JP5004651B2 - 光学フィルムの製造方法、光学フィルム及び液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルムの製造方法、光学フィルム及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、液晶表示装置等の光学補償や反射防止などに用いられる光学フィルムの製造方法に関し、特に低コストで良好な外観を有する光学フィルムを製造することが可能な製造方法に関する。また、本発明は、上記の製造方法によって製造される光学フィルム及びこの光学フィルムを有する液晶表示装置に関する。
従来より、基材の表面上に液晶材料を塗布して配向させることにより製造される種々の光学素子が知られている。このような光学素子の製造工程においては、液晶材料を基材表面上で配向させるため、例えば起毛布によって基材表面を一方向に擦るラビング処理を施すのが一般的である。例えば、光学素子が液晶セルである場合には、基材としてのガラス基板単位でラビング処理が施されることになる。しかしながら、基材としてプラスチックフィルムを用いる光学素子(光学フィルム)の場合には、裁断したフィルム単位でラビング処理を施すよりも、長尺のプラスチックフィルムを用いていわゆるロール・ツー・ロール方式で連続的にラビング処理を施す方が、製造効率ひいてはコスト面で圧倒的に有利である。
従って、光学フィルムを製造するに際し、上記のようなロール・ツー・ロール方式によって長尺フィルムに連続的にラビング処理を施す方法として、従来より種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、鏡面仕上げをされた金属表面を有する搬送ベルトにて長尺フィルムを搬送しながら、搬送ベルト上に配置されたラビングロールで前記フィルム表面にラビング処理を施すことを特徴とするラビング方法が提案されている。
また、特許文献2には、長尺フィルムをラビングロールと該ラビングロールに対向して配置されたバックアップロールとの間に連続的に搬送させながら、前記ラビングロールで前記フィルム表面にラビング処理を施すことを特徴とするラビング方法が提案されている。
一方、光学フィルムを製造するに際し、ラビング処理を施す基材としては、一般的に、直鎖状の構造を有する材料、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムやポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどが用いられている。また、ラビング処理を施した基材(フィルム)の表面に塗布する液晶材料としては、1つ又はそれ以上の官能基を有する液晶性分子が用いられている。そして、液晶性分子を適宜の有機溶媒などを用いて溶液化し、ラビング処理を施したフィルムの表面に塗布した後、乾燥・配向させ、適宜の紫外線などを露光して架橋させて固定することにより光学フィルムを製造している。
特開2004−170454号公報 特開平6−110059号公報
しかしながら、例えば、長尺のTACフィルムやPETフィルムを基材として用い、ロール・ツー・ロール方式によって連続的にラビング処理を施す場合、ラビング処理を施す前のロールに巻回した状態の基材にブロッキング(基材同士が光学的に界面を有さずに密着する現象)が生じる場合がある。
上記のような基材においては、ブロッキングが生じた部分の表面状態が変化するため、当該基材にラビング処理を施しても、ブロッキングが生じた部分とそれ以外の部分とでは配向特性が変化し、液晶性分子にドメインが発生することによって均一な配向状態が得られない場合があるという問題がある。例えば、製造する光学フィルムが、液晶ディスプレイに用いる位相差フィルムである場合、画面内での均一性が重要であるため、上記のような不均一な配向状態の位相差フィルムでは殆ど商品価値が得られないことになる。
ブロッキングが生じた基材についても均一な配向特性を得るためには、例えば、ラビングロールの押し込み量を大きくすることが考えられる。しかしながら、ラビングロールの押し込み量を大きくすればするほど、ラビング処理を施す際にフィルム表面が削れて、それが異物としてフィルム表面に付着し易くなる結果、光学フィルムの外観不良(輝点の出現やコントラストの低下)を引き起こすという問題がある。特許文献1や2には、この問題を解決する手段について開示も示唆もない。
本発明は、斯かる従来技術の問題を解決するべくなされたものであり、たとえブロッキングが生じるような基材を用いる場合であっても、低コストで良好な外観を有する光学フィルムを製造することが可能な製造方法、この製造方法によって製造される光学フィルム及びこの光学フィルムを有する液晶表示装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するべく、本発明者らは、いわゆるナノインデンテーション試験によって得られる除荷曲線の傾き(除荷開始直後の傾き)で表される接触剛性率に着目した。そして、ラビングロールによって擦るプラスチックフィルムの表面の接触剛性率を所定値以上に設定すれば(プラスチックフィルムとして所定値以上の接触剛性率を有するフィルムを用いれば)、たとえブロッキングの影響を低減するためにラビングロールの押し込み量を大きくしたとしても、ラビング処理を施す際に異物がフィルム表面に付着し難くなり、良好な外観を有する光学フィルムを製造できることを見出した。本発明者らは、この新しい知見に基づき、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、長尺のプラスチックフィルムの表面をプラスチックフィルムの搬送方向に対して直角方向から回転軸を傾斜させたラビングロールによって擦るラビング処理工程と、前記ラビング処理工程を経たプラスチックフィルムの表面に液晶性分子を塗布する塗布工程と、前記塗布した液晶性分子を固定する固定工程とを含み、前記ラビング処理工程において、前記プラスチックフィルムの搬送速度が1〜50m/minであり、前記ラビングロールの外径が130〜170mmであり、前記ラビングロールの回転数が1〜3000rpmであり、前記ラビングロールの押し込み量が100〜2000μmであり、前記ラビングロールによって擦るプラスチックフィルムの表面の接触剛性率が4000N/m以上であることを特徴とする光学フィルムの製造方法を提供するものである。
なお、前記接触剛性率は、正三角錐型ダイヤモンド製圧子を荷重Pが所定の最大荷重P max になるまでプラスチックフィルムに押し込む負荷過程と該負荷過程の後に前記圧子を荷重Pが0になるまで引き抜く除荷過程とを実行するナノインデンテーション試験によって得られる、前記圧子の荷重Pと押し込み深さhとの関係の内、前記除荷過程で得られる関係(除荷曲線)に基づき算出されるものであって、前記負荷過程から前記除荷過程に遷移した直後の前記除荷曲線の傾きdP/dhを意味する。前記圧子の最大押し込み深さh max (前記圧子の荷重Pが最大荷重P max に到達したときの前記圧子の押し込み深さh)は200nmに設定される。
斯かる発明によれば、ロール・ツー・ロール方式によって長尺のプラスチックフィルムに連続的にラビング処理を施すことが可能であるため低コストであると共に、プラスチックフィルムの表面の接触剛性率を4000N/m以上とすることにより、ラビング処理を施す際にプラスチックフィルムの表面に異物が付着し難くなり、良好な外観を有する光学フィルムを製造することが可能である。なお、本発明における「接触剛性率」の意味については後述する。
好ましくは、前記ラビング処理工程において、金属表面を有する搬送ベルトによって前記長尺のプラスチックフィルムを支持して搬送すると共に、前記プラスチックフィルムを支持する搬送ベルトの下面を支持するバックアップロール機構を配設し、前記バックアップロール機構は、前記ラビングロールの直下であって、前記ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設され、前記搬送ベルトの搬送方向に沿ってそれぞれ回転する複数のバックアップロールと、前記ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設された台座部と、前記搬送ベルト表面の法線周りに回転可能に前記台座部上に一端が軸支された複数の支持部とを備え、前記複数の各バックアップロールは、前記複数の各支持部に前記搬送ベルトの搬送方向に沿って回転可能に軸支され、前記搬送ベルトの移動に伴い前記搬送ベルトの下面から付与される摩擦力によって、前記搬送ベルトの搬送方向に沿って回転する向きとなる

斯かる好ましい構成によれば、プラスチックフィルムを支持する搬送ベルトの下面を支持するバックアップロール機構が、ラビングロールの直下であって、ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設された複数のバックアップロールを備えるため、ラビングロールの回転軸が搬送ベルトの搬送方向に対して直角方向から傾斜していても、各バックアップロールは、プラスチックフィルム及び搬送ベルトを介して、傾斜したラビングロールの直下に配設されることになる。また、各バックアップロールが、搬送ベルトの搬送方向(プラスチックフィルムの搬送方向)に沿ってそれぞれ回転するため、各バックアップロールの回転が搬送ベルトの搬送方向への移動ひいてはプラスチックフィルムの搬送を阻害することもない。従って、たとえラビングロールの回転軸が搬送ベルトの搬送方向に対して直角方向から傾斜した状態でラビングロールの押し込み量を大きくしたとしても、搬送ベルトの平坦度が向上して弛みが生じ難く且つ搬送ベルトの移動が阻害されることもなく、安定した状態でラビング処理を施すことが可能である。この結果、プラスチックフィルムに均一な配向特性を付与することができ、ひいては均一な光学特性を有する光学フィルムを製造することが可能である。
好ましくは、前記塗布工程及び前記固定工程により、前記プラスチックフィルムの表面に1/2波長板として機能する光学補償層が形成される。
また、本発明は、上記の光学フィルムの製造方法によって製造される光学フィルムとしても提供される。
好ましくは、前記光学フィルムは、バーティカル・アライメント(VA)モードの液晶セルを具備する液晶表示装置に用いられる。
さらに、本発明は、上記の光学フィルムを有する液晶表示装置としても提供される。
本発明に係る光学フィルムの製造方法によれば、低コストで良好な外観を有する光学フィルムを製造することが可能である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る光学フィルムの製造方法におけるラビング処理工程を実施するためのラビング処理装置の概略構成を示す正面図である。図2は、図1に示すバックアップロール機構の概略構成を示す図であり、図2(a)は平面図を、図2(b)はバックアップロール近傍の斜視図を、図2(c)はフィルムの搬送方向から見た図をそれぞれ示す。図1に示すように、本実施形態に係るラビング処理装置100は、駆動ロール1、2と、駆動ロール1、2間に架設され、長尺のプラスチックフィルムFを支持して搬送する無限軌道の搬送ベルト3と、搬送ベルト3の上方において上下方向に昇降可能に配設されたラビングロール4と、プラスチックフィルムFを支持する搬送ベルト3の下面を支持するバックアップロール機構5とを備えている。なお、ラビング装置100の前後には、必要に応じて適切な静電気除去装置や除塵装置等を設置しても良い。
搬送ベルト3は、プラスチックフィルムFを支持する側の表面が鏡面仕上げされた金属表面(搬送ベルト3全体を金属製としてもよい)とされている。斯かる金属としては、銅や鋼等の各種金属材料を用いることができるが、強度、硬度、耐久性の点よりステンレス鋼を用いることが好ましい。プラスチックフィルムFとの密着性を確保するため、鏡面仕上げの程度としては、表面粗さ(Ra)を0.02μm以下とすることが好ましく、より好ましくは、0.01μm以下とされる。また、プラスチックフィルムFの弛みを防止するには、これを支持する搬送ベルト3の弛みを防止する必要がある。搬送ベルト3の弛みを防止すると共に、駆動ロール1、2間に架設するためにある程度の可撓性を付与する必要があることに鑑みれば、搬送ベルト3の厚みは、0.5mm〜2.0mmとすることが好ましく、より好ましくは0.7mm〜1.5mmとされる。また、搬送ベルト3の弛みを防止すると共に、搬送ベルト3の張力強度を考慮すれば、搬送ベルト3に付与する張力は、0.5〜20kg重/mmとすることが好ましく、より好ましくは、2〜15kg重/mmとされる。
ラビングロール4は、その外周面に起毛布4aが巻回されている。起毛布の材質や形状等は、ラビング処理を施されるプラスチックフィルムFの材質に応じて適宜選択すればよい。一般的には、起毛布4aとして、レーヨン、コットン、ナイロン、トリアセテート又はこれらの混合物等を適用することができる。本実施形態に係るラビングロール4の回転軸は、プラスチックフィルムFの搬送方向(図1の矢符Aで示す方向)に対して直角方向から傾斜(例えば、傾斜角度が0°を超え45°以下)させることができるように、すなわち、プラスチックフィルムFの長辺に対して任意の軸角度に設定できるように構成されている。また、ラビングロール4の回転方向は、ラビング処理の条件に応じて適宜選択可能である。なお、ラビングロール4(起毛布4aを含む)の外径は、好ましくは130mm以上170mm以下(より好ましくは140mm以上160mm以下)に設定される。
図2に示すように、バックアップロール機構5は、搬送ベルト3の搬送方向(図2(a)の矢符Aで示す方向)に沿ってそれぞれ回転する複数のバックアップロール51を備えている。そして、各バックアップロール51は、ラビングロール4の直下であって、ラビングロール4の回転軸と略平行な直線に沿って配設されている。
このように、プラスチックフィルムFを支持する搬送ベルト3の下面を支持するバックアップロール機構5が、ラビングロール4の直下であって、ラビングロール4の回転軸と略平行な直線に沿って配設された複数のバックアップロール51を備えるため、ラビングロール4の回転軸が搬送ベルトの搬送方向に対して直角方向から傾斜している場合(例えば、図2(a)の直線C1がラビングロール4の回転軸である場合)であっても、各バックアップロール51は、プラスチックフィルムF及び搬送ベルト3を介して、傾斜したラビングロール4の直下に配設されることになる。さらに、各バックアップロール51が、搬送ベルト3の搬送方向(プラスチックフィルムFの搬送方向)に沿ってそれぞれ回転するため、各バックアップロール51の回転が搬送ベルト3の搬送方向への移動ひいてはプラスチックフィルムFの搬送を阻害することもない。従って、たとえラビングロール4の回転軸が搬送ベルト3の搬送方向に対して直角方向から傾斜した状態でラビングロール4の押し込み量を大きくしたとしても、搬送ベルト3の平坦度が向上して弛みが生じ難く且つ搬送ベルト3の移動が阻害されることもなく、安定した状態でラビング処理を施すことが可能である。この結果、プラスチックフィルムFに均一な配向特性を付与することができ、ひいては均一な光学特性を有する光学フィルムを製造することが可能である。
本実施形態に係るバックアップロール機構5は、好ましい構成として、ラビングロール4の回転軸と略平行な直線に沿って配設された台座部52と、搬送ベルト3表面の法線周りに回転可能に台座部52上に軸支された複数の支持部53とを更に備え、各バックアップロール51は、各支持部53に搬送ベルト3の搬送方向に沿って回転可能に軸支されている。より具体的に説明すれば、本実施形態に係る支持部53は、軸部材54によって台座部53に軸支されており、軸部材54周りに回転可能とされている。また、本実施形態に係るバックアップロール51は、軸部材55によって支持部53に軸支されており、軸部材55周りに回転可能とされている。
斯かる好ましい構成によれば、ラビングロール4の回転軸が搬送ベルト3の搬送方向に対して直角方向(図2(a)の直線C0の方向)から傾斜していても、バックアップロール機構5を構成する台座部52を同じ様に傾斜させる(すなわち、前記傾斜したラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿うように台座部52を傾斜させる)ことにより、搬送ベルト3の移動に伴って(搬送ベルト3下面から付与される摩擦力によって)支持部53に軸支されたバックアップロール51が搬送ベルト3の搬送方向に沿って回転する向きとなるように、台座部52に軸支された支持部53が自然に回転することになる。換言すれば、本実施形態のように、ラビングロール4の傾斜角度が固定ではなく、傾斜角度の設定値を変更したとしても、台座部52をラビングロール4と同様の傾斜角度に変更するだけで、各バックアップロール51がラビングロール4の直下に配設され且つ搬送ベルト3の搬送方向に沿って回転する状態にすることが可能である。
さらに、図2(c)に示すように、本実施形態に係るバックアップロール機構5は、好ましい構成として、ラビングロール4の回転軸を搬送ベルト3の搬送方向に対して直角方向から傾斜させた場合に、これに伴って台座部52も傾斜するようにラビングロール4と台座部52とを連結する連結機構56を備えている。より具体的に説明すれば、本実施形態に係る連結機構56は、ラビングロール4を回転軸周りに回転可能に且つ上下方向に昇降可能に支持すると共に、台座部52を支持する断面略コの字状の枠体とされており、その頂部に取り付けられたモータMによって、図2(c)の矢符Bの方向に回転可能とされている。モータMによって、連結機構56が図2(c)の矢符Bの方向に回転することにより、連結機構56に支持されたラビングロール4及び台座部52は、同じ方向に同じ角度だけ回転(傾斜)することになる。従って、ラビングロール4と台座部52とを個別に傾斜させる構成に比べて、設定が極めて容易となる。なお、本実施形態では、モータMを用いて自動的に連結機構56を回転させる構成について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、連結機構56を手動で回転させる構成を採用することも可能である。
なお、本実施形態では、好ましい構成として、隣接する各バックアップロール51の回転軸方向の中心間距離L1(図2(a)参照)は、60mm以上200mm以下(より好ましくは、70mm以上150mm以下)に設定される。また、各バックアップロール51の回転軸方向の幅L2(図2(a)参照)は、20mm以上150mm以下(より好ましくは25mm以上70mm以下)に設定される。その他、隣接する各バックアップロール51の離間距離L3(図2(a)参照)は、40mm以上60mm以下(より好ましくは45mm以上55mm以下)に、各バックアップロール51の外径は70mm以上110mm以下(より好ましくは80mm以上100mm以下)に、台座部52の長さは1500mm以上2500mm以下(ただし、搬送ベルト3の幅よりも大きい値とされる)に、それぞれ設定される。
以上に説明した構成を有するラビング装置100を用いてプラスチックフィルムFにラビング処理を施すに際し、所定のロール(図示せず)に巻回した状態の長尺のプラスチックフィルムFの先端が、複数の搬送ロール(図示せず)を経て搬送ベルト3上に供給される。そして、駆動ロール1、2を回転駆動させることにより、搬送ベルト3が図1の矢符Cで示す方向に移動し、これに伴いプラスチックフィルムFも搬送ベルト3と共に搬送され、ラビングロール4によってラビング処理が施されることになる。
本実施形態に係る製造方法の適用対象となるプラスチックフィルムFは、その表面をラビング処理するか、或いは、その表面に形成した配向膜をラビング処理することにより、後述するように表面に塗布した液晶性分子を配向させることのできる機能が付与されると共に、ラビングロール4によって擦るフィルムFの表面の接触剛性率が4000N/m以上である限りにおいて、その材質に特に制限はない。なお、フィルムFの表面の接触剛性率は、好ましくは12000N/m以下、より好ましくは8000N/m以下、さらに好ましくは6000N/m以下とされる。以下、この接触剛性率の意味について説明する。
図3は、本発明における接触剛性率の意味を説明するための模式図である。本発明における接触剛性率は、いわゆるナノインデンテーション試験によって得られる物性値である。ナノインデンテーション試験は、圧子(正三角錐型ダイヤモンド製圧子)を徐々に荷重Pをかけて所定の最大荷重Pmaxとなるまで被検材に押し込む過程(負荷過程、図3(a)参照)、徐々に除荷して荷重Pが0になるまで引き抜く過程(除荷過程、図3(b)参照)において得られる、圧子の荷重Pと押し込み深さhとの関係(図3(c))から、被検材の弾性的性質を測定する試験である。押し込み深さhは、圧子の先端と初期状態の被検材表面(圧子を押し込む前の被検材表面)との距離を意味し、圧子が被検材の表面に初めて接触した位置を基準とした圧子の変位量に相当する。
本発明における接触剛性率は、上記のナノインデンテーション試験によって得られる圧子の荷重Pと押し込み深さhとの関係の内、除荷過程で得られる関係(図3(c)の除荷曲線)に基づき算出される。より具体的に説明すれば、接触剛性率は、圧子の位置が最大押し込み深さhmax(最大荷重Pmaxをかけたときの押し込み深さ)に到達してから除荷過程に遷移した直後の除荷曲線の傾きによって定義される。換言すれば、接触剛性率は、点(hmax、Pmax)における除荷曲線に対する接線Lの勾配(dP/dh)を意味する。
この接触剛性率は、除荷過程において圧子の荷重Pが初めて0になったときの押し込み深さhと正の相関を有する。押し込み深さhは、圧子の荷重Pが0になっても、変形した被検材表面が初期状態に戻らない(弾性回復しない)度合い、すなわち負荷過程における被検材の塑性変形量を示す指標である。従って、この押し込み深さhと正の相関を有する接触剛性率は、被検材の塑性変形のし易さ(弾性回復のし難さ)を示す指標であるといえる。
本実施形態に係るプラスチックフィルムFの表面は、以上に説明した接触剛性率が4000N/m以上の大きな値であるため、ラビングロール4の押し込み量を大きくしたとしても、フィルムFの表面が塑性変形し易く、ラビングロール4に生じるトルクが小さくなる(ラビングロール4とフィルムFとの間に生じる摩擦力が小さくなる)。このため、ラビング処理を施す際にフィルムFの表面が削れ難くなり、異物(フィルムFの削れ滓)がフィルムFの表面に付着し難くなる。この結果、良好な外観を有する光学フィルムを製造可能である。
プラスチックフィルムFとしては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)等のポリオレフィン、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等からなるフィルムを挙げることができる。しかしながら、本実施形態に係る製造方法は、ブロッキングが生じ易いフィルム、例えばトリアセチルセルロースフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、適宜「PETフィルム」という)等に特に有効である。
例えば、PETフィルムは、概略以下のようにして作製される。先ず、不活性粒子を添加したエチレングリコールと、テレフタル酸又はテレフタル酸ジメチルとを重縮合させることにより、エチレンテレフタレートのペレットを作製する。次に、このペレットを用いて調製した樹脂を押出機に供給して加熱溶融する。そして、押出機から溶融した樹脂をシート状に押し出して、キャスティングドラム上で冷却固化することにより、未延伸フィルムを作製する。次に、この未延伸フィルムを60〜120℃で長手方向に2〜6倍に延伸した後、80〜130℃で幅方向に2〜6倍に延伸する。さらに、この二軸延伸フィルムを150〜250℃(結晶化温度)で1〜600秒間熱処理して結晶化させることにより、PETフィルムを作製する。
本発明者らが見出した知見によれば、プラスチックフィルムFがPETフィルムである場合、上記PETフィルムの製造工程における結晶化温度(結晶化率)を調整することにより、フィルムFの表面の接触剛性率を制御可能である。すなわち、結晶化温度(結晶化率)と接触剛性率とは正の相関を有するため、フィルムFの表面の接触剛性率が4000N/m以上となるように、結晶化温度(結晶化率)の下限値を設定すればよい。また、本発明者らが見出した知見によれば、プラスチックフィルムFが結晶化率の小さいPETフィルムであっても、このPETフィルム表面にポリビニルアルコール(PVA)からなる配向膜を形成することによって、フィルムFの表面(フィルムFと配向膜との積層体の表面)の接触剛性率を制御可能である。
プラスチックフィルムF表面に配向膜を形成する場合、この配向膜としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアミド等を挙げることができる。また、配向膜の形成方法としては、例えば、スピンコート法、バーコート法、スロットダイコート法、ディップコート法などを挙げることができる。
なお、装置仕様等の関係上、一般的には、プラスチックフィルムFの搬送速度は1〜50m/min、好ましくは1〜10m/minの範囲で設定され、ラビングロール4の回転数は1〜3000rpm、好ましくは500〜2000rpmの範囲で設定され、ラビングロール4の押し込み量は100〜2000μm、好ましくは100〜1000μmの範囲で設定される。なお、上記「ラビングロール4の押し込み量」とは、プラスチックフィルムFの表面に対してラビングロール4の位置を変動させた場合において、ラビングロール4に巻回した起毛布の毛先が最初にプラスチックフィルムF表面に接した位置を原点(0点)とし、当該原点からプラスチックフィルムFに向けてラビングロール4を押し込んだ量(位置の変動量)を意味する。
以上のようにしてラビング処理を施されたプラスチックフィルムFの表面には、液晶性分子が塗布され、当該塗布した液晶性分子を硬化又は固化することによって光学フィルムが製造される。
液晶性分子を塗布する際には、一般的に、液晶化合物が溶解された溶液が用いられる。前記溶液に含有される液晶分子としては、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、液晶モノマーなどが適宜用いられる。
液晶ポリマーを用いる場合、液晶ポリマー溶液をプラスチックフィルムFの表面に塗布した後、液晶相を示す温度領域以上になるまで加熱し、乾燥させた後、液晶相を示す状態のままで室温まで急冷することにより、光学異方性を示す液晶状態を固定化することが可能である。
液晶プレポリマーや液晶モノマーを用いる場合、これらの溶液をプラスチックフィルムFの表面に塗布した後、液晶相を示す温度領域以上になるまで加熱し、乾燥させた後、液晶相を示す状態の温度まで冷却し、紫外線などを露光することにより架橋させて、光学異方性を示す液晶状態を固定化することが可能である。
ここで、好ましくは、プラスチックフィルムFの表面に塗布された液晶性分子を固定することにより、プラスチックフィルムの表面に、nx>ny=nzの屈折率特性を有し、1/2波長板として機能する光学補償層が形成される。ここで、「nx」は、光学補償層の面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率を、「ny」は、光学補償層の面内で遅相軸に垂直な方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率を、「nz」は、光学補償層の厚み方向の屈折率を意味する。また、「ny=nz」とは、nyとnzとが厳密に等しい場合のみならず、nyとnzとが実質的に等しい場合も包含する意味である。実質的に等しいとは、光学フィルムの全体的な光学特性に実用上の影響を与えない範囲でnyとnzとが異なる場合も包含する趣旨である。
上記光学補償層の面内の位相差値Re[590]は、好ましくは200〜300nm、より好ましくは220〜280nm、最も好ましくは230〜270nmとされる。なお、Re[590]は、23℃における波長590nmの光で測定した光学補償層の面内の位相差値(=(nx−ny)×d(d:光学補償層の厚み(nm)))を意味する。
上記光学補償層の厚みは、1/2波長板として最も適切に機能し得るように設定することができる。換言すれば、光学補償層の厚みは、所望の面内位相差値が得られるように設定すればよい。具体的には、光学補償層の厚みは、好ましくは0.5〜5μm、より好ましくは1〜4μm、最も好ましくは1.5〜3μmとされる。
上記光学補償層を形成する液晶性分子としては、液晶相がネマチック相である液晶性分子であることが好ましい。液晶性分子を用いることにより、光学補償層のnxとnyとの差を非液晶性材料に比べて格段に大きくすることができる。その結果、所望の面内位相差値を得るための光学補償層の厚みを格段に小さくすることができる。液晶性分子の液晶性の発現機構は、リオトロピック及びサーモトロピックの何れでもよい。また、液晶の配向状態は、ホモジニアス配向であることが好ましい。
上記光学補償層を形成する液晶性分子が液晶モノマーである場合、例えば、重合性モノマー又は架橋性モノマーであることが好ましい。これは、重合性モノマー又は架橋性モノマーを重合又は架橋させることによって、液晶性分子の配向状態を固定できるためである。液晶モノマーを配向させた後に、液晶モノマー(重合性モノマー又は架橋性モノマー)同士を重合又は架橋させれば、上記配向状態を固定できる。ここで、重合によりポリマーが形成され、架橋により3次元網目構造が形成されることとなるが、これらは非液晶性である。従って、形成された光学補償層は、液晶化合物に特有の、温度変化による液晶相、ガラス相、結晶相への転移が生じることはない。この結果、光学補償層は、温度変化に影響されない極めて安定性に優れる光学補償層となる。なお、重合性モノマー及び架橋性モノマーは、組み合わせて用いてもよい。
前記液晶モノマーとしては、例えば、以下の化学式(1)〜(16)の何れかで表されるモノマーを選択することが可能である。
Figure 0005004651
Figure 0005004651
そして、液晶モノマー溶液には、好ましくは、重合剤や架橋剤が含まれる。これら重合剤及び架橋剤としては、特に制限されないが、例えば、以下のようなものが使用できる。前記重合剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が使用でき、前記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート架橋剤等が使用できる。これらはいずれか一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
液晶モノマー溶液の塗工液は、例えば、前記の液晶モノマーを、適当な溶媒に溶解・分散することによって調製できる。前記溶媒としては、特に制限されないが、例えば、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、フェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒、アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル系溶媒、あるいは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等が使用できる。これらの中でも好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン、MEK、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸エチルセロソルブである。これらの溶剤は、例えば、一種類でもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。
前記塗工液は、例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤバーコート法、ディップコート法、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、スプレコート法等の従来公知の方法によって流動展開させればよく、この中でも、塗布効率の点からスピンコート、エクストルージョンコートが好ましい。
液晶モノマー溶液の塗工液をプラスチックフィルムFの表面に塗布した後の加熱処理の温度条件は、例えば、用いる液晶モノマーの種類、具体的には液晶モノマーが液晶性を示す温度に応じて適宜決定できるが、通常、40〜120℃の範囲であり、好ましくは50〜100℃の範囲であり、より好ましくは60〜90℃の範囲である。前記温度が40℃以上であれば、通常、十分に液晶モノマーを配向することができ、前記温度が120℃以下であれば、例えば、耐熱性の面においてプラスチックフィルムFの選択肢が広がることになる。
前記溶解する液晶化合物としては、塗布可能なものである限り特に制限されないが、例えば、棒状液晶化合物、平板状液晶化合物、或いは、これらの重合物が用いられる。より具体的には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類などの液晶化合物や、これらの重合物が好ましく用いられる。
以上に説明した本実施形態に係る製造方法によって製造される光学フィルムには、公知の方法を適宜適用することにより、位相差、色補償、視野角拡大、反射防止等の機能を付与することが可能であり、液晶表示装置(VAモードの液晶セルを具備する液晶表示装置等)、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等の各種表示装置用の光学フィルムとして使用することが可能である。
以下、実施例及び比較例を示すことにより、本発明の特徴をより一層明らかにする。
<実施例1>
(1)基材(プラスチックフィルムF)の作製
不活性粒子として数珠状シリカを添加したエチレングリコールスラリーを調製し、このエチレングリコールスラリーを190℃で1.5時間熱処理した。続いて、このエチレングリコールスラリーをテレフタル酸ジメチルとエステル交換反応させた後、重縮合させ、数珠状シリカを0.3〜55重量%含有するエチレンテレフタレートのペレットを作製した。
次に、このペレットを用いて調製した樹脂を180℃で3時間滅圧乾燥(3Torr)させた後、押出機に供給して310℃で加熱溶融した。続いて、押出機から溶融した樹脂をシート状に押し出して、表面温度30℃のキャスティングドラム上で冷却固化することにより、未延伸フィルムを作製した。この際、後述するように、最終的に得られる基材の厚みが40μmとなるように、押出機の吐出量を調節した。
次に、複数のロール間の周速差を利用したロール延伸によって、上記の未延伸フィルムを100℃で長手方向に4倍に延伸した後、テンターを用いて110℃で幅方向に4倍に延伸した。続いて、この二軸延伸フィルムを235℃(結晶化温度)で5秒間熱処理して結晶化させることにより、基材として厚み40μmのPETフィルムを作製した。
上記のようにして作製したPETフィルムの結晶化率は47%であった。なお、結晶化率は、マイクロメリテックス社製のマルチボリウム密度計1305によってPETフィルムの密度値を測定し、この密度値を公知の換算式によって結晶化率に換算することにより求めた。後述する実施例2〜6及び比較例1〜4についても同様である。また、上記のようにして作製したPETフィルムの表面の接触剛性率は4088N/mであった。なお、接触剛性率は、MTSシステムズ社製のナノインデンター(NanoIndentor)DCM SA2を用いて、最大押し込み深hmaxを200nmとして測定した。後述する実施例2〜6及び比較例1〜4についても同様である。
(2)ラビング処理
上記のPETフィルムに対して、図1及び図2に示すラビング処理装置100を用いて、ラビング処理を施した。なお、搬送ベルト3表面の鏡面仕上げはRa=0.01μm、駆動ロール1、2の外径は550mm、フィルムの搬送速度は5m/min、各バックアップロール51の外径は全て90mm、隣接する各バックアップロール51の回転軸方向の中心間距離L1は全て80mm、各バックアップロール51の回転軸方向の幅L2は全て30mmとした。また、ラビングロール4(起毛布4aを含む)の半径は76.89mmとし、レーヨン製の起毛布を巻回したものを用いた。ラビングロール4の回転軸はフィルムの搬送方向に対して直角方向から24.3°傾斜させ、各バックアップロール51は、ラビングロール4の直下であって、上記回転軸と平行な直線に沿って配置した。ラビングロール4の回転数は1500rpm、押し込み量は0.4mmとした。
(3)液晶化合物を含有する塗布液の調整
下記の化学式で表される紫外線重合性ネマチック液晶化合物1gに光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製Irgacure907)0.03gを加え、固形分が20重量%になるようにトルエンで希釈し、10分間攪拌して塗布液を得た。
Figure 0005004651
(4)液晶性分子の塗布・固定
前記PETフィルムのラビング処理を施した表面に、キャップコーターを用いて前記塗布液を塗布し、90℃で2分間乾燥させた後、室温に冷却し、紫外線を積算光量で100mJ/cm照射することにより液晶性分子を硬化させて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。
<実施例2>
基材として、結晶化温度245℃(結晶化率50%)で作製したPETフィルムを用いたこと以外は、実施例1に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。本実施例におけるPETフィルムの表面の接触剛性率は4343N/mであった。
<実施例3>
基材として、押出機の吐出量を調節することにより厚み80μmとしたPETフィルムを用いたこと以外は、実施例2に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。本実施例におけるPETフィルムの表面の接触剛性率は4345N/mであった。
<実施例4>
基材として結晶化温度155℃(結晶化率35%)で作製したPETフィルムを用いたこと、押出機の吐出量を調節することによりPETフィルムの厚みを75μmとしたこと、及び、そのPETフィルムの表面に厚み2μm、結晶化温度(乾燥温度)60℃、結晶化率20%のポリビニルアルコール(PVA)を配向膜として形成したこと以外は、実施例1に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。本実施例における基材(PETフィルムと配向膜との積層体)の表面の接触剛性率は6150N/mであった。なお、配向膜の厚み測定には、大塚電子製の分光光度計:MCPD2000を用いた。後述する実施例5、6についても同様である。また、PVAの結晶化率は、前述したPETフィルムの結晶化率測定方法と同様の方法で測定した。後述する実施例5、6についても同様である。
<実施例5>
結晶化温度(乾燥温度)120℃、結晶化率30%のPVAを配向膜として形成したこと以外は、実施例4に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。本実施例における基材(PETフィルムと配向膜との積層体)の表面の接触剛性率は7190N/mであった。
<実施例6>
配向膜の厚みを10μmとしたこと以外は、実施例5に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。本実施例における基材(PETフィルムと配向膜との積層体)の表面の接触剛性率は7635N/mであった。
<比較例1>
基材として、結晶化温度155℃(結晶化率35%)で作製したPETフィルムを用いたこと以外は、実施例1に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。本実施例におけるPETフィルムの表面の接触剛性率は3552N/mであった。
<比較例2>
基材として、結晶化温度180℃(結晶化率38%)で作製したPETフィルムを用いたこと以外は、実施例1に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。本実施例におけるPETフィルムの表面の接触剛性率は3584N/mであった。
<比較例3>
基材として、結晶化温度205℃(結晶化率41%)で作製したPETフィルムを用いたこと以外は、実施例1に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。本実施例におけるPETフィルムの表面の接触剛性率は3723N/mであった。
<比較例4>
基材として、結晶化温度220℃(結晶化率44%)で作製したPETフィルムを用いたこと以外は、実施例1に準じて位相差フィルム(1/4波長板)を作製した。本実施例におけるPETフィルムの表面の接触剛性率は3785N/mであった。
<評価結果>
(1)摩耗試験による粗さ変化の評価
実施例1〜6及び比較例1〜4において作製した基材(実施例1〜3及び比較例1〜4についてはPETフィルム、実施例4〜6についてはPETフィルムと配向膜との積層体)から切り出した試験片をガラス板上に粘着剤で固定し、コットン製の起毛布(林テレンプ社製)を巻回した直径80mmのラビングロールで、試験片にラビング処理を施した。ラビングロールの回転数は2000rpm、押し込み量は0.5mmとした。また、ガラス板の搬送速度は250mm/minとした。
上記ラビング処理の前後において、基材の表面粗さ(自乗平均平方根粗さ)Rqを測定し、その変化量(=ラビング処理後の粗さ−ラビング処理前の粗さ)を評価した。なお、表面粗さRqの測定には、日本ビーコ社製の3次元表面形状粗さ計:Wyko−NT3300を用いた。
(2)輝点個数の評価
互いの吸収軸が直交するように配置した2枚の偏光板の間に、実施例1〜6及び比較例1〜4において作製した位相差フィルムを挟み、視認側の偏光板の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸とが平行になるように積層した状態で視認することにより、輝点個数を評価した。なお、輝点個数は、位相差フィルム面の10cm×10cmの領域で計数し、この個数を1m当たりの個数に比例換算して評価した。
上記の評価結果を図4に示す。図4に示すように、比較例1〜4に係る位相差フィルムの輝点個数は100以上となり、外観不良を引き起こした。これに対して、実施例1〜6に係る位相差フィルムの輝点個数は0又は極わずかであり、良好な外観を有するフィルムが得られた。これは、実施例1〜6で用いた基材の表面の接触剛性率が4000N/m以上の大きな値であるため、ラビングロールの押し込み量を大きくしたとしても、基材の表面が塑性変形し易く(弾性回復し難く)、ラビングロールに生じるトルクが小さくなる(ラビングロールと基材との間に生じる摩擦力が小さくなる)からである。このため、ラビング処理を施す際に基材の表面が削れ難くなり、異物(基材の削れ滓)が基材の表面に付着し難くなるからである。なお、図4に示すように、実施例1〜6で用いた基材は、比較例1〜4で用いた基材に比べて、摩耗試験による表面粗さの変化が少なくなった。これは、実施例1〜6で用いた基材の方が、比較例1〜4で用いた基材よりも、表面が削れ難くなっていることを実証するものである。
図1は、本発明の一実施形態に係る光学フィルムの製造方法におけるラビング処理工程を実施するためのラビング処理装置の概略構成を示す正面図である。 図2は、図1に示すバックアップロール機構の概略構成を示す図であり、図2(a)は平面図を、図2(b)はバックアップロール近傍の斜視図を、図2(c)はフィルムの搬送方向から見た図をそれぞれ示す。 図3は、本発明における接触剛性率の意味を説明するための模式図であり、図3(a)は圧子の負荷過程の状態説明図を、図3(b)は圧子の除荷過程の状態説明図を、図3(c)は圧子の荷重と押し込み深さとの関係を表すグラフをそれぞれ示す。 図4は、本発明の実施例及び比較例に係る位相差フィルムの評価結果を示す表である。
符号の説明
1,2…駆動ロール
3…搬送ベルト
4…ラビングロール
4a…起毛布
5…バックアップロール機構
51…バックアップロール
52…台座部
53…支持部
56…連結機構
100…ラビング装置
F…プラスチックフィルム
M…モータ

Claims (6)

  1. 長尺のプラスチックフィルムの表面をプラスチックフィルムの搬送方向に対して直角方向から回転軸を傾斜させたラビングロールによって擦るラビング処理工程と、
    前記ラビング処理工程を経たプラスチックフィルムの表面に液晶性分子を塗布する塗布工程と、
    前記塗布した液晶性分子を固定する固定工程とを含み、
    前記ラビング処理工程において、前記プラスチックフィルムの搬送速度が1〜50m/minであり、前記ラビングロールの外径が130〜170mmであり、前記ラビングロールの回転数が1〜3000rpmであり、前記ラビングロールの押し込み量が100〜2000μmであり、前記ラビングロールによって擦るプラスチックフィルムの表面の接触剛性率が4000N/m以上であることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
    なお、前記接触剛性率は、正三角錐型ダイヤモンド製圧子を荷重Pが所定の最大荷重P max になるまでプラスチックフィルムに押し込む負荷過程と該負荷過程の後に前記圧子を荷重Pが0になるまで引き抜く除荷過程とを実行するナノインデンテーション試験によって得られる、前記圧子の荷重Pと押し込み深さhとの関係の内、前記除荷過程で得られる関係(除荷曲線)に基づき算出されるものであって、前記負荷過程から前記除荷過程に遷移した直後の前記除荷曲線の傾きdP/dhを意味する。前記圧子の最大押し込み深さh max (前記圧子の荷重Pが最大荷重P max に到達したときの前記圧子の押し込み深さh)は200nmに設定される。
  2. 前記ラビング処理工程において、金属表面を有する搬送ベルトによって前記長尺のプラスチックフィルムを支持して搬送すると共に、前記プラスチックフィルムを支持する搬送ベルトの下面を支持するバックアップロール機構を配設し、
    前記バックアップロール機構は、
    前記ラビングロールの直下であって、前記ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設され、前記搬送ベルトの搬送方向に沿ってそれぞれ回転する複数のバックアップロールと、
    前記ラビングロールの回転軸と略平行な直線に沿って配設された台座部と、
    前記搬送ベルト表面の法線周りに回転可能に前記台座部上に一端が軸支された複数の支持部とを備え、
    前記複数の各バックアップロールは、前記複数の各支持部に前記搬送ベルトの搬送方向に沿って回転可能に軸支され、前記搬送ベルトの移動に伴い前記搬送ベルトの下面から付与される摩擦力によって、前記搬送ベルトの搬送方向に沿って回転する向きとなることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記塗布工程及び前記固定工程により、前記プラスチックフィルムの表面に1/2波長板として機能する光学補償層を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の光学フィルムの製造方法によって製造される光学フィルム。
  5. バーティカル・アライメント(VA)モードの液晶セルを具備する液晶表示装置に用いられることを特徴とする請求項4に記載の光学フィルム。
  6. 請求項4又は5に記載の光学フィルムを有する液晶表示装置。
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