以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
<洗浄滅菌装置の構成>
図1〜3は、実施形態1に係る洗浄滅菌装置10を示す。
この洗浄滅菌装置10は、単一の洗浄滅菌槽11において、医療器具等の被洗浄滅菌物に対して洗浄水を噴射することによりその洗浄を行うのに加えて、洗浄滅菌槽11内に過熱水蒸気を生成して供給することにより被洗浄滅菌物の滅菌をも行うことができ、さらに、すすぎ水を噴射することによりそのすすぎ洗浄を行い、洗浄滅菌槽11内に再度過熱水蒸気を生成供給することにより被洗浄滅菌物の乾燥をも行うことができ、従って、コンパクトなスペースで被洗浄滅菌物の洗浄、滅菌、すすぎ洗浄及び乾燥の全てを行うことができるようにしたものである。
この洗浄滅菌装置10は、外形が縦長ボックス状に形成されており、前面側に装置本体12内の洗浄滅菌槽11を開閉するための横長矩形の開閉扉13及び動作制御の操作をするための操作パネル14がそれぞれ上下に設けられている。
開閉扉13は、上部に上辺に沿って延びるハンドル13aが取り付けられていると共に、下部が装置本体12に軸支されており、ハンドル13aを持って手前に引くと前面側に傾動して、装置本体12内の洗浄滅菌槽11が開状態となる一方、後方側に逆に戻すと装置本体12側に傾動して、洗浄滅菌槽11が密閉された閉状態になるように構成されている。なお、開閉扉13は、閉状態の垂直位置から水平位置までの範囲で傾動可能で且つ水平位置において水平状態を保持するように構成されており、これによってその裏面側を洗浄滅菌槽11内に後述の収容籠15を出し入れする際の載置台として利用することができるようになっている。また、開閉扉13には、洗浄滅菌槽11が密封されるようにシール材が設けられている。
操作パネル14には、メイン電源スイッチ、種々の操作スイッチ、水温度設定部、蒸気温度設定部の他、動作状態を示すランプ等が設けられている。操作パネル14の各部は、装置本体12内に設けられたコンピュータで構成された図示しない運転制御部に接続されている。
洗浄滅菌槽11は、容量が例えば15〜25Lに形成されており、医療器具等の被洗浄滅菌物を収容する専用の収容籠15の出し入れが可能に構成されている。なお、洗浄滅菌槽11の槽内壁はステンレス等の金属で形成され、槽外側に断熱材が設けられている。
洗浄滅菌槽11内の上下にはそれぞれ上側及び下側回転噴射ノズル16,17が設けられている。上側及び下側回転噴射ノズル16,17のそれぞれは、ロッド状のノズル本体16a,17aとそのノズル本体16a,17aの中間部が取り付けられていると共に洗浄滅菌槽11に固定された固定部16b,17bとを有する。ノズル本体16a,17aは、中空に形成されていると共に長さ方向に沿って間隔をおいて複数の水噴射孔が穿孔されている。固定部16b,17bは、ノズル本体16a,17aを固定部16b,17bを中心とした回転が可能なように支持していると共にノズル本体16a,17aの中空に連通した水供給流路が形成されている。そして、上側及び下側回転噴射ノズル16,17のそれぞれは、固定部16b,17bを介してノズル本体16a,17aに洗浄水或いはすすぎ水が供給されると、その水圧によりノズル本体16a,17aが複数の水噴射孔から水を噴射すると共に回転して水を洗浄滅菌槽11内に散布するように構成されている。また、上側及び下側回転噴射ノズル16,17は、ノズル本体16a,17aが相互に異なる速度及び/又は相互に逆方向に回転するように構成されている。
洗浄滅菌槽11内には図示しない槽内温度センサが設けられており、その槽内温度センサは運転制御部に接続されている。
装置本体12内には、内部隔壁18を介して洗浄滅菌槽11に隣接して形成された過熱水蒸気生成室19が設けられている。
過熱水蒸気生成室19は、容量が例えば2〜4Lに形成されている。内部隔壁18には、上部及び下部に、それぞれ洗浄滅菌槽11と過熱水蒸気生成室19とを連通する上側及び下側開口部20,21が横方向に細長く延びるように形成されている。
過熱水蒸気生成室19には、上部に過熱水蒸気生成用ヒータ22、また、下部に過熱水蒸気供給用ファン23がそれぞれ設けられている。過熱水蒸気生成用ヒータ22は、例えば、最大出力750Wの電熱ヒータで構成され、運転制御部に接続されている。過熱水蒸気供給用ファン23は、内部隔壁18の下側開口部21と略同じ長さの軸部23aとそれぞれがその側方に延びるように設けられた羽根部23bとを有する長尺物に形成されており、下側開口部21に沿うように配置されている。過熱水蒸気供給用ファン23の軸部23aは図示しない駆動モータに結合しており、その駆動モータは運転制御部に接続されている。そして、過熱水蒸気生成室19は、過熱水蒸気生成室19に主に上側開口部20から水蒸気が流入すると、過熱水蒸気生成用ヒータ22がその水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成し、水蒸気供給用ファンがその過熱水蒸気を下側開口部21から洗浄滅菌槽11に供給するように構成されている。従って、これらの過熱水蒸気生成用ヒータ22及び過熱水蒸気供給用ファン23が過熱水蒸気生成手段を構成している。
過熱水蒸気生成室19には、図4に示すように、水蒸気供給用ファン後方の隅部に、その回転軌跡から若干の間隔を形成するように構成された過熱水蒸気ガイド24が設けられており、それによって過熱水蒸気が過熱水蒸気生成室19の隅部に滞留せずに効率的に洗浄滅菌槽11に供給されるようにしている。また、内部隔壁18には、図4に示すように、下側開口部21の上側に、洗浄滅菌槽11側に突出した鍔部25が設けられており、それによって過熱水蒸気が下側開口部21から出て直ぐに上昇するのを抑制し、過熱水蒸気が横方向に吹き出されて洗浄滅菌槽11内全体に行き渡るようにしている。さらに、過熱水蒸気生成室19には、装置外部に延びると共に装置外部に連通した過熱水蒸気排気路26が設けられており、過熱水蒸気排気路26が洗浄滅菌槽11から延びて設けられたものの場合のように洗浄の際に洗浄水が過熱水蒸気排気路26を介して装置外部に漏れる危険性が無く、そのため細菌で汚染された水が装置外部に漏れるのが防止される。
洗浄滅菌槽11の下側には貯水槽27が設けられている。この単一の貯水槽27は、上側及び下側回転噴射ノズル16,17に供給される洗浄水用及びすすぎ水用の水並びに加熱され水蒸気となって過熱水蒸気生成室19に供給される過熱水蒸気用の水を共用で貯水するように構成されており、洗浄用途、すすぎ用途、滅菌用途及び乾燥用途の水源となるものである。
この貯水槽27は、装置本体12内に配置された装置本体内部分28と装置本体12外に配置された装置本体外部分29とがそれらを仕切る装置外壁30によって仕切られた構成となっている。装置外壁30には、貯水槽27の所定深さの位置に、装置本体内部分28と装置本体外部分29とを連通させる装置外壁開口部31が設けられている。装置本体12の外側には、貯水槽27の装置本体外部分29をさらに二分割すると共に貯水槽27から上方に延びる分割壁32が設けられている。分割壁32には装置本体外部分29の槽縦壁33が結合しており、それによって装置本体外部分29に分割壁32及び槽縦壁33で仕切られ且つ上方が封じられた外部隔室34が構成されている。また、分割壁32には、貯水槽27の所定深さの位置に、外部隔室34の内外を連通させる分割壁開口部35が設けられている。
貯水槽27の装置本体内部分28は、容量が例えば3〜4Lに形成されている。装置本体内部分28には、上側及び下側ヒータ(加熱ヒータ)36,37が上下に配設されており、それらの使用態様を使い分けが可能に構成され、これにより、洗浄水用或いはすすぎ水用の温水の生成や過熱水蒸気生成用の水蒸気の生成等の目的に応じた貯水槽27内の水の加熱を行うことができるようになっている。上側ヒータ36は、例えば、最大出力500Wの電熱ヒータで構成され、運転制御部に接続されている。また、上側ヒータ36は、貯水槽27が満水時の水面下5〜10mmの位置に設けられている。下側ヒータ37は、上側ヒータ36を水蒸気の生成用に、下側ヒータ37を貯水槽27内の水全体の加熱用に使い分けすることができるという観点から、上側ヒータ36よりも最大出力が大きいことが好ましく、例えば、最大出力750Wの電熱ヒータで構成され、運転制御部に接続されている。
装置本体内部分28には、上側ヒータ36の位置よりもやや上方に図示しない水位センサが設けられており、その水位センサは運転制御部に接続されている。また、装置本体内部分28には、水温センサが設けられており、その水温センサは運転制御部に接続されている。
装置本体内部分28は、貯水槽27内の水の水面が洗浄滅菌槽11内において露出するように設けられており、そのため過熱水蒸気の生成を開始する際の貯水槽27内の水の水温が所定温度以上(例えば85℃以上93℃未満の範囲内の温度)の条件下において、洗浄滅菌槽11内に過熱水蒸気が供給されると、上側及び/又は下側ヒータ36,37に加えて、過熱水蒸気に接触してその熱により貯水槽27内の水が細菌の殺菌に十分な温度(例えば93〜100℃)まで加熱され、温水洗浄後に貯水槽27に溜まった細菌を含む水が高温殺菌されることとなる。従って、別途、上側及び/又は下側ヒータ36,37のみによって貯水槽27内の細菌で汚染された水を加熱して高温殺菌する必要がなく、そのため省エネルギーを図ることができる。
装置本体内部分28からは水供給管38が延びており、それが分岐してそれぞれ上側及び下側回転噴射ノズル16,17の固定部16b,17bに接続されている。水供給管38には、分岐部よりも上流側に水供給ポンプ39が介設されている。水供給ポンプ39は運転制御部に接続されている。
貯水槽27の装置本体外部分29は、容量が例えば0.1〜0.2Lに形成されている。装置本体外部分29の外部隔室34には、貯水槽27の底を貫通して上方に延びて、管端が上方に開口するように設けられたオーバーフロー防止管40が設けられている。水は装置外壁開口部31及び分割壁開口部35を介して流通するので、貯水槽27の水位は装置本体内部分28及び装置本体外部分29の内外において一定であるが、それがオーバーフロー防止管40の管端位置以上となった際に余剰水をその管端の開口から排水し、貯水槽27の水のオーバーフローを防止するようになっている。
装置本体外部分29の外部隔室34には電磁給水弁41が介設された給水管42が接続されており、電磁給水弁41は運転制御部に接続されている。また、装置本体外部分29の外部隔室34からは排水管43が延び、排水管43はオーバーフロー防止管40の管端の開口に導入され、排水される水が貯水槽27内の水の水面よりも高い位置を通過するように構成されており、そのため貯水槽27内の水の排水を効率的に行うことができる。排水管43には排水ポンプ44が介設されており、排水ポンプ44は運転制御部に接続されている。なお、給水管42及び排水管43は、装置本体外部分29の外部隔室34外に設けられていても、或いは、装置本体内部分28に設けられていてもよい。
装置本体12と分割壁32との間は、貯水槽27の上方で装置外部に開放しており、開口端には例えば不織布で形成されたフィルタ45が設けられていると共にフィルタ45よりも内側には冷却ファン46が設けられている。
また、この貯水槽27には水シャッター構造、つまり、水位が一定水位以下となって装置外壁開口部31が水面より上に露出すると、洗浄滅菌槽11と装置外部との通気路47が貯水槽27の装置外壁開口部31及びフィルタ45を介して連通し、冷却ファン46の回転によって外気をその通気路47を介して洗浄滅菌槽11に導入して洗浄滅菌槽11内を冷却することができ、逆に、水位がその一定水位よりも高くなって装置外壁開口部31が水面より下に水没すると、その通気路47を水によって遮断する構造が構成されている。洗浄滅菌槽11には過熱水蒸気が供給されるので、装置外部と連通させるためのバルブには高い耐熱性能が要求されるが、このような水シャッター構造によれば、高耐熱性のバルブを必要とすることなく、水位を上下させるという簡単な操作により洗浄滅菌槽11の装置外部への通気路47の連通及び遮断の切換を容易に行うことができる。
なお、貯水槽27内では、上側ヒータ36、水位センサ及び装置外壁開口部31の上端がオーバーフロー防止管40の管端よりも下方位置に設けられ、また、上側ヒータ36及び水位センサが装置外壁開口部31の上端よりも下方位置に設けられている。
また、貯水槽27は、図5〜7に示すような変形例の構成であってもよい。なお、上記実施形態1と同一名称の部分は同一の符号を用いて示す。
この変形例の貯水槽27は、装置本体内部分28が装置本体12内の前面側において幅方向に延びる溝状に形成されており、装置本体外部分29が装置本体12側面の前面側に一体に設けられた外部ボックス48内に構成されている。
外部ボックス48は、共通の上面部を有すると共に底面部が後方から前方に向かって三段階に段階的に高く形成された第1〜第3室49,50,51を有する。
第1室49には、底を貫通して上方に延びて、管端が上方に開口するように設けられたオーバーフロー防止管40が設けられている。装置本体内部分28からは排水管43が延び、その排水管43は第1室49の後方壁を貫通してオーバーフロー防止管40の管端の開口に導入されている。また、第1室49と第2室50とは、上面部から垂下して設けられた分割壁32によって分割されていると共に、分割壁32の下方の隙間である分割壁開口部35によって連通している。従って、第1室49が外部隔室34を構成している。
第2室50には、下部の装置本体12側の面に、装置本体12側面の装置外壁30を貫通して装置本体内部分28に連通した装置外壁開口部31が形成されている。第2室50と第3室51とは、底面から立ち上がって設けられ上端位置がオーバーフロー防止管40の管端位置よりも高く形成された槽縦壁33によって仕切られている。また、第2室50と第3室51とは、槽縦壁33の上方の隙間空間によって連通している。従って、第1室49と第2室50とによって貯水槽27の装置本体外部分29が構成されている。
第3室51は、第2室50との連通部から下方に延びた後に後方の第2室50側に向かって屈折した筒状の通気路47が構成されており、その通気路47の端の第2室50の下方位置に冷却ファン46が設けられている。つまり、通気路47が貯水槽27の水に面する位置から貯水槽27よりも下方に引き回されるように形成され、冷却ファン46が、通気路47における貯水槽27よりも下方の貯水槽27の水に面しない位置に設けられている。洗浄滅菌槽11内は高温度雰囲気とされるが、このように通気路47が上方から下方に長く引き回され且つ屈曲部を有し、通気路47における貯水槽27内の水に面しない位置に冷却ファン46が設けられているので、洗浄滅菌槽11からの高温の空気が通気路47で充分に冷却され、冷却ファン46が熱の影響で損傷を受けるのを防止することができる。
この変形例の貯水槽27では、水は装置外壁開口部31及び分割壁開口部35を介して流通するので、貯水槽27の水位は装置本体内部分28及び装置本体外部分29において一定であるが、それがオーバーフロー防止管40の管端位置以上となった際に余剰水をその管端の開口から排水し、貯水槽27の水のオーバーフローを防止するようになっている。また、貯水槽27の水位が一定水位以下となって第2室50の装置外壁開口部31が水面より上に露出すると、洗浄滅菌槽11と装置外部との通気路47が貯水槽27の装置外壁開口部31、第2室50、並びに第1室49を介して連通し、冷却ファン46の回転によって外気をその通気路47を介して洗浄滅菌槽11に導入して洗浄滅菌槽11内を冷却することができ、逆に、水位がその一定水位よりも高くなって装置外壁開口部31が水面より下に水没すると、その通気路47を水によって遮断する水シャッター構造を構成するようになっている。
<洗浄滅菌装置の動作>
次に、この洗浄滅菌装置10の動作について説明する。
この洗浄滅菌装置10では、被洗浄滅菌物の洗浄、滅菌、すすぎ洗浄及び乾燥のそれぞれを別個に手動操作で行うことも可能であるが、運転制御部が予めインストールされた運転制御プログラムを実行することにより、洗浄水噴射、滅菌のための過熱水蒸気生成供給、すすぎ水噴射及び乾燥のための過熱水蒸気生成供給を連続して運転制御し、被洗浄滅菌物の洗浄、滅菌、すすぎ洗浄及び乾燥を一連の処理として行うことも可能である。以下、後者について具体的に説明する。
まず、開閉扉13を開いて洗浄滅菌槽11から収容籠15を取り出し、その収容籠15に医療器具等の被洗浄滅菌物を入れた後、再び収容籠15を洗浄滅菌槽11を収容して開閉扉13を閉める。そして、操作パネル14の動作スイッチをオンにすると運転制御部が運転制御プログラムの実行をスタートする。
運転制御プログラムがスタートし、貯水槽27の水位センサが水を検知していなければ、電磁給水弁41を開にする。これにより、給水管42を介して貯水槽27に給水される。そして、水位センサが水を検知すれば、電磁給水弁41を閉にする。これにより、貯水槽27への給水が停止する。このとき、貯水槽27には水が満たされるため、装置外壁開口部31が水面より下に水没すると、洗浄滅菌槽11と装置外部との通気路47が水によって遮断される。なお、水位センサが水を検知する程度に予め貯水槽27に水が溜められている場合には、この手順は実行されない。
また、同時に、上側及び下側ヒータ36,37もオンにし、その後、水温センサの検知情報に基づいて、貯水槽27内の水の水温が所定の第1設定水温以上となるようにそれらをオン/オフ制御する。これにより、貯水槽27内の水が加熱昇温される。第1設定水温は例えば50〜60℃である。
さらに、同時に、水供給ポンプ39をもオンにする。これにより、貯水槽27の水が洗浄水として上側及び下側回転噴射ノズル16,17のそれぞれの固定部16b,17bを介してノズル本体16a,17aに供給され、その水圧により洗浄水がノズル本体16a,17aの複数の水噴射孔から噴射され、さらに、洗浄水がノズル本体16a,17aの回転により洗浄滅菌槽11内に散布される。洗浄滅菌槽11内に噴射及び散布された水は再び貯水槽27に戻って循環する。このとき、洗浄滅菌槽11内に噴射及び散布された水により被洗浄滅菌物が予備水洗浄されることとなる。
水位センサが水を検知し且つ水温センサが第1設定水温を検知した後、この水循環動作を一定時間継続する。これにより、第1設定水温以上の温水の洗浄水が洗浄滅菌槽11内に噴射及び散布される。このとき、洗浄滅菌槽11内に噴射及び散布された温水により被洗浄滅菌物が温水洗浄されることとなる。上記一定時間は例えば10〜20分である。
次いで、上側及び下側ヒータ36,37を常時オンにする。また、水供給ポンプ39のオン状態は維持する。これにより、温水の洗浄滅菌槽11内への噴射及び散布、つまり、被洗浄滅菌物の温水洗浄が継続されつつ、貯水槽27内の水が加熱昇温される。
次いで、水温センサが所定の第2設定水温を検知すれば、下側ヒータ37及び水供給ポンプ39をオフにすると同時に、過熱水蒸気生成用ヒータ22及び過熱水蒸気供給用ファン23をオンにする。また、槽内温度センサの検知情報に基づいて、洗浄滅菌槽11の槽内温度が所定の第1設定槽内温度以上となるように過熱水蒸気生成用ヒータ22をオン/オフ制御する。これにより、温水の洗浄滅菌槽11内への噴射及び散布が停止し、一方、貯水槽27の水が上側ヒータ36によって継続して加熱されて水蒸気を生成し、その水蒸気が主に上側開口部20から過熱水蒸気生成室19に流入すると、その水蒸気が過熱水蒸気生成用ヒータ22によってさらに加熱されて過熱水蒸気を生成し、その過熱水蒸気が水蒸気供給用ファンによって下側開口部21から洗浄滅菌槽11に供給される。槽内温度センサが第1設定槽内温度を検知した後、その状態を一定時間継続する。このとき、その過熱水蒸気により被洗浄滅菌物が滅菌されることとなる。第2設定水温は例えば80〜100℃である。第1設定槽内温度は例えば150〜250℃である。上記一定時間は例えば15〜30分である。なお、上記制御では、下側ヒータ37をオフにし、上側ヒータ36のみをオンとしたが、下側ヒータ37をオフにせずに両方をオンにしてもよい。但し、水から水蒸気を生成するためには、水面近くの水のみを加熱するだけで充分であり、下側ヒータ37をオフにすることにより不要なエネルギーの消費を回避でき、省エネルギーを図ることができる。
また、このとき、過熱水蒸気生成室19における水蒸気供給用ファン後方の隅部に過熱水蒸気ガイド24が設けられているので、図4に示すように、過熱水蒸気が過熱水蒸気生成室19の隅部に滞留せず、過熱水蒸気が効率的に洗浄滅菌槽11に供給される。また、下側開口部21の上側に鍔部25が設けられているので、図4に示すように、過熱水蒸気が下側開口部21から出て直ぐに上昇するのが抑制され、過熱水蒸気が横方向に吹き出されて洗浄滅菌槽11内全体に行き渡る。さらに、過剰の過熱水蒸気が過熱水蒸気生成室19内から装置外部に延びるように設けられた過熱水蒸気排気路26から排出される。
これらに加えて、過熱水蒸気の生成を開始する際の貯水槽27内の水の水温が所定温度以上(例えば85℃以上93℃未満の範囲内の温度)の条件下において、洗浄滅菌槽11内に過熱水蒸気が供給されると、貯水槽27内の水が、上側ヒータ36に加えて、過熱水蒸気に接触してその熱により細菌の殺菌に十分な温度(例えば93〜100℃)まで加熱され、温水洗浄後に貯水槽27の細菌を含む水が高温殺菌される。従って、別途、上側及び/又は下側ヒータ36,37のみによって貯水槽27内の細菌で汚染された水を加熱して高温殺菌する必要がなく、そのため省エネルギーを図ることができる。かかる観点からは、第2設定水温は85℃以上であることが好ましく、95℃以上であることがより好ましい。
図8は、実施形態1と同様の構成の洗浄滅菌装置10を用い、温水洗浄の後、水温センサが90℃を検知するまで上側ヒータ36(最大出力500W)及び下側ヒータ37(最大出力750W)の両方をオンとして貯水槽27内の水を加熱し、水温センサが90℃を検知した後に下側ヒータ37及び水供給ポンプ39をオフにすると同時に、過熱水蒸気生成用ヒータ22(最大出力750W)及び過熱水蒸気供給用ファン23をオンにし、槽内温度センサの検知情報に基づいて、洗浄滅菌槽11の槽内温度が150℃以上となるように過熱水蒸気生成用ヒータ22をオン/オフ制御したときの貯水槽27内の底部における水の水温の経時変化を示す。これによれば、上側及び下側ヒータ36,37の両方により貯水槽27内の水の水温が90℃に達するまでに15分程度要しているが、この後、下側ヒータ37をオフにしているにもかかわらず貯水槽27内の水がさらに昇温し、約20分経過したときにはほぼ100℃に達しているのが分かる。
次いで、上側ヒータ36をオン状態にしたまま下側ヒータ37をオンにし、つまり、上側及び下側ヒータ36,37の両方をオンにし、その後、水温センサの検知情報に基づいて、貯水槽27内の水の水温が所定の第3設定水温以上となるようにそれらをオン/オフ制御する。これにより、貯水槽27内の水が加熱昇温される。また、同時に、水供給ポンプ39をもオンにする。これにより、貯水槽27の水がすすぎ水として上側及び下側回転噴射ノズル16,17のそれぞれの固定部16b,17bを介してノズル本体16a,17aに供給され、その水圧によりすすぎ水がノズル本体16a,17aの複数の水噴射孔から噴射され、さらに、すすぎ水がノズル本体16a,17aの回転により洗浄滅菌槽11内に散布される。洗浄滅菌槽11内に噴射及び散布された水は再び貯水槽27に戻って循環する。水温センサが第3設定水温を検知した後、この水循環動作を一定時間継続する。このとき、洗浄滅菌槽11内に噴射及び散布された水により被洗浄滅菌物がすすぎ洗浄されることとなる。上記一定時間は例えば1〜5分である。なお、このとき、上側及び下側ヒータ36,37の両方をオフとし、貯水槽27内の水温が低下しつつある水をすすぎ水として使用してもよい。
そして、再び、下側ヒータ37及び水供給ポンプ39をオフにし、上側ヒータ36を常時オンにすると同時に、過熱水蒸気生成用ヒータ22及び過熱水蒸気供給用ファン23をオンにする。また、槽内温度センサの検知情報に基づいて、洗浄滅菌槽11の槽内温度が所定の第2設定槽内温度以上となるように過熱水蒸気生成用ヒータ22をオン/オフ制御する。これにより、すすぎ水の洗浄滅菌槽11内への噴射及び散布が停止し、一方、貯水槽27の水が上側ヒータ36によって継続して加熱されて水蒸気を生成し、その水蒸気が主に上側開口部20から過熱水蒸気生成室19に流入すると、その水蒸気が過熱水蒸気生成用ヒータ22によってさらに加熱されて過熱水蒸気を生成し、その過熱水蒸気が過熱水蒸気供給用ファン23によって下側開口部21から洗浄滅菌槽11に供給される。槽内温度センサが第2設定槽内温度を検知した後、その状態を一定時間継続する。このとき、その過熱水蒸気により被洗浄滅菌物が乾燥されることとなる。第2設定槽内温度は例えば110〜150℃である。上記一定時間は例えば15〜30分である。なお、このとき、上側ヒータ36もオフにして貯水槽27内の水から水蒸気を生成せずに、過熱水蒸気生成用ヒータ22及び過熱水蒸気供給用ファン23のみをオンにして洗浄滅菌槽11内を昇温し、それによって被洗浄滅菌物を乾燥してもよい。
次いで、上側ヒータ36及び過熱水蒸気生成用ヒータ22をオフにし、排水ポンプ44及び電磁給水弁41をオンにする。また、過熱水蒸気供給用ファン23のオン状態は維持する。これにより、水蒸気の生成及び過熱水蒸気の生成が停止し、洗浄滅菌槽11内の空気が過熱水蒸気供給用ファン23によって循環して冷却され、そして、貯水槽27内の水が新たに給水された水と混合され水温が下がって一緒に排水管43を介して排水される。なお、貯水槽27への単位時間あたりの給水量は単位時間あたりの排水量よりも少なくする。このとき、排水管43がオーバーフロー防止管40の管端の開口に導入されているので、排水される水が貯水槽27内の水の水面よりも高い位置を通過するため、効率的に貯水槽27内の水の排水が行われる。また、水位が一定水位以下となって装置外壁開口部31が水面より上に露出すると、洗浄滅菌槽11と装置外部との通気路47が貯水槽27の装置外壁開口部31及びフィルタ45を介して連通する。
排水完了に要する充分な所定時間の後、排水ポンプ44をオフにすると同時に、冷却ファン46をオンにし、一定時間その状態を継続する。また、過熱水蒸気供給用ファン23のオン状態は維持する。これにより、外気が冷却ファン46によって通気路47を介して装置外部に連通した洗浄滅菌槽11内に流入すると共に、洗浄滅菌槽11内の空気が過熱水蒸気供給用ファン23によって循環し、洗浄滅菌槽11内全体が冷却される。このとき、洗浄滅菌槽11内に収容された被洗浄滅菌物も冷却されることとなる。上記一定時間は例えば5〜10分である。
上記一定時間の経過後、冷却ファン46及び過熱水蒸気供給用ファン23をオフにする。これにより、被洗浄滅菌物の洗浄及び滅菌が完了し、この後、開閉扉13を開いて洗浄滅菌槽11から収容籠15及び被洗浄滅菌物を取り出す。
なお、すすぎ洗浄及び乾燥、又は、乾燥を省略し、被洗浄滅菌物の滅菌或いはすすぎ洗浄の後に貯水槽27内の水を排水するようにしてもよい。また、すすぎ洗浄においては、貯水槽27内の温水洗浄に用いた水を一旦排水し、新たに給水した水ですすぎ洗浄するようにしてもよい。
(実施形態2)
<洗浄滅菌装置の構成>
図9は、実施形態2に係る洗浄滅菌装置10を示す。なお、この洗浄滅菌装置10の外観構成は実施形態1の図1及び2に示すものと同一であり、また、実施形態1と同一名称の部分は同一の符号を用いて示す。
この洗浄滅菌装置10は、単一の洗浄滅菌槽11において、医療器具等の被洗浄滅菌物に対して洗浄水を噴射することによりその洗浄を行い、洗浄滅菌槽11内に過熱水蒸気を生成して供給することにより被洗浄滅菌物の滅菌を行った後、被洗浄滅菌物に対してすすぎ水を噴射することによりそのすすぎ洗浄を行い、洗浄滅菌槽11内に再び過熱水蒸気を生成して供給することにより被洗浄滅菌物の乾燥をも行うことができ、従って、コンパクトなスペースで被洗浄滅菌物の洗浄、滅菌、すすぎ洗浄及び乾燥を行うことができるようにしたものである。
この洗浄滅菌装置10では、洗浄滅菌槽11内の上面部に回転噴射ノズル16が設けられている。回転噴射ノズル16は、ロッド状のノズル本体16aとそのノズル本体16aの中間部が取り付けられていると共に洗浄滅菌槽11に固定された固定部16bとを有する。ノズル本体16aは、中空に形成されていると共に長さ方向に沿って間隔をおいて複数の水噴射孔が穿孔されている。固定部16bは、ノズル本体16aを固定部16bを中心とした回転が可能なように支持していると共にノズル本体16aの中空に連通した水供給流路が形成されている。そして、回転噴射ノズル16は、固定部16bを介してノズル本体16aに洗浄水が供給されると、その水圧によりノズル本体16aが複数の水噴射孔から洗浄水を噴射すると共に回転して洗浄水を洗浄滅菌槽11内に散布するように構成されている。
洗浄滅菌槽11の下側には貯水槽27が設けられている。この単一の貯水槽27は、回転噴射ノズル16に供給される洗浄水用及びすすぎ水用の水を共用で貯水するように構成されており、洗浄用途及びすすぎ洗浄用途の水源となるものである。
貯水槽27は、容量が例えば3〜4Lに形成されている。貯水槽27には、加熱ヒータ37が底部に配設されている。加熱ヒータ37は、例えば、最大出力500〜750Wの電熱ヒータで構成され、運転制御部に接続されている。
貯水槽27には、加熱ヒータ37の位置よりもやや上方に図示しない水位センサが設けられており、その水位センサは運転制御部に接続されている。また、貯水槽27には、水温センサが設けられており、その水温センサは運転制御部に接続されている。
貯水槽27は、貯水槽27内の水の水面が洗浄滅菌槽11内において露出するように設けられており、そのため過熱水蒸気の生成を開始する際の貯水槽27内の水の水温が所定温度以上(例えば85℃以上93℃未満の範囲内の温度)の条件下において、洗浄滅菌槽11内に過熱水蒸気が供給されると、加熱ヒータ37に加えて、過熱水蒸気に接触してその熱により貯水槽27内の水が細菌の殺菌に十分な温度(例えば93〜100℃)まで加熱され、温水洗浄後に貯水槽27に溜まった細菌を含む水が高温殺菌されることとなる。従って、別途、加熱ヒータ37のみによって貯水槽27内の細菌で汚染された水を加熱して高温殺菌する必要がなく、そのため省エネルギーを図ることができる。
貯水槽27からは水供給ポンプ39が介設された水供給管38が延びて回転噴射ノズル16の固定部16bに接続されており、水供給ポンプ39は運転制御部に接続されている。貯水槽27には電磁給水弁41が介設された給水管42が接続されており、電磁給水弁41は運転制御部に接続されている。貯水槽27からは排水ポンプ44が介設された排水管43が延びており、排水ポンプ44は運転制御部に接続されている。
この洗浄滅菌装置10には、洗浄滅菌槽に水蒸気供給管を介して別構成の水蒸気発生装置50が接続されている。
その他の構成は実施形態1のものと同一である。
<洗浄滅菌装置の動作>
次に、この洗浄滅菌装置10の動作について説明する。
この洗浄滅菌装置10では、被洗浄滅菌物の洗浄、滅菌、すすぎ洗浄及び乾燥のそれぞれを別個に手動操作で行うことも可能であるが、運転制御部が予めインストールされた運転制御プログラムを実行することにより、洗浄水噴射、滅菌のための過熱水蒸気生成供給、すすぎ水噴射及び乾燥のための過熱水蒸気生成供給を連続して運転制御し、被洗浄滅菌物の洗浄、滅菌、すすぎ洗浄及び乾燥を一連の処理として行うことも可能である。以下、後者について具体的に説明する。なお、この洗浄滅菌装置10の動作は、操作パネル14の動作スイッチをオンにするところまでは実施形態1と同一であるので説明を省略する。また、各設定温度条件及び時間条件は実施形態1と同一である。
運転制御プログラムがスタートすると、貯水槽27の水位センサが水を検知していなければ、電磁給水弁41を開にする。これにより、給水管42を介して貯水槽27に給水される。そして、水位センサが水を検知すれば、電磁給水弁41を閉にする。なお、水位センサが水を検知する程度に予め貯水槽27に水が溜められている場合には、この手順は実行されない。
また、同時に、加熱ヒータ37もオンにし、その後、水温センサの検知情報に基づいて、貯水槽27内の水の水温が所定の第1設定水温以上となるようにオン/オフ制御する。これにより、貯水槽27内の水が加熱昇温される。
さらに、同時に、水供給ポンプ39をもオンにする。これにより、貯水槽27の水が洗浄水として回転噴射ノズル16の固定部16bを介してノズル本体16aに供給され、その水圧により洗浄水がノズル本体16aの複数の水噴射孔から噴射され、さらに、洗浄水がノズル本体16aの回転により洗浄滅菌槽11内に散布される。洗浄滅菌槽11内に噴射及び散布された水は再び貯水槽27に戻って循環する。このとき、洗浄滅菌槽11内に噴射及び散布された水により被洗浄滅菌物が予備水洗浄されることとなる。
水位センサが水を検知し且つ水温センサが第1設定水温を検知した後、この水循環動作を一定時間継続する。これにより、第1設定水温以上の温水の洗浄水が洗浄滅菌槽11内に噴射及び散布される。このとき、洗浄滅菌槽11内に噴射及び散布された温水により被洗浄滅菌物が温水洗浄されることとなる。
次いで、加熱ヒータ37を常時オンにする。また、水供給ポンプ39のオン状態は維持する。これにより、温水の洗浄滅菌槽11内への噴射及び散布、つまり、被洗浄滅菌物の温水洗浄が継続されつつ、貯水槽27内の水が加熱昇温される。
次いで、水温センサが所定の第2設定水温を検知すれば、水供給ポンプ39をオフにすると同時に、過熱水蒸気生成用ヒータ22及び過熱水蒸気供給用ファン23をオンにすると共に水蒸気発生装置50もオンにする。また、槽内温度センサの検知情報に基づいて、洗浄滅菌槽11の槽内温度が所定の第1設定槽内温度以上となるように過熱水蒸気生成用ヒータ22をオン/オフ制御する。これにより、温水の洗浄滅菌槽11内への噴射及び散布が停止し、一方、水蒸気発生装置50から洗浄滅菌槽11に水蒸気が供給され、その水蒸気が主に上側開口部20から過熱水蒸気生成室19に流入すると、その水蒸気が過熱水蒸気生成用ヒータ22によってさらに加熱されて過熱水蒸気を生成し、その過熱水蒸気が水蒸気供給用ファンによって下側開口部21から洗浄滅菌槽11に供給される。槽内温度センサが第1設定槽内温度を検知した後、その状態を一定時間継続する。このとき、その過熱水蒸気により被洗浄滅菌物が滅菌処理されることとなる。
これに加えて、過熱水蒸気の生成を開始する際の貯水槽27内の水の水温が所定温度以上(例えば85℃以上93℃未満の範囲内の温度)の条件下において、洗浄滅菌槽11内に過熱水蒸気が供給されると、貯水槽27内の水が、加熱ヒータ37に加えて、過熱水蒸気に接触してその熱により細菌の殺菌に十分な温度(例えば93〜100℃)まで加熱され、温水洗浄後に貯水槽27の細菌を含む水が高温殺菌される。従って、別途、加熱ヒータ37のみによって貯水槽27内の細菌で汚染された水を加熱して高温殺菌する必要がなく、そのため省エネルギーを図ることができる。
次いで、加熱ヒータ37をオン状態にしたまま、水温センサの検知情報に基づいて、貯水槽27内の水の水温が所定の第3設定水温以上となるようにそれらをオン/オフ制御する。これにより、貯水槽27内の水が加熱昇温される。また、同時に、水供給ポンプ39をもオンにする。これにより、貯水槽27の水がすすぎ水として回転噴射ノズル16の固定部16bを介してノズル本体16aに供給され、その水圧によりすすぎ水がノズル本体16aの複数の水噴射孔から噴射され、さらに、すすぎ水がノズル本体16aの回転により洗浄滅菌槽11内に散布される。洗浄滅菌槽11内に噴射及び散布された水は再び貯水槽27に戻って循環する。水温センサが第3設定水温を検知した後、この水循環動作を一定時間継続する。このとき、洗浄滅菌槽11内に噴射及び散布された水により被洗浄滅菌物がすすぎ洗浄されることとなる。なお、このとき、加熱ヒータ37をオフとし、貯水槽27内の水温が低下しつつある水をすすぎ水として使用してもよい。
そして、再び、水供給ポンプ39及び加熱ヒータ37をオフにすると同時に、過熱水蒸気生成用ヒータ22及び過熱水蒸気供給用ファン23をオンにすると共に水蒸気発生装置50もオンにする。また、槽内温度センサの検知情報に基づいて、洗浄滅菌槽11の槽内温度が所定の第2設定槽内温度以上となるように過熱水蒸気生成用ヒータ22をオン/オフ制御する。これにより、すすぎ水の洗浄滅菌槽11内への噴射及び散布が停止し、一方、水蒸気発生装置50から洗浄滅菌槽11に水蒸気が供給され、その水蒸気が主に上側開口部20から過熱水蒸気生成室19に流入すると、その水蒸気が過熱水蒸気生成用ヒータ22によってさらに加熱されて過熱水蒸気を生成し、その過熱水蒸気が過熱水蒸気供給用ファン23によって下側開口部21から洗浄滅菌槽11に供給される。槽内温度センサが第2設定槽内温度を検知した後、その状態を一定時間継続する。このとき、その過熱水蒸気により被洗浄滅菌物が乾燥されることとなる。なお、このとき、水蒸気発生装置50をオフにして水蒸気を生成せずに、過熱水蒸気生成用ヒータ22及び過熱水蒸気供給用ファン23のみをオンにして洗浄滅菌槽11内を昇温し、それによって被洗浄滅菌物を乾燥してもよい。
次いで、過熱水蒸気生成用ヒータ22及び水蒸気発生装置50をオフにし、排水ポンプ44及び電磁給水弁41をオンにする。また、過熱水蒸気供給用ファン23のオン状態は維持する。これにより、過熱水蒸気の生成が停止し、洗浄滅菌槽11内の空気が過熱水蒸気供給用ファン23によって循環して冷却され、そして、貯水槽27内の水が新たに給水された水と混合され水温が下がって一緒に排水管43を介して排水される。なお、貯水槽27への単位時間あたりの給水量は単位時間あたりの排水量よりも少なくする。
排水完了に要する充分な所定時間の後、排水ポンプ44をオフにする。また、過熱水蒸気供給用ファン23のオン状態は維持する。これにより、洗浄滅菌槽11内の空気が過熱水蒸気供給用ファン23によって循環し、洗浄滅菌槽11内全体が冷却される。このとき、洗浄滅菌槽11内に収容された被洗浄滅菌物も冷却されることとなる。
上記一定時間の経過後、過熱水蒸気供給用ファン23をオフにする。これにより、被洗浄滅菌物の洗浄及び滅菌が完了し、この後、開閉扉13を開いて洗浄滅菌槽11から収容籠15及び被洗浄滅菌物を取り出す。
なお、すすぎ洗浄及び乾燥、又は、乾燥を省略し、被洗浄滅菌物の滅菌或いはすすぎ洗浄の後に貯水槽27内の水を排水するようにしてもよい。また、すすぎ洗浄においては、貯水槽27内の温水洗浄に用いた水を一旦排水し、新たに給水した水ですすぎ洗浄するようにしてもよい。
(実施形態3)
<滅菌装置の構成>
図10は、実施形態3に係る滅菌装置60を示す。なお、この滅菌装置60の外観構成は実施形態1の図1及び2に示す洗浄滅菌装置10と同一であり、また、実施形態1と同一名称の部分は同一の符号を用いて示す。
この滅菌装置10は、別構成の洗浄装置70で洗浄した後の医療器具等の被滅菌物を滅菌槽61に入れ、その単一の滅菌槽61において、滅菌槽61内に過熱水蒸気を生成して供給することにより被滅菌物の滅菌を行った後、被滅菌物に対してすすぎ水を噴射することによりそのすすぎ洗浄を行い、滅菌槽61内に再び過熱水蒸気を生成して供給することにより被滅菌物の乾燥をも行うことができ、従って、コンパクトなスペースで被滅菌物の滅菌、すすぎ洗浄及び乾燥を行うことができるようにしたものである。
この滅菌装置60では、滅菌槽61内の上面部に回転噴射ノズル16が設けられている。回転噴射ノズル16の構成は実施形態2のものと同一である。
滅菌槽61の下側には貯水槽27が設けられている。この単一の貯水槽27は、回転噴射ノズル16に供給されるすすぎ水、加熱され水蒸気となって過熱水蒸気生成室19に供給される滅菌及び乾燥のための過熱水蒸気用の水を共用で貯水するように構成されており、滅菌用途、すすぎ洗浄用途及び乾燥用途の水源となるものである。
貯水槽27は、容量が例えば3〜4Lに形成されている。貯水槽27には、上側及び下側ヒータ36,37が上下に配設されている。上側及び下側ヒータ36,37の構成は実施形態1のものと同一である。
貯水槽27には、上側ヒータ36の位置よりもやや上方に図示しない水位センサが設けられており、その水位センサは運転制御部に接続されている。また、貯水槽27には、水温センサが設けられており、その水温センサは運転制御部に接続されている。
貯水槽27は、貯水槽27内の水の水面が滅菌槽61内において露出するように設けられており、そのため過熱水蒸気の生成を開始する際の貯水槽27内の水の水温が所定温度以上(例えば85℃以上93℃未満の範囲内の温度)の条件下において、滅菌槽61内に過熱水蒸気が供給されると、上側及び/又は下側ヒータ36,37に加えて、過熱水蒸気に接触してその熱により貯水槽27内の水が細菌の殺菌に十分な温度(例えば93〜100℃)まで加熱され、貯水槽27に溜まった細菌を含む水が高温殺菌されることとなる。従って、別途、上側及び/又は下側ヒータ36,37のみによって貯水槽27内の細菌で汚染された水を加熱して高温殺菌する必要がなく、そのため省エネルギーを図ることができる。
貯水槽27からは供給ポンプ39が介設された水供給管38が延びて回転噴射ノズル16の固定部16bに接続されており、水供給ポンプ39は運転制御部に接続されている。貯水槽27には電磁給水弁41が介設された給水管42が接続されており、電磁給水弁41は運転制御部に接続されている。貯水槽27からは排水ポンプ44が介設された排水管43が延びており、排水ポンプ44は運転制御部に接続されている。
その他の構成は実施形態1の洗浄滅菌装置10と同一である。
<滅菌装置の動作>
次に、この滅菌装置60の動作について説明する。
この滅菌装置60では、被滅菌物の滅菌、すすぎ洗浄及び乾燥のそれぞれを別個に手動操作で行うことも可能であるが、運転制御部が予めインストールされた運転制御プログラムを実行することにより、滅菌のための過熱水蒸気生成供給、すすぎ水噴射、乾燥のための過熱水蒸気生成供給を連続して運転制御し、被滅菌物の滅菌、すすぎ洗浄及び乾燥を一連の処理として行うことも可能である。以下、後者について具体的に説明する。なお、この滅菌装置60の動作は、操作パネル14の動作スイッチをオンにするところまでは実施形態1の洗浄滅菌装置10のものと同一であるので説明を省略する。また、各設定温度条件及び時間条件は実施形態1と同一である。
運転制御プログラムがスタートすると、貯水槽27の水位センサが水を検知していなければ、電磁給水弁41を開にする。これにより、給水管42を介して貯水槽27に給水される。そして、水位センサが水を検知すれば、電磁給水弁41を閉にする。なお、水位センサが水を検知する程度に予め貯水槽27に水が溜められている場合には、この手順は実行されない。
水位センサが水を検知した後、上側及び下側ヒータ36,37を常時オンにする。これにより、貯水槽27内の水が加熱昇温される。
次いで、水温センサが所定の第2設定水温を検知すれば、下側ヒータ37をオフにすると同時に、過熱水蒸気生成用ヒータ22及び過熱水蒸気供給用ファン23をオンにする。また、槽内温度センサの検知情報に基づいて、滅菌槽61の槽内温度が所定の第1設定槽内温度以上となるように過熱水蒸気生成用ヒータ22をオン/オフ制御する。これにより、貯水槽27の水が上側ヒータ36によって継続して加熱されて水蒸気を生成し、その水蒸気が主に上側開口部20から過熱水蒸気生成室19に流入すると、その水蒸気が過熱水蒸気生成用ヒータ22によってさらに加熱されて過熱水蒸気を生成し、その過熱水蒸気が水蒸気供給用ファンによって下側開口部21から滅菌槽61に供給される。槽内温度センサが第1設定槽内温度を検知した後、その状態を一定時間継続する。このとき、その過熱水蒸気により被滅菌物が滅菌処理されることとなる。なお、上記制御では、下側ヒータ37をオフにし、上側ヒータ36のみをオンとしたが、下側ヒータ37をオフにせずに両方をオンにしてもよい。但し、水から水蒸気を生成するためには、水面近くの水のみを加熱するだけで充分であり、下側ヒータ37をオフにすることにより不要なエネルギーの消費を回避でき、省エネルギーを図ることができる。
これに加えて、過熱水蒸気の生成を開始する際の貯水槽27内の水の水温が所定温度以上(例えば85℃以上93℃未満の範囲内の温度)の条件下において、滅菌槽61内に過熱水蒸気が供給されると、貯水槽27内の水が、上側ヒータ36に加えて、過熱水蒸気に接触してその熱により細菌の殺菌に十分な温度(例えば93〜100℃)まで加熱され、貯水槽27の細菌を含む水が高温殺菌される。従って、別途、上側及び下側ヒータ36,37のみによって貯水槽27内の細菌で汚染された水を加熱して高温殺菌する必要がなく、そのため省エネルギーを図ることができる。
次いで、上側ヒータ36をオン状態にしたまま下側ヒータ37をオンにし、つまり、上側及び下側ヒータ36,37の両方をオンにし、その後、水温センサの検知情報に基づいて、貯水槽27内の水の水温が所定の第3設定水温以上となるようにそれらをオン/オフ制御する。これにより、貯水槽27内の水が加熱昇温される。また、同時に、水供給ポンプ39をもオンにする。これにより、貯水槽27の水がすすぎ水として回転噴射ノズル16の固定部16bを介してノズル本体16aに供給され、その水圧によりすすぎ水がノズル本体16aの複数の水噴射孔から噴射され、さらに、すすぎ水がノズル本体16aの回転により滅菌槽61内に散布される。滅菌槽61内に噴射及び散布された水は再び貯水槽27に戻って循環する。水温センサが第3設定水温を検知した後、この水循環動作を一定時間継続する。このとき、滅菌槽61内に噴射及び散布された水により被滅菌物がすすぎ洗浄されることとなる。なお、このとき、上側及び下側ヒータ36,37の両方をオフとし、貯水槽27内の水温が低下しつつある水をすすぎ水として使用してもよい。
そして、再び、下側ヒータ37及び水供給ポンプ39をオフにし、上側ヒータ36を常時オンにすると同時に、過熱水蒸気生成用ヒータ22及び過熱水蒸気供給用ファン23をオンにする。また、槽内温度センサの検知情報に基づいて、滅菌槽61の槽内温度が所定の第2設定槽内温度以上となるように過熱水蒸気生成用ヒータ22をオン/オフ制御する。これにより、すすぎ水の滅菌槽61内への噴射及び散布が停止し、一方、貯水槽27の水が上側ヒータ36によって継続して加熱されて水蒸気を生成し、その水蒸気が主に上側開口部20から過熱水蒸気生成室19に流入すると、その水蒸気が過熱水蒸気生成用ヒータ22によってさらに加熱されて過熱水蒸気を生成し、その過熱水蒸気が過熱水蒸気供給用ファン23によって下側開口部21から滅菌槽61に供給される。槽内温度センサが第2設定槽内温度を検知した後、その状態を一定時間継続する。このとき、その過熱水蒸気により被滅菌物が乾燥されることとなる。なお、このとき、上側ヒータ36もオフにして貯水槽27内の水から水蒸気を生成せずに、過熱水蒸気生成用ヒータ22及び過熱水蒸気供給用ファン23のみをオンにして洗浄滅菌槽11内を昇温し、それによって被洗浄滅菌物を乾燥してもよい。
次いで、上側ヒータ36及び過熱水蒸気生成用ヒータ22をオフにし、排水ポンプ44及び電磁給水弁41をオンにする。その後の排水動作及び冷却動作は実施形態2と同様である。
なお、乾燥を省略し、被滅菌物のすすぎ洗浄の後に貯水槽27内の水を排水するようにしてもよい。
(実施形態4)
<滅菌装置の構成>
図11は、実施形態4に係る滅菌装置60を示す。なお、この滅菌装置60の外観構成は実施形態1の図1及び2に示す洗浄滅菌装置10と同一であり、また、実施形態1と同一名称の部分は同一の符号を用いて示す。
この滅菌装置10は、別構成の洗浄装置で洗浄した後の医療器具等の被滅菌物を滅菌槽61に入れ、その滅菌槽61において、滅菌槽61内に過熱水蒸気を生成して供給することにより被滅菌物の滅菌を行うようにしたものである。
この滅菌装置60では、滅菌槽61の下側に貯水槽27が設けられている。この貯水槽27は、加熱され水蒸気となって過熱水蒸気生成室19に供給される滅菌のための過熱水蒸気用の水を貯水するように構成されており、滅菌用途の水源となるものである。
貯水槽27は、容量が例えば3〜4Lに形成されている。貯水槽27には、上側及び下側ヒータ36,37が上下に配設されている。上側及び下側ヒータ36,37の構成は実施形態1のものと同一である。
貯水槽27には、上側ヒータ36の位置よりもやや上方に図示しない水位センサが設けられており、その水位センサは運転制御部に接続されている。また、貯水槽27には、水温センサが設けられており、その水温センサは運転制御部に接続されている。
貯水槽27は、貯水槽27内の水の水面が滅菌槽61内において露出するように設けられており、そのため過熱水蒸気の生成を開始する際の貯水槽27内の水の水温が所定温度以上(例えば85℃以上93℃未満の範囲内の温度)の条件下において、滅菌槽61内に過熱水蒸気が供給されると、上側及び/又は下側ヒータ36,37に加えて、過熱水蒸気に接触してその熱により貯水槽27内の水が細菌の殺菌に十分な温度(例えば93〜100℃)まで加熱され、貯水槽27に溜まった細菌を含む水が高温殺菌されることとなる。従って、別途、上側及び/又は下側ヒータ36,37のみによって貯水槽27内の細菌で汚染された水を加熱して高温殺菌する必要がなく、そのため省エネルギーを図ることができる。
貯水槽27には電磁給水弁41が介設された給水管42が接続されており、電磁給水弁41は運転制御部に接続されている。貯水槽27からは排水ポンプ44が介設された排水管43が延びており、排水ポンプ44は運転制御部に接続されている。
その他の構成は実施形態1の洗浄滅菌装置10と同一である。
<滅菌装置の動作>
次に、この滅菌装置60の動作について説明する。
この滅菌装置60では、運転制御部が予めインストールされた運転制御プログラムを実行することにより、滅菌のための過熱水蒸気生成供給を運転制御し、被滅菌物の滅菌処理を行う。なお、この滅菌装置60の動作は、操作パネル14の動作スイッチをオンにするところまでは実施形態1と同一であるので説明を省略する。また、各設定温度条件及び時間条件は実施形態1と同一である。
運転制御プログラムがスタートすると、貯水槽27の水位センサが水を検知していなければ、電磁給水弁41を開にする。これにより、給水管42を介して貯水槽27に給水される。そして、水位センサが水を検知すれば、電磁給水弁41を閉にする。なお、水位センサが水を検知する程度に予め貯水槽27に水が溜められている場合には、この手順は実行されない。
水位センサが水を検知した後、上側及び下側ヒータ36,37を常時オンにする。これにより、貯水槽27内の水が加熱昇温される。
次いで、水温センサが所定の第2設定水温を検知すれば、下側ヒータ37をオフにすると同時に、過熱水蒸気生成用ヒータ22及び過熱水蒸気供給用ファン23をオンにする。また、槽内温度センサの検知情報に基づいて、滅菌槽61の槽内温度が所定の第1設定槽内温度以上となるように過熱水蒸気生成用ヒータ22をオン/オフ制御する。これにより、貯水槽27の水が上側ヒータ36によって継続して加熱されて水蒸気を生成し、その水蒸気が主に上側開口部20から過熱水蒸気生成室19に流入すると、その水蒸気が過熱水蒸気生成用ヒータ22によってさらに加熱されて過熱水蒸気を生成し、その過熱水蒸気が水蒸気供給用ファンによって下側開口部21から滅菌槽61に供給される。槽内温度センサが第1設定槽内温度を検知した後、その状態を一定時間継続する。このとき、その過熱水蒸気により被滅菌物が滅菌処理されることとなる。なお、上記制御では、下側ヒータ37をオフにし、上側ヒータ36のみをオンとしたが、下側ヒータ37をオフにせずに両方をオンにしてもよい。但し、水から水蒸気を生成するためには、水面近くの水のみを加熱するだけで充分であり、下側ヒータ37をオフにすることにより不要なエネルギーの消費を回避でき、省エネルギーを図ることができる。
これに加えて、過熱水蒸気の生成を開始する際の貯水槽27内の水の水温が所定温度以上(例えば85℃以上93℃未満の範囲内の温度)の条件下において、滅菌槽61内に過熱水蒸気が供給されると、貯水槽27内の水が、上側ヒータ36に加えて、過熱水蒸気に接触してその熱により細菌の殺菌に十分な温度(例えば93〜100℃)まで加熱され、貯水槽27内の細菌を含む水が高温殺菌される。従って、別途、上側及び下側ヒータ36,37のみによって貯水槽27内の細菌で汚染された水を加熱して高温殺菌する必要がなく、そのため省エネルギーを図ることができる。
次いで、上側ヒータ36及び過熱水蒸気生成用ヒータ22をオフにし、排水ポンプ44及び電磁給水弁41をオンにする。その後の排水動作及び冷却動作は実施形態2と同様である。