JP5007995B2 - 海苔を用いた糖尿病治療剤 - Google Patents

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本発明は、海苔を用いた糖尿病治療剤に関する。
糖尿病の90%を占める生活習慣病の1つである2型糖尿病は、インスリンの分泌不足又はその標的細胞側の感受性低下などに基づく糖代謝を中心とした代謝異常であり、高血糖をきたすことが大きな特徴である。高血糖が長期間持続すると、血管障害を主要因として、網膜症、腎症、神経障害など、種々の臓器や神経に深刻な合併症が生じる。従って、糖尿病の治療では血糖値をコントロールして正常値に維持することが極めて重要である。糖尿病の治療としては、食事療法、運動療法および薬物療法の組み合わせにより血糖値をコントロールすることが挙げられる。
糖尿病の薬物療法においては、インスリン療法が用いられるが、インスリンは小腸で分解され、腸管吸収ができないため、通常医師の指導下で皮下または筋肉注射により血糖値のコントロールを行わなくてはならない。現在、さまざまな糖尿病経口薬が市販されているが、副作用があり、満足できる治療効果が得られていない。また、食品による経口摂取可能なインスリン様作用物質の報告は少ない。
一方、海苔は、古くから日本人に食されてきた海藻で、非常になじみ深い食品である。乾海苔の年間消費量は近年約100億枚強で推移している。近年発生している色落ち海苔や、海苔製品の成形の際に出る屑海苔などは、未利用あるいは一部しか利用されておらず、大部分は堆肥化あるいは廃棄されている現状であり、その資源の有効利用が望まれている。
特許文献1には、アマノリ属海藻から血糖降下能を有する新規なポリペプチドを製造することを目的として、アマノリ属海藻の葉状体またはその加工品の乾燥細粒化物を膨潤させ、これを水を用いて抽出し、この抽出物を分画精製してポリペプチドを得ることが記載されている。
特開平11−1495号公報
本発明は、海苔から抽出した水溶性低分子物質のインスリン様作用を利用して、新規な糖尿病治療剤、血糖低下剤、及び脂肪分解抑制剤を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、海藻由来成分に含まれるインスリン様作用を示す物質について検討を行った。その結果、本発明者らは、海苔を熱水で抽出して得られる上清が、脂肪分解を抑制する作用、及び血糖を低下する作用を有することを確認し、糖尿病の治療に有効であることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、海苔を熱水で抽出して得られる上清を有効成分として含む、糖尿病治療剤、血糖低下剤及び/又は脂肪分解抑制剤が提供される。
好ましくは、海苔を熱水で抽出して得られる上清は、海苔を100℃以上の熱水で抽出した後に、40から70℃に冷却してさらに2時間以上抽出して得られる上清である。
好ましくは、海苔を熱水で抽出して得られる上清は、海苔を100℃以上の熱水で抽出した後に、40から70℃に冷却してさらに2時間以上抽出して上清を取得し、この上清にエタノールを添加して得られる非沈殿区分である。
好ましくは、海苔を熱水で抽出して得られる上清が、分子量1000以下の画分である。
本発明の別の側面によれば、上記した本発明の糖尿病治療剤、血糖低下剤及び/又は脂肪分解抑制剤を含む、糖尿病治療、血糖低下及び/又は脂肪分解抑制のための飲食品が提供される。
本発明によれば、インスリン様作用を特徴とする経口可能な糖尿病治療剤を提供することができる。海苔は人間が古来より食してきた食品であり、その食経験も長いため、新規素材よりも安全性が高い。また、本発明により得られたインスリン様作用物質は水溶性かつ低分子であることから、体内に吸収されやすい特徴を持っており、その高いインスリン様作用の発現が期待できる。本発明は、食品分野の新規食品および食品素材などの製造において利用することができる。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
本発明による糖尿病治療剤、血糖低下剤及び/又は脂肪分解抑制剤は、海苔を熱水で抽出して得られる上清を有効成分として含むものである。海苔を熱水で抽出して得られる上清としては、(1)海苔を100℃以上の熱水で抽出した後に、40から70℃に冷却してさらに2時間以上抽出して得られる上清、または(2)海苔を100℃以上の熱水で抽出した後に、40から70℃に冷却してさらに2時間以上抽出して上清を取得し、この上清にエタノールを添加して得られる非沈殿区分及び分子量1000以下の画分などを用いることができる。
本発明で用いる海苔としては、その種類は特に限定されず任意のものを用いることができ、例えば、色落ち海苔、商品とならない低品質海苔や、海苔製品の成形の際に出る屑海苔などを用いることもできる。また、摘採された製品化前の生ノリ、製品化に適していない低品質の生ノリなどを用いてもよい。
本発明では、海苔を熱水で、例えば100℃以上(例えば、120℃など)で所定の時間(例えば、10分間以上など)抽出する。その後、40から70℃(例えば、50℃など)に冷却してさらに所定の時間(例えば2時間以上、一例としては12時間〜一昼夜など)抽出する。次いで、この抽出物を遠心して遠心上清を取得することができる。本発明では、このようにして得られる遠心上清を有効成分として用いることができる。あるいはまた、上記の遠心上清にエタノール(例えば、75%エタノールなど)を添加し、沈殿画分(多糖類画分)と非沈殿区分(低分子画分)に分け、この非沈殿区分を、本発明における有効成分として用いることもできる。さらに、本発明では、上記の遠心上清または非沈殿区分をさらに分子量で分画して、分子量1000以下の画分を用いることもできる。分子量による分画は、例えば、限外濾過膜(分子量1000膜)を用いて行うことができる。
本発明の糖尿病治療剤、血糖低下剤及び/又は脂肪分解抑制剤の製剤形態は特に限定されず、経口投与又は非経口投与用の製剤形態の中から治療や予防の目的に最も適した適宜の形態のものを選択することが可能である。経口投与に適した製剤形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、溶液剤、乳剤、懸濁剤、チュアブル剤などを挙げることができ、非経口投与に適する製剤形態としては、例えば、注射剤(皮下注射、筋肉内注射、又は静脈内注射など)、点滴剤、吸入剤、噴霧剤、坐剤、ゲル剤若しくは軟膏剤などの形態の経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、貼付剤若しくはテープ剤などの形態の経皮吸収剤などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
経口投与に適当な液体製剤、例えば、溶液剤、乳剤、又はシロップ剤などは、水、ソルビット、果糖などの糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントなどのフレーバー類などを用いて製造することができる。また、カプセル剤、錠剤、散剤、又は顆粒剤などの固体製剤の製造には、乳糖、マンニットなどの賦形剤、澱粉、アルギン酸ソーダなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いることができる。
非経口投与に適当な注射用又は点滴用の製剤は、好ましくは、受容者の血液と等張な滅菌水性媒体に有効成分である上記の物質を溶解又は懸濁状態で含んでいる。例えば、注射剤の場合、塩溶液、又は塩水と他の溶液との混合物からなる水性媒体などを用いて溶液を調製することができる。腸内投与のための製剤は、例えば、カカオ脂、水素化脂肪、又は水素化カルボン酸などの担体を用いて調製することができ、座剤として提供される。また、噴霧剤の製造には、有効成分である上記の物質を微細な粒子として分散させることができ、受容者の口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ有効成分の吸収を容易ならしめる担体を用いることができる。担体としては、具体的には、乳糖又はグリセリンなどが例示される。有効成分である物質及び使用する担体の性質に応じて、エアロゾル又はドライパウダーなどの形態の製剤が調製可能である。これらの非経口投与用製剤には、グリコール類、油類、フレーバー類、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1種又は2種以上の補助成分を添加することもできる。
本発明の糖尿病治療剤、血糖低下剤及び/又は脂肪分解抑制剤の投与量及び投与回数は、疾患の種類や重篤度、投与形態、患者の年齢や体重などの条件、合併症の有無などの種々の要因により適宜設定することができるが、一般的には、有効成分の投与量として一回当たり10μg/kg〜1000mg/kg、好ましくは100μg/kg〜1000mg/kgである。
本発明の糖尿病治療剤、血糖低下剤及び/又は脂肪分解抑制剤は、ヒトを含む任意の哺乳動物に投与することができるが、好ましくはヒトに投与される。
本発明の糖尿病治療剤、血糖低下剤及び/又は脂肪分解抑制剤は、糖尿病又は糖尿病の合併症の予防及び/又は治療のために用いることができる。糖尿病は高血糖を特徴の一つとする糖代謝異常に基づく疾患であり、本発明の糖尿病治療剤、血糖低下剤及び/又は脂肪分解抑制剤を用いて糖尿病患者の血糖値を低下させることにより、糖尿病を治療することができ、また糖尿病の疑いのある患者の血糖値をコントロールすることによって糖尿病を予防することもできる。また、糖尿病の患者は高血糖が長期間持続することにより、血管障害を主要因として網膜症、腎症、神経障害などの合併症が生じることが知られている。本発明の糖尿病治療剤、血糖低下剤及び/又は脂肪分解抑制剤を用いて糖尿病患者の血糖値をコントロールすることにより、これら糖尿病合併症の予防及び/又は治療を達成することもできる。
さらに、本発明の血糖低下剤は、糖尿病又はその合併症の予防及び/又は治療のためのみならず、血糖低下のために広く用いることができる。臨床的に高血糖が存在すれば、糖尿病が疑われるが、糖尿病以外の各種疾患によることもあり、例えば、膵組織の器質的障害、慢性肝疾患、内分泌疾患、脳圧亢進状態、肥満症、過食、アルコール過飲、胃切除後の食餌性高血糖、発熱性疾患、一酸化炭素中毒、薬剤による血糖上昇など様々な要因により高血糖が生じることがある。本発明の医薬はこれらの高血糖を低下させるために用いてもよい。
本発明の糖尿病治療剤、血糖低下剤及び/又は脂肪分解抑制剤は、飲食品として提供することもできる。即ち、海苔を熱水で抽出して得られる上清を、糖尿病治療、血糖低下及び/又は脂肪分解抑制のための飲食品の形態で提供してもよい。
本発明による糖尿病治療、血糖低下及び/又は脂肪分解抑制のための飲食品の製品の具体例としては、清涼飲料、ドリンク剤、健康食品、特定保健用食品、機能性食品、機能活性型食品、栄養補助食品、サプリメント、飼料、飼料添加物などと一般に呼称される、飲料を含む健康食品または補助食品が挙げられる。
本発明の飲食品は、海苔を熱水で抽出して得られる上清を、食品に使われる一般的な原料に直接混合、分散したのち、公知の方法により所望の形態に加工することによって得ることができる。本発明の飲食品はあらゆる形態の飲食品を包含するものであり、その種類は特に制限されず、上記したような各種飲食物、あるいは各種栄養組成物、例えば各種の経口又は経腸栄養剤や飲料等に、本発明の糖尿病治療剤、血糖低下剤及び/又は脂肪分解抑制剤を配合して飲食品として提供することができる。飲食品の形態は特に限定されず、摂取しやすい形態であれば、固形、粉末、液体、ゲル状、スラリー状等のいずれであってもよい。
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
実施例1:脂肪細胞における脂肪分解活性の測定(海藻成分)
インスリン様作用物質をスクリーニングするために3種類の海藻を実験試料として使用した。調製法は、トサカノリ(T)、海苔(N)、クロメ(K)を熱水(120℃、20分)抽出後、50℃に冷却してさらに12時間(一夜)抽出した。これらの抽出物から得られたそれぞれの遠心上清(TE, NE, KE)に75%エタノールを添加し、沈殿画分(多糖類画分)と非沈殿区分(TS, NS, KS)に分けた。遠心上清(TE, NE, KE)および非沈殿区分(TS, NS, KS)は、減圧濃縮後に凍結乾燥して実験に用いた。
インスリン様作用の測定法は、15〜18週齢のWistar系雄性ラットをエーテル麻酔下でと殺し、睾丸周辺の白色脂肪組織を摘出した。Hanks緩衝液(pH7.4)で洗浄した脂肪組織4gに15ml のHanks緩衝液(pH7.4)を加え、細かい粒子に切断した。これを遠心分離して得られた上層を脂肪組織切片とした。2%BSAを含むHanks緩衝液(pH7.4)(200μl)に被験物(25μl)、ノルエピネフリン(25μl 終濃度0.05μg/ml)および調製した脂肪組織切片(50μl)を加え、37℃60分反応し、遊離した脂肪酸量を測定した。なお、実験動物は九動(株)より購入し、室温23℃、12時間のライトサイクルで固形飼育用飼料CE-2を自由摂取させ、自由飲水として飼育した。
測定した結果を図1に示す。3種類の海藻抽出物で、海苔75%エタノール非沈殿画分(NS)で最も強い脂肪分解抑制作用が見られた。そこで、作用成分の同定を進めるために次の実験を行った。
実施例2:脂肪細胞における脂肪分解活性の測定(海苔)
先の方法で調製したNS画分を分子量の違いで分けて、インスリン様作用を比較した。NS画分をミリポア製の限外濾過膜(分子量1000、3000、5000膜)を用いて分画し、得られたそれぞれの画分は減圧濃縮後、凍結乾燥して実験に供した。
インスリン様作用の測定は先に示したとおりである。
測定を行った結果を図2に示す。分子量1000以下の画分(NS1000)で最も強い作用を示した。そこで、NS1000が生体内で実際に血糖値を下げるかどうか確認するために、実験動物を用いて以下の実験を行った。
実施例3:正常ラット(空腹時)における血糖値の経時的変化
生体内で実際に血糖値を下げるかどうかを確認するために、NS1000を静脈に直接投与して、血糖値へ及ぼす影響を経時的に観察した。実験方法は、6〜7週齢のWistar系雄性ラットを一晩絶食し、体重に有意差が出ないようにコントロール群と被験物群に分け、コントロール群には生理的食塩水を(530μl/Kg体重)、被験物群はNS1000(130μg/Kg体重)をラットの尾静脈より投与した。投与前を0分として経口投与後30, 45, 60, 120, 180, 240, 360分後、非麻酔下でラットの尾静脈より採血した。なお、動物は九動(株)より購入し、室温23℃、12時間のライトサイクルで固形飼育用飼料CE-2を自由摂取させ、自由飲水として飼育した。血糖値の測定はグルコース-B-テストワコー(和光純薬工業(株))を使用した。
測定の結果を図3に示す。NS1000群で低い傾向を示し、投与6時間後に有意に低い値を示した(図3)。なお、投与30分後にNS1000投与群で有意に高かったのは、糖が含まれていることが影響しているものと考えられた。この結果から、NS1000が体内で血糖降下作用を示すことがわかったので、続いて経口摂取による影響を検討した。
実施例4:グルコース負荷正常ラットにおける血糖値の経時的変化
糖尿病では食後の急激な血糖値上昇を抑えることが重要だと考えられている。また、糖尿病治療に用いられるインスリンは、小腸で分解されて腸管吸収ができないため、通常医師の指導下で皮下または筋肉注射により血糖値のコントロールを行わなくてはいけない。従って、簡便に血糖値を下げるために、さまざまな糖尿病経口薬が市販されているが、副作用があり、満足できる治療効果が得られていない。また、食品による経口摂取可能なインスリン様作用物質の報告は少ない。
そこで、先の実験で血糖降下作用を示したNS1000の経口投与による血糖値への効果を検討した。10〜11週齢のWistar系雄性ラットを一晩絶食し、体重に有意差が出ないようにコントロール群と被験物群に分け、コントロール群には純水(1.3ml/Kg体重)を、被験物群はNS中の分子量1000以下(NE1000)の画分(267mg/Kg体重)をD(+)-グルコース水溶液(3.0g/Kg体重)と混ぜて非麻酔下で経口投与した。投与前を0分として経口投与後30, 60, 120, 180, 240, 360分後、非麻酔下でラットの尾静脈より採血した。なお、動物は九動(株)より購入し、室温23℃、12時間のライトサイクルで固形飼育用飼料CE-2を自由摂取させ、自由飲水として飼育した。血糖値の測定はグルコース-B-テストワコー(和光純薬工業(株))を使用した。
正常ラットにグルコースとNS1000を経口投与して血糖値を比較すると、NS1000群で低い傾向がみられ、投与3時間後には有意に低い値を示した。このようにNS1000が正常ラットで血糖降下作用を示したことから、続いて糖尿病モデル動物での影響を検討した。
実施例5:グルコース負荷糖尿病ラットにおける血糖値の経時的変化
モデルにはSTZ(ストレプトゾトシン)誘発糖尿病ラットを用いたが、これはSTZの投与量の増大により糖尿病も重篤となるが、本実施例では膵臓のβ細胞を完全に破壊しない程度の緩和な状態で実験を行った。つまり、II型糖尿病に近い病態を持つ動物で実験を行った。STZ誘発糖尿病ラットの作製は、STZを40mMリン酸緩衝液pH4.0に溶解し、4日間予備飼育した8週齢Wistar系雄性ラットに腹腔投与した(65mg/Kg体重)。投与後4日後に尿糖が2000以上になった動物を実験に使用した。なお、動物は九動(株)より購入し、室温23℃、12時間のライトサイクルで固形飼育用飼料CE-2を自由摂取させ、自由飲水として飼育した。このように作製したSTZ誘発糖尿病ラットを一晩絶食し、体重に有意差が出ないようにコントロール群と被験物群に分け、コントロール群には純水(1.3ml/Kg体重)を、被験物群はNS中の分子量1000以下(NE1000)の画分(267mg/Kg体重)をD(+)-グルコース水溶液(3.0g/Kg体重)と混ぜて非麻酔下で経口投与した。投与前を0分として経口投与後30, 60, 120, 180, 240, 360分後、非麻酔下でラットの尾静脈より採血した。血糖値の測定はグルコース-B-テストワコー(和光純薬工業(株))を使用した。
測定結果を図5に示す。グルコース負荷と同時にNS1000を投与したところ、食後30分と血糖値が急激に上昇する時間にコントロール群に比べてその効果を示した。このことから、糖尿病を発症している動物においても経口摂取での血糖降下作用を示し、この成果は広く食品分野への利用が期待される。
(実施例のまとめ)
本実施例では、複数種の海藻を用いてインスリン様作用を検討した結果、海苔のNS1000画分にその強い活性を見いだした。続いて、その効果を生体内で確認するために、実験動物を用いて血糖降下作用を確認した。まず、NS1000が生体内で血糖降下作用を示すかを確かめるために、尾静脈に直接投与し、血糖値の経時的変化を比較したところ、コントロール群に比べて低い値を示した。この結果から、NS1000が体内で血糖降下作用を示すことがわかったので、続いて経口摂取による影響を検討した。
糖尿病では食後の急激な血糖値上昇を抑えることが重要だと考えられている。糖尿病治療に用いられるインスリンは小腸で分解され、腸管吸収ができないため、通常医師の指導下で皮下または筋肉注射により血糖値のコントロールを行わなくてはいけない。従って、簡便に血糖値を下げるために、さまざまな糖尿病経口薬が市販されているが、副作用があり、満足できる治療効果が得られていない。また、食品による経口摂取可能なインスリン様作用物質の報告は少ない。
そこで、先の実験で血糖降下作用を示したNS1000の経口投与による血糖値への効果を検討した。この実験では糖質としてグルコース水溶液を与え、糖質を経口摂取するのと同時にNS1000を経口投与したところ、NS1000群で血糖値降下作用を示した。このようにNS1000が正常ラットで血糖降下作用を示したことから、続いて糖尿病モデル動物での影響を検討した。モデルにはSTZ誘発糖尿病ラットを用いたが、これはSTZの投与量の増大により糖尿病も重篤となるが、本研究では膵臓のβ細胞を完全に破壊しない程度の緩和な状態で実験を行った。つまり、II型糖尿病に近い病態を持つ動物で実験を行った。グルコース負荷と同時にNS1000を投与したところ、食後30分と血糖値が急激に上昇する時間にコントロール群に比べてその効果を示した。このことから、糖尿病を発症している動物においても経口摂取での血糖降下作用を示した。
なお、図1のNS画分はNS1000と同程度のインスリン様作用効果を有する。それ故、特にNS画分を分子量分画することなく、低分子画分をそのまま利用できることから、より広く健康食品などの分野に活用することができる。
図1は、脂肪細胞における脂肪分解活性の測定(海藻成分)の結果を示す。 図2は、脂肪細胞における脂肪分解活性の測定(海苔)の結果を示す。 図3は、正常ラット(空腹時)における血糖値の経時的変化を示す。 図4は、グルコース負荷正常ラットにおける血糖値の経時的変化を示す。 図5は、グルコース負荷糖尿病ラットにおける血糖値の経時的変化を示す。

Claims (1)

  1. 海苔を100℃以上の熱水で抽出した後に、40から70℃に冷却してさらに2時間以上抽出して上清を取得し、この上清にエタノールを添加して得られる非沈殿区分であって、分子量1000以下の画分である上記非沈殿区分を有効成分として含む、糖尿病治療剤、血糖低下剤及び/又は脂肪分解抑制剤。
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