JP5017238B2 - 葉酸結合タンパク質の改変体による腫瘍免疫の誘導 - Google Patents

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Description

本発明は、2001年3月9日出願の米国仮特許出願番号60/274,676(これ
は、本明細書中でその全体が参考として援用される)に対する優先権を主張する。
政府は、米国陸軍助成金番号DAMD17−94−J−4313に従って、本発明にお
いて権利を有する。
(発明の分野)
本発明は、癌および免疫学の分野に関する。具体的には、本発明は、腫瘍抗原に対する
腫瘍ワクチンについての組成物および方法に関し、そして細胞傷害性Tリンパ球(CTL
)によって認識されるこれらの抗原上の特定のエピトープに関する。より具体的には、本
発明は、葉酸結合タンパク質(FBP)の改変体についての組成物および方法に関する。
(発明の背景)
腫瘍反応性T細胞は、ヒト癌に対する治療的応答を媒介することが報告されている(R
osenbergら、1988)。特定の例において、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)また
は腫瘍ワクチンを用いたヒト免疫治療試験において、これらの応答は、自己腫瘍に対する
インビトロの細胞傷害性レベル(Aebersoldら、1991)または特定のHLA
−A、HLA−B、HLA−Cの遺伝子産物の発現(Marincolaら、1992)
のいずれかに相関した。現在の研究(Ioannidesら、1992)によれば、ウイ
ルスにコードされた変異癌遺伝子に加えて、過剰発現された自己タンパク質が、種々の悪
性腫瘍を有する患者において、腫瘍反応性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)をある程度誘
発し得ることが提唱されている(Ioannidesら、1992;Ioannides
ら、1993;Brichardら、1993;Jeromeら、1991)。自己腫瘍
反応性CTLは、リンパ球浸潤卵巣悪性腹水(Ioannidesら、1991)から生
成され得、そして過剰発現タンパク質(例えば、HER−2)は、CTL認識についての
標的であり得る(Ioannidesら、1992)。
T細胞は、ほとんどのマウス腫瘍モデルで、腫瘍退縮において重要な役割を果たす。独
自の癌抗原を認識する腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、多くのマウス腫瘍から単離され得
る。インターロイキン−2に加えて、これらのTILの養子移入は、確立された肺および
肝臓の転移物の退縮を媒介し得る(Rosenbergら、1986)。さらに、注射し
たTILによるINF−γの分泌は、マウス腫瘍のインビボの退縮と有意に相関し、腫瘍
抗原によるT細胞の活性化を示唆する(Barthら、1991)。転移性黒色腫を有す
る患者に養子移入された場合、黒色腫患者の35〜40%において転移性癌の退縮を媒介
するTILの既知の能力は、認識される抗原の臨床的重要性を証明する(Rosenbe
rgら、1988;Rosenberg、1992)。
ヒトにおいて癌に対する免疫応答が存在するという強力な証拠は、黒色腫沈着内の腫瘍
反応性リンパ球の存在によって提供される。単離される場合、これらのリンパ球は、MH
C拘束された様式で、自己および同種の黒色腫上の特定の腫瘍抗原を認識し得る(Ito
hら、1986;Muulら、1987;Topalianら、1989;Darrow
ら、1989;Homら、1991;Kawakamiら、1992;Homら、199
3;O’Neilら、1993)。転移性黒色腫を有する患者由来のTILは、メラノサ
イト−黒色腫系統特異的組織抗原を含む共有される抗原を、インビトロで認識する(Ka
wakamiら、1993;Anichiniら、1993)。抗黒色腫T細胞は、おそ
らく、インビボの腫瘍部位でのクローン性増殖および蓄積の結果として、TILに富むよ
うである(Sensiら、1993)。種々の遺伝子(例えば、サイトカイン)を有する
T細胞の形質導入が実証されている。T細胞は、外来遺伝子産物を発現することが示され
ている(Blaese、1993;Hwuら、1993;Culverら、1991)。
個体が腫瘍関連抗原に対して細胞性応答および体液性応答を生じるという事実は、さらな
る腫瘍抗原の同定および特徴付けが、癌を有する患者の免疫治療に重要であることを示唆
する。
CD8T細胞上のT細胞レセプターは、抗原性ペプチド(HLA−A2の9〜10ア
ミノ酸)、β2ミクログロブリン、およびクラスI主要組織適合遺伝子複合体(MHC)
重鎖(ヒトにおけるHLA−A、HLA−B、HLA−C)からなる複合体を認識する。
内因的に合成されたタンパク質の消化によって生成されるペプチドは、小胞体に輸送され
、クラスI MHC重鎖およびβ2ミクログロブリンに結合し、そして最終的にはクラス
I MHC分子の溝において細胞表面で発現される。
ヒトCTLのインビトロでの初回免疫およびAg特異的増殖をなし得るエピトープを同
定するいくつかの試みにもかかわらず、MHCクラスI分子に関して、認識される自己タ
ンパク質のエピトープについての情報は、限定されたままである。例えば、おそらく特定
のMHCクラスI Agに対する結合についての候補であるペプチドエピトープが提案さ
れており(Falkら、1991)、そしていくつかの研究は、MHCクラスI抗原に結
合するペプチドエピトープを規定するために試みられてきた。
合成ペプチドは、T細胞エピトープマッピングについての有用なツールであることが示
されている。しかし、特定のCTLのインビボおよびインビトロの初回免疫は、困難に遭
遇している(Alexanderら、1991;Schildら、1991;Carbo
neら、1988)。一般に、インビトロでのCTL初回免疫は、ペプチド単独では必ず
しも達成できないとみなされており、実際、高抗原密度が、ペプチド初回免疫に必要であ
ると考えられている(Alexanderら、1991)。特異的初回免疫が達成された
限定された例においてさえ、APCまたは刺激因子はまた、高密度で必要とされた(Al
exanderら、1991)。
短い合成ペプチドは、エピトープマッピングのための標的抗原として、またはウイルス
および寄生生物のAgに対するインビトロの一次CTL応答および二次CTL応答の誘導
のためのいずれかに使用されてきた(Bednarekら、1991;Gammonら、
1992;Schmidtら、1992;KosおよびMuellbacher、199
2;Hillら、1992)。不運なことに、これらの研究は、前癌遺伝子ペプチドアナ
ログがインビトロのヒトCTLを刺激して、これらの抗原を内因的に発現する腫瘍を溶解
する能力を示せなかった。
腫瘍抗原(Ag)の同定および細胞傷害性Tリンパ球によって認識されるこれらのAg
上の特定のエピトープの同定は、腫瘍ワクチンの開発を可能にする(腫瘍抗原の概説につ
いて、Rosenberg(2000)(これは、本明細書中で参考として援用される)
を参照のこと)。腫瘍Agは、低結合活性(低親和性)CTLの活性化についての、弱い
かまたは部分的なアゴニストである。(アンカー残基中の改変によって)MHCへのペプ
チドの親和性を増加させることによってCTLを活性化する試みは、強力なAPC(樹状
細胞、DC)および加えられたB7同時刺激を用いてさえ、雑多な成功を生じた。得られ
た交差反応性CTLのいくつかは、野生型Agによって誘導されるCTLよりも低い親和
性で腫瘍を認識した。
アンカー固定免疫原が、高親和性CTLを誘導および増殖する限定された能力は、CT
L誘導についての代替的アプローチの必要性を生じる。この問題に対する1つのアプロー
チは、レスポンダー(responder)の既存のプールから、「高親和性」CTLを
活性化する免疫原を設計することである。ヒト腫瘍免疫学において、このアプローチは、
いくつかの例において成功してきた。しかし、高親和性CTLは、排除(すなわち、アポ
トーシス)またはアネルギー(特定の抗原に対する非応答性または減少した反応性)によ
るサイレンシングに、より感受性であることが予測される。
これらのプロセスは、Ag(ヒトAg)での反復刺激の結果として生じ、そして多数の
サイトカインによって増幅される。活性化誘導性細胞死(AICD)の一般的機構は、サ
イトカイン(例えば、IL−2)の存在下でAgで反復して刺激することが、細胞死経路
を活性化することである。これは、AgおよびIL−2での刺激が、増殖を誘導するには
強すぎ、そのかわり未成熟な老化を生じるシグナルを伝達するからである。代替的な死経
路である、受動的細胞死(PCD)は、生存に関与するサイトカイン(IL−2、IL−
4、IL−7など)が取り除かれた場合に生じる。腫瘍Agは自己Agであるので、対応
する応答細胞は、外来のAgに応答するCTLよりも、欠失に対してより感受性であるに
ちがいない。なぜなら、身体の防御機構は、自己免疫を回避するようにプログラムされて
いるからである。腫瘍Agに対するレスポンダーの生存がどのように誘導され得るか、そ
してAIDSまたはPCDからどのように保護され得るかは、ほとんど知られていない。
前臨床試験および臨床試験は、黒色腫(Rivoltiniら、1999;Parkh
urstら、1998;Kawakamiら、1998;Lustgartenら、19
97;Zengら、1997;Reynoldsら、1998;Nestleら、199
8;Chakrabortyら、1998;Rosenbergら、1998);乳癌(
例えば、MUC1による(Gendlerら、1998;Xingら、1989;Xin
gら、1990;Jeromeら、1993;Apostolopoulosら、199
4;Dingら、1993;Zhangら、1996;Acresら、1993;Hen
dersonら、1998;Hendersonら、1996;Samuelら、199
8;Gongら、1997;Apostolopoulosら、1995;Pieter
szら、1998;Lofthouseら、1997;Rowseら、1998;Gon
gら、1998;Acresら、1999;Apostolopoulosら、1998
;Leesら、1999;Xingら、1995;Goydosら、1996;Redd
ishら、1998;Karanikasら、1997)、p53による(DeLeo、
1998;McCartyら、1998;Hurpinら、1998;Gabrilov
ichら、1996)、およびHer−2/neuによる(DisisおよびCheev
er、1998;Ioannidesら、1993;Fiskら、1995;Peopl
esら、1995;Kawashimaら、1999;Disiら、1996));なら
びに結腸癌(Kantorら、1992;Kantorら、1992;Tsangら、1
995;Hodgeら、1997;Conryら、1998;Kassら、1999;Z
arembaら、1997;Nukayaら、1999)についての腫瘍特異的ペプチド
エピトープの利用について進行中である。
最近、葉酸結合タンパク質(FBP)のペプチドが、腫瘍関連リンパ球によって認識さ
れた(Peoplesら、1998;Peoplesら、1999;Kimら、1999
)。FBPは、元々、胎盤および栄養膜細胞においてmAb規定Agとして見出されたが
、他の正常組織にはまれな、膜結合糖タンパク質である(Retrigら、1985;E
lwood、1989;Weitmanら、1992;Garin−Chesaら、19
93)。興味深いことに、このタンパク質は、90%より多い卵巣および子宮内膜の癌腫
において;乳房、結腸直腸、肺および腎臓細胞の癌腫の20〜50%において、そして複
数の他の腫瘍型において見出されている。癌性組織に存在する場合、発現レベルは、通常
、正常な組織発現の20倍より高く、そして卵巣癌腫において80〜90倍の高さである
ことが報告されている(Liら、1996)。
米国特許第5,846,538号は、悪性腫瘍の処置についての、HER−2/neu
タンパク質のペプチドに対する免疫反応性に関する。
葉酸結合タンパク質は、組成物および腫瘍免疫に関する組成物を利用する方法について
、当該分野での長年の必要性についての理想的な標的を提供し、この必要性を満たす。
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号
7、配列番号8またはそれらの組み合わせの葉酸結合タンパク質エピトープを含む、物質
の組成物としての、抗原。
(項目2)
薬学的に受容可能な賦形剤中に、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配
列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8またはそれらの組み合わせの葉酸結合タ
ンパク質エピトープを含む抗原を含有する、物質の組成物としての、組成物。
(項目3)
細胞傷害性Tリンパ球を刺激するための方法であって、該方法は、配列番号1、配列番
号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8また
はそれらの組み合わせの葉酸結合タンパク質エピトープを含む抗原のある量と、細胞傷害
性Tリンパ球を接触させる工程を包含し、ここで、該量は、該細胞傷害性リンパ球を刺激
するのに有効である、方法。
(項目4)
前記細胞傷害性Tリンパ球がヒトの中に位置付けられる、項目3に記載の方法。
(項目5)
項目4に記載の方法であって、該方法は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列
番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8またはそれらの組み合わせの
葉酸結合タンパク質エピトープを含む抗原をヒトに投与する工程を、さらに包含する、方
法。
(項目6)
前記エピトープが、非経口的、局所的、または吸入による、エアロゾルもしくは噴霧とし
て、投与するために処方される、項目5に記載の方法。
(項目7)
免疫応答を生じる方法であって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配
列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8またはそれらの組み合わせの葉酸結合タ
ンパク質エピトープを含む抗原を含有する免疫学的有効量の組成物を含む、薬学的組成物
を、ヒトに投与する工程を包含する、方法。
(項目8)
個体中で腫瘍に対する免疫原性を誘導する方法であって、該方法は、以下:
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番
号7、配列番号8またはそれらの組み合わせの葉酸結合タンパク質エピトープを含む抗原
を該個体に投与する工程;および
癌ワクチンを該個体に投与する工程
を包含する、方法。
(項目9)
前記癌ワクチンの投与の前に、前記葉酸結合タンパク質エピトープを含む抗原が投与さ
れる、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記癌ワクチンの投与の後に、前記葉酸結合タンパク質エピトープを含む抗原が投与さ
れる、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記癌ワクチンの投与の前および後の両方で、前記葉酸結合タンパク質エピトープを含
む抗原が投与される、項目8に記載の方法。
(項目12)
前記癌ワクチンが、配列番号268(E39)および配列番号269(E41)からな
る群より選択されるポリペプチドを含む、項目8に記載の方法。
(項目13)
個体中の記憶細胞傷害性Tリンパ球を誘導する方法であって、該方法は、配列番号1、
配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号
8またはそれらの組み合わせの葉酸結合タンパク質エピトープを含む抗原を投与する工程
を包含する、方法。
(項目14)
前記個体が、癌の再発を実質的に受やすい、項目13に記載の方法。
(項目15)
腫瘍に対する免疫原性を提供する方法であって、配列番号1、配列番号2、配列番号3
、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8またはそれらの組み合
わせの葉酸結合タンパク質エピトープワクチンを含む抗原を投与する工程を包含する、方
法。
(項目16)
癌について個体を処置するための方法であって、該方法は、
該個体に第1の癌ワクチンを投与する工程;および
該個体に第2の癌ワクチンを投与する工程であって、該第2のワクチンは、配列番号1、
配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号
8またはそれらの組み合わせのペプチドを含有する、工程
を包含する、方法。
(項目17)
前記第1の癌ワクチン投与工程が、前記第2の癌ワクチン投与工程に先行する、項目1
6に記載の方法。
(項目18)
前記第1の癌ワクチン投与工程が、前記第2の癌ワクチン投与工程の後になる、項目1
6に記載の方法。
(項目19)
薬学的に受容可能な賦形剤中に、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配
列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8またはそれらの組み合わせの葉酸結合タ
ンパク質エピトープを含む抗原を含む、薬学的組成物。
(項目20)
ヒトにおける増殖性細胞障害を処置する方法であって、治療有効量の薬学的組成物をヒト
に投与する工程を包含し、該薬学的組成物は、薬学的に受容可能な賦形剤中に、配列番号
1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列
番号8またはそれらの組み合わせの葉酸結合タンパク質エピトープを含む抗原を含む、方
法。
(項目21)
前記増殖性細胞障害が癌である。項目20に記載の方法。
(項目22)
項目21に記載の方法であって、ここで、前記癌が、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、結腸
直腸癌、肺癌、腎臓癌、黒色腫、腎臓癌、前立腺癌、脳腫瘍、肉腫、またはそれらの組み
合わせである、方法。
(発明の要旨)
本発明の目的は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配
列番号6、配列番号7および配列番号8の葉酸結合タンパク質エピトープを含む抗原を、
組成物として提供することである。
本発明の別の目的は、薬学的に受容可能な賦形剤中に、配列番号1、配列番号2、配列
番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8またはこれらの
組み合わせの葉酸結合タンパク質エピトープを含む抗原を含有する組成物を提供すること
である。
本発明の別の目的は、細胞傷害性Tリンパ球を刺激する方法を提供することであり、こ
の方法は、細胞傷害性Tリンパ球を、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4
、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8およびこれらの組み合わせからなる
群より選択される葉酸結合タンパク質エピトープを含む、ある量の抗原と接触させる工程
を包含し、ここで、この量は、細胞傷害性Tリンパ球を刺激するに十分である。本発明の
特定の実施形態において、この細胞傷害性Tリンパ球は、ヒトの内部に位置する。別の特
定の実施形態において、この方法は、さらに、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配
列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8およびこれらの組み合わせ
からなる群より選択される葉酸結合タンパク質エピトープを含む抗原をヒトに投与する工
程を包含する。本発明の別の特定の実施形態において、このエピトープは、非経口的、局
所的な投与のために、または吸入剤、エアロゾルもしくはスプレーとして処方される。
本発明のさらなる目的は、免疫応答を生じる方法を提供することであり、この方法は、
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号
7、配列番号8またはこれらの組み合わせの葉酸結合エピトープを含む抗原を免疫学的に
有効な量含有する組成物を含有する薬学的組成物をヒトに投与する工程を包含する。
本発明の別の目的は、個体において腫瘍に対する免疫を誘導する方法を提供することで
あり、この方法は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配
列番号6、配列番号7、配列番号8またはこれらの組み合わせの葉酸結合タンパク質エピ
トープを含む抗原を個体に投与する工程;および個体に癌ワクチンを投与する工程を包含
する。本発明の特定の実施形態において、葉酸結合タンパク質エピトープを含む抗原は、
癌ワクチンの投与の前に投与される。本発明の特定の実施形態において、葉酸結合タンパ
ク質エピトープを含む抗原は、癌ワクチンの投与後に投与される。本発明の別の特定の実
施形態において、葉酸結合タンパク質エピトープを含む抗原は、癌ワクチンの投与の前お
よび後の両方で投与される。さらなる特定の実施形態において、癌ワクチンは、配列番号
268(E39)および配列番号269(E41)からなる群より選択されるポリペプチ
ドを含む。
本発明の別の目的は、個体において記憶細胞傷害性Tリンパ球を誘導する方法を提供す
ることであり、この方法は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番
号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8またはこれらの組み合わせの葉酸結合エピト
ープを含む抗原を投与する工程を包含する。特定の実施形態において、この個体は、癌の
再発に対して実質的に感受性である。
本発明の別の目的は、腫瘍に対する免疫を提供する方法を提供することであり、この方
法は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配
列番号7、配列番号8またはこれらの組み合わせの葉酸結合エピトープワクチンを含む抗
原を投与する工程を包含する。
本発明の別の目的は、癌について個体を処置する方法を提供することであり、この方法
は、第一の癌ワクチンを個体に投与する工程;および配列番号1、配列番号2、配列番号
3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8またはこれらの組み
合わせからなる群より選択されるペプチドを含む第二の癌ワクチンを個体に投与する工程
を包含する。特定の実施形態において、第一の癌ワクチンを投与する工程は、第二の癌ワ
クチンを投与する工程に先行する。別の特定の実施形態において、第一の癌ワクチンを投
与する工程は、第二の癌ワクチンを投与する工程の後である。
本発明のさらなる目的は、薬学的組成物を提供することであり、この薬学的組成物は、
薬学的に受容可能な賦形剤中に、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配
列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8またはこれらの組み合わせからなる群よ
り選択される葉酸結合タンパク質エピトープを含む抗原を含有する。
本発明の別の目的は、ヒトにおいて増殖性細胞障害を処置する方法を提供することであ
り、この方法は、薬学的に受容可能な賦形剤中に、配列番号1、配列番号2、配列番号3
、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8またはこれらの組み合
わせからなる群より選択される葉酸結合タンパク質エピトープを含む抗原を含有する治療
的有効量の薬学的組成物をヒトに投与する工程を包含する。特定の実施形態において、こ
の増殖性細胞障害は癌である。さらに特定の実施形態において、この癌は、乳癌、卵巣癌
、子宮内膜癌、結腸直腸癌、肺癌、腎癌、黒色腫、腎臓癌、前立腺癌、脳の癌、肉腫、ま
たはこれらの組み合わせである。
(発明の詳細な説明)
(I.定義)
本明細書中で使用する場合、「1つの(「a」または「an」)」は、1以上を意味し
得る。本明細書中で請求項において、語「含む、包含する、含有する(comprisi
ng)」と組み合わせて使用する場合、用語「a」または「an」は、1以上を意味し得
る。本明細書中で使用する場合、「別の」は、少なくとも第二以上のものを意味し得る。
用語「抗原」は、本明細書中で使用する場合、免疫系の応答を誘発する実体として定義
される。本明細書中でこの用語は、「Ag」と省略され得る。
用語「癌」は、本明細書中で使用する場合、未制御に成長する組織または細胞の増殖(
例えば、腫瘍)として定義される。特定の実施形態において、癌は、上皮癌である。特定
の実施形態において、癌は、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、肺癌、腎癌、黒色
腫、腎臓癌、前立腺癌、脳の癌、肉腫、またはこれらの組み合わせである。特定の実施形
態において、哺乳動物におけるこのような癌は、染色体異常、変性成長および/または発
達障害、分裂促進剤、紫外線照射(uv)、ウイルス感染、遺伝子の不適切な組織発現、
遺伝子発現の変更、発癌物質またはこれらの組み合わせによって引き起こされる。用語黒
色腫には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:黒色腫、転移性黒色腫、メラノ
サイトまたはメラノサイト関連神経細胞のいずれかに由来する黒色腫、黒色癌、黒色上皮
癌、黒色肉腫(melanosarcoma)、インサイチュ黒色腫、表在拡大型黒色腫
、結節性黒色腫、悪性黒子黒色腫、末端部黒子黒色腫、浸潤黒色腫、または家族性非定型
母斑および黒色腫(FAM−M)症候群。上記癌は、本願に記載される方法によって処置
され得る。
用語「エピトープ」は、本明細書中で使用する場合、MHC分子に結合し、そして特定
のT細胞によって認識されるタンパク質抗原由来の短いペプチドとして定義される。
用語「葉酸結合タンパク質改変体」は、本明細書中で使用する場合、ヘルパーT細胞ま
たは細胞傷害性T細胞によって優先的に認識され、そして天然由来であり得、合成的に生
成され得、遺伝子操作され得る、葉酸結合タンパク質およびそのペプチドまたはそれらの
機能的等価物(例えば、ここで、1以上のアミノ酸は、実質的に機能に影響しない他のア
ミノ酸または非アミノ酸によって置換され得る)として定義される。特定の実施形態にお
いて、これらのペプチドは、配列番号268(E39)または配列番号269(E41)
と比較して、変更、改変または変化を含むエピトープである。さらなる特定の実施形態に
おいて、これらの改変体は、配列番号1〜配列番号8のものである。
本明細書中で使用される場合、用語「免疫応答」は、Tリンパ球、マクロファージ、お
よび/またはナチュラルキラー細胞の刺激を誘発することを含む細胞性免疫応答をいう。
本明細書中で使用される場合、用語「免疫」は、葉酸結合タンパク質エピトープである
抗原(例えば、本明細書中に記載される葉酸結合タンパク質改変体)への曝露から生じる
腫瘍に対する抵抗性を与える能力としてが定義される。
本明細書中で使用される場合、用語「ワクチン」は、癌に対する免疫を生じるための組
成物として定義される。特定の実施形態において、癌ワクチンは、葉酸結合タンパク質(
例えば、E39(FBPアミノ酸残基191〜199(配列番号268))またはE41
(FBPアミノ酸残基245〜253)(配列番号269))の野生型エピトープである
。他の特定の実施形態において、癌ワクチンは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、
配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7または配列番号8、あるいはそれらの
組み合わせを含む。好ましい実施形態において、ワクチンの投与は、T細胞レセプターに
よるシグナル伝達を変更し、それによってアポトーシスの可能性を減少させる。
本明細書中で使用される場合、用語「改変体」は、野生型配列(例えば、葉酸結合タン
パク質E39エピトープ(配列番号268))の改変形態または変更形態として定義され
る。改変は、少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含み得るか、または少なくとも1つ
のアミノ酸残基の変更された側鎖を含み得る。
(II.本発明)
(A.特定の実施形態)
本発明は、野生型葉酸結合タンパク質腫瘍Agと比べて、T細胞レセプターによるシグ
ナル伝達を弱めるように、特に、強力な抗原への反復する曝露に引き続いて生じるアポト
ーシスの可能性を減少させるように改変された葉酸結合タンパク質腫瘍Agに関する。従
って、E39(配列番号268)およびE41(配列番号269)のような葉酸結合タン
パク質エピトープの改変体(これは「強力な」抗原である)は、「弱い」抗原として作用
するように改変される。従って、本発明は、T細胞レセプターを介するシグナル伝達を弱
めるための組成物および方法を利用する。
本発明は、(1)腫瘍Agの前に投与されるべき前刺激プレワクチン;(2)腫瘍Ag
の後に与えられるべきポストワクチンとして作用し;そして/または(3)特定の個体に
おいて、プライムワクチンとして作用する。状態(1)および(2)はさらに、腫瘍応答
性CTLに対する配列番号6(J65)およびそのアナログについての保護的役割に関連
する。状態(3)は、特定の個体において生じ得、組織適合性Ag結合ポケットにおける
変異は、強力な免疫原中にアテニュエーターを形質転換させ得る。
本発明は、前駆体(代役(stand−in))または活性化エフェクターのいずれか
のワクチン化の前および後に保護され得る。特定の実施形態において、葉酸結合タンパク
質の改変体の投与は、標的化された記憶CTLの誘導を提供する。
特定の実施形態において、本明細書中に記載される改変体(配列番号6)は、反復刺激
でシグナル伝達を弱めることが意図され、従って、アポトーシスによる活性化T細胞のC
TL前駆体の保護を誘導し、それによって免疫応答を増大可能にし、そして好ましい実施
形態において、記憶CTLの誘導に深いかかわりを有する。
免疫応答の主要な2つの部門が以下であることは周知である:(1)免疫T細胞での細
胞媒介性免疫;および(2)抗体での体液性免疫。さらに、この免疫系は、通常、体内の
任意の異物または異常細胞を認識し、かつ破壊するために機能する。FBPは、いくらか
の正常細胞によって発現されるので、寛容性および/またはアレルギーが予測される。
癌のための分子治療の発展は、細胞性免疫エフェクターによるAgの特異的認識に歴史
的に焦点を当ててきた。本発明は、CTLに対するペプチド標的の同定および特異的エピ
トープに対するT細胞免疫の生成のための新規ストラテジーを開示する(T細胞特異的免
疫の総説について、例えば、Ioannidesら、1992;Houbiersら、1
993を参照のこと)。
これを達成するために、本発明は、新規の天然に存在するペプチドおよび合成的に誘導
したペプチド(これは、ヒト白血球抗原(HLA)クラスI重鎖に結合する)を提供する
。インビボでのエピトープ選択についての適切な基準が規定され、そしてFBPの免疫原
エピトープに基づく合成ペプチドもまた、生成された。
HLA−A2に結合するペプチドに対するドミナントアンカーは、Leu(P2)およ
びVal(P9)であるが、類似の電荷および側鎖を有する多くの残基(例えば、Ile
および/またはMet)が、ウイルスタンパク質由来のCTLエピトープにおいて同定さ
れた(Falkら、1991;Bednarekら、1991)。
(B.一般的な実施形態)
(1.CTLエピトープ)
現在までに報告されているCTLエピトープは、主に異物(ウイルス)タンパク質(自
己タンパク質に対する相同性を全く有さないか、またはほとんど有さない)に由来する。
自己タンパク質に対するCTL応答に関して、自己ペプチドMHCクラスI複合体に対し
て高い親和性を有するTCRを発現するT細胞は、発生中に胸腺において排除されること
が予期される。種々の細胞株のHLA−A2.1分子から溶出された自己ペプチドは、P
3〜P5およびP7〜P8で、ヒトCTLによって認識されるウイルスエピトープの配列
と異なる残基を示す。これらの残基はTCRと接触し、相互作用する可能性が高いので、
自己T細胞がすでに寛容性/アレルギー性であるペプチドに影響し得る。
T細胞が、排除またはアレルギー化されるべき自己エピトープを認識するために、ペプ
チド−MHC複合体は、十分な数のTCRを従事させるのに十分安定であるか、または少
なくとも他のHLA−A2ペプチド複合体よりも安定であるという前提条件が存在する。
ここで、このペプチドは他のペプチドによって容易に置換され得る。その結果、これは、
より多くのHLA−A2分子を従事させ得る適切な条件下(例えば、高いタンパク質濃度
)で、FBPへの伸長を有する自己タンパク質について、発生中に高い親和性を有するT
CRに結合し得るのもが、低い親和性を有するHLA−A2に結合するペプチドよりも、
腫瘍のペプチドの他の標的上に発現される場合に、後に認識される可能性はほとんど無い
ことを示唆する。低い親和性について、ドミナントアンカー残基(例えば、(P9)M→
V)との弱い置換によるペプチド−HLA−A2相互作用の安定化を生じるアンカーの改
変は、このような抗原を発現する標的とのCTLの反応性を促進させる。なぜなら、TC
Rは、主に配列P4〜P8と相互作用するからである。
腫瘍の発達および転移は、特異的な細胞性タンパク質の過剰発現としばしば関連がある
。変異していない過剰発現したタンパク質のエピトープは、T細胞によって媒介される腫
瘍に対する特異的細胞性免疫応答の標的となり得る。さらに、T細胞エピトープが存在す
る場合、腫瘍免疫/自己免疫間の区別および無感応性は、エピトープ供給の限定因子とし
てタンパク質濃度に対して意味され得る。
(2.エピトープコア配列)
本発明はまた、全細胞および他のペプチドとは無関係なタンパク質またはペプチド組成
物に関し、これは、CTLによって免疫学的に認識されるエピトープを組み込む精製した
タンパク質またはペプチドを含む。
本明細書中で使用される場合、用語「CTLによって免疫学的に認識されるエピトープ
の組み込み」は、EBPポリペプチド内に配置されるエピトープに類似する1次構造、2
次構造、または3次構造を含むペプチドまたはペプチド抗原をいう。類似性のレベルは、
概して、CTLの同一集団がまた、交差反応性ペプチドまたはタンパク質抗原に結合する
か、これらと反応するか、あるいはそうでなければこれらを認識する程度である。
ワクチンにおける使用にとって適切なCTL刺激免疫ドミナントエピトープおよび/ま
たはその機能的等価物の同定は、比較的簡単な問題である。例えば、米国特許第4,55
4,101号(これは、参考として本明細書中に援用される)(これは、親水性に基づい
てアミノ酸配列由来のエピトープの同定および調製を教示する)における教示のように、
Hoppの方法を使用し得る。いくつかの他の文献およびそれに基づくソフトウェアプロ
グラムに記載される方法はまた、エピトープコア配列を同定するために使用され得る(例
えば、Jameson and Wolf,1988;Wolfら、1988;米国特許
第4,554,101号を参照のこと)。次いで、これら「エピトープコア配列」のアミ
ノ酸配列は、ペプチド合成または組換え技術の応用のいずれかによってペプチド中に容易
に組み込まれ得る。
本発明に従う使用のための好ましいペプチドは、一般的に、8〜20アミノ酸長、より
好ましくは、約8〜約15アミノ酸長の程度である。より短い抗原性CTL刺激ペプチド
が、特定の環境(例えば、ワクチンの調製または免疫学的検出アッセイ)において利点を
提供することが提案される。例示的な利点としては、調製および精製の容易さ、比較的低
いコストならびに産生の改善された再現性、ならびに有利なバイオディストリビューショ
ンが挙げられる。
本発明の特定の利益は、合成ペプチド(改変および/または伸長したエピトープ/免疫
原性コア配列を含む)の調製によって実現し得、FBP配列に指向させた「普遍的な」エ
ピトープペプチドを生じることが提案される。これらのエピトープコア配列は、FBPポ
リペプチド抗原の親水性領域として、本明細書中の特定の局面において同定される。これ
らの領域は、T細胞刺激またはB細胞刺激を促進させる可能性が最も高く、従って、特異
的抗体産生を誘発することを示すことが提案される。
本明細書中で使用される場合、エピトープコア配列は、「相補的」であるアミノ酸の比
較的短いストレッチであり、それゆえ、CTL上のレセプターに結合する。本発明の開示
の文脈において、用語「相補的」は、互いに引力を示すアミノ酸またはペプチドをいうこ
とが理解される。
概して、ポリペプチド抗原のサイズは、同定されたコア配列を有するために少なくとも
十分な長さである限り、特に重要であるとは考えられない。本発明の開示によって見込ま
れる最小の有用なコア配列は、概して約8アミノ酸長の程度であり、9または10の程度
の配列を有することがより好ましい。従って、このサイズは、概して、本発明に従って調
製された最小のペプチド抗原に対応する。しかし、抗原の大きさは、基本のエピトープコ
ア配列を含む限り、所望される大きさであり得る。
当業者は、多くのコンピュータプログラムが、タンパク質の抗原部分の予測における使
用のために利用可能であることを認識する(例えば、Jameson & Wolf,1
988;Wolfら、1988を参照のこと)。コンピュータ化ペプチド配列分析プログ
ラム(例えば、DNAStar Software、DNAStar,Inc.,Mad
ison,Wisc)はまた、本発明の開示に従う合成ペプチドを設計するのに有用であ
り得る。
配列の中に抗原エピトープを含むエピトープ配列またはペプチドの合成は、固相法のよ
うな慣用的な合成技術(例えば、Applied Biosystems Model
430A Peptide Synthesizerのような市販のペプチド合成機の使
用によって)を用いて容易に達成される。次いで、この様式において合成されたペプチド
抗原は、所定の量にアリコートされ得、そして慣用的な様式(例えば、水溶液、またはな
おより好ましくは、粉末もしくは使用まで凍結乾燥状態)において保存され得る。
概して、ペプチドの相対的安定性に起因して、感知可能な分解または抗原性活性の損傷
を伴わない事実上任意の水溶液において、所望される時間のかなり長期間(例えば、6ヶ
月までまたはそれ以上)、水溶液中に容易に保存され得る。しかし、延長した水溶液保存
が意図される場合、約7.0〜約7.5のpHを維持するためのTrisまたはリン酸緩
衝液のような緩衝液を含む試薬を含むことが一般的所望される。さらに、微生物の増殖を
阻害する試薬(例えば、アジ化ナトリウムまたはMerthiolate)を含むことが
所望され得る。液体状態での延長した保存について、約4□℃またはより好ましくは冷凍
で溶液に保存されることが所望される。もちろん、ペプチドが凍結乾燥または粉末状態で
保存される場合、それらは、(例えば、所定量の水(好ましくは滅菌した)または緩衝液
で、使用前に再水和され得る定量したアリコートにおいて)事実上無期限に保存され得る
(3.Tリンパ球)
Tリンパ球は、主要組織適合複合体(MHC)遺伝子座のクラスI分子およびクラスI
I分子に結合するペプチドフラグメントの形態の抗原を認識する。主要組織適合複合体(
MHC)は、ヒト白血球抗原(HLA)を含む異なる種において記載される組織適合性抗
原系を含むことを意味する一般的名称である。抗原に対するT細胞レセプター(TCR)
は、少なくとも8個のポリペプチド鎖の複合体である(「Basic and Clin
ical Immunology」(1994)Stites,Terr and Pa
rslow(編)Appleton and Large,Nenmanck Conn
.)。これらの2つの鎖(α鎖およびβ鎖)は、MHC分子に結合した抗原ペプチドを認
識し、従って、TCR内の実際のリガンド結合構造であるジスルフィド結合二量体を形成
する。TCRα鎖およびTCRβ鎖は、免疫グロブリンタンパク質に多くの点で類似する
。α鎖およびβ鎖のアミノ末端領域は、非常に多形であり、その結果、全T細胞集団内に
、多くの異なるTCRα/β2量体(各々、抗原ペプチドおよびMHCの特定の組み合わ
せを認識または結合し得る)が存在する。
概して、CD4T細胞集団は、特定の抗原によって刺激される場合、リンホカインの
放出によってヘルパー/インデューサとして機能することが考慮される;しかし、CD4
細胞のサブセットは、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)として作用し得る。同様に、C
D8T細胞は、抗原標的を直接的に溶解することによって機能すると考えられ;しかし
、種々の環境下で、ヘルパーまたはDTH機能を提供するためにリンホカインを分泌し得
る。重複する機能の可能性にかかわらず、表現型CD4およびCD8マーカーは、クラス
IIまたはクラスI MHC抗原に結合するペプチドの認識のために連結される。クラス
IIまたはクラスI MHCの文脈において抗原の認識は、CD4およびCD8T細
胞が、異なる環境下で提示された異なる抗原または同一の抗原に応答することを指定する
。クラスII MHC抗原への免疫原性ペプチドの結合は、抗原提示細胞によって消化さ
れた抗原について最も共通に生じる。従って、CD4T細胞は、一般的に、腫瘍細胞に
対して外部である抗原を認識する。対照的に、正常な環境下で、クラスI HMCへのペ
プチドの結合は、細胞質に存在するタンパク質および標的自体によって合成されたタンパ
ク質のみに生じ、外部環境におけるタンパク質は含まれない。これに対する例外は、高い
濃度における細胞の外側に存在する正確なクラスI結合モチーフと外因性ペプチドとの結
合である。したがって、CD4T細胞およびCD8T細胞は、広く異なる機能を有し
、そして抗原が正常に存在する影響として、異なる抗原を認識する傾向を有する。
本発明に開示される場合、FBPによって発現されるタンパク質産生は、T細胞によっ
て認識される。このようなタンパク質発現産物は、細胞内で「回転」する(すなわち、サ
イクルが変化する)。ここで合成されたタンパク質は機能し、ついで最終的に新規の合成
された分子によって分解および置換される。タンパク質のライフサイクルの間に、タンパ
ク質に由来するペプチドフラグメントは、主要組織適合複合体(MHC)抗原に結合する
。細胞表面上のMHC抗原に結合するペプチドの表示、およびペプチドと自己MHC抗原
との組み合わせの宿主T細胞による認識によって、悪性細胞は、T細胞に対して免疫原性
である。T細胞レセプターの申し分ない特異性は、個々のT細胞が、単一アミノ酸残基だ
け異なるタンパク質フラグメント間を識別することを可能にする。
ペプチドに対する免疫応答の間、ペプチド−MHC複合体の高い親和性結合を有するT
細胞レセプターを発現するT細胞は、ペプチド−MHC複合体に結合し、それにより増殖
を活性化および誘導する。ペプチドとの第一の接触において、免疫T細胞の少ないメンバ
ーは、リンホカインを分泌し、増殖し、そしてエフェクターおよびメモリーT細胞に分化
する。メモリーT細胞による同一抗原との接触の後、より速く、かつより激しい免疫応答
を誘導する。
細胞傷害性T細胞によって認識されるインタクトな葉酸結合タンパク質またはそのペプ
チドは、本発明において使用され得る。ペプチドは、同定された配列に基づいて天然に誘
導または生成され得る。CD8T細胞応答に対するペプチド(葉酸結合タンパク質クラ
スI MHC分子により提示されたペプチドによって誘発される)は、一般的に約8〜1
0アミノ酸長である。CD8T細胞応答に対するペプチドは、各個々のクラスI MH
C分子によって変化する。CD8T細胞応答に対する本発明に適切なペプチドの例とし
ては、配列番号1〜配列番号8を含むかまたは配列番号1〜配列番号8からなるペプチド
が挙げられる。
当業者は、クラスI MHC分子およびクラスII分子の両方について、他のペプチド
が本発明で使用のために生成され得ることを理解する。種々の技術が、ペプチドの単離ま
たは構築について周知である。適切なペプチドは、本明細書中に提供される開示に基づい
て容易に同定される。さらに適切なペプチドは、より長い鎖のペプチドを含む。このよう
なペプチドは、伸長(例えば、1つ以上のアミノ酸残基の付加により)および/または切
断(例えば、カルボキシル末端からの1つ以上のアミノ酸残基の欠失により)され得る。
あるいは、適切なペプチドは、本明細書中に開示される他の好ましいペプチドのバリエー
ションであり得る。この特定のペプチドバリエーションは、総アミノ酸(例えば9)の同
数のペプチドを生じ得るが、好ましいペプチドのペプチドバリエーションは同じ長さを必
要としない。実質的に同一の所望の生物学的活性を有するペプチドを生じるアミノ酸配列
におけるバリエーションは、本発明の範囲内である。
FBPペプチド(すなわち、ワクチンとして)を用いる個々の免疫化は、FBPが結合
する腫瘍に対する治療的攻撃のために必要なT細胞の数における持続的拡大を誘導し得る
。代表的に、約0.01μg/kg重〜約100mg/kg重が皮内経路、皮下経路また
は静脈内経路によって投与され得る。好ましい投薬量は、約1μg/kg〜約1mg/k
g、特に好ましくは、約5μg/kg〜約200μg/kgである。当業者は、投与の回
数および頻度は、患者の応答に依存することを理解している。FBPペプチドを繰り返し
投与することが所望され得る。1つより多いFBPペプチドが、同時かまたは連続的のい
ずれかで投与され得ることが当業者に理解される。例えば、約8〜15ペプチドの組み合
わせが、免疫化のために使用され得る。免疫化に対する好ましいペプチドは、少なくとも
1つのFBPアミノ酸配列番号1〜配列番号68の全てまたは一部、あるいはそれらの改
変体を含む。配列番号1〜配列番号68に示されるアミノ酸配列の他の部分由来の1つ以
上のペプチドは、好ましいペプチドの1つ以上に添加され得る。
FBPペプチド(抗原として機能する)に加えて、ワクチンにおける他の成分(例えば
、患者の免疫原性を増強するように設計された抗原送達および免疫刺激物質のためのビヒ
クル)を含むことが所望され得る。抗原送達のためのビヒクルの例としては、アルミニウ
ム塩、水中油型エマルジョン、生分解性ビヒクル、油水中型エマルジョン、生分解性マイ
クロカプセル、およびリポソームが挙げられる。免疫刺激物質(アジュバント)の例とし
ては、N−アセチルムラミール−L−アラニン−D−イソグルタミン(MDP)、リポポ
リ−多糖類(LPS)、グルカン、IL−12、GM−CSF、γインターフェロンおよ
びIL−15が挙げられる。当業者は、FBPペプチドは合成的に調製され得るか、また
はタンパク質部分(天然に誘導されるかまたは合成)は使用され得ることを理解する。ペ
プチドがさらなる配列なしで使用される場合、キャリア物質(例えば、キーホールリンペ
ットヘモシニアン)にペプチドハプテンを結合することが所望され得る。
本発明の方法および組成物は、慣用的な癌治療に対する耐性を生じるか、あるいは治療
後の再発を生じる高い可能性を有する患者に免疫応答を誘導するのに特に十分に適してい
る。当業者は、癌細胞が免疫系をうまく逃れるか、または免疫応答を効果的にうまく逃れ
得ることを認識する。なぜなら、癌細胞は自己と似ており、自己と腫瘍との間を本質的に
区別し得る任意の抗原に対して免疫系を積極的にアレルギー化し、そして免疫抑制因子を
分泌することによって、そして/または攻撃的な腫瘍抗原特異的殺傷細胞のアポトーシス
を誘導し得る因子を発現することによって、免疫抑制環境を作製し得るからである。
当業者は、癌ワクチンおよび抗原腫瘍ペプチドに対する細胞性免疫応答の生成に関する
複数の総説を把握している(Pieterszら、2000;Pardoll,2000
;Rosenberg,2000;Dalgleish,2000(これらの各々は、参
考として本明細書中に援用される)。
当業者は、抗原が、組換え技術によって、真核生物系において可溶性分子として、また
は細菌系において融合タンパク質としてのいずれかで大量に産生させ得ることを認識する
。特定の実施形態において、合成ペプチドは腫瘍抗原から作製される。さらに、腫瘍抗原
に対するモノクローナル抗体は、同定および精製において有用である。
腫瘍免疫治療に対するペプチドアプローチにおいて、ペプチド(例えば、約8〜9マー
)は、MHCクラスI分子によって提示され、CTLおよびサイトカインの分泌(たいて
いIFN−γおよびTNF−αの形態)を含むCD8媒介性細胞性応答の生成を誘導す
る。
当業者は、樹状細胞が、クラスI提示に続くCD8CTLの生成において重要である
ことを理解する。Escheら(1999)は、樹状細胞を患者から獲得し、単離し、イ
ンビトロで拡大させ、ペプチドに暴露し、そして患者に再導入する技術を実証した。他は
、移動前にインビトロで特異的に活性化したT細胞の生成のために同様に試験した樹状細
胞を利用する。
CD8T細胞生成における重要な開始工程は、抗原提示細胞によるMHC分子による
ペプチドの取り込みおよび提示である。3つのサブユニットからなるMHCクラスIタン
パク質の全ては、安定な複合体形成において重要である。MHCクラスI分子のX線結晶
解析は、MCHクラスIグルーブを有するペプチドの相互作用は、MHCグルーブ(これ
は、互いに由来する固定したスペーシングを有する)のポケットと相互作用する別個のア
ミノ酸を有するペプチド配列によって決定され、そしてアミノ酸側鎖を固定する特異性も
また有することを実証した。例外はあるが、ペプチドのアミノ末端およびカルボキシル末
端は、グルーブのいずれかの末端(しばしば2位もしくは3位、5位もしくは7位におい
て)に固定される(Apostolopoulosら、1997a;Apostolop
oulosら、1997b)。ペプチドはまた、T細胞レセプターと相互作用し、ペプチ
ドのわずかな量だけが露出される(Apostolopoulosら、1998)。
本発明の特定の実施形態において、T細胞エピトープの特徴付けに加えて、複数のペプ
チド腫瘍抗原(例えば、葉酸結合タンパク質)が同定されていることを考慮すると、ペプ
チド抗原は、免疫のために合成によって作製される。低分子ペプチドの免疫原性は、キャ
リアに結合することでペプチドの大きさを増大させることによって、そしてまたアジュバ
ントを用いてマクロファージおよび他の免疫系因子を活性化することによって、改善され
得る。当業者は、合成ペプチドの免疫原性を増大させるために用いられる組換えサイトカ
イン(TaoおよびLevy,1993)を認識しており、さらにサイトカインがまた、
ペプチドに直接融合され得ること(Nakaoら,1994;Disisら,1996;
Chenら,1994)ことを認識している。
本発明の特定の実施形態では、別々のペプチドの混合物は、ワクチンとして投与される
。あるいは、複数のエピトープは、当該分野で周知の組換え技術によって、同じ分子中に
組み込まれ得る(Mateoら,1999;AstoriおよびKrachenbuhl
,1996)。別の実施形態では、コンビナトリアルペプチドライブラリーを用い、少な
くとも1つのアンカー位置で異なるアミノ酸を利用することによって、結合ペプチドを増
加させる。
本発明の別の実施形態では、ペプチドの天然アミノ酸は、非天然のDアミノ酸で置換さ
れる;あるいは、ペプチド残基は、逆の順序でアセンブリされ、このことは、このペプチ
ドをプロテアーゼに対して耐性にする(Briandら,1997;Herveら,19
97;Bartnesら,1997;Guichardら,1996)。別の実施形態で
は、非天然の改変アミノ酸(例えば、α−アミノイソ酪酸またはN−メチルセリン)は、
ペプチド中に組み込まれる。
当業者は、MHC複合体に対する8マーまたは9マーの結合強度、続いてT細胞レセプ
ターによる認識によって、CTLペプチドの免疫原性が決定されることを認識している。
Van Der Burgら(1993)は、ペプチドがMHC複合体に結合したままで
ある時間が長いほど、T細胞応答を誘導する機会が増えることを決定した。当業者はまた
、外因性ペプチドを細胞の細胞質に直接導入して、クラスI拘束細胞免疫応答の生成を可
能にするための方法が存在することを認識している。一例としては、微生物毒素が挙げら
れ、これは、レセプター媒介エンドサイトーシスによって細胞に侵入し、それによって細
胞性毒素を細胞質中に沈積させるので、送達のためにこれらの細胞質中にペプチドを保有
し得る。特定の例としては、以下が挙げられる:志賀毒素(Leeら,1998)、炭疽
毒素(Goletzら,1997)、ジフテリア毒素(Stenmarkら,1991)
、Pseudomonas外毒素(Donnellyら,1993)およびBordet
ella pertussis毒素(Fayolleら,1996)。
代替の実施形態では、ペプチドは、膜融合を介して細胞に侵入し、そして腫瘍または他
のペプチド(Antennapedia(Derossiら,1994;Derossi
ら,1996;Schutze−Redelmeierら,1996)、Tatタンパク
質(Kimら,1997)および麻疹ウイルス融合ペプチド(Partidosら,19
97)を含む)を細胞の細胞質内に送達するために有益である。
他の実施形態では、ペプチドは、親油性細胞膜への直接挿入によって、リポペプチド(
これは、脂質およびペプチドの両方を含む)を介して細胞質中に導入される(BenMo
hamedら,1997;Obertら,1998;Deprezら,1996;Bee
kmanら,1997)。代替の実施形態では、ペプチドは、リポソーム(例えば、Na
kanishiら,1997;Noguchiら,1991;Fukasawaら,19
98;Guanら,1998を参照のこと)中で送達され、それにより、免疫原性は、リ
ポソーム自体のサイズ、電荷、脂質組成、および抗原がリポソームの表面に存在するか否
か、その内側に存在するか否かに依存する。
当業者はまた、免疫刺激複合体(ISCOM)(これは、Quill A(サポニンの
混合物)、コレステロール、リン脂質およびタンパク質を含む)が、天然の疎水性抗原、
またはミリスチン酸もしくはパルミチン酸テイルの付加によって疎水性にされた抗原を送
達するために有用であることを認識する(例えば、Hsuら,1996;Sjoland
erら,1997;Villacres−Eriksson,1995;Tarpeyら
,1996;Rimmelzwaanら,1997を参照のこと)。ISCOMは、細胞
膜との融合、エンドサイトーシスまたは食作用によって、細胞内への浸透を容易にする。
抗原はまた、組換え技術による抗原への選別シグナル(クラスII LAMP−I(R
owellら,1995;Wuら,1995)、ER標的化ペプチド(Minevら,1
994);CLIP(Malcherikら,1998)および熱ショックタンパク質(
UdonoおよびSrivastava,1993;Heikeら,1996;Zhuら
,1996;Suzueら,1997;Ciupituら,1998)を含む)の組み込
みを介して、特定の細胞内区画へと指向され得る。
当業者は、本発明が、CD8 T細胞応答について指示された種々のペプチド(配列
番号1〜配列番号8、またはそれらの組合せを含む)を含む抗癌治療組成物を提供するこ
とを認識している。当業者はまた、本発明が、配列番号1〜配列番号8、またはそれらの
組合せから本質的になる、CD8 T細胞応答について指示された種々のペプチドを含
む抗癌治療組成物を提供することを認識している。
当業者は、AbramsおよびSchlom(2000)のような参考文献が、合理的
Ag改変についての近年の概要をまとめていることを認識している。2種類のペプチドが
記載されている:(1)Ag特異的応答をアップレギュレートするアゴニストペプチド;
(2)同じ応答をダウンレギュレートするアンタゴニスト/部分的アゴニストペプチド。
しかし、活性化誘発性細胞死または無視による死を同時に誘発せずに、Ag特異的免疫応
答を刺激する治療を提供することが本発明の目的である。
当業者は、腫瘍免疫の誘導のための葉酸結合タンパク質エピトープをコードする配列が
、National Center for Biotechnology Infon
nationsのGenBankデータベースまたは市販のデータベース(例えば、Ce
lera Genomics,Inc.(Rockville,MD)のデータベース)
のようなデータベースから入手され得ることを認識している。エピトープを含み得るかま
たはエピトープを含むように改変され得る葉酸結合タンパク質配列の例としては、Gen
Bank登録番号によって示される以下が挙げられる:P14207(配列番号9);P
15328(配列番号10);P13255(配列番号11);NP_000793(配
列番号12);AAB05827(配列番号13);AAG36877(配列番号14)
;S42627(配列番号15);S00112(配列番号16);BFBO(配列番号
17);S62670(配列番号18);S62669(配列番号19);A55968
(配列番号20);A45753(配列番号21);A33417(配列番号22);B
40969(配列番号23);A40969(配列番号24);NP_057943(配
列番号25);NP_057942(配列番号26);NP_057941(配列番号2
7);NP_057937(配列番号28);NP_057936(配列番号29);N
P_037439(配列番号30);NP_032061(配列番号31);NP_03
2060(配列番号32);NP_000795(配列番号33);NP_000794
(配列番号34);AAF66225(配列番号35);BAA37125(配列番号3
6);P02752(配列番号37);Q05685(配列番号38);P35846(
配列番号39);P02702(配列番号40);AAD53001(配列番号41);
AAD33741(配列番号42);AAD33740(配列番号43);AAD193
54(配列番号44);AAD19353(配列番号45);AAC98303(配列番
号46);AAB81938(配列番号47);AAB81937(配列番号48);A
AB49703(配列番号49);AAB35932(配列番号50);1011184
A(配列番号51);0908212A(配列番号52);CAA44610(配列番号
53);CAA83553(配列番号54);AAA74896(配列番号55);AA
A49056(配列番号56);AAA37599(配列番号57);AAA37598
(配列番号58);AAA37597(配列番号59);AAA37594(配列番号6
0);AAA37596(配列番号61);AAA37595(配列番号62);AAA
35824(配列番号63);AAA35823(配列番号64);AAA35822(
配列番号65);AAA35821(配列番号66);AAA18382(配列番号67
);およびAAA17370(配列番号68)。
当業者はまた、葉酸結合タンパク質のエピトープ、核酸配列が、例えば、以下のうちの
1つによってコードされるかまたは以下のうちの1つの改変体をコードするように改変さ
れることを認識している:U02715(配列番号69);BE518506(配列番号
70);BG058247(配列番号71);BG017460(配列番号72);NM
_000802(配列番号73);U20391(配列番号74);NM_016731
(配列番号75);NM_016730(配列番号76);NM_016729(配列番
号77);NM_016725(配列番号78);NM_016724(配列番号79)
;NM_013307(配列番号80);NM_008035(配列番号81);NM_
008034(配列番号82);BF153292(配列番号83);BF114518
(配列番号84);BE940806(配列番号85);BE858996(配列番号8
6);AF219906(配列番号87);AF219905(配列番号88);AF2
19904(配列番号89);BE687177(配列番号90);BE636622(
配列番号91);BE627230(配列番号92);BE506561(配列番号93
);BE505048(配列番号94);BE496754(配列番号95);BB11
4010(配列番号96);BB109527(配列番号97);BB107219(配
列番号98);BE206324(配列番号99);BE448392(配列番号100
);BE207596(配列番号101);BE206635(配列番号102);BE
240998(配列番号103);BE228221(配列番号104);BE2254
16(配列番号105);BE225404(配列番号106);BB214040(配
列番号107);BE199619(配列番号108);BE199597(配列番号1
09);BE198610(配列番号110);BE198571(配列番号111);
BE188055(配列番号112);BE187804(配列番号113);BB03
2646(配列番号114);BE037278(配列番号115);BE037125
(配列番号116);BE037110(配列番号117);BE037009(配列番
号118);BE036024(配列番号119);BE035828(配列番号120
);BE035751(配列番号121);BE019724(配列番号122);AW
913291(配列番号123);AW912445(配列番号124);AW8239
12(配列番号125);AW823418(配列番号126);AB023803(配
列番号127);AB022344(配列番号128);AW475385(配列番号1
29);AW323586(配列番号130);AW319308(配列番号131);
AW239668(配列番号132);AV253136(配列番号133);AW01
3716(配列番号134);AW013704(配列番号135);AW013702
(配列番号136);AW013696(配列番号137);AW013669(配列番
号138);AW013647(配列番号139);AW013501(配列番号140
);AW013484(配列番号141);AW013428(配列番号142);AW
013404(配列番号143);AW013386(配列番号144);AW0132
84(配列番号145);AW013183(配列番号146);AF061256(配
列番号147);AI956572(配列番号148);AI882550(配列番号1
49);AI822932(配列番号150);AI785988(配列番号151);
AI744273(配列番号152);AI727302(配列番号153);AI72
5714(配列番号154);AF137375(配列番号155);AF137374
(配列番号156);AF137373(配列番号157);AF096320(配列番
号158);AF096319(配列番号159);AI663857(配列番号160
);AI647841(配列番号161);AI646950(配列番号162);AI
607910(配列番号163);AI529173(配列番号164);AI5097
34(配列番号165);AI506267(配列番号166);AI498269(配
列番号167);AI000444(配列番号168);AA956337(配列番号1
69);AA955042(配列番号170);AA899838(配列番号171);
AA899718(配列番号172);AA858756(配列番号173);AI31
1561(配列番号174);AI385951(配列番号175);AI352406
(配列番号176);AF100161(配列番号177);AI326503(配列番
号178);AI325517(配列番号179);AI325453(配列番号180
);AI325382(配列番号181);AI323700(配列番号182);AI
323374(配列番号183);AI313973(配列番号184);AI1969
28(配列番号185);AF091041(配列番号186);AI156212(配
列番号187);AI120374(配列番号188);AI119000(配列番号1
89);AA408670(配列番号190);AA408072(配列番号191);
AA407615(配列番号192);AA995272(配列番号193);C785
93(配列番号194);AA999910(配列番号195);AA991491(配
列番号196);X99994(配列番号197);X99993(配列番号198);
X99992(配列番号199);X99991(配列番号200);X99990(配
列番号201);AA958985(配列番号202);AA873222(配列番号2
03);AA930051(配列番号204);AA895334(配列番号205);
AA796142(配列番号206);AA798223(配列番号207);AA73
4325(配列番号208);AA690871(配列番号209);AA674988
(配列番号210);AA674863(配列番号211);AA674821(配列番
号212);AA674744(配列番号213);AA671558(配列番号214
);AF000381(配列番号215);AF000380(配列番号216);AA
637071(配列番号217);AA616314(配列番号218);AA1096
87(配列番号219);AA608235(配列番号220);AA589050(配
列番号221);AA544782(配列番号222);AA522095(配列番号2
23);AA386821(配列番号224);AA386818(配列番号225);
AA386495(配列番号226);AA289278(配列番号227);AA28
6342(配列番号228);AA276302(配列番号229);AA276123
(配列番号230);AA277280(配列番号231);AA273543(配列番
号232);U89949(配列番号233);AA208306(配列番号234);
AA208089(配列番号235);AA242285(配列番号236);AA13
9715(配列番号237);AA139709(配列番号238);AA139675
(配列番号239);AA139593(配列番号240);AA124010(配列番
号241);AA108790(配列番号242);AA108350(配列番号243
);AA028831(配列番号244);AA061275(配列番号245);W8
2933(配列番号246);AA015571(配列番号247);W71715(配
列番号248);W59165(配列番号249);X62753(配列番号250);
Z32564(配列番号251);T29279(配列番号252);M25317(配
列番号253);M86438(配列番号254);J03922(配列番号255);
M64817(配列番号256);L25338(配列番号257);M97701(配
列番号258);M97700(配列番号259);M64782(配列番号260);
M35069(配列番号261);J05013(配列番号262);M28099(配
列番号263);J02876(配列番号264);U08471(配列番号265);
U02714(配列番号266);およびU02716(配列番号267)。
当業者はまた、本発明の範囲が、配列番号1〜配列番号8に記載される特定のノナペプ
チドに限定されないことを認識している。FBPエピトープを含む抗原は、少なくとも約
7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、2
5または約30までであり得る。任意のアミノ酸が、本明細書中に提供される特定の改変
体配列に加えて、配列の残部への付加またはフィルインのために用いられ得ることが意図
される。しかし、これらは、FBPの基礎配列を維持するものであることが好ましい。
(III.合理的ワクチン設計)
合理的ワクチン設計の目標は、生物学的に活性な化合物の構造アナログを生成すること
である。このようなアナログを作製することによって、変更に対して異なる感受性を有す
るか、または種々の他の分子の機能に影響を与え得る、天然分子よりも活性が高いかまた
は安定であるワクチンを形成することが可能である。1つのアプローチでは、当業者は、
本発明の葉酸結合タンパク質改変体またはそのフラグメントについての三次元構造を作製
する。これは、X線結晶学、コンピュータモデリングまたは両方のアプローチの組合せに
よって達成され得る。代替的アプローチは、葉酸結合タンパク質改変体全体の官能基のラ
ンダム置換を含み、そして機能に対する得られる影響が決定される。
機能的アッセイによって選択された葉酸結合タンパク質改変体特異的抗体を単離し、次
いでその結晶構造を解明することもまた可能である。原則として、このアプローチは、フ
ァルマコア(pharmacore)を生じ、その後のワクチン設計はこのファルマコア
に基づき得る。機能的な、薬理学的に活性な抗体に対する抗イディオタイプ抗体を作製す
ることによって、タンパク質結晶学を完全に回避することが可能である。鏡像の鏡像とし
て、抗イディオタイプの結合部位は、元の抗原のアナログであると予想される。次いで、
抗イディオタイプを用いて、化学産生ペプチドまたは生物学的産生ペプチドのバンクから
ペプチドを同定および単離し得る。次いで、選択されたペプチドは、ワクチンとして役立
つ。
従って、本発明の出発葉酸結合タンパク質改変体と比較して増強かつ改善された生物学
的活性(例えば、抗腫瘍活性)を有するワクチンを設計し得る。標準的な化学単離手順お
よび本明細書中の他の説明によって、充分な量の本発明の葉酸結合タンパク質改変体を産
生して、結晶学研究を実施し得る。さらに、これらの化合物の化学的特徴の知識によって
、構造−機能の関係のコンピュータ利用推定が可能である。
(IV.免疫学的試薬)
特定の免疫原組成物の免疫原性が、アジュバントとして知られる、免疫応答の非特異的
刺激因子の使用によって増強され得ることが当該分野で周知である。適切なアジュバント
としては、受容可能な全ての免疫刺激化合物(例えば、サイトカイン、ケモカイン、補因
子、毒素、マラリア原虫、合成組成物またはこのようなアジュバントをコードするLEE
もしくはCEE)が挙げられる。
用いられ得るアジュバントとしては、以下が挙げられる:IL−1、IL−2、IL−
4、IL−7、IL−12、γ−インターフェロン、GMCSP、BCG、水酸化アルミ
ニウム、MDP化合物(例えば、thur−MDPおよびnor−MDP)、CGP(M
TP−PE)、リピドAおよびモノホスホリルリピドA(MPL)。2%スクアレン/T
ween 80エマルジョン中に、細菌から抽出された3つの成分、MPL、ジミコール
酸トレハロース(TDM)および細胞壁骨格(CWS)を含むRIBIもまた意図される
。MHC抗原でさえ用いられ得る。例示的な、しばしば好ましいアジュバントとしては、
完全フロイントアジュバント(殺傷したMycobacterium tubercul
osisを含む、免疫応答の非特異的刺激因子)、不完全フロイントアジュバントおよび
水酸化アルミニウムアジュバントが挙げられる。
アジュバントに加えて、T細胞免疫をアップレギュレートすることまたはサプレッサー
細胞活性をダウンレギュレートすることが示されている、生物学的応答の変更因子(mo
difier)(BRM)を同時投与することもまた所望され得る。このようなBRMと
しては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:シメチジン(CIM;1200mg
/d)(Smith/Kline,PA);低用量シクロホスファミド(CYP;300
mg/m2)(Johnson/Mead,NJ)、サイトカイン(例えば、g−インタ
ーフェロン、IL−2またはIL−12)または免疫ヘルパー機能に関与するタンパク質
をコードする遺伝子(例えば、B−7)。
皮下、筋肉内、皮内、表皮内、静脈内および腹腔内を含むがこれらに限定されない種々
の経路を用いて、ワクチンを投与し得る。
患者のような個体には一般に、上記のようなワクチンが注射される。抗原は、アジュバ
ント(例えば、フロイント完全アジュバントまたはフロイント不完全アジュバント)と混
合され得る。同じワクチンまたはこれをコードするDNAの追加抗原投与は、ほぼ2週間
の間隔で行われ得る。
(V.免疫治療剤)
免疫治療剤は一般に、免疫エフェクター細胞および免疫エフェクター分子の使用に依存
して、癌細胞を標的化および破壊する。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞抗原であ
るかまたは腫瘍細胞抗原に類似した、葉酸結合タンパク質改変体であり得る。改変体単独
は、治療のエフェクターとして役立ち得るか、または他の細胞を補充して、実際に細胞殺
傷をもたらし得る。改変体はまた、薬物または毒素(例えば、化学治療剤、放射性核種、
リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)に結合体化され得、そして標的化剤として単
に役立ち得る。このような抗体結合体は免疫毒素と呼ばれ、そして当該分野で周知である
(各々本明細書中に参考として援用される、米国特許第5,686,072号、米国特許
第5,578,706号、米国特許第4,792,447号、米国特許第5,045,4
51号、米国特許第4,664,911号および米国特許第5,767,072号を参照
のこと)。あるいは、エフェクターは、直接的または間接的のいずれかで腫瘍細胞標的と
相互作用する表面分子を保有するリンパ球であり得る。種々のエフェクター細胞としては
、細胞傷害性T細胞およびNK細胞が挙げられる。
免疫治療の1つの局面では、腫瘍細胞は、標的化され得る、すなわち、大部分の他の細
胞に存在しない、いくつかのマーカーを保有しなければならない。本明細書中に記載され
る葉酸結合タンパク質に加えて、多くの腫瘍マーカーが存在し、そしてこれらのうちのい
ずれもが、本発明の状況において標的化のために適切であり得る。通常の腫瘍マーカーと
しては、以下が挙げられる:癌胎児抗原、前立腺特異抗原、泌尿器腫瘍関連抗原、胎児抗
原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG−72、HMFG、シアリルルイス抗原
、MucA、MucB、PLAP、エストロゲンレセプター、ラミニンレセプター、er
b Bおよびp155。
本明細書中に提示した開示は、ヒトの疾患および障害(癌を含む)の免疫治療に対して
顕著な関連を有する。本発明の抗原から誘導された免疫治療組成物を処置方法において使
用する際に、他の標準的な処置(例えば、放射線治療または化学療法)もまた用いられ得
る。しかし、有効性が容易に評価され得るように、免疫治療が最初に単独で用いられるこ
とが好ましい。癌の免疫治療は、以下の節に記載したように、養子、受動および能動に広
範に分類され得、そして本発明の葉酸結合タンパク質改変体抗原を用いて使用または生成
され得る。
(A.免疫刺激因子)
特定の局面の免疫治療は、免疫刺激分子を因子として、またはより好ましくは例えば以
下のような別の因子と関連して使用することである:サイトカイン(例えば、IL−2、
IL−4、IL−12、GM−CSF、腫瘍壊死因子);インターフェロンα、βおよび
γ;F42Kおよび他のサイトカインアナログ;ケモカイン(例えば、MIP−1、MI
P−1β、MCP−1、RANTES、IL−8);または増殖因子(例えば、FLT3
リガンド)。
本発明における使用が意図される1つの特定のサイトカインは、腫瘍壊死因子である。
腫瘍壊死因子(TNF;カケクチン)は、ある種の癌細胞を殺傷し、サイトカイン産生を
活性化し、マクロファージおよび内皮細胞を活性化し、コラーゲンおよびコラゲナーゼの
産生を促進し、炎症メディエーターであり、そしてまた敗血症性ショックのメディエータ
ーでさえあり、そして異化、発熱および睡眠を促進する、糖タンパク質である。いくつか
の感染性因子は、TNF産生の刺激を介して腫瘍後退を引き起こす。TNFは、有効用量
で単独で用いた場合、極めて毒性であり得、その結果、最適なレジメンはおそらく、他の
薬物との組合せで、より低い用量でTNFを用いる。その免疫抑制作用は、γ−インター
フェロンによって増強され、その結果、組合せが潜在的に危険である。TNFとインター
フェロン−aとのハイブリッドもまた、抗癌活性を保有することが見出されている。
特に意図される別のサイトカインは、インターフェロンαである。インターフェロンα
は、毛様細胞性白血病、カポージ肉腫、黒色腫、カルチノイド、腎臓細胞癌、卵巣癌、膀
胱癌、非ホジキンリンパ腫、菌状息肉腫、多発性骨髄腫および慢性顆粒球性白血病の処置
において用いられている。
(B.受動免疫治療)
癌の受動免疫治療のための多数の異なるアプローチが存在する。これらは、以下のよう
に広範に分類され得る:ワクチン単独の注射;毒素または化学療法剤にカップリングした
ワクチンの注射;放射性同位体にカップリングしたワクチンの注射;抗イディオタイプワ
クチンの注射;および最後に、骨髄における腫瘍細胞のパージング。
2つの異なる抗原に関連した1より多くのワクチンまたはさらには複数の抗原特異性を
有するワクチンを投与することが好適であり得る。処置プロトコルはまた、リンホカイン
または他の免疫エンハンサーの投与を含み得る(Bajorinら、1988)。
(C.能動免疫治療)
本発明のいくつかの実施形態では、能動免疫治療が用いられ得る。能動免疫治療では、
葉酸結合タンパク質改変体(例えば、ペプチドまたはポリペプチド)、葉酸結合タンパク
質改変体をコードする核酸、および/またはさらなるワクチン成分(例えば、葉酸結合タ
ンパク質改変体を発現する細胞(例えば、腫瘍細胞と融合した樹状細胞、またはこの抗原
を発現する、自己もしくは同種異系の腫瘍細胞組成物)、アジュバント、組換えタンパク
質、免疫調節因子など)が投与される(RavindranathおよびMorton,
1991;MortonおよびRavindranath,1996;Mortonら,
1992;Okamotoら,1997;Kuglerら,2000;Trefzerら
,2000;Mitchellら,1990;Mitchellら,1993)。
抗原性ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質、または自己もしくは同種異系の腫
瘍細胞組成物または「ワクチン」は一般に、別の細菌アジュバントとともに投与される(
RavindranathおよびMorton,1991;MortonおよびRavi
ndranath,1996;Mortonら,1992;Mitchellら,199
0;Mitchellら,1993)。黒色腫の免疫治療では、高IgM応答を惹起する
患者はしばしば、IgM抗体を惹起しないかまたは少量惹起する患者よりも、長く生存す
る(Mortonら,1992)。IgM抗体はしばしば、一過性の抗体であり、この法
則の例外は、抗ガングリオシド抗体または抗糖質抗体であるようである。
(D.養子免疫治療)
養子免疫治療では、患者の循環リンパ球または腫瘍浸潤リンパ球は、インビトロで単離
されるか、リンホカイン(例えば、IL−2)によって活性化されるか、または腫瘍壊死
についての遺伝子を用いて形質導入され、そして再度投与される(Rosenbergら
,1988;1989)。これを達成するために、本明細書中に記載のように、アジュバ
ントを取り込んだ抗原性ペプチド組成物と組合せた免疫学的有効量の活性化リンパ球を動
物(またはヒト患者)に投与する。活性化リンパ球は、最も好ましくは、血液または腫瘍
サンプルから以前に単離し、そしてインビトロで活性化(または「増大」)させた、患者
自身の細胞である。特定の実施形態では、患者のリンパ球は、培養されるかまたは数が増
大されるかまたは活性(例えば、抗原に対する免疫反応性)に関して選択される。この形
態の免疫治療は、黒色腫および腎臓癌の後退のいくつかの例を生じた。
(VI.ワクチン)
本発明は、能動免疫および受動免疫の両方の実施形態において使用するためのワクチン
を意図する。ワクチンとして使用することが好適であると提案されている免疫原性組成物
は、本明細書中に開示した様式において調製した、免疫原性CTL刺激ペプチドから最も
容易に直接的に調製され得る。好ましくは、抗原性物質は、充分に透析されて、所望でな
い低分子量分子が除去され、そして/または所望のビヒクル中へのより容易な処方のため
に凍結乾燥される。
活性成分としてペプチド配列を含むワクチンの調製は、米国特許第4,608,251
号;同第4,601,903号;同第4,599,231号;同第4,599,230号
;同第4,596,792号;および同第4,578,770号(すべて、本明細書中に
参考として援用される)により例示されるように、一般的に当該分野で十分に理解されて
いる。代表的には、そのようなワクチンは、注射可能物質として調製される。液体溶液ま
たは液体懸濁物のいずれかとして、注射前に液体中の溶液もしくは懸濁物に適切な固体形
態もまた、調製され得る。その調製物はまた、乳化され得る。その免疫原性活性成分は、
薬学的に受容可能でありかつその活性成分と適合性である、賦形剤としばしば混合される
。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノー
ルなど、ならびにそれらの組み合わせである。さらに、望ましい場合は、そのワクチンは
、微量の補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化剤、またはそのワクチンの
有効性を増強するアジュバント)を含み得る。
ワクチンは、非経口的に、注射(例えば、皮下注射または筋肉内注射のいずれか)によ
って、従来のように投与され得る。他の投与様式に適したさらなる処方物としては、坐剤
、およびいくつかの場合においては、経口処方物が挙げられる。坐剤について、従来の結
合剤およびキャリアとしては、例えば、ポリアルカレングリコールまたはトリグリセリド
が挙げられ得、そのような坐剤は、約0.5%〜約10%、好ましくは約1%〜約2%の
範囲で活性成分を含む、混合物から形成され得る。経口処方物は、通常そのように使用さ
れる賦形剤(例えば、薬剤グレードの、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリ
ン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなど)を含む
。これらの組成物は、溶液、懸濁物、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放処方物または散剤の
形態を採り、そして約10%〜約95%の活性成分、好ましくは約25%〜約70%の活
性成分を含む。
本発明のペプチドは、中性形態または塩形態として、ワクチンへ中に処方され得る。薬
学的に受容可能な塩としては、酸付加塩(そのペプチドの遊離アミノ基を用いて形成され
る)、ならびに無機酸(例えば、塩酸またはリン酸)または有機酸(例えば、酢酸、シュ
ウ酸、酒石酸、マンデル酸など)を用いて形成された塩が挙げられる。その遊離カルボキ
シル基を用いて形成された塩もまた、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモ
ニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄)および有機塩基(例えば、イソプロピルアミ
ン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど)か
ら誘導され得る。
そのワクチンは、その投薬処方物と適合する様式で、そして治療上有効かつ免疫原性で
ある量で、投与される。投与される量は、処置されるべき被験体(例えば、その個体の免
疫系が抗体を合成する能力を含む)、および所望される防御の程度に依存する。投与され
るのに必要な活性成分の正確な量は、実務家の判断に依存する。しかし、適切な投薬範囲
は、ワクチン投与一回当たり約数百マイクログラムの活性成分である。最初の投与および
ブースター投与に適したレジメンもまた変化し得るが、代表的には、最初の投与の後に、
接種または他の投与が続く。
適用様式は、広範に変動し得る。従来の任意のワクチン投与法が、適用可能である。こ
れらは、生理学的に受容可能な固体ベースでかもしくは生理学的に受容可能な分散物での
経口適用、非経口的適用、注射などを含むと考えられる。そのワクチンの投与量は、投与
経路に依存し、そして宿主の大きさに応じて変化する。
そのワクチンのためのアジュバント効果を達成する種々の方法としては、一般的にリン
酸緩衝化生理食塩水中の約0.05〜約0.1%溶液として使用される薬剤(例えば、水
酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウム(ミョウバン))の使用、約0.25%溶液
として使用される糖の合成ポリマー(Carbopol(登録商標))との混合、約70
℃〜約101℃の間の範囲の温度でそれぞれ30秒〜2分間熱処理することによるそのワ
クチン中のタンパク質の凝集が、挙げられる。ペプシン処理した抗アルブミン(Fab)
抗体で再活性化することによる凝集、細菌細胞(例えば、C.parvum)またはグラ
ム陰性細菌の内毒素成分もしくはリポ多糖類成分との混合物、生理学的に受容可能な油状
ビヒクル(例えば、マンニドモノオレエート(Aracel A)中の乳濁液、またはブ
ロック置換物として使用されるペルフルオロカーボン(Fluosol−DA(登録商標
))の20%溶液との乳濁液もまた、使用され得る。
多くの場合、そのワクチンの多数回投与(通常は、6回ワクチン接種を超えず、より通
常は、4回ワクチン接種を超えず、好ましくは、1回以上であり通常は少なくとも約3回
のワクチン接種)を有することが、望ましい。そのワクチン接種は、通常は、2〜12週
間隔であり、より通常は、3〜5週間隔である。1〜5年間隔(通常は3年間隔)の定期
的ブースターが、その抗体の防御レベルを維持するために望ましい。免疫経過の後に、上
清抗原に対する抗体についてのアッセイが行われ得る。そのアッセイは、従来の標識(例
えば、放射性核種、酵素、蛍光物質など)で標識することによって、実施され得る。これ
らの技術は、周知であり、そして、これらのアッセイ型の例示として、広範な種々の特許
(例えば、米国特許第3,791,932号;同第4,174,384号;および同第3
,949,064号)に見出され得る。
ワクチンとして有用である抗原性組成物について、抗原性組成物は、細胞、組織または
動物(例えば、ヒト)において、その抗原に対する免疫応答を誘導しなければならない。
本明細書中で使用される場合、「抗原性組成物」は、抗原(例えば、ペプチドまたはポリ
ペプチド)、抗原をコードする核酸(例えば、抗原発現ベクター)、または抗原を発現す
るかもしくは提示する細胞を含み得る。特定の実施形態において、その抗原性組成物は、
葉酸結合タンパク質改変体またはその免疫学的に機能性の等価物を、含むかまたはコード
する。他の実施形態において、その抗原性組成物は、さらなる免疫刺激剤またはそのよう
な薬剤をコードする核酸を含む、混合物の状態である。免疫刺激剤としては、さらなる抗
原、免疫調節剤、抗原提示細胞、またはアジュバントが挙げられるが、これらに限定され
ない。他の実施形態において、そのさらなる薬剤のうちの1つ以上が、その抗原または免
疫刺激剤と、任意の組み合わせで共有結合される。特定の実施形態において、その抗原性
組成物は、HLAアンカーモチーフアミノ酸と結合体化されるか、またはHLAアンカー
モチーフアミノ酸を含む。
特定の実施形態において、抗原性組成物または免疫学的に機能性の等価物が、動物にお
ける抗葉酸結合タンパク質改変体の体液媒介性免疫応答および/または細胞媒介性免疫応
答を誘導する際の、有効なワクチンとして使用され得る。本発明は、能動免疫実施形態お
よび受動免疫実施形態の両方における使用のための、1つ以上の抗原性組成物またはワク
チンを企図する。
本発明のワクチンは、タンパク質様成分、核酸成分、および/または細胞性成分のその
組成が、変動し得る。非限定的例において、抗原をコードする核酸はまた、タンパク質様
アジュバントを用いて処方され得る。当然、本明細書中に記載される種々の組成物が、さ
らなる成分をさらに含み得ることが理解される。例えば、1つ以上のワクチン成分が、脂
質またはリポソーム中に含まれ得る。別の非限定的例において、ワクチンは、1つ以上の
アジュバントを含み得る。本発明のワクチンおよびその種々の成分は、本明細書中に開示
される任意の方法によってか、または本発明の開示を考慮して当業者に公知であるように
、調製および/または投与され得る。
(A.タンパク質様抗原)
本発明の抗原性組成物が、当該分野で周知である方法により生成され得、そのような方
法としては、固相合成により化学合成し、そしてその化学反応物質をHPLCによって他
の生成物から精製すること;または本発明の抗原を含むペプチドもしくはポリペプチドを
コードする核酸配列(例えば、DNA配列)を、インビトロ翻訳系もしくは生細胞中で発
現させることによる生成が、挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、その抗原
性組成物は、単離され、そして望ましくない1つ以上の低分子量分子を除去するために徹
底的に透析され、そして/または所望のビヒクル中により容易に処方するために凍結乾燥
される。ワクチン成分においてなされるさらなるアミノ酸、変異、化学的改変などは、も
し存在する場合は、好ましくは、そのエピトープ配列の抗体認識を実質的に妨害しないこ
とが、さらに理解される。
本発明の葉酸結合タンパク質改変体の1つ以上の抗原決定基に対応するペプチドまたは
ポリペプチドは、一般的には、少なくとも5アミノ酸残基長または6アミノ酸残基長であ
り、そして約10アミノ酸残基長、約15アミノ酸残基長、約20アミノ酸残基長、また
はそれ以上までを含み得る。ペプチド配列は、当業者に公知の方法(例えば、自動ペプチ
ド合成機(Applied Biosystems(Foster City,CA)か
ら入手可能な合成機)を使用するペプチド合成)によって、合成され得る。
より長いペプチドまたはポリペプチドもまた、例えば、組換え手段によって調製され得
る。特定の実施形態において、本明細書中に記載される抗原性組成物および/または抗原
性成分をコードする核酸が、例えば、本発明の種々の組成物および方法のために、インビ
トロまたはインビボで抗原性組成物を生成するために使用され得る。例えば、特定の実施
形態において、抗原をコードする核酸が、例えば、組換え細胞中のベクター中に含まれる
。その核酸は、抗原性配列を含むペプチドまたはポリペプチドを生成するように発現され
得る。そのペプチドまたはポリペプチドは、その細胞から分泌され得るか、またはその細
胞の一部としてかその細胞内に含まれ得る。
(B.遺伝子ワクチン抗原)
特定の実施形態において、免疫応答が、抗原をコードする核酸で動物をトランスフェク
トすること、または抗原をコードする核酸を動物に接種することによって、促進され得る
。その後、標的動物内に含まれる1つ以上の細胞は、その動物へのその核酸の投与後に、
その核酸によりコードされる配列を発現する。従って、そのワクチンは、免疫プロトコル
に有用な「遺伝子ワクチン」を包含し得る。ワクチンはまた、例えば、抗原のペプチド配
列またはポリペプチド配列のすべてもしくは一部をコードする、核酸(例えば、cDNA
またはRNA)の形態であり得る。その核酸によるインビボでの発現は、例えば、プラス
ミド型ベクター、ウイルスベクター、またはウイルス構築物ベクター/プラスミド構築物
ベクターにより得る。
好ましい局面において、その核酸は、配列番号1〜配列番号9として開示される配列の
すべてもしくは一部、またはその免疫学的に機能性の等価物をコードする、コード領域を
含む。当然、その核酸は、さらなる配列(1つ以上の免疫刺激剤またはアジュバントを含
む配列が挙げられるが、これらに限定されない)を含み得、そして/またはその配列をコ
ードし得る。種々の遺伝子の配列をコードするヌクレオチド、ならびにタンパク質、ポリ
ペプチドおよびペプチドが、以前に開示されており、そしてそれらは、コンピュータ化さ
れた当業者に公知のデータベースにて見出され得る。そのような1つのデータベースは、
National Center for Biotechnology Inform
ation’s GenbankデータベースおよびGenPeptデータベース(ht
tp://www.ncbi.nlm.nih.gov/)である。これらの公知の遺伝
子のコード領域は、増幅され得、本明細書中に開示される葉酸結合タンパク質改変体をコ
ードする核酸配列と合わされ(例えば、連結)され得、そして/または本明細書中に開示
される技術を使用してかもしくは当業者に公知である任意の技術(例えば、Sambro
okら、1987)によって、発現され得る。核酸は、インビトロ発現系において発現さ
れ得るが、好ましい実施形態において、その核酸は、インビボ複製および/またはインビ
ボ発現のためのベクターを含む。
(C.細胞性ワクチン抗原)
別の実施形態において、その抗原を発現する細胞が、そのワクチンを含み得る。その細
胞は、培養物、組織、器官、または生物から単離され得、そして細胞性ワクチンとして動
物に投与され得る。従って、本発明は、「細胞性ワクチン」を企図する。その細胞は、抗
原をコードする核酸で、その抗原の発現を増強するためにトランスフェクトされ得る。当
然、その細胞はまた、1つ以上のさらなるワクチン成分(例えば、免疫調節剤またはアジ
ュバント)を発現し得る。ワクチンは、その細胞のすべてまたは一部を包含し得る。
(D.免疫学的に機能性の等価物)
改変および変化が、本発明のペプチドおよびそのペプチドをコードするDNAセグメン
トの構造においてなされ得、望ましい特徴を備えたタンパク質またはペプチドをコードす
る機能性分子をなお入手し得る。以下は、等価であるかまたは改善さえされている第2世
代分子を生成するためにタンパク質のアミノ酸を変化させることに基づく考察である。そ
のアミノ酸変化は、そのDNA配列のコドンを、以下のコドン表に従って変化させること
によって達成され得る。
(表1)
Figure 0005017238

Figure 0005017238

例えば、特定のアミノ酸が、構造(例えば、抗体の抗原結合領域または基質分子上の結
合部位)との相互作用性結合能力を感知可能には損失することなく、タンパク質構造中の
他のアミノ酸に代えて置換され得る。タンパク質の生物学的機能的活性を規定するのは、
タンパク質の相互作用性能力および性質であるので、特定のアミノ酸配列置換が、タンパ
ク質配列において、そして当然その基礎となるDNAコード配列においてなされ得、それ
にも関わらず、同様の特性を備えたタンパク質を入手し得る。従って、種々の変化が、開
示される組成物のペプチド配列においてかまたはそのペプチドをコードする対応DNA配
列において、その生物学的有用性または活性の感知可能な損失を伴うことなくなされ得る
ことが、本発明者らによって企図される。アミノ酸置換は、アミノ酸側鎖置換物の相対的
類似性(例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、大きさなど)に基づき得る。上記の種
々の特徴を考慮する例示的な置換物は、当業者に周知である。
多数の科学刊行物もまた、アミノ酸配列分析からの、二次構造の予測およびエピトープ
の同定を示している(ChouおよびFasman,1974a,b;1978a,b,
1979)。これらのいずれも、望まれる場合は、米国特許第4,544,101号の教
示を補うために使用され得る。
さらに、コンピュータプログラムが、1つ以上のタンパク質、ポリペプチド、またはペ
プチドの抗原性部分およびエピトープコア領域を予測するのを補助するために、現在利用
可能である。例としては、Jameson−Wolf分析(JamesonおよびWol
f、1998;Wolfら、1988)に基づくプログラム、プログラムPepPlot
(登録商標)(Brutlagら、1990;Weinbergerら、1985)、お
よびタンパク質三次構造予測のための他の新規なプログラム(FetrowおよびBry
ant,1993)が、挙げられる。そのような分析を実行可能である別の市販のソフト
ウェアプログラムは、MacVector(IBI,New Haven,CT)である
改変および変化が、本発明の抗原性組成物(例えば、葉酸結合タンパク質改変体)の構
造においてなされ得、そしてなお、同様の特徴または他の様式で望ましい特徴を有する分
子を入手し得るので、そのような免疫学的に機能性の等価物もまた、本発明に包含される
例えば、特定のアミノ酸が、構造(例えば、抗体の抗原結合領域、基質分子またはレセ
プター上の結合部位、DNA結合部位など)との相互作用性結合能力を感知可能には損失
することなく、ペプチド構造、ポリペプチド構造、またはタンパク質構造中の他のアミノ
酸に代えて置換され得る。ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の生物学的(例え
ば、免疫学的)機能的活性を規定するのは、そのペプチド、ポリペプチド、またはタンパ
ク質の相互作用性能力および性質であるので、特定のアミノ酸配列置換が、アミノ酸配列
において(すなわち、当然その基礎となるDNAコード配列において)なされ得、それに
も関わらず、同様の(アゴニスト)特性を備えたペプチドまたはポリペプチドを入手し得
る。従って、種々の変化が、抗原性組成物(例えば、葉酸結合タンパク質改変体のペプチ
ドまたはポリペプチド)の配列(または基礎となるDNA配列)において、その生物学的
有用性または活性の感知可能な損失を伴うことなくなされ得ることが、本発明者らによっ
て企図される。
従って、本明細書中に開示される配列の抗原性組成物(特に、免疫学的に機能性の等価
物)は、天然に合成されるタンパク質中の一般的な20個のアミノ酸のうちの少なくとも
1つ、または少なくとも1つの改変アミノ酸もしくは非天然アミノ酸(下記表2に示され
るものが挙げられるが、これらに限定されない)を含む、アミノ分子配列を包含し得る。
(表2)
(改変アミノ酸、非天然アミノ酸、または希少なアミノ酸)
Figure 0005017238

Figure 0005017238

免疫学的に機能性の等価物に関して、その分子の規定部分内でなされ得、なおかつ受容
可能なレベルの等価な免疫学的活性を備える分子を生じ得る変化の数に限界が存在すると
いう概念が、この定義において固有であることが、当業者により十分に理解される。従っ
て、免疫学的に機能性の等価なペプチドまたはポリペプチドは、本明細書において、その
アミノ酸のうちの特定のもの(大部分でもすべてでもない)が置換され得るペプチドまた
はポリペプチドとして、規定される。
詳細には、より短い長さのペプチドが関係する場合、より少ないアミノ酸置換が、所定
のペプチド内でなされるべきであることが、企図される。より長いポリペプチドは、中程
度の数の変化を有し得る。全長タンパク質は、より多数の変化について最も許容性を有す
る。当然、異なる置換を有する複数の個々のポリペプチド/ペプチドが、本発明に従って
容易に作製され得そして使用され得る。
特定の残基が、タンパク質またはペプチドの免疫学的特性または構造特性にとって特に
重要であることが示された場合(例えば、結合領域または活性部位中の残基)、そのよう
な残基は、一般的には交換されないかもしれないこともまた、十分に理解される。このこ
とは、葉酸結合タンパク質改変体の抗原性部位中の変化が、慎重に考慮され、免疫学的機
能の維持が望ましい場合にその後試験されて免疫学的機能(例えば、抗原性)の維持が確
認されるべき場合に、本発明における重要な考慮事項である。この様式において、機能的
等価物は、本明細書中で、十分量のネイティブの免疫学的活性を維持するペプチドまたは
ポリペプチドとして規定される。
アミノ酸置換は、一般に、アミノ酸側鎖置換基(例えば、それらの疎水性、親水性、電
荷、サイズなど)の相対的類似性に基づく。アミノ酸側鎖置換基のサイズ、形状、および
型の分析により、アルギニン、リジンおよびヒスチジンは、全て正に荷電した残基であり
;アラニン、グリシンおよびセリンは、全て類似のサイズであり;そしてフェニルアラニ
ン、トリプトファン、およびチロシンは、全て一般に類似の形状を有することが明らかに
なる。タンパク質とは対照的に、ペプチドについての特定のアミノ酸置換の注意深い選択
を、ペプチドとタンパク質との間のサイズの差異を考えると、考慮に入れられなければな
らない。
さらなる実施形態において、ペプチドまたはポリペプチドの主要な抗原決定基は、ペプ
チドまたはポリペプチドをコードする核酸の一部が、組み換え宿主細胞において発現され
る経験的なアプローチにより同定され得、得られたペプチドまたはポリペプチドは、免疫
応答を誘発するそれらの能力について試験され得る。例えば、PCRTMは、そのアミノ
酸配列のC末端の連続してより長いフラグメントを欠くペプチドまたはポリペプチドの範
囲を調製するために使用され得る。これらペプチドまたはポリペプチド各々の免疫活性は
、免疫優性(immunodominant)であるフラグメントまたはドメインを同定
するために決定される。次いで、ごく少数のアミノ酸が各反復して除去されるさらなる研
究により、ペプチドまたはポリペプチドの抗原決定基の位置をより正確に決定することが
可能になる。
ペプチドまたはポリペプチドの主要な抗原決定基を決定するための別の方法は、SPO
TsTMシステム(Genosys Biotechnologies,Inc.,Th
e Woodlands,TX)である。この方法において、重複するペプチドをセルロ
ース膜上で合成する。これを、合成および脱保護の後、ポリクローナル抗体またはモノク
ローナル抗体を使用してスクリーニングする。最初に同定されるペプチドまたはポリペプ
チドの抗原決定基は、より多く重複するより小さなペプチドの連続的な合成を行い、最終
的には、免疫反応性の配列に沿って、各位置にて個々のアミノ酸を置換することによりさ
らに位置決めされ得る。
1回以上のこのような分析が一旦完了すると、1以上の抗原決定基の少なくとも本質的
特徴を含む抗原性組成物(例えば、ペプチドまたはポリペプチド)が調製される。次いで
、抗原性組成物は、組成物(好ましくは、抗原決定基)に対する抗血清の生成において使
用される。
アミノ酸変化から生じる機能的に等価なポリペプチドに議論の焦点が当てられてきたが
、これらの変化がコードDNAの改変によりもたらされ得ること;遺伝コードの縮重、お
よび2以上のコドンが同じアミノ酸をコードし得ることを考慮に入れることもまた理解さ
れる。これらの抗原性組成物をコードする核酸もまた構築され得、例えば、PCRTM
ローニング方法論を使用して、標準的な方法(Sambrookら,1987)により、
1以上の発現ベクターに挿入され得る。
本明細書中に記載されるペプチジル化合物に加えて、本発明はまた、他の立体的に類似
の化合物が、ペプチド構造もしくはポリペプチド構造の重要な部分を模倣するかまたは例
えば、抗体と特異的に相互作用するように処方され得ることを企図する。このような化合
物(ペプチド模倣物といわれうる)は、本発明のペプチドまたはポリペプチドと同じ様式
にて使用され得、従って、このような化合物はまた、免疫学的に機能的な等価物である。
タンパク質二次構造のエレメントを模倣する特定の模倣物は、Johnsonら(19
93)において記載される。ペプチド模倣物の使用の根底にある原理は、タンパク質のペ
プチド骨格が、主に、分子相互作用(例えば、抗体と抗原の相互作用)を容易にするよう
な様式でアミノ酸側鎖を配向することにあることである。従って、ペプチド模倣物は、天
然分子に類似の分子相互作用を可能にするように設計される。
(E.抗原の変異誘発)
特定の実施形態において、抗原性組成物は、例えば、その免疫原性を増強させるか、ま
たは免疫学的に機能が等価な配列を生成もしくは同定する目的で変異される。変異誘発の
方法は、当業者に周知である(Sambrookら,1987)。
本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド特異的変異誘発手順」とは、
その最初の濃度に対して特定の核酸分子の濃度の増加を生じるかまたは検出可能なシグナ
ル(例えば、増幅)の濃度の増加を生じる、テンプレート依存性プロセスおよびベクター
媒介性増殖をいう。本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド特異的変異
誘発手順」は、プライマー分子のテンプレート依存性伸長を含むプロセスをいうことが意
図される。用語テンプレート依存性プロセスとは、RNA分子またはDNA分子の核酸合
成をいう。ここで、新たに合成された核酸鎖の配列は、相補的塩基対の周知の規則(例え
ば、Watson,1987を参照のこと)により決まる。代表的には、ベクター媒介性
変異誘発方法論は、DNAベクターまたはRNAベクターへの核酸フラグメントの導入、
ベクターのクローン性増殖、および増幅した核酸フラグメントの回収を含む。このような
方法論の例は、米国特許第4,237,224号(その全体が本明細書中に具体的に援用
される)により提供される。
好ましい実施形態において、部位特異的変異誘発が使用される。部位特異的変異誘発は
、基本となるDNAの特異的変異誘発を介する、抗原性組成物(例えば、葉酸結合タンパ
ク質改変体を含むペプチドもしくはポリペプチド、または免疫学的に機能が等価なタンパ
ク質、ポリペプチド、もしくはペプチド)の調製において有用な技術である。一般に、部
位特異的変異誘発の技術は、当該分野で周知である。この技術は、1以上の前述の考慮事
項を具体化すると、1以上のヌクレオチド配列変化をDNAに導入することにより、配列
改変体を調製および試験する便利な能力をさらに提供する。部位特異的変異誘発により、
所望の変異、ならびに十分な数の隣接ヌクレオチドのDNA配列をコードする特定のオリ
ゴヌクレオチド配列の使用を通じて、変異体を生成して、変異される位置の両側で安定な
二重鎖を形成するに十分なサイズのプライマー配列および配列相補性を提供することが可
能になる。代表的には、約17〜約75ヌクレオチド長のプライマーが好ましく、その位
置の両側の約10〜約25以上の残基が変異される一方、約17〜約25ヌクレオチド長
のプライマーがより好ましく、その位置の両側で約5〜10残基が変異される。
一般に、部位特異的変異誘発は、まず、所望のタンパク質をコードするDNA配列をそ
の配列内に含む一本鎖ベクターを最初に得るかまたは二本鎖ベクターの2つの鎖を融解す
ることにより行われる。当業者により理解されるように、その技術は、代表的には、一本
鎖および二本鎖形態の両方にて存在するバクテリオファージベクターを使用する。部位特
異的変異誘発において有用な代表的ベクターとしては、M13ファージのようなベクター
が挙げられる。これらのファージベクターは市販されており、それらの使用は、一般に、
当業者に周知である。二本鎖プラスミドはまた、ファージからプラスミドへと目的の遺伝
子を移入する工程を排除する、部位特異的変異誘発において慣用的に使用される。
次いで、この変異誘発プライマーは、変異を有する鎖の合成を完了させるために、一本
鎖DNA調製物とアニールされ、DNA重合酵素(例えば、E.coliポリメラーゼI
クレノウフラグメント)に供される。従って、ヘテロ二重鎖は、1つの鎖が、本来の変異
していない配列をコードし、第2の鎖が所望の変異を有する場合に形成される。次いで、
このヘテロ二重鎖ベクターは、適切な細胞(例えば、E.coli細胞)を形質転換する
ために使用され、変異した配列配置を有する組換えベクターを含むクローンが選択される
あるいは、一対のプライマーが、二本鎖ベクターの2つの別個の鎖にアニールされて、
PCRTM反応において所望の変異を有する両方の対応する相補鎖が同時に合成され得る
。変異原性オリゴヌクレオチドを組み込むクローンを富化するための遺伝子選択スキーム
が考案された(Kunkelら,1987)。あるいは、市販の熱安定性酵素(例えば、
Taqポリメラーゼ)を用いたPCRTMの使用は、変異原性オリゴヌクレオチドプライ
マーを、増幅DNAフラグメント(これは、適切なクローニングベクターまたは発現ベク
ターへクローニングされうる)に組み込むために使用され得る(Tomicら,1990
;Upenderら,1995)。熱安定性ポリメラーゼに加えて、熱安定性リガーゼを
使用するPCRTMもまた、リン酸化変異原性オリゴヌクレオチドを、増幅DNAフラグ
メント(これは、次いで、適切なクローニングベクターまたは発現ベクターへクローニン
グされ得る)に組み込むために使用され得る(Michael 1994)。
部位特異的変異誘発を使用して、選択した遺伝子の配列改変体を調製することは、潜在
的に有用な種を生成する手段として提供され、遺伝子の配列改変体が得られ得る他の方法
が存在し得るので、限定することを意味しない。例えば、所望の遺伝子をコードする組換
えベクターを変異誘発剤(mutagenic agent)(例えば、ヒドロキシルア
ミン)で処理して、配列改変体を入手し得る。
さらに、1つの特に有用な変異誘発技術は、アラニンスキャニング変異誘発である。こ
こで、タンパク質コンホメーションにおける大規模な混乱(perturbation)
の危険性を最小すると同時に、失われた側鎖の相互作用の効果を決定しうるように、多く
の残基が、アミノ酸アラニンで個々に置換される(Cunninghamら,1989)
(F.ベクター)
核酸の複製、発現または変異誘発をもたらすために、その核酸を、細胞に送達(「移入
」)し得る。細胞のトランスフェクションは、特定の実施形態において、その後の薬学的
ワクチンへの精製および調製のために、1以上のワクチン成分を組換え生成するために使
用され得る。他の実施形態において、核酸は、動物に投与される遺伝子ワクチンとして構
成され得る。他の実施形態において、この核酸は、細部へトランスフェクトされ、この細
胞が、細胞ワクチン成分として動物に投与される。その核酸は、裸の組換えDNAのみか
らなってもよいし、例えば、核酸を保護し、そして/または特定の細胞型へこれを標的化
する補助するためのさらなる材料を含んでいてもよい。
用語「ベクター」は、核酸配列が、細胞(ここで核酸配列が複製されうる)へ導入する
ために挿入され得るキャリア核酸分子をいうために使用される。核酸配列は、「外因性」
であり得る。外因性は、この核酸が、ベクターが導入され、その配列ベクターが導入され
る細胞に対して外来であるか、またはその配列が細胞中の配列に対して同種であるが、そ
の配列が通常は見出されない宿主細胞核酸内の位置にあることを意味する。ベクターとし
ては、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、および植
物ウイルス)、ならびに人工染色体(例えば、YAC)が挙げられる。当業者は、標準的
な組換え技術を介してベクターを構築するために十分知識を身につけている(例えば、M
aniatisら,1988およびAusubelら,1994(ともに本明細書中に参
考として援用される)を参照のこと)。
用語「発現ベクター」とは、転写され得るRNAをコードする核酸を含む、任意の型の
遺伝子構築物をいう。いくつかの場合において、次いで、RNA分子は、タンパク質、ポ
リペプチド、またはペプチドに翻訳される。他の場合、これらの配列は、例えば、アンチ
センス分子またはリボザイムが生成されて、翻訳されない。発現ベクターは、種々の「制
御配列」を含みうる。この制御配列は、特定の宿主細胞における作動可能に連結されたコ
ード配列の転写およびおそらく翻訳に必要な核酸配列をいう。
抗原性組成物または他のワクチン成分をコードする核酸は、細胞のゲノムに安定に組み
込まれてもよいし、DNAの別個のエピソームセグメントとして細胞中に安定に維持され
てもよい。このような核酸セグメントまたは「エピソーム」は、宿主細胞周期内の同期化
とは無関係にまたはこの宿主細胞周期と同期化して、維持および複製を可能にするに十分
な配列をコードする。ベクターおよび発現ベクターは、他の機能を提供し、そして本明細
書中に以下に記載される核酸配列を含み得る。発現構築物が細胞にどのように送達され、
細胞中のどこに、この核酸が維持されるかは、使用される発現構築物の型に依存する。
(1.プロモーターおよびエンハンサー)
「プロモーター」は、核酸配列の領域にある制御配列であり、この核酸配列において転
写の開始および転写速度を制御する。プロモーターは、調節タンパク質および調節分子が
、例えば、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子を結合して、核酸配列の特定の転写を
開始し得る遺伝子エレメントを含み得る。句「作動可能に配置される」、「作動可能に連
結される」、「制御下」、および「転写制御下」とは、転写開始および/またはその配列
の発現の制御に対する核酸配列と関連して、プロモーターが正確な機能位置および/また
は方向にあることを意味する。
プロモーターは、一般に、RNA合成のために開始部位を位置づけるように機能する配
列を含む。これについて最もよく知られた例は、TATAボックスであるが、例えば、T
ATAボックスを欠いたいくつかのプロモーター(例えば、哺乳動物の末端デオキシヌク
レオチジルトランスフェラーゼ遺伝子についてのプロモーター、およびSV40後期遺伝
子についてのプロモーター)、それ自体が開始位置を固定するように補助する開始部位と
重なる別個のエレメントがある。さらなるプロモーターエレメントは、転写開始の頻度を
調節する。代表的には、これらは、開始部位の30〜110bp上流の領域に位置するが
、多くのプロモーターは、開始部位の下流にも機能的エレメントを含むことが示されてい
る。プロモーターの「制御下で」コード配列をもたらすために、選択したプロモーターの
「下流」(すなわち、3’側)にある転写リーディングフレームの転写開始部位の5’末
端に位置させる。「上流」プロモーターは、DNAの転写を刺激し、コードされるRNA
の発現を促進する。
プロモーターエレメント間の間隔は、頻繁に融通が利き、その結果、プロモーター機能
は、エレメントが互いに逆にされるかまたは動かされる場合に保存される。tkプロモー
ターにおいて、プロモーターエレメント間の間隔は、活性が減少し始める前の50bp離
れたところまで増大され得る。プロモーターに依存して、転写を活性化するために、協同
してまたは独立してかのいずれかで個々のエレメントが機能し得るようである。プロモー
ターは、「エンハンサー」とともに使用されてもよいし、使用されなくてもよい。このエ
ンハンサーとは、核酸配列の転写活性化に関与するシス作用性調節配列をいう。
プロモーターは、コードセグメントおよび/またはエキソンの上流に位置する5’非コ
ード配列を単離することにより得られる得ように、核酸配列と天然に関連し得る。このよ
うなプロモーターは、「内因性」といわれ得る。同様に、エンハンサーは、その配列の下
流または上流のいずれかに位置して、核酸配列と天然に関連し得る。あるいは、特定の利
点は、組換えプロモーターまたは異種プロモーターの制御下で、コード核酸セグメントを
配置することにより増大される。この組換えプロモーターまたは異種プロモーターとは、
その天然の環境において核酸配列と通常は関連しないプロモーターをいう。組換えエンハ
ンサーまたは異種エンハンサーはとはまた、天然の環境において核酸配列と通常関連しな
いエンハンサーをいう。このようなプロモーターまたはエンハンサーとしては、他の遺伝
子のプロモーターまたはエンハンサー、および任意の他のウイルス、原核生物細胞もしく
は真核生物細胞から単離されたプロモーターまたはエンハンサー、および天然に存在しな
い(すなわち、異なる転写調節領域の異なるエレメントおよび/または発現を変化させる
変異を含む)プロモーターまたはエンハンサーが挙げられ得る。例えば、組換えDNA構
築において最も一般的に使用されるプロモーターとしては、β−ラクタマーゼ(ペニシリ
ナーゼ)、ラクトースおよびトリプトファン(trp)プロモーター系が挙げられる。プ
ロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を合成により生成することに加えて、配列は、
本明細書中に開示される組成物とともに、組換えクローニングおよび/または核酸増幅技
術(PCRTM)を使用して生成され得る(米国特許第4,683,202号および同第
5,928,906号(各々が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。さ
らに、核でないオルガネラ(例えば、ミトコンドリア、葉緑体など)内の配列の転写およ
び/または発現を方向付ける制御配列もまた使用され得ることが企図される。
当然のことながら、発現のために選択されたオルガネラ、細胞型、組織、器官または生
物中のDNAセグメントの発現を効率的に方向付けるプロモーターおよび/またはエンハ
ンサーを使用することは重要である。分子生物学の当業者は、一般に、タンパク質発現の
ために、プロモーター、エンハンサー、および細胞型の組み合わせを使用することをわか
っている(例えば、Sambrookら 1989(本明細書中に参考として援用される
)を参照のこと)。使用されるプロモーターは、構成性であってもよいし、組織特異的で
あってもよいし、誘導性であってもよいし、そして/または挿入されるDNAセグメント
の高レベル発現を方向付けるに適切な条件下で有用であってもよい。例えば、組換えタン
パク質および/またはペプチドの大規模生成において有利である。プロモーターは、異種
であってもよいし、内因性であってもよい。
さらに任意のプロモーター/エンハンサーの組み合わせ(例えば、真核生物プロモータ
ーデータベースEPDB、http://www.epd.isb−sib.ch/によ
る)はまた、発現を駆動するために使用され得る。T3細胞質発現系、T7細胞質発現系
またはSP6細胞質発現系の使用は、別の可能な実施形態である。真核生物細胞は、適切
な細菌ポリメラーゼが提供されると、送達複合体の一部としてまたはさらなる遺伝子発現
構築物としてのいずれかで特定の細菌プロモーターからの細胞質転写を支持し得る。
表3は、RNA発現を調節するために、本発明の状況において使用され得るエレメント
/プロモーターの非限定的な例を列挙する。表4は、誘導性エレメント(特定の刺激に応
答して活性化され得る核酸配列の領域である)の非限定的な例を提供する。
Figure 0005017238

Figure 0005017238
Figure 0005017238

組織特異的プロモーターまたはエレメントの正体、ならびにそれらの活性を特徴づける
アッセイは、当業者に周知である。このような領域の非限定的な例としては、ヒトLIM
K2遺伝子(Nomotoら.1999)、ソマトスタチンレセプター2遺伝子(Kra
usら,1998)、マウス精巣上体レチノイン酸結合遺伝子(Lareyreら,19
99)、ヒトCD4(Zhao−Emonetら,1998)、マウスα2(XI)コラ
ーゲン(Tsumakiら,1998)、D1Aドパミンレセプター遺伝子(Leeら,
1997)、インスリン様増殖因子II(Wuら,1997)、およびヒト血小板内皮細
胞接着分子−1(Almendroら,1996)が挙げられる。
(2.開始シグナルおよび内部リボソーム結合部位)
特定の開始シグナルがまた、コード配列の効率的な翻訳のために必要とされ得る。これ
らのシグナルとしては、ATG開始コドンまたは隣接配列が挙げられる。外因性の翻訳制
御シグナル(ATG開始コドンを含む)が提供されることが必要とされ得る。当業者は容
易にこれを決定し得、そして必要なシグナルを提供し得る。開始コドンは、挿入物全体の
翻訳を確実にするために、所望されるコード配列の読み取り枠と「インフレーム」でなけ
ればならないことが周知である。外因性の翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然ま
たは合成のいずれでもあり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメントを含
ませることによって増強され得る。
本発明の特定の実施形態では、内部リボソーム侵入部位(IRES)エレメントの効用
を使用して、多重遺伝子またはポリシストロン性メッセージを作製する。IRESエレメ
ントは、5’メチル化Cap依存性翻訳のリボソーム走査モデルをバイパスし得、そして
内部部位での翻訳を開始させ得る(PelletierおよびSonenberg,19
88)。ピコルナウイルス科の2つのメンバー(ポリオおよび脳心筋炎)由来のIRES
エレメントが記載されており(PelletierおよびSonenberg,1988
)、同様に哺乳動物メッセージ由来のIRESも記載されている(Macejakおよび
Sarnow,1991)。IRESエレメントは、異種のオープンリーディングフレー
ムに連結され得る。各々がIRESによって隔てられてポリシストロン性メッセージをな
している、複数のオープンリーディングフレームは一緒に転写され得る。IRESエレメ
ントによって、各オープンリーディングフレームは、効率的な翻訳のためにリボソームに
接近可能となる。複数の遺伝子は、単一のメッセージを転写するために単一のプロモータ
ー/エンハンサーを使用して、効率的に発現され得る(米国特許第5,925,565号
および同第5,935,819号(各々が、本明細書中で参考として援用される)を参照
のこと)。
(3.マルチクローニング部位)
ベクターは、複数の制限酵素部位を含む核酸領域であるマルチクローニング部位(MC
S)を含み得、その複数の制限酵素部位はいずれも、ベクターを消化するための標準的な
組換え技術と組み合わせて使用され得る(例えば、Carbonelliら,1999,
Levensonら,1998,およびCocea,1997(本明細書中で参考として
援用される)を参照のこと)。「制限酵素消化」は、核酸分子中の特定の位置でのみ機能
する酵素を用いた、核酸分子の触媒性切断をいう。多くのこれらの制限酵素が市販されて
いる。このような酵素の使用は、当業者によって広く理解されている。頻繁には、ベクタ
ーは、外因性配列がそのベクターに連結されるのを可能とするために、MCS内で切断す
る制限酵素を用いて直鎖化または断片化される。「連結」は、2つの核酸フラグメント(
これらは、互いに隣接していても隣接していなくてもよい)の間でホスホジエステル結合
を形成するプロセスをいう。制限酵素および連結反応に関する技術は、組換え技術の分野
の当業者に周知である。
(4.スプライシング部位)
最も転写される真核生物RNA分子は、RNAスプライシングを受けて、一次転写物か
らイントロンを取り除く。真核生物ゲノム配列を含むベクターは、タンパク質発現のため
に転写物の適切なプロセシングを保証するために、ドナーおよび/またはアクセプタース
プライシング部位を必要とし得る(例えば、Chandlerら,1997(本明細書中
で参考として援用される)を参照のこと)。
(5.終止シグナル)
本発明のベクターまたは構築物は、一般的に、少なくとも1つの終止シグナルを含む。
「終止シグナル」または「ターミネーター」は、RNAポリメラーゼによるRNA転写物
の特定の終止に関与するDNA配列から構成される。従って、特定の実施形態では、RN
A転写物の生成を終了させる終止シグナルが意図される。ターミネーターは、所望される
メッセージレベルを達成するためにインビボで必要とされ得る。
真核生物系では、ターミネーター領域はまた、新しい転写物の部位特異的切断を可能と
する特定のDNA配列を含んで、ポリアデニル化部位を露出させ得る。これは、特殊化し
た内因性ポリメラーゼをシグナル伝達して、転写物の3’末端に約200個のA残基のス
トレッチ(ポリA)を付加する。このポリAテイルで修飾されたRNA分子は、より安定
であるようであり、そしてより効率的に翻訳される。従って、真核生物に関する他の実施
形態では、ターミネーターがRNAの切断のためのシグナルを含むことが好ましく、そし
てこのターミネーターのシグナルが、メッセージのポリアデニル化を促進することがより
好ましい。ターミネーターおよび/またはポリアデニル化部位のエレメントは、メッセー
ジのレベルを増強するため、およびカセットから他の配列に読み過ごすことを最少にする
ために役立ち得る。
本発明において使用を意図されるターミネーターは、本明細書中に記載されるかまたは
当業者に公知の転写の任意の公知のターミネーターを含み、これには例えば、遺伝子の終
止配列(例えば、ウシ成長ホルモンターミネーターなど)またはウイルスのターミネータ
ー配列(例えば、SV40ターミネーターなど)が挙げられるが、これらに限定されない
。特定の実施形態では、終止シグナルは、例えば、配列の短縮化(truncation
)に起因して、転写可能な配列または翻訳可能な配列を欠失し得る。
(6.ポリアデニル化シグナル)
発現、特に、真核生物での発現では、転写物の適切なポリアデニル化をもたらすために
、ポリアデニル化シグナルが代表的に含まれ得る。ポリアデニル化シグナルの性質は、本
発明の首尾良い実施に対して重要であるとは考えられず、任意のこのような配列が使用さ
れ得る。好ましい実施形態としては、種々の標的細胞において都合が良くそして良好に機
能することが知られている、SV40ポリアデニル化シグナルまたはウシ成長ホルモンポ
リアデニル化シグナルが挙げられる。ポリアデニル化は、転写物の安定性を増加させ得る
か、または細胞質輸送を容易にし得る。
(7.複製起点)
宿主細胞中においてベクターを増殖させるために、このベクターは、複製を開始させる
特定の核酸配列である複製起点部位(しばしば、「ori」と称される)を1つ以上含み
得る。あるいは、宿主細胞が酵母である場合には、自律複製配列(ARS)が使用され得
る。
(8.選択マーカーおよびスクリーニングマーカー)
本発明の特定の実施形態では、本発明の核酸構築物を含む細胞は、発現ベクター中にマ
ーカーを含ませることによって、インビトロまたはインビボで同定され得る。このような
マーカーは、その発現ベクターを含む細胞の容易な同定を可能とする同定可能な変化を、
細胞に付与する。一般的には、選択マーカーは、選択を可能にする特性を付与するマーカ
ーである。ポジティブ選択マーカーは、そのマーカーの存在がその選択を許容するマーカ
ーであり、一方、ネガティブ選択マーカーは、その存在がその選択を妨げるマーカーであ
る。ポジティブ選択マーカーの例は、薬物耐性マーカーである。
通常、薬物選択マーカーを含ませることは、クローニングおよび形質転換体の同定を補
助し、例えば、ネオマイシン、プロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼ
オシン(zeocin)、およびヒスチジノールに対する耐性を付与する遺伝子は、有用
な選択マーカーである。条件の実施に基づいて形質転換体の識別を可能にする表現型を付
与するマーカーに加えて、GFP(これは比色分析に基づく)のようなスクリーニングマ
ーカーを含む、他の型のマーカーもまた意図される。あるいは、スクリーニング可能な酵
素(例えば、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェラーゼ(CAT))が利用され得る。当業者はまた、おそらくF
ACS分析と組み合わせて、免疫学的マーカーを使用する方法を知る。使用されるマーカ
ーは、それが遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現され得る限り、重要であるとは考
えられない。選択マーカーおよびスクリーニングマーカーのさらなる例は当業者に周知で
ある。
(9.プラスミドベクター)
特定の実施形態では、プラスミドベクターが、宿主細胞を形質転換するための使用に意
図される。一般的に、宿主細胞と適合性の種に由来するレプリコンおよび制御配列を含む
プラスミドベクターが、これらの宿主と関連して使用される。ベクターは通常、複製部位
、ならびに形質転換された細胞において表現型選択を提供し得るマーキング配列を保有す
る。非制限的な例において、E.coliはしばしば、pBR322(E.coli種由
来のプラスミド)の誘導体で形質転換される。pBR322は、アンピシリン耐性および
テトラサイクリン耐性についての遺伝子を含み、これにより、形質転換された細胞を容易
に同定するための手段を提供する。pBRプラスミド、または他の微生物プラスミドもし
くはファージはまた、例えば、それ自体のタンパク質の発現のためにその微生物によって
使用され得るプロモーターを含まなければならないか、または含むように改変されなけれ
ばならない。
さらに、宿主微生物と適合性であるレプリコンおよび制御配列を含むファージベクター
が、これらの宿主と関連して、形質転換ベクターとして使用され得る。例えば、ファージ
λGEMTMλ11は、例えば、E.coli LE392のような宿主を形質転換する
ために使用され得る組換えファージベクターを作製するにおいて利用され得る。
さらに有用なプラスミドベクターとしては、pINベクター(Inouyeら,198
5);および、後の精製および分離または切断のためのグルタチオンS−トランスフェラ
ーゼ(GST)可溶性融合タンパク質を生成するにおいて使用するための、pGEXベク
ターが挙げられる。他の適切な融合タンパク質は、β−ガラクトシダーゼ、ユビキチンな
どを有するタンパク質である。
発現ベクターを含む細菌宿主細胞(例えば、E.coli)は、多くの任意の適切な培
地(例えば、LB)において増殖される。特定のベクターにおける組換えタンパク質の発
現は、当業者に理解されるように、特定のプロモーターに特異的な因子と宿主細胞を接触
させることによって(例えば、IPTGを培地に添加することによってか、またはインキ
ュベーションをより高温に切り替えることによって)、誘導され得る。さらなる期間(一
般的に、2時間と24時間との間)にわたって細菌を培養した後、その細胞を、遠心分離
によって収集し、そして洗浄して残留培地を取り除く。
(10.ウイルスベクター)
特定のウイルスが、レセプター媒介性エンドサイトーシスを介して細胞に感染または細
胞に侵入する能力、および安定かつ効率的にウイルス遺伝子を宿主細胞ゲノムに組込みそ
して発現する能力は、それらのウイルスを、細胞(例えば、哺乳動物細胞)に外来核酸を
転移させるための魅力的な候補とする。本発明のワクチン成分は、1つ以上の葉酸結合タ
ンパク質改変体の抗原性組成物または他の成分(例えば、葉酸結合タンパク質改変体の免
疫調節物質またはアジュバントなど)をコードするウイルスベクターであり得る。本発明
の核酸を送達するために使用され得るウイルスベクターの非制限的な例を、以下に記載す
る。
(a.アデノウイルスベクター)
核酸の送達のための特定の方法は、アデノウイルス発現ベクターの使用を含む。アデノ
ウイルスベクターは、ゲノムDNAへの組込みについて低い能力を有することが公知であ
るが、この特徴は、これらのベクターによって付与される遺伝子転移効率の高さによって
相殺される。「アデノウイルス発現ベクター」は、(a)構築物のパッケージングを支持
するため、および(b)その中にクローン化された組織特異的または細胞特異的な構築物
を最終的に発現させるために十分なアデノウイルス配列を含む構築物を含むことを意味す
る。アデノウイルスの遺伝子構成(36kbの直鎖状二本鎖DNAウイルス)についての
見識により、アデノウイルスDNAの大片を、7kbまでの外来配列で置換することが可
能である(GrunhausおよびHorwitz,1992)。
(b.AAVベクター)
アデノウイルスに補助されるトランスフェクションを使用して、核酸を細胞に導入し得
る。トランスフェクション効率の増加が、アデノウイルスと組み合わせた系を使用する細
胞系において報告された(KelleherおよびVos,1994;Cottenら,
1992;Curiel,1994)。アデノ随伴ウイルス(AAV)は、本発明の葉酸
結合タンパク質改変体ワクチンにおいて使用するために魅力的なベクター系である。なぜ
なら、AAVは高頻度の組込みを有し、そして非分裂細胞に感染し得、それによりAAV
を、例えば、組織培養において(Muzyczka,1992)またはインビボにおいて
哺乳動物細胞に遺伝子を送達するために有用とするからである。AAVは、感染性につい
て、広範な宿主範囲を有する(Tratschinら,1984;Laughlinら,
1986;Lebkowskiら,1988;McLaughlinら,1988)。r
AAVベクターの生成および使用に関する詳細は、米国特許第5,139,941号およ
び同第4,797,368号(各々が、本明細書中で参考として援用される)において記
載されている。
(c.レトロウイルスベクター)
レトロウイルスは、宿主ゲノムにその遺伝子を組み込むその能力、大量の外来遺伝物質
を転移させる点、広範なスペクトルの種および細胞型に感染する点、ならびに特別な細胞
株にパッケージングされる点(Miller,1992)に起因して、ワクチンにおいて
葉酸結合タンパク質改変体抗原を送達するベクターとして有望である。
葉酸結合タンパク質改変体ワクチンのレトロウイルスベクターを構築するために、核酸
(例えば、目的の葉酸結合タンパク質改変体抗原をコードする核酸)は、複製欠損性のウ
イルスを生成するための特定のウイルス配列の位置で、ウイルスゲノム中に挿入される。
ビリオンを生成するために、gag、pol、およびenv遺伝子を含むが、LTRおよ
びパッケージング成分を含まないパッケージング細胞株を構築する(Mannら,198
3)。レトロウイルスのLTRおよびパッケージング配列と共にcDNAを含む組換えプ
ラスミドを、特定の細胞株に導入する場合(例えば、リン酸カルシウム沈降などによって
)、パッケージング配列は、組換えプラスミドのRNA転写物がウイルス粒子中にパッケ
ージングされるのを可能にし、これは次いで、培養培地中に分泌される(Nicolas
およびRubenstein,1988;Temin,1986;Mannら,1983
)。次いで、組換えレトロウイルスを含む培地が収集され、必要に応じて濃縮され、そし
て遺伝子転移のために使用される。レトロウイルスベクターは、広範な種々の細胞型に感
染し得る。しかし、組込みおよび安定な発現は、宿主細胞の分裂を必要とする(Pask
indら,1975)。
レンチウイルスは、複雑なレトロウイルスであり、これは、共通したレトロウイルス遺
伝子であるgag、pol、およびenvに加えて、調節機能または構造的機能を有する
他の遺伝子を含む。レンチウイルスベクターは、当該分野で周知である(例えば、Nal
diniら,1996;Zuffereyら,1997;Blomerら,1997;米
国特許第6,013,516号および同第5,994,136号を参照のこと)。レンチ
ウイルスのいくつかの例としては、ヒト免疫不全ウイルス:HIV−1、HIV−2、お
よびサル免疫不全ウイルス:SIVが挙げられる。レンチウイルスベクターは、HIVの
ビルレンス遺伝子を複合的に弱毒化することによって生成されており、例えば、遺伝子e
nv、vif、vpr、vpuおよびnefを欠失させて、そのベクターを生物学的に安
全なものとする。
組換えレンチウイルスベクターは、非分裂細胞に感染し得、そして核酸配列のインビボ
およびエキソビボの両方での遺伝子の転移および核酸配列の発現のために使用され得る。
例えば、非分裂細胞に感染し得る組換えレンチウイルスが、米国特許第5,994,13
6号(本明細書中で参考として援用される)に記載されており、ここでは、適切な宿主細
胞を、パッケージング機能を有する2つ以上のベクター(すなわち、gag、polおよ
びenv、ならびにrevおよびtat)でトランスフェクトしている。エンベロープタ
ンパク質を抗体と連結することによってか、標的化のための特定のリガンドを特定の細胞
型のレセプターに連結することによって、組換えウイルスを標的化し得る。例えば、特定
の標的細胞上のレセプターに対するリガンドをコードする別の遺伝子と共に、目的の配列
(調節領域を含む)をウイルスベクターに挿入することによって、ベクターは、ここに標
的特異的となる。
(d.他のウイルスベクター)
他のウイルスベクターが、本発明においてワクチン構築物として使用され得る。ワクシ
ニアウイルス(Ridgeway,1988;BaichwalおよびSugden,1
986;Couparら,1988)、シンドビスウイルス、サイトメガロウイルスおよ
び単純ヘルペスウイルスのようなウイルスに由来するベクターが使用され得る。これらは
、種々の哺乳動物細胞にいくつかの魅力的な特徴を与える(Friedmann,198
9;Ridgeway,1988;BaichwalおよびSugden,1986;C
ouparら,1988;Horwichら,1990)。
(e.改変されたウイルスを使用したワクチン送達)
送達される核酸は、特定の結合リガンドを発現するように操作された感染性ウイルスの
中に収容され得る。従って、ウイルス粒子は、標的細胞の同族(cognate)レセプ
ターに特異的に結合し、そしてその細胞に成分を送達する。レトロウイルスベクターの特
異的標的化を可能にするように設計された新規なアプローチが、近年、ウイルスのエンベ
ロープにラクトース残渣を化学的に付加することによるレトロウイルスの化学的改変に基
づいて開発された。この改変は、シアロ糖タンパク質レセプターを介した肝細胞の特異的
感染を可能にし得る。
レトロウイルスエンベロープタンパク質に対するビオチン化抗体および特定の細胞レセ
プターに対するビオチン化抗体を使用する、組換えレトロウイルスの標的化に対する別の
アプローチが設計された。これらの抗体は、ストレプトアビジンを使用することによって
、ビオチン成分を介して連結された(Rouxら,1989)。主要組織適合遺伝子複合
体クラスI抗原およびクラスII抗原に対する抗体を使用して、インビトロでのエコトロ
ピックウイルスによる、これらの表面抗原を有する種々のヒト細胞の感染が実証された(
Rouxら,1989)。従って、抗体、特異的結合リガンド、および/または他の標的
化部分が、APC型を特異的にトランスフェクトするために使用され得ることが意図され
る。
(11.ベクターの送達および細胞の形質転換)
本発明で使用するためのオルガネラ、細胞、組織または生物体の形質転換のために核酸
を送達する適切な方法は、本明細書中に記載されるか、または当業者に公知であるような
、核酸(例えば、DNA)をオルガネラ、細胞、組織または生物体に導入し得る実質的に
任意の方法を含むと考えられる。このような方法としては、以下が挙げられるが、これら
に限定されない:注入によるような、DNAの直接的送達(米国特許第5,994,62
4号、同第5,981,274号、同第5,945,100号、同第5,780,448
号、同第5,736,524号、同第5,702,932号、同第5,656,610号
、同第5,589,466号、および同第5,580,859(各々が、本明細書中で参
考として援用される))であって、これはマイクロインジェクションを含む(Harla
nおよびWeintraub,1985;米国特許第5,789,215号(本明細書中
で参考として援用される));エレクトロポレーションによる(米国特許第5,384,
253号(本明細書中で参考として援用される);Tur−Kaspaら,1986;P
otterら,1984);リン酸カルシウム沈降による(GrahamおよびVan
Der Eb,1973;ChenおよびOkayama,1987;Rippeら,1
990);DEAE−デキストランと、次いでポリエチレングリコールを使用することに
よる(Gopal,1985);直接的な音波負荷(sonic loading)によ
る(Fechheimerら,1987);リポソーム媒介性トランスフェクション(N
icolauおよびSene,1982;Fraleyら,1979;Nicolauら
,1987;Wongら,1980;Kanedaら,1989;Katoら,1991
)およびレセプター媒介性トランスフェクションによる(WuおよびWu,1987;W
uおよびWu,1988);マイクロプロジェクタイルボンバードメントによる(PCT
出願番号WO 94/09699および同95/06128;米国特許第5,610,0
42号;同第5,322,783号;同第5,563,055号;同第5,550,31
8号;同第5,538,877号;および同第5,538,880(各々が、本明細書中
で参考として援用される));炭化ケイ素繊維での撹拌による(Kaepplerら,1
990;米国特許第5,302,523号および同第5,464,765号(各々が、本
明細書中で参考として援用される));Agrobacterium媒介性形質転換によ
る(米国特許第5,591,616号および同第5,563,055号(各々が、本明細
書中で参考として援用される));またはプロトプラストのPEG−媒介性形質転換によ
る(Omirullehら,1993;米国特許第4,684,611号および同第4,
952,500号(各々が、本明細書中で参考として援用される));乾燥/阻害(de
siccation/inhibition)媒介性DNA取り込みによる(Potry
kusら,1985)、およびこれらの方法の任意の組み合わせ。これらのような技術の
適用を通して、オルガネラ、細胞、組織または生物体を、安定的または一過的に形質転換
し得る。
(a.注入)
特定の実施形態では、1つ以上の注入(すなわち、針での注入)を介して、核酸を、オ
ルガネラ、細胞、組織または生物体に送達し得る。核酸の注入方法は、本明細書中に記載
されており、そして当業者に周知である。本発明のさらなる実施形態は、細胞への直接的
なマイクロインジェクションによる核酸の導入を含む。直接的なマイクロインジェクショ
ンを使用して、Xenopusの卵母細胞に核酸構築物が導入されている(Harlan
dおよびWeintraub,1985)。使用される葉酸結合タンパク質改変体の量は
、抗原の性質、ならびに使用されるオルガネラ、細胞、組織または生物体に応じて変動し
得る。
(b.エレクトロポレーション)
本発明の特定の実施形態では、エレクトロポレーションを介して、核酸を、オルガネラ
、細胞、組織または生物体に導入する。エレクトロポレーションは、高電圧の電気的放電
に対して、細胞およびDNAの懸濁物を曝露させることを含む。この方法のいくつかの改
変では、特定の細胞壁分解酵素(例えば、ペクチン分解酵素)を使用して、標的のレシピ
エント細胞を、未処理細胞よりもエレクトロポレーションによる形質転換に感受性にさせ
る(米国特許第5,384,253号(本明細書中で参考として援用される))。あるい
は、レシピエント細胞は、機械的傷害によって、形質転換により感受性になされ得る。
エレクトロポレーションを使用する真核生物細胞のトランスフェクションは、非常に首
尾よかった。マウスプレBリンパ球は、ヒトκ免疫グロブリン遺伝子でトランスフェクト
され(Potterら、1984)、そしてラット肝細胞は、クロラムフェニコールアセ
チルトランスフェラーゼ遺伝子で、この様式にてトランスフェクトされた(Tur−Ka
spaら、1986)。
細胞(例えば、植物細胞)へのエレクトロポレーションによる形質転換をもたらすため
に、もろい組織(例えば、細胞の懸濁培養物)または胚形成性カルスのいずれかが使用さ
れ得るか、あるいは、未成熟胚または他の組織化された組織が直接形質転換され得る。こ
の技術において、選択された細胞の細胞壁が、ペクチン分解酵素(ペクトリアーゼ)に曝
露されることによって、または制御された様式で機械的に傷付けられることによって部分
的に分解される。インタクトな細胞のエレクトロポレーションによって形質転換されたい
くつかの種の例としては、トウモロコシ(米国特許第5,384,253号;Rhode
sら、1995;D’Halluinら、1992)、コムギ(Zhouら、1993)
、トマト(HouおよびLin、1996)、ダイズ(Christouら、1987)
およびタバコ(Leeら、1989)が挙げられる。
植物細胞のエレクトロポレーション形質転換のために、プロトプラストがまた使用され
得る(Bates、1994;Lazzeri、1995)。例えば、子葉由来プロトプ
ラストのエレクトロポレーションによるトランスジェニックダイズ植物の生成は、Dhi
rおよびWidholmによって、国際特許出願番号WO9217598(本明細書中に
参考として援用される)に記載されている。プロトプラスト形質転換が記載されてきた種
の他の例としては、大麦(Lazerri、1995)、サトウモロコシ(Battra
wら、1991)、トウモロコシ(Bhattacharjeeら、1997)、コムギ
(Heら、1994)およびトマト(Tsukaba、1989)が挙げられる。
(c.リン酸カルシウム)
本発明の他の実施形態において、リン酸カルシウム沈殿を使用して、核酸が、細胞に導
入される。ヒトKB細胞は、この技術を使用して、アデノウイルス5DNAでトランスフ
ェクトされた(GrahamおよびVan Der Eb、1973)。またこの様式で
、マウスL(A9)細胞、マウスC127細胞、CHO細胞、CV−1細胞、BHK細胞
、NIH3T3細胞およびHeLa細胞は、ネオマイシンマーカー遺伝子でトランスフェ
クトされ(ChenおよびOkayama、1987)、ラット肝細胞は、種々のマーカ
ー遺伝子でトランスフェクトされた(Rippeら、1990)。
(d.DEAE−デキストラン)
別の実施形態において、DEAE−デキストラン後にポリエチレングリコールを使用し
て、核酸が、細胞に送達される。この様式で、レポータープラスミドは、マウス骨髄腫細
胞および赤白血病細胞に導入された(Gopal、1985)。
(e.リポソーム媒介トランスフェクション)
本発明のさらなる実施形態において、1つ以上のワクチン成分または核酸が、脂質複合
体(例えば、リポソーム)中に内包され得る。リポソームは、リン脂質二重膜および内部
水性媒体によって特徴付けられる小胞構造である。多重膜リポソームは、水性媒体によっ
て分離される複数の脂質層を有する。多重膜リポソームは、リン脂質が過剰な水溶液に懸
濁される場合に、自然に形成する。脂質成分は、閉鎖した構造の形成ならびに水および溶
解した溶質の脂質二重膜間での内包の前に、自己再構成を行う(GhoshおよびBac
hhawat、1991)。また、核酸が、Lipofectamine(Gibco
BRL)またはSuperfect(Qiagen)と複合体化されることが企図される
リポソーム媒介核酸送達および外来DNAのインビトロでの発現は、非常に首尾よかっ
た(NicolauおよびSene、1982;Fraleyら、1979;Nicol
auら、1987)。培養ニワトリ胚、HeLa細胞および肝癌細胞でのリポソーム媒介
送達および外来DNAの発現の可能性がまた、実証された(Wongら、1980)。
本発明の特定の実施形態において、リポソームは、血球凝集ウイルス(HVJ)ととも
に複合体化され得る。これにより、細胞膜との融合を容易にし、リポソームに内包された
DNAの細胞への侵入を促進することが示された(Kanedaら、1989)。他の実
施形態において、リポソームは、複合体化されても、または核非ヒストン染色体タンパク
質(HMG−1)と組合わせて使用されてもよい(Katoら、1991)。なおさらな
る実施形態において、リポソームは、複合体化されても、HVJおよびHMG−1の両方
と組合わせて使用されてもよい。他の実施形態において、送達ビヒクルは、リガンドおよ
びリポソームを含み得る。
(f.レセプター媒介トランスフェクション)
レセプター媒介送達ビヒクルを使用して送達するために、1つ以上のワクチン成分また
は核酸が、使用され得る。このワクチン成分または核酸は、標的細胞に生じるレセプター
媒介エンドサイトーシスによる高分子の選択的取り込みを利用する。種々のレセプターの
細胞型特異的分布を考慮して、この送達法は、別の程度の特異性を本発明に加える。別の
哺乳動物細胞型に関して特異的な送達が記載されている(WuおよびWu、1993(本
明細書中に参考として援用される))。
特定のレセプター媒介遺伝子ターゲティングビヒクルは、細胞レセプター特異的リガン
ドおよび核酸結合因子を含む。他のレセプター媒介遺伝子ターゲティングビヒクルは、送
達されるべき核酸が作動可能に付着されている細胞レセプター特異的リガンドを含む。い
くつかのリガンドは、レセプター媒介遺伝子移入に使用され(WuおよびWu、1987
;Wagnerら、1990;Peralesら、1994;Myers、EPO 02
73085)、これは、この技術の作動性を達成する。別の哺乳動物細胞型に関して特異
的な送達が記載されている(WuおよびWu、1993(本明細書中に参考として援用さ
れる))。本発明の特定の局面において、リガンドは、標的細胞集団上に特異的に発現さ
れるレセプターに対応するように選択される。
他の実施形態において、細胞特異的核酸ターゲティングビヒクルの核酸送達ビヒクル成
分は、リポソームと組合わせた、特異的結合リガンドを含み得る。送達されるべき核酸は
、リポソーム内に収容され、そして特異的結合リガンドは、リポソーム膜中に機能的に組
み込まれる。よって、リポソームは、標的細胞のレセプターに特異的に結合し、細胞に内
容物を送達する。このような系は、系(例えば、上皮増殖因子(EGF)が、EGFレセ
プターのアップレギュレーションを示す細胞に、核酸をレセプター媒介送達する際に使用
される)を使用して機能的であることが示されている。
なおさらなる実施形態において、標的送達ビヒクルの核酸送達ビヒクル成分は、細胞特
異的結合を指向する1つ以上の脂質または糖タンパク質を好ましく含むリポソーム自体で
あり得る。例えば、ラクトシルセラミド、ガラクトース終末アシルガングリオシドは、リ
ポソーム中に組み込まれ、そして肝細胞によるインスリン遺伝子取り込みの増加が観察さ
れた(Nicolauら、1987)。本発明の組織特異的形質転換構築物が同様の様式
で標的細胞へ特異的に送達され得ることが、企図される。
(g.微粒子ボンバードメント)
微粒子ボンバードメント技術を使用して、少なくとも1つの細胞小器官、細胞、組織ま
たは生物に核酸を導入し得る(米国特許第5,550,318号;同第5,538,88
0号;同第5,610,042号;およびPCT出願WO94/09699(これらの各
々が本明細書中に参考として援用される)。この方法は、DNA被覆微粒子を高速に加速
して細胞膜を貫通させ、そして細胞を殺傷することなくこの微粒子を細胞内に侵入させる
能力に依存する(Kleinら、1987)。当該分野において公知の、種々の広範な微
粒子ボンバードメント技術が存在し、これらの多くは、本発明に適用可能である。
微粒子ボンバードメントを使用して、種々の細胞、組織または生物(例えば、任意の植
物種)を形質転換し得る。微粒子ボンバードメントによって形質転換される種の例として
は、単子葉植物種(例えば、トウモロコシ(PCT出願WO95/06128)、オオム
ギ(Ritalaら、1994;Hensgensら、1993)、コムギ(米国特許第
5,563,055号(本明細書中に参考として援用される))、コメ(Hensgen
sら、1993)、エンバク(Torbetら、1995;Torbetら、1998)
、ライムギ(Hensgensら、1993)、サトウキビ(Bowerら、1992)
およびモロコシ(Casesら、1993;Hagioら、1991));ならびに多く
の双子葉植物(タバコ(Tomesら、1990;BuisingおよびBenbow、
1994)、ダイズ(米国特許第5,322,783号(本明細書中に参考として援用さ
れる))、ヒマワリ(Knittelら、1994)、ピーナッツ(Singsitら、
1997)、ワタ(McCabeおよびMartinell、1993)、トマト(Va
nEckら、1995)および一般的なマメ科植物(legume)(米国特許第5,5
63,055号(本明細書中に参考として援用される))が挙げられる)が挙げられる。
微粒子ボンバードメントにおいて、1つ以上の粒子が、少なくとも1つの核酸で被覆さ
れ得、そして推進力によって細胞内に送達され得る。小粒子を加速させるためのいくつか
のデバイスが開発されている。このようなデバイスの1つは、順々に原動力を提供する電
流を生成するための高圧放電に依存する(Yangら、1990)。使用される微粒子は
、生物学的に不活性な物質(例えば、タングステン粒子もしくは金粒子またはビーズ)か
ら構成される。例示的な粒子としては、タングステン、白金、好ましくは、金から構成さ
れる粒子が挙げられる。いくつかの例において、金属粒子上のDNA沈殿物は、微粒子ボ
ンバードメントを使用してレシピエント細胞に送達されるDNAに必要ではないことが、
企図される。しかし、粒子がDNAで被覆される以外にDNAを含み得ることが、企図さ
れる。DNA被覆粒子は、粒子ボンバードメントを介するDNA送達レベルを増加し得る
が、それ自体必要ではない。
ボンバードメントについて、懸濁物中の細胞は、フィルターまたは固体培養培地上で濃
縮される。あるいは、未成熟胚または他の標的細胞は、固体培養培地上で配置され得る。
ボンバードメントされる細胞は、微粒子停止板より下の適切な距離で位置付けられる。
(12.宿主細胞)
本明細書中で使用される場合、用語「細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」は、交
換可能に使用され得る。これらの用語の全てはまた、引き続く世代のいずれかまたは全て
である、これらの子孫を含む。故意の変異または偶然の変異に起因して、全ての子孫が同
一でなくてもよいことが、理解される。異種核酸配列を発現する点で、「宿主細胞」は、
原核生物細胞または真核生物細胞をいい、そしてベクターを複製し得るおよび/またはベ
クターによってコードされる異種遺伝子を発現し得る、任意の形質転換可能な生物を含む
。宿主細胞は、ベクターについてのレシピエントとして使用され得、そして使用されてい
る。宿主細胞は、「トランスフェクト」されても、「形質転換」されてもよく、このトラ
ンスフェクトまたは形質転換は、外因性核酸が宿主細胞に移入されるかまたは導入される
プロセスをいう。形質転換された細胞は、目的の初代細胞およびその子孫を含み得る。本
明細書中で使用される場合、用語「操作される(操作された)」細胞または「操作される
(操作された)」宿主細胞、および「組換え」細胞または「組換え」宿主細胞は、外因性
核酸配列(例えば、ベクター)が導入された細胞をいうことが、意図される。よって、組
換え細胞は、組換え的に導入された核酸を含まない天然に存在する細胞と区別可能である
特定の実施形態において、RNA配列またはタンパク質配列は、他の選択されたRNA
配列またはタンパク質配列とともに、同一宿主細胞に同時発現され得ることが企図される
。同時発現は、2つ以上の異なる組換えベクターで宿主細胞を同時トランスフェクトする
ことによって達成され得る。あるいは、単一の組換えベクターを構築して、複数の異なる
RNAコード領域を含ませ得、次いで、このRNAコード領域は、単一のベクターでトラ
ンスフェクトされた宿主細胞中に発現され得る。
組織は、葉酸結合タンパク質改変体で形質転換される宿主細胞を含み得る。組織は、生
物の一部でも生物から分離されてもよい。特定の実施形態において組織としては、以下が
挙げられ得るがこれらに限定されない:脂肪細胞、歯槽(alveolar)、エナメル
芽細胞、軸索、基底細胞、血液(例えば、リンパ球)、血管、骨、骨髄、脳、乳房、軟骨
、頸、結腸、角膜、胚、子宮内膜、内皮、上皮、食道、顔面(facia)、繊維芽細胞
、小胞、神経節細胞、グリア細胞、杯細胞、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、筋肉、ニューロ
ン、卵巣、膵臓、末梢血、前立腺、皮膚、皮膚、小腸、脾臓、幹細胞、胃、精巣、葯、腹
水組織、コブ(cob)、耳、花、穀皮、穀粒、葉、分裂組織細胞、花粉、根端、根、絹
、茎およびこれら全ての癌。
特定の実施形態において、宿主細胞または組織は、少なくとも1つの生物に含まれ得る
。特定の実施形態において、生物としては、当業者に理解されるように、原核生物(例え
ば、真正細菌、始原細菌(archaea))または真核生物が挙げられ得るがこれらに
限定されない(例えば、ウェブページ http://phylogeny.arizo
na.edu/tree/phylogeny.htmlを参照のこと)。
宿主細胞としての使用のために、多くの細胞株および培養物が利用可能であり、これら
は、American Type Culture Collection(ATCC)
(生きた培養物および遺伝物質のアーカイブとして機能する組織(www.atcc.o
rg))を介して入手可能である。適切な宿主は、ベクター骨格および所望の結果に基づ
いて当業者によって決定され得る。例えば、プラスミドまたはコスミドは、多くのベクタ
ーの複製のために原核生物宿主細胞に導入され得る。ベクターの複製および/または発現
に利用可能な細胞型としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:細菌(例えば
、E.coli(例えば、E.coli株RR1、E.coli LE392、E.co
li B、E.coli X1776(ATCC番号31537)およびE.coli
W3110(F’、λ、原栄養菌、ATCC番号273325)))、桿菌(例えば、B
acillus subtilis));ならびに他の腸内細菌科(例えば、Salmo
nella typhimurium、Serratia marcescens、種々
のPseudomonas種(DH5a、JM109およびKC8)および多くの市販の
細菌宿主(例えば、SURE(登録商標)Competent CellsおよびSOL
OPACKae Gold Cells(STRATAGENE(登録商標)、La J
olla)。特定の実施形態において、細菌細胞(例えば、E.coli LE392)
は、ファージウイルスについての宿主細胞として特に企図される。
ベクターの複製および/または発現のための真核生物宿主細胞の例としては、以下が挙
げられるがこれらに限定されない:HeLa、HIH3T3、Jurkat、293、C
os、CHO、SaosおよびPC12。種々の細胞型および生物由来の多くの宿主細胞
が利用可能であり、そして当業者に公知である。同様に、ウイルスベクターが、原核生物
宿主細胞または真核生物宿主細胞のいずれか(特にベクターの複製または発現を許容する
宿主細胞)と組合わせて使用され得る。
いくつかのベクターは、このベクターが原核生物細胞および真核生物細胞の両方で複製
および/または発現することを可能にする制御配列を使用し得る。当業者はさらに、上記
の宿主細胞のすべてをインキュベートしてベクターを維持しそしてベクターの複製を可能
にする条件を理解する。ベクターの大規模産生、ならびに、ベクターによってコードされ
る核酸、および同族のポリペプチド、タンパク質またはペプチドの産生を可能にする技術
および条件もまた、理解され、そして公知である。
(13.発現系)
上記の組成物の少なくとも一部または全てを含む多くの発現系が、存在する。原核生物
ベースの系および/または真核生物ベースの系が、本発明を用いて核酸配列、またはその
同族のポリペプチド、タンパク質およびペプチドを産生する用途のために使用され得る。
多くのこのような系は、市販されており、そして広範に利用可能である。
昆虫細胞/バキュロウイルス系は、米国特許第5,871,986号、同第4,879
,236号(両方が本明細書中に参考として援用される)に記載されるような異種核酸セ
グメントの高レベルのタンパク質発現を産生し得、これらは、例えば、INVITROG
EN(登録商標)からのMAXBAC(登録商標)2.0およびCLONTECH(登録
商標)からのBACPACKTM BACULOVIRUS EXPRESSION S
YSTEMの名称でもたらされ得る。
発現系の他の例としては、STRATAGENE(登録商標)のCOMPLETE C
ONTROLae誘導性哺乳動物発現系(これは、合成エクジソン誘導性レセプターを含
む)またはそのpET発現系、E.coli発現系が挙げられる。誘導性発現系の別の例
は、INVITROGEN(登録商標)から入手可能であり、これは、T−REXTM
テトラサイクリン調節発現)系(全長CMVプロモーターを使用する誘導性哺乳動物発現
系)を保有する。INVITROGEN(登録商標)はまた、Pichia metha
nolica発現系と呼ばれる酵母発現系を提供し、これは、メチル栄養性(methy
lotrophic)酵母Pichia methanolicaにおける組換えタンパ
ク質の高レベル産生のために設計される。当業者は、ベクター(例えば、発現構築物)を
どのように発現し、核酸配列またはその同族のポリペプチド、タンパク質またはペプチド
をどのように産生するかを知っている。
本発明の方法によって産生されるタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドが「過剰発
現され」得る、すなわち、細胞中でのその天然の発現と比較して増加したレベルで発現さ
れ得ることが、企図される。このような過剰発現は、種々の方法(放射標識および/また
はタンパク質精製を含む)によって評価され得る。しかし、単純かつ直接的な方法(例え
ば、SDS/PAGEおよびタンパク質染色またはウエスタンブロッティング後の定量的
分析(例えば、生じたゲルまたはブロットのデンシトメトリー走査を含む))が好ましい
。宿主細胞によって産生される他のタンパク質に関して特定のタンパク質、ポリペプチド
またはペプチドが比較的多い場合、天然の細胞中のレベルと比較した、組換えタンパク質
、ポリペプチドまたはペプチドのレベルにおける特定の増加は、過剰発現を示し、そして
例えば、ゲル上で可視である。
いくつかの実施形態において、発現したタンパク質配列は、宿主細胞中に封入体を形成
し、そしてこの宿主細胞を、例えば、細胞ホモゲナイザー中での崩壊によって溶解し、洗
浄および/または遠心分離し、可溶性細胞成分から濃い封入体および細胞膜を分離する。
この遠心分離は、糖(例えば、スクロース)を緩衝液に組み込みそして選択的速度で遠心
分離することによってこの濃い封入体が選択的に富化される条件下で行われ得る。封入体
は、高濃度の尿素(例えば、8M)、または還元剤(例えば、β−メルカプトエタノール
またはDTT(ジチオトレイトール))の存在下でのカオトロピック剤(例えば、グアニ
ジン塩酸)を含有する溶液中に可溶化され得、そして当業者に公知であるようにより所望
のコンフォーメーションにリフォールディングされ得る。
(G.ワクチン成分精製)
任意の場合において、ワクチン成分(例えば、抗原性のペプチドまたはポリペプチド、
あるいは、タンパク質組成をコードする核酸)は、化学合成試薬、細胞または細胞成分か
ら単離および/または精製され得る。ワクチン成分を産生する方法において、精製は、任
意の適切な技術(本明細書中に記載されるかまたは当業者に周知である(例えば、Sam
brookら、1987))によって達成される。特定の実施形態における用途のために
好ましいが、本発明の抗原性組成物または他のワクチン成分が常に最も精製された状態で
提供されることは、一般に必要とされない。さらに、天然の状態と比較して所望の化合物
中に富化されるにもかかわらず、ほとんど実質的に精製されていないワクチン成分が、特
定の実施形態(例えば、タンパク質産物の回収)において、または発現したタンパク質の
活性を維持する際に、有用性を有することが、企図される。しかし、不活性な産物もまた
特定の実施形態(例えば、抗体生成を介する抗原性の決定)における有用性をまた有する
ことが、企図される。
本発明はまた、精製された(好ましい実施形態において、実質的に精製された)ワクチ
ンまたはワクチン成分を提供する。本明細書中で使用される場合、用語「精製されたワク
チン成分」は、少なくとも1つのワクチン成分(例えば、細胞から単離可能なタンパク質
組成)をいうことが意図され、ここで、この成分は、天然に取得可能な状態(例えば、細
胞抽出物または化学合成の試薬中でのその純度)に関して、任意の程度に精製される。ワ
クチン成分がタンパク質組成である特定の局面において、精製されたワクチン成分はまた
、野生型タンパク質、またはその天然に存在する環境から離れた変異体タンパク質、ポリ
ペプチドもしくはペプチドをいう。
用語「実質的に精製された」が使用される場合、この用語は、特定の化合物(例えば、
タンパク質、ポリペプチドまたはペプチド)が組成物の主要な成分を形成する(例えば、
組成物中約50%以上の化合物を構成する)その組成物をいう。好ましい実施形態におい
て、実質的に精製されたワクチン成分は、組成物中の約60%、約70%、約80%、約
90%、約95%、約99%以上の化合物を構成する。
特定の実施形態において、ワクチン成分は、均質にまで精製され得る。本発明に適用さ
れる場合、「均質にまで精製される」は、ワクチン成分がある純度レベルを有することを
意味し、ここで、この化合物は、他の化学物質、生体分子または細胞を実質的に含まない
。例えば、精製されたペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質はしばしば、他のタンパ
ク質成分を実質的に含まず、その結果、分解性配列決定が首尾よく行われ得る。ワクチン
成分の精製の程度を定量化するための種々の方法は、本発明の開示の観点から当業者に公
知である。これらの方法は、例えば、画分の特定のタンパク質活性(例えば、抗原性)を
決定する工程、またはゲル電気泳動による画分内のポリペプチドの数を評価する工程を含
む。
当業者に周知である、化学的精製、生体分子精製または生物学的精製における用途に適
切な種々の技術は、本発明のワクチン成分の精製に適用可能であり得る。これらの技術と
しては、例えば、硫酸アンモニウム、PEG、抗体などを用いるかまたは熱変性による沈
殿後の遠心分離;分画、クロマトグラフィー手順(以下が挙げられるがこれらに限定され
ない:分配クロマトグラフィー(例えば、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグ
ラフィー(TLC)、ガス−液体クロマトグラフィーおよびゲルクロマトグラフィー)、
ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィ
ー、超臨界流体クロマトグラフィーイオン交換、ゲル濾過、逆相、ヒドロキシアパタイト
、レクチンアフィニティ;等電点電気泳動およびゲル電気泳動(例えば、Sambroo
kら、1989;およびFreifelder、Physical Biochemis
try、第2版、238−246頁(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと
)が挙げられる。
多くのDNAおよびタンパク質が公知であるか(例えば、National Cent
er for Biotechnology Information’s Genba
nk and GenPent databases(http://www.ncbi
.nlm.nih.gov/)を参照のこと)、または本明細書中に記載される方法を使
用して同定および増幅され得る場合、当業者に公知の組換え発現された核酸または蛋白様
配列のための任意の精製方法が、ここで用いられ得る。特定の局面において、核酸は、ポ
リアクリルアミドゲルおよび/または塩化セシウム遠心分離勾配で精製され得るか、また
は当業者に公知の任意の他の手段により精製され得る(例えば、Sambrookら、1
989(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。さらなる局面において、蛋
白様配列の精製は、この配列を融合タンパク質として組換え発現することによって、実施
され得る。このような精製方法は、当該分野で慣用的である。これは、特定のタンパク質
−グルタチオンS−トランスフェラーゼ融合タンパク質の生成、E.coliにおける発
現、およびグルタチオン−アガロースのアフィニティークロマトグラフィーを使用しての
均一になるまでの単離、またはこのタンパク質のN末端またはC末端上のポリヒスチジン
タグの生成、およびその後に続く、Niアフィニティークロマトグラフィーを使用する精
製により例示される。特定の局面において、ワクチンの細胞または他の成分は、フローサ
イトメトリーによって精製され得る。フローサイトメトリーは、液体サンプル中の細胞ま
たは他の粒子の分離を含み、そして当該分野で公知である(例えば、米国特許第3,82
6,364号、同第4,284,412号、同第4,989,977号、4,498,7
66号、同第5,478,722号、同第4,857,451号、同第4,774,18
9号、同第4,767,206号、同第4,714,682号、同第5,160,974
号および同第4,661,913号を参照のこと)。本明細書中に記載されるこれらの技
術のいずれかおよびこれらの組み合わせおよび、ならびに当業者に公知の任意の他の技術
を使用して、本発明のワクチンを構成し得る種々の化学物質、蛋白様化合物、核酸、細胞
物質および/または細胞を精製し、そして/またはこれらの純度をアッセイし得る。当該
分野で一般的に公知なように、種々の精製工程を実施する順序は、変えられ得ること、ま
たは特定の工程が省かれ得、実質的に精製された抗原または他のワクチン成分の調製に適
切な方法を、なお生じることが考えられる。
(H.さらなるワクチン成分)
本発明の抗原性組成物は、より有効なワクチンを形成するために1つ以上のさらなる成
分と組み合わされ得ることが、意図される。さらなる成分の非限定的な例としては、例え
ば、本発明の抗原性組成物および/またはさらなる成分に対する免疫応答を刺激する、1
つ以上のさらなる抗原、免疫調節因子、またはアジュバントが挙げられる。
(1.免疫調節因子)
例えば、免疫調節因子が、細胞の応答または患者(例えば、動物)の応答を増大するワ
クチン中に含まれ得ることが意図される。免疫調節因子は、精製タンパク質、免疫調節因
子をコードする核酸、および/または免疫調節因子を発現する細胞として、ワクチン組成
物中に含まれ得る。以下の節は、目的の免疫調節因子の非限定的な例を列挙し、そして免
疫調節因子の種々の組み合わせが、特定の実施形態で使用され得ることが意図される(例
えば、サイトカインおよびケモカイン)。
本発明の別の局面において、葉酸結合タンパク質改変体組成物が、免疫調節因子の治療
的に有効な組成物をさらに含み得ることが意図される。免疫調節因子は、サイトカイン、
造血素、コロニー刺激因子、インターロイキン、インターフェロン、増殖因子またはそれ
らの組み合わせを構築することが、想定される。本明細書中の特定の実施形態で使用され
る場合、用語「サイトカイン」は、関連部分を読むと、米国特許第5,851,984号
(これはその全体が本明細書中で参考として援用される)に記載されるものと同じである
用語「サイトカイン」は、細胞間メディエータとして別の細胞に作用する1つの細胞集
団により放出されるタンパク質に関する一般的な用語である。このようなサイトカインの
例は、リンホカイン、モノカイン、増殖因子および従来のポリペプチドホルモンである。
中でも、サイトカインとしては、以下が挙げられる:成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホ
ルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモンおよびウシ成長ホルモン);副甲状腺ホルモン
;サイロキシン;インスリン;プロインスリン;レラキシン;プロレラキシン;糖蛋白ホ
ルモン(例えば、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)および黄
体形成ホルモン(LH));肝臓増殖因子;プロスタグランジン、線維芽細胞増殖因子;
プロラクチン;胎盤ラクトゲン、OBタンパク質;腫瘍壊死因子−αおよび腫瘍壊死因子
−β;ミューラー阻害物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビ
ン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポイエチン(TPO);神経成長因子(
例えば、NGF−β);血小板増殖因子;トランスホーミング増殖因子(TGF)(例え
ば、TGF−αおよびTGF−β);インスリン様増殖因子−Iおよびインスリン様増殖
因子−II;エリスロポイエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン(例えば、
インターフェロン−α、インターフェロン−βおよびインターフェロン−γ);コロニー
刺激因子(CSF)(例えば、マクロファージ−CSF(M−CSF));顆粒球マクロ
ファージコロニー−CSF(GM−CSF);および顆粒球CSF(G−CSF);イン
ターロイキン(IL)(例えば、IL−1、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4
、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−11、IL−12、IL
−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、LIF、G−
CSF、GM−CSF、M−CSF、EPO、kitリガンドまたはFLT−3)。本明
細書中で使用する場合、用語、サイトカインは、天然の供給源または組換え細胞培養物由
来のタンパク質、およびネイティブ配列のサイトカインの生物学的に活性な等価物を含む
(a.β−インターフェロン)
βインターフェロン(IFN−b)は、多くの細胞型(上皮細胞、線維芽細胞およびマ
クロファージを含む)により産生される低分子量タンパク質である。内因性IFN−βを
発現する細胞は、ウイルスの感染および複製に耐性である。マウス由来のβ−インターフ
ェロン遺伝子(GenBank登録番号X14455,X14029)およびヒト由来の
β−インターフェロン遺伝子(GenBank登録番号J00218,K00616およ
びM11029)が、単離および配列決定されている。IFN−βは、細胞複製を抑制し
、そして分化またはアポトーシスを誘導することによって直接的に、およびマクロファー
ジおよびNK細胞の殺腫瘍性を活性化し、腫瘍新脈管形成を抑制し、そして特定の免疫応
答を刺激することにより間接的にの両方で、腫瘍増殖を阻害し得る多機能性糖タンパク質
である。
(b.インターロイキン−2)
インターロイキン−2(IL−2)(最初はT細胞増殖因子Iと命名された)は、T細
胞増殖の非常に熟達した誘発因子であり、Tリンパ球の全ての亜集団についての増殖因子
である。IL−2は、休止細胞における細胞周期の進行を誘発し、従って、活性化Tリン
パ球のクローン増殖を可能にする抗原非依存性増殖因子である。新しく単離された白血病
細胞もまた、IL2を分泌し、これに応答するので、IL2は、ATLを悪化させ得るこ
れらの細胞についてのオートクライン増殖モジュレーターとして機能し得る。IL2はま
た、活性化B細胞の増殖を促進するが、これは、さらなる因子(例えば、IL4)の存在
を必要とする。インビトロのIL2はまた、乏突起膠細胞の増殖を刺激する。T細胞およ
びB細胞に対するこの効果に起因して、IL−2は、免疫応答の中心的調節因子である。
これはまた、抗炎症反応、造血および腫瘍監視において役割を果たす。IL2は、周辺白
血球におけるIFN−γの合成を刺激し、そしてまたIL−1、TNF−aおよびTNF
−bの分泌を誘導する。LAK細胞(リンホカイン活性化キラー細胞)の増殖における活
性とは別に、殺腫瘍性サイトカインの分泌の誘導は、おそらく、IL2の抗腫瘍活性を担
う主な因子である。
(c.GM−CSF)
GM−CSFは、好中球系統、好酸球系統および単球系統の増殖および分化を刺激する
。これはまた、対応する成熟形態を機能的に活性化し、例えば、特定の細胞表面接着タン
パク質(CD−11A、CD−11C)の発現を増加する。これらのタンパク質の過剰発
現は、炎症部位における顆粒球の観察される局所的蓄積に対する1つの説明であり得る。
さらに、GM−CSFはまた、好中球活性の刺激因子であるfMLP(ホルミル−Met
−Leu−Phe)に対するレセプターの発現を増加する。
(d.サイトカイン)
インターロイキン、サイトカイン、インターロイキンもしくはサイトカインをコードす
る核酸、および/またはこのような化合物を発現する細胞は、可能なワクチン成分として
意図される。インターロイキンおよびサイトカインとしては、以下が挙げられるが、これ
らに現地得されない:インターロイキン1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−4
、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL
−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−18、β−インターフェロン、α
−インターフェロン、γ−インターフェロン、アンギオスタチン、トロンボスポンジン、
エンドスタチン、GM−CSF、G−CSF、M−CSF、METH−1、METH−2
、腫瘍壊死因子、TGFb、LTおよびそれらの組み合わせ。
(e.ケモカイン)
ケモカイン、ケモカインをコードする核酸および/またはケモカインを発現する細胞も
また、ワクチン成分として使用され得る。ケモカインは一般に、化学誘引物質として働き
、ケモカイン発現の部位に免疫エフェクター細胞を補充する。例えば、サイトカインコー
ド配列と組み合わせて、特定のケモカインコード配列を発現し、処置部位への他の免疫系
成分の補充を増加することが有益であり得る。このようなケモカインとしては、例えば、
RANTES、MCAF、MIP1−α、MIP1−β、IP−10およびそれらの組み
合わせが挙げられる。当業者は、特定のサイトカインもまた、化学誘引効果を有すること
が知られており、そしてまたケモカインという用語で分類され得ることを認識する。
(f.免疫原性キャリアタンパク質)
特定の実施形態において、抗原性組成物は、免疫応答を増加するために、キャリアに化
学的に結合され得るか、または免疫原性キャリアペプチドまたはポリペプチド(例えば、
抗原キャリア融合ペプチドまたはポリペプチド)を用いて組換え発現され得る。代表的な
好ましい免疫原性キャリアアミノ酸配列は、B型肝炎表面抗原、キーホールリンペットヘ
モシアニン(KLH)およびウシ血清アルブミン(BSA)を含む。他のアルブミン(例
えば、オボアルブミン、マウス血清アルブミンまたはウサギ血清アルブミン)もまた、免
疫原性キャリアタンパク質として使用され得る。ポリペプチドまたはペプチドを免疫原性
キャリアタンパク質に結合体化するための手段は、当該分野で周知であり、そして例えば
、グルタルアルデヒド、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエス
テル、カルボイミドおよびビス−ビアゾ化ベンジジンが挙げられる。
(g.生物学的応答変更因子)
生物学的応答変更因子(BRM)(これは、T細胞免疫性を上方制御するか、またはサ
プレッサ細胞活性を下方制御することが示されている)を同時投与することが、望まれ得
る。このようなBRMとしては、シメチジン(CIM;1200mg/d)(Smith
/Kline,PA);低用量のシクロホスファミド(CYP;300mg/m)(J
ohnson/Mead,NJ)、または1つ以上の免疫ヘルパー機能に関与するタンパ
ク質(例えば、B−7)をコードする遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。
(2.アジュバント)
免疫プロトコルは、何年もの間、応答を刺激するためにアジュバントを使用しており、
このようなアジュバントは、当業者に周知である。いくつかのアジュバントは、抗原が提
示される様式に影響を及ぼす。例えば、免疫応答は、タンパク質抗原がミョウバンにより
沈殿された場合に、増加する。抗原の乳化はまた、抗原発現の持続時間を延長する。
1つの局面において、アジュバント効果は、リン酸緩衝化生理食塩水中約0.05〜約
0.1%の溶液中で使用される薬剤(例えば、ミョウバン)の使用によって、達成される
。あるいは、この抗原は、約0.25%の溶液として使用される糖の合成ポリマー(Ca
rbopol(登録商標))との混合物として作製される。アジュバント効果はまた、約
70℃〜約101℃の間の範囲の温度で、それぞれ、30秒〜2分の間熱処理することに
より、ワクチン中の抗原を凝集することにより、もたらされ得る。アルブミンに対するペ
プシン処理した(Fab)抗体、細菌細胞(例えば、C.parvum)またはグラム陰
性細菌の内毒素もしくはリポ多糖体成分との混合物、生理学的に受容可能な油ビヒクル(
例えば、マンニド(mannide)モノオレアート(Aracel A)中のエマルジ
ョン、あるいはブロック物質として使用されるペルフルオロカーボン(Fluosol−
DA(登録商標))の20%溶液を含むエマルジョンを用いる再活性化による凝集もまた
、用いられ得る。
いくつかのアジュバントは、例えば、細菌から得られる特定の有機分子であり、抗原よ
りむしろ宿主に作用する。例は、ムラミールジペプチド(N−アセチルムラミール−L−
アラニル−D−イソグルタミン[MDP])、細菌ペプチドグリカンである。MDPの効
果は、ほとんどのアジュバントと同様、十分には理解されていない。MDPは、マクロフ
ァージを刺激するが、B細胞もまた直接刺激するようである。従って、アジュバントの効
果は、抗原特異的ではない。しかし、これらが、精製された抗原と共に投与される場合、
これらは、抗原に対する応答を選択的に増大するために使用され得る。
アジュバントは、未知の抗原に対する免疫性における一般化された増加を促進するため
に、実験的に使用されている(例えば、米国特許第4,877,611号)。これは、特
に、癌の処置において試みられてきた。多くの癌について、免疫系は、腫瘍細胞に対する
宿主の防御に関与するという強力な証拠があるが、おそらく腫瘍特異的抗原の総数の一部
のみしか現在までに同定されていないと考えられる。しかし、本発明を使用して、適切な
アジュバントを照射した腫瘍細胞の膜に封入することは、隆起抗原の分子の同定とは無関
係に、抗腫瘍応答を増加するようである。このことは、本発明の特に重要な時間節約の特
徴である。
特定の実施形態において、ヘモシアニンおよびヘモエリスリン(hemoerythr
in)もまた、本発明で使用され得る。キーホールリンペット由来のヘモシアニン(KL
H)の使用は、特定の実施形態において好ましいが、他の軟体動物および節足動物のヘモ
シアニンおよびヘモエリスリンが用いられ得る。
種々の多糖類アジュバントもまた使用され得る。例えば、マウス抗体応答における種々
の肺炎球菌多糖類アジュバントの使用が、記載されている(Yinら、1989)。最適
な応答を生じるか、またはそうでなければ抑制を生じない用量が、示されるように(Yi
nら、1989)、用いられるべきである。ポリアミン種の多糖類(例えば、キチンおよ
びキトサン(脱アセチル化キチンを含む))が、特に好ましい。
別の群のアジュバントは、ムラミールジペプチド(MDP、N−アセチルムラミール−
L−アラニル−D−イソグルタミン)群の細菌ペプチドグリカンである。ムラミールジペ
プチドの誘導体(例えば、アミノ酸誘導体のスレオニル−MDPおよび脂肪酸誘導体のM
TPPE)もまた、企図される。
米国特許第4,950,645号は、ムラミルジペプチドの親油性ジサッカリド−トリ
ペプチド誘導体を記載し、これは、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルグリセロ
ールから形成される人工リポソームにおける使用について記載される。これは、ヒト単球
の活性化および腫瘍細胞の破壊において効果的であるが、一般に高い用量で非毒性である
。米国特許第4,950,645号およびPCT特許出願WO91/16347の化合物
は、細胞キャリアと共に使用することが意図され、そして本発明の他の実施形態である。
本発明で使用することが意図される別のアジュバントは、BCGである。BCG(カル
メット−ゲラン杆菌、Mycobacteriumの弱毒化株)およびBCG細胞壁骨格
(CWS)はまた、トレハロースジミコレートと共にかまたはこれを伴わずに、本発明に
おけるアジュバントとして使用され得る。トレハロースジミコレートが単独で使用されて
も良い。トレハロースジミコレートの投与は、マウスにおいて、インフルエンザウイルス
感染に対する増大した耐性と相関することが示されている(Azumaら、1988)。
トレハロースジミコレートは、米国特許第4,579,945号に記載されるようにして
調製され得る。
BCGは、その免疫刺激特性に起因して、重要な臨床的ツールである。BCGは、細網
内皮系を刺激し、ナチュラルキラー細胞を活性化し、そして造血肝細胞の増殖を増大する
ように働く。BCGの細胞壁抽出物は、優れた免疫アジュバント活性を有することが証明
されている。ミコバクテリアについての分子遺伝学的ツールおよび方法は、異種遺伝子を
BCGに導入するための手段を提供した(Jacobsら、1987;Snapperら
、1988;Hussonら、1990;Martinら、1990)。
生のBCGは、結核を予防するための世界的に使用される有効かつ安全なワクチンであ
る。BCGおよび他のミコバクテリアは、非常に有効なアジュバントであり、ミコバクテ
リアに対する免疫応答は、広範に研究されている。BCGは、約20億回の免疫という、
ヒトにおける安全な使用の長い記録を有する(Luelmo,1982;Lotteら、
1984)。これは、出生時に与えられ得る数種のワクチンのうちの1つであり、これは
単回用量のみで長期の免疫応答を引き起こし、そしてBCGワクチン接種の経験との世界
的分布ネットワークが存在する。例示的なBCGワクチンは、TICETM BCG(O
rganon Inc.,West Orange,NJ)として販売されている。
本発明の代表的な実施において、ウシ型結核菌BCGの細胞を、当該分野で公知の方法
によって増殖および収集する。例えば、この細胞を、Sauton培地上、またはDub
os培地中の分散培養物を含有する発酵容器中で、表面皮膜として増殖し得る(Dubo
sら、1947;Rosenthal,1937)。全ての培養物を、約37℃で14日
間インキュベートした後に、収集する。被膜として増殖した細胞を、白金ループを使用す
ることにより収集し、一方、発酵槽由来の細胞を、遠心分離または接線流濾過(tang
ential−flow filtration)により収集する。この収集された細胞
を、水性滅菌緩衝液培地に再懸濁する。代表的な懸濁液は、約2×1010細胞/ml〜
約2×1012細胞/mlを含む。この細菌懸濁液に、BCG細胞被覆物質を分解する選
択した酵素を含有する滅菌溶液を添加する。この得られた懸濁液を、例えば、撹拌によっ
て混合し、BCG生物の最大の分散を保証する。この後に、より高濃度の細胞懸濁液を調
製し、そしてこの濃縮物中の酵素を、代表的には、水性緩衝液で洗浄することによって、
接線流濾過のような公知の技術を用いて、除去する。この酵素を含まない細胞を、凍結保
護溶液を用いて最適案免疫学的濃度に調整し、その後、この細胞をバイアル、アンプルな
どに濾過し、そして凍結乾燥して、BCGワクチンを得、このワクチンは、水で再構成す
ると、免疫化の準備ができる。
両親媒性かつ表面活性な薬剤(例えば、サポニンおよびQS21(Cambridge
Biotech)のような誘導体)は、本発明の免疫原と共に使用するためのさらに別
の群のアジュバントを形成する。非イオン性ブロックコポリマー界面活性剤(Rabin
ovichら、1994;Hunterら、1991)もまた、用いられ得る。オリゴヌ
クレオチドは、別の有用な群のアジュバントである(Yamamotoら、1988)。
Quil Aおよびレンチネン(lentinen)は、本発明の特定の実施形態におい
て使用され得る他のアジュバントである。
本発明における使用に好ましい1つの群のアジュバントは、解毒内毒素(例えば、米国
特許第4,866,034号の精製解毒内毒素)である。これらの精製解毒内毒素は、哺
乳動物においてアジュバント応答を生成する際に有効である。もちろん、この解毒内毒素
を、他のアジュバントと組み合わせて、マルチアジュバント組込み細胞を調製し得る。例
えば、解毒内毒素とトレハロースジミコレートとの組み合わせは、米国特許第4,435
,386号に記載されるように、特に意図される。解毒内毒素とトレハロースジミコレー
トおよび内毒素糖脂質との組み合わせもまた、意図され(米国特許第4,505,899
)、同様に、解毒内毒素と細胞壁骨格(CWS)またはCWSおよびトレハロースジミコ
レートとの組み合わせも、米国特許第4,436,727号、同第4,436,728号
および同第4,505,900号に記載されるように、意図される。解毒内毒素を含まな
い、CWS単独およびトレハロースジミコレートの組み合わせもまた、米国特許第4,5
20,019号に記載されるように、有用であることが予測される。
他の実施形態において、本発明は、種々のアジュバントが細胞膜において用いられ得、
その結果、免疫原性組成物を生成すること企図する。唯一の要件は、一般に、アジュバン
トが、問題の細胞の細胞膜に組み込まれ得るか、この細胞膜と物理的に会合し得るか、ま
たはこの細胞膜に結合体化し得ることである。当業者は、本発明に従って、細胞ワクチン
に結合体化し得る異なる種類のアジュバントを知っており、これには、とりわけ、アルキ
ルリゾリン脂質(ALP);BCG;およびビオチン(ビオチン化誘導体を含む)が挙げ
られる。特に使用が意図される特定のアジュバントは、グラム陽性細胞由来のテイコ酸で
ある。これには、リポテイコ酸(LTA)、リビトールテイコ酸(RTA)およびグリセ
ロールテイコ酸(GTA)が挙げられる。これらの合成対応物の活性形態もまた、本発明
と関連して用いられ得る(Takadaら、1995a)。
種々のアジュバントは、ヒトにおいて一般的に使用されないアジュバントでさえ、例え
ば、抗体を惹起するかまたは活性化T細胞を後に得ることが望まれる動物においてなお用
いられ得る。例えば、非照射腫瘍細胞を使用して生じ得るのと同様に、アジュバントまた
は細胞のいずれかから生じ得る毒性または他の有害な影響は、このような状況において無
関係である。
本発明のいくつかの実施形態における使用に好ましい1の群のアジュバントは、核酸に
よりコードされ得るアジュバント(例えば、DNAまたはRNA)である。このようなア
ジュバントは、抗原をコードする核酸(例えば、発現ベクター)、または別個のベクター
もしくは他の構築物中でコードされ得ることが意図される。アジュバントをコードするこ
れらの核酸は、例えば、脂質またはリポソームを用いて、直接送達され得る。
(3.賦形剤、塩および補助物質)
本発明の抗原性組成物は、薬学的に受容可能であり、活少なくとも1つの活性成分(例
えば、抗原)と適合性である1つ以上のさらなる成分(例えば、賦形剤、塩など)と混合
され得る。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、
エタノールおよびこれらの組み合わせである。
本発明の抗原性組成物は、中性形態または塩形態としてワクチンに処方され得る。薬学
的に受容可能な塩としては、酸付加塩(ペプチドの遊離アミノ基と形成される)および無
機酸(例えば、塩酸またはリン酸)または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などのよ
うな有機酸と形成される塩が挙げられる。遊離カルボキシル基と形成される塩はまた、有
機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは水酸化鉄)お
よび有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミンエタ
ノール、ヒスチジン、プロカインおよびこれらの組み合わせ)から誘導され得る。
さらに、所望の場合、抗原性組成物は、抗原性組成物またはワクチンの有効性を増大す
る、少量の1つ以上の補助物質(例えば、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝化剤など)を
含み得る。
(I.ワクチンの調製)
一旦、産生、合成および/または精製されると、抗原または他のワクチン成分は、患者
への投与のためのワクチンとして調製され得る。ワクチンの調製は、一般に、米国特許第
4,608,251号、同第4,601,903号、同第4,599,231号、同第4
,599,230号および同第4,596,792号(本明細書中で全体が参考として援
用されている)によって例示されるように、当該分野で十分理解されている。本発明の開
示を参照すると、このような方法を使用して、抗原性組成物(活性成分として、葉酸結合
タンパク質のエピトープおよび/または改変体を含む)を含むワクチンを調製し得る。好
ましい実施形態において、本発明の組成物は、薬理学的に受容可能なワクチンとなるよう
に調製される。
本発明の薬学的ワクチン組成物は、薬学的に受容可能なキャリア中に溶解または分散さ
れた、有効量の1種以上の葉酸結合タンパク質のエピトープおよび/または改変体あるい
はさらなる薬剤を含む。句「薬学的または薬理学的に受容可能な」とは、適切に、例えば
、ヒトのような動物に投与される場合、不利な反応、アレルギー性の反応または他の厄介
な反応を生じない分子実体および組成物をいう。少なくとも1種の葉酸結合タンパク質の
エピトープまたはさらなる活性成分を含む、薬学的組成物の調製は、Remington
’s Pharmaceutical Sciences,第18版,Mack Pri
nting Company,1990(本明細書中で参考として援用されている)に例
示されるように、本開示を照らし合わせて、当業者に公知である。さらに、動物(例えば
、ヒト)の投与のために、調製物は、Biological StandardsのFD
A Officeによって必要とされるような、無菌性、発熱性、一般的な安全性、およ
び精製基準を満たすべきことが理解される。
本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能なキャリア」としては、当業者に公
知であるように、任意のおよび全ての、溶媒、分散媒、コーティング剤、界面活性剤、抗
酸化剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物
、薬物安定薬、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、色素、このような物
質およびそれらの組み合わせが挙げられる(例えば、Remington’s Phar
maceutical Sciences,第18版,Mack Printing C
ompany,1990,第1289〜1329頁(本明細書中で参考として援用されて
いる))。この葉酸結合タンパク質の改変体は、それが、固体形態、液体形態、もしくは
エアロゾル形態で投与されるか否か、そして注入としての投与法のために滅菌される必要
があるか否かに依存して、異なる型のキャリアを含み得る。任意の従来のキャリアが活性
成分と不適合性である範囲を除いて、治療組成物または薬学的組成物中でのその使用が、
意図される。
任意の場合において、この組成物は、1種以上の成分の酸化を遅延させるために、種々
の抗酸化剤を含み得る。さらに、微生物の活性の阻害は、保存剤(例えば、種々の抗菌剤
および抗真菌剤)によってもたらされ得、これらには、パラベン(例えば、メチルパラベ
ン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールま
たはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
葉酸結合タンパク質の改変体は、遊離塩基形態、天然形態または塩形態で組成物中に処
方され得る。薬学的に受容可能な塩としては、酸付加塩(例えば、タンパク質性組成物の
遊離アミノ基により形成される塩)が挙げられ、この酸付加塩は、無機酸(例えば、塩化
水素酸もしくはリン酸)または有機酸(酢酸、臭酸、酒石酸、もしくはマンデル酸)より
形成される。遊離カルボキシル基より形成される塩はまた、無機塩基(例えば、ナトリウ
ム、カリウム、アンモニウム、カルシウムもしくは水酸化鉄(III));または有機塩
基(イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジンもしくはプロカイン)から誘導
され得る。
この組成物が液体形態である実施形態において、キャリアは、溶媒または分散媒であり
得、このキャリアとしては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロ
ピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、脂質(例えば、トリグリセリド
、植物油、リポソーム)およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されな
い。適切な流動性が、例えば、コーティング剤の使用(例えば、レシチン)によって;キ
ャリア(例えば、液体ポリオールもしくは脂質)中に分散することによる、必要とされる
粒径の維持によって;界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)の使用によ
って;またはこれらの方法の組み合わせによって、維持され得る。多くの場合において、
等張剤(例えば、糖、塩化ナトリウム、またはそれらの組み合わせ)を含むことが、好ま
しい。
他の実施形態において、本発明の、鼻用溶液もしくはスプレー、エアロゾル、または吸
入剤を使用し得る。このような組成物は、一般に、標的組織の型に適合可能なように設計
される。非制限例において、鼻用溶液は、通常、滴またはスプレーで鼻の通路に投与され
るように設計された水溶液である。鼻用溶液は、鼻の分泌物と多くの点で類似するように
調製され、正常な線毛の作用が維持される。従って、好ましい実施形態において、水性鼻
用溶液は、通常、等張性であるか、または約5.5〜約6.5のpHを維持するようにわ
ずかに緩衝化される。さらに、抗菌保存剤(眼用の調製物、薬物、または適切な薬物安定
剤に使用される抗菌保存剤と類似している)は、必要な場合、この処方物中に含まれ得る
。例えば、種々の市販の鼻用調製物は、公知であり、そして抗生物質または抗ヒスタミン
薬のような薬物を含む。
特定の実施形態において、この葉酸結合タンパク質の改変体は、経口接種のような経路
による投与のために、経口摂取として調製される。これらの実施形態において、この固体
組成物が、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセル(例えば、ハー
ドシェルまたはソフトシェルのゼラチンカプセル)、徐放処方物、バッカル組成物、トロ
ーチ、エリキシル、懸濁液、シロップ、オブラート、またはそれらの組み合わせを含み得
る。経口組成物は、食事の食物に直接含まれ得る。経口投与のための好ましいキャリアは
、不活性希釈剤、吸収可能な食用キャリアまたはそれらの組み合わせを含む。本発明の他
の局面において、この経口組成物は、シロップまたはエリキシルとして調製され得る。シ
ロップまたはエリキシルは、例えば、少なくとも1種の活性剤、甘味剤、保存剤、香味剤
、色素、保存剤、またはそれらの組み合わせを含み得る。
特定の好ましい実施形態において、経口組成物は、1種以上の結合剤、賦形剤、崩壊剤
、滑沢剤、香味剤、およびそれらの組み合わせを含み得る。特定の実施形態において、組
成物は、以下の1種以上を含み得る:結合剤(例えば、ガムトラガカント、アカシア、コ
ーンスターチ、ゼラチンまたはそれらの組み合わせ);賦形剤(例えば、リン酸二カルシ
ウム、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナ
トリウム、セルロース、炭酸マグネシウムまたはそれらの組み合わせ);崩壊剤(例えば
、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸またはそれらの組み合わせ);滑沢剤(
例えば、ステアリン酸マグネシウム);甘味剤(例えば、スクロース、ラクトース、サッ
カリンまたはそれらの組み合わせ);香味剤(例えば、ペパーミント、ウインターグリー
ン油、チェリーフレーバー、オレンジフレーバーなど);あるいはそれらの組み合わせな
ど。投薬単位形態が、カプセルである場合、上記の型の材料に加えて、キャリア(例えば
、液体キャリア)を含み得る。種々の他の材料は、コーティング剤としてそうでなければ
、投薬単位の物理学的形態を改変するためにあり得る。例えば、錠剤、ピル、またはカプ
セルが、シェラック、糖またはその両方によりコーティングされ得る。
投与の他の形態に適切なさらなる処方物としては、坐薬が挙げられる。坐薬は、種々の
重量および形状の固体投薬形態であり、通常、直腸、膣または尿道に挿入するために投薬
される。挿入後に、坐薬は、腔の流体中で軟化、融解または溶解する。一般に、坐薬のた
めに、従来のキャリアとしては、例えば、ポリアルキレングリコール、トリグリセリドま
たはそれらの組み合わせが挙げられ得る。特定の実施形態において、坐薬は、例えば、活
性成分(約0.5%〜約10%、そして好ましくは、約1%〜約2%の範囲)を含む混合
物から処方され得る。
滅菌注入溶液は、上に列挙された種々の他の成分とともに、適切な溶媒中に必要とされ
る量で活性化合物を取り込み、必要な場合、続いて濾過滅菌することによって調製される
。一般に、分散物は、種々の滅菌された活性成分を滅菌ビヒクルに取り込むことによって
調製され、このビヒクルは、塩基性の分散媒体および/または他の成分を含む。注射可能
な滅菌溶液、懸濁液またはエマルジョンの調製のための滅菌粉末の場合において、調製の
好ましい方法は、真空乾燥技術または凍結乾燥技術であり、これらの技術により、それら
の予め滅菌濾過した液体媒体から、活性成分およびさらなる任意の所望の成分の粉末が得
られる。この液体媒体は、必要な場合、適切に緩衝化されるべきであり、そしてこの液体
希釈物は、最初に、十分な生理食塩水またはグルコースでの注入前に等張性にされる。直
接注入するための高度に濃縮された組成物の調製により、高濃度の活性成分を小領域に送
達させる、非常に迅速な浸透を生じるために、溶媒としてDMSOの使用が想定される場
合も意図される。
この組成物は、製造および保存の条件下で安定であり、微生物(例えば、細菌および真
菌)の汚染作用に対して保存されなければならない。内毒素の汚染が、例えば、1mgの
タンパク質あたり0.5ng未満の安全なレベルで最小に保たれなければならないことが
理解され得る。
特定の実施形態において、注入可能な組成物の延長した吸収は、吸収を遅延させる試薬
(例えば、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチンまたはそれらの組み合わせ)を組成
物中に使用することによってもたらされ得る。
(J.ワクチンの投与)
ワクチンの投与の様式は、広範に変化され得る。ワクチンの投与のための従来の方法の
いずれかが、適用可能である。例えば、ワクチンは、以下により好都合に投与される:静
脈内、皮内、動脈内、腹腔内、病変内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜腔内、気管内、
鼻腔内、硝子体内、腟内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下、嚢内、粘膜、心膜内、経口的
、直腸に、経鼻的、全身的、点眼、局所的、エアロゾルの使用、注射、注入、連続注入、
標的細胞を直接的に入れる局在化された灌流、カテーテルを介して、洗浄を介して、クリ
ーム、脂質組成物(例えば、リポソーム)、あるいは当業者に公知であるような、他の方
法または上記の任意の組み合わせ(例えば、Remington’s Pharmace
utical Sciences,第18版,Mack Pritig Company
,1990(本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと)。
ワクチン摂取のスケジュールおよび投薬量は、例えば、因子(例えば、患者の体重およ
び年齢)、処置される疾患の型、疾患状態の重篤度、以前または現在の治療的介入、投与
の様式などを考慮して、患者間の基準を基に変動され得、これは、当業者によって容易に
決定され得る。
ワクチンは、投薬処方物と適合可能な様式および治療学的に有効である量および免疫原
性である量で投与される。例えば、筋肉内経路が、インビボにおいて、短い半減期を有す
るトキシンの場合に好まれ得る。投与される量は、処置される被験体に依存し、この量と
しては、例えば、個体の免疫系が抗体を合成する能力、および所望される保護の程度が挙
げられる。ワクチンの投薬は、投与の経路に依存し、そして宿主のサイズに従って変化す
る。投与される、必要とされる活性成分の正確な量は、開業医の判断に依存する。特定の
実施形態において、薬学的組成物は、例えば、少なくとも約0.1%の活性化合物を含み
得る。他の実施形態において、活性化合物は、例えば、そのユニットの約2重量%〜約7
5重量%の間、または約25重量%〜約60重量%の間、および本明細書中で誘導可能な
任意の範囲を含み得る。しかし、適切な投薬範囲は、例えば、1回のワクチン摂取あたり
、数百μgの活性成分のオーダーであり得る。他の非制限例において、用量はまた、1回
のワクチン摂取あたり、約1μg/kg/体重、約5μg/kg/体重、約10μg/k
g/体重、約50μg/kg/体重、約100μg/kg/体重、約200μg/kg/
体重、約350μg/kg/体重、約500μg/kg/体重、約1mg/kg/体重、
約5mg/kg/体重、約10mg/kg/体重、約50mg/kg/体重、約100m
g/kg/体重、約200mg/kg/体重、約350mg/kg/体重、約500mg
/kg/体重、約1000mg/kg/体重以上、および本明細書中で誘導可能な任意の
範囲を含み得る。本明細書中に列挙される数から誘導可能な範囲の非制限的な例において
、約5mg/kg/体重〜約100mg/kg/体重、約5mg/kg/体重〜約500
mg/kg/体重などの範囲が、上記の数に基づいて投与され得る。最初の投与およびブ
ースター投与(例えば、接種)のための適切なレジームはまた可変性であるが、最初の投
与、引き続く接種または他の投与に代表される。
多くの場合において、複数回のワクチンの投与(通常、6回のワクチン接種を超えず、
より通常、4回のワクチン接種を超えず、そして好ましくは、1回以上、通常、少なくと
も約3回のワクチン接種)が所望される。ワクチン接種は、通常、2〜12週間隔、より
通常、3〜5週間隔である。1〜5年、通常3年間隔の周期的なブースターが、抗体の保
護レベルを維持するために所望される。
免疫の過程は、続いて、上清の抗原に対する抗体についてのアッセイにより行われ得る
。このアッセイは、従来の標識を用いた標識化(例えば、放射性核種、酵素、蛍光など)
により実施され得る。これらの技術は、周知であり、これらのアッセイの型の例示として
、広範な種々の特許(例えば、米国特許第3,791,932号;同第4,174,38
4号および同第3,949,064号)において見出され得る。他の免疫アッセイが、実
施され得、そして葉酸結合タンパク質の改変体を用いたチャレンジからの保護アッセイが
、免疫後に実施され得る。
(K.免疫応答の増強)
本発明は、被験体の免疫応答を増強させる方法を含み、この方法は、1種以上のリンパ
球を葉酸結合タンパク質の改変体の抗原組成物と接触させる工程を包含し、ここで、この
抗原は、その配列の一部として、配列番号1〜配列番号8に従う配列;またはその免疫学
的機能性等価物を含む。特定の実施形態において、1以上のリンパ球は、動物(例えば、
ヒト)中に含まれる。他の実施形態において、このリンパ球は、動物またはその動物の組
織(例えば、血液)から単離され得る。特定の好ましい実施形態において、このリンパ球
は、末梢血のリンパ球である。特定の実施形態において、1種以上のリンパ球が、Tリン
パ球またはBリンパ球を含む。特に好ましい局面において、Tリンパ球は、細胞傷害性T
リンパ球である。
増強された免疫応答は、活性または受動的な免疫応答であり得る。あるいは、この応答
は、リンパ球が、動物(例えば、患者)から得られ、次いで免疫性組成物を含む組成物で
パルスされる養子免疫治療アプローチの一部であり得る。好ましい実施形態において、こ
のリンパ球は、同一の動物または異なる動物(例えば、同一のドナーまたは異なるドナー
)に投与され得る。
(1.細胞傷害性Tリンパ球)
特定の実施形態において、Tリンパ球は、本発明の抗原性組成物と接触させることによ
って特異的に活性化される。特定の実施形態において、Tリンパ球は、本発明の抗原性組
成物と接触する(または接触されている)抗原提示細胞と接触することによって、活性化
される。
T細胞は、独特な抗原結合レセプター(T細胞レセプター)をこの細胞の膜上で発現し
、これは、他の細胞の表面上で主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と会合する抗原
のみを認識し得る。T細胞(例えば、Tヘルパー細胞およびT細胞傷害性細胞)のいくつ
かの群が存在する。Tヘルパー細胞およびT細胞傷害性細胞は、膜結合糖タンパクCD4
およびCD8のそれぞれの表示によって主に分別される。Tヘルパー細胞は、種々のリン
フォカインを分泌し、これらのリンフォカインは、B細胞、T細胞傷害性細胞、マクロフ
ァージおよびこの免疫系の他の細胞の活性化のために必須である。対照的に、抗原−MH
C複合体を認識するT細胞傷害性細胞は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)と呼ばれるエ
フェクター細胞に増殖および分化する。CTLは、細胞溶解を生じる物質を産生すること
によって抗原を提示する体細胞の細胞を排除する。
CTL活性は、当業者に公知であるように、本明細書中に記載される方法によって評価
され得る。例えば、CTLは、以下:新しく単離された末梢血単核細胞(PBMC)中、
PBMC(Bernardら、1998)から確立されたフィトヘマグルチニン(phy
tohaemaglutinin)刺激IL−2拡大細胞株中、または以前に免疫した被
験体から単離し、そして抗原を含むアデノウイルスベクターで感染したDCを用いて、6
日間際刺激したT細胞(標準的な4時間の51Cr放出ミクロ毒性アッセイを使用する)
により、評価され得る。細胞媒介細胞傷害性を検出するために開発された別の蛍光アッセ
イにおいて、使用した発光団は、無毒の分子であるalamarBlue(Nociar
iら、1998)である。このalamarBlueは、ミトコンドリアの還元が生じる
まで、蛍光的にクエンチされ(すなわち、量子収率の減少)、次いで、alamarBl
ueの蛍光強度において劇的な増加を生じる(すなわち量子収率の増加)。このアッセイ
は、非常に高感度であり、特異的であると報告されており、そして標準的な51Cr放出
アッセイよりも有意に少ない数のエフェクター細胞を必要とする。
特定の局面において、Tヘルパー細胞の応答は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパ
ク質とインビトロアッセイまたはインビボアッセイによって測定され得る。インビトロア
ッセイは、酵素、ラジオアイソトープ、発光団、または蛍光アッセイによる、特異的なサ
イトカイン放出の測定を含む。インビトロアッセイとしては、当業者に公知であるように
、皮膚試験と呼ばれる遅延型過敏性応答が挙げられる。
(2.抗原提示細胞)
一般に、用語「抗原提示細胞」は、抗原(例えば、葉酸結合タンパク質の改変体もしく
は免疫学的機能性等価物)または本発明の抗原組成物に対する、免疫応答(すなわち、免
疫系のT細胞アームもしくはB細胞アームからの免疫応答)の増強を補助することによっ
て本発明の目的を達成する任意の細胞であり得る。このような細胞は、本明細書に開示さ
れる方法および当該分野の方法を使用して、当業者によって定義され得る。当業者によっ
て理解され(例えば、Kuby,1993(本明細書中で参考として援用されている)を
参照)そして本明細書の特定の実施形態で使用されるように、正常にまたは優先的にクラ
スII主要組織適合遺伝子分子または複合体を有する抗原を免疫細胞に表示または提示す
る細胞は、「抗原提示細胞」である。特定の局面において、細胞(例えば、APC細胞)
は、別の細胞(例えば、所望の抗原を発現する組換え細胞または腫瘍細胞)と融合され得
る。2種以上の細胞の融合物を調製するための方法(例えば、Goding,第65〜6
6頁,71〜74 1986;Campbell,第75〜83頁,1984;Kohl
erおよびMilstein,1975;KohlerおよびMilstein,197
6,Gefterら,1977(いずれも本明細書中で参考として援用されている)に開
示される方法)は、当該分野で周知である。いくつかの場合において、抗原提示細胞が、
抗原を表示または提示する免疫細胞は、CD4TH細胞である。APCまたは他の免疫
細胞上で発現されるさらなる分子は、免疫応答の増強を補助または改善し得る。分泌分子
または可溶性分子(例えば、免疫調節物質およびアジュバンド)はまた、抗原に対する免
疫応答性を補助または増強し得る。このような分子は、当業者に周知であり、そして種々
の例が、本明細書中に記載されている。
(VII.ペプチドの形成)
本明細書中に記載されるエピトープモチーフを含有するペプチドは、HLA−A2シス
テム中で、CTLに対する汎用FBP標的および抗原を提供するために、治療における使
用が意図される。これらの新規な配列に基づく治療の開発は、合成腫瘍ワクチンの形成を
介したインビボにおける腫瘍応答性免疫細胞の誘導、およびペプチド媒介(例えば,リポ
ペプチド)または細胞媒介(例えば、自己形質導入体またはHLA−A2形質導入体のい
ずれかを使用するEBV−B株(ここで、目的のペプチドに関する遺伝子が導入され、そ
してこのペプチドは表面上でHLA−A2と会合して発現される))のいずれかを介した
インビトロにおける腫瘍応答性T細胞の誘導を提供する。癌の増殖の機会を防止または減
少させるためのワクチン成分としてのこれらの新規なペプチドの使用がまた、意図される
使用が意図される他の組成物よりも小さいペプチド(例えば、エンベロープタンパク質
)は、改善されたバイオアベイラビリティーおよび半減期を有する。所望される場合、安
定性実験が、これらのペプチドについて実施され得る(この実験としては、例えば、ヒト
の血清または血漿中でのプレインキュベーション;種々のプロテアーゼを用いた処理;な
らびにまた、温度安定性分析およびpH安定性分析が挙げられる)。必要であることが見
出される場合、合成ペプチドの安定性は、種々の方法(例えば、ペプチド合成のために、
L−アミノ酸の代わりにDアミノ酸を使用すること;t−bocなどのような保護基を使
用すること;またはリポソーム内のペプチドをカプセル化すること)のいずれか1つによ
り増強され得る。ペプチドの選択混合物のバイオアベイラビリティーがまた、放射線標識
したペプチドを実験動物(例えば、マウスおよび/またはアカゲザル)に注射し、引き続
いてそれらの組織分布を分析することによって決定され得る。
安定性の増強が所望される場合、右旋性のアミノ酸(Dアミノ酸)の使用が、これらの
型の構造にプロテアーゼが攻撃し得ないことに起因して、さらに長いバイオアベイラビリ
ティーを生じるのに有用であることが意図される。本発明のペプチドはまた、例えば、N
末端またはC末端に基を付加すること(例えば、アシル化またはアミノ化)によってさら
に安定化され得る。所望される場合、これらのペプチドは、さらに脂質−尾状ペプチドの
形態であり得、界面活性剤様ミセルまたは他のペプチドマルチマーに処方され得る。ペプ
チドマルチマーおよび界面活性剤様ミセルの調製は、米国出願番号07/945,865
号(本明細書中で参考として援用されている)に詳細に記載されている。本発明の組成物
は、経済的でかつ安全な抗腫瘍治療/抗癌治療に使用するのに特に有用であることが意図
され、そして特定の治療処方物が、必要とされる投薬形態をより正確に決定するために,
実験動物モデル(例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ネコ、ヤギ、アカゲザ
ル、チンパンジーなど)において試験され得る。
本明細書中に記載されるペプチジル化合物に加えて、本発明者らはまた、他の立体的に
類似する化合物が、ペプチド構造の重要な部分を模倣するように定式化され得ること、お
よびこのような化合物がまた、本発明のペプチドと同じ様式で使用され得ることを企図す
る。これは、当業者に公知のモデリングおよび化学設計の技術によって達成され得る。例
えば、エステル化および他のアルキル化は、特定の末端モチーフ構造を模倣するためにペ
プチドの末端を改変するために使用され得る。全てのこのような立体的に類似な構築物が
本発明の範囲内に入ることが理解される。
本発明の治療組成物または薬学的組成物は、一般的に、薬学的に受容可能な媒体中に溶
解または分散された、有効量のCTL刺激ペプチドを含む。成句「薬学的に受容可能」と
は、ヒトに投与された場合、アレルギー反応、毒性反応、またはその他の有害な反応を生
じない分子実体および組成物をいう。薬学的に受容可能な媒体またはキャリアとしては、
全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張性剤および吸収遅
延剤などが挙げられる。薬学的に活性な物質に対するこのような媒体および薬剤の使用は
、当該分野において周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と不適合性であ
る場合を除いて、治療組成物におけるその使用が企図される。
補助的な活性成分はまた、本発明の治療組成物に組み込まれ得る。例えば、刺激性ペプ
チドはまた、免疫および処置のためのペプチドカクテルを作製するために、細胞傷害性T
細胞エピトープまたはT−ヘルパー細胞誘導エピトープを含むペプチドと組み合わされ得
る(米国特許第07/945,865号に開示される;本明細書中において参考として援
用される)。
活性成分として、CTL刺激ペプチド(右旋性ペプチドを含む)を含む薬学的または薬
理学的組成物の調製は、本発明を考慮して、当業者に公知である。代表的には、このよう
な組成物は、液体溶液としてまたは懸濁液としてのいずれかで注射可能であるとして;注
射前に、液体中で溶液にまたは懸濁液に適する固体形態として;経口投与のための錠剤ま
たは他の固体として;時間放出カプセルとして;または現在使用される任意の他の形態(
クリーム、ローション、うがい薬、吸入剤など)として、調製され得る。
遊離塩基または薬学的に受容可能な塩としての活性化合物の溶液は、界面活性剤(例え
ば、ヒドロキシプロピルセルロース)と適切に混合された水中で調製され得る。分散物は
また、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、ならびにその混合物中で、オイル中
で調製され得る。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を
予防するための保存剤を含む。
静脈内投与に適する滅菌溶液は、特定の実施形態において好ましく、CTLを刺激する
際および/または動物において免疫応答を生成する際に特に有効であることが企図される
。注射可能な使用に適する薬学的形態としては、滅菌水溶液または滅菌水性分散物、およ
び滅菌注射可能な溶液または分散物の体外調製のための滅菌粉末が挙げられる。全ての場
合において、この形態は、滅菌でなければならず、そして容易な注射可能性が存在する程
度まで流体でなければならない。製造および保存の条件下で安定でなければならず、そし
て微生物(例えば、細菌および真菌)の混入作用に対して保存されなければならない。
ペプチドは、中性形態または塩の形態で組成物に処方され得る。薬学的に受容可能な塩
としては、酸付加塩(ペプチドの遊離アミノ基を用いて形成される)が挙げられ、これは
、無機酸(例えば、塩酸またはリン酸)あるいは有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石
酸、マンデル酸など)を用いて形成される。遊離カルボキシル基を用いて形成される塩は
また、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水
酸化第二鉄)および有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、ヒスチ
ジン、プロカインなど)から誘導され得る。
キャリアはまた、溶媒または分散媒体であり得、これには、例えば、水、エタノール、
ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレング
リコール、など)、適切なこれらの混合物、ならびに植物オイルが挙げられる。適切な流
動性は、特に、コーティング(例えば、レシチン)の使用によって、分散物の場合では必
要な粒子サイズの維持によって、そして界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物
の作用の防止は、特に、種々の抗細菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタ
ノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によってもたらされ得る。多くの
場合において、等張性剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含むことが好ましい。注
射可能な組成物の長期の吸収は、吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アル
ミニウムおよびゼラチン)の組成物での使用によってもたらされ得る。
滅菌注射可能な溶液は、上記の種々の列挙された他の成分とともに適切な溶媒中で必要
な量で活性化合物を混ぜ、必要に応じて、引き続き、濾過滅菌することによって調製され
る。一般的に、分散物は、種々の滅菌活性成分を、基礎となる分散媒体および上記の列挙
からの必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルに混ぜることによって調製される。滅菌注射可
能な溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、減圧乾燥および凍結乾
燥技術であり、これは、活性成分および先に滅菌濾過された溶液からの任意のさらなる所
望の成分の粉末を生じる。
筋肉内注射のための、よりまたは高度に濃縮された溶液の調製もまた、企図される。こ
れは、動物またはさらにヒトに対する針突き刺し損傷の処置を容易にする際に特に有用性
を有することが想定される。これに関して、溶媒としてのDMSOの使用は、これが、非
常に迅速な透過を生じ、高濃度の活性ペプチドまたは薬剤を小さな領域に送達するので、
好ましい。
作業現場における特定の領域を洗浄するために、獣医師、技術者、外科医、医師または
保健医療作業者によって、滅菌処方物(例えば、生理食塩水ベースの洗浄液)を使用する
こともまた、特に有用であり得る。本発明に従う治療処方物はまた、うがい薬の形態で再
構成され得、ペプチド単独または抗真菌剤との組み合わせを含む。吸入形態もまた想定さ
れ、これはまた、活性ペプチドもしくは薬剤を単独でまたは他の薬剤(例えば、ペンタミ
ジン)とともに含み得る。本発明の治療処方物はまた、局所投与に適切な形態(例えば、
クリームおよびローション)で調製され得る。
このような溶液での使用のための適切な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化
ベンゼトニウム、クロロブタノール、チメロサールなどが挙げられる。適切な緩衝液は、
ホウ酸、重炭酸ナトリウムおよび重炭酸カリウム、ホウ酸ナトリウムおよびホウ酸カリウ
ム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、重リン酸ナトリウムなどを、
約pH6とpH8との間、好ましくは、約pH7とpH7.5との間のpHに維持するの
に十分な量で含む。適切な張性の薬剤は、デキストラン40、デキストラン70、デキス
トロース、グリセリン、塩化カリウム、プロピレングリコール、塩化ナトリウムなどであ
り、その結果、眼科用溶液の塩化ナトリウム当量は、0.9±0.2%の範囲である。適
切な酸化防止剤および安定化剤としては、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、
チオ硫酸ナトリウム、チオウレアなどが挙げられる。適切な湿潤剤および清澄化剤として
は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー282およびチロキサポー
ルが挙げられる。適切な粘度増加剤としては、デキストラン40、デキストラン70、ゼ
ラチン、グリセリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロー
ス、ラノリン、メチルセルロース、ペトロラタム、ポリエチレングリコール、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
処方において、治療剤は、投薬処方と適合性の様式で、そして薬理学的に有効な量で投
与される。処方物は、種々の投薬形態(例えば、上記の注射可能な溶液の型)で容易に投
与されるが、薬物放出カプセルなどもまた使用され得る。本明細書中で使用される場合、
「薬学的有効量」とは、動物においてCTLを有意に刺激するかまたは免疫応答を生成す
るのに十分な量のペプチドを含む組成物の量が使用されることを意味する。
この文脈において、投与されるペプチドの量および組成物の容量は、処置される宿主動
物、例えば、宿主動物の免疫系が免疫応答を生じる能力に依存する。投与されるのに必要
な活性ペプチドの正確な量は、開業医の判断に依存し、そして各個体に対して特有である
ペプチドを分散するのに必要とされる組成物の最小容量が、代表的に利用される。投与
に適切なレジメンもまた、可変であるが、最初にこの化合物を投与し、そして結果をモニ
タリングし、次いで、さらなる間隔でさらに制御された用量を与えることによって類型化
される。例えば、非経口投与について、適切に緩衝化され、そして必要な場合、等張性の
水溶液を調製し、そして静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、または腹腔内投与のために
使用される。1投薬量が、1mlの等張性NaCl溶液に溶解され得、そして1000m
lの皮下注入流体に添加されるか、または注入の計画された部位に注入されるかのいずれ
かであり得る(例えば、「Remington’s Pharmaceutical S
ciences」、第15版、1035−1038頁および1570−1580頁を参照
のこと)。
特定の実施形態において、活性化合物は、経口的に投与され得る。これは、消化性酵素
によるタンパク質分解に対して、一般的に耐性であるか、または耐性にされた薬剤につい
て企図される。このような化合物は、ペプチダーゼ、プロテアーゼおよび/またはリパー
ゼによる分解を避けるために、タイミングを合わせた放出(timed−release
)カプセル中の、化学的に設計された薬剤または改変剤;右旋性ペプチド;およびリポソ
ーム処方物を含むことが企図される。
経口処方物は、不活性な希釈剤または同化され得る食用キャリアとともに化合物を含み
得;硬質ゼラチンカプセルまたは軟質ゼラチンカプセルに囲まれたもの;錠剤に圧縮され
たもの;または食事の食物に直接混ぜられたものが挙げられる。経口治療投与のために、
活性化合物は、賦形剤と混ぜられ得、そして摂取可能な錠剤、頬錠剤、トローチ剤、カプ
セル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、オブラートなどの形態で使用され得る。こ
のような組成物および調製物は、一般的に、少なくとも0.1%の活性化合物を含むべき
である。この組成物および調製物の割合は、もちろん、変動し得、簡便には、約2〜約6
0%の間の重量の単位であり得る。このような治療的に有用な組成物中での活性化合物の
量は、適切な投薬が得られるような量である。
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などはまた、以下を含み得る:結合剤(例えば、
トラガカントガム、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチン);賦形剤(例えば、リ
ン酸二カルシウム);崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン
酸など);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);ならびに甘味剤(例えば、投
与され得る、スクロース、ラクトースまたはサッカリン)あるいは矯味矯臭剤(例えば、
ペパーミント、ウインターグリーン油またはチェリー香味料)。投薬単位形態がカプセル
である場合、これは、上記型の物質に加えて、液体キャリアを含み得る。種々の他の物質
は、コーティングとして、または、投薬単位の物理的形態をそれ以外で改変するために存
在し得る。例えば、錠剤、丸剤またはカプセル剤は、シェラック、糖、またはその両方で
コーティングされ得る。エリキシル剤のシロップは、甘味剤としての活性化合物スクロー
ス、保存剤としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、色素および香味料(例えば
、チェリーまたはオレンジの風味)を含み得る。もちろん、任意の投薬単位形態を調製す
る際に使用されるいずれの物質も、薬学的に純粋であり、使用される量において実質的に
非毒性であるべきである。さらに、活性化合物は、徐放調製物および処方物に混ぜられ得
る。
ペプチドは、動物において免疫応答を生じるのに有効な量を投与することによって、そ
れらの免疫能力において使用され得る。この意味において、このような「免疫応答を生じ
るのに有効な量」とは、抗原性応答を動物において有意に生じるのに十分な、ペプチドま
たはペプチド混合物を含む組成物の量を意味する。
(VIII.実施例)
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を説明するために含まれる。以下に続く実
施例に開示される技術が、本発明の実施において十分に機能するように本発明者らによっ
て見出された技術を表し、従って、その実施のための好ましい様式を構成するとみなされ
得ることが、当業者によって理解されるべきである。しかし、当業者は、本発明の開示を
考慮して、多くの変更が、開示される特定の実施形態においてなされ得、そして本発明の
精神および範囲から逸脱することなく、同様なまたは類似の結果を依然として得ることを
理解する。
(実施例1)
(改変体設計のための原理)
胸腺におけるリンパ球発達に関する実験モデルにおける研究は、弱いかまたはヌルな(
null)(見かけの効果がない)アゴニストと胸腺細胞の相互作用が、特定のAgに対
するレスポンダーのポジティブ選択(すなわち、生存)を導くが、一方、強力なアゴニス
トを用いる刺激は、ネガティブ選択(反応性CTLの欠失)を導くことを示す。同様に、
末梢血からのCD8細胞応答についての最近の研究は、ヌルのまたは弱いアゴニスト活
性を有するAg改変体が、モデルAgに応答するCTLの前駆体の増殖を誘導したが、エ
フェクター機能を誘導しなかったことを示す。これらの結果は、トランスジェニック動物
を用いて得られ、そしてCTLに対するレシピエントは、大量に照射された。腫瘍に対す
るレスポンダー、および/またはそれらの前駆体が、健常な個体または疾患の証拠のない
患者においてどのように維持され得、そして除去を避け得るかに関する情報がほとんどな
い。しかし、このような前駆体の存在、または活性化CTL認識腫瘍Agの存在(Peo
plesら、1998;Hudsonら、1998;Peoplesら、1998;Ki
mら、1999;Leeら、2000)は、このようなレスポンダーが末梢血に存在する
という証拠である。それらの生存、増殖および細胞溶解形成の誘導を促進するアプローチ
は、患者に対して利益がある。生存について標的化されたレスポンダーが低い親和性CT
Lである場合、弱い親和性は、エフェクター数の有意な増加によって補われることが予期
される。レスポンダーが高い親和性である場合、AICDからの保護がまたそれらの増殖
を可能にする。
「生存誘導」Agを設計するために、本発明は、FBPエピトープE39:EIWTHSYKV(配列番号268)に焦点を合わせる。このエピトープは、低い親和性を有するが、卵巣および乳房腫瘍反応性CTLによって認識される。野生型Agと反応する細胞数における正味の利得(gain)の点で改善された免疫原性は、位置5におけるアミノ酸(ヒスチジン)の正電荷を減少し、そしてヒスチジンのフェニルアラニン(Phe)での置換によって達成される。Pheは、荷電されていないが、そのベンゼン芳香族環が、ヒスチジンのイミダゾール環に対する密接な置換である。ペプチドの残基のより良い可撓性を確実にするために、チロシンのフェノール構造は、トレオニン(Thr)の脂肪性コアで置換された。TyrおよびThrの両方がOH(ヒドロキシル)側鎖を含む。従って、位置5の正電荷およびTyrの剛性構造が、排除された。特定の実施形態において、これは、ペプチドにおける残基5〜9(SYKV(配列番号270))の可撓性を増加し、そしてペプチドMHC複合体とTCRのより良い適合を可能にする。改変体:EIWTKV(配列番号5)は、J65と指定された。J65のさらなる改変体は、位置7(Tyr)→Thrのみでの変化(J77と指定される)、位置5でのPhe→Hisのみの変化(J78と指定される)、および位置1および位置6での変化を伴って作製された。これらのアナログ/改変体は、表5に列挙される。

Figure 0005017238
これらのAg改変体の選択は、シグナル伝達を交代する目的のAg変更の原理に基づい
てなされた。置換H→F(位置5)およびY→T(位置7)に加えて、置換は、他の位置
S→A(位置6)およびGlu(B)→FおよびE→Gly(G)(位置1)で導入され
た。これらの置換の目的は、TCRと潜在的に反応性の基を除去することである。置換S
→A(位置A)において、この変化は、側鎖OHを除去する。位置1において、置換E(
グルタミン酸)→グリシンは、脂肪酸側鎖全体および荷電されたCOO基を除去する。位
置1においてもまた、置換E→Fは、荷電された基COOを除去するが、芳香族環を導入
する。これらの置換は、TCRとペプチドの反応性を減少させることを目的とする。

(実施例2)
(IFN−γ誘導およびCTL活性)
改変体ペプチドのHLA−A2安定化能力もまた、決定される(図1)。結果は、J6
5の安定化能力が、E39の安定化能力のほぼ半分であることを示す。対照的に、位置1
での置換は、ペプチドの結合親和性を増加する。図2の結果は、E39誘導CTLと比較
したJ65誘導CTLの細胞溶解活性を示す。結果は、J65が、J77およびE39よ
りも弱い、3×J65刺激培養物由来のIFN−yの誘導因子であったことを示し、これ
は、配列における変化が、IFN−yの誘導を減少する際に蓄積的な効果を有したことを
示唆する。
CTL活性の誘導に対するFBP改変体の効果を取り扱うために、J65で3回刺激し
た健常なドナー由来のPBMC培養物を、3つに分け、そしてE39またはJ65または
J77のいずれかで再刺激した。コントロール培養物を、E39で3回刺激した同じPB
MCから作製し、そして4回目についてE39で再刺激した。E39で3回(3×E39
)刺激し、続いてE39で刺激されたPBMCは、E39の中程度の弱い認識を示した。
対照的に、3×J65刺激したCTLは、E39での刺激後、E39の有意により高い認
識を示した。類似の特徴は、J65で再刺激された3×J65細胞を用いて観測され、一
方、J77で再刺激された3×J65細胞は、他のペプチドを用いて刺激された3×J6
5細胞よりも有意に低いCTL活性を示した。FBPのような腫瘍Agと反応する記憶C
TLが、健常な個体の血液に存在することが最近報告された(Leeら、2000)。こ
れらの細胞は、樹状細胞に提示された対応するペプチドを用いる刺激によって容易に活性
化され得る(Kimら、1999)。アナログJ65およびJ77の刺激能力を評価する
ために、応答するドナーからのPBMCは、E39、J65およびJ77を用いて刺激さ
れた。これらの結果は、レスポンダー増殖および細胞傷害におけるJ65の増強の役割が
、野生型Agと比較した、増加したIL−2および/またはIFN−y分泌を反映しない
が、そのより弱いサイトカイン誘導活性が、過剰刺激を避けることによってアポトーシス
からのより高い親和性のCTLを保護するようである。
(実施例3)
(FBP改変体を用いてプライミングすることによる特異的IL−2誘導)
J65プライムされたCTLにおいて、より高いCTL活性およびIFN−y分泌が、
野生型エピトープE39によって誘発され得、これは、先の刺激の保護効果を示唆する。
図3において、結果は、J65およびJ77が、野生型ペプチドE39と比較してこのド
ナーのPBMCにおいてより低いレベルのIL−2を誘導したことを示す。どのE39改
変体がより高い細胞増殖を誘導したかを同定するために、同じドナー由来のPBMCを、
対応するペプチドを用いて3回刺激し、そして得られた生細胞を、各刺激の1週間後に、
数えた。図4において、結果は、E39で刺激した培養物が、最初に、他の培養物よりも
速く増殖した;しかし、第3の刺激後、J65で刺激された培養物は、数においてより速
く増加した。対照的に、J78(H→F)およびJ77(Y→T)で刺激した培養物は、
ペプチドで刺激されなかったコントロール培養物よりもゆっくり増殖した。同様な結果は
、別のドナーにおいてJ65を用いて得られた(図5)。このドナーにおいて、E39で
刺激された細胞は、第3刺激の後に死滅したが、J65によって刺激された細胞は、より
迅速に増殖した。J77およびJ78で刺激された細胞もまた、増殖したが、より遅い速
度であった。
(参考文献)
以下の参考文献は,これらの参考文献が例示的な手順または本明細書中で示された手順
を補完する他の詳細を提供する程度に、具体的に、本明細書中で参考として援用される。
Figure 0005017238

Figure 0005017238

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Figure 0005017238

Figure 0005017238

本明細書中で開示され、そして請求される、組成物および方法の全ては、本発明開示の
知見のもと、過度な実験を伴わずに、作製され、そして実行され得る。本発明の組成物お
よび方法は、好ましい実施形態に関して記載されるが、バリエーションが、これらの組成
物あるいは方法に適用され得、そして、本明細書中に記載の、方法の工程もしくは一連の
工程において、本発明の概念、精神、および範囲を逸脱しないこと当業者に明らかである
。より具体的には、化学的および生理学的の両方で関連する特定の薬剤は、本明細書中に
記載の薬剤にとって代わられ得るが、同一または類似の結果が達成されることは明らかで
ある。当業者にとって明らかである、このような代替物および改変物全ては、本明細書中
に記載の本発明の精神、範囲、および概念のうちにあると判断される。
以下の図面は、本明細書の一部を構成し、そして本発明の特定の局面をさらに実証する
ために含まれる。本発明は、本明細書中に示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合
わせてこれらの図面の1つ以上を参照することによって、よりよく理解され得る。
図1は、FBPエピトープE39改変体による、HLA−A2の安定化を実証する。 図2Aは、J65またはE39での複数の刺激を用いる、末梢血単核細胞(PBMC)におけるIFN−γ誘導を例示する。 図2Bは、J65またはE39での複数の刺激を用いる、PBMCにおけるCTL活性を例示する。 図3は、E39改変体での初回免疫による、PBMCにおける特異的インターロイキン2(IL−2)誘導を例示する。 図4は、FBPペプチドE39およびその改変体で刺激したPBMCの増殖を例示する。 図5は、FBPペプチドE39の改変体で刺激したPBMCの増殖を実証する。

Claims (18)

  1. 薬学的に受容可能な賦形剤中に、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号271、配列番号7、配列番号8の葉酸結合タンパク質エピトープまたはこれらの組み合わせを含む抗原を含有する、物質の組成物としての、組成物。
  2. 細胞傷害性Tリンパ球を刺激するための組成物であって、該組成物は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号271、配列番号7、配列番号8の葉酸結合タンパク質エピトープまたはこれらの組み合わせを含む抗原を含む、組成物。
  3. 前記細胞傷害性Tリンパ球がヒトの中に位置付けられる、請求項に記載の組成物。
  4. 前記エピトープが、非経口的、局所的、または吸入による、エアロゾルもしくは噴霧として、投与するために処方される、請求項に記載の組成物。
  5. 免疫応答を生じるための組成物であって、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号271、配列番号7、配列番号8の葉酸結合タンパク質エピトープまたはこれらの組み合わせを含む抗原を含む、組成物。
  6. 個体中で腫瘍に対する免疫を誘導するための組成物であって、該組成物は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号271、配列番号7、配列番号8の葉酸結合タンパク質エピトープまたはこれらの組み合わせを含む抗原を含み、該組成物は、癌ワクチンと組み合わせて個体に投与されるのに適している、組成物。
  7. 前記癌ワクチンの投与の前に、投与されるのに適している、請求項に記載の組成物。
  8. 前記癌ワクチンの投与の後に、投与されるのに適している、請求項に記載の組成物。
  9. 前記癌ワクチンの投与の前および後の両方で、投与されるのに適している、請求項に記載の組成物。
  10. 前記癌ワクチンが、配列番号268(E39)および配列番号269(E41)からなる群より選択されるポリペプチドを含む、請求項に記載の組成物。
  11. 個体中の記憶細胞傷害性Tリンパ球を誘導するための組成物であって、該組成物は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号271、配列番号7、配列番号8の葉酸結合タンパク質エピトープまたはこれらの組み合わせを含む抗原を含む、組成物。
  12. 前記個体が、癌の再発を実質的に受やすい、請求項1に記載の組成物。
  13. 腫瘍に対する免疫を提供するための組成物であって、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号271、配列番号7、配列番号8の葉酸結合タンパク質エピトープワクチンまたはこれらの組み合わせを含む抗原を含む、組成物。
  14. 第1の癌ワクチンを含む、癌について個体を処置するための組成物であって、該組成物は、第2の癌ワクチンと組み合わせて投与されるのに適しており、該第2の癌ワクチンは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号271、配列番号7、配列番号8のペプチドまたはこれらの組み合わせを含む、組成物。
  15. 前記第1の癌ワクチンが、前記第2の癌ワクチンに先行して投与されるのに適している、請求項1に記載の組成物。
  16. 前記第1の癌ワクチンが、前記第2の癌ワクチンの後に投与されるのに適している、請求項1に記載の組成物。
  17. ヒトにおけるを処置するための組成物あって、該組成物は、薬学的に受容可能な賦形剤中に、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号271、配列番号7、配列番号8の葉酸結合タンパク質エピトープまたはこれらの組み合わせを含む抗原を含む、組成物。
  18. 請求項17に記載の組成物であって、ここで、前記癌が、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、肺癌、腎臓癌、黒色腫、腎臓癌、前立腺癌、脳腫瘍、肉腫、またはそれらの組み合わせである、組成物。
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