JP5009131B2 - 焼付硬化性鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は焼付硬化性鋼板に関するものである。
自動車用鋼板としては、車体軽量化による燃費向上と安全性の追求から高強度鋼板が要求される。一方、車体鋼板のプレス成形を容易にするためには、低い降伏強度で良好な成形性を示す鋼板が好ましい。そのため、プレス成型時には低い降伏強度で良好な成形性を示し、塗装焼付後に降伏強度、引張強度の上昇する特性、即ち焼付硬化性を有する鋼板に対する要求が高まっている。
超深絞り性を有する焼付硬化性鋼板の製造方法として、特許文献1に記載の発明が知られている。鋼中のNをTiによってTiNとして析出させ、またCは主としてNbによってNbCとして析出させるが、焼付硬化性を安定して付与するために、ExcessC量(C−12/93×Nb)の値を10〜50ppmの範囲に制御する。
NをAlNあるいはNbNとして析出させると、その析出量が巻取り温度によって大きく左右されるが、TiNは窒化物として極めて高温から安定析出物となるために、熱延以降の工程で変化するものではなく、材質が影響を受けることがない。Ti添加量として、下限はTiで固定できないN量が20ppm以下となるように決まる。一方Ti添加量の上限は、TiをNとの当量以上に添加すると硫化物を形成したり炭化物となって延性及び二次加工性を劣化させたり、焼付硬化性の制御を困難にするので、Nの当量以下の添加量とする。このように、N量に応じてTi量が狭い範囲に限定されているので、例えば、Ti添加時の鋼中Ti歩留まり変化や、Ti添加後のN吸収量を高精度で予測しなければならず、現実の操業でTi量を常にこの範囲内に収めることは困難である。
C量とNb添加量との関係で決まるExcessC量については、50ppm以上になると鋼板内の固溶Cが多くなりすぎ、焼付硬化性は大きくなるが、時効後、降伏点伸びが現れ、ストレッチャーストレインが発生するため、外板用素材として適さない。一方、ExcessC量が10ppm以下になると最終的な固溶C量が少なく成りすぎ、焼付硬化性を十分付与できない。
特許文献2に記載の発明は、上記特許文献1に記載の発明に加え、Bを5〜30ppm添加している。添加Bの作用は、固溶Bによる歪時効現象により焼付硬化性を付与することとしている。
特公昭61−45689号公報 特公昭60−47328号公報
特許文献1、2に記載の発明は、いずれもC濃度0.003質量%以上、N濃度0.003質量%超の鋼板を用いて確認されている。
近年、プレス成形性を向上させるために、C濃度0.005質量%以下、N濃度0.003質量%以下の極低炭素極低窒素とすることが要求されている。そして、真空脱ガス技術の進歩、極低窒素鋼溶製技術の進歩に伴い、これら極低炭素極低窒素を実現する鋼の量産化が可能となってきた。
焼付硬化性については、鋼板に焼付処理相当の熱処理を加え、熱処理前後の引張強度増加量(BH量)によって評価する。BH量は5〜50MPaの範囲であることが必要である。
特許文献1に記載の発明について、鋼中N含有量が0.003質量%以下の極低窒素領域となると、ExcessC量を所定範囲に制御しても焼付硬化性が不安定になる現象が現れることが分かった。さらに、鋼板の幅方向でBH量が変動し、BH量好適範囲の5〜50MPaを外れる場合が発生することが分かった。
本発明は、鋼中N含有量が0.003質量%以下の極低窒素の焼付硬化性鋼板において、焼付硬化性を安定化させた焼付硬化性鋼板を提供することを目的とする。
鋼中N含有量が0.003質量%以下の極低窒素領域において、Tiを添加してNをTiNとして固定した上で、固溶N含有量を分析したところ、Ti含有量とN含有量が当量の場合でも、Ti含有量と当量のNのすべてが固定されるのではなく、最大0.0005質量%のNが固溶Nとして存在することがわかった。
また、固溶Nの発生を防止するためにTiをN当量を超えて含有させると、本来焼付硬化性を確保すべきExcessCをTiCとして固定してBH量が不足してしまうことが懸念される。
そのために、Ti含有量の上限を含有Nと当量以下の範囲に抑えることが重要である。実際にTiを添加する際には、鋼中のTi歩留まりを考慮してTi添加量を設定する必要があるが、過剰にTiを添加しない様に安全側でTi歩留まりを見積もる趣旨から、Ti歩留まりを過去の実績の最大値で設定することが通常であるため、Ti歩留まりは最大値以下であり、実際のTi含有量は含有Nと当量の含有量より少なくなる。また、Ti添加後に空気中のNを鋼中に吸収して、鋼中のN含有量が増加することにより、実際のTi含有量は含有Nと当量の含有量より少なくなることが助長される。Ti当量より過剰に存在する部分のNについては当然ながら固溶Nとして存在する。
以上の通り、N:0.003質量%以下の極低窒素領域においては、Ti当量より過剰に存在するNに加えて、上記の最大0.0005質量%のNが固溶Nとして存在し、これらの固溶Nの存在が、焼付硬化性の不安定性の原因となることが明らかとなった。
ちなみに、これらの固溶N量を予測できればTi添加量を設定可能であるが、Ti添加時の鋼中Ti歩留まり変化、及びTi添加後のN吸収量の予測が困難であり、N:0.003質量%以下の極低窒素領域において存在する固溶Nは最大0.0005質量%の範囲で変動するので、これらの固溶N量を予測することは難しい。
本発明においては、BとVの一方又は両方を添加し、BあるいはVによって過剰Nを固定し、これによって鋼中N含有量が0.003質量%以下の極低窒素の焼付硬化性鋼板において、焼付硬化性を安定化させ得ることを明らかにした。BとVは、極低炭素領域になると、窒化物は形成するが炭化物は形成しないので、過剰なBやVが存在してもExcessCを固定することがない。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、即ちその要旨とするところは以下のとおりである。
(1)質量%で、C:0.0050%以下、Si:0.05%以下、Mn:1.0%以下、P:0.08%以下、S:0.02%以下、sol.Al:0.002%以上0.1%以下、N:0.0030%以下であり、Ti含有量を下記(1)式を満たす条件とし、B:0.0025%以下とV:0.02%以下下記(2)式及び(4)式を満たすように含有し、Nb含有量が下記(3)式を満たし、
Ti ≦ 48/14×N (1)
(N+0.0005)/14−Ti/48 ≦ B/11+V/51 (2)
0.0003 ≦ C−12/93×Nb ≦ 0.0025 (3)
4.7 ≦ V/B (4)
さらに、Cu:0.06%以下、Ni:0.06%以下、Cr:0.06%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする焼付硬化性鋼板。
ただし、Tiはsol.Tiを意味し、(1)〜()式でTi、N、B、V、C、Nbはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す
本発明は、鋼中N含有量が0.003質量%以下の極低窒素の焼付硬化性鋼板において、BとVの一方又は両方を添加し、Tiで固定できないNをBあるいはVで固定することにより、焼付硬化性鋼板の焼付硬化性を安定化させることができる。
本発明の焼付硬化性鋼板は、C濃度0.005質量%以下、N濃度0.003質量%以下の極低炭素極低窒素とする。いずれも鋼板のプレス成形性を良好に確保するためである。C濃度0.003質量%未満とするとより好ましい。また、N濃度0.003質量%未満とするとより好ましい。
焼付硬化性を具備するため、特許文献1に記載の発明では、鋼中のNをTiによってTiNとして析出させ、またCは主としてNbによってNbCとして析出させるが、焼付硬化性を安定して付与するために、ExcessC量(C−12/93×Nb)の値を0.0003〜0.0025質量%の範囲に制御している。
また、Ti含有量の上限は、TiをNとの当量以上に含有すると硫化物を形成したり炭化物となって延性及び二次加工性を劣化させたり、焼付硬化性の制御を困難にするので、Nの当量以下の含有量としている。
さらに、特許文献1において、固溶N残存による悪影響は、固溶Nが20ppm以下では大きくないので、Ti添加量として、下限はTiで固溶できないN量が20ppm以下となるように決まるとしている。特許文献1の実施例では、鋼板のN含有量がいずれも0.003%以上であった。
ところが本発明によると、鋼板のN含有量が0.003質量%以下の極低窒素領域においては、Tiで固定されない固溶Nは、たとえ少量であっても、焼付硬化性を不安定化させる原因となることが判明した。
さらに、鋼板のN含有量が0.003質量%以下の極低窒素領域においては、Tiと当量のNのすべてが固定されるのではなく、そのうちの最大0.0005質量%のNが固溶Nとして存在することがわかった。NをTi当量と同等あるいは若干多く含有する場合において、TiNとして存在するNの量を評価した。横軸をsol.Ti、縦軸をTiNとしてのNを表示し、図1に示した。図1から明らかなように、N含有量が0.003質量%以下で、sol.Tiに当量のNが必ずしもすべてTiNとなるわけではなく、Tiに当量のNよりも0〜0.0005質量%少ないNがTiNとなっていることが分かる。
上述のとおり、Ti含有量の上限はNの当量以下の含有量とすることは重要である。但し、Ti含有量もN含有量も目標と実績との間にばらつきを有するため、実際にはTi含有量はN含有量予想量と当量の値よりも低い値となり、実績N含有量は、実績Ti含有量と当量の値よりも大きくなるため、その分は確実に固定されないNとなる。また、鋼板のN含有量が0.003質量%以下の極低窒素領域においてはそれに加え、上述のとおり、Tiと当量のNのうちの最大0.0005質量%のNが、さらに固溶Nとして存在する。鋼板のN含有量が0.003質量%以下の極低窒素領域においては、これらの固溶Nが、焼付硬化性を不安定化させる原因となる。
本発明においては、鋼板にBとVの一方又は両方を加え、Tiによって固定されなかったNをこれら元素によって窒化物として固定し、焼付硬化性を安定化させることに成功した。BとVは、C≦0.005質量%の極低炭素領域では、窒化物は形成するもの炭化物は形成しない。従って、BあるいはVを窒素を固定するのに必要な量を超えて過剰に含有したとしても、ExcessC量に影響を与えず焼付硬化性を悪化させないという特質を有する。従来、Vについては炭化物を作ると考えられており、焼付硬化性鋼板に使用することは困難であると信じられていた。ところが本発明によれば、上記のとおり、Vを過剰に添加しても焼付硬化性に悪影響を及ぼさないことがはじめて明らかになった。
Ti含有量については、下記(1)式を満たす条件とする。Ti含有量がN含有量当量を超えない趣旨である。一方、Ti含有量下限については規定しない。本発明についてはBあるいはVによってNを固定するので、BあるいはVの含有量を後述のように十分に確保すれば、Tiを含有しなくてもかまわない。ただし、Tiはsol.Tiを意味し、下記(1)〜(3)式でTi、N、B、V、C、Nbはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。
Ti ≦ 48/14×N (1)
sol.Tiは分析上では酸可溶Tiである。Ti酸化物は酸に溶解しない(酸不溶Ti)ことを利用して、酸可溶Tiと酸不溶Tiを分別して分析すればよい。ただし、本発明においては、溶鋼の脱酸をAlで行い、sol.Al含有量を所定範囲に限定しているので、酸不溶Tiはほとんど無い。そのため、sol.Ti量は、T.Ti(トータルTi。酸可溶Tiと酸不溶Tiの合計。)にほぼ一致する。このため、本発明においてはT.Tiの分析で代替することができる。T.Tiの分析方法には、スパーク放電発光分光分析方法(JIS G1253)を用いることができる。
次にB、Vの含有量について、B:0.0025質量%以下とV:0.02質量%以下の一方又は両方を下記(2)式を満たすように含有する。(2)式を満たすようにBとVの一方又は両方を含有することにより、Tiと当量を超えるNにさらに0.0005質量%を加えたNについて、BあるいはVによって窒化物として固定することができる。Nを固定して残った過剰のBやVについては、固溶状態として残存し、焼付硬化性に悪影響を及ぼすことがない。また、TiとBあるいはVが共存する場合、NはTiによって優先的に固定されるので、たとえBやVが過剰に存在しても、Tiによる窒化物形成を妨げることはない。BとVの含有量の上限は、本発明が対象としているN量の上限の0.003質量%と当量である。これを超えて添加しても焼付硬化性の安定化効果は増加せず、むしろ鋳造時の割れの懸念が高まるため、この値を上限とした。
(N+0.0005)/14−Ti/48 ≦ B/11+V/51 (2)
本発明において、BとVの一方又は両方を含有させるが、BとVの両方を含有させるとより好ましい。Bを単独で添加すると、Bは粒界偏析しやすいため、結晶粒内のNを固定する効率が低下するが、BとVを複合添加すると、Vによって結晶粒内のNを確実に固定できるからである。
Nb含有量については、下記(3)式を満たす条件とする。これにより、ExcessC量(質量%)(C−12/93×Nb)が0.0003〜0.0025質量%の範囲に制御される。ExcessC量が少なすぎると、最終的な固溶C量が少なくなりすぎ、焼付硬化性を十分に付与できない。ExcessC量が0.0003質量%以上であれば、十分な焼付硬化性を付与することができる。逆に固溶C量が多すぎると、焼付硬化性は大きくなるが、時効後、降伏点伸びが現れ、ストレッチャーストレインが発生するため、外板用素材として適さない。ExcessC量が0.0025質量%以下であれば、これらの問題を起こすことなく良好な焼付硬化性鋼板とすることができる。
0.0003 ≦ C−12/93×Nb ≦ 0.0025 (3)
Si、Mnについては、焼付硬化性鋼板の強度を確保する必要がある場合に含有させるが、その上限はSi:0.05質量%以下、Mn:1.0質量%以下とする。Siは溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合、めっき密着性が劣化するため、0.05%以下とする。Si含有量の下限は0質量%を含む。また、Mnの過剰な添加は、伸びやr値の劣化が懸念されるため、1.0質量%以下とする。また、Mn含有量の下限は熱間脆化を防止するために0.03質量%とすると好ましい。
P含有量は0.08質量%以下とする。Pは鋼板強度向上に有効であるが、過剰添加は溶融亜鉛めっき層の密着性を劣化させるほか、鋳片や熱延時の割れを生じるためP含有量の上限を0.08質量%とする。P含有量の下限は0質量%を含む。S含有量は、加工性低下や熱間脆化を防ぐため0.02質量%以下とする。S含有量の下限は0質量%を含む。
Alは、溶鋼脱酸剤として添加する。合金添加順序として、Ti、Nb、B、V添加前にAlを添加することにより、Ti、Nb、B、Vを歩留まりよく含有させることができ、焼付硬化性を良好に保持させることができる。Al含有量が少なすぎると脱酸が十分に行われず、Ti、Nbが脱酸剤として働くため、Ti、Nbの歩留低下が著しくなり、焼付硬化性も困難になる。逆に多量に加えるとアルミナ介在物が増加して鋼板の表面疵の原因となるので好ましくない。Al含有量がsol.Alで0.002質量%以上0.1質量%以下であれば、これら問題を発生させることなく良好な品質を有する鋼板とすることができる。sol.Alは、溶存Alのことであり、分析上では酸可溶Alである。Al23を形成していない溶存Alは酸に溶解し、Al23は酸に溶解しないことを利用して、溶存AlとAl23を分別して分析できる。ここで、酸とは、例えば塩酸1、硝酸1、水2の割合(質量比)で混合した混酸が例示できる。この様な酸を用いて、酸に可溶なAlと、酸に溶解しないAl酸化物とに分別でき、酸可溶Al濃度が測定できる。
前述の通り、本発明においてBとVの両方を含有させるとより好ましい。Bを単独で添加すると、Bは粒界偏析しやすいため、結晶粒内のNを固定する効率が低下するが、BとVを複合添加すると、Vによって結晶粒内のNを確実に固定できるからである。BとVをともに添加する本発明において、BとVの含有量は下記(4)式を満たすこととすると好ましい。ただし、(4)式でB、Vはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。(4)式の左辺の数値4.7は、Vの原子量51をBの原子量11で除した値であり、(4)式を満たすようにBとVを含有させることにより、Vのモル数はBのモル数以上になる。この結果、結晶粒内にVが十分に分布し、結晶粒内のNを確実に固定することができるからである。
4.7 ≦ V/B (4)
本発明においては、Cu:0.06質量%以下、Ni:0.06質量%以下、Cr:0.06質量%以下の1種又は2種以上を含有しても良い。Cuは鋼板の強度やr値の向上に有効であり、0.001質量%以上でその効果を発揮するが、含有量が多すぎると熱間脆化を生じるため、0.06質量%以下とする。Niは強度向上のほか、Cu含有による熱間脆化抑制に有効であり、0.001質量%以上でその効果を発揮するが、含有量が多すぎると合金コスト上昇を招くため、Cu含有量上限と同じく0.06質量%以下とする。Crは強度向上に有効であり、0.001質量%以上でその効果を発揮するが、含有量が多すぎると鋼板を硬質化し加工性を劣化させるため、0.06質量%以下とする。
次に本発明の焼付硬化性鋼板の製造方法について説明する。
本発明の焼付硬化性鋼板は、C濃度0.005質量%以下、N濃度0.003質量%以下の極低炭素極低窒素とする。真空脱ガス装置を用いた脱炭により、C濃度0.005質量%以下を実現することができる。また、真空脱ガス装置による精錬以降、鋳造までの工程で溶鋼中へのNの吸収を防ぐシール技術等を適用することにより、N濃度0.003質量%以下を実現することができる。
真空脱ガス装置によって脱炭を完了した後、まずAlを添加してAl脱酸を行い、そのあとにTiを添加すれば、Tiの酸化ロスが少なく、さらにTi含有量のばらつきを少なくして正確な分量でTiを含有させることができる。
成分調整した溶鋼を連続鋳造によって鋳片とし、一般的な常法によって、スラブを加熱、熱延、冷延、焼鈍することにより、本発明の焼付硬化性鋼板とすることができる。
転炉で脱炭精錬し、還流式真空脱ガス装置で成分調整を行い、表1に示す成分の溶鋼を溶製し、幅1800mm×厚み250mmのスラブに連続鋳造した。一般的な常法によって、スラブを加熱、熱延、冷延、焼鈍し、1.2mm厚の冷延鋼板を作成した。
Figure 0005009131
焼付硬化性を示すBH量は以下の方法で測定した。試験片はJIS5号引張試験片を同一箇所から複数採取し、一方はそのままで引張試験を行い、他方は2%の予ひずみを加えた後、170℃×20分間の焼付処理相当の熱処理を加え、その後引張試験を行った。試験前後の引張強度の増加量をBH量(MPa)とした。鋼板幅方向のBH量の均一性を測るため、鋼板の1/4幅、1/2幅、3/4幅から試験片を採取して試験を行い、それぞれ、BH量(1)、BH量(2)、BH量(3)とした。
焼付硬化性の評価基準は、(a)幅方向3ヶ所のそれぞれのBH量が5MPa以上、50MPa以下(BH量が5MPa未満ではBH量の増加効果がほとんど認められず、一方BH量が50MPaを超えるとストレッチャストレインが発生するため)であること、(b)幅方向3ヶ所のBH量の標準偏差σが、3ヶ所のBH量の平均値に対して10%以内であることとした。
Figure 0005009131
表2に試験結果を示す。No.からが本発明の実施例であり、No.12から15は比較例である。
本発明例No.7から9は、BとVを複合添加した場合であり、式(1)から(3)、および式(4)を満たしている。測定結果は、評価基準(a)と(b)を満たしており、更に、幅方向3ヶ所のBH量のσは平均値に対して5%以内と良好であるため、評価は◎である。
次に比較例を説明する。No.12は、Bを添加した場合であるが、式(2)を満たしていない。このため、Tiに固定されない固溶Nが残存し、幅方向2ヶ所のBH量が50MPaを超えてしまった。評価基準(a)を満たさないため、評価は×である。No.13は、BとVを添加した場合であり、また、No.14はVを添加した場合であるが、いずれも式(2)を満たさず、幅方向でBH量が50MPaを超えた箇所が現れたため、評価は×である。No.15と16は、BとVを添加した場合であり、式(1)と(2)を満たしている。しかし、式(3)を満たさないため、BH量がNo.15では5MPa未満、No.16では50MPaを超える箇所が現れたため、評価基準(a)を外れており、評価は×である。
NをTi当量より多く含有する場合において、TiNとしてのN含有量とTi含有量との関係を示す図である。

Claims (1)

  1. 質量%で、C:0.0050%以下、Si:0.05%以下、Mn:1.0%以下、P:0.08%以下、S:0.02%以下、sol.Al:0.002%以上0.1%以下、N:0.0030%以下であり、
    Ti含有量を下記(1)式を満たす条件とし、
    B:0.0025%以下とV:0.02%以下下記(2)式及び(4)式を満たすように含有し、
    Nb含有量が下記(3)式を満たし、
    Ti ≦ 48/14×N (1)
    (N+0.0005)/14−Ti/48 ≦ B/11+V/51 (2)
    0.0003 ≦ C−12/93×Nb ≦ 0.0025 (3)
    4.7 ≦ V/B (4)
    さらに、Cu:0.06%以下、Ni:0.06%以下、Cr:0.06%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする焼付硬化性鋼板。
    ただし、Tiはsol.Tiを意味し、(1)〜()式でTi、N、B、V、C、Nbはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。
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