JP5016588B2 - 空間影響オブジェクト処理装置 - Google Patents

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本発明は、空間影響オブジェクト処理装置に係り、特に、実空間と情報システムが相互に依存し合う関係にある空間や情報システムの設計開発を行うための空間影響オブジェクト処理装置に関する。
近年、ディジタル・サイネージやエクスペリエンス・デザインと呼ばれる情報システムやこれらを含んだ実空間の開発/設計が注目されている。
ディジタル・サイネージは、街中に設置されたディスプレイを用いた新しい広告手法である。このような手法は、広告として用いられる映像と、その映像を表示するディスプレイ、そして、ディスプレイに表示する映像を制御する情報システム、実際にディスプレイが設置される実空間などから構成される。
また、エクスペリエンス・デザインとは、情報システムを考慮した空間もしくはそのような空間設計手法を指す言葉である。例えば、「シアトル中央図書館」のような本の自動仕分け・返却・貸出システムとの効率的な連携を考慮された空間などがその代表例である。このような空間を構築する際には、実際の図書館の空間設計に加えて、空間内で動作する情報システム開発も同時に行われる。
一般的に、このような空間設計や情報システム開発は、3次元設計ツール「Auto CAD」やソフトウェア統合開発環境などの、各作業に特化したツールによって行われ、実際に施工する前には、それぞれ「Auto CAD」による空間シミュレーションを用いた空間の調整や、ソフトウェア統合開発環境によるソフトウェアのテストやデバッグが行われる(例えば、非特許文献1参照)。
「Google Earthユーザーガイド」 http://earth.google.co.jp/userguide/v4/ug_imageoverlays.html
しかしながら、既存の「Auto CAD」やソフトウェア統合開発環境による設計/開発手法では、両手法はそれぞれ独立して実行されてしまうため、空間設計者は空間設計のみ、情報システム開発者は情報システム開発のみという分業形式にならざるを得ない。空間設計は建築事務所が担当し、情報開発システムはITゼネコン(General Contractor)が担当するという環境である。一方で、ディジタル・サイネージやエクスペリエンス・デザインでは実空間と情報システムがそれぞれ依存し合った関係になっているため、実空間と情報システムとはお互いを意識しながら設計開発する必要がある。前述のように、既存ツールでは実空間と情報システムはそれぞれ独立してしか設計開発を行えないため、このような設計開発に適したツールや手法が必要とされている。
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、実空間と情報システムが相互に依存し合う関係にある空間や情報システムの設計開発を行う場合に、それぞれにおける手法を横断的に行うことによって、実空間と情報システムを並列的に設計開発することで、実空間と情報システムの統合的な設計開発手法を実現するための空間影響オブジェクト処理装置を提供することを目的とする。
図1は、本発明の原理構成図である。
本発明(請求項1)は、3次元的な表示により実空間とディジタル情報を組み合わせて設計開発するための空間影響オブジェクト処理装置であって、
実空間において情報システムに制御され、行動オブジェクトに対して影響を及ぼす刺激を発生させる刺激オブジェクト毎のプログラム設計開発環境における空間の位置座標と、メディア種別や影響を及ぼす範囲や内容が変化する条件を逐次的に格納する刺激オブジェクト記憶手段10と、
刺激オブジェクトにより影響されて行動を変化させる行動オブジェクト毎のプログラム設計開発環境における空間の位置座標と、属性種別や影響を受ける範囲や行動が変化する条件を逐次的に格納する行動オブジェクト記憶手段20と、
刺激オブジェクト記憶手段10と行動オブジェクト記憶手段20の情報から、確認時点での相互影響の有無及び内容を判定する空間影響判定手段30と、
プログラム設計開発環境において、刺激オブジェクトと行動オブジェクトの位置座標と、空間影響判定手段によって得られた空間内の状況を、表示装置に表示する空間表示確認手段40と、を有する。
また、本発明(請求項2)は、実空間において、行動オブジェクトに対して影響を及ぼす刺激を発生させる、映像表示手段や音声出力手段を含む刺激オブジェクトの位置座標、属性、該行動オブジェクトに与える影響の範囲、刺激の変化条件を定義し、刺激オブジェクト記憶手段10に格納する刺激オブジェクト生成手段と、
実空間において、刺激オブジェクトから影響されて行動を変化させる行動オブジェクトの位置情報、属性、該刺激オブジェクトから影響される範囲、行動内容を定義し、行動オブジェクト記憶手段20に格納する行動オブジェクト生成手段と、
を更に有する。
また、本発明(請求項3)は、空間表示確認手段40において、
時間の過去・未来と空間の影響範囲を調節するための調節手段を含む。
上記のように、本発明によれば、実空間において行動する行動オブジェクト(人や車等)に対して、情報システムに制御された刺激オブジェクト(映像が再生されるディスプレイ等)が、それぞれの空間座標の位置関係によって(近づいている、遠ざかっている、距離、速度等)、それぞれの行動の内容(進行方向、速度等)を変化させたり、刺激の内容(映像の種類や再生の有無)を変化させたりする様子を表示確認することができ、効率的な実空間及び情報システムの設計開発が可能となる。
以下、図面と共に本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施の形態]
以下で用いる「刺激オブジェクト」とは、例えば、情報処理システムにより制御される、映像ディスプレイや、スピーカ等であり、当該空間において、ある位置座標を持ち、その刺激(出力)によって周辺(行動オブジェクト)に影響を及ぼすものである。具体的には、周囲の行動オブジェクトとの位置関係(遠い/近い)などによって、その刺激内容を変化させる。
また、「行動オブジェクト」とは、周囲からの刺激によって影響を受け、意思により行動内容を変化させるものである。例えば、人や動物や車等、当該空間において、その意思によって行動するものをオブジェクトとして、設計開発環境においてモデル化したものであり、ある位置座標を持ち、場合により移動する。
図2は、本発明の第1の実施の形態における装置構成を示す。
同図に示す空間影響オブジェクト処理装置は、刺激オブジェクト記憶部10、行動オブジェクト記憶部20、空間影響判定部30、空間表示確認部40、行動オブジェクトモデル記憶部50から構成される。
刺激オブジェクト記憶部10は、実空間において、行動オブジェクトに対して影響を及ぼす刺激を発生させる刺激オブジェクトのプログラム設計開発環境における空間の位置座標と、メディア種別や影響を及ぼす範囲や内容が変化する条件を逐次的に管理する。ここでいう「内容が変化する条件」とは、例えば、大人が近付いてきた場合は、和食料理店の紹介映像を刺激として出力し、子供が近付いてきた場合はアイスクリーム店の紹介映像を刺激として出力する、等である。図3に刺激オブジェクト記憶部10で管理されるデータの例を示す。
行動オブジェクト記憶部20は、図4に示すように実空間において、刺激オブジェクトに対して影響されて行動を変化させる行動オブジェクトを定義し、プログラム設計開発環境に生成するものであり、行動オブジェクトのプログラム設計環境開発における空間の位置座標、属性種別、影響を受ける範囲、行動が変化する条件を、逐次的に格納し、管理する。行動オブジェクトの行動としては、例えば、刺激オブジェクト(ディスプレイ)が安売りのキャンペーンの紹介映像を刺激として流しているので、影響を受けた行動オブジェクト(例えば、人)が空間距離的に刺激オブジェクトに接近していった場合に、キャンペーンの詳細な内容説明の映像(動画A→動画B)に切り替わったが、その内容が行動オブジェクトの嗜好に合わなかったために、当該刺激オブジェクトから遠ざかっていくような行動が考えられる。
空間影響判定部30は、刺激オブジェクト記憶部10と行動オブジェクト記憶部20から取得した管理情報と比較して、確認時点での相互影響の有無や内容を判定する。刺激オブジェクトと行動オブジェクトはそれぞれ、設計空間において位置座標と影響を及ぼす/及ぼされる範囲を刺激オブジェクト記憶部10、行動オブジェクト記憶部20で管理されており、これらを取得して、刺激オブジェクトと行動オブジェクトの位置情報とを比較することにより、行動オブジェクトが影響範囲内に進入した/退出したという判定を行う。
例えば、プログラム設計開発環境において、『刺激オブジェクト』であるディスプレイには、投影される映像の影響範囲、つまり、映像が見える範囲を「2m」と設定し、『行動オブジェクト』である人間オブジェクトには、影響範囲、つまり、その人の視力や聴力が有効に働く範囲を「5m」のように設定する。
これらオブジェクトの影響範囲を活用するため、ユーザ(設計者)は、プログラム設計開発環境にて『人がディスプレイに近付いたとき、ディスプレイの再生する動画を「動画A」から「動画B」に変更する』といったような、イベントとイベントに紐づく処理を定義する。
空間影響判定部30は、上記のオブジェクトとその影響範囲、これらの関連において定義されたイベントをイベントデータメモリ31で管理し、イベント内で指定された刺激オブジェクトと行動オブジェクト(例えば、ディスプレイAと人間(大人))の影響範囲が重なっているかどうかを監視し、指定されたオブジェクト同士の影響範囲が重なった場合、イベント内で指定されたオブジェクトに対して指定された処理を行うよう命令する。例えば、ディスプレイオブジェクトの動画再生処理を、動画Bを引数に実行する。
図5は、本発明の第1の実施の形態における空間影響判定部の処理のフローチャートである。
空間影響判定部30は、行動オブジェクト記憶部20から行動オブジェクトの位置情報を取得し(ステップ101)、刺激オブジェクト記憶部10から刺激オブジェクトの位置情報を取得して、行動オブジェクト(人)と刺激オブジェクト(ディスプレイ)との距離を求め、求められた距離が行動オブジェクトの被影響範囲内であれば、刺激オブジェクト記憶部10で管理されている当該ディスプレイの影響範囲を取得し、求められた距離とディスプレイの影響範囲を比較して、刺激オブジェクト(ディスプレイ)と行動オブジェクト(人間)の影響範囲が重なっているかを判定する(ステップ102)。重なっている場合は、該当オブジェクト(ディスプレイ)に対して影響範囲が重なったことを通知する(ステップ103)。これにより、当該刺激オブジェクト(ディスプレイ)は当該通知に従って動作を変更する。
空間表示確認部40は、プログラム設計開発環境において、刺激オブジェクトと行動オブジェクトの位置座標と、空間影響判定部30よって得られた空間内の状況を表示し、ユーザ(開発・設計者)に確認させる。
例えば、表示の背景となる画面は「Google Earth」上に、刺激オブジェクトや行動オブジェクトを物体映像としてモデル化したものを表示するものである。なお、刺激オブジェクトや行動オブジェクトのオブジェクトモデルはオブジェクトモデル記憶部50から読み込んで表示する。
例えば「人間が一定距離以上ディスプレイに近付くと、ディスプレイ上で再生される動画を動画Aから動画Bに変更する」というイベントのシステムの有効性を検討する場合、まず、プログラム設計環境において上述したように各オブジェクトの影響範囲や、そのイベントと対応する処理を記述する。
この定義において、「ディスプレイで再生される動画を動画Aから動画Bに変更する」といったイベントに加えて、「人間が動画Bを見た場合、ディスプレイから離れていく」などのイベントも定義しておく。
空間表示確認部40では、ここで指定したオブジェクト(例:ディスプレイや人間)が3Dモデルとして再現され、ディスプレイで動画が再生される様子や、人間が歩き、ディスプレイに近付く様子が可視化される。上述のイベントの定義も再現されるため、人間モデルがディスプレイに近付いていくと、実際にディスプレイ上で再生される動画が、動画Aから動画Bに変更される様子が可視化される。同様に、動画Bに変更されてしばらくすると、人間モデルはディスプレイから離れていく様子も可視化される。ここで、オブジェクトモデル記憶部50から読み込む人間モデルを一人だけではなく、予め取得した複数のパターンの人間モデルを用いることで、ディスプレイの動作に対する様々なリアクションも確認できる。
この一連の作業を通して、システムの実装に不満がある場合、つまりディスプレイで再生する動画を「動画B」に変更することで殆どの人がディスプレイから離れてしまうことが分かった場合、ユーザ(設計者)は、プログラム設計開発環境において再生動画変更イベントを修正し、動画変更ではなく音声再生をイベント処理として行うよう変更するなどの作業を行う。
[第2の実施の形態]
図6は、本発明の第2の実施の形態における装置構成を示す。
同図に示す空間影響オブジェクト処理装置は、図2の構成に、行動オブジェクト生成部70と刺激オブジェクト生成部60を加えた構成である。
行動オブジェクト生成部70は、実空間において、刺激オブジェクト(ディスプレイやスピーカ)に対して影響されて行動を変化させる行動オブジェクト(人・動物等)を定義し、行動オブジェクト記憶部20に登録する。定義される内容は、刺激オブジェクト毎のプログラム設計開発環境における空間の位置座標と、メディア種別や影響を及ぼす範囲や内容が変化する条件等である。これらの定義情報は、予め用意されているファイル、または、ユーザにより入力される。
刺激オブジェクト生成部60は、実空間において、行動オブジェクト(人・動物)に対して刺激を発生させる刺激オブジェクトを定義し、刺激オブジェクト記憶部10に登録する。定義される内容は、行動オブジェクト毎のプログラム設計開発環境における空間の位置座標と、属性種別や影響を受ける範囲や行動が変化する条件等である。これらの定義情報は、予め用意されているファイル、または、ユーザにより入力される。
[第3の実施の形態]
本実施の形態では、プログラム設計開発環境において、前述の空間表示確認部40が、時間の過去・未来と空間の影響範囲を調節する。具体的には、図7に示すように、空間表示確認部40に表示される設計空間に過去・未来に変化させることが可能な時間軸を調整するスライダーバーを設定する。例えば、スライダーバーの時間軸としては、時:分:秒等が用いられる。図7では、(A)の時間(t)から(B)の時間(t)にスライダーバーを動かすと、スクリーンに車の映像が表示されると、人が近付いてくる状態がディスプレイ上に表示される例を示している。
設計空間の表示において、図7(C)に示すようなスライダーバーが表示されると、時間の場合は、右に動かすと時間が未来に変化し、左に動かすと過去に変化する。また、影響範囲については、右に動かすと範囲が広くなり、左に動かすと範囲が狭くなるように制御できる。このようにスライダーバーを動かすことにより、刺激オブジェクトのメディアの内容や、行動オブジェクトの位置座標の変化を連続的に観察することができる。
これにより、実空間の様子を鑑みながら実空間の構成や情報システムの動作内容を効率的に設計開発できる。
また、図2、図6に示す空間影響オブジェクト処理装置の各構成要素の動作をプログラムとして構築し、空間影響オブジェクト処理装置として利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
また、構築されたプログラムをハードディスクや、フレキシブルディスク・CD−ROM等の可搬記憶媒体に格納し、コンピュータにインストールする、または、配布することが可能である。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用が可能である。
本発明は、3次元的な表示により実空間とディジタル情報を組み合わせて提示する技術に適用可能である。
本発明の原理構成図である。 本発明の第1の実施の形態における空間影響オブジェクト処理装置の構成図である。 本発明の第1の実施の形態における刺激オブジェクト記憶部の例である。 本発明の第1の実施の形態における行動オブジェクト記憶部の例である。 本発明の第1の実施の形態における空間影響判定部の処理のフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態における空間影響オブジェクト処理装置の構成図である。 本発明の第3の実施の形態における設計空間の表示例である。
符号の説明
10 刺激オブジェクト記憶手段、刺激オブジェクト記憶部
20 行動オブジェクト記憶手段、行動オブジェクト記憶部
30 空間影響判定手段、空間影響判定部
31 イベントでt−アメモリ
40 空間表示確認手段、空間表示確認部
50 オブジェクトモデル記憶部
60 刺激オブジェクト生成部
70 行動オブジェクト生成部

Claims (3)

  1. 3次元的な表示により実空間とディジタル情報を組み合わせて設計開発するための空間影響オブジェクト処理装置であって、
    実空間において情報システムに制御され、意思によって行動する行動オブジェクトに対して影響を及ぼす刺激を発生させる刺激オブジェクト毎のプログラム設計開発環境における空間の位置座標と、メディア種別や影響を及ぼす範囲や内容が変化する条件を逐次的に格納する刺激オブジェクト記憶手段と、
    前記刺激オブジェクトにより影響されて行動を変化させる行動オブジェクト毎のプログラム設計開発環境における空間の位置座標と、属性種別や影響を受ける範囲や行動が変化する条件を逐次的に格納する行動オブジェクト記憶手段と、
    前記刺激オブジェクト記憶手段と前記行動オブジェクト記憶手段の情報から、確認時点での相互影響の有無及び内容を判定する空間影響判定手段と、
    プログラム設計開発環境において、刺激オブジェクトと行動オブジェクトの位置座標と、前記空間影響判定手段によって得られた空間内の状況を、表示装置に表示する空間表示確認手段と、
    を有することを特徴とする空間影響オブジェクト処理装置。
  2. 実空間において、前記行動オブジェクトに対して影響を及ぼす刺激を発生させる、映像表示手段や音声出力手段を含む刺激オブジェクトの位置座標、属性、該行動オブジェクトに与える影響の範囲、刺激の変化条件を定義し、前記刺激オブジェクト記憶手段に格納する刺激オブジェクト生成手段と、
    実空間において、前記刺激オブジェクトから影響されて行動を変化させる前記行動オブジェクトの位置情報、属性、該刺激オブジェクトから影響される範囲、行動内容を定義し、前記行動オブジェクト記憶手段に格納する行動オブジェクト生成手段と、
    を更に有する請求項1記載の空間影響オブジェクト処理装置。
  3. 前記空間表示確認手段は、
    時間の過去・未来と空間の影響範囲を調節するための調節手段を含む
    請求項1または、2記載の空間影響オブジェクト処理装置。
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