JP5017972B2 - レンズ付き印刷物 - Google Patents

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本発明は、立体視または可変視用の印刷画像もしくは印刷図柄・模様が見えるようにしたレンズ付き印刷物に関し、さらに詳細には、画像もしくは図柄・模様に独自の変化を与える立体感や加飾効果に優れるレンズ付き印刷物に関するものである。
従来から、例えば、特許文献1で提案されているように、印刷等により平面的に視覚表現された絵や図柄等の画像(「立体視用の画像」)をレンチキュラーレンズを用いて立体的に視認できるようにした立体印刷物はよく知られている。この立体印刷物は、左右の目で像を結ぶことができる立体視用の画像をレンチキュラーレンズの微細な凸レンズ列と同じ間隔(ピッチ)で線状に配列し、立体画像として認識することができるようにしたものである。
また、レンチキュラーレンズに、2種類3種類以上の絵や図柄等をこのレンズの微細な凸レンズ列の間隔(ピッチ)に合わせて交互にまたは種類順に繰り返して短冊状に合成した画像(「可変視用の画像」)を配設し、見る角度によって2種類または数種類の異なる絵柄が見えるようにした可変印刷物もよく知られている。
従来、上記の立体視または可変視印刷物は、平面の画像に遠近感や立体感を与えたり、動作変化を与える印刷物の技法として、あらかじめ複数の画像を縦方向または横方向に多数の線状帯に分け、これら異なる画像の線状帯を順次に並べて一枚に印刷し、その上に線状帯のピッチと方向に合わせたかまぼこ状の微細レンズの集合体からなるレンチキュラーシート等のレンズ作用により、複数の画像を重ね合わせ普通の視覚距離で結合して見せ、画面に立体感を出したり、画面を傾けることにより画像の変化を与える方法が取られている。画面を傾けて画像の変化を与える場合、画面にはめ込むかまたは分割して異なった2つの画像を一枚に印刷し、レンチキュラーシートを張つけても、傾きによるそれぞれの画像の変化は同一で、それぞれの画像に独自の変化を与えることは出来なかった。
特許第3038329号公報
本発明は、上記の課題を考慮してなされたものであって、立体視または可変視用の印刷画像もしくは印刷図柄・模様が見えるようにしたレンズ付き印刷物において、画像もしくは図柄・模様に独自の変化を与える立体感や加飾効果に優れるレンズ付き印刷物を提供するものである。
上記の目的を達成するために、即ち、
請求項1に係る発明は、
立体視または可変視用の印刷画像(印刷図柄・模様も含む)が見えるようにしたレンズ付き印刷物において、
透明フィルム基材の片面に微細なレンズ群が所定のピッチで配列し、その反対面の透明フィルム基材面に、前記レンズピッチと前記印刷画像ピッチとが一致するように、印刷画像を形成した立体視または可変視画像シートの印刷画像面側に、熱可塑性樹脂層を介して、紙基材またはフィルム基材を積層してなるレンズ付き印刷物であって、
前記レンズ付き印刷物の立体視または可変視画像シートのレンズ部が紫外線硬化型樹脂からなり、前記印刷画像が紫外線硬化型インキからなり、かつ、前記レンズ付き印刷物の立体視または可変視画像シート層に、凹凸形状を有する金型を用いて加熱押圧成型法により、その凹凸形状が転写・形成され、紙基材またはフィルム基材には、凹凸形状が転写・形成されず、平坦であることを特徴とするレンズ付き印刷物である。
また、請求項2に係る発明は、
前記立体視または可変視画像シートのレンズ部が、微細なレンズ群が所定のピッチで配列された、凸状シリンドリカルレンズを並設してなるレンチキュラーレンズまたは単位凸状レンズを2次元配列してなるマイクロレンズアレイからなることを特徴とする請求項1記載のレンズ付き印刷物である。
本発明により、立体視または可変視用の印刷画像もしくは印刷図柄・模様が見えるようにしたレンズ付き印刷物を構成する立体視または可変視画像シート層に、レンズ部の潰れや変形が生ずることなく凹凸形状を付与してあることで、従来の凹凸形状が施されていない平坦状のレンズ付き印刷物では得られない、画像もしくは図柄・模様に独自の変化を与える立体感や加飾効果に優れるレンズ付き印刷物を提供できる。したがって、本発明のレンズ付き印刷物は観る者の注目を集め易く、パッケージ、カード、ポスター、景品等に使用して宣伝や差別効果の高いものとなる。また、絵本や雑誌等に用いても利用価値の高いものとなる。
以下、本発明の好ましい実施形態の一例について図面を参照して説明する。図1は、本発明のレンズ付き印刷物の一例として、波形状の凹凸が形成されているレンズ付き印刷物を示す模式断面図である。図2は、レンズ付き印刷物に波形状凹凸が形成される前の平担状のレンズ付き印刷物の一部分を示す模式拡大断面図である。図3は、本発明のレンズ付き印刷物に用いられるレンチキュラーレンズシートの一例を示す模式斜視図である。図4は、本発明のレンズ付き印刷物に用いられるマイクロレンズアレイシートの一例を示す模式斜視図である。図5は、本発明のレンズ付き印刷物の一例としてマイクロレンズアレシートを用いたドットパターンが立体視される例を説明するための模式説明図である。図6は、本発明のレンズ付き印刷物に形成される凹凸形状を形成する方法の一例を説明するための模式断面図である。
本発明のレンズ付き印刷物は、立体視または可変視用の印刷画像(印刷図柄・模様も含む)が見えるようにした、画像もしくは図柄・模様に独自の変化を与える立体感や加飾効果に優れるレンズ付き印刷物である。このレンズ付き印刷物は、図1で示すように、透明フィルム基材(1b)の片面に微細なレンズ(1a)群が所定のピッチで配列してなる紫外線硬化型樹脂からなるレンズ部と反対面の透明フィルム基材(1b)面に、前記レンズ(1a)ピッチと前記印刷画像(1c)ピッチとが一致するように、前記印刷画像(1c)を形成した立体視または可変視画像シート(1)の前記印刷画像(1c)面側に、熱可塑性樹脂層(2)を介して、紙基材またはフィルム基材(3)を積層してなるレンズ付き印刷物の可変視画像シート(1)層に、一例として、波形形状の凹凸(4)が形成されているレンズ付き印刷物(10)である。
本発明において用いる立体視または可変視画像シート(1)は、図3で示すような、凸状シリンドリカルレンズ(30a)を並設してなるレンチキュラーレンズ(30)を用いて、透明フィルム基材(1b)の片面に印刷等により平面的に視覚表現された絵や図柄等の画像(1c)(「立体視用の画像」)を透明フィルム基材(1b)のもう一方の面に設けたレンチキュラーレンズ(1a)により立体的に視認できるようにしたこの立体視画像シートは、左右の目で像を結ぶことができる立体視用の画像をレンチキュラーレンズの微細な凸レンズ列と同じ間隔(ピッチ)で線状に配列し、立体画像として認識することができるようにした立体視画像シート(1)である。
また、レンチキュラーレンズに、2種類または3種類以上の絵や図柄等の画像をこのレンズの微細な凸レンズ列の間隔(ピッチ)に合わせて交互にまたは種類順に繰り返して短冊状に合成した画像(「可変視用の画像」)を配設し、見る角度によって2種類または数種類の異なる絵や図柄等の画像が見えるようにした可変視画像シート(1)である。
さらに、本発明において用いる立体視または可変視画像シート(1)としては、図4で示すような、単位凸状レンズ(40a)を2次元配列してなるマイクロレンズ(40)を用いて、図5で示すように、マイクロレンズの微細な単位凸レンズ(1a)の間隔(ピッチ)に合わせてドットパターン等の画像(1c)を印刷して配設し、このマイクロレンズと画像(1c)との相互作用、即ち、空間周波数の変調によって、両方の目で見て、右目で認識する像と左目で認識する像の差を処理する両眼視差による立体視だけでなく、視点を移動させると手前にある(視覚的深度の浅い)対称画像ほど見え方が大きく変化し、逆に、奥にある(視覚的深度の深い)ものはそれほど大きな変化を見せない。この見え方の違いから対称画像の位置関係を認識してドットパターンからなる立体視画像シート(1)である。
そして、本発明のレンズ付き印刷物の上記の立体視または可変視画像シートのレンズ部が紫外線硬化型樹脂からなるものであるから、立体視または可変視画像シート層に凹凸を形成しても、レンズ部が潰れたり変形することがなく、従来の凹凸形状が施されていない平坦状のレンズ付き印刷物では得られない、画像もしくは図柄・模様に独自の変化を与える立体感や加飾効果に優れるレンズ付き印刷物が得られる。
さらに、立体視または可変視画像シート層に凹凸を形成する際に画像の変形を防ぐために、本発明における印刷画像を紫外線硬化型インキを用いて印刷するのが望ましい。
上記の立体視または可変視画像シートのレンズ部および印刷画像を構成する紫外線硬化型樹脂および紫外線硬化型インキは電子線硬化型のものも使用することができる。
本発明において使用される透明フィルム基材(1b)としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエステル等の透明なプラスチック製のフィルムまたはシート等が使用できる。
また、本発明における立体視または可変視画像シートのレンズ部および印刷画像を構成する紫外線硬化型樹脂および紫外線硬化型インキを構成する紫外線硬化型樹脂としては、例えば、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系紫外線硬化型樹脂などが挙げられる。
本発明において印刷画像、図柄・模様およびドットパターン等の印刷方法は、特に限定されず、オフセット印刷、グラビア印刷など各種印刷方法を用いることができる。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂層(2)の熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンもしくはポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、その他などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂層の厚さとしては、10〜100μmの範囲が好ましい。
また、本発明で用いられる立体視または可変視画像シート(1)に積層される紙基材もしくはフィルム基材(3)における、紙基材としては特に限定されず通常の抄紙して得られる紙が使用され、坪量が30g/m2以上のものが好ましい。さらに、合成紙なども使用することもできる。また、フィルム基材においても特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエステル等の透明なプラスチック製のフィルムまたはシート等が使用できる。厚さとしては、12μm以上が好ましい。
次に、本発明のレンズ付き印刷物の製造方法について図6を参照して説明する。まず、図2で示す、透明フィルム基材(1b)の片面に微細なレンズ(1a)群が所定のピッチで配列してなる紫外線硬化型樹脂からなるレンズ部と反対面の透明フィルム基材(1b)面に、前記レンズ(1a)ピッチと前記印刷画像(1c)ピッチとが一致するように、前記印刷画像(1c)を形成した立体視または可変視画像シート(1)の前記印刷画像(1c)面側に、熱可塑性樹脂層(2)を介して、紙基材またはフィルム基材(3)を積層してなる平坦状のレンズ付き印刷物(20)を作製する。
上記の立体視または可変視画像シート(1)は、透明フィルム基材(1b)の片面に、初めに、所定のピッチで印刷画像(1c)を形成した後、印刷画像(1c)の反対面の透明フィルム基材(1b)面に、その印刷画像に合わせて、レンズ形成用紫外線硬化型インキを印刷により所定ピッチを保って凸条状に列設または2次元配列し、この各インキ列をその表面張力と重力の作用により凸レンズ状列に変形させたあと、UV照射等の硬化手段により硬化させてレンズ部を形成することができる。
あるいは、初めに、透明フィルム基材(1b)の片面に、円周方向にレンズ形状の凹部を列設または2次元配列した版胴とニップロールの間を通し、透明フィルム基材(1b)面と前記版胴の間に紫外線硬化型樹脂を供給して、透明フィルム基材(1b)が前記版胴に接触している部分の反対側より紫外線を照射して前記樹脂を硬化させ凸条状に列設または2次元配列したレンズの所定のピッチに合わせた画像を印刷して立体視または可変視画像シート(1)を作製することもできる。
図6は、本発明のレンズ付き印刷物に形成される凹凸形状を形成する方法を説明するための模式断面図であり、20は凹凸形状を施す前の平坦状のレンズ付き印刷物であり、このレンズ付き印刷物の一部分(B)を拡大して示してある。また、60は凹凸形状の一例として波形形状の凹凸を有する金型であり、この金型の一部分(A)を拡大して示してある。さらに、70,70′は加熱押圧成型機の加熱プレス機である。そして、凹凸形状を施す前の平坦状のレンズ付き印刷物(20)を、一例として波形形状の凹凸(61)を有する金型(60)を備えた加熱プレス機(70,70′)からなる加熱押圧成型機(50)に挿入、載置して、所定の温度条件で加熱プレスして凹凸形状(61)をレンズ付き印刷物の立体視または可変視画像シート(1)側に、波形形状の凹凸(61)に追随して、凹凸が転写・賦形された後、所定の冷却条件で冷却されてその凹凸形状(61)が固定されて凹凸形状を施された、図1で示す、本発明のレンズ付き印刷物が製造できる。
本発明における凹凸形状の深さが0.003mm〜10mmの範囲で、ピッチが0.005mm〜100mmの範囲が望ましい。
本発明のレンズ付き印刷物の立体視または可変視画像シート(1)のレンズ部(1a)は、紫外線硬化型樹脂で形成されているので加熱押圧工程でレンズが潰れることがないので立体視または可変視が可能である。また、本発明のレンズ付き印刷物の画像の印刷は紫外線硬化型インキを用いて形成した方が上記の加熱押圧工程で印刷画像の変形を防止できる点において望ましい。
上記で得られる本発明のレンズ付き印刷物は、立体視または可変視画像シート側に凹凸形状が形成されているので、従来の凹凸形状が施されていない平坦状のレンズ付き印刷物では得られない、画像もしくは図柄・模様に独自の変化を与える立体感や加飾効果に優れるレンズ付き印刷物を提供できる。したがって、本発明のレンズ付き印刷物は観る者の注目を集め易く、パッケージ、カード、ポスター、景品等に使用して宣伝や差別効果の高いものとなる。また、絵本や雑誌等に用いても利用価値の高いものとなる。
本発明のレンズ付き印刷物の一例として、波形形状の凹凸が形成されているレンズ付き印刷物を示す模式断面図である。 レンズ付き印刷物に波形形状凹凸が形成される前の平担状のレンズ付き印刷物の一部分を示す模式拡大断面図である。 本発明のレンズ付き印刷物に用いられるレンチキュラーレンズの一例を示す模式斜視図である。 本発明のレンズ付き印刷物に用いられるマイクロレンズアレイの一例を示す模式斜視図である。 本発明のレンズ付き印刷物の一例としてマイクロレンズアレを用いたドットパターンが立体視される例を説明するための模式説明図である。 本発明のレンズ付き印刷物に形成される凹凸形状を形成する方法の一例を説明するための模式断面図である。
符号の説明
1・・・立体視または可変視画像シート
1a・・・レンズ部
1b・・・透明フィルム基材層
1c・・・印刷画像
2・・・熱可塑性樹脂層
3・・・紙基材またはフィルム基材
4・・・凹凸形状
10・・・レンズ付き印刷物
20・・・凹凸形状が施されていない平坦状のレンズ付き印刷物
30・・・レンチキュラーレンズ
30a・・・凸状シリンドリカルレンズ
40・・・マイクロレンズアレイ
40a・・・凸状単位レンズ
50・・・加熱押圧成型機
60・・・凹凸形状を有する金型
61・・・凹凸形状(波形形状の凹凸)
70、70′・・・加熱プレス機

Claims (2)

  1. 立体視または可変視用の印刷画像(印刷図柄・模様も含む)が見えるようにしたレンズ付き印刷物において、
    透明フィルム基材の片面に微細なレンズ群が所定のピッチで配列し、その反対面の透明フィルム基材面に、前記レンズピッチと前記印刷画像ピッチとが一致するように、印刷画像を形成した立体視または可変視画像シートの印刷画像面側に、熱可塑性樹脂層を介して、紙基材またはフィルム基材を積層してなるレンズ付き印刷物であって、
    前記レンズ付き印刷物の立体視または可変視画像シートのレンズ部が紫外線硬化型樹脂からなり、前記印刷画像が紫外線硬化型インキからなり、かつ、前記レンズ付き印刷物の立体視または可変視画像シート層に、凹凸形状を有する金型を用いて加熱押圧成型法により、その凹凸形状が転写・形成され、紙基材またはフィルム基材には、凹凸形状が転写・形成されず、平坦であることを特徴とするレンズ付き印刷物。
  2. 前記立体視または可変視画像シートのレンズ部が、微細なレンズ群が所定のピッチで配列された、凸状シリンドリカルレンズを並設してなるレンチキュラーレンズまたは単位凸状レンズを2次元配列してなるマイクロレンズアレイからなることを特徴とする請求項1記載のレンズ付き印刷物。
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