JP5010341B2 - 繊維強化環状オレフィン系樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、有機繊維で強化された環状オレフィン系樹脂組成物及びその製造方法、並びにこの繊維強化樹脂組成物を用いて得られる成形体に関する。
環状オレフィン系樹脂は、透明性、耐薬品性、防湿性などに優れるため、光学用途や、医薬又は医療機器用途などの材料として用いられている。例えば、射出成形やブロー成形、押出成形などの各種成形方法によって、レンズや光記録材料などの光学部品、コネクターやコンデンサなどの電気又は電子用部品、薬品用容器や注射器などの医薬又は医療機器用品、ビーカーや光学用セルなどの実験器具などが成形されている。しかし、環状オレフィン系樹脂は、脆くて剛性が低く、引張特性、曲げ特性、耐衝撃性などの機械的特性も充分ではない。そこで、これらの欠点を改良するために、環状オレフィン系樹脂を、無機繊維で強化することが提案されている。
例えば、特開平6−256604号公報(特許文献1)には、シクロオレフィンポリマーとガラス繊維とを含み、両者の屈折率差を調整したガラス繊維強化シクロオレフィンポリマー材料が開示されている。
また、特開2003−138031号公報(特許文献2)には、ポリオレフィン0.1〜90重量%、アモルファスシクロオレフィンポリマー0.1〜50重量%、強化用繊維5〜75重量%及び他の添加剤10重量%以下を含む3mm以上の長さの長繊維強化ポリオレフィン構造体が開示されている。この文献には、強化用繊維として、タルク、スチール繊維、珪灰石、ガラス繊維が記載されている。
さらに、特開2006−312706号公報(特許文献3)には、環状ポリオレフィン系樹脂とガラスフィラーとを含有し、両者の屈折率及びアッベ数の差が小さく、ヘイズも20%未満である環状ポリオレフィン系樹脂組成物が開示されている。この文献には、ガラスフィラーとして、ガラスパウダー、ガラスフレーク、ミルドファイバー、ガラスビーズが記載されている。
しかし、これらのガラス繊維などの無機繊維で強化された環状オレフィン系樹脂組成物であっても、引張強さ、曲げ強さ及び弾性率、耐衝撃性などの機械的特性に加えて、耐熱性を高度に向上できない。さらに、無機繊維は、焼成温度が高く廃棄も困難である。
特開平6−256604号公報(請求項1) 特開2003−138031号公報(請求項1及び7) 特開2006−312706号公報(請求項1及び4)
従って、本発明の目的は、引張特性、曲げ特性、耐衝撃性などの機械的特性に優れた繊維強化環状オレフィン系樹脂組成物及びその製造方法、並びに前記繊維強化樹脂組成物を用いて得られる成形体を提供することにある。
本発明の他の目的は、機械的特性を高度に向上でき、かつ耐熱性も高い繊維強化環状オレフィン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、機械的特性や耐熱性が高く、廃棄も容易な繊維強化環状オレフィン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、環状オレフィン系樹脂と有機繊維とを組み合わせると、環状オレフィン系樹脂で構成されていても、引張特性、曲げ特性、耐衝撃性などの機械的特性を高度に向上できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、発明の繊維強化樹脂組成物は、環状オレフィン系樹脂及び有機繊維で構成されている。前記環状オレフィン系樹脂は、多環式オレフィンを重合成分としてもよい。この多環式オレフィンの割合は全単量体中20〜80モル%程度である。前記有機繊維は、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、セルロース系繊維、ポリベンズオキサゾール系繊維(特に、全芳香族ポリアミド系繊維、ポリアリレート系繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール系繊維)などであってもよい。有機繊維の平均繊維径は5〜20μm程度である。環状オレフィン系樹脂と有機繊維との割合(重量比)は、環状オレフィン系樹脂/有機繊維=30/70〜95/5程度である。本発明の繊維強化樹脂組成物は、さらに、環状オレフィン系樹脂100重量部に対して0.01〜20重量部の割合で、酸変性オレフィン系樹脂を含んでいてもよい。さらに、本発明の繊維強化樹脂組成物は、平均繊維長が3〜50mmのストランド状ペレットであり、かつこのペレットの長さ方向に対して平行に配列した有機繊維を含有してもよい。
本発明には、有機繊維のロービングを引き抜き成形して前記繊維強化樹脂組成物を製造する方法も含まれる。さらに、本発明には、前記繊維強化樹脂成物で形成された成形体も含まれる。
本発明では、環状オレフィン系樹脂と有機繊維とを組み合わせているため、環状オレフィン系樹脂で構成されていても、引張特性、曲げ特性、耐衝撃性などの機械的特性を向上できる。また、機械的特性を高度に向上できるとともに、耐熱性も向上できる。さらに、有機繊維を用いるため、機械的特性や耐熱性が高いだけでなく、廃棄も容易である。
本発明の繊維強化樹脂組成物は、環状オレフィン系樹脂及び有機繊維で構成されている。本発明の繊維強化樹脂組成物は、さらに酸変性オレフィン系樹脂を含んでいてもよい。
(環状オレフィン系樹脂)
環状オレフィン系樹脂は、環内にエチレン性二重結合を有する重合性の環状オレフィンを少なくとも重合成分とする樹脂であればよい。環状オレフィンは、単環式オレフィンであってもよく、多環式オレフィンであってもよい。
代表的な環状オレフィンとしては、例えば、ノルボルネン類、シクロペンタジエン類又はジシクロペンタジエン類、ノルボルネン類とシクロペンタジエンとの縮合により得られる1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン類、ヘキサシクロ[6.6.1.1.1.0.0]ヘプタデセン−4類、1−ブテンとシクロペンタジエンとから合成される6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどの多環式オレフィンが例示できる。
また、環状オレフィンは、置換基{例えば、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基などのC1−10アルキル基、好ましくはC1−5アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのC5−10シクロアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基)、アルケニル基(例えば、プロペニル基などのC2−10アルケニル基など)、シクロアルケニル基(例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などのC5−10シクロアルケニル基など)、アルキリデン基(例えば、エチリデン基などのC2−10アルキリデン基、好ましくはC2−5アルキリデン基など)など]、アルコキシ基(例えば、メトキシ基などのC1−10アルコキシ基、好ましくはC1−6アルコキシ基)、アシル基(例えば、アセチル基などのC2−5アシル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−10アルコキシ−カルボニル基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基(=O)、複素環基(ピリジル基などの窒素原子含有複素環基など)など}を有していてもよい。環状オレフィンは、単独で又は2種以上組みあわせて置換基を有していてもよい。
具体的な環状オレフィンとしては、単環式オレフィン類[例えば、シクロアルケン(例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのシクロC3−10アルケンなど)、シクロアルカジエン(例えば、シクロペンタジエンなどのシクロC3−10アルカジエン)など];二環式オレフィン類{例えば、ビシクロアルケン[例えば、ノルボルネン類(例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5又は5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,6−ジメトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,6−ジ(トリフルオロメチル)−2−ノルボルネン、7−オキソ−2−ノルボルネンなど)などのC4−20ビシクロアルケンなど]、ビシクロアルカジエン[例えば、ノルボルナジエン類(例えば、2,5−ノルボルナジエン、5−メチル−2,5−ノルボルナジエン、5−シアノ−2,5−ノルボルナジエン、5−メトキシカルボニル−2,5−ノルボルナジエン、5−フェニル−2,5−ノルボルナジエン、5,6−ジメチル−2,5−ノルボルナジエン、5,6−ジ(トリフルオロメチル)−2,5−ノルボルナジエン、7−オキソ−2−ノルボルナジエンなど)など]など}、三環式オレフィン類{例えば、トリシクロアルケン[例えば、ジヒドロジシクロペンタジエン類(ジヒドロジシクロペンタジエンなど)などのC6−25トリシクロアルケンなど]、トリシクロアルカジエン[例えば、ジシクロペンタジエン類(ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなど)、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエンなどのC6−25トリシクロアルカジエンなど]など}、四環以上の多環式オレフィン類{例えば、四環式オレフィン[例えば、テトラシクロアルケン(例えば、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンなどのC8−30テトラシクロアルケンなど)など]、五環式オレフィン[例えば、ペンタシクロアルカジエン(例えば、トリシクロペンタジエンなどのC10−35ペンタシクロアルカジエン)など]、六環式オレフィン[例えば、ヘキサシクロアルケン(例えば、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘプタデセンなどのC12−40ヘキサシクロアルケン)など]など}などの多環式オレフィン類などが挙げられる。
これらの環状オレフィンは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの環状オレフィンのうち、ノルボルネン類などの多環式オレフィンが好ましい。
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンの単独又は共重合体(例えば、単環式オレフィンと多環式オレフィンとの共重合体など)であってもよく、環状オレフィンと共重合性単量体との共重合体であってもよい。
共重合性単量体としては、共重合可能な限り特に限定されないが、鎖状オレフィン[アルケン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどのC2−20アルケン)、アルカジエン(例えば、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役C5−20アルカジエン)など]などが例示できる。これらの共重合性単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。共重合性単量体は、α−オレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどのC2−10α−オレフィン類、特にC2−6α−オレフィン類)であってもよい。
さらに、本発明の目的を損なわない範囲内で、共重合性単量体として、重合性ニトリル化合物(例えば、(メタ)アクリロニトリルなど)、(メタ)アクリル系単量体(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸など)、不飽和ジカルボン酸又はその誘導体(無水マレイン酸など)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、共役ジエン類(ブタジエン、イソプレンなど)などを用いてもよい。これらの共重合性単量体も単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
好ましい環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンと鎖状オレフィンとの共重合体や、多環式オレフィン(例えば、二乃至六環式オレフィンなど)を重合成分とする樹脂、特に、多環式オレフィン(前記ノルボルネン類や前記ジシクロペンタジエン類などのノルボルネン骨格を有する単量体)とα−オレフィンとの共重合体である。特に、環状オレフィンと鎖状オレフィンとの共重合体(例えば、エチレンとノルボルネン系単量体との共重合体などのα−C2−4オレフィンと多環式オレフィンとの共重合体など)は、オレフィン系重合体(エチレン系重合体など)と環状オレフィン重合体との性質を兼ね備えており、鎖状オレフィンの共重合比率を調整することにより、高分子量の重合体を得ることができる。
環状オレフィン系樹脂において環状オレフィン(特に多環式オレフィン)の割合は、1〜100モル%程度の範囲から選択でき、機械的特性や成形性などの点から、例えば、20〜80モル%、好ましくは25〜70モル%、さらに好ましくは30〜60モル%程度である。特に、環状オレフィン系樹脂が、多環式オレフィンと鎖状オレフィン(例えば、エチレンなどのα−オレフィン類)との共重合体である場合、両者の割合(モル比)が、多環式オレフィン/鎖状オレフィン=20/80〜80/20、好ましくは25/75〜70/30、さらに好ましくは30/70〜60/40程度である。
環状オレフィン系樹脂の軟化点は、70℃以上であればよく、例えば、80〜250℃、好ましくは100〜230℃、さらに好ましくは120〜220℃(特に130〜210℃)程度である。なお、軟化点は、共重合成分の割合、分子量などを調整して制御することができる。
環状オレフィン系樹脂の数平均分子量は、5000〜300000程度の範囲から選択できるが、通常、10000を超えており、例えば、15000〜200000、好ましくは20000〜100000、さらに好ましくは30000〜80000(特に40000〜70000)程度である。
環状オレフィン系樹脂は、付加重合により得られた樹脂であってもよく、開環重合(開環メタセシス重合など)により得られた樹脂であってもよい。また、環状オレフィン系樹脂(例えば、開環メタセシス重合により得られた樹脂など)は、水素添加された水添樹脂であってもよい。また、環状オレフィン系樹脂は、結晶性又は非晶性樹脂であってもよく、通常、非晶性樹脂であってもよい。なお、環状オレフィン系樹脂は、慣用の重合方法(例えば、チーグラー型触媒を用いた付加重合、メタロセン系触媒を用いた付加重合、メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合など)により調製してもよい。
(有機繊維)
有機繊維としては、天然又は再生繊維(例えば、セルロース、レーヨン繊維やアセテート繊維などのセルロース系繊維、シルク、羊毛繊維、タンパク質又はポリペプチド繊維、アルギン酸繊維など)、合成繊維(熱硬化性樹脂繊維、熱可塑性樹脂繊維など)などが挙げられる。これらの有機繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
熱硬化性樹脂繊維としては、例えば、エポキシ系繊維、フェノール系繊維、不飽和ポリエステル系繊維、ポリイミド系繊維、ポリアミドイミド系繊維、ポリベンゾイミダゾール(PBI)系繊維、ポリウレタン系繊維などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
熱可塑性樹脂繊維としては、例えば、ポリアミド系繊維(ポリアミド5、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド6/66、ポリアミド6/11などの脂肪族ポリアミド系繊維;ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドMXDなどの芳香族ポリアミド系繊維;脂環族ポリアミド系繊維など)、ポリイミド系繊維(ポリエーテルイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリアミノビスマレイミド繊維、ビスマレイミドトリアジン繊維など)、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレート、ポリC2−4アルキレンナフタレート、これらのコポリエステルなどの芳香族ポリエステル系繊維、ポリアリレート系繊維、液晶性ポリエステル繊維など)、ポリカーボネート系繊維(ビスフェノールA型ポリカーボネートなどのビスフェノール型ポリカーボネート繊維、水添ビスフェノール型ポリカーボネート繊維など)、オレフィン系繊維[ポリエチレン繊維(低密度ポリエチレン繊維、高密度ポリエチレン繊維など)、ポリプロピレン繊維など]、アクリル系繊維(ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル繊維、ポリアクリロニトリルやアクリロニトリル−塩化ビニル共重合体などのアクリロニトリル系繊維など)、ビニル系繊維(塩化ビニル系繊維、酢酸ビニル系繊維など)、ポリフェニレンオキシド系繊維[ポリフェニレンオキシド繊維、変性ポリフェニレンオキシド(ポリスチレンとのブレンドなど)繊維など]、ポリフェニレンスルフィド系繊維(ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリビフェニレンスルフィド繊維、ポリフェニレンスルフィドケトン繊維、ポリビフェニレンスルフィドスルホン繊維など)、ポリスルホン系繊維(ポリスルホン繊維、ポリエーテルスルホン繊維など)、ポリアセタール系繊維(ポリアセタール繊維など)、ポリエーテルケトン系繊維(ポリエーテルケトン繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維など)、ポリベンゾオキサゾール系繊維(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール系繊維など)などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの繊維のうち、機械的特性及び耐熱性の点から、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリロニトリル系繊維などのアクリル系繊維、レーヨン繊維などのセルロース系繊維、ポリベンズオキサゾール系繊維、特に、全芳香族ポリアミド系繊維(アラミド繊維)、アリレート系繊維(全芳香族ポリエステル系繊維)、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール系繊維が好ましい。
芳香族ポリアミド系繊維には、ジアミンとジカルボン酸とを重合成分とするポリアミド繊維であって、ジアミン成分およびジカルボン酸成分のうち、少なくとも一方の成分が芳香族化合物であるポリアミドや、芳香族アミノカルボン酸を主な重合成分とするポリアミド繊維などが含まれる。芳香族ポリアミド系繊維としては、芳香族ジアミン[例えば、フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、キシリレンジアミン、ビフェニレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)ケトン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、1,4−ナフタレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3−エチル)ジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン、2,2′−ビス(4−アミノフェニル)プロパンなど]と、芳香族ジカルボン酸(フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)とから得られる全芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)などが好ましい。アラミド繊維としては、ノメクス繊維、ケブラー繊維、テクノーラ繊維などが上市されている。
ポリアリレート系繊維には、芳香族ジオール成分と芳香族ジカルボン酸成分とを主な重合成分とするポリエステル繊維などが含まれる。ポリアリレート系繊維としては、芳香族ジオール[例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビス(ヒドロキシアリール)C1−6アルカン、ビスフェノールSなどのジ(ヒドロキシフェニル)スルホキシドなど]と、芳香族ジカルボン酸(フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)とから得られる全芳香族ポリエステルなどが好ましい。
ポリパラフェニレンベンズオキサゾール系繊維には、フェニレン骨格とベンズオキサゾール(特にベンズビスオキサゾール)骨格とを有するポリマーで構成された繊維が含まれる。ポリパラフェニレンベンズオキサゾール系繊維としては、ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンズビスオキサゾール)繊維であるザイロン繊維が上市されている。
有機繊維の平均繊維長(繊維強化樹脂組成物中での繊維長)は、例えば、3〜50mm、好ましくは4〜25mm、さらに好ましくは6〜15mm程度である。後述する引き抜き成形により繊維強化樹脂組成物を調製する場合は、ストランド状ペレットの長さと有機繊維の繊維長が略同じ長さとなる。繊維長がこのような範囲にあると、機械的特性と成形性とのバランスを向上できる。
有機繊維の平均繊維径は、例えば、1〜25μm、好ましくは2〜20μm、さらに好ましくは5〜18μm程度である。繊維径がこのような範囲にあると、樹脂中に有機繊維が均一に分散するため、機械的特性を向上できる。
有機繊維の弾性率(ASTM D885M)は、例えば、400〜1200g/デニール、好ましくは400〜1000g/デニール、さらに好ましくは500〜1000g/デニール程度である。
環状オレフィン系樹脂と有機繊維との割合(重量比)は、環状オレフィン系樹脂/有機繊維=30/70〜95/5、好ましくは40/60〜90/10、さらに好ましくは50/50〜85/15程度である。両者の割合がこのような範囲にあると、環状オレフィン系樹脂の特性を損なうことなく、機械的強度を向上できる。
(酸変性オレフィン系樹脂)
酸変性オレフィン系樹脂は、オレフィン系樹脂が酸で変性された樹脂であり、例えば、共重合、末端や側鎖の変性などにより、酸基を導入した変性体であってもよい。
オレフィン系樹脂は、前記環状オレフィン系樹脂の他、鎖状オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどのC2-10オレフィンなど)を重合成分とする非環状オレフィン系樹脂であってもよい。非環状オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂[例えば、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−(4−メチルペンテン−1)共重合体など]、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体など)、ポリ(メチルペンテン−1)樹脂などが挙げられる。これらのオレフィン系樹脂のうち、環状オレフィン系樹脂が好ましい。
変性剤となる共重合性単量体としては、カルボキシル基を有する単量体(例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸などの脂肪族ジカルボン酸など)、酸無水物基を有する単量体(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの脂肪族ジカルボン酸無水物、無水フタル酸などの芳香族ジカルボン酸無水物など)などが挙げられる。これらの単量体はアルキルエステル(メチル、エチルなどのC1−4アルキルエステルなど)であってもよい。
これらの共重合性単量体(変性剤)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの共重合性単量体のうち、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸などの(無水)不飽和カルボン酸が好ましい。本発明では、特に、このような不飽和カルボン酸又はその誘導体で、グラフト共重合などにより変性された酸変性オレフィン系樹脂であってもよい。
変性剤(共重合性単量体)の割合は、樹脂中50重量%以下の範囲から選択でき、例えば、0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%程度である。
酸変性オレフィン系樹脂の具体例は、酸変性非環状オレフィン系樹脂として、例えば、エチレンと不飽和カルボン酸又はそのエステルとの共重合体[例えば、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−無水マレイン酸共重合体など]、(無水)不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン[例えば、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンなど]、アイオノマーなどが挙げられ、酸変性環状オレフィン系樹脂として、例えば、エチレンとノルボルネン系単量体と不飽和カルボン酸又はそのエステルとの共重合体(例えば、エチレン−ノルボルネン−無水マレイン酸共重合体など)、(無水)不飽和カルボン酸でグラフト変性したエチレン−ノルボルネン系共重合体(例えば、無水マレイン酸グラフトエチレン−ノルボルネン共重合体など)などが挙げられる。これらの酸変性オレフィン系樹脂のうち、前記環状オレフィン系樹脂との相溶性などの点から、酸変性環状オレフィン系樹脂[特に、前記環状オレフィン系樹脂と同種(特に、同一)の環状オレフィン系樹脂骨格を有する酸変性環状オレフィン系樹脂]が好ましい。
酸変性オレフィン系樹脂の割合は、環状オレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部程度である。酸変性オレフィン系樹脂をこのような割合で含有すると、環状オレフィン系樹脂と有機繊維との親和性を向上できるため、繊維強化樹脂の機械的特性が向上する。
(繊維強化樹脂組成物)
本発明の繊維強化樹脂組成物は、環状オレフィン系樹脂の特性を損なわない範囲で、他の樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂などのオレフィン系樹脂など)を含んでいてもよい。他の樹脂の割合は、例えば、環状オレフィン系樹脂100重量部に対して50重量%以下であり、好ましくは0.1〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部程度である。
本発明の繊維強化樹脂組成物は、さらに、慣用の添加剤、例えば、滑剤(オレフィン系ワックスなどのワックス類、脂質類など)、可塑剤又は軟化剤、着色剤、分散剤、離型剤、安定化剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などの酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤など)、帯電防止剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、結晶核成長剤、カップリング剤、充填剤(シリカやタルクなどの粒状充填剤や、ガラス繊維や炭素繊維などの無機繊維状充填剤など)などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤の割合は、種類に応じて適宜選択でき、環状オレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部程度である。
さらに、本発明の繊維強化樹脂組成物は、前記成分で構成された成形用基材であればよく、その形態は特に限定されず、成形品の用途に応じて、様々な形態を選択することができる。具体的には、プリプレグ、マット、スタンパブルシート、SMC(シートモールディングコンパウンド)、ペレット、フィラメント、クロスなどの形態であってもよい。これらの形態のうち、後述する引き抜き成形で得られる形態であるストランド状(又は棒状)ペレットが好ましい。本発明のストランド状ペレットは、ペレットの長さ方向に対して平行に配列した有機繊維を含有している。1本のペレット(ストランド)内の有機繊維の本数は、例えば、1〜20000本、好ましくは10〜18000本、さらに好ましくは20〜16000本程度である。ストランド状ペレットの断面形状は、特に限定されず、例えば、円形状、楕円形状、三角又は四角などの多角形状、不定形状などである。なお、引き抜き成形で得られる形態は、ストランド状に限られず、テープ状やシート状などであってもよく、その場合には、ペレットの引き取り方向において、有機繊維が平行に配列している。
ストランド状ペレットの平均長(ペレット長)は、例えば、3〜50mm、好ましくは4〜25mm、さらに好ましくは4〜15mm程度であり、平均径は、例えば、0.1〜5mm、好ましくは0.3〜4mm、さらに好ましくは0.5〜3mm程度である。
(繊維強化樹脂組成物の製造方法)
繊維強化樹脂組成物の製造方法は、前述のサイズを有する有機繊維を環状オレフィン系樹脂中に含有させることができれば、特に限定されず、環状オレフィン系樹脂と有機繊維とを混合して押出成形する方法などであってもよいが、二次成形に供しても繊維の破損が抑制され、繊維強化樹脂組成物の耐衝撃性及び耐熱性を向上できる点から、有機繊維のロービング(有機繊維束)を引き抜き成形する方法(プルトルージョン法)が好ましい。
引き抜き成形法とは、数千〜数万本のフィラメントで構成された繊維ロービングを開繊して引き出しながら、樹脂を含浸させ、所望の長さ(前述の長さ)に切断してストランド状ペレットを形成する方法である。
有機繊維(有機繊維束)に環状オレフィン系樹脂を含浸する方法としては、例えば、押出機などを用いて溶融した樹脂をダイ(クロスヘッドダイなど)に供給してダイ中で繊維に樹脂を含浸させる方法、樹脂のエマルジョン又は溶液を入れた含浸浴の中を繊維を通過させて含浸させる方法、樹脂の粉末を繊維に吹きつけや流動層などを利用して付着させる方法などが挙げられる。これらの方法のうち、本発明では、クロスヘッドダイを用いて、溶融した環状オレフィン系樹脂を有機繊維に含浸させる方法が好ましい。クロスヘッドダイは、一般的に一段式であるが、生産性を向上させる点などから、多段式であってもよい。環状オレフィン系樹脂が溶融する温度に加熱され、この温度は、例えば、120〜320℃、好ましくは130〜300℃、さらに好ましくは140〜280℃程度である。
環状オレフィン系樹脂を含浸させた有機繊維を切断する方法は、冷却装置などによって切断可能な温度まで冷却された後、カッターなどにより切断する方法が利用できる。クロスヘッドダイを用いた方法では、通常、クロスヘッドの下流に形成された賦形ダイ(クロスヘッドの出口ダイ)を通して、所望のサイズ及び形状に賦形された後、冷却されて切断される。
引き抜き成形法については、慣用の方法、例えば、米国特許第3,042,570号公報、米国特許第3,119,718号公報、米国特許第3,586,560号公報、米国特許第3,993,726号公報、特開昭46−4545号公報、特開昭49−86427号公報、特開昭53−50279号公報、特開平2−26395号公報、特開平3−314417号公報、特開2005−60547号公報、特開2005−305933号公報、特開2006−167982号公報、特開2006−272773号公報などに記載の方法を利用できる。
(成形体)
本発明の成形体は、少なくとも前記繊維強化樹脂組成物で形成されている。すなわち、本発明の成形体は、前記繊維強化樹脂組成物単独で構成されていてもよく、他の熱可塑性樹脂と組み合わせて構成されていてもよい。
他の熱可塑性樹脂と組み合わせる場合には、前記繊維強化樹脂組成物をマスターバッチとして利用し、他の熱可塑性樹脂として、繊維強化樹脂組成物と同種(特に、同一)の環状オレフィン系樹脂を使用してもよい。繊維強化樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂との割合(重量比)は、成形体に要求される物性に応じて選択すればよいが、例えば、前者/後者=1/99〜99/1、好ましくは5/95〜95/5、さらに好ましくは10/90〜90/10程度である。
本発明の繊維強化樹脂組成物は、外観特性、耐薬品性、防湿性、機械的特性、電気特性などの種々の特性に優れるため、機械部品、電気又は電子部品、容器などの各種成形品、フィルム又はシート状成形品など、各種成形品として利用できる。このような成形品は、慣用の成形法、例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、真空成形法、異型成形法、インジェクションプレス法、プレス成形法、ガス注入成形法、スタンピングモールド成形法、圧縮成形法、ビーズ成形法、トランスファー成形法などの成形法を利用して製造できる。
特に、本発明の繊維強化樹脂組成物は、二次成形しても繊維の破損が抑制されるため、射出成形、ブロー成形、押出成形などにより、フィルムやシートなどの二次元形状の成形品に加えて、容器などの三次元形状の成形品を成形してもよい。特に、射出成形や押出成形などにおいて、有機繊維の破損を防止するため、スクリューの溝の深さが大きい長繊維用スクリューを使用するのが好ましい。
本発明の繊維強化樹脂組成物は、透明性、耐薬品性、防湿性、機械的特性などに優れるため、電気又は電子用部品(コネクター、フィルム状コンデンサ、絶縁部材(絶縁層)、半導体用備品又は包装材料など)、医薬又は医療機器用品(薬品用容器、注射器、血液検査用セル、集尿ビン、ビーカー、シリンダー、シリンジなど)、実験器具(ビーカー、フラスコなど)、容器又は包装材料(食品や薬品などのブリスターパッケージ、飲料用タンク、化粧品容器用キャップなど)などとして利用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた材料は以下の通りであり、評価項目は以下の方法で測定した。
[原料成分]
COC1:ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合体、Topas Advanced Polymers GmbH社製、商品名「TOPAS8007F」
COC2:ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合体、Topas Advanced Polymers GmbH社製、商品名「TOPAS6013F」
PP:ポリプロピレン、住友化学(株)製、商品名「ノーブレンZ101A」
酸変性COC:以下の製造例で得られた無水マレイン酸変性グラフト変性体
COC2(TOPAS6013F)100重量部に対し、無水マレイン酸3重量部、開始剤として1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン0.08重量部及び安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガノックス1010)0.1重量部をヘンシェルミキサーで均一に混合後、二軸押出機で温度280℃、平均滞留時間0.8分で溶融混合し、変性環状ポリオレフィン系樹脂を得た。
アラミド繊維:全芳香族ポリアミド繊維、帝人テクノーラ(株)製、商品名「T241J」
PBO繊維:ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ZYLON HM
ガラス繊維:アミノシランカップリング剤で表面処理されたガラス繊維ロービング(繊維径17μm)。
[引張強さ]
ISO 527−1に準拠して測定した。
[曲げ強さ及び曲げ弾性率]
ISO 178に準拠して測定した。
[シャルピー衝撃強度]
ISO 179/1eA(エッジワイズ)に準拠して測定した。
[荷重たわみ温度]
ISO 75−1(1.80MPa:フラットワイズ)に準拠して測定した。
実施例1〜4及び比較例1〜3
連続繊維の通路を波状に加工したクロスヘッドを通して、表1に示す有機繊維又はガラス繊維ロービングを引きながら、表1に示す割合の環状オレフィン系樹脂又はポリプロピレンをクロスヘッドに接続された押出機から供給して、溶融状態(約280℃)で有機繊維又はガラス繊維に含浸させた後、賦形ダイを通してストランドとして引取って細断し、表1に示す所定の繊維含有量及び長さのペレットを得た。得られたストランド状ペレットを使用して、以下の条件で、射出成形によりISO多目的試験片を採取し、物性測定を行った。結果を表1に示す。
(射出成形条件)
射出成形機:(株)日本製鋼所製、J−150EII
スクリュー:長繊維専用スクリュー
シリンダー温度:280℃(比較例1のみ235℃)
金型温度:60℃(比較例1のみ50℃)
Figure 0005010341
表1の結果から明らかなように、実施例の成形体は、引張特性、曲げ特性、耐衝撃性、耐熱性のバランスに優れている。これに対して、比較例1の成形体は、引張特性、曲げ特性が充分でない。さらに、比較例2及び3の成形体は、引張特性、曲げ特性、耐衝撃性が充分でない。

Claims (9)

  1. 環状オレフィン系樹脂及び有機繊維で構成された繊維強化樹脂組成物であって、
    前記環状オレフィン系樹脂が、二環式オレフィンを重合成分として含み、
    前記有機繊維が、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、セルロース系繊維及びポリベンズオキサゾール系繊維からなる群から選択された少なくとも一種を含み、かつ平均長が3〜50mmのストランド状ペレットである繊維強化樹脂組成物
  2. 環式オレフィンの割合が全単量体中20〜80モル%である請求項記載の繊維強化樹脂組成物。
  3. 有機繊維が、全芳香族ポリアミド系繊維、ポリアリレート系繊維及びポリパラフェニレンベンズオキサゾール系繊維からなる群から選択された少なくとも一種である請求項1記載の繊維強化樹脂組成物。
  4. 有機繊維の平均繊維径が5〜20μmである請求項1記載の繊維強化樹脂組成物。
  5. 環状オレフィン系樹脂と有機繊維との割合(重量比)が、環状オレフィン系樹脂/有機繊維=30/70〜95/5である請求項1記載の繊維強化樹脂組成物。
  6. さらに、環状オレフィン系樹脂100重量部に対して0.01〜20重量部の割合で、酸変性オレフィン系樹脂を含む請求項1記載の繊維強化樹脂組成物
  7. 平均長が25mmのストランド状ペレットであり、かつこのペレットの長さ方向に対して平行に配列した有機繊維を含有する請求項1記載の繊維強化樹脂組成物。
  8. 有機繊維のロービングを引き抜き成形して請求項1記載の繊維強化樹脂組成物を製造する方法。
  9. 請求項1記載の繊維強化樹脂組成物で形成された成形体。
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