JP5017787B2 - 無機微結晶の製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、無機微結晶の製造装置に関し、特に、水熱合成法により無機微結晶を連続して製造する際に、水熱合成反応の形態に応じて無機微結晶の析出条件を適宜調製することにより、無機微結晶の製造条件の最適化が可能な無機微結晶の製造装置に関するものである。
従来、広く一般的に知られている無機微粒子の合成方法に水熱合成法があり、この水熱合成法が適用された装置としては、バッチ式の水熱合成装置や連続式の水熱合成装置が提案され、それぞれの特徴を生かして様々な方面の分野で広範に利用されている。
水熱合成法により無機微粒子を合成する場合、合成反応の過程においては、結晶核の生成、結晶核生成後の更なる結晶析出、結晶の溶解析出による結晶性向上等の各段階では、材料、反応様式に応じて温度条件を制御する必要がある。
例えば、上記のバッチ式の水熱合成装置は、無機微粒子の原料を装置内にセットした後、この原料の温度、圧力のいずれか一方または双方を変化させ、目的の温度や圧力になった時点で一定時間保持して無機微粒子を合成するものであるから、原料、温度や圧力等の合成条件等を適宜変更することにより、目的に合った様々な無機微粒子を適宜合成することができる。
一方、連続式の水熱合成装置は、無機微粒子の合成の効率を高め、かつ、その製造コストを低減することに主眼をおいて開発されたもので、上記のバッチ式の水熱合成装置を単に大型化したもの、バッチ式の合成装置や条件を単に連続化したもの等が大半であり、例えば、無機微粒子の原料が長尺の配管内を通過する間に水熱反応を行う装置等が提案されている(特許文献1参照)。
特開平8−40723号公報
ところで、従来のバッチ式の水熱合成装置では、結晶核の生成、結晶成長等の各段階に合わせて温度の昇降温を速やかに行うことが困難であるという問題点があった。また、微粒子を得るまでに長時間を要するという問題点があった。また、バッチ式であるために、1回の操作で得られる無機微粒子の量には自ずと限界があり、一定量以上の無機微粒子を低コストで得ることが難しいという問題点があった。
また、連続式の水熱合成装置では、無機微粒子の原料が配管内を通過する間に水熱反応を行っているために、水熱反応の反応時間が長くなるとともに配管の総延長が長くなり、したがって、微妙な温度制御を行うことが難しいという問題点があった。また、原料となる溶液やスラリーの送り込みや配管各部の温度制御、配管内にて溶液やスラリーを攪拌する際に困難が生じるという問題点があった。
このように、水熱合成反応を連続化することによって、原料の溶液やスラリー、あるいは反応、合成後の溶液やスラリーの温度制御を容易に行うことが可能になるものの、結晶核の生成、結晶成長等、水熱合成における各段階の温度管理を精密に制御することができないのが現状である。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、無機微結晶を連続して製造する際に、結晶核の析出過程、結晶核を基に結晶成長させる結晶成長過程等における温度制御を容易にすることにより、無機微結晶の析出条件や成長条件を容易に制御することが可能であり、その結果、無機微結晶の製造条件の最適化が可能な無機微結晶の製造装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、無機微結晶を水熱合成法により連続して製造する装置について鋭意検討した結果、無機微結晶の原料となる溶液またはスラリーを一旦所定の温度にて保持し、次いで、この溶液またはスラリーを昇温または冷却させるという2段階の温度制御により結晶核を析出させることで、無機微結晶の析出条件を適宜調製することが容易になり、また、この溶液またはスラリー中の結晶核を所望の温度にて結晶成長させることで、無機微結晶の成長条件を適宜調製することが容易になり、その結果、無機微結晶の製造条件の最適化が可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の無機微結晶の製造装置は、水熱合成法により、各種金属酸化物、リン酸化合物、シュウ酸化合物または水酸化物からなる無機微結晶を連続して製造する装置であって、無機微結晶の原料となる溶液またはスラリーを供給する供給手段と、この供給手段により供給される前記溶液またはスラリーを−80℃以上かつ300℃以下の第1の温度に保持する温度保持部と、この温度保持部に隣接して設けられ、この温度保持部から送り出される前記溶液またはスラリーを前記第1の温度より高くかつ室温以上かつ800℃以下の第2の温度に保持して前記溶液またはスラリーに急激な化学反応を生じさせ、前記溶液またはスラリー内に無機微結晶の核となる結晶核を析出させる結晶核析出部と、この結晶核析出部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを−80℃以上かつ前記第2の温度以下の第3の温度に保持して前記結晶核を結晶成長させ、所定の大きさ及び形状の無機微結晶とする結晶成長部とを備えてなることを特徴とする。
この無機微結晶の製造装置では、温度保持部にて、供給手段により供給される溶液またはスラリーを−80℃以上かつ300℃以下の第1の温度に保持した後、この温度保持部に隣接して設けられた結晶核析出部にて、この温度保持部から送り出される溶液またはスラリーを前記第1の温度より高くかつ室温以上かつ800℃以下の第2の温度に保持して前記溶液またはスラリーに急激な化学反応を生じさせ、前記溶液またはスラリー内に無機微結晶の核となる結晶核を析出させることにより、結晶核析出過程の温度制御を2段階で行うことが可能になり、無機微結晶の結晶核の析出過程における温度制御が容易になる。これにより、無機微結晶の結晶核の形状や大きさを容易に制御することが可能になる。
また、結晶成長部にて、この結晶核析出部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを−80℃以上かつ前記第2の温度以下の第3の温度に保持し前記結晶核を結晶成長させることにより、形状や大きさが制御された結晶核を基に結晶成長することとなり、所定の大きさ及び形状に制御された無機微結晶を連続して製造することが可能になる。
本発明の無機微結晶の製造装置では、前記結晶核析出部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを前記第2の温度と異なる第4の温度に保持する第2の温度保持部を備え、この第2の温度保持部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを前記結晶成長部に送り込むこととしてもよい。
本発明の他の無機微結晶の製造装置は、水熱合成法により、各種金属酸化物、リン酸化合物、シュウ酸化合物または水酸化物からなる無機微結晶を連続して製造する装置であって、無機微結晶の原料となる溶液またはスラリーを供給する供給手段と、この供給手段により供給される前記溶液またはスラリーを室温以上かつ800℃以下の第1の温度に保持する温度保持部と、この温度保持部から送り出される前記溶液またはスラリーを前記第1の温度より低くかつ−80℃以上かつ300℃以下の第2の温度に保持して結晶核を析出させる結晶核析出部と、この結晶核析出部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを−80℃以上かつ前記第1の温度以下の第3の温度に保持して前記結晶核を結晶成長させる結晶成長部とを備えてなることを特徴とする。
この無機微結晶の製造装置では、前記結晶核析出部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを第2の温度と異なる第4の温度に保持する第2の温度保持部を備え、この第2の温度保持部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを前記結晶成長部に送り込むこととしてもよい。
この無機微結晶の製造装置では、温度保持部にて、供給手段により供給される溶液またはスラリーを室温以上かつ800℃以下の第1の温度に保持した後、結晶核析出部にて、この温度保持部から送り出される溶液またはスラリーを前記第1の温度より低くかつ−80℃以上かつ300℃以下の第2の温度に保持して結晶核を析出させることにより、結晶核析出過程の温度制御を2段階で行うことが可能になり、無機微結晶の結晶核の析出過程における温度制御が容易になる。これにより、無機微結晶の結晶核の形状や大きさを容易に制御することが可能になる。
また、結晶成長部にて、この結晶核析出部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを−80℃以上かつ前記第1の温度以下の第3の温度に保持し前記結晶核を結晶成長させることにより、形状や大きさが制御された結晶核を基に結晶成長することとなり、所定の大きさ及び形状に制御された無機微結晶を連続して製造することが可能になる。
本発明の無機微結晶の製造装置では、前記結晶核析出部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを前記第2の温度と異なる第4の温度に保持する第2の温度保持部を備え、この第2の温度保持部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを前記結晶成長部に送り込むこととしてもよい。
本発明の無機微結晶の製造装置は、さらに、前記結晶成長部に、この結晶成長部の内部の圧力を制御する圧力制御手段を設けた構成としてもよい。
この無機微結晶の製造装置では、前記結晶成長部に、この結晶成長部の内部の圧力を制御する圧力制御手段を設けたことにより、結晶成長過程における圧力制御が容易になる。これにより、無機微結晶の結晶成長の成長条件を容易に制御することが可能になる。
本発明の無機微結晶の製造装置は、さらに、外部の雰囲気から隔離された閉鎖型の反応系であることとしてもよい。
本発明の無機微結晶の製造方法によれば、無機微結晶の原料となる溶液またはスラリーを温度(1)にて保持し、次いで、この温度(1)に保持された溶液またはスラリーを前記温度(1)と異なる温度(2)に保持して結晶核を析出させ、次いで、この溶液またはスラリー中の結晶核を温度(3)にて結晶成長させるので、結晶核析出過程の温度制御を2段階で行うことができ、無機微結晶の結晶核の析出過程における温度制御を容易に行うことができる。したがって、無機微結晶の結晶核の析出条件を容易に制御することができ、その結果、無機微結晶の結晶成長を均一化することができ、無機微結晶の形状や大きさを容易に制御することができる。
本発明の無機微結晶の製造装置によれは、無機微結晶の原料となる溶液またはスラリーを供給する供給手段と、この供給手段により供給される前記溶液またはスラリーを−80℃以上かつ300℃以下の第1の温度に保持する温度保持部と、この温度保持部に隣接して設けられ、この温度保持部から送り出される前記溶液またはスラリーを前記第1の温度より高くかつ室温以上かつ800℃以下の第2の温度に保持して前記溶液またはスラリーに急激な化学反応を生じさせ、前記溶液またはスラリー内に無機微結晶の核となる結晶核を析出させる結晶核析出部と、この結晶核析出部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを−80℃以上かつ前記第2の温度以下の第3の温度に保持して前記結晶核を結晶成長させ、所定の大きさ及び形状の無機微結晶とする結晶成長部とを備えたので、形状や大きさが制御された無機微結晶を連続して製造することができる。
本発明の他の無機微結晶の製造装置によれは、無機微結晶の原料となる溶液またはスラリーを供給する供給手段と、この供給手段により供給される前記溶液またはスラリーを室温以上かつ800℃以下の第1の温度に保持する温度保持部と、この温度保持部から送り出される前記溶液またはスラリーを前記第1の温度より低くかつ−80℃以上かつ300℃以下の第2の温度に保持して結晶核を析出させる結晶核析出部と、この結晶核析出部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを−80℃以上かつ前記第1の温度以下の第3の温度に保持して前記結晶核を結晶成長させる結晶成長部とを備えたので、形状や大きさが制御された無機微結晶を連続して製造することができる。
本発明の無機微結晶の製造装置の各実施の形態について説明する。
なお、これらの形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
「第1の実施形態」
図1は、本発明の第1の実施形態の無機微結晶の製造装置を示す概略構成図であり、形状や大きさが制御された無機微結晶を連続して製造する装置である。
図において、1は無機微結晶の原料となる溶液(またはスラリー)Sを貯留する原料タンク(貯留槽)、2は溶液(またはスラリー)Sを搬送する配管、3は配管2に設けられて原料タンク1に貯留される溶液(またはスラリー)Sを供給するポンプであり、これら原料タンク1、配管2及びポンプ3により原料供給部(供給手段)4が構成されている。
また、5はポンプ3の出口側に接続された配管、6はポンプ3から送り出されて配管5内を流動する溶液(またはスラリー)Sを温度(1)、例えば−80℃以上かつ300℃以下の温度に保持する低温部(温度保持部)、7は低温部6から送り出される溶液(またはスラリー)Sを温度(1)と異なる温度(2)、例えば、温度(1)より高くかつ室温以上かつ800℃以下の高温に保持して結晶核を析出させる結晶核析出部であり、低温部6と結晶核析出部7により配管5内に温度勾配が形成されることで、配管5内を流動する溶液(またはスラリー)Sが急激に温度変化することにより、溶液(またはスラリー)Sが化学反応して結晶核を生成する様になっている。
また、8は結晶核析出部7から送り出される結晶核を含む溶液(またはスラリー)S’を温度(3)、例えば−80℃以上かつ温度(2)以下に保持し、結晶核を所定の大きさ及び形状の結晶に成長させるオートクレーブ容器等からなる密閉式の反応槽である。
この反応槽8には、結晶核を含む溶液(またはスラリー)S’を攪拌する攪拌機11、結晶核を含む溶液(またはスラリー)S’を温度(3)に加熱し保持するヒーター12、反応槽8内を所定の圧力のアルゴン(Ar)ガス雰囲気にするためのArボンベ13及びArガスの圧力を測定するための圧力計14が設けられている。
また、21は反応槽8により所定の大きさ及び形状に成長した無機微結晶を含む溶液(またはスラリー)S”を搬送するための配管、22は配管21に設けられた逆止弁、23は背圧弁、24は配管21、逆止弁22及び背圧弁23を経由して流出する無機微結晶を含む溶液(またはスラリー)S”を回収するための容器、25は配管21に連通される配管26の端部に設けられ純水を貯留する水槽、27はポンプである。
この製造装置では、これら原料タンク1からポンプ27に至るそれぞれの作動は、図示しない制御装置により制御されている。
この製造装置は、溶液(またはスラリー)が原料タンク1から送り出された後、配管2、5、反応槽8、配管21を経由して容器24にて回収されるまで、外部の雰囲気から隔離された閉鎖型の反応系となっている。
この無機微結晶の製造装置では、低温部6は、溶液(またはスラリー)Sを温度(1)に保持することができるものであればよく、例えば、二重管の外周に加熱用のヒーターが巻回された管型反応器が好ましい。ヒーター付きの二重管とすることで、溶液(またはスラリー)Sを広い温度範囲で温度制御することが容易になる。この低温部6の温度としては、特に限定するものではないが、下限の温度は、ドライアイス及びエタノールからなる寒剤が到達可能な温度である−80℃とし、上限の温度は、一般的に伝熱媒体として用いられる有機溶剤の耐熱温度である300℃とするのが好ましい。
また、低温部6と結晶核析出部7は隣接させることが好ましい。また、低温部6と結晶核析出部7を連通する配管5の径が十分細い場合には、冷却あるいは加熱が容易であり、配管5を流れる溶液(またはスラリー)Sに対して容易に温度勾配を形成し、また温度勾配を容易に変更することが可能であるから、結晶核の生成段階で急激な温度変化に伴う微結晶の生成が可能になる。
また、結晶核析出部7の温度範囲については、結晶核を析出させることのできる温度範囲であればよく、低温部6と同様、特に限定するものではないが、温度の制御の容易さ等から、室温(25℃)からステンレスの耐熱温度の上限である800℃までの範囲が好適である。
また、反応槽8の温度範囲についても、結晶核を所定の大きさ及び形状の結晶に成長させることのできる温度範囲であればよく、低温部6及び結晶核析出部7と同様、特に限定するものではないが、加熱、冷却のいずれかの方法を採用することにより、−80℃から800℃まで設定することが可能である。
次に、この無機微結晶の製造装置を用いて無機微結晶を製造する方法について説明する。
まず、無機微結晶の原料となる溶液(またはスラリー)Sを調製し、原料タンク1に貯留する。
次いで、この溶液(またはスラリー)Sを配管2及びポンプ3を介して低温部6に定量供給し、温度(1)、例えば−80℃以上かつ300℃以下の温度に保持する。
ここで、溶液(またはスラリー)Sをドライアイス及びエタノールからなる寒剤を用いて冷却すれば、−80℃、あるいはその近辺にまで冷却可能である。また、溶液(またはスラリー)Sをヒーターにより加熱すれば、有機溶剤の耐熱温度である300℃まで加熱可能である。
次いで、低温部6から送り出された溶液(またはスラリー)Sを結晶核析出部7に移動させ、温度(1)と異なる温度(2)、例えば、温度(1)より高くかつ室温以上かつ800℃以下の高温に保持して溶液(またはスラリー)Sに化学反応を生じさせ、溶液(またはスラリー)S内に無機微結晶の核となる結晶核を析出させる。
低温部6と結晶核析出部7との間に急峻な温度勾配があるので、ここを通過する溶液(またはスラリー)Sは急激な温度変化による急激な化学反応により、極めて微小な結晶核を瞬時にしかも多量に生成することとなる。
この様にして発生した微小な結晶核を含む溶液(またはスラリー)S’は、反応槽8に送り込まれる。この反応槽8は、内部がArボンベ13及び圧力計14により所定の圧力のArガス雰囲気とされているので、溶液(またはスラリー)S’は、酸化等により変質する虞がない。
この溶液(またはスラリー)S’は、攪拌機11により攪拌されると同時にヒーター12により温度(3)、例えば−80℃以上かつ前記温度(2)以下に加熱され保持される。
同時に、Arボンベ13及び圧力計14により反応槽8内部の雰囲気が、例えば、0.1〜30MPaのAr雰囲気に保たれる。
ここでは、微小な結晶核を基に、均一な大きさ及び形状の無機微結晶に徐々に結晶成長させる必要があるので、温度(3)は温度(2)以下であることが好ましい。
この結晶核を含む溶液(またはスラリー)S’を反応槽8内で所定時間熟成することにより、結晶核が結晶成長し、所定の大きさ及び形状の無機微結晶となる。
ここでは、熟成の際の温度、雰囲気及び圧力を一定に保持しているので、微小な結晶核を基に無機微結晶を容易かつ大量に、しかも連続的に生成することができる。
この無機微結晶を含む溶液(またはスラリー)S”は、配管21、逆止弁22を経由した後に、水槽25から送られる純水と混合され、背圧弁23を経由して容器24にて回収される。背圧弁23を絞ることにより、配管2から配管22に至る反応系全体の圧力を任意に制御することができる。
この無機微結晶を含む溶液(またはスラリー)S”は、そのままの状態で使用してもよく、また、無機微結晶単体を用いる場合には、限外濾過法等により無機微結晶を溶液(またはスラリー)S”から分離し、その後、真空乾燥等により乾燥させればよい。
以上により、微小な無機微結晶、あるいは微小な無機微結晶を含む溶液(またはスラリー)S”を連続して製造することができる。
しかも、装置構成が簡単であり、しかも安価であるから、製造コストを大幅に削減することができる。
本実施形態によれば、従来の水熱合成反応による粉末合成において成し得なかった結晶核の生成段階における温度条件と、結晶核の成長段階における温度条件とを、互いに独立して設定することができる。したがって、従来と比較して、得られた無機微結晶の結晶子径及び結晶性制御が多様となり、大きさ及び形状が制御された無機微結晶を大量かつ容易に製造することができる。
本実施形態の溶液(またはスラリー)Sを原料とする粉末合成は、各種金属酸化物、リン酸化合物、シュウ酸化合物、水酸化物等の粉末を合成する水熱合成に適用可能である。
「第2の実施形態」
図2は、本発明の第2の実施形態の無機微結晶の製造装置を示す概略構成図であり、本実施形態の製造装置が上述した第1の実施形態の製造装置と異なる点は、第1の実施形態の製造装置では、結晶核析出部7の後に反応槽8を設けたのに対し、本実施形態の製造装置では、結晶核析出部7と反応槽8との間に、結晶核析出部7から送り出される結晶核を含む溶液(またはスラリー)S’を温度(2)と異なる温度(4)に保持する低温部(第2の温度保持部)31を設けた点である。
低温部31の温度(4)は、生成する結晶核の種類や大きさにより適宜設定すれば良く、温度(2)と異なる温度であればよい。例えば、低温部6の温度(1)と同じであってもよく、異なってもよい。
この製造装置では、低温部31の温度(4)を結晶核析出部7の温度(2)以下とすることにより、微小な結晶核を含む溶液(またはスラリー)S’が低温部31にて一旦冷却され、成長過程の結晶核の成長が一旦停止するので、極めて微小な結晶核を含む溶液(またはスラリー)S’が反応槽8に送り込まれることになる。したがって、反応槽8では、極めて微小な結晶核を含む溶液(またはスラリー)S’を熟成することになるので、単分散性に優れた無機微結晶を容易に生成することができる。
「第3の実施形態」
図3は、本発明の第3の実施形態の無機微結晶の製造装置を示す概略構成図であり、本実施形態の製造装置が上述した第1の実施形態の製造装置と異なる点は、第1の実施形態の製造装置では、溶液(またはスラリー)Sを温度(1)に保持する低温部6の後に、溶液(またはスラリー)Sを温度(1)より高い温度に保持して結晶核を析出させる結晶核析出部7を設けたのに対し、本実施形態の製造装置では、溶液(またはスラリー)Sを加熱し高温の温度(1)に保持する高温部(温度保持部)41の後に、溶液(またはスラリー)Sを温度(1)より低い温度(2)に冷却して結晶核を析出させる結晶核析出部42を設けた点である。
この製造装置では、高温部41にて溶液(またはスラリー)Sをヒーター等の加熱装置により室温(25℃)以上かつ800℃以下の温度(1)に加熱し保持することにより、溶液(またはスラリー)Sを溶解させる。次いで、結晶核析出部42にて、この溶液(またはスラリー)Sを空冷、水冷等により、温度(1)より低くかつ−80℃以上かつ300℃以下の温度(2)に冷却することにより、結晶核を析出させる。
この様に、高温部41と結晶核析出部42との間に急峻な温度勾配があるので、ここを通過する溶液(またはスラリー)Sは急激な温度変化による急激な化学反応の停止により、極めて微小な結晶核を瞬時にしかも多量に生成することとなる。
この製造装置においても、単分散性に優れた無機微結晶を容易に生成することができる。
「第4の実施形態」
図4は、本発明の第4の実施形態の無機微結晶の製造装置を示す概略構成図であり、本実施形態の製造装置が上述した第3の実施形態の製造装置と異なる点は、第3の実施形態の製造装置では、結晶核析出部42の後に反応槽8を設けたのに対し、本実施形態の製造装置では、結晶核析出部42と反応槽8との間に、結晶核析出部42から送り出される結晶核を含む溶液(またはスラリー)S’を温度(2)と異なる温度(4)に保持する高温部(第2の温度保持部)51を設けた点である。
高温部51の温度(4)は、生成する結晶核の種類や大きさにより適宜設定すれば良く、温度(2)と異なる温度であればよい。例えば、高温部41の温度(1)と同じであってもよく、異なってもよい。
この製造装置では、高温部51の温度(4)を結晶核析出部42の温度(2)以上とすることにより、微小な結晶核を含む溶液(またはスラリー)S’が高温部51にて再度加熱され、微小な結晶核の更なる成長を抑制したままの状態で反応槽8に送り込まれることになる。したがって、反応槽8では、微小な結晶核を含む溶液(またはスラリー)S’を熟成することになるので、結晶性が高くしかも単分散性に優れた無機微結晶を容易に生成することができる。
本発明の無機微結晶の製造方法及び製造装置は、結晶核の析出過程、結晶核を基に結晶成長させる結晶成長過程等における温度制御を容易にすることにより、無機微結晶の析出条件や成長条件を容易に制御することが可能であるから、水熱合成法が適用される様々な無機微結晶の合成に適用可能であり、その工業的価値は極めて大きなものである。
本発明の第1の実施形態の無機微結晶の製造装置を示す概略構成図である。 本発明の第2の実施形態の無機微結晶の製造装置を示す概略構成図である。 本発明の第3の実施形態の無機微結晶の製造装置を示す概略構成図である。 本発明の第4の実施形態の無機微結晶の製造装置を示す概略構成図である。
符号の説明
1 原料タンク
2 配管
3 ポンプ
4 原料供給部
5 配管
6 低温部
7 結晶核析出部
8 反応槽
11 攪拌機
12 ヒーター
13 Arボンベ
14 圧力計
21 配管
22 逆止弁
23 背圧弁
24 容器
25 水槽
26 配管
27 ポンプ
31 低温部
41 高温部
42 結晶核析出部
51 高温部

Claims (6)

  1. 水熱合成法により、各種金属酸化物、リン酸化合物、シュウ酸化合物または水酸化物からなる無機微結晶を連続して製造する装置であって、
    無機微結晶の原料となる溶液またはスラリーを供給する供給手段と、この供給手段により供給される前記溶液またはスラリーを−80℃以上かつ300℃以下の第1の温度に保持する温度保持部と、この温度保持部に隣接して設けられ、この温度保持部から送り出される前記溶液またはスラリーを前記第1の温度より高くかつ室温以上かつ800℃以下の第2の温度に保持して前記溶液またはスラリーに急激な化学反応を生じさせ、前記溶液またはスラリー内に無機微結晶の核となる結晶核を析出させる結晶核析出部と、この結晶核析出部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを−80℃以上かつ前記第2の温度以下の第3の温度に保持して前記結晶核を結晶成長させ、所定の大きさ及び形状の無機微結晶とする結晶成長部とを備えてなることを特徴とする無機微結晶の製造装置。
  2. 前記結晶核析出部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを前記第2の温度と異なる第4の温度に保持する第2の温度保持部を備え、
    この第2の温度保持部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを前記結晶成長部に送り込むことを特徴とする請求項1記載の無機微結晶の製造装置。
  3. 水熱合成法により、各種金属酸化物、リン酸化合物、シュウ酸化合物または水酸化物からなる無機微結晶を連続して製造する装置であって、
    無機微結晶の原料となる溶液またはスラリーを供給する供給手段と、この供給手段により供給される前記溶液またはスラリーを室温以上かつ800℃以下の第1の温度に保持する温度保持部と、この温度保持部から送り出される前記溶液またはスラリーを前記第1の温度より低くかつ−80℃以上かつ300℃以下の第2の温度に保持して結晶核を析出させる結晶核析出部と、この結晶核析出部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを−80℃以上かつ前記第1の温度以下の第3の温度に保持して前記結晶核を結晶成長させる結晶成長部とを備えてなることを特徴とする無機微結晶の製造装置。
  4. 前記結晶核析出部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを前記第2の温度と異なる第4の温度に保持する第2の温度保持部を備え、
    この第2の温度保持部から送り出される結晶核を含む溶液またはスラリーを前記結晶成長部に送り込むことを特徴とする請求項3記載の無機微結晶の製造装置。
  5. 前記結晶成長部に、この結晶成長部の内部の圧力を制御する圧力制御手段を設けてなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の無機微結晶の製造装置。
  6. 外部の雰囲気から隔離された閉鎖型の反応系であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の無機微結晶の製造装置。
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