JP5004154B2 - 組換え抗ボツリヌス神経毒素抗体 - Google Patents

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本発明はボツリヌス感染症、ボツリヌス神経毒素中毒症に関する疾患の治療に有用であるボツリヌス神経毒素(BoNTと称すこともある)に対する中和活性を有する遺伝子組換え抗体、該抗体を生産する細胞株、及び該抗体を用いた治療剤に関する。さらには、このような有用な遺伝子組換え抗体の作製に有効なH鎖及びL鎖の可変領域をコードするDNA断片に関する。
ボツリヌス中毒は、グラム陽性有芽胞性のボツリヌス菌が産生する蛋白性毒素を経口的に接種することにより起こる食餌性中毒と、一歳未満の乳児の腸管内で芽胞が発芽、増殖し、その際産生される毒素により起こる乳児ボツリヌス症に大別される。いずれの中毒においても、毒素は末梢の興奮性シナプスに作用し、神経伝達物質の遊離を阻害することにより弛緩性麻痺を引き起こす。ボツリヌス中毒は他の細菌性食中毒と比べ発生例は稀であるが、致死率がきわめて高く、我が国ではヒトの食餌性中毒事例が報告されている。また、最近ではその高い致死性ゆえにバイオテロの手段として使用されることが懸念されている。現在、ボツリヌス中毒症の治療薬としてA、B、E、F型に対して治療用馬抗毒素が常備されている。ウマ血清を原材料としているこの製剤は、ヒトには異種蛋白であるため、アナフィラキシー等のアレルギー反応を引き起こす危険性がある。乳児ボツリヌス症においてはこのアレルギー反応を回避するために異種蛋白由来の抗体による治療はなされていないのが現状である。この危険性は成人の中毒における治療においても同様であり、ウマ抗毒素に代わるより安全で、高い中和力価を持つ抗毒素製剤の開発が望まれている。
上記のような抗BoNT中和抗体を、ボツリヌス中毒症の患者またはBoNTを不活化したトキソイドで免疫した人から抗ボツリヌスヒト免疫グロブリンを直接採取・調製するやり方があり、実際に「BabyBIG」という商品名で乳児ボツリヌス症を対象に市販されている。しかし、この製剤はボツリヌストキソイドで健常人を免疫して中和抗体価の高い血漿をプールして製造されるために、この方法では倫理的な問題や原材料入手、バイオハザードの問題など数多い問題点が予想され、乳児ボツリヌス症のような疾患に限定された疾患にしか使用できない。すなわち、このようなヒト免疫グロブリン製剤を現在のウマ抗毒素の代わりに広く普及させることはできない。そこで、このような高力価血清の代替品としてBoNT中和活性を有するモノクローナル抗体の使用が考えられる。
最近、ボツリヌストキソイドを免疫した人のBリンパ球をソースにしてファージ抗体を作製し、その中から所望の中和抗体を選ぶ方法が試みられているが、BoNT A型毒素に関してそのような人から得られたヒト型中和モノクローナル抗体はそれぞれ単独では中和活性が弱く実用的でなかった。そこで、そのような弱い中和活性を持ったモノクローナル抗体を数種類混合するオリゴクローナルにすることで活性を強化せざるを得なかった。しかしながら、数種類のモノクローナル抗体からなる混合製剤は、抗体の種類が増えるに従って医薬品としての開発・製造コストを上昇させることになり、現実的な価格で医薬品を提供することが難しくなる恐れがある。また、現在のウマ抗毒素についてはA、B、E、F型の毒素に対する抗体が含まれているので、最終的には少なくとも4種類のモノクローナル抗体を混合することになる。それぞれの型に数種類のモノクローナル抗体を混合して、さらにそれらを混合することになれば、開発・製造コストの問題はより厳しさを増すことになる。すなわち、できるだけ一つの毒素の型について一種類のモノクローナル抗体で対応できる方がコスト的に有利である。
一方、マウスモノクローナル抗体については、免疫原の選択やマウスへの免疫回数など免疫方法に関してトキソイドをヒトに免疫するよりは、技術的にも倫理的にも制限が少なく、結果的にヒト由来のモノクローナル抗体よりも高力価の抗体を得ることが出来る可能性がある。マウスモノクローナル抗体作製に関する基本的な技術はすでに確立されている。しかし、マウスモノクローナル抗体をヒトに投与すると異種タンパクとして認識され、アナフィラキシーショックや血清病などの副作用を引き起こしたり、はやく体外に排除されたりして、抗体の治療効果を低下させてしまうことから臨床応用が困難であった。
そこで、遺伝子組換え技術を利用してマウスなどの動物由来のモノクローナル抗体をキメラ抗体あるいは改変抗体(CDR[complementarity determining region]移植抗体、再形成ヒト抗体と言う場合もある)のようなヒト化抗体にする試みが行われている。抗体は重鎖(H)鎖と軽(L)鎖からなり、各々、抗原結合活性を担う可変(V)領域と、補体やFc受容体への結合性を担う定常(C)領域から構成されている(以下、H鎖V領域はVH、L鎖V領域はVL、H鎖C領域はCH、L鎖C領域はCLと称することがある)。
キメラ抗体は、マウスモノクローナル抗体を産生するマウスハイブリドーマからクローニングしたV遺伝子と、ヒト抗体産生細胞等のヒト細胞からクローニングしたC遺伝子とを結合させたマウスV−ヒトCキメラ抗体遺伝子を動物細胞あるいは微生物細胞等で発現させ、その培養上清中に得られるものである(非特許文献1)。改変抗体はマウスなど動物由来抗体のCDRをヒト抗体のCDRと置換した抗体であり(非特許文献2)、サルを用いた実験ではマウス抗体に比べ免疫原性が低下し、血中半減期が4〜5倍延長している(非特許文献3)。
さらに、最近の抗体工学の進歩により、一本鎖抗体(single chain Fv; 以下、scFvと称することもある:非特許文献4)あるいはジスルフィド安定化抗体(disulfide stabilized Fv; 以下、dsFvと称することもある:非特許文献5)といった、より小さな抗体分子の作製が行われている。一本鎖抗体やジスルフィド安定化抗体は完全分子型の抗体に比べ、その分子量が小さいことから組織移行性、血中クリアランスに優れ、完全分子型の抗体とは異なった治療効果も期待されている。
Morrison, S. L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 81, 6851-5 (1984) Riechmann, L. et al., Nature, 332, 323-7 (1988) Hakimi, J. et al., J. Immunol., 147, 1352-9 (1991) Bird, R. E. et al., Science, 242, 423-6 (1988) Webber, K. O. et al., Molecular Immunology, 32, 249-58 (1995)
以上述べてきたように、現在のウマ抗毒素は副作用の点で問題がある。その解決策として現在報告されているヒト型モノクローナル抗体では一種類のみで治療効果の優れた抗体はなく、数種類のモノクローナル抗体を混合する製剤となっている。このため、医薬品の開発や製造のコストアップを招き、必然的に高価な医薬品とならざるを得ない。すなわち、治療効果や安全性に優れ、開発や製造コストの面でも実用化が容易な抗ボツリヌス神経毒素抗体の開発が求められている。
このような状況において、本発明者らはBoNTに対して中和活性を有するマウスモノクローナル抗体産生細胞(ハイブリドーマ)から該抗体の可変領域をコードする遺伝子を分離することに成功し、これを用いてマウス−ヒト組換え抗体の発現を試みた結果、神経毒素に対して中和活性を有する組換えBoNT抗体の作製に成功し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、これまでに一切報告されていないボツリヌス中和抗体の可変領域をコードする遺伝子を提供し、これを用いた組換え抗BoNT抗体を提供する。その組換え抗BoNT抗体の形態は、一般的な抗体分子の形態から一つの抗体分子で2つの特異性をもった二重特異性抗体やV領域とC領域の一部からなる様々な形態までの抗体機能分子を提供することが可能である。従って、本願発明は、様々な形態の組換え抗BoNT抗体遺伝子の作製工程、及びその遺伝子を含有する発現ベクター、さらにはそのベクターを用いて動物細胞及び微生物を形質転換する工程及びその結果もたらされた組換え抗BoNT抗体及び抗体機能分子高産生形質転換体の作製方法をも包含する。
本発明は、下記1)〜22)の発明を含むものである。
1)マウス抗体由来のアミノ酸配列とヒト抗体由来のアミノ酸配列からなる遺伝子組換え抗体であって、少なくとも定常領域がヒト抗体由来のアミノ酸配列であることを特徴とし、かつボツリヌス神経毒素に対する中和活性を有する組換えヒト化抗ボツリヌス神経毒素抗体または抗体フラグメント。
2)当該組換え抗体の可変領域重鎖(VH)のアミノ酸配列が配列番号11、15、19及び23より選択される1種または2種のアミノ酸配列の全部または一部であり、可変領域軽鎖(VL)のアミノ酸配列が配列番号13、17、21及び25より選択される1種または2種のアミノ酸配列の全部または一部であることを特徴とする上記1)に記載の組換え抗体または抗体フラグメント。
3)当該組換え抗体の可変領域重鎖(VH)のアミノ酸配列が配列番号11、15、19及び23より選択される1種のアミノ酸配列の全部または一部であり、可変領域軽鎖(VL)のアミノ酸配列が配列番号13、17、21及び25より選択される1種のアミノ酸配列の全部または一部であることを特徴とする上記1)または2)に記載の組換え抗体または抗体フラグメント。
4)当該組換え抗体の可変領域重鎖(VH)のアミノ酸配列が配列番号11、15、19及び23より選択される2種のアミノ酸配列の全部または一部であり、可変領域軽鎖(VL)のアミノ酸配列が配列番号13、17、21及び25より選択される1種または2種のアミノ酸配列の全部または一部であることを特徴とする二重特異性抗体である上記1)または2)に記載の組換え抗体または抗体フラグメント。
5)当該組換え抗体フラグメントが抗体機能分子であり、Fab、Fab'、F(ab')2、一本鎖抗体及びジスルフィド安定化抗体であるか、または二重特異性抗体及びその類似物であるか、またはチェインシャッフリングによって生成した抗体分子であることを特徴とする、上記1)から4)のいずれかに記載の組換え抗体または抗体フラグメント。
6)当該組換え抗体が、ヒト型キメラ抗体である上記1)から5)のいずれかに記載の組換え抗体または抗体フラグメント。
7)当該組換え抗体が、ヒト型改変抗体である上記1)から5)のいずれかに記載の組換え抗体または抗体フラグメント。
8)当該VH及びVLのアミノ酸配列の一部が、Kabatらの文献(Sequences of Proteins of Immunological Interest, 4th. ed. U.S. Department of Health and Human Services (1987))、またはChothiaらの文献(J. Mol. Biol., 196, 901, 1987)に基づき決定される、配列番号11、15、19及び23、並びに配列番号13、17、21及び25の可変領域内の相補性決定領域(CDR)を含む上記1)から7)のいずれかに記載の組換え抗体または抗体フラグメント
9)当該Kabatらの文献により決定される当該VHのCDR1が配列番号26、38、50及び62、CDR2が配列番号27、39、51及び63、CDR3が28、40、52及び64からそれぞれ選択され、当該VLのCDR1が配列番号29、41、53及び65、CDR2が配列番号30、42、54及び66、CDR3が31、43、55及び67からそれぞれ選択される上記1)から8)のいずれかに記載の組換え抗体または抗体フラグメント。
10)当該VHのCDR1〜3の組み合わせが、配列番号26、27及び28、配列番号38、39及び40、配列番号50、51及び52、並びに配列番号62、63及び64から選択され、当該VLのCDR1〜3の組み合わせが、配列番号29、30及び31、配列番号41、42及び43、配列番号53、54及び55、並びに配列番号65、66及び67から選択される上記1)から9)のいずれかに記載の組換え抗体または抗体フラグメント。
11)当該VH及びVLのCDR1〜3の組み合わせが、配列番号26、27及び28並びに配列番号29、30及び31、配列番号38、39及び40並びに配列番号41、42及び43、配列番号50、51及び52並びに配列番号53、54及び55、もしくは、配列番号62、63及び64並びに配列番号65、66及び67から選択される上記1)から10)のいずれかに記載の組換え抗体または抗体フラグメント。
12)当該VHのアミノ酸配列が配列番号11、15、19及び23より選択され、当該VLのアミノ酸配列が配列番号13、17、21及び25より選択される上記1)から11)のいずれかに記載の組換え抗体または抗体フラグメント。
13)当該VH及びVLの組み合わせが、それぞれ配列番号11及び13、配列番号15及び17、配列番号19及び21、もしくは配列番号23及び25より選択される上記1)から12)のいずれかに記載の組換え抗体または抗体フラグメント。
14)当該組換え抗体のVH及びVLが上記12)または13)に記載のアミノ酸配列の組み合わせより選択され、定常領域がヒト抗体由来のアミノ酸配列であることを特徴とするヒト型キメラ抗体である上記1)から13)のいずれかに記載の組換え抗体または抗体フラグメント。
15)当該組換え抗体のVH及びVL内のCDRが上記8)から11)に記載のCDR1〜3のアミノ酸配列の組み合わせより選択され、フレームワーク領域(FR)の一部がマウス抗体由来であり、その他のFR及び定常領域がヒト抗体由来のアミノ酸配列であることを特徴とするヒト型改変抗体である上記1)から11)のいずれかに記載の組換え抗体または抗体フラグメント。
16)上記1)から15)のいずれかに記載の組換え抗体または抗体フラグメントをコードするDNA。
17)上記16)に記載のDNAを宿主細胞に導入して得られる形質転換体。
18)当該宿主細胞に導入されるDNAが、2種類以上のVH及び1種または2種以上のVLをコードするDNAが導入されることを特徴とする上記17)記載の形質転換体。
19)上記17)または18)記載の形質転換体にDNAを導入するために使用される組換えベクター。
20)上記17)または18)記載の形質転換体を培地に培養し、培養物中に上記1)から15)のいずれかに記載の組換え抗体または抗体フラグメントを生成蓄積させ、該培養物から該抗体を採取することを特徴とする組換え抗体の製造方法。
21)上記1)から15)のいずれかに記載の組換え抗体または抗体フラグメントが、放射性同位元素、蛋白質または低分子の薬剤と化学的または遺伝子工学的に結合させることを特徴とする融合抗体。
22)上記1)から15)及び21)のいずれかに記載の組換え抗体または抗体フラグメントを有効成分として含有する、ボツリヌス感染症またはボツリヌス神経毒素中毒症の治療薬。
このような本願発明の新規組換え抗BoNT抗体によって、開発や製造コストの面で優れ、効果が高く副作用の少ないボツリヌス中毒症の治療薬・予防薬の開発が可能になる。
本発明に用いる抗BoNTマウスモノクローナル抗体産生細胞は、これまでに確立されているマウスモノクローナル抗体の作製技術を用いて作製される。免疫原としては、例えば、ボツリヌス菌の産生する神経毒、もしくはその毒素活性をホルマリン処理等により失活させたトキソイド、もしくは遺伝子組換え技術を用いて調製される組換え毒素H鎖、L鎖、あるいは毒素のペプチド、もしくは該ウイルス蛋白のアミノ酸配列に基づいて調製される好適な合成ペプチド等があげられる。使用可能なボツリヌス菌株の一例として、C. botulinum type A であればいかなる株でも構わないが、望ましくは97株、62-A株、Hall株、Renkon株、CB21株、804-1株、Chiba H株などがあげられる。
マウスを上記のような適当な株の神経毒素を免疫原で免疫し、得られた脾臓細胞をマウスのミエローマ細胞と融合させ、得られたハイブリドーマから、前記の免疫原に反応する細胞を選択し、該細胞を培養することによって調製することができる。
更に、このようにして得られた抗ボツリヌス神経毒素マウスモノクローナル抗体産生細胞の中からボツリヌス神経毒素に対して中和活性を有するモノクローナル抗体を産生している細胞を選択することができる。そのような細胞株として本発明者等はボツリヌス神経毒素に対して中和活性を有する抗体を産生する13種のハイブリドーマの確立に成功しており、中でも6種、更に好ましくは2-4、2-5、9-4、B1の4種が、これらが本発明に用いる最も好ましい細胞株としてあげられる。
本発明の可変領域をコードする遺伝子断片は、このような抗ボツリヌス神経毒素中和モノクローナル抗体産生細胞より分離され、解析された遺伝子配列である。V領域遺伝子は通常の遺伝子操作技術により単離することができる。例えば、その細胞の染色体DNAから常法[例えば、T. Maniatis "Molecular Cloning" Cold Spring Harbor Lab.(1982)参照]に従ってV領域遺伝子をクローニングする方法、あるいは、その細胞のmRNAを材料として常法[例えば、D.M.Glover編集 " DNA cloning Vol.I" IRL press (1985)]によりcDNAを合成しV領域遺伝子をクローニングする方法である。いずれの方法も、V領域遺伝子クローニングの為のプローブとして、すでに報告されているマウス免疫グロブリン遺伝子の核酸塩基配列[例えば、 坂野ら、Nature, 286,p676,(1980); E.E.Max ら、J. Biol. Chem., 256,p5116,(1981)]を参照して合成したDNAプローブ等を利用することが出来る。
また、PCR(ポリメレース連鎖反応)を利用したクローニングも可能である[R. Orlandi, et al., Proc. Natl. Acad.Sci. USA, 86, 3833 (1989); W. D. Huse, et al., Science, 246, 1275 (1989)]。例えば、前述のようにハイブリドーマから調製されたcDNAを鋳型に、Kabatら[Sequences of Proteins of Immunological Interest 4th ed., Public Health Service, NIH, Washington DC, 1987]の分類したV領域とJ領域の核酸塩基配列をもとにして合成したDNAプライマーを用いてPCRを行なうことが可能である。V領域とJ領域のPCR用プライマーは、DNA合成受託機関(例えばQIAGEN社)などに依頼すれば容易に入手可能である。この時、5'側にKOZAK配列(Kozak M, J.Mol.Biol., 196, 947 (1987))及び適切な制限酵素切断部位(例えばHindIIIやBamHI)の配列を付加することが望ましい。これらのプライマーは抗体の種類によって使用可能なプライマーの種類が異なるが、本願発明の4種のハイブリドーマの場合には、好ましくは、配列番号1から9に記載の合成DNAがプライマーとして用いられる。PCR反応は、例えばAdvantage HF-2 PCR Kit(BC Bioscience)を用い、添付のプロトコールに従って行えばよい。PCRにより得られたDNA断片の塩基配列は、TAクローニングキット(インビトロジェン社)等を用いてクローニングした後、DNAシークエンサー、例えば、ABI PRISM310 Genetic Analyzer(PEバイオシステムズ社)により決定することが出来る。
このようにして得られたボツリヌス神経毒素中和活性を有する抗体分子の可変領域をコードする遺伝子として、H鎖、L鎖それぞれ配列番号11,13,15,17,19,21,23,25のアミノ酸配列をコードする遺伝子断片がその好ましい一例として挙げられる。また、そのような遺伝子の具体的核酸塩基配列の一例としては、H鎖、L鎖それぞれ配列番号10,12,14,16,18,20,22,24に示された核酸塩基配列が挙げられる。また、Kabatら(Sequences of Proteins of Immunological Interest, 4th. ed. U.S. Department of Health and Human Services (1987))あるいは/及び、Chothia and Lesk(J.Mol.Biol., 196, 901, 1987)を参照することにより、本発明の抗ボツリヌス神経毒素抗体の抗体活性を決定する可変領域の相補性決定領域(CDR1〜CDR3)の配列を同定することが出来る。
例えば、Kabatらの定義に従えば、本発明により得られた4種の抗体のCDRは下記の通り同定される。
1)2−4
VH:(配列番号11)
VH−CDR1:Asp Tyr Tyr Met Ser (配列番号26)
VH−CDR2:Phe Ile Arg Asn Lys Ala Asn Gly Tyr Thr Thr Glu Tyr Ser Ala Ser Val Lys Gly (配列番号27)
VH−CDR3:Asp Gly Gly Tyr Phe Asp Tyr (配列番号28)
VL:(配列番号13)
VL−CDR1:Lys Ser Ser Gln Ser Val Leu Tyr Ser Ser Asn Gln Lys Asn Tyr Leu Ala (配列番号29)
VL−CDR2:Trp Ala Ser Thr Arg Glu Ser (配列番号30)
VL−CDR3:His Gln Tyr Leu Ser Ser Arg Thr (配列番号31)
2)2−5
VH:(配列番号15)
VH−CDR1:Gly Tyr Tyr Met His (配列番号38)
VH−CDR2:Arg Val Asn Pro Asn Asn Gly Gly Thr Ser Tyr Asn Gln Lys Phe Lys Gly (配列番号39)
VH−CDR3:Pro Pro Thr Thr Val Val Ala Thr Asp Trp Tyr Phe Asp Val (配列番号40)
VL:(配列番号17)
VL−CDR1:Lys Ser Ser Gln Ser Val Leu Tyr Ser Ser Asn Gln Lys Asn Tyr Leu Ala (配列番号41)
VL−CDR2:Trp Ala Ser Thr Arg Glu Ser (配列番号42)
VL−CDR3:His Gln Tyr Leu Ser Ser Tyr Thr (配列番号43)
3)9−4
VH:(配列番号19)
VH−CDR1:Ser Tyr Gly Val His (配列番号50)
VH−CDR2:Val Ile Trp Ser Gly Gly Ser Thr Asp Tyr Asn Ala Ala Phe Ile Ser (配列番号51)
VH−CDR3:Lys Arg Gly Tyr Tyr Gly Tyr Asn Tyr Ala Met Asp Tyr (配列番号52)
VL:(配列番号21)
VL−CDR1:Ser Ala Ser Ser Ser Val Ser Tyr Met His (配列番号53)
VL−CDR2:Asp Thr Ser Lys Leu Ala Ser (配列番号54)
VL−CDR3:Gln Gln Trp Ser Ser Asn Pro Tyr Thr (配列番号55)
4)B1
VH:(配列番号23)
VH−CDR1:Ser Phe Gly Met His (配列番号62)
VH−CDR2:Tyr Ile Ser Ser Gly Ser Ser Thr Ile Tyr Tyr Ala Asp Thr Val Lys Gly (配列番号63)
VH−CDR3:Lys Gly Phe Gly Ile Asp Tyr Tyr Gly Ser Ser Phe Ala Met Asp Tyr (配列番号64)
VL:(配列番号25)
VL−CDR1:Arg Ala Ser Lys Ser Ile Ser Lys Tyr Leu Ala (配列番号65)
VL−CDR2:Ser Gly Ser Thr Leu Gln Ser (配列番号66)
VL−CDR3:Gln Gln His Asn Glu Tyr Pro Tyr Thr (配列番号67)
これらの配列がCDRペプチド、さらには抗体活性の改良を行う際の重要な領域となる。後述の抗体機能分子を作製する際にも、このようなアミノ酸配列が最も重要な情報となりうる。具体的にはそのようなアミノ酸配列をコードした核酸塩基配列を含む遺伝子を用いてそのような抗体機能分子は作製される。そのようなアミノ酸配列をコードした核酸塩基配列であればいかなるコドンからなっても構わないが、その望ましい核酸塩基配列として、配列番号32〜37、44〜49、56〜61、68〜73に示される配列があげられる。
このようにしてクローニングされた本願発明のV領域遺伝子断片あるいはアミノ酸配列を元にして、ヒト化抗体(マウスヒトキメラ抗体及び改変抗体)が作成可能である。例えば、キメラ抗体についてはM. Bruggemann(Waldmann H (ed) Monoclonal AntibodyTherapy. Prog Allergy. Basel, Karger, 1988, vol 45, pp91)やS. L. Morrison(Advances in Immunology, 44, 65, (1989))などの文献が、改変抗体については、G. Winter and C. Milstein(Nature 349, 293 (1991))やM.M.Bendig(Methods, 8, 83 (1995))などの文献に紹介されている方法に準じて行うことが出来る。
また、これらのV領域の情報を元にボツリヌス神経毒素に特異的に反応する低分子の抗体機能分子を作製することが可能である。低分子の抗体機能分子として、例えば、Fragment of antigen binding(Fabと略記する)、Fab'、F(ab')2、一本鎖抗体及びジスルフィド安定化抗体を作製することも可能である。この場合、本願発明のマウス抗体そのものの遺伝情報を利用することもできるが、望ましくは本願発明のマウス抗体の遺伝情報をベースにして作製されたキメラ抗体あるいは改変抗体をベースにすることによって、よりヒトに対して安全性の高い低分子抗体を作製することが出来る。
一方、抗ボツリヌス神経毒素組換え抗体作製に用いられるヒト免疫グロブリンH鎖遺伝子並びにL鎖遺伝子のC領域遺伝子は、例えば ヒト抗体産生細胞から同様の方法により単離することが出来る。また、C領域遺伝子はその遺伝子内で再配列を行わないので特にヒトC領域遺伝子を単離するために抗体産生細胞を使う必要はなく、その他の組織の細胞でも構わない。単離する方法としては、前述のマウスV領域遺伝子の単離の場合と同様にして行なうことができる。また、C領域遺伝子の種類としては、特にγ1 鎖、κ鎖に限ったものではなく、μ鎖、α鎖、γ2鎖、γ3鎖、γ4鎖、ε鎖、λ鎖の各鎖の遺伝子でも可能である。しかし、補体活性化能、抗体依存性細胞傷害活性を期待するならば、γ1鎖が望ましい。
さらに、抗体機能分子として二重特異性抗体(bispecific抗体あるいはbifunctional抗体と呼ぶことがある)が挙げられる。本願発明の特徴の一つに、抗ボツリヌス神経毒素抗体に関して初めて二重特異性抗体の可能性を開示したことが挙げられる。抗体1分子は2個の抗原結合部位を有するが、それぞれの抗原結合部位が異なる抗原に結合する抗体、すなわち2つの特異性を持った抗体のことを二重特異性抗体という。通常、二重特異性抗体は細胞融合法と化学合成法の2つの方法で作製される。細胞融合法では、2つの異なるモノクローナル抗体産生細胞をさらに融合することによって作製する事が出来る。化学合成法は、2つの抗体分子を一旦還元してH鎖間のSS結合を解離させ、これらを混合して再び酸化することによって作製するものである。しかし、これらの作製方法は技術的には難しく、目的の二重特異性抗体以外の組み合わせが出来る上に、異なったVHとVLの組み合わせも出来ることから、得られる二重特異性抗体の収量が非常に少ないという問題を抱えていた。
本願発明では、VH領域の数を2種類から3種類に増やすことも可能で、さらには、VL領域も1種類に限定する必要もなく、2種類、3種類と増やすことが可能である。例えば、2-4と2-5のVH領域と、アミノ酸配列において1アミノ酸しか違いがない2-4と2-5のVL領域のいずれ、あるいはその両方とに組合せにおいても結合活性、中和活性とも保持している。さらには、2-4のVH領域、VL領域と全く相同性のない9-4のVH領域、VL領域と2-4のVH領域、VL領域と組み合わせることによって、結合活性、中和活性とも保持している抗体の組合せを作ることができた。このようにボツリヌス毒素に結合しないかも知れない抗体成分の混入を防ぐことができ、目的の二重特異性抗体の効率を向上させている。このような二重特異性抗体の望ましいVH領域として配列番号11、15、19に示すアミノ酸配列の全部または一部を持つようなVH領域があげられる。また望ましいVL領域として配列番号13、17、21に示すアミノ酸配列の全部または一部を持つようなVL領域があげられる。VL領域については、配列番号13、17、21のいずれか一つだけを利用してもいいし、2種類、あるいは全てをを利用しても構わない。
1種類のモノクローナル抗体より、個々の中和活性は低くとも異なるエピトープを認識する複数のモノクローナル抗体を混合したときの方が、毒素の中和能が高いという報告(Nowakowski Aら、Proc Natl Acad Sci USA., 99, 11346(2002))がある。このような知見から、複数の中和抗体を混合した製剤を想定した場合、問題になるのは開発や製造のコストである。1つの細胞が1つの抗体を産生し、それらを混合する場合、前述のコストはその抗体数に比例して増大する。本願発明は、それらの課題に対する一つの解決策を示している。
また本願発明は、抗体機能分子として前述の二重特異性抗体だけを示すものではなく、二重特異性抗体の類似物として、例えば、ヒンジ領域のCys残基による自発的な2量体化、両親媒性ペプチドの導入によるFabの2量体化や、2つの1本鎖抗体(scFv)をペプチドリンカーで結合させるscFvの2量体化(BiscFv)、特異性の異なる2つの抗体におけるお互いのドメインを入れ替えて、非共有結合的に2量体化(diabody)なども、本願発明のV領域を用いることにより作製することが可能である。
さらに、抗体機能分子として、本願発明の抗ボツリヌス神経毒素抗体可変領域をコードする遺伝子断片を用いて、結合活性を強化した新しい抗体が作製可能である。すなわち、本発明により提供される抗ボツリヌス神経毒素抗体可変領域をコードする遺伝子断片は、ボツリヌス神経毒素に対して中和活性を有する抗体分子の可変領域の特異的アミノ酸配列もしくは核酸塩基配列を開示するものであり、この領域、ドメインを用いて新しい抗体作製の可能性をも提供する物である。例えば、エクソンシャフリング(exon shuffling)やチェインシャフリング(chain shuffling)と言われているファージディスプレイライブラリーを応用する方法があげられる。すなわち、ファージ上に発現さる際に、抗体可変領域のVHあるいはVL遺伝子の一方を固定化し、他方をV遺伝子ライブラリーと結合させたファージライブラリーを構築し、もとの抗体より抗原に対する特異性が高い抗体可変領域の組み合わせをスクリーニングする方法が考えられる。あるいは、CDRのみを人工的に入れ替えるCDRシャフリングや単純にCDRにランダム変異を導入して、親和性や特異性を向上させる方法が考えられる。
以上のようにして得られるV領域を利用して作製された抗ボツリヌス神経毒素抗体分子をコードする遺伝子を発現させる場合は通常の組換えタンパク質が発現される産生系ならどの様なものでも利用可能であるが、抗体の通常形態である完全分子なら動物細胞での発現が望ましい。また、前述の一本鎖抗体のような低分子抗体の形態なら、動物細胞以外に大腸菌、酵母などの微生物の中から適切なものを選択することができるが、その場合の発現用ベクターとしては、それぞれの宿主に適切なものを選択する必要がある。また、適切なシグナルペプチドをコードするcDNAを発現用ベクターに挿入することで一本鎖抗体を細胞外に分泌させ、ペリプラズマ領域に輸送させ、あるいは細胞内に留まらせることができる。
ここでは最も一般的な、動物細胞での発現について述べる。動物細胞を宿主とする発現ベクターには特段の制約はないが、プラスミド、ウイルスベクター等を用いることができる。当該発現ベクターに含まれるプロモーターは、宿主として用いる動物細胞との組み合わせにより、SV40初期、SV40後期、サイトメガロウイルスプロモーター、ニワトリβアクチンなど、最終的にアッセンブルした抗体及び抗体機能分子が得られるのであれば如何なるものでも良い。好ましくは、ニワトリβ−アクチンプロモーター系発現プラスミドpCAGG(特許第2824434号)が使用される。選択や遺伝子増幅のマーカー遺伝子として、アミノグリコシド3'ホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子やジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子、ピューロマイシン耐性酵素遺伝子、グルタミン合成酵素(GS)遺伝子など一般に知られる選択や遺伝子増幅用のマーカー遺伝子(Kriegler M著、加藤郁之進 監訳、ラボマニュアル動物細胞の遺伝子工学、宝酒造(1994))が利用できる。
H鎖L鎖の遺伝子を動物細胞に導入する際の組み合わせや形態、比率に特段の制約はない。H鎖L鎖の遺伝子を同じベクター内に組み込み同時に動物細胞内に導入する方法でも良いし、H鎖L鎖の遺伝子を別々のベクターに組み込み、同時期に、あるいは別々の時期に選択マーカーを変えて動物細胞に順次導入してもよい。また、その構成比もH鎖L鎖が1:1になるようにする必要はなく、どの様な比率でも構わない。
発現ベクターを導入する宿主細胞として、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞やSP2/0等マウスミエローマ細胞、BHK細胞、293細胞、COS細胞など様々な動物細胞が利用可能であるが、発現ベクターに使用されるプロモーター、選択及び遺伝子増幅用マーカー遺伝子に合わせて適当な細胞を選択すれば良い。例えば、ニワトリβ−アクチンプロモーター系発現プラスミドを用いて構築した発現ベクターには、CHO細胞などが使用される。
宿主細胞の形質転換するときには公知の方法を利用すればよい。例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、リポフェクチン系のリポソームを用いる方法、プロトプラストポリエチレングリコール融合法、エレクトロポレーション法などが利用でき、使用する宿主細胞により適当な方法を選択すればよい(Molecular Cloning (3rd Ed.), Vol 3, Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001))。
形質転換細胞の選択・増殖には、一般に動物細胞を形質転換する時に行われる方法を使用すればよい。例えば、形質転換後の細胞は、CHO-S-SFMII培地(GIBCO-BRL)、IS CHO-V培地(アイエスジャパン)、YMM培地等無血清培地やMEMアルファ培地、RPMI培地、ダルベッコMEM培地(いずれもGIBCO-BRL)に5〜10%程度のウシ胎児血清を添加した血清培地などの一般的に動物細胞培養に用いられる培地に、使用する選択マーカーに合わせてメトトレキサート、G418等を添加した選択培地を用いて、適宜培地交換をしながら、37℃前後で10〜14日間程度培養される。この培養により、形質転換されていない細胞は死滅し、形質転換した細胞のみが増殖してくる。更に、形質転換細胞に対して、限界希釈法などの方法により、目的とする抗体産生細胞株の選択及びクローン化が行われる。
このようにして得られる本発明の組換え抗体は、ボツリヌス神経毒素に対して中和活性を有していることが確認され、本発明によりこれまでになかった抗ボツリヌス神経毒素組換え抗体を調製することが可能となった。このような抗ボツリヌス神経毒素組換え抗体は、ボツリヌス中毒症の臨床において、これまでになかった有効な治療剤となりうるものである。さらに、 本発明により提供される抗ボツリヌス神経毒素抗体可変領域をコードする遺伝子断片は、ボツリヌス神経毒素に対して中和活性を有する抗体分子の可変領域の特異的アミノ酸配列もしくは核酸塩基配列を開示するものであり、今後、さらに進んだ遺伝子組換え技術を応用して目的の抗体分子を修飾、または一部置換等することにより、より優れた抗ボツリヌス神経毒素組換え抗体分子の開発を可能にするものである。
以下に、実施例を挙げて本願発明をさらに具体的に説明するが、この例示に限定されるものではない。
以下に示す実施例では、特に断りのない限り、和光純薬、宝酒造、東洋紡及びNew England BioLabs社、アマシャムバイオサイエンス社、バイオラド社、シグマ社、ギブコ社製の試薬を使用した。
《実施例1:マウスハイブリドーマの調製》
現在治療用毒素として使用されているC. botulinum type A 62A株より精製したA型神経毒素をB型神経毒素で行われた方法に準拠して(Infect. Immun. 18: 761-766, 1977)、ホルマリンで不活化したトキソイドを免疫抗原に用いた。上記のトキソイドとFreund’s Complete Adjuvant(Difco)を等量混合しBALB/cマウス1匹当たり毒素蛋白量で0.25mgを腹腔内に接種した。初回免疫後、4及び8週目にFreund’s Incomplete Adjuvant(Difco)を用いて同量を追加免疫した。10日後、部分採血を行い、ELISAにより抗原結合抗体価を測定した。ELISAには、A型神経毒素(0.5μg/well)をコートしたプレート(FALCON, Flexible Plate)を用い、ブロッキングには0.2%BSA、2次抗体にはペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG(H+L)(1:5000,BioRad)、基質はオルソフェニレンジアミン(Nacalai Tesque)を使用した。反応は基質反応以外全て37℃2時間で行った。基質の発色反応は37℃30分で行った。トキソイド免疫後の血中のボツリヌスA型神経毒素に対するELISA抗体価は3回の免疫でマウス5匹中4匹が100,000倍以上に上昇していた。ELISA抗体価が500,000倍以上のマウスにおいて順次、A型神経毒素(10μg/マウス;106LD50/マウス)を腹腔内に投与した。3〜4日後に脾細胞を調製し、ポリエチレングリコール法によりミエローマ細胞(P3U1)と細胞融合を行った。脾細胞とP3U1を10:3の割合で混合し、50% PEG4000(MERCK) /10% DMSO(SIGMA)を用いて細胞融合を行った。DMEM (DIFCO)/15% FCS (GIBCO)/HAT (SIGMA)を用いて細胞を選択した。
得られたハイブリドーマの培養上清中のELISA抗体価を測定し、限界希釈法により中和活性のある抗体を産生しているハイブリドーマのクローニングを2〜3回行った結果、抗体陽性ハイブリドーマが37クローン得られた。
《実施例2.マウス抗体の中和活性》
これら37クローンについて産生する抗体の毒素中和活性を調べた。中和活性は、ボツリヌス神経毒素(200ipLD50/ml)とハイブリドーマ培養上清を等量混合し、室温で30分反応させた後、マウスの腹腔内へ0.5ml接種し、毒素を培地のみと混合したサンプルをコントロールとし、コントロールが死亡した時点における、試験群の臨床症状(麻痺の程度)により判定した。その結果、13クローンについて、コントロールと比較して延命あるいは症状の緩和が観察された。このうち6クローンについては症状の緩和が著しく、特に4クローン(2-4,2-5,9-4,B1)については6時間まで毒素の中毒症状を示さず、さらに3クローン(2-4,2-5,9-4)については毒素を完全中和した(表1)。
Figure 0005004154
中和活性のある13クローンの抗体についてイムノブロッティングによる毒素との反応性を検討した。7.5%ポリアクリルアミドゲルにA型精製毒素を2ME処理後1レーンあたり0.2μgアプライし、SDS-PAGEを行った。泳動蛋白をニトロセルロース膜(MILLIPORE, Immobilon-P)にセミドライブロッティング装置(ホライズンブロット、ATTO)を用いて転写した後、ハイブリドーマ培養上清を反応させた。2次抗体は、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgGヤギ抗体(1:3000 BioRad)、発色基質は4-chloro-1-naphtol(Nacalai Tesque)を用いた。その結果、3クローン(2-2,4-3,9-4)がいずれも神経毒素重鎖と反応した(図1)。以上の結果からマウス−ヒトキメラ抗体用のハイブリドーマとして中和活性の高い2-4,2-5,9-4,B1の4クローンを選定した。
《実施例3:V領域遺伝子クローニング》
マウスモノクローナル抗体のV領域遺伝子は、RT-PCR法によって単離した。2-4,2-5,9-4,B1の4種の各ハイブリドーマよりQuickPrep micro mRNA Purification Kit (Amersham Bioscience)を用いてmRNAを抽出し、Superscript II 逆転写酵素(Invitrogen)によるcDNA合成を行った。これをテンプレートとし、プライマーとしてKozak配列及び必要なスプライシングシグナル、酵素サイト(HindIII、BamHI)を持ったオリゴマーをVH、VL領域遺伝子用にそれぞれのV領域及びJ領域のサブグループ毎に作製し(配列番号1〜9)、Advantage HF-2 PCR Kit(BD Bioscience)を用いて当該キットのプロトコールに従ってPCR反応を行った。その結果、VH、VL領域それぞれにPCR増幅バンドが複数検出された。その中からサイズ的に既知のVH、VL領域のcDNA遺伝子と一致しているバンドを選び、TAクローニングキット(Invitrogen)を用いてクローニングし、ABI PRISM310 Genetic Analyzer(PEバイオシステムズ)を用いてその核酸塩基配列の決定を行った。これらの複数のバンドから、開始コドンからJ領域までV領域内で正しいオープンリーディングフレームを取る遺伝子を選んだ結果、それぞれのハイブリドーマ毎に一対のVH、VL領域遺伝子の組み合わせが得られた。その核酸塩基及びアミノ酸配列を配列番号10〜25にそれぞれ示す。また、各VH領域及びVL領域のアミノ酸配列について相同性を比較したところ、VH領域間では相同性は認められなかったが、VL領域については2-4と2-5において121番目のアミノ酸1個のみ違い(2-4:R/2-5:Y)がみられたが、それ以外のVL領域間では相同性はなかった。
《実施例4:キメラ抗体産生細胞の作製》
このようにして得たVH、VL領域遺伝子をHindIIIとBamHI(TAKARA)で消化し、それぞれを、発現ベクターであるCAG-γ1、CAG-1κ(J. Immnol., 167, 3266, 2001)の同サイトに組み込み、キメラ抗体発現ベクターを構築した。CAG-γ1は、ヒト抗体C領域γ1鎖の遺伝子及び選択マーカーとしてのネオマイシン耐性遺伝子(neor)を持ち、CAG-κはヒト抗体C領域κ鎖の遺伝子及び選択マーカーとしてのジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(dhfr)を持っている。構築したキメラ抗体発現プラスミドを用い以下に述べる方法にてCHO DG44(Urlaub Gら, Somatic cell. Mol. Genet., 12, 555 (1986)、以下CHO)細胞を形質転換した。形質転換の前日にCHO細胞を6 well プレートに1-0.5×105cells/2ml/wellの細胞密度で10%ウシ胎児血清(FCS、GIBCO-BRL社製)を含むYMM培地(インシュリン・トランスフェリン・エタノールアミン・亜セレン酸ナトリウムを含むアミノ酸・ビタミンを強化した核酸不含MEMアルファ培地)を用い播種した。37℃、5%CO2培養装置で一夜培養の後、リポソーム系形質転換試薬、TransIT-LT1(宝)あるいはリポフェクトアミン2000(インビトロジェン)を用いて、あらかじめキメラ抗体H鎖及びL鎖遺伝子発現プラスミドを等量混合し、PvuIで消化・線状化しておいたものを導入DNAとして、それぞれのプロトコールに従いトランスフェクションを行った。37℃、5%CO2培養装置で一夜培養した後、選択培地、10%透析FCS(d-FCS:GIBCO-BRL社製)、0.5 mg/ml Geneticin(G418:GIBCO-BRL社製)、300nM メトトレキサート(MTX:和光純薬工業製)を含むYMM培地に培地交換した。3〜4日毎に培地を交換しながら37℃、5%CO2培養装置で培養を続けることで選択を行い、形質転換体を得た。得られた形質転換細胞の培養上清中に含まれるキメラ抗体の濃度は、ヤギ由来抗ヒトIgG Fc抗体(CAPPEL)とプロテインA-HRP(ZYMED社)を用いたサンドイッチELISA法により測定した。この際、市販のヒトIgG1抗体(Biogenesis)の希釈系列を作製し、それを標準試料とした。このELISA法により得られた形質転換細胞の中から抗体産生量の高い細胞をスクリーニングし、次いで限界希釈法によるクローニングを行って。最終的に得られた9-4、B1、2-4、2-5由来の4種のキメラ抗体産生細胞は各々AC94、ACB1、AC24、AC25と名付けた。
2-4と2-5抗体の間でVL領域がほとんど同じであることから、このVLをL鎖にして2-4及び2-5のVH鎖と一つの細胞内で発現させることにより、簡単に2-4と2-5の2つの特性をもった二重特異性抗体を作製することが出来る。
《実施例5:キメラ抗体の活性》
得られたキメラ抗体の神経毒素に対する結合活性をA型神経毒素(0.5μg/well)をコートしたプレート(FALCON, Flexible Plate)を用いて測定した。ブロッキングには0.2%BSA、2次抗体にはペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG(H+L)(1:5000,BioRad)、基質はオルソフェニレンジアミン(Nacalai Tesque)を使用した。反応は基質反応以外全て37℃2時間で行った。基質の発色反応は37℃30分で行った。これらの細胞の培養上清中の抗ボツリヌス神経毒素キメラモノクローナル抗体(抗体濃度は20〜100μg/ml)はELISAによって期待通りに毒素と結合することが示された(図2A〜C)。
さらにイムノブロッティングによる毒素との反応性を検討した。7.5%ポリアクリルアミドゲルにA型精製毒素を2ME処理後1レーンあたり0.2μgアプライし、SDS-PAGEを行った。泳動蛋白をニトロセルロース膜にセミドライブロッティング装置を用いて転写した後、培養上清と反応させた。2次抗体は、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgGヤギ抗体(1:3000 BioRad)、発色基質は4-chloro-1-naphtol(Nacalai Tesque)を用いた。この結果、AC24は軽鎖とAC94は神経毒素重鎖と反応していることが示唆された(図3、4)。AC25及びACB1はいずれも明確な毒素結合活性は確認できなかった。
また、各キメラ抗体の培養上清中の毒素中和活性を調べた。前述の中和活性測定と同様に、ボツリヌス神経毒素と培養上清を等量混合し、室温で30分反応させた後、マウスの腹腔内へ0.5ml接種した。毒素を培地のみと混合したコントロールが死亡した時点における、試験群の臨床症状を調べた結果、AC24、AC25、AC94、ACB1は全例が生存しており、その後も生存を続け、最終的には表1で示した2-4、2-5、9-4、B1同様の結果になった。
《実施例6:二重特異性抗体》
抗A型神経毒素中和キメラ抗体のうち、AC25、AC94のそれぞれとAC24とH鎖L鎖遺伝子の交換発現実験を行った。それぞれの組合せH鎖L鎖遺伝子発現ベクターを、CHO-DG44細胞に導入し、新たに4種のキメラ抗体産生細胞(AC2425、AC2524、AC2494、AC9424)を得た。これらの細胞の培養上清中のキメラ抗体(抗体濃度14.9〜40.5μg/ml)の毒素結合能をELISAによって調べたところ、図5に示すように、いずれの抗体も毒素と結合することが示された。特に、AC9424は強い結合活性を示した。また、各培養上清中の毒素中和活性を調べたところ、表2に示すようにAC2425、AC2524は強い中和活性を示し、AC2494、AC9424はコントロールと比較して延命あるいは症状の緩和が観察された。以上のようにAC24とAC25抗体のH鎖L鎖交換を行ったところ、そのいずれの場合も毒素結合能と中和活性を保持していた。
Figure 0005004154
さらに驚いたことに、ほとんど相同性のないAC24とAC94のH鎖L鎖を交換した場合でも、弱い中和活性と結合活性が認められた(表3)。
Figure 0005004154
以上の結果より、H鎖としてAC24、AC25、AC94由来を、L鎖としてAC24由来を持ったミックスキメラ抗体が1個の細胞で産生可能であると考えられた。L鎖としてはAC25もしくはAC94も使用可能であり、さらには、AC24、AC25、AC94、全てのH鎖L鎖の任意の組合せが可能であることをも示している。これらの可能性から、これら3種類の抗体を別々に調製して混合した場合と同様に中和力価の向上が期待でき、さらに、3種の抗体の混合製剤よりも、開発時や製造時に低コストになると示唆された。
本願発明によって得られる抗ボツリヌス神経毒素組換え抗体は、ボツリヌス神経毒素に対して高力価の中和活性を有しており、これまでになかったボツリヌス神経毒素に対する二重特異性抗体をも含有するものである。このような抗ボツリヌス神経毒素組換え抗体は、ボツリヌス中毒症の臨床において、これまでになかった有効な治療剤となりうるものである。さらに、本発明により提供される抗ボツリヌス神経毒素抗体可変領域をコードする遺伝子断片は、ボツリヌス神経毒素に対して中和活性を有する抗体分子の可変領域の特異的アミノ酸配列もしくは核酸塩基配列を開示するものであり、今後、さらに進んだ遺伝子組換え技術を応用して目的の抗体分子を修飾、または一部置換等することにより、より優れた抗ボツリヌス神経毒素組換え抗体分子の開発を可能にするものである。
このように、本願発明の方法により得られる抗ボツリヌス神経毒素組換え抗体産生細胞及び当該細胞により得られる抗ボツリヌス神経毒素組換え抗体は、医療及び研究分野において多大なる貢献をするものである。
得られた各種マウスモノクローナル抗体のボツリヌス神経毒素への反応性をイムノブロッティングにより示した図。 各キメラ抗体のボツリヌス神経毒素結合活性をELISA法により示した図。 得られたキメラ抗体AC24のボツリヌス神経毒素への反応性をイムノブロッティングにより示した図。 得られたキメラ抗体AC94のボツリヌス神経毒素への反応性をイムノブロッティングにより示した図。 各キメラ抗体のボツリヌス毒素結合活性を示した図。

Claims (9)

  1. マウス抗体由来のアミノ酸配列とヒト抗体由来のアミノ酸配列からなる遺伝子組換え抗体であって、定常領域がヒト抗体由来のアミノ酸配列であることを特徴とし、かつボツリヌス神経毒素に対する中和活性を有し、当該組換え抗体の可変領域重鎖(VH)及び可変領域軽鎖(VL)のアミノ酸配列の一部が可変領域内の相補性決定領域(CDR)を含み、当該VHのCDR1〜3と当該VLのCDR1〜3との組み合わせ並びに当該組換え抗体のVHのアミノ酸配列及びVLのアミノ酸配列の組み合わせが、それぞれ配列番号26〜28及び配列番号29〜31並びに配列番号11及び13、配列番号38〜40及び配列番号41〜43並びに配列番号15及び17、配列番号50〜52及び配列番号53〜55並びに配列番号19及び21もしくは配列番号62〜64及び配列番号65〜67並びに配列番号23及び25から選択される、組換えヒト化抗ボツリヌス神経毒素抗体またはその抗原結合フラグメント。
  2. マウス抗体由来のアミノ酸配列とヒト抗体由来のアミノ酸配列からなる遺伝子組換え抗体であって、定常領域がヒト抗体由来のアミノ酸配列であることを特徴とし、かつボツリヌス神経毒素に対する中和活性を有し、当該組換え抗体のVH及びVLのアミノ酸配列の一部が可変領域内の相補性決定領域(CDR)を含み、当該VHのCDR1〜3と当該VLのCDR1〜3との組み合わせ並びに当該組換え抗体のVHのアミノ酸配列及びVLのアミノ酸配列の組み合わせが、配列番号26〜28及び配列番号41〜43並びに配列番号11及び17もしくは配列番号38〜40及び配列番号29〜31並びに配列番号15及び13から選択される、組換えヒト化抗ボツリヌス神経毒素二重特異性抗体またはその抗原結合フラグメント
  3. 該抗原結合フラグメントが抗体機能分子であり、Fab、Fab'、F(ab')2、一本鎖抗体またはジスルフィド安定化抗体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組換え抗体またはその抗原結合フラグメント。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の組換え抗体またはその抗原結合フラグメントをコードするDNA。
  5. 請求項に記載のDNAを宿主細胞に導入して得られる形質転換体
  6. 請求項4に記載のDNAを含む組換えベクター。
  7. 請求項5に記載の形質転換体を培地に培養し、培養物中に請求項1〜のいずれかに記載の組換え抗体またはその抗原結合フラグメントを生成蓄積させ、該培養物から該抗体を採取することを特徴とする組換え抗体の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の組換え抗体またはその抗原結合フラグメントが、放射性同位元素、蛋白質または低分子の薬剤と化学的または遺伝子工学的に結合させることを特徴とする融合抗体。
  9. 請求項1〜及びのいずれかに記載の組換え抗体またはその抗原結合フラグメントを有効成分として含有する、ボツリヌス感染症またはボツリヌス神経毒素中毒症の治療薬。
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