JP5010887B2 - ホウ素含有化合物およびこれを用いたリポソーム - Google Patents

ホウ素含有化合物およびこれを用いたリポソーム Download PDF

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Description

本発明は、癌などの標的細胞・組織を認識しホウ素化合物を選択的に集積させることができ、ドラッグキャリアーとして有用なホウ素含有化合物およびこれを用いたリポソームに関する。
癌の中性子捕捉療法(BNCT)は、ホウ素(ボロン)化合物をがん細胞に集積させ、そこに熱中性子を照射して局所的にがん細胞を破壊する治療法で、その多くはボロカプテイト(BSH:borocaptate sodium)やパラボロノフェニルアラニン(BPA:p−boronophenylalaine)等のボロン化合物をリポソームに内封して行われている。しかし、これらの方法では、ボロン化合物をリポソームに高濃度に内封するという操作が必要であり、効率やコスト面から問題が多いのが実状である。
また、リポソームにボロンを内封するよりもリポソームの脂質二重膜内にボロンを取り込むことにより、腫瘍細胞組織へボロンを選択的に集積させることができ、癌の中性子捕捉療法にとって有効であることが知られている(たとえば、非特許文献1、2参照)。
先に、下記一般式(A)で表されるボロン化合物が小胞体を作り、また膜構成成分の一部として、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)とリポソーム膜を形成することが知られている(たとえば、非特許文献3〜8参照)。しかしながら、小胞の安定性やリポソーム膜層のボロン濃度が十分ではなかった。
さらに、リポソームの二分子膜へニドカルボランをホウ素源として導入したホウ素イオンクラスター型脂質が提案されている(たとえば、特許文献1、非特許文献9〜10参照)。しかしながら、上記ニドカルボランを用いた場合、人体等の細胞への毒性が問題となりうることが判明した(たとえば、非特許文献9参照)。
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1995,92,1367−1370 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1998,95,2531−2534 Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.1993,32,950−984 Chem.Rev.1998,98,1515−1562 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1999,96,238−241 J.Med.Chem.1997,40,2825−2830 Bull.Chem.Soc.Jpn.2000,73,231−235 Chem.Pharm.Bull.2000,48,1034−1038 Bioconjugate Chem.2006,17,15−20. Bioconjugate Chem.2006,17,ASAP. 特開2005−343858号公報
そこで、本発明の目的は、安定した小胞体を形成し、血中滞留性および生体安全性に優れ、リポソーム膜層に高濃度に取り込まれるホウ素含有化合物ならびにこれを用いたリポソームを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、脂質誘導体に着目して鋭意研究を重ねた結果、以下に示すホウ素含有化合物を用いることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の化合物またはその塩は、下記式(1):

(式中、RおよびRは同一または異なって、炭素数6〜24のアルキル基またはアルケニル基を有するカルボニル基を示す。)
で表わされる構造を有することを特徴とする。
また、本発明のリポソームは、上記式(1)で表されるホウ素含有化合物またはその塩を膜構成成分として含有することを特徴とする。
本発明によると、実施例の結果に示すように、上述の特定の含ホウ素化合物(含ホウ素脂質)またはその塩を膜構成成分として用いたリポソームは、そのリポソームの脂質二重膜内に高濃度のボロンが取り込まれ、膜安定性、血中滞留性および生体安全性に優れたものとなる。特に上述のようにカーバメート構造を導入すること等により、水溶性部位と脂溶性部位のリンカーとしての適度な長さによるそのリポソームの脂質二重膜構造の安定性の向上、毒性の低減および生体内での加水分解の抑制するものとなると推測している。また、生体血管内において細網内皮系からの回避のため、一般にリポソームにはPEG(ポリエチレングリコール)修飾法が用いられているが、極性を持つカーバメート構造を連続的に導入することにより水溶性の向上だけでなく、そのリポソームの生体血管内におけるステルス性の発現が期待できる。さらに、上記リポソームは、腫瘍細胞組織へボロンを選択的に集積させることができることから、癌中性子捕捉療法剤として特に有用である。
また、上記膜構成成分には上記化合物または塩とは異なる他の脂質類を含んでいてもよい。また、他の脂質類を含む場合、上記化合物またはその塩と、前記脂質類との含有量の比率が、1:99〜99:1であることが好ましい。
さらに、前記膜構成成分がポリアルキレングリコール修飾されていることが好ましい。かかるリポソームを用いることにより、血中滞留性をより確実に向上させることができる。
また、本発明のリポソームにおいては、上記リポソームのホウ素濃度が1〜10000ppmとすることができる。
さらに、上記リポソームには薬物等の化合物を適宜内包することができる。特に、このリポソームには抗癌剤や遺伝子類等を内封することもでき、ドラッグキャリアーとしても有用である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の化合物またはその塩は、下記式(1):

(式中、RおよびRは同一または異なって、炭素数6〜24のアルキル基またはアルケニル基を有するカルボニル基を示す。)
で表わされる構造を有することを特徴とする。
上記式(1)中、RおよびRは同一または異なった炭素数6〜24のアルキル基またはアルケニル基を有するカルボニル基を示すが、炭素数8〜22のアルキル基またはアルケニル基を有することが好ましく、炭素数10〜20のアルキル基またはアルケニル基を有することがより好ましい。また、これらのアルキル基およびアルケニル基は分岐していてもよい。
上記アルキル基またはアルケニル基としては、たとえば、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、オレイル基等があげられる。
また、上記化合物(1)の塩としては、たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等があげられる。また、これらの塩におけるカチオン種は1種であってもよく、また2種以上を混合して含むものであってもよい。
上記化合物(1)の製造は、公知の合成方法により行なうことができ、特に限定されるものではないが、たとえば下記反応式:

(i)Benzyl bromide、NaH、THF、rt、2h、95%
(ii)AcOH、HO、65℃、1h、>99%
(iii)RCOOH、cat.DMAP、DCC、CH2Cl2、rt、12h、>99%
(iv)Pd/C、H、THF−EtOH、AcOH、rt、24−48h、>99%
(v)Chloroacetyl isocyanate、CHCl、40℃、4−7h、66〜>99%

(vi)CHCN、70−80℃、48h、85−87%
(vii)MeNOH、Acetone、rt、30min、76−91%
で示す方法でまず化合物(7)を合成し、次いで化合物(1)を合成する手法などがあげられる。以下、上記合成法における各工程についてより具体的に説明する。
ベンジルエーテル(3)は、キラルアルコール(2)の水酸基部位をベンジルブロミドと処理して得られる。上記エーテル化は、たとえば、キラルアルコール(2)をTHF(テトラヒドロフラン)、塩化メチレン、ジエチルエーテル、DMF(ジメチルフォルムアミド)、DMSO(ジメチルスルフォキシド)、ジクロロエタンなどの溶媒に溶解し、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム、水素化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の塩基存在下でベンジルブロミドと0〜80℃で1〜72時間反応させることにより行うことができる。
ジオール(4)は、ベンジルエーテル(3)のアセトニドを脱保護して得られる。上記脱保護反応は、たとえば、ベンジルエーテル(3)をメタノール、エタノール、IPA(イソプロパノール)、水、含水THFなどの溶媒に溶解し、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、塩酸、硫酸、酢酸等の酸触媒存在下で0〜80℃で5分〜72時間反応させることにより行うことができる。
化合物(5)は、様々な脂肪酸とエステル化反応して得られる。上記エステル化反応は、たとえば、ジオール(4)と脂肪酸を塩化メチレン、THF(テトラヒドロフラン)、ジエチルエーテル、DMF(ジメチルフォルムアミド)、DMSO(ジメチルスルフォキシド)、ジクロロエタンなどの溶媒に溶解し、DMAP(N,N−ジメチルアミノピリジン)、DCC(N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド)等の触媒存在下で0〜80℃で1〜72時間反応させることにより行うことができる。
上記脂肪酸としては、炭素数6〜24のアルキル基またはアルケニル基を有するカルボン酸が用いられるが、炭素数8〜22のアルキル基またはアルケニル基を有するカルボン酸であることが好ましく、炭素数10〜20のアルキル基またはアルケニル基を有するカルボン酸であることがより好ましい。また、これらのアルキル基およびアルケニル基は分岐していてもよい。
上記アルキル基またはアルケニル基としては、たとえば、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、オレイル基等があげられる。
上記脂肪酸としては、具体的には、たとえば、n−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸(カプリル酸)、n−ノナン酸(ペラルゴン酸)、n−デカン酸(カプリン酸)、n−ドデカン酸(ラウリン酸)、n−テトラデカン酸(ミリスチン酸)、n−ペンタデカン酸(ペンタデシル酸)、n−ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、n−ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、n−オクタデカン酸(ステアリン酸)、n−ノナデカン酸(ツベルクロステリン酸)、n−イコサン酸(アラキジン酸)、n−ドコサン酸(ベヘン酸)、n−テトラコサン酸(リグノセリン酸)、n−ヘキサコサン酸(セロチン酸)、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などがあげられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
アルコール(6)は、化合物(5)を接触水素還元またはBirch還元によりベンジル基の脱保護を行うことで得られる。上記脱ベンジル化反応は、たとえば、化合物(5)をメタノール、エタノール、プロピルアルコール、酢酸エチルなどの溶媒に溶解し、パラジウムカーボン、水酸化パラジウム、リンドラー触媒、ラネーニッケル等の触媒存在下で水素雰囲気下、0〜80℃で1〜72時間反応させることにより行うことができる。また、酢酸などの酸触媒を添加すると反応は加速する。
化合物(7)は、アルコール(6)とクロロアセチルイソシアナートの付加反応を行うことで得られる。上記反応は、たとえば、化合物(6)をTHF(テトラヒドロフラン)、ジエチルエーテル、DMF(ジメチルフォルムアミド)、DMSO(ジメチルスルフォキシド)、ジクロロエタンなどの溶媒に溶解し、0〜80℃で1〜72時間反応させることにより行うことができる。
化合物(9)は、化合物(7)とBSH化合物(8)とをカップリング反応して得られる。活性型のBSH化合物(11)は文献既知の方法(たとえば、Gabel,D.;Moller,D.;Harfst,S.;Rosler,J.;Ketz,H.Inorg.Chem.1993,32,2276−2278.)にしたがい合成できる。また、ホウ素10エンリッチのBSH化合物も同様の方法で合成できる。上記カップリング反応は、たとえば、化合物(7)とBSH化合物(8)をアセトニトリル、THF、プロピオニトリルなどの溶媒に溶解し、室温〜80℃で還流させ1〜72時間反応させることにより行うことができる。
本発明のホウ素含有化合物またはその塩(1)は、化合物(9)をテトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどと処理してBSH修飾型ホウ素イオンクラスター脂質である化合物(1)として得られる。上記反応は、たとえば、化合物(9)とテトラメチルアンモニウムヒドロキシドをアセトン、アセトニトリル、プロピオニトリルなどの溶媒に溶解し、0〜50℃で5分〜2時間反応させることにより行うことができる。また、BSH修飾型ホウ素イオンクラスター脂質である化合物(1)は例えば、ダウエックスなどの陽イオン交換樹脂を用いることでナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンなどの様々な塩に変換することが出来る。
上記各工程における各生成物の単離精製手段は、洗浄、抽出、再結晶法、各種クロマトグラフィー等を適宜組み合せて行なうことができる。
上記各工程におけるより詳細な合成方法は、実施例に記載している。なお、上記反応式において、化合物(2)、BSH等の原料化合物はいずれも入手が容易な化合物である。
また、上記メルカプトウンデカハイドロドデカボレート(BSH)は、ホウ素、水素およびイオウ原子から成る20面体のホウ素クラスター構造をとる。BSHは無機低分子化合物であるにもかかわらず、体積はベンゼン環より大きく、3つのホウ素原子が2つの電子を共有するいわゆるスリーセンターボンド構造をとり、電子が局在化した特異な構造をしている。本発明において、BSHは下記式(10)、

または下記式(11)

で表される。
本発明の化合物(1)またはその塩は、単独で小胞体を形成するが、通常のリポソーム形成性脂質類に加え、リポソームの膜構成成分の一部として用いることもできる。
リポソームの膜構成成分として他の脂質類を含む場合、上記化合物またはその塩と、前記脂質類との含有量の比率が、1:99〜99:1であることが好ましく、5:95〜75:25であることがより好ましく、10:90〜50:50であることがさらに好ましい。
ここで、化合物(1)の他に、リポソームの膜構成成分として用いられる脂質類としては、たとえば、リン脂質、グリセロ糖脂質およびスフィンゴ糖脂質の他、これらの脂質に、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基または第4級アンモニウム基が導入されたカチオン性脂質、これらの脂質にポリアルキレングリコールが導入された脂質、さらに各種細胞、組織等に対するリガンドが結合した脂質類があげられる。これらの脂質類は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
リン脂質としては、たとえば、ホスファチジルコリン(大豆ホスファチジルコリン、卵黄ホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン等)、ホスファチジルエタノールアミン(ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン等)、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチン、水素添加リン脂質等の天然または合成のリン脂質等があげられる。
グリセロ糖脂質としては、たとえば、スルホキシリボシルグリセリド、ジグリコシルジグリセリド、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド、グリコシルジグリセリド等があげられる。
スフィンゴ糖脂質としては、たとえばガラクトシルセレブロシド、ラクトシルセレブロシド、ガングリオシド等があげられる。
カチオン性脂質としては、たとえば、上記リン脂質、グリセロ糖脂質またはスフィンゴ糖脂質に、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアンモニウム基、モノアシルオキシアルキル−ジアルキルアンモニウム基、ジアシルオキシアルキル−モノアルキルアンモニウム基等の第4級アンモニウム基が導入された脂質があげられる。
さらに、前記膜構成成分がポリアルキレングリコール修飾されていることが好ましい。かかるリポソームを用いることにより、血中滞留性をより確実に向上させることができる。
また、ポリアルキレングリコール修飾脂質としては、たとえば、上記リン脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴ糖脂質に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が修飾した脂質、たとえばジ−C12−24アシル−グリセロール−ホスファチジルエタノールアミン−N−PEG等があげられる。
さらに、必要に応じて、膜安定化剤として、たとえば、コレステロール類、抗酸化剤としてトコフェロール類、ステアリルアミン、ジセチルホスフェート、ガレグリオシドを用いてもよい。
リポソームの製造には、公知のリポソームの調製方法を適用することができる。リポソームの調整方法としては、たとえば、バンガム(Bangham)らのリポソーム調製法[ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J.Mol.Biol.),13,238(1965)]、エタノール注入法[ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー(J.Cell.Biol.),66,621(1975)]、フレンチプレス法[フェブス・レター(FEBS Lett.),99,210(1979)]、凍結融解法[アーカイブス・オブ・バイオケミストリー・アンド・バイオフィジックス(Arch.Biochem.Biophys.),212,186(1981)]、逆相蒸発法[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA),75,4194(1978)]等があげられる。
また、本発明のリポソームにおいては、上記リポソームのホウ素濃度が1〜10000ppmとすることができるが、50〜2000ppmとすることが好ましい。
また、標的細胞、標的組織、標的病巣に対するリガンドとしては、トランスフェリン、葉酸、ヒアルロン酸、ガラクトース、マンノースなどの癌細胞に対するリガンド等があげられる。また、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体もリガンドとして使用できる。
本発明のリポソームは、安定で、整体安全性に優れ、かつリポソーム膜上高濃度にボランを含有しているので、癌中性子捕捉療法剤として使用できる。また、本発明のリポソームの内部には、抗癌剤や遺伝子類等の薬物を含有させることもできる。これらの薬物を含有するリポソームは、化学療法剤としても、また癌中性子捕捉療法剤としても適宜使用できる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。当業者は本明細書の記載に基づいて容易に本発明に修飾、変更を加えることができ、それらは本発明の技術的範囲に含まれる。
下記実施例において、化合物の分析および分離精製には以下の機種を用いて行った。
・NMRスペクトル:VARIAN社製、UNITY−INOVA400、400MHz。特に明記しない限り、内部標準としてTMSを用いた。また、下記ケミカルシフトはδ値で示した。
・カラムクロマトグラフィー:Merck社製、Kieselgel 70−230mesh。
・マススペクトル:エレクトロンスプレーイオン化(ESI)法により測定した。島津製作所社製、LCMS−2010EV。
・IRスペクトル:島津製作所社製、FTIR−8200A。
・ホウ素濃度測定:ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析)により測定した。堀場製作所社製、ULTIMA2。
〔実施例1〕
(化合物(3)の合成)
水素化ナトリウム(11mmol,0.44g)をヘキサンで洗浄後、無水テトラヒドロフラン(THF)10mLに溶かした。化合物(2)(10mml,1.32g)を0℃で加え、室温で1時間攪拌した。ベンジルブロミド(15mmol,1.78mL)を加え、室温で2時間攪拌後、塩化アンモニウム水溶液(20mL)を加え、ジエチルエーテル(20mL)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製し、化合物(3)を収率95%で得た(9.5mmol,2.12g)。
H NMR(ppm、CDCl)δ:7.35−7.29(m,5H)、4.58(dd、J=18.8,12.0Hz,2H)、4.31(quint,J=6.4Hz,1H),4.06(ddd,J=12.6,8.4,6.4Hz,2H),3.51(dq,J=9.6,6.4Hz,2H),1.40(s,3H),1,38(s,3H).
13C NMR(ppm、CDCl)δ:137.9,128.4,127.7,109.4,74.7,73.5,71.1,56.9,26.8,25.4.
・IR(KBr)3065,2986,2867,1717,1497,1454,1371,1255,1213,1159,1093cm−1
(化合物(4)の合成)
化合物(3)(9mmol,2.0g)を酢酸(14mL)と水(6mL)の混合溶液に溶かし65℃で1時間攪拌した。減圧下で濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)を加え、塩化メチレン(20mL)で2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、化合物(4)を定量的に得た(9mmol,1.64g)。
H NMR(ppm、CDCl)δ:7.35−7.28(m,5H)、4.54(s,2H)、3.89(quint,J=4.8Hz,1H),3.70−3.50(m,4H),3.07(s,1H),2.65(s,1H).
13C NMR(ppm、CDCl)δ:137.6,128.4,127.9,127.8,73.6,71.7,70.6,54.0.
・IR(KBr)3227,2870,1716,1647,1497,1454,1365,1276,1207cm−1
(化合物(5)の合成)
化合物(4)である3−O−ベンジル−sn−グリセロール(0.55g、3.0mmol)およびN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.07g、0.2equiv)を乾燥した塩化メチレン50mlに添加し、その溶液を0℃下で撹拌した。次いでその溶液にN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(1.36g、2.2equiv)とカルボン酸(2.2equiv)を加え、得られた懸濁液を室温下で12時間撹拌した。セライトによるろ過で固体を除去し、ろ液を減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:10)で精製し生成物である化合物(5)を白色粉体で得た。
化合物(5a):3−O−ベンジル−1,2−O−ジミリストリル−sn−3−グリセロールのスペクトルデータ
H NMR(ppm,CDCl)δ:0.88(t,J=6.8Hz,6H,CH),1.25(s,40H,CH),1.57−1.63(m,4H,CH),2.29(td,4H,C−H=17.2Hz,C−C−H=7.4Hz,CHC(=O)),3.59(d,C−C−H=5.4Hz,2H,CH),4.19(dd,C−H=12.0Hz,C−C−H=6.0Hz,2H,CH),4.35(dd,C−H=12.0Hz,C−C−H=4.2Hz,2H,CH),4.52(d,gemC−H=6.4Hz,2H,CHPh),5.22−5.26(m,1H,CH),7.26−7.37(m,5H,C).
13C NMR(ppm,CDCl)δ:14.1,22.6,23.1,24.8,24.9,29.1,29.4,29.5,29.6,29.8,31.6,31.9,34.0,34.3,52.6,68.3,69.9,127.6,137.7,173.1,173.4。
化合物(5b):3−O−ベンジル−1,2−O−ジパルミトイル−sn−3−グリセロールのスペクトルデータ
H NMR(ppm,CDCl)δ:0.88(t,J=6.8Hz,6H,CH),1.25(s,48H,CH),1.55−1.63(m,4H,CH),2.29(td,4H,C−H=17.0Hz,C−C−H=7.4Hz,CHC(=O)),3.59(d,C−C−H=5.6Hz,2H,CH),4.19(dd,C−H=12.0Hz,C−C−H=6.4Hz,2H,CH),4.35(dd,C−H=12.0Hz,C−C−H=4.0Hz,2H,CH),4.55(d,gemC−H=6.2Hz,2H,CHPh),5.21−5.28(m,1H,CH),7.26−7.37(m,5H,C).
13C NMR(ppm,CDCl)δ:14.1,22.6,22.7,24.8,25.0,26.9,29.0,29.1,29.3,29.4,29.5,29.6,29.7,31.6,31.9,34.1,34.3,68.2,69.9,127.8,137.7,173.1,173.4。
化合物(5c):3−O−ベンジル−1,2−O−ジステアロイル−sn−3−グリセロールのスペクトルデータ
H NMR(ppm,CDCl)δ:0.88(t,J=6.8Hz,6H,CH),1.25(s,56H,CH),1.57−1.63(m,4H,CH),2.29(td,4H,C−H=17.6Hz,C−C−H=7.2Hz,CHC(=O)),3.59(d,C−C−H=5.2Hz,2H,CH),4.19(dd,C−H=12.0Hz,C−C−H=6.4Hz,2H,CH),4.35(dd,C−H=12.0Hz,C−C−H=3.6Hz,2H,CH),4.54(d,gemC−H=6.0Hz,2H,CHPh),5.22−5.27(m,1H,CH),7.26−7.37(m,5H,C).
13C NMR(ppm,CDCl)δ:14.1,22.6,22.7,24.8,24.9,29.0,29.1,29.3,29.4,29.5,29.6,29.7,29.8,31.6,31.9,34.0,34.3,52.6,68.3,69.9,73.3,127.6,127.8,137.7,173.1,173.4。
(化合物(6)の合成)
化合物(5)である3−O−ベンジル−1,2−ジアシル−sn−グリセロール(10mmol)を無水エタノール(100mL)に溶かし、酢酸(20mL)を加えた後、Pd/C(5%)(600mg)を加え、水素雰囲気下で2日間攪拌した。パラジウムをセライトを用いてろ別後、ろ液を減圧下で濃縮し、炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)を加え、塩化メチレン(100mL)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=40:1)で精製し、化合物(6)を得た。得られた化合物は直ちに次のカルバモイル化反応を行った。
(化合物(7)の合成)
化合物(6)である1,2−ジアシル−sn−グリセロール(2mmol)を無水塩化メチレン(20mL)に溶かし、0℃でクロロアセチルイソシアナート(0.29g、2.4mmol)を加え、40℃で6時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=50:1)で精製し、化合物(7)を得た。
(化合物(7a):3−O−クロロアセチルカルバモイル−1,2−O−ジミリストリル−sn−3−グリセロールの合成)
化合物(7a)は白色粉体で、収率は74%であった。
H NMR(ppm,CDCl)δ:0.88(t,J=6.4Hz,6H,CH),1.25(s,40H,CH),1.57−1.61(m,4H,CH),2.32(td,4H,C−H=11.2Hz,C−C−H=7.6Hz,4H,CHC(=O)),4.28(dd,C−H=11.2Hz,C−C−H=7.6Hz,2H,CH),4.29(dd,C−H=11.2Hz,C−C−H=4.4Hz,2H,CH),4.48(s,2H,CHCl)5.22−5.26(m,1H,CH),7.92(s,1H,NH).
13C NMR(ppm,CDCl)δ:14.1,22.6,24.8,29.0,29.1,29.2,29.3,29.4,29.6,29.7,31.9,33.9,34.1,43.5,61.6,64.4,68.0,150.7,166.5,172.9,173.2。
(化合物(7b):3−O−クロロアセチルカルバモイル−1,2−O−ジパルミトイル−sn−3−グリセロールの合成)
化合物(7b)は白色粉体で、収率は86%であった。
H NMR(ppm,CDCl)δ:0.88(t,J=6.4Hz,6H,CH),1.28(s,48H,CH),1.57−1.61(m,4H,CH),2.33(td,4H,C−H=11.2Hz,C−C−H=8.0Hz,4H,CHC(=O)),4.30(dd,C−H=12.0Hz,C−C−H=4.8Hz,2H,CH),4.32(dd,C−H=12.0Hz,C−C−H=4.4Hz,2H,CH),4.49(s,2H,CHCl)5.25−5.29(m,1H,CH),7.93(s,1H,NH).
13C NMR(ppm,CDCl)δ:14.0,22.6,24.8,29.0,29.1,29.2,29.3,29.4,29.5,29.6,29.7,31.9,33.9,34.1,41.9,43.6,61.7,64.4,68.4,150.9,166.8,169.1,172.8,173.2。
(化合物(7c):3−O−クロロアセチルカルバモイル−1,2−O−ジステアロイル−sn−3−グリセロールの合成)
化合物(7c)は白色粉体で、収率は86%であった。
H NMR(ppm,CDCl)δ:0.88(t,J=6.0Hz,6H,CH),1.25(s,56H,CH),1.57−1.61(m,4H,CH),2.33(td,4H,C−H=11.6Hz,C−C−H=7.2Hz,4H,CHC(=O)),4.28(dd,C−H=12.0Hz,C−C−H=4.4Hz,2H,CH),4.29(dd,C−H=12.0Hz,C−C−H=4.4Hz,2H,CH),4.48(s,2H,CHCl)5.25−5.29(m,1H,CH),7.95(s,1H,NH).
13C NMR(ppm,CDCl)δ:14.1,22.7,24.8,29.0,29.1,29.3,29.4,29.5,29.6,29.7,29.9,31.9,34.0,34.3,41.9,43.5,61.7,64.5,68.4,150.7,166.5,172.9,173.2。
(化合物(9)の合成)
ホウ素10エンリッチのB1211SCHCHCN・2TMA(2−シアノエチルチオウンデカヒドロドデカボレート・ジテトラメチルアンモニウム)(8)(300mg、0.82mmol)を乾燥したアセトニトリル70mlに加えて得た溶液を室温下で撹拌し、上記溶液に粉末状の3−O−クロロアセチルカルバモイル−1,2−O−ジアシル−sn−3−グリセロール(7)(1.2equiv)を加えた。次いで得られた懸濁液を70℃で1日撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=5:1)で生成物である化合物(9)を精製した。得られた化合物は直ちに次の脱アルキル化反応を行った。
〔実施例2〕
(化合物(1)の合成)
化合物(9)を室温下で最小量のアセトンに溶解した。次いでテトラメチルアンモニウムヒドロキシドのメタノール溶液(25重量%)を当量になるように加えた。化合物(1)を再沈殿させ、ろ別し、乾燥したアセトンで数回洗浄し、減圧下で乾燥した。
(化合物(1a):3−O−101211S−アセチルカルバモイル−1,2−O−ジミリストリル−sn−3−グリセロール・2テトラエチルアンモニウム塩の合成)
化合物(1a)は白色粉体で、収率は54%であった。
・MS(EI):(M/2=379.5)
・Mp.:229−231C.
・IR(KBr pellet,cm−1)ν(C=O)1739,1774,ν(B−H)2484,ν(N−H)3450,ν(C−H)2851,2922,2957.
H NMR(ppm,CDCN)δ:0.87(t,6H,C−C−H=6.8Hz,CH),1.26(s,40H,CH),1.53−1.58(m,4H,CHCHC(=O)),2.28(dd,2H,C−H=6.4Hz,C−C−H=2.8Hz,OCHCH),2.31(dd,2H,C−H=7.6Hz,C−C−H=2.8Hz,OCHCH),3.09(s,24H,NCH),3.15(s,2H,CHS),4.14(dd,2H,C−H=10.6Hz,C−C−H=6.4Hz,SCHC(=O)OCHCH),4.29(dd,2H,C−H=12.0Hz,C−C−H=3.6Hz,SCHC(=O)OCHCH),5.18−5.22(m,1H,CH),9.67(s,1H,NH).
13C NMR(ppm,CDCN)δ:14.1,23.1,25.4,29.5,29.7,29.8,30.0,30.1,32.4,34.4,35.4,55.9,56.0,56.1,62.6,62.8,69.7,173.4,173.5,173.7。
(化合物(1b):3−O−101211S−アセチルカルバモイル−1,2−O−ジパルミトイル−sn−3−グリセロール・2テトラエチルアンモニウム塩の合成)
化合物(1b)は白色粉体で、収率は61%であった。
・MS(EI):(M/2=407.5)
・Mp.:185−187C.
・IR(KBr pellet,cm−1)ν(C=O)1739,1772,ν(B−H)2488,ν(N−H)3435,ν(C−H)2851,2918,2957.
H NMR(ppm,CDCN)δ:0.87(t,6H,C−C−H=6.8Hz,CH),1.27(s,48H,CH),1.49−1.61(m,4H,CHCHC(=O)),2.27(dd,4H,C−H=7.4Hz,C−C−H=2.8Hz,OCHCH),2.30(dd,2H,C−H=7.4Hz,C−C−H=2.8Hz,OCHCH),3.08(s,24H,NCH),3.15(s,2H,CHS),4.13(dd,2H,C−H=11.6Hz,C−C−H=6.8Hz,SCHC(=O)OCHCH),4.28(dd,2H,C−H=12.2Hz,C−C−H=3.6Hz,SCHC(=O)OCHCH),5.17−5.22(m,1H,CH),9.69(s,1H,NH).
13C NMR(ppm,CDCN)δ:14.1,23.1,25.4,29.4,29.5,29.7,29.8,30.0,30.1,32.4,34.5,35.4,55.9,56.0,56.1,62.6,62.8,69.7,173.4,173.5,173.7。
(化合物(1c):3−O−101211S−アセチルカルバモイル−1,2−O−ジステアロイル−sn−3−グリセロール・2テトラエチルアンモニウム塩の合成)
化合物(1c)は白色粉体で、収率は83%であった。
・MS(EI):(M/2=435.5)
・Mp.:181−183C.
・IR(KBr pellet,cm−1)ν(C=O)1740,1774,ν(B−H)2490,ν(C−H)2851,2918,2957,ν(N−H)3425.
H NMR(ppm,CDCN)δ:0.88(t,6H,C−C−H=6.8Hz,CH),1.27(s,56H,CH),1.52−1.61(m,4H,CHCHC(=O)),2.27(dd,2H,C−H=5.2Hz,C−C−H=2.4Hz,OCHCH),2.31(dd,2H,C−H=7.6Hz,C−C−H=2.8Hz,OCHCH),3.06(s,24H,NCH),3.11(s,2H,CHS),4.13(dd,2H,C−H=11.6Hz,C−C−H=6.4Hz,SCHC(=O)OCHCH),4.29(dd,2H,C−H=12.2Hz,C−C−H=3.6Hz,SCHC(=O)OCHCH),5.20−5.25(m,1H,CH),9.72(brs,1H,NH)。
13C NMR(ppm,CDCN)δ:14.1,14.6,23.1,25.4,29.5,29.7,29.8,29.9,30.0,30.1,32.3,34.4,34.5,38.9,55.8,55.9,56.0,62.6,63.8,69.4,160.5,169.7,172.2,173.6。
(化合物(1b)のナトリウム塩の合成)
化合物(1b)テトラメチルアンモニウム塩(100mg)を室温下でアセトニトリルと水の混合溶媒(1:1)5mLに溶かし、イオン交換樹脂(DOWEX 50W Na+、50−100 mesh)を加えて攪拌した。イオン交換樹脂をろ別し、良く洗った後、ろ液を減圧下で溶媒溜去し、化合物を(1a)ナトリウム塩を白色固体で得た(収量88mg、収率99%)。
・化合物(1b)のマススペクトル分析結果
MS(ESI,negative) [(M−2Na)/2]−m/z=386.5
〔実施例3〕
(BSH修飾型ホウ素イオンクラスターリポソームの合成)
DSPC(distearoylphosphatidylchorine;COATSOME MC−8080)、合成したBSH修飾型ホウ素イオンクラスター脂質(1b)、コレステロールを1―X:X:1(X=0.25、0.5、0.75、1)の比率で調整し、これら脂質を、クロロホルムとジイソプロピルエーテルの1:1溶液2mLに溶かした。得られたエマルジョンを1分間超音波に通した後、減圧下有機溶媒を溜去した。
得られた脂質ゲルをエクストルーダーを用いて100nmのポリカーボネート膜を通してサイズを整え、超遠心(200,000 x g)20分で精製し、PBS bufferに加え懸濁溶液とした。エクストルーダーによるサイジング後の粒径分布図を示す(図1)。
粒形分布図(図1、化合物1bのサイジング後の粒径分布:X=0.25、X=0.5、X=0.75、X=1)から分かるように、サイジング後にはすべてにおいて100nmに粒子形が整っていることが分かる。
〔実施例4〕
(PEG修飾型ホウ素イオンクラスターリポソームの合成)
マクロファージからの貪食から逃れ高い血中滞留性を維持することは、EPR効果をあげる上で、リポソームを用いたドラッグデリバリーには重要である。この目的のため、PEG修飾型リポソームを合成し、その細胞成長阻害について調べた。
DMPC(dimyristoylphosphatidylchorine)、合成したBSH修飾型ホウ素イオンクラスター(1b)、コレステロール、DSPE−PEG−OMe(distearoylphosphatidylethanolamine−polyethyleneglycol−OMe;DSPE−020C)、を1:1:X:0.11(X=0.5、1、2)の比率で調整し、エクストルーダーでサイジング後、得られたホウ素クラスターリポソームをRPMI1640培地に懸濁した。得られたリポソーム溶液をICP−AESでそのホウ素濃度を測定し、それぞれ100ppmに調整した。
96ウェルディッシュに1日培養したSKBr3細胞にこのリポソーム溶液を加え、30分接触させた後、中性子照射を30分照射した(2 x 1012 neutrons/cm)。その後、培地を交換して、72時間培養後、細胞増殖阻害をMTTアッセイ法にて検討した。その結果を図2に示す。なお、図2にはn=3の結果と対照(control:ホウ素薬剤なし、BSH:現在臨床応用されているホウ素薬剤)の結果を記載している。白棒グラフは中性子照射なし、黒棒グラフは中性子照射した細胞の増殖を示している。
Control:ホウ素薬剤なし、DPBL:先行特許のホウ素脂質リポソーム、DSCBL1:1(1c:コレステロール=1:1)リポソーム、DPCBL1:2(1b:コレステロール=1:2)リポソーム、DPCBL1:1(1b:コレステロール=1:1)リポソーム、DPCBL2:1(1b:コレステロール=2:1)、ホウ素濃度100ppmの濃度で行ったところ、同じ長さの炭素鎖を有するDPBLでは、高い毒性を示し、中性子照射による細胞増殖阻害効果は見られなかったのに対し、化合物(1b)から調整したホウ素リポソームは、いずれの組成比率においても細胞毒性は低下し、中性子照射による細胞増殖阻害効果が顕著に見られた。
本発明のリポソームの粒径分布図。 本発明のリポソームを用いた中性子照射による細胞増殖阻害に関するグラフ。

Claims (7)

  1. 下記式(1):

    (式中、RおよびRは同一または異なって、炭素数6〜24のアルキル基またはアルケニル基を有するカルボニル基を示す。)
    で表わされる構造を有する化合物またはその塩。
  2. 請求項1記載の化合物またはその塩を膜構成成分として含有するリポソーム。
  3. さらに脂質類を膜構成成分として含有する請求項2に記載のリポソーム。
  4. 請求項1記載の化合物またはその塩と、前記脂質類との含有量の比率が、1:99〜99:1である請求項3に記載のリポソーム。
  5. 前記膜構成成分がポリアルキレングリコール修飾されている請求項2〜4のいずれかに記載のリポソーム。
  6. ホウ素濃度が1〜10000ppmである請求項2〜5のいずれかに記載のリポソーム。
  7. 薬物が内封されている請求項2〜6のいずれかに記載のリポソーム。
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