JP5003888B2 - サージアブソーバ - Google Patents

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Description

本発明は、落雷等で発生するサージから様々な機器を保護し、事故を未然に防ぐのに使用するサージアブソーバに関する。
電話機、ファクシミリ、モデム等の通信機器用の電子機器が通信線との接続する部分、電源線、アンテナ或いはCRT駆動回路等、雷サージや静電気等の異常電圧(サージ電圧)による電撃を受けやすい部分には、異常電圧によって電子機器やこの機器を搭載するプリント基板の熱的損傷又は発火等による破壊を防止するために、サージアブソーバが接続されている。
従来、応答性の良好なサージアブソーバとして、例えば特許文献1に示すように、マイクロギャップを有するサージ吸収素子を用いたサージアブソーバが提案されている。このサージアブソーバは、導電性皮膜で被包した円柱状の絶縁性部材であるセラミックス部材の周面に、いわゆるマイクロギャップが形成され、セラミックス部材の両端に一対のキャップ電極を有するサージ吸収素子が放電制御ガスと共にガラス管内に収容され、円筒状のガラス管の両端にリード線を有する封止電極が高温加熱で封着された放電型サージアブソーバである。
一方、例えば特許文献2に示すように、棒状の放電基体よりなる複数の放電電極を放電間隙を隔てて対向配置し、これを放電ガスと共に気密容器内に封入し、電極基体の下端部に接続されたリード端子を気密容器外に導出した放電型サージ吸収素子において、気密容器内の誘電体基台表面にカーボン線のトリガー電極を各放電電極と微小間隙を開けて設けたカーボントリガ線式の放電型サージ吸収素子が提案されている。
特開2003−282216号公報 特許第2745393号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、特許文献1に示すようなマイクロギャップ式のサージアブソーバでは、素子を作製するのに着膜などの工程が多数必要であり、製造コストが高いという不都合があった。また、特許文献2に示すようなカーボントリガ線式のサージアブソーバでは、放電に面する碍子(誘電体基台)の表面にカーボン線を描かねばならず、少なくとも量産時においてコスト上昇の要因となっていた。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、低コストに作製可能で高速応答性を有するサージアブソーバを提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明のサージアブソーバは、柱状又は筒状の絶縁性部材と、該絶縁性部材の両端部に対向配置されて該両端部に接触する一対の端子電極部材と、前記一対の端子電極部材を両端に配して前記絶縁性部材を内部に放電制御ガスと共に封止する絶縁性管と、を備え、前記絶縁性部材の両端部に、前記端子電極部材に接触する接触部から前記端子電極部材に対して漸次離間するように傾斜して半径方向に延在するテーパー面が形成されていることを特徴とする。
このサージアブソーバでは、絶縁性部材の両端部に、端子電極部材に接触する接触部から端子電極部材に対して漸次離間するように傾斜して半径方向に延在するテーパー面が形成されているので、テーパー面と端子電極部材との間に断面V字状の溝が形成され、この溝でサージ発生時にトリガー放電が行われる。したがって、テーパー面が形成された絶縁性部材を絶縁性管内に封止した簡易な構成であるため、容易にかつ低コストで作製することができると共に、溝によるトリガー放電によって高速応答性を得ることができる。さらに、テーパー面と端子電極部材との間の角度(溝の角度)をサージに応じた角度に適宜設定することで、応答性を向上させることも可能である。
また、本発明のサージアブソーバは、前記テーパー面が、前記端子電極部材との接触位置に応じて前記端子電極部材に対する傾斜角度が異なる曲面であることを特徴とする。すなわち、このサージアブソーバでは、テーパー面が、端子電極部材との接触位置に応じて端子電極部材に対する傾斜角度が異なる曲面とされているので、いろいろな角度で溝が形成されることでより応答性を向上させることができる。
また、本発明のサージアブソーバは、前記絶縁性部材の両端部に、前記端子電極部材との接触位置に応じて前記端子電極部材に対する傾斜角度が異なる複数の前記テーパー面が形成されていることを特徴とする。すなわち、このサージアブソーバでは、端子電極部材との接触位置に応じて端子電極部材に対する傾斜角度が異なる複数のテーパー面を有しているので、いろいろな傾斜角度の複数のテーパー面で複数の溝が形成されることでより応答性を向上させることができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るサージアブソーバによれば、絶縁性部材の両端部に、端子電極部材に接触する接触部から端子電極部材に対して漸次離間するように傾斜して半径方向に延在するテーパー面が形成されているので、簡易な構成で容易にかつ低コストで作製することができると共に、テーパー面と端子電極部材との間の溝によるトリガー放電によって高速応答性を得ることができる。
以下、本発明に係るサージアブソーバの第1実施形態を、図1を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
本実施形態のサージアブソーバ1は、図1に示すように、円柱状の絶縁性部材2と、該絶縁性部材2の両端部に対向配置されて該両端部に接触する一対の端子電極部材3と、一対の端子電極部材3を両端に配して絶縁性部材2を内部に放電制御ガス(図示略)と共に封止する絶縁性管4と、一対の端子電極部材3の外端面に基端が固定された一対のリード線5と、を備えている。
上記絶縁性部材2は、比誘電率が5〜100、好ましくは8.5〜40の碍子であって、絶縁性管4よりも比誘電率が大きく、ジルコニア程度の比誘電率を有するものである。
この絶縁性部材2の両端部には、端子電極部材3に接触する接触部から外周面まで端子電極部材3に対して漸次離間するように傾斜して半径方向に延在するテーパー面2aが形成されている。すなわち、このテーパー面2aと端子電極部材3との間に溝が形成されている。
このテーパー面2aは、絶縁性部材2の軸線を中心とした截頭円錐状の傾斜面とされ、一定の角度で端子電極部材3に接触している。このテーパー面2aと端子電極部材3との角度は、1〜60°の範囲内に設定されている。
上記端子電極部材3は、放電電極であって、高温加熱で絶縁性管4の両端に封着されており、絶縁性部材2の中心軸が絶縁性管4の中心軸に一致するように封止される。
上記絶縁性管4は、鉛ガラス等のガラス管又はセラミックス管で形成されている。
上記放電制御ガスは、He、Ar、Ne、Xe、SF、CO、C、C、CF、H及びこれらの混合ガス等の不活性ガスである。
このサージアブソーバ1を作製するには、まず絶縁性部材2を一対の端子電極部材3で挟んで保持し、この状態で絶縁性管4内に挿入する。そして、絶縁性管4内の空気を所定の放電制御ガス(例えば、Ar)で置換した後に、絶縁性管4の両端を加熱して溶かすことで端子電極部材3と密着させて封止を行う。これにより、絶縁性部材2を絶縁性管4内に封入したサージアブソーバ1が得られる。
このサージアブソーバ1では、過電圧又は過電流が侵入すると、まずテーパー面2aと端子電極部材3との間の溝でトリガー放電が行われ、さらに放電が進展して絶縁性部材2の外周面で沿面放電が行われることでサージが吸収される。
このように本実施形態のサージアブソーバ1では、絶縁性部材2の両端部に、端子電極部材3に接触する接触部から端子電極部材3に対して漸次離間するように傾斜して半径方向に延在するテーパー面2aが形成されているので、テーパー面2aと端子電極部材3との間に断面V字状の溝が形成され、この溝でサージ発生時にトリガー放電が行われる。
したがって、テーパー面2aが形成された絶縁性部材2を絶縁性管4内に封止した簡易な構成であるため、容易にかつ低コストで作製することができると共に、溝によるトリガー放電によって高速応答性を得ることができる。さらに、テーパー面2aと端子電極部材3との間の角度(溝の角度)をサージに応じた角度に適宜設定することで、応答性を向上させることも可能である。
次に、本発明に係るサージアブソーバの第2実施形態から第6実施形態について、図2から図6を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、円柱状の絶縁性部材2の両端部に軸線を同じくした截頭円錐状のテーパー面2aが形成され、端子電極部材3に対して全周にわたって一定の角度の溝が形成されているのに対し、第2実施形態のサージアブソーバ21では、図2に示すように、円柱状の絶縁性部材22の両端部に、絶縁性部材22の軸線に対して傾斜した軸線を有する截頭円錐状のテーパー面22aが形成されている点である。
すなわち、第2実施形態のサージアブソーバ21では、テーパー面22aが傾いた截頭円錐状となっているので、絶縁性部材22端部の周方向における端子電極部材3との接触位置に応じて端子電極部材3に対する傾斜角度が異なる曲面のテーパー面22aとなる。したがって、第2実施形態では、テーパー面22aが、端子電極部材3との接触位置に応じて端子電極部材3に対する傾斜角度が異なる曲面とされているので、いろいろな角度で溝が形成されることでより応答性を向上させることができる。
第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、円柱状の絶縁性部材2の両端部に截頭円錐状のテーパー面2aが形成されているのに対し、第3実施形態のサージアブソーバ31では、図3に示すように、略直方体状の絶縁性部材32の両端部に、一定の傾斜角度で切り欠いて形成した長方形状のテーパー面32aが形成されている点である。
この第3実施形態のサージアブソーバ31では、長方形状の傾斜面であるテーパー面32aにおいてトリガー放電が発生する。
第4実施形態と第3実施形態との異なる点は、第3実施形態では、絶縁性部材32の両端部にそれぞれ一つのテーパー面32aが形成されているのに対し、第4実施形態のサージアブソーバ41では、図4に示すように、絶縁性部材42の両端部に、互いに傾斜方向が逆の一対の長方形状のテーパー面42aが隣接状態で形成されている点である。
この第4実施形態のサージアブソーバ41では、一対のテーパー面42aにおいて形成された一対の溝でトリガー放電が発生する。
なお、一対のテーパー面42aは、それぞれ異なる角度で端子電極部材3に接触するように設定しても構わない。この場合、各テーパー面42aにおいて、端子電極部材3との接触位置に応じて端子電極部材3に対する傾斜角度が異なっているので、異なる傾斜角度の複数のテーパー面42aで複数の溝が形成されることでより応答性を向上させることができる。なお、3以上の異なる傾斜角度で設定されたテーパー面42aを形成しても構わない。
第5実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、円柱状の絶縁性部材2の両端部に截頭円錐状のテーパー面2aが形成されているのに対し、第5実施形態のサージアブソーバ51では、図5に示すように、円柱状の絶縁性部材52の両端部に中心から外周に向けて切り欠いた凹曲面である4つのテーパー面52aが形成されている点である。また、これらテーパー面52aは、端子電極部材3から離間する程、その曲率が変化されて傾斜角度が変化している。
この第5実施形態のサージアブソーバ51では、傾斜角度が徐々に変化した複数のテーパー面52aでトリガー放電が発生する。
第6実施形態と第2実施形態との異なる点は、第2実施形態では、円柱状の絶縁性部材22の両端部に軸線が傾いた截頭円錐状のテーパー面22aが形成されているのに対し、第6実施形態のサージアブソーバ61では、図6に示すように、円筒状の絶縁性部材62の両端部に軸線が傾いた截頭円錐状のテーパー面62aが形成されている点である。
この第6実施形態のサージアブソーバ61では、第2実施形態のサージアブソーバ21と同様に截頭円錐状のテーパー面62aでトリガー放電が発生する。
次に、本発明に係るサージアブソーバを、実際に作製した実施例により評価した結果を具体的に説明する。
本発明に係るサージアブソーバの実施例としては、第1実施形態のサージアブソーバ1と同じ形態のものを作製した。また、絶縁性管4としてはガラス管を使用し、絶縁性部材2としては比誘電率が8.5(実施例1)と35(実施例2)との碍子をそれぞれ使用した。また、テーパー面2aと端子電極部材3との角度(溝の角度)は、45°に設定した。なお、絶縁性管4内に封入するガスとしては、Arを用いた。
また、比較例として、テーパー面2aを形成せず、単なる円柱状であって比誘電率8.5の絶縁性部材を用いたものも同様に作製した。
これら実施例1,2及び比較例について、衝撃比(「インパルス放電開始電圧」/「直流放電開始電圧」)を測定した。なお、衝撃比は、1に近いほど応答性がよい。また、上記インパルスは、電圧波形1.2/50、5kVを印加した。
この評価の結果、実施例1の衝撃比が1.8、実施例2の衝撃比が1.5、比較例の衝撃比が2.6であった。このように、本発明の実施例1及び2では、比較例に比べて衝撃比が小さく、1に近い値であり、高速応答性を有していることがわかる。
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
本発明に係るサージアブソーバの第1実施形態において、サージアブソーバの分解斜視図並びに絶縁性管及び端子電極部材を破断して絶縁性部材を露出させた側面図である。 本発明に係るサージアブソーバの第2実施形態において、サージアブソーバの分解斜視図並びに絶縁性管及び端子電極部材を破断して絶縁性部材を露出させた側面図である。 本発明に係るサージアブソーバの第3実施形態において、サージアブソーバの分解斜視図並びに絶縁性管及び端子電極部材を破断して絶縁性部材を露出させた側面図である。 本発明に係るサージアブソーバの第4実施形態において、サージアブソーバの分解斜視図並びに絶縁性管及び端子電極部材を破断して絶縁性部材を露出させた側面図である。 本発明に係るサージアブソーバの第5実施形態において、サージアブソーバの分解斜視図並びに絶縁性管及び端子電極部材を破断して絶縁性部材を露出させた側面図である。 本発明に係るサージアブソーバの第6実施形態において、サージアブソーバの分解斜視図並びに絶縁性管及び端子電極部材を破断して絶縁性部材を露出させた側面図である。
符号の説明
1,21,31,41,51,61…サージアブソーバ、2,22,32,42,52,62…絶縁性部材、2a,22a,32a,42a,52a,62a…テーパー面、3…端子電極部材、4…絶縁性管、5…リード線

Claims (2)

  1. 柱状又は筒状の絶縁性部材と、
    該絶縁性部材の両端部に対向配置されて該両端部に接触する一対の端子電極部材と、
    前記一対の端子電極部材を両端に配して前記絶縁性部材を内部に放電制御ガスと共に封止する絶縁性管と、を備え、
    前記絶縁性部材の両端部に、前記端子電極部材に接触する接触部から前記端子電極部材に対して漸次離間するように傾斜して半径方向に延在するテーパー面が形成され
    前記テーパー面が、前記端子電極部材との接触位置に応じて前記端子電極部材に対する傾斜角度が異なる曲面であることを特徴とするサージアブソーバ。
  2. 請求項1に記載のサージアブソーバにおいて、
    前記絶縁性部材が、円柱状又は円筒状であって、
    前記テーパー面が、前記絶縁性部材の軸線に対して傾斜した軸線を有する截頭円錐状とされていることを特徴とするサージアブソーバ。
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