JP5017611B2 - 冷凍装置及び多段冷凍装置 - Google Patents

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Description

本発明は、冷媒回路内に封入された冷媒を吸着及び脱着する機能を有する吸着ユニットを備えた吸着式冷凍装置と一般的な蒸気圧縮冷凍装置のハイブリッドに関するものである。
従来の冷凍装置は、圧縮機を含む冷媒回路構成部品の設計が容易な、約2Mpaと冷媒回路内の圧力を低く抑えられるフロンガスが用いられていた。しかし、フロンガスはオゾン層破壊などの環境破壊の問題があった。そこで、近年ではフロンガスに変わって地球環境にやさしい自然冷媒である二酸化炭素が主流となってきている。
該二酸化炭素を冷媒とする冷凍装置(ヒートポンプ)は、圧縮機が運転されると冷媒ガスは吸込ポートから1段目のシリンダの低圧室側に吸入され、1段目の圧縮が行われて中間圧となりシリンダの高圧室側より吐出ポートを通り、オイルセパレータを兼ねたマフラー内に流入して速度を落とす。これによって、冷媒ガスの脈動が平準化されて、密閉容器内に吐出される。密閉容器内に吐出された冷媒ガスは、吸込ポートから2段目のシリンダの低圧室側に吸入され、2段目の圧縮が行われて高温高圧の冷媒ガスとなり高圧室側からガスクーラに流入し、そこで放熱して冷却される。
ガスクーラを出た冷媒ガスは、膨張弁で減圧された後、蒸発器に流入して蒸発する。そして、蒸発器に流入した冷媒が蒸発する時に周囲から奪う気化熱により、周囲の空気が冷却されて冷却庫内の冷却や、冷房などが行われる。蒸発器で蒸発した冷媒蒸気はアキュムレータ(気液分離器)を経て吸込ポートから1段目のシリンダの低圧室側に吸い込まれるサイクルを繰り返す(特許文献1参照)。
特開2007−92734号公報 特開2001−272129号公報
しかしながら、自然冷媒である二酸化炭素は、圧縮機の高圧側が極めて高圧の超臨界圧力で使用しなければならないため、圧縮機から吐出される冷媒回路内の圧力は約10Mpaの高圧となる。このため、圧縮機を含む冷媒回路構成部品を設計から高耐圧のものに変えなければならず、冷凍装置がコストアップとなってしまう問題があった。
また、冷媒回路内の冷媒を二酸化炭素の代わりに自然冷媒である炭化水素(ブタン、プロパン、イソブタンなど)の使用も考えられるが、冷媒回路内に封入した炭化水素が漏れ出して引火した場合爆発する危険性があった。そこで、それらを同時に解決できる吸着蒸気圧縮式ハイブリッド冷凍装置を開発した。
本発明は、係る従来技術の課題を解決するために成されたものであり、地球環境にやさしく、且つ、冷凍装置のコストアップを抑えられる冷凍装置を提供することを目的とする。
即ち、本発明の冷凍装置は、二酸化炭素を吸着及び脱着する機能を有すると共に、炭化水素は実質的に吸着しない吸着剤をそれぞれ備えた複数の吸着ユニットと、吐出側が一方の吸着ユニットに接続され、吸入側が他方の吸着ユニットに接続されると共に、二酸化炭素と炭化水素とが混合された冷媒を圧縮して吐出側より吐出し、吸入側より吸引する圧縮機と、該圧縮機の吐出側が一方の吸着ユニットに接続され、且つ、吸入側が他方の吸着ユニットに接続された状態と、圧縮機の吐出側が他方の吸着ユニットに接続され、且つ、吸入側が一方の吸着ユニットに接続された状態とで圧縮機と各吸着ユニットとの接続を切り換える切換手段と、該切換手段により圧縮機の吐出側に接続された吸着ユニットを経た冷媒を減圧する減圧手段と、該減圧手段にて減圧された冷媒が流入して蒸発する蒸発器とを備え、該蒸発器を出た冷媒が圧縮機の吸入側から吸引されるよう冷媒回路が構成されていることを特徴とする。
また、請求項2の発明の冷凍装置は、上記において、切換手段により圧縮機の吐出側に接続された吸着ユニットを経た冷媒を、圧縮機の吸入側に接続された吸着ユニットと熱交換させた後、減圧手段に流入させる凝縮用熱交換配管を備えたことを特徴とする。
また、請求項3の発明の冷凍装置は、請求項2において、蒸発器から出た冷媒を、圧縮機の吸入側に接続された吸着ユニットに流入させる帰還用配管を備えたことを特徴とする。
また、請求項4の発明の多段冷凍装置は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の冷凍装置の冷媒回路を高温側冷媒回路として用い、圧縮機、凝縮器、減圧手段、及び、蒸発器が順次環状に配管接続された低温側冷媒回路と、高温側冷媒回路の蒸発器と低温側冷媒回路の凝縮器とが熱交換関係に設けられて構成されたカスケードコンデンサとを備えたことを特徴とする。
また、請求項5の発明の多段冷凍装置は、請求項4において、高温側冷媒回路は、各吸着ユニットそれぞれに対応した複数の減圧手段及び蒸発器を備えると共に、低温側冷媒回路は、高温側冷媒回路の各蒸発器に対応して複数のカスケードコンデンサを構成する複数の凝縮器を備えたことを特徴とする。
また、請求項6の発明の多段冷凍装置は、請求項5において、低温側冷媒回路は、圧縮機から吐出された冷媒を、高温側冷媒回路の圧縮機の吸入側に接続された吸着ユニットと熱交換させる過冷却用配管を備えたことを特徴とする。
請求項1の発明の冷凍装置によれば、二酸化炭素を吸着及び脱着する機能を有すると共に、炭化水素は実質的に吸着しない吸着剤をそれぞれ備えた複数の吸着ユニットと、吐出側が一方の吸着ユニットに接続され、吸入側が他方の吸着ユニットに接続されると共に、二酸化炭素と炭化水素とが混合された冷媒を圧縮して吐出側より吐出し、吸入側より吸引する圧縮機と、この圧縮機の吐出側が一方の吸着ユニットに接続され、且つ、吸入側が他方の吸着ユニットに接続された状態と、圧縮機の吐出側が他方の吸着ユニットに接続され、且つ、吸入側が一方の吸着ユニットに接続された状態とで圧縮機と各吸着ユニットとの接続を切り換える切換手段と、この切換手段により圧縮機の吐出側に接続された吸着ユニットを経た冷媒を減圧する減圧手段と、この減圧手段にて減圧された冷媒が流入して蒸発する蒸発器とを備え、この蒸発器を出た冷媒が圧縮機の吸入側から吸引されるよう冷媒回路が構成されているので、圧縮機から吐出された冷媒中の二酸化炭素は吸着ユニットの吸着剤に吸着され、炭化水素が吸着ユニットを経て減圧手段にて減圧された後、蒸発器に流入して蒸発し、冷却作用を発揮するようになる。
即ち、二酸化炭素と炭化水素の混合冷媒にて冷却作用を発揮させることができるので、冷媒による地球環境問題を解決することが可能となると共に、二酸化炭素の混合によって炭化水素の不燃化も実現することができるようになり、取扱の簡易化と安全性の向上を図ることができるようになる。また、二酸化炭素を圧縮した後、減圧し、蒸発させて冷却作用を発揮させるものでは無いので、冷媒回路内の圧力を低く抑えることが可能となり、圧縮機を含む冷媒回路構成部品のコストの削減と耐圧設計の簡略化をも図ることも可能となる。
更に、複数の吸着ユニットを用い、切換手段により二酸化炭素の吸着と脱着とを交互に切り換えて実行しながら、炭化水素を減圧手段にて減圧した後、蒸発器に流入させ、蒸発させた後、圧縮機に吸引させることができるので、蒸発器における冷却作用も連続的に得られるようになる。更にまた、圧縮機のオイルも、炭化水素によって圧縮機に搬送し、帰還させることができるものである。
また、請求項2の発明の冷凍装置によれば、上記に加えて切換手段により圧縮機の吐出側に接続された吸着ユニットを経た冷媒を、圧縮機の吸入側に接続された吸着ユニットと熱交換させた後、減圧手段に流入させる凝縮用熱交換配管を備えているので、二酸化炭素の脱着の際に生じる吸熱反応を利用して炭化水素を冷却し、凝縮させることができるようになり、蒸発器における冷却作用と運転効率の向上を図ることができるようになる。
また、請求項3の発明の冷凍装置によれば、上記に加えて蒸発器から出た冷媒を、圧縮機の吸入側に接続された吸着ユニットに流入させる帰還用配管を備えているので、蒸発器を出た低温の冷媒によっても、凝縮用熱交換配管を流れる炭化水素を冷却することができるようになるので、更なる冷却作用と運転効率の向上を図ることができるようになる。
請求項4の発明によれば、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の冷凍装置の冷媒回路を高温側冷媒回路として用い、圧縮機、凝縮器、減圧手段、及び、蒸発器が順次環状に配管接続された低温側冷媒回路と、高温側冷媒回路の蒸発器と低温側冷媒回路の凝縮器とが熱交換関係に設けられて構成されたカスケードコンデンサとを設けて多段冷凍装置を構成しているので、低温側冷媒回路に沸点の低い冷媒を用い、カスケードコンデンサにて凝縮させて蒸発器にて蒸発させることが可能となるので、この低温側冷媒回路の蒸発器にて極低温を得ることができるようになる。
また、請求項5の発明の多段冷凍装置によれば、上記に加えて高温側冷媒回路は、各吸着ユニットそれぞれに対応した複数の減圧手段及び蒸発器を備えると共に、低温側冷媒回路は、高温側冷媒回路の各蒸発器に対応して複数のカスケードコンデンサを構成する複数の凝縮器を備えているので、高温側冷媒回路の圧縮機と吸着ユニットとの接続切換に伴い、高温側冷媒回路の蒸発器に流れる冷媒の方向が逆になることが防止できるようになるので、蒸発器における冷媒循環に支障が生じなくなる。
更に、請求項6の発明の多段冷凍装置によれば、上記に加えて低温側冷媒回路は、圧縮機から吐出された冷媒を、高温側冷媒回路の圧縮機の吸入側に接続された吸着ユニットと熱交換させる過冷却用配管を備えているので、二酸化炭素の脱着の際に生じる吸熱反応を利用して低温側冷媒回路の圧縮機から吐出された冷媒を冷却することが可能となり、低温側冷媒回路の蒸発器における冷却作用と多段冷凍装置全体としての運転効率の向上も図ることができるようになる。
本発明は、自然冷媒の使用で爆発の危険性と冷媒回路内が高圧になりコストアップになってしまうのを防止することを最も主な特徴とする。冷媒爆発の危険性と冷凍装置のコストアップを防止するという目的を、冷媒を二酸化炭素と炭化水素とを所定の割合で混合し、炭化水素を吸着しない吸着剤をそれぞれ備えた複数の吸着ユニットを設けることで実現した。
次に、図面に基づき本発明の実施の形態を詳述する。図1は本発明の一実施例を示す冷凍装置1の冷媒回路図を示している。冷却装置1は、例えば冷凍、冷蔵ショーケース等の庫内冷却、或いはエアコンなどで冷房を行うために用いられるもので、冷凍装置1を構成する圧縮機2の吐出側2Aは吐出側配管3を介してプレクーラ4の入口に接続されている。プレクーラ4の出口は配管5を介して四方弁6(本発明の切換手段に相当)の接続ポート6Aに接続されている。該四方弁6は、4ヶ所の接続ポート6A、6B、6C、6Dを備えており、後述する制御装置31によって接続ポート6Aと6B、接続ポート6Cと6Dとを連通する第1の切換状態と、接続ポート6Aと6C、接続ポート6Bと6Dとを連通する第2の切換状態とを有している。
そして、四方弁6の接続ポート6Bは、配管7を介してタンク(密閉容器)にて構成された第1の吸着ユニット8(本発明の複数の吸着ユニットの内の一つ)の接続口8Aに接続されている。第1の吸着ユニット8の内部には、冷媒回路内に二酸化炭素と炭化水素とが所定の割合で混合された冷媒が押し込まれた(圧送)ときに二酸化炭素を吸着し、吸引(減圧)されて二酸化炭素を脱着する機能を有する吸着剤9が設けられている。この吸着剤9は、炭化水素系冷媒は吸着しない、或いは、殆ど吸着しない(実質的に吸着しない)活性炭或いはシリカゲルなどにて構成されている。該第1の吸着ユニット8には当該第1の吸着ユニット8の放熱を行うための送風機20が近接して設けられている。
第1の吸着ユニット8の他の接続口8Bには、第1の凝縮用熱交換配管11が接続され、この第1の凝縮用熱交換配管11は第2の吸着ユニット18内を通過した後、第1のキャピラリチューブ12(本発明の減圧手段に相当)の入口に接続されている。この第2の吸着ユニット18は、第1の吸着ユニット8同様に構成されており内部には吸着剤9同様の吸着剤19が配設されている。また、第1の凝縮用熱交換配管11は第2の吸着ユニット18内において、内部に設けられた吸着剤19及びその内部を流れる冷媒と熱交換関係に構成されている。
そして、キャピラリチューブ12の出口は蒸発器13の一端に接続され、蒸発器13の他端は帰還用配管14を介して、冷媒回路内に封入された冷媒の流通、停止を行う開閉式の、第1の電磁弁15の入口に接続されている。第1の電磁弁15の出口は、配管16を介して第2の吸着ユニット18の接続口18Cから内部を通り、第2の吸着ユニット18の他の接続口18Aから配管17を介して四方弁6の接続ポート6Cに接続されている。四方弁6の接続ポート6Dは吸入側配管23を介して圧縮機2の吸入側2Bに接続される、環状の冷媒回路が構成されている。該第2の吸着ユニット18にも当該第2の吸着ユニット18の放熱を行うための送風機30が近接して設けられている。
また、第2の吸着ユニット18の他の接続口18Bには第2の凝縮用熱交換配管21が接続され、この第2の凝縮用熱交換配管21は第1の吸着ユニット8内を通過した後、第2のキャピラリチューブ22(本発明の減圧手段に相当)の入口に接続されている。第2の凝縮用熱交換配管21も第1の凝縮用熱交換配管11同様、第1の吸着ユニット8内において、内部に設けられた吸着剤9及びその内部を流れる冷媒と熱交換関係に構成されている。
そして、第2のキャピラリチューブ22の出口は蒸発器13の他端に接続されている。また、蒸発器13の一端は、配管24を介して冷媒回路内に封入された冷媒の流通、停止を行う開閉式の、第2の電磁弁25の入口に接続されている。この第2の電磁弁25の出口は配管26を介して第1の吸着ユニット8の他の接続口8Cに接続されている。
一方、冷凍装置1には制御装置31が設けられており、この制御装置31は、圧縮機2及び送風機20、30の運転制御を行うと共に、四方弁6の切り換え、及び、第1、第2の電磁弁15、25の開閉制御を行う。そして、冷媒回路内には圧縮機2を含む冷媒回路構成部品の耐圧設計が容易、且つ、混合冷媒(二酸化炭素と爆発する危険性のある炭化水素とが所定の割合で混合された冷媒)封入される。また、冷凍機油としては、第1、第2の吸着ユニット8、18内のオイルを、ブタンにて搬送可能な、例えば鉱物油(ミネラルオイル)、PAG(ポリアルキレングリコール)、アルキルベンゼン油、エーテル油、エステル油等既存のオイルが使用される。
また、実施例では混合冷媒としては炭化水素(CO2)とブタンが用いられる。このときの二酸化炭素とブタンとを、例えば7:3の割合で混合される。これにより、冷媒回路内の圧力を二酸化炭素だけの冷媒の時よりも大幅に低く抑えている(例えば、従来使用していたフロンガスと略同等の圧力)。これにより、圧縮機2を含む冷媒回路構成部品は、フロンガスの耐圧設計の部品をそのまま使用することができ、圧縮機2を含む冷媒回路構成部品のコストの低減を図ることが可能となる。
また、炭化水素としてはブタンの代わりにプロパン、イソブタンなどを用いても差し支えない。即ち、二酸化炭素とイソブタンとの混合冷媒、二酸化炭素とプロパンとの混合冷媒であっても差し支えない。該炭化水素は引火性が強く、爆発する危険性がある。そこで、爆発の危険性を防止するため、二酸化炭素と炭化水素(プロパン、イソブタン)とを8〜7:2〜3の割合で混合している。即ち、二酸化炭素と炭化水素(プロパン、イソブタン)とを8〜7:2〜3の割合で混合することにより冷媒を不燃性にすることができる。これにより、炭化水素を混合した混合冷媒の不燃化を図ることが可能となる。該二酸化炭素とブタンとの混合冷媒の沸点は約−0.5℃、二酸化炭素とプロパンとの混合冷媒の沸点は約−42.1℃、二酸化炭素とイソブタンとの混合冷媒の沸点は約−11.8℃となる。
そして、冷凍装置1の運転が開始されると、制御装置31は圧縮機2の運転を開始し、四方弁6を第1の切換状態にすると同時に第1電磁弁15を開いて電磁弁25を閉じることにより、第1の吸着ユニット8は二酸化炭素の吸着状態、第2の吸着ユニット18は二酸化炭素の脱着状態となる。即ち、図1黒矢印で示すように圧縮機2の吐出側2Aから吐出された高温冷媒(二酸化炭素とブタン)は、プレクーラ4にて放熱し、配管5、四方弁6、配管7を介して第1の吸着ユニット8に押し込まれて、そこで二酸化炭素は吸着剤9に吸着されていく。
そして、二酸化炭素が吸着剤9に吸着された後の冷媒(炭化水素成分が非常にリッチとなった冷媒)は、第1の吸着ユニット8の、他の接続口8Bから第1の凝縮用熱交換配管11内、第2の吸着ユニット18内を通り、第1のキャピラリチューブ12で減圧され、蒸発器13にて蒸発し冷却作用(冷却庫内の冷却や、エアコンなどの冷房)を発揮した後、電磁弁15を介して接続口18Cから第2の吸着ユニット18内に入る。冷媒は第2の吸着ユニット18内が減圧され吸着剤19から脱着された炭化水素と混合されて、他の接続口18Aから配管17を介して四方弁6を通り圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。

そこで冷媒(二酸化炭素)は、後述する四方弁6が第2の切換状態のときに第2の吸着ユニット18内が減圧され、吸着剤19から脱着された炭化水素と混合されて、他の接続口18Aから配管17を介して四方弁6を通り圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。
そして、制御装置31は、第1の吸着ユニット8で二酸化炭素の吸着が完了する所定のタイミングで、接続ポート6Aと6C、接続ポート6Bと6Dとを連通して四方弁6を第2の切換状態とする。制御装置31は、同時に第1電磁弁15を閉じ、電磁弁25を開き、これによって第2の吸着ユニット18は二酸化炭素の吸着状態、第1の吸着ユニット8は二酸化炭素の脱着状態に切り替わる。
ここで、第1の吸着ユニット8で二酸化炭素の吸着が完了するタイミングを具体的に説明する。この場合、圧縮機2の運転による冷媒の流量から吸着剤9に二酸化炭素が飽和状態まで吸着(100%吸着)される時間を予め実験で求めておく。係る吸着剤9への吸着が飽和状態を超えると、当然二酸化炭素は吸着剤9へ吸着されなくなる。これにより、吸着剤9への二酸化炭素の吸着効率が低下し、冷凍装置1の能力も低下してしまうので、冷凍装置1の運転による冷媒の流量ばらつきを考慮して、第1の吸着ユニット8(第2の吸着ユニット18)で二酸化炭素の吸着が完了するタイミングを、吸着剤9への二酸化炭素の吸着効率を、実験で求めた飽和状態までの時間の約90%の時間に設定している。
即ち、制御装置31は、吸着剤9、19へ二酸化炭素が90%吸着したタイミングで、四方弁6を切り換える。ここで、四方弁6の切り替えで、圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒が流入する側の第1の吸着ユニット8(第2の吸着ユニット18)を吸着側、冷媒が圧縮機2に吸引される側の第2の吸着ユニット18(第1の吸着ユニット8)を脱着側と称す。尚、吸着剤9(19を含む)は二酸化炭素を吸着する際、発熱反応(加熱作用)を呈するので、制御装置31は発熱反応側の送風機20或いは送風機30を運転して、第1、第2の吸着ユニット8、18の放熱を行う。逆に脱着する際、吸熱反応(冷却作用)を呈するので、吸熱反応側の送風機20或いは送風機30の運転は行わない。
係る四方弁6が第1の切換状態では、圧縮機2の吸引により第2の吸着ユニット18内は低圧状態となる。これにより、吸着剤9に吸着された二酸化炭素は第2の吸着ユニット28(脱着側)から脱着する。このときの吸熱反応(冷却作用)により、冷媒は第1の吸着ユニット8から凝縮用熱交換配管11を通過する過程で第2の吸着ユニット18(脱着側)内で冷却され、凝縮する。その後、冷媒は第1のキャピラリチューブ12にて減圧され、蒸発器13にて蒸発し冷却作用を発揮し、第2の吸着ユニット18(脱着側)内で凝縮用熱交換配管11の冷却に寄与した後、四方弁6を経て圧縮機2に吸引される。
そして、吸着剤9への二酸化炭素の吸着が完了すると、制御装置31は四方弁6を第2の切換状態に切り換える。四方弁6が第2の切換状態に切り換わると図2黒矢印で示すように、圧縮機2から吐出された高温冷媒は、プレクーラ4にて放熱し、四方弁6、第2の吸着ユニット18に押し込まれ、そこで二酸化炭素は吸着剤19に吸着されていく。このとき、冷媒と共に冷媒回路内を循環する圧縮機2のオイルも吸着剤19に吸着されていく。二酸化炭素が吸着剤19に吸着された後の冷媒(炭化水素)は、第2の吸着ユニット18の他の接続口18Bから第2の凝縮用熱交換配管21を通り、第1の吸着ユニット8内で冷却され、凝縮する。
そして、冷媒回路内の冷媒に二酸化炭素(CO2)とブタンを用いた場合には、冷凍装置1(蒸発器13)は約−0.5℃、二酸化炭素とプロパンとの混合冷媒では約−42.1℃、二酸化炭素とイソブタンとの混合冷媒では約−11.8℃を達成することができる。この場合、混合冷媒に炭化水素を用いているので、圧縮機2を含む冷媒回路構成部品の耐圧設計も混合冷媒の混合割合を調整すればフロンガスの耐圧設計を略そのままで使用することが可能となる。従って、冷凍装置1を冷蔵庫や冷凍装置などの庫内を冷却することができると共に、エアコンなどにも使用することができる。
そして、その後冷媒は第2のキャピラリチューブ22にて減圧され、蒸発器13にて蒸発し冷却作用を発揮し、第1の吸着ユニット18内で凝縮用熱交換配管12の冷却に寄与した後、四方弁6を経て圧縮機2に吸引される循環を繰り返す。圧縮機2のオイルは、冷媒回路内を流れる冷媒(ブタン)により洗い流され、冷媒と共に搬送されて圧縮機2に戻される。即ち、四方弁6を所定のタイミングで交互に切り換え、第1、第2の吸着ユニット8、18内のオイルを流すようにしている。
このように、冷凍装置1は二酸化炭素を吸着及び脱着する機能を有すると共に、ブタンは実質的に吸着しない吸着材9をそれぞれ備えた第1、第2の吸着ユニット8、18と、吐出側2Aが第1の吸着ユニット8に接続され、吸入側2Bが第2の吸着ユニット18に接続されると共に、二酸化炭素とブタンとが混合された冷媒を圧縮して吐出側2Aより吐出し、吸入側2Bより吸引する圧縮機2と、この圧縮機2の吐出側2Aが第1の吸着ユニット8に接続され、且つ、吸入側2Bが第2の吸着ユニット18に接続された状態と、圧縮機2の吐出側2Aが第2の吸着ユニット18に接続され、且つ、吸入側2Bが第1の吸着ユニット8に接続された状態とで圧縮機2と両第1、第2の吸着ユニット8、18との接続を切り換える四方弁6と、この四方弁6により圧縮機2の吐出側2Aに接続された第1の吸着ユニット8を経た冷媒を減圧する第1のキャピラリチューブ12と、この第1のキャピラリチューブ12にて減圧された冷媒が流入して蒸発する蒸発器13とを備えている。そして、蒸発器13を出た冷媒が圧縮機2の吸入側2Bから吸引されるよう冷媒回路が構成されているので、圧縮機2から吐出された冷媒中の二酸化炭素は第1の吸着ユニット8の吸着材9に吸着され、ブタンが第1の吸着ユニット8を経て第1のキャピラリチューブ12にて減圧された後、蒸発器13にて冷却作用を発揮させることができる。
即ち、二酸化炭素とブタンの混合冷媒にて冷却作用を発揮させることができるので、冷媒による地球環境問題を解決することが可能となると共に、二酸化炭素とブタンの混合によってブタンの不燃化も実現することができる。これにより、冷凍装置1の取扱の簡易化と安全性の向上を図ることができる。また、二酸化炭素を圧縮した後、減圧し、蒸発させて冷却作用を発揮させるものでは無いので、冷媒回路内の圧力を低く抑えることが可能となり、圧縮機2を含む冷媒回路構成部品のコストの削減と耐圧設計の簡略化をも図ることも可能となる。
また、四方弁6により複数の吸着ユニット(第1、第2の吸着ユニット8、18)を交互に切り換えて、二酸化炭素の吸着と脱着とを実行しながら、ブタンを第1のキャピラリチューブ12にて減圧され、蒸発器13に流入させ、蒸発させた後、圧縮機2に吸引させることができるので、蒸発器13における冷却作用も連続的に得られるようになる。更に、両第1、第2の吸着ユニット8、18の吸着材9に付着した圧縮機2のオイルも、ブタンによって圧縮機2に搬送し、帰還させることができる。
また、四方弁6により圧縮機2の吐出側2Aに接続された第1の吸着ユニット8を経た冷媒を、圧縮機2の吸入側2Bに接続された第2の吸着ユニット18と熱交換させた後、第1のキャピラリチューブ12に流入させる第1の凝縮用熱交換配管11を備えているので、二酸化炭素の脱着の際に生じる吸熱反応を利用してブタンを冷却し、凝縮させることができるので、蒸発器13における冷却作用と運転効率の向上を大幅に向上させることができる。
また、蒸発器13から出た冷媒を、圧縮機2の吸入側2Bに接続された第1、第2の吸着ユニット8、18に流入させる帰還用配管(配管16、26)を備えているので、蒸発器13を出た低温の冷媒によっても、第1、第2の凝縮用熱交換配管11、21を流れるブタンを冷却することができるようになり、更なる冷却作用と運転効率の向上を図ることができる。
次に、図3には本発明の他の実施例の多段冷凍装置60を示している。該多段冷凍装置60は、前述の実施形態と略同じ構成を有している。以下に異なる部分について説明する。尚、前述の実施の形態と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。多段冷凍装置60は、図3に示すように一方に実施例1の冷凍装置1(図中上側)、他方に通常の冷凍装置1A(図中下側)を接続した構成とされている。
該冷凍装置1Aを構成する圧縮機62の吐出側は吐出側配管63を介してプレクーラ64の入口に接続されている。プレクーラ4の出口は配管65を介して凝縮器66の入口に接続され、凝縮器66の出口は配管67を介してキャピラリチューブ68の入口に接続されている。キャピラリチューブ68の出口は配管69を介して蒸発器70の入口に接続され、蒸発器70の出口は吸入側配管71を介して圧縮機62の吸入側に接続される環状の冷媒回路を構成している。また、吸入側配管71にはキャピラリチューブ72を介して、冷凍装置1A運転時の軽負荷時に余剰となる冷媒を溜めておく膨張タンク73が接続されている。
この冷凍装置1Aを構成する凝縮器66と、冷凍装置1を構成する蒸発器13とは熱交換関係に配設されている。該多段冷凍装置60は、実施例1の冷媒回路を高温側冷媒回路とし、冷凍装置1Aの冷媒回路を低温側冷媒回路としている。そして、高温側冷媒回路の蒸発器13と低温側冷媒回路の凝縮器66は熱交換関係に配設されたカスケードコンデンサ74にて構成されている。該高温側冷媒回路内には前述同様の冷媒が封入され、低温側冷媒回路内には、亜酸化チッソ(N2O)、亜酸化チッソとエタノール、亜酸化チッソとエチレンなどの冷媒或いは混合冷媒が封入される。
そして、冷凍装置1は図3黒矢印で示すように、四方弁6が第1の切換状態では圧縮機2から吐出された高温冷媒は、プレクーラ4にて冷却され、四方弁6、第1の吸着ユニット8内に押し込まれ、そこで吸着剤9に二酸化炭素が吸着されていく。このとき、冷媒と共に冷媒回路内を循環するオイルも吸着剤9に吸着されていく。二酸化炭素が吸着剤9に吸着された後の冷媒(炭化水素)は、第1の吸着ユニット8の他の接続口8Bから第1の凝縮用熱交換配管11を介して第2の吸着ユニット18内に流入する。
第2の吸着ユニット18内に流入した冷媒(炭化水素)は第1のキャピラリチューブ12にて減圧され、蒸発器13にて冷却作用を発揮した後、電磁弁15、第2の吸着ユニット18内を通り、四方弁6を介して圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。このとき、冷媒が圧縮機2に吸い込まれ第2の吸着ユニット18内が低圧状態となり、吸着剤19に吸着された二酸化炭素は脱着して圧縮機2に帰還すると共に、圧縮機2のオイルも、ブタンによって圧縮機2に搬送される。この時図3白矢印で示すように、冷凍装置1Aの圧縮機62から吐出された高温冷媒は、プレクーラ64にて放熱し、凝縮器66にて凝縮された後、キャピラリチューブ68で絞られ、蒸発器70にて冷却作用を発揮した後圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。
また、四方弁6が第2の切換状態で、冷凍装置1は図4黒矢印で示すように、圧縮機2から吐出された高温冷媒は、プレクーラ4にて放熱し、四方弁6、第2の吸着ユニット18内、第2の凝縮用熱交換配管21、第1の吸着ユニット8、第2のキャピラリチューブ22、蒸発器13、電磁弁25、第1の吸着ユニット8内、四方弁6を介して圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。この時も冷凍装置1Aを出た冷媒は、四方弁6が第1の切換状態では冷凍装置1の運転時同様図4白矢印で示すように、圧縮機62から吐出された冷媒はプレクーラ64にて放熱し、凝縮器64、キャピラリチューブ68にて絞られ、蒸発器70にて冷却作用を発揮した後圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。
係る多段冷凍装置60が運転された状態では、冷凍装置1は前述した如き四方弁6により第1、第2の吸着ユニット8、18を交互に切り換え、ブタンを第1、第2のキャピラリチューブ12、22にて減圧した後、蒸発器13に流入させる運転を行う。これにより、蒸発器13にて連続的に冷却作用を発生させることができるので、カスケードコンデンサ74の熱交換により、蒸発器70での更なる冷却効果を発揮させることができる。
係る冷媒回路内の冷媒に亜酸化チッソ(N2O)を用いた場合には、冷凍装置1(蒸発器70)は約−90℃、亜酸化チッソとエタノールの混合冷媒では約−88℃、亜酸化チッソとエチレンを用いた場合には約−103.7℃を達成することができる。これにより、極低温の冷凍装置1Aを製造することが可能となる。
このように、多段冷凍装置60には、高温側冷媒回路の蒸発器13と低温側冷媒回路の凝縮器64とが熱交換関係に配設されたカスケードコンデンサ74を設けている。そして、低温側冷媒回路に沸点の低い冷媒を用いて、カスケードコンデンサ74にて凝縮させれば、蒸発器13にて冷却作用を発揮させることができるので、低温側冷媒回路の蒸発器70にて極低温を得ることができる。これにより、多段冷凍装置60の利便性を極めて向上させることが可能となる。
また、膨張タンク73内に低温側冷媒回路の冷媒の吸着剤9を入れて膨張タンク73を小型化し、吸着側となる吸着ユニット8及び18の吸着剤9の発熱を、この膨張タンク73内の吸着剤9から冷媒を追い出すことに利用することができる。その場合には、吸着ユニット8及び18と膨張タンク73の間に図示しないポンプ付きのブライン回路を設け、吸着ユニット8及び18の発熱反応による熱を膨張タンク73に選択的に搬送させるようにすればよい。
また、ブライン回路等で発熱反応を搬送して冷却貯蔵庫(超低温フリーザなど)の結露箇所を加熱し、結露を防止することも可能となる。これにより、多段冷凍装置60の大幅な省エネ化を図ることができる。
前記実施例2の多段冷凍装置60を構成する冷凍装置1では四方弁6を切り替えることにより冷媒を蒸発器13の一端或いは多端から流入させ、蒸発器13の一端或いは多端から冷媒を流出させている。しかし、蒸発器13の冷媒の流れ方向は一定のほうが良いのは従来より知られている。そこで、実施例3では実施例2に対して蒸発器13内の冷媒の流れ方向を一定方向に構成している。該実施例3の多段冷凍装置60は、前述の実施形態と略同じ構成を有している。以下に異なる部分について説明する。尚、前述の実施の形態と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
即ち、実施例3の多段冷凍装置60は図5に示すように一方に実施例1の冷凍装置1、他方に冷凍装置1Bを接続した構成とされている。そして、冷凍装置1の冷媒回路には前述同様、二酸化炭素とブタン、二酸化炭素とプロパン、二酸化炭素とイソブタン等の混合冷媒が封入され、冷凍装置1Aの冷媒回路内には亜酸化チッソ、亜酸化チッソとエタノール、亜酸化チッソとエチレンなどの冷媒、或いは混合冷媒が封入される。
該冷凍装置1は、図5に示すように圧縮機2の吐出側2Aは吐出側配管3を介してプレクーラ4の入口に接続されている。プレクーラ4の出口は配管5を介して四方弁6(本発明の切換手段に相当)の接続ポート6Aに接続されている。この四方弁6は、4ヶ所の接続ポート6A、6B、6C、6Dを備えており、後述する制御装置31によって接続ポート6Aと6B、接続ポート6Cと6Dとを連通する第1の切換状態と、接続ポート6Aと6C、接続ポート6Bと6Dとを連通する第2の切換状態とを有している。
また、四方弁6の接続ポート6Bは、配管7を介してタンク(密閉容器)にて構成された第1の吸着ユニット8(本発明の複数の吸着ユニットの内の一つ)の接続口8Aに接続されている。第1の吸着ユニット8の内部には、冷媒回路内に二酸化炭素と炭化水素とが所定の割合で混合された冷媒が押し込まれた(圧送)ときに二酸化炭素を吸着し、吸引(減圧)されて二酸化炭素を脱着する機能を有する吸着剤9が封入されている。この吸着剤9は、ブタン(冷媒)は吸着しない、或いは、殆ど吸着しない(実質的に吸着しない)活性炭或いはシリカゲルなどにて構成されている。該第1の吸着ユニット8には当該第1の吸着ユニット8の放熱を行うための送風機20が近接して設けられている。
第1の吸着ユニット8の他の接続口8Bには、第1の凝縮用熱交換配管11が接続されている。この第1の凝縮用熱交換配管11は、第2の吸着ユニット18内を通過した後、第1のキャピラリチューブ12(本発明の減圧手段に相当)の入口に接続されている。この第2の吸着ユニット18は第1の吸着ユニット8同様に構成されており、内部には吸着剤9同様の吸着剤19が配設されている。また、第1の凝縮用熱交換配管11は第2の吸着ユニット18内において、内部に設けられた吸着剤19及びその内部を流れる冷媒と熱交換関係に配設されている。
そして、キャピラリチューブ12の出口は蒸発器40の一端に接続され、蒸発器40の他端は配管41を介して、第2の吸着ユニット18の接続口18Cに接続されている。そして、第2の吸着ユニット18の他の接続口18Aに接続された配管17は四方弁6の接続ポート6Cに接続され、四方弁6は吸入側配管23を介して圧縮機2の吸入側2Bに接続される、環状の冷媒回路が構成されている。第2の吸着ユニット18には当該第2の吸着ユニット18の放熱を行うための送風機30が設けられている。
また、第2の吸着ユニット18の他の接続口18Bには第2の凝縮用熱交換配管21が接続され、この第2の凝縮用熱交換配管21は第1の吸着ユニット8内を通過した後、第2のキャピラリチューブ22(本発明の減圧手段に相当)の入口に接続されている。第2の凝縮用熱交換配管21も第1の凝縮用熱交換配管11同様、第1の吸着ユニット8内において、内部に設けられた吸着剤9及びその内部を流れる冷媒と熱交換関係に配設されている。そして、第2のキャピラリチューブ22の出口は蒸発器42の他端に接続され、蒸発器42の一端は配管43を介して第1の吸着ユニット8の接続口8Cに接続されている。
一方、冷凍装置1Bを構成する圧縮機62の吐出側は、吐出側配管63を介してプレクーラ64の入口に接続されている。プレクーラ64の出口は配管65を介して四方弁44の接続ポート44Aに接続されている。また、四方弁44の接続ポート44Bは配管46、過冷却用配管47、配管48を介して凝縮器49に接続されている。この過冷却用配管47は、前記第2の吸着ユニット18内に設けられ、当該第2の吸着ユニット18内を通過する冷媒と熱交換関係に設けられている。
凝縮器49は配管51、凝縮器52、配管54を介して過冷却用配管55に接続されている。この過冷却用配管55は前記第1の吸着ユニット8内に設けられ、当該第1の吸着ユニット8内を通過する冷媒と熱交換関係に設けられている。また、過冷却用配管55は、配管56を介して四方弁44の接続ポート44Cに接続されている。四方弁44の接続ポート44Dは配管67を介してキャピラリチューブ68の入口に接続されている。この四方弁44は、4ヶ所の接続ポート6A、6B、6C、6Dを備えており、制御装置31によって接続ポート6Aと6Bを連通し、接続ポート6Cと6Dとを閉塞する第1の切換状態と、接続ポート6Cと6Dを連通し、接続ポート6Aと6Bとを閉塞する第2の切換状態とを有している。
そして、キャピラリチューブ68の出口は配管69を介して蒸発器70の入口に接続され、蒸発器70の出口は吸入側配管71を介して圧縮機62の吸入側に接続される環状の冷媒回路を構成している。該吸入側配管71にはキャピラリチューブ72を介して、冷凍装置1B運転時の軽負荷時に余剰となる冷媒を溜めておく膨張タンク73が接続されている。また、配管51は分岐してバイパス配管58の一端が接続され、バイパス配管58の他端は配管67に接続されている。係る冷凍装置1と冷凍装置1Bとを構成する蒸発器42と凝縮器52は、熱交換関係に設けられた第1のカスケードコンデンサ53にて構成されると共に、蒸発器40と凝縮器49は、熱交換関係に設けられた第2のカスケードコンデンサ50にて構成されている。
一方、多段冷凍装置60には制御装置31が設けられており、この制御装置31は、圧縮機2及び送風機20、30の運転制御を行うと共に、四方弁6及び四方弁44を第1の切換状態と、第2の切換状態とに切り換える。そして、この場合も冷媒回路内には圧縮機2を含む冷媒回路構成部品の耐圧設計が容易、且つ、混合冷媒(二酸化炭素と爆発する危険性のある炭化水素とが所定の割合で混合された冷媒)封入される。また、冷凍機油としては、第1、第2の吸着ユニット8、18の吸着剤9、19に付着したオイルを、ブタンにて搬送可能な、例えば鉱物油(ミネラルオイル)、PAG(ポリアルキレングリコール)、アルキルベンゼン油、エーテル油、エステル油等既存のオイルが使用される。尚、実施例では混合冷媒としての炭化水素にブタンを用いている。
そして、多段冷凍装置60の運転が開始されると、制御装置31は圧縮機2、62の運転を開始し、四方弁6、44を第1の切換状態にする。係る冷凍装置1では、図5黒矢印で示すように圧縮機2の吐出側2Aから吐出された高温冷媒(二酸化炭素とブタン)は、プレクーラ4にて放熱し、配管5、四方弁6、配管7を介して第1の吸着ユニット8に押し込まれ、そこで吸着剤9に二酸化炭素が吸着されていく。吸着剤9に二酸化炭素が吸着された後の冷媒(炭化水素)は第1の吸着ユニット8の他の接続口8Bから第1の凝縮用熱交換配管11を通り第2の吸着ユニット18内に流入する。
第2の吸着ユニット18内を出た冷媒は、第1のキャピラリチューブ12にて減圧され、第2のカスケードコンデンサ50(蒸発器40)に流入して冷却作用を発揮する。第2のカスケードコンデンサ50(蒸発器40)を出た冷媒は、配管41、第2の吸着ユニット18、四方弁6を経て吸入側配管23、吸入側2Bから圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。
そして、冷凍装置1が運転されると同時に冷凍装置1Bが運転される。冷凍装置1Bでは図5白矢印で示すように、圧縮機62から吐出された高温冷媒は、プレクーラ64にて放熱し、四方弁44、過冷却用配管47を経て第2のカスケードコンデンサ50(凝縮器49)に流入する。このときプレクーラ64にて放熱した冷媒(低温側冷媒回路の冷媒)をカスケードコンデンサ50の前で、更にプレクール(冷却)できるので、冷凍装置1の冷却能力の改善を図ることができる。第2のカスケードコンデンサ50(蒸発器49)出た冷媒は、バイパス配管58を経てキャピラリチューブ68にて減圧され、蒸発器70にて冷却作用を発揮した後、圧縮機62に吸い込まれる循環を繰り返す。
また、四方弁6が第2の切換状態で、冷凍装置1では図6黒矢印で示すように、圧縮機2から吐出された高温冷媒は、プレクーラ4にて放熱し、四方弁6、第2の吸着ユニット18内、第2の凝縮用熱交換配管21、第1の吸着ユニット8を経て第2のキャピラリチューブ22にて減圧され、蒸発器42にて冷却作用を発揮した後、第1の吸着ユニット8内を通り、四方弁6を介して圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。
また、冷凍装置1Bでは図5白矢印で示すように、圧縮機62から吐出された高温冷媒は、プレクーラ64にて放熱し、四方弁44、過冷却用配管55を経て第1のカスケードコンデンサ53(凝縮器52)に流入する。このときプレクーラ64にて放熱した冷媒(低温側冷媒回路の冷媒)をカスケードコンデンサ53の前で、更にプレクール(冷却)できるので、冷凍装置1Bの冷却能力の改善を図ることができる。第1のカスケードコンデンサ53(凝縮器52)を出た冷媒は、バイパス配管58、キャピラリチューブ68にて減圧され、蒸発器70にて冷却作用を発揮した後、圧縮機62に吸い込まれる循環を繰り返す。
このように、高温側冷媒回路は、各吸着ユニット(第1、第2の吸着ユニット8、18)それぞれに対応した複数の減圧手段(第1、第2のキャピラリチューブ12、22)及び蒸発器40、42を備えると共に、低温側冷媒回路は、高温側冷媒回路の各蒸発器40、42に対応して複数のカスケードコンデンサ50、52を構成する複数の凝縮器49、52を備えているので、高温側冷媒回路の圧縮機2と各吸着ユニット(第1、第2の吸着ユニット8、18)との接続切換に伴い、高温側冷媒回路の蒸発器40、42に流れる冷媒の方向が逆になってしまうのを防止することができるので、蒸発器40、42における冷媒循環に支障が生じなくなる。
また、低温側冷媒回路は、圧縮機62から吐出された冷媒を、高温側冷媒回路の圧縮機2の吸入側2Bに接続された吸着ユニット(第1、第2の吸着ユニット8、18)と熱交換させる過冷却用配管47、55を備えているので、二酸化炭素の脱着の際に生じる吸熱反応を利用して低温側冷媒回路の圧縮機62から吐出された冷媒を冷却することが可能となり、低温側冷媒回路の蒸発器40、42における冷却作用と多段冷凍装置60全体としての運転効率の大幅な向上も図ることができる。
また、従来フロンガスを用いた冷媒回路の圧力の範囲で、これらの二酸化炭素と炭化水素の混合冷媒を使用した場合に、空調用の+10℃の温度より超低温冷蔵庫として−85℃以下の温度帯域の冷凍回路の実用化を図ることも期待することができる。
尚、本発明は、上記各実施形態のみに限定されるものではなく、この発明の範囲を逸脱することなく他の様々な変更を行っても本発明は有効である。
本発明の一実施例を示す冷凍装置(四方弁が第1の切換状態)の冷媒回路図である(実施例1)。 同図1の冷凍装置(四方弁が第2の切換状態)の冷媒回路図である。 本発明の一実施例を示す多段冷凍装置(四方弁が第1の切換状態)の冷媒回路図である(実施例2)。 同図3の多段冷凍装置(四方弁が第2の切換状態)の冷媒回路図である。 本発明の一実施例を示すもう一つの多段冷凍装置(四方弁が第1の切換状態)の冷媒回路図である(実施例3)。 同図5のもう一つの多段冷凍装置(四方弁が第2の切換状態)の冷媒回路図である。
符号の説明
1 冷凍装置
2 圧縮機
6 四方弁
8 第1の吸着ユニット
9 吸着剤
11 第1の凝縮用熱交換配管
12 第1のキャピラリチューブ
13 蒸発器
15 第1の電磁弁
18 第2の吸着ユニット
19 吸着剤
21 第2の凝縮用熱交換配管
22 第2のキャピラリチューブ
25 第2の電磁弁
31 制御装置
40 蒸発器
42 蒸発器
44 四方弁
47 過冷却用配管
49 凝縮器
50 第2のカスケードコンデンサ
52 凝縮器
53 第1のカスケードコンデンサ
55 過冷却用配管
58 バイパス配管
60 多段冷凍装置
62 圧縮機
64 プレクーラ
66 凝縮器
68 キャピラリチューブ
70 蒸発器
74 カスケードコンデンサ

Claims (6)

  1. 二酸化炭素を吸着及び脱着する機能を有すると共に、炭化水素は実質的に吸着しない吸着剤をそれぞれ備えた複数の吸着ユニットと、
    吐出側が一方の前記吸着ユニットに接続され、吸入側が他方の前記吸着ユニットに接続されると共に、二酸化炭素と炭化水素とが混合された冷媒を圧縮して前記吐出側より吐出し、前記吸入側より吸引する圧縮機と、
    該圧縮機の吐出側が前記一方の吸着ユニットに接続され、且つ、吸入側が前記他方の吸着ユニットに接続された状態と、前記圧縮機の吐出側が前記他方の吸着ユニットに接続され、且つ、吸入側が前記一方の吸着ユニットに接続された状態とで前記圧縮機と各吸着ユニットとの接続を切り換える切換手段と、
    該切換手段により前記圧縮機の吐出側に接続された前記吸着ユニットを経た冷媒を減圧する減圧手段と、
    該減圧手段にて減圧された冷媒が流入して蒸発する蒸発器とを備え、
    該蒸発器を出た冷媒が前記圧縮機の吸入側から吸引されるよう冷媒回路が構成されていることを特徴とする冷凍装置。
  2. 前記切換手段により前記圧縮機の吐出側に接続された前記吸着ユニットを経た冷媒を、前記圧縮機の吸入側に接続された前記吸着ユニットと熱交換させた後、前記減圧手段に流入させる凝縮用熱交換配管を備えたことを特徴とする請求項1に記載の冷凍装置。
  3. 前記蒸発器から出た冷媒を、前記圧縮機の吸入側に接続された前記吸着ユニットに流入させる帰還用配管を備えたことを特徴とする請求項2に記載の冷凍装置。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の冷凍装置の冷媒回路を高温側冷媒回路として用い、
    圧縮機、凝縮器、減圧手段、及び、蒸発器が順次環状に配管接続された低温側冷媒回路と、前記高温側冷媒回路の蒸発器と前記低温側冷媒回路の凝縮器とが熱交換関係に設けられて構成されたカスケードコンデンサとを備えたことを特徴とする多段冷凍装置。
  5. 前記高温側冷媒回路は、前記各吸着ユニットそれぞれに対応した複数の前記減圧手段及び蒸発器を備えると共に、前記低温側冷媒回路は、前記高温側冷媒回路の各蒸発器に対応して複数の前記カスケードコンデンサを構成する複数の凝縮器を備えたことを特徴とする請求項4に記載の多段冷凍装置。
  6. 前記低温側冷媒回路は、前記圧縮機から吐出された冷媒を、前記高温側冷媒回路の圧縮機の吸入側に接続された前記吸着ユニットと熱交換させる過冷却用配管を備えたことを特徴とする請求項5に記載の多段冷凍装置。
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