折れ曲がりの発生を防止したことを特徴とする高圧放電ランプ装置。
  2. 0.20mg/mm以上の水銀と10−6μmol/mm〜10−2μmol/mmの範囲のハロゲンが封入され、一対の電極が2.0mm以下の間隔で対向配置された高圧放電ランプと、この高圧放電ランプに対して交流電力を供給する給電装置とから構成される高圧放電ランプ装置において、
    前記高圧放電ランプの電極は、純度5N(99.999%)以上の高純度タングステンからなり、前記給電装置は、前記高圧放電ランプの消灯に際し、前記高圧放電ランプを、ランプ点灯電力が1秒間当たり定格電力の55%以下の速度で減少し、かつ期間が1秒以上で定格電力の55%以上90%以下の範囲を経由する小電力モードによって点灯した後に消灯することにより、電極軸部の折れ曲がりの発生を防止したことを特徴とする高圧放電ランプ装置。
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