JP5013990B2 - エアバッグ装置のカバー体、及びエアバッグ装置 - Google Patents

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本発明は、基材の表面側を表皮部で覆ったエアバッグ装置のカバー、及びエアバッグ装置に関する。
従来、自動車のドアトリムなどの内装部品である樹脂成形品について、予め形成した基材を金型に装着し、この金型のキャビティに樹脂材料を射出して、基材の表面側に表皮部を一体に形成した構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、この構成では、金型に組み込んだ端末処理機構により、表皮部の端末を折り返して基材に一体化させている。しかしながら、金型に端末処理機構を組み込む構成では、金型の構造が複雑になり、製造コストが上昇する問題を有している。
さらに、図6(a)に示すように、基材1の表面側に表皮部2を形成するとともに、基材1の端末1aを巻くように表皮部2を裏面側まで形成する構成では、基材1に表皮部2を強固に密着可能であるものの、製造工程が複雑化して製造コストが上昇するとともに、質量が増加する問題を有している。一方、図6(b)に示すように、基材1の表面側に表皮部2を形成するとともに、表皮部2の端末2aを基材1の端末1aに揃えた構成では、表皮部2が基材1から剥がれやすくなる。特に、図6(b)に示すように、可動する部材4が近接して配置される場合や、基材1がエアバッグ装置のカバー体を構成し、テアラインで破断する構成では、表皮部2を基材1から剥がす方向の力が加わる場合があり、表皮部2が基材1から剥がれやすくなる問題を有している。
特開平10−296771号公報 (第5頁、図6−図15)
上記従来のように、基材の表面側に表皮部を形成するとともに、表皮部を折り返し、あるいは基材の端末を巻くように表皮部を裏面側まで形成する構成では、製造工程が複雑化して製造コストが上昇するとともに、質量が増加する問題を有している。また、表皮部の端末を基材の端末に揃えた構成では、表皮部が基材から剥がれやすくなる問題を有しているので、原料の組合せの選択及び密着性向上手段を追加する必要がありコストアップになる。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、基材に表皮部を強固に密着できるとともに、製造コストを低減できるエアバッグ装置のカバー、及びエアバッグ装置を提供することを目的とする。
請求項1記載のエアバッグ装置のカバー体は、収納されたエアバッグを覆い、このエアバッグの膨張展開時に破断予定部で破断可能なエアバッグ装置のカバー体であって、基材と、この基材の表面側に樹脂材料を導入しこの基材の表面側を覆って形成された樹脂製の表皮部とを備え、前記基材の端末には、表面側に突出し前記表皮部の端末と密着するフランジ部が設けられ、前記破断予定部から前記基材の端末の前記フランジ部に向かい、前記表皮部の厚さ寸法が次第に大きくなるように形成されたものである。
そして、この構成では、基材の表面側を表皮部で覆うことにより、外観が向上したカバー体が提供される。基材の端末に表面側に突出するフランジ部を設けたため、基材と表皮部とが密着する面積が増大し、表皮部が基材に強固に密着する。基材と表皮部との合わせ部分が表面側に向くため、表皮部の端末部分の余分な樹脂材料の処理が容易になる。表皮の端末を基材の裏面側に巻き込む構成に比べ、表皮部の樹脂材料の量の削減が可能になり、軽量化されるとともに、製造工程が簡略化され、製造コストが低減される。また、エアバッグの膨張展開時にカバー体に加わる力が、基材から表皮部を剥がす方向に加わった場合に、次第に厚さ寸法が大きくなる部分で力を分散し、表皮部の剥がれが抑制されるとともに、破断予定部に力を集中して、破断予定部が効果的に破断される
求項記載のエアバッグ装置は、折り畳んで収納された袋状のエアバッグと、このエアバッグを収納するケース体と、前記エアバッグを覆う請求項記載のカバー体と、前記エアバッグにガスを供給して膨張展開させるインフレ−タとを具備したものである。
そして、この構成では、請求項記載のカバー体を備えたため、外観が良好で製造コストが低減されたエアバッグ装置が提供される。
本発明によれば、基材の表面側を表皮部で覆うことにより、外観が向上したカバー体を提供できる。基材の端末に表面側に突出するフランジ部を設けたため、基材と表皮部とが密着する面積が増大し、表皮部を基材に強固に密着できる。基材と表皮部との合わせ部分が表面側に向くため、表皮部の端末部分の余分な樹脂材料の処理を容易にできる。表皮の端末を基材の裏面側に巻き込む構成に比べ、表皮部の樹脂材料の量の削減が可能になり、軽量化できるとともに、製造工程を簡略化し、製造コストを低減できる。また、エアバッグの膨張展開時にカバー体に加わる力が、基材から表皮部を剥がす方向に加わった場合に、次第に厚さ寸法が大きくなる部分で力を分散でき、表皮部の剥がれを抑制できるとともに、破断予定部に力を集中して、破断予定部を効果的に破断できる
以下、本発明のエアバッグ装置のカバー、及びエアバッグ装置の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
図2において、10は自動車の車室であり、運転席11の前方に位置して、ステアリングホイール12が設けられ、このステアリングホイール12に、運転手用のエアバッグ装置14が備えられている。また、図示しない助手席の前方には、インストルメントパネル16と、このインストルメントパネル16の下側に位置するグローブボックスの蓋体17が設けられ、インストルメントパネル16の内側に、助手席乗員用のエアバッグ装置18が設けられている。なお、上下方向、両側方向、前後方向などの方向は、自動車の直進方向を基準として説明する。
そして、図2及び図3に示すように、ステアリングホイール12は、中央に位置してステアリングシャフトに連結されるボス部12aと、このボス部12aを囲む円環状のリム部12bと、これらボス部12aとリム部12bとを連結する複数の、本実施の形態では3本のスポーク部12cとを備えている。
そして、ステアリングホイール12のボス部12aには、運転席11の乗員に対向して、エアバッグ装置14が取り付けられている。このエアバッグ装置14は、エアバッグモジュールとも呼ばれるもので、図2ないし図4に示すように、ケース体21と、このケース体21に取り付けられたエアバッグ22、図示しないインフレータ、及びカバー体24などを備えている。そして、ケース体21は、上側を開口した箱状をなし、このケース体21の内側に、折り畳んだエアバッグ22が収納されている。また、インフレータは、制御手段に制御されてエアバッグ22にガスを供給するもので、ケース体21の底部に取り付けられ、あるいはケース体21の底部側に収納されている。
さらに、カバー体24は、エアバッグ用リッドとなどとも呼ばれる樹脂成形品であり、図1ないし図4に示すように、乗員に面する基板部31と、この基板部31の裏面側から筒状に突設された取付片部32とを備え、この取付片部32の内側が、エアバッグ22の収納部33となっている。そして、このエアバッグ22の収納部33に面して、基板部31の裏面側が溝状に凹設され、他の部分より脆弱な弱部である破断予定部34が形成されている。破断予定部34は、テアラインとも呼ばれるもので、本実施の形態では、直線状及び曲線状の破断予定部34により、左右非対称の4個の扉予定部35が区画形成されている。そして、各扉予定部35は、それぞれ破断予定部34が形成されていない部分であるヒンジ部36により、非展開部である取付片部32及び取付片部32の外周側の部分に連接されている。
そして、これら基板部31及び取付片部32は、例えば、比較的硬質な樹脂で形成された基材41と、基板部31の部分でこの基材41の表面側41aを一体的に密着して覆った基材41より軟質の樹脂で形成された表皮部42とを備えた2層エアバッグカバーを構成している。また、基材41の外周の端末41bには、少なくともスポーク部12cに隣接する部分で、表面側に突設されたフランジ部44が形成され、いわば断面略L字状となっている。また、このフランジ部44の先端部は、破断予定部34側である内面側が突出する寸法L1が、破断予定部34の反対側である外面側が突出する寸法L2より大きく、破断予定部34側の先端側に、鋭角状の角部44aが形成されている。また、表皮部42は、基板部31の表面に密着するとともに、フランジ部44の部分では、端末42bがフランジ部44の内面側の全面に密着し、すなわち厚さ寸法はL1となっているとともに、他の部分、例えば扉予定部35及び破断予定部34を覆う部分では、厚さ寸法はL1より小さいL3となっており、破断予定部34から端末42bにかけて、すなわち端部に向かい、次第に厚さ寸法が大きくなるように設定されている。
そして、基材41は、例えば、ポリプロピレン(PP)あるいはポリプロピレンに添加剤を加えた樹脂であるPPC樹脂の射出成形で一体に形成されている。また、表皮部42は、例えば、エラストマー系の樹脂であるTPO樹脂(サーモプラスチックオレフィン)の射出成形、より好ましくは、2液混合の反応射出成形(RIM成形)により無発泡ポリウレタンとして形成されている。
このカバー体24の製造工程は、図1に示すように、予め射出成形した基材41を、金型50の第1の金型(下金型)51に装着(インサート)し、第2の金型(上金型)52を相対的に移動して型合わせする。この状態で、基材41の基板部31の表面側41aに、表皮部42を形成するキャビティ54が形成される。また、この状態で、基材41のフランジ部44の角部44aに、第1の金型51と第2の金型52との型合わせ面(パーティングライン)55が位置合わせされる。
そして、キャビティ54に2液混合の樹脂材料を射出して、基材41の基板部31の表面側41aに、表皮部42を一体的に密着させて形成する。この時、表皮部42の端末42bは、フランジ部44の内面側に密着する。
次いで、表皮部42が冷却され固化した状態で、金型50を開き、基材41と表皮部42とが一体的に形成されたカバー体24が形成される。なお、金型50の型合わせ面55から樹脂材料が漏出し、いわゆるバリが形成された場合には、このバリを切除する作業を行うが、このバリは、基材41の面方向と直交する方向に向かい、いわば表面側に立ち上がるように形成されるため、切除する作業は容易である。
次に、このカバー体24を備えたエアバッグ装置14の展開動作を説明する。
すなわち、図4に破線Cで示すように、折り畳んだエアバッグ22をカバー体24で覆った状態で、自動車が衝突などすると、制御装置がインフレータを作動させ、エアバッグ22にガスを供給する。すると、エアバッグ22が急速に膨張展開し、カバー体24を破断予定部34に沿って破断する。すると、各扉予定部35がヒンジ部36を軸として回動してエアバッグ22の突出口を形成し、エアバッグ22が乗員の前方に展開する。
ここで、エアバッグ22が膨張展開してカバー体24を破断予定部34に沿って開裂する際、基材41とともに表皮部42を開裂させるが、この表皮部42を切断する力は、2点鎖線Dに示すように、表皮部42を基材41から引きはがす方向の分力を生じる。ここで、表皮部42は、破断予定部34から端末42bにかけて次第に厚さ寸法が大きくなるように形成されているため、矢印Eに示すように力を分散させ、表皮部42を基材41に強固に保持できる。さらに、表皮部42の端末42bの厚さ寸法が大きい部分が、基材41のフランジ部44の内面側の全面に密着し、表皮部42が基材41に強固に保持されている。
このように、本実施の形態によれば、乗員保護装置であるエアバッグ装置14のカバー体24について、基材41の表面側41aを反応射出成形の表皮材42で一体的に覆って加飾した2層カバー構造としたため、外観や触感を容易に向上できる。
また、エアバッグ22が膨張展開してカバー体24を破断予定部34に沿って開裂する際、表皮部42を基材41から引きはがすいわば剪断方向の力が加わっても、表皮部42は、破断予定部34から端末42bにかけて次第に厚さ寸法が大きくなるように形成されているため、力を分散させ、表皮部42を基材41から剥がれにくく強固に保持できる。
そして、表皮部42の端末42bの厚さ寸法が大きい部分が、基材41のフランジ部44の内面側の全面に密着し、接着面積を広く確保して、表皮部42を基材41に強固に保持できる。
さらに、表皮部42の破断予定部34から端末42bにかかる部分の厚さ寸法が大きくなるため、エアバッグ22の膨張展開時に加わる力を破断予定部34の部分に集中して開裂の起点を作り、カバー体24を破断予定部34に沿って容易に破断させることができる。
また、基材41のフランジ部44の内側面は、表皮部42を反応射出成形する際の流動する樹脂材料のシール面として機能し、さらに、このフランジ部44の角部44aに型合わせ面55を設定したため、樹脂材料が各金型51,52間に漏出していわゆるバリが発生しても、このバリは、基材41の裏面側には達することなく、基材41の面方向と直交する方向に向かい、いわば表面側に立ち上がるように形成されるため、容易に切除することができる。
また、基材41のフランジ部44は、角部44aの部分が突出する寸法が大きく、端末41bに向けて突出する寸法が小さくなるため、基材41が外部に露出しづらく、容易に外観を向上できる。
特に、基材41のフランジ部44は、スポーク部12cなど他の部材に対向する部分に設けることにより、基材41が外部に露出しづらく、容易に外観を向上できる。そして、他の部材に対向する部分に設けた場合、この部材が開閉する扉部など可動部材である場合にも、基材41が表皮部42を保護し、長期間にわたって良好な外観を維持できる。
また、基材41の裏面側まで回り込むようにして表皮部42を形成する構成に比べ、製造工程を簡略化して、製造コストを低減できるとともに、樹脂材料を削減して、軽量化を実現できる。
上記のように、フランジ部44に表皮部42を密着させる構成は、剪断の力が加わる位置で、外観の向上を図る場合に有効に機能させることができる。
次に、本発明の一関連技術として、インストルメントパネル16に設けられた、助手席乗員用のエアバッグ装置18について説明する。
このエアバッグ装置18も、図示しないが、ケース体と、このケース体に取り付けられたエアバッグ、インフレータを備えるとともに、図5に示すように、インストルメントパネル16と一体的にあるいはインストルメントパネル16と組み合わされるように形成されたカバー体61を備え、図1ないし図4に示す第1の実施の形態と同じく、フランジ部44を形成した基材41と、この基材41の表面側41aを一体的に覆う表皮部42が形成されており、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。なお、この一関連技術では、フランジ部44が突出する寸法は、表皮部42の厚さ寸法と等しく、表皮部42の厚さ寸法は各部で略一定に形成されているが、第1の実施の形態と同じく、フランジ部44に向けて表皮部42の厚さ寸法を大きく形成した第2の実施の形態とすることもできる。
また、一関連技術及び第2の実施の形態では、カバー体61に近接して、グローブボックスの扉体である蓋体17が設けられており、この蓋体17の矢印F方向の開閉に伴い、他の部材である蓋体17がカバー体61の基材41の端末近傍に接触する場合がある。ここで、本関連技術及び本実施の形態では、蓋体17に対向する部分に、基材41のフランジ部44が位置するため、表皮部42のめくれなどを防止し、長期にわたり表皮部42を保護して外観を良好に維持できる。
なお、カバー体61が対向する他の部材は、グローブボックスの蓋体17に限られず、種々の可動部品に適用することができる。
また、カバー体61は、基材41の裏面に、TPO樹脂製のインナ体を振動溶着するなど、適宜の構成をとすることができる。
本発明は、基材の表面側を表皮部で覆ったエアバッグ装置のカバー体に適用できる。
本発明のエアバッグ装置のカバー体の第1の実施の形態を示す図2のI−I断面相当位置の製造工程の説明図である。 同上エアバッグ装置を備えたステアリングホイールの一部の平面図である。 同上エアバッグ装置を備えた自動車の一部を示す説明図である。 同上エアバッグ装置の図2のI−I断面相当位置のエアバッグの膨張展開時の説明図である。 本発明のエアバッグ装置のカバー体の一関連技術を示す説明図であり、(a)は図3のII−II断面相当位置の説明図、(b)は(a)の一部の拡大図である。 従来のカバー体の構成を示す説明図であり、(a)は表皮部を裏面側に巻き込む構成、(b)は表皮部を基材の端末と揃えた構成である。
14,18 エアバッグ装置
21 ケース体
22 エアバッグ
24,61 カバー体
34 破断予定部
41 基材
41a 表面側
41b 端末
42 表皮部
44 フランジ

Claims (2)

  1. 収納されたエアバッグを覆い、このエアバッグの膨張展開時に破断予定部で破断可能なエアバッグ装置のカバー体であって、
    基材と、この基材の表面側に樹脂材料を導入しこの基材の表面側を覆って形成された樹脂製の表皮部とを備え、
    前記基材の端末には、表面側に突出し前記表皮部の端末と密着するフランジ部が設けられ
    前記破断予定部から前記基材の端末の前記フランジ部に向かい、前記表皮部の厚さ寸法が次第に大きくなるように形成された
    ことを特徴とするエアバッグ装置のカバー体
  2. 折り畳んで収納された袋状のエアバッグと、
    このエアバッグを収納するケース体と、
    このエアバッグを覆う請求項記載のカバー体と、
    前記エアバッグにガスを供給して膨張展開させるインフレ−タとを具備した
    ことを特徴とするエアバッグ装置。
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