JP5003354B2 - 積層体及びそれを用いる光学特性制御方法 - Google Patents

積層体及びそれを用いる光学特性制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、能動的に光学特性を変化させることが可能な光学特性制御装置に用いられる板状光学部材に有用な積層体に関する。詳しくは、励起光により光学特性が変化する活性システムを有し、側面より励起光及び/又は復帰光が板状光学部材内に導入されることにより、活性システムの光学特性が変化して遮光・調光・遮熱・隠蔽・表示などの機能が発現する光学特性制御装置に用いられる板状光学部材の主要構成部材として有用な積層体に関する。
本発明はまたこの積層体を用いる光学特性制御方法と透過性部材に関する。
遮光・調光・遮熱・隠蔽・表示などの目的のために、光学特性を能動的に変化させることについては、種々の手法、用途が検討されている。特に、近年、環境問題や省エネルギー、プライバシー保護の必要性の高まりもあって、遮光・調光・遮熱手段を有する窓材、屋根材、仕切り材等に対する必要性が求められている。このための手段としては、原始的にはカーテンやブラインド、シャッター等の物理的遮蔽を用いる手法がとられる。しかし、これらの手法では、未使用時における収納場所も必要となる上に、頻繁な開閉が必要とされる用途に対しては多大な労力が必要となる。開閉を電動とすることも可能であるが、そのためには、窓材、屋根材、仕切り材等に加えて、電動装置を設置することが必要であり、装置が大型化する。また、カーテンやブラインド等では、例えば、窓を通して熱が内部に取り込まれるため、遮熱手段としての効率も低下する。
このようなことから、ビルや屋外施設、自動車等の設置場所に制約が大きい対象に対しては、窓材等と一体化して簡易に駆動できる遮光・調光・遮熱手段の開発が求められていた。
そのような手段の一つとして、温度により透明性が変化する材料を利用した手法が挙げられる。温度により透明性が変化する材料は古くから知られており、高温時に可視光に対する濁度が大きくなる材料を用いた遮光・調光・遮熱部材が提案されている。例えば、部材が曝される環境温度を利用すれば、材料が透明/白濁状態変化を起こす変化温度よりも環境温度が高いときには白濁状態となり、一方、環境温度が当該変化温度よりも低くなると透明性が自動的に回復され、高温時にのみ自動的に遮光・調光・遮熱・隠蔽・表示などの機能を発現させることができる。これらの部材に発熱体及び/又は冷却体を付与すれば、環境温度に頼ることなく、より能動的に部材の濁度を変化させ、同様の機能を発揮させることもできる。
しかし、温度により制御する手法では、受動的に作動することからも理解できるように、環境温度の変化によって意図しない作動をしてしまう可能性があり、能動的制御方法としては制約がある。この問題を解決するために、変化温度を高く設定すれば、能動的に作動させることは可能となるが、夏場の日射下でも自発的に作動しないようにするためには80℃を超えるような変化温度が必要となり、この結果、能動制御時に必要とされるエネルギーが高くなり、部材が高温に晒される問題があるとともに省エネルギーの目的には沿わない。利用目的が屋内用途であれば変化温度は35℃程度でも可能であるが、能動制御のためには加熱手段として通常電極が必要であり、熱線を配設する手法では熱源が局所化し、部材を十分に加熱するには局所的にかなりの高温が必要になる。また、調光部材としては一定の光透過性が必要であることから、透明性のある電極としてITOのような高価な稀少金属を使用した透明導電膜を利用した場合は価格や製法の点で問題が生じる。
また、能動的光学特性制御の別の手法として、電気的手法により光学特性が変化するシステムを利用した手法が挙げられる。これらは主としてディスプレー用途として開発が進められた手法であり、各種の液晶効果、エレクトロクロミズム、エレクトロデポジッション、電気泳動等を利用した手法が実用化されている。これらについては、特許庁標準技術集H16年度「電子ペーパー及びフレキシブルディスプレイ」等に概説がある。これらの手法は、主としてディスプレーとして実用化された手法であるが、遮光・調光効果を目的とした部材としての利用も提案されている(特許文献1,2)。
しかし、電気を利用した手法では電極が不可欠であり、特に遮光・調光効果を目的とした場合は透明性を有する状態も必要なことから、電極自体も透明であることが必要で、ITOのような高価な稀少金属を使用した透明導電膜が必要となり価格の点で問題がある。また、ITOの大面積膜を形成するには、真空成膜を利用する方法では生産性、コスト面で不利であり、湿式法による場合は高温熟成が必要で、プラスチックのように基材の温度耐性が高くない場合は利用できない。また、電気を利用した多くの手法では2枚の対抗電極がμメートルオーダーの間隔で対向している必要があり、大面積の部材を形成するには間隔制御、短絡防止の点で問題が多い。電極を1枚の基板上にパターンニングして水平方向の電極とすることも可能であるが、微細なパターン形成をする必要があり、特に面積が大きい場合に収率、コスト等に問題が生じる。さらに、電気を利用する方法では、面積が大きくなると流れる電流が大きくなり、発熱や安全性に問題がある。
一方、光学特性が変化する材料の例としては、光により特性が変化するフォトクロミズムが知られている。フォトクロミズムとは、一般的には紫外線を含む光放射に曝されたときの、フォトクロミック化合物、又はこのような化合物を含む物品の色の可逆的変化、及びこの紫外線放射の影響が中断されたときの、原色への転換に関する現象をいうが、広くは特定の光に晒されたとき原子、分子状態に変化が生じ、光学特性が可逆的に変化する現象を意味する。通常は、このような光学特性に変化を生じさせる程度の分子状態の変化を生じさせるためには、大きなエネルギーが必要であることから、エネルギーの高い紫外線が光学特性の変化を引き起こす光源となる場合が多い。フォトクロミズムの一般的な解説としては非特許文献1に概説がある。また、種々の型のフォトクロミック化合物によって示される色の可逆的変化(即ち、光の可視範囲(400〜700nm)における吸収スペクトルの変化)を担う一般的な機構が、非特許文献2に記載及び分類されている。
フォトクロミズムを利用した光学特性制御部材としては、例えば、紫外線感応サングラスが挙げられる。これはガラスをフォトクロミックガラスとしておき、夏場やスキー場の強い日差しの元ではガラスが着色して光透過率を低下させて目を保護するというものである。また、フォトクロミズムを利用した調光窓、光学特性調整部材も提案されている(特許文献3〜10)。
フォトクロミズムを利用した調光窓としては、紫外線感応サングラスと同様、フォトクロミズムを示す物質を窓材上に形成し、一定の日射の下ではフォトクロミズム材料が着色して光透過率を低下させ調光機能を発現するというものが挙げられる。この用法は、基本的には受動的作動をするものであり、制御性に欠けるため、意図しない時に着色することや意図した時に着色しないことがあるという限界がある。このような着色挙動については能動的に制御できることが望まれる。
しかし、フォトクロミズムを利用して遮光・調光・遮熱・隠蔽・表示などの目的のために光学特性を能動的に変化させることは本質的に問題がある。フォトクロミズムの場合は制御のための手段と制御される物性はいずれも光であり、サングラスの例からも分かるように、制御光と被制御光が通常同時に存在することになる。そのため、日差しが強く紫外線量が一定値を超えた場合に着色が生じるというような受動作動の場合は問題無いが、制御光の強度のみを任意に変化させることは通常できないため、能動的な制御ができない。制御光を可変的に吸収する手段をフォトクロミズム材料の外側に設けることも考えられるが、能動制御のためにはその手段が随時ON・OFFできる必要があり、その手段がフィルターのような物理的遮蔽手段の取り外しとなるならシャッターと変わらず、その手段が制御光の透過率を能動的に制御する手段であれば、直接被制御光の透過率を制御した方が簡便であり、わざわざプローブ光を介して別の光を制御する意味に乏しい。また、特許文献3に開示されているように、制御光を追加的に照射して作動させる手法も考えられるが、天然光の範囲内では作動せず、制御光が追加された場合のみ作動するようにするには、作動の閾光量として高い値を設定せざるを得ず、エネルギーの面で不利であるのみならず、照射装置が存在するため場所を取り視野が遮られる。また、制御光がとりわけ波長の短い紫外線の場合には、制御光が外部にある以上、人の目に入る可能性があり、健康上の問題も生じる。そのためフォトクロミズムを利用した手法も受動的な遮光・調光手段にとどまり、能動的な遮光・調光・遮熱・隠蔽・表示などの目的のためには利用されていなかった。
特開平9−120088号公報 特開平7−306394号公報 特開平3−186836号公報 特開平6−227844号公報 特開平7−242786号公報 特開平8−227844号公報 特開平9−159801号公報 特開平10−114007号公報 特開2004−315728号公報 特表2004−511367号公報 「クロミック材料の開発」、市村國宏監修、シーエムシー、普及版、2000年、p3−38 John C.Crano「Chromogenic Materials(Photochromic)」Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,第4版、1993,pp.321−332
本発明は、かかる課題の解決のために成されたものであり、物理的遮蔽手段や電極(特に透明電極)を必要とせず、光により光学特性を変化させることが可能で、かつ能動的に遮光・調光・遮熱・隠蔽・表示等の機能を行うことができる光学特性制御装置に有用な積層体を提供することを目的とする。
本発明はまた、この積層体を用いた光学特性制御方法と、透過性部材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、光により光学特性が変化する材料を有する層と、その光を積層体の面内方向に透過させることが可能な層とからなる積層体に制御光を導入して光学特性を制御することにより、光による能動的な光学特性制御が可能となることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 励起光により光学特性が変化する活性システムを有する光学活性層と、層の面内方向において励起光透過性を有する導光層とを含んで形成される積層体からなる窓材
[2] 励起光により光学特性が変化し、復帰光により励起光によって変化した状態から初期状態に復帰させることが可能な活性システムを有する光学活性層と、層の面内方向において復帰光透過性を有する導光層を含んで形成される積層体からなる窓材
[3] 導光層と光学活性層を含んでなる層群の少なくとも片側に励起光を少なくとも部分的に遮蔽する励起光遮蔽層を含む層を設けたことを特徴とする[1]又は[2]に記載の窓材
] 導光層の両側に光学活性層が存在する[1]ないし[]のいずれかに記載の窓材
] 導光層が光学活性層と隣接してなる[1]ないし[]のいずれかに記載の窓材
] 光学活性層に対して導光層の反対側に励起光遮蔽層を設けたことを特徴とする[]又は[]に記載の窓材
] 励起光により光学特性が変化する活性システムの光学特性の変化により制御される被制御光を恒常的に減光する層を有していることを特徴とする[1]ないし[]のいずれかに記載の窓材
] 励起光が可視光又は近赤外光であることを特徴とする[1]ないし[]のいずれかに記載の窓材
] 導光層内を層の面内方向に進行する励起光が、導光層の界面において内部全反射若しくは反射率50%以上の外部反射を生じることを特徴とする[1]ないし[]のいずれかに記載の窓材
10] 積層体の主たる構造がプラスチックを主として形成されていることを特徴とする[1]ないし[]のいずれかに記載の窓材
11] [1]ないし[10]のいずれかに記載の窓材において、励起光を導光層内の層の面内方向に進行させることにより光学活性層中の光学活性システムの光学特性を変化させる光学特性制御方法。
12の透過率が可変の[1]ないし[10]のいずれかに記載の窓材
本発明の積層体によれば、光を制御手段として利用して、光学特性を能動的に制御することが可能な光学特性制御装置が提供される。即ち、本発明の積層体では、制御手段とする光は積層体内を面内方向に進行し、制御される光は積層体の厚み方向を進行するため、制御のための光と制御される光が切り分けられ、従来のフォトクロミズムを用いた手法では困難であった能動的制御が可能となる。これにより、熱や電気的制御の場合において必要となる電極が不要となり、構成、製造手段の簡素化、光学特性制御のための積層体の大面積化が可能となる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
<積層体及び作動原理>
本発明の積層体は、層の面内方向において励起光及び/又は復帰光に対する透過性を有する導光層と、励起光により光学特性が変化する活性システムを有する光学活性層とを含んで形成される。積層体は所定のサイズに加工されて板状光学部材となり、調光装置において視認される面状体を構成し、積層体の板面に垂直方向の光学特性(透過率、反射率、散乱特性等)の変化が遮光・調光・遮熱・隠蔽・表示等に利用される。
本発明における励起光とは、後述の光学活性システムを不活性環境(25℃、暗室内)における状態(定常状態)から、光学特性が変化した状態(励起状態)に移行させる光を意味し、復帰光とは励起状態を定常状態に移行させる光を意味する。公知の光学活性システムの多くは、定常状態で無色であり励起状態で着色するが、本発明においては逆であっても構わず、着色状態から着色状、透明から白濁あるいはその逆、透過性から反射性あるいはその逆等であっても構わない。
本発明において、制御光とは、積層体中の導光層を積層体面内方向に進行し、積層体内部から活性システムを活性化する励起光、復帰光を意味する。
また、本発明における被制御光とは、光学活性システムの光学特性が変化した結果、影響を受ける光である。光学活性システムが励起状態で着色状態に移行する場合は、着色に対応した波長域の光が被制御光となり、光学活性システムが励起状態で散乱状態に移行する場合は、散乱される波長域の光が被制御光となる。
本発明の積層体は、導光層中を制御光が面内方向に伝搬し、かつ光学活性層中の光学活性システムに適宜到達するように設計されている。かかる構成の積層体によれば積層体の側面より制御光を導入して非制御光を制御することが可能となるため、積層体を板状光学部材に加工し、その側面から制御光を導入する光学特性制御装置を構成することが可能となる。また本発明の積層体が励起光遮蔽層を有する場合は、積層体の面に垂直な方向から入射する励起光を遮断することができるため、従来の光学活性システムでは困難であった環境下に制御光が存在する場合でも能動制御が可能となる。
<導光層>
本発明における積層体は層の面内方向において励起光及び/又は復帰光に対する透過性を有する導光層を有する。本発明では励起光及び/又は復帰光が導光層中を面内方向に伝搬することが予定されているので、導光層中の吸収が低く励起光及び/又は復帰光に対する透過性が高いことが好ましい。透過性としては板状光学部材の大きさに応じて、積層体中を面内方向に進行する励起光及び/又は復帰光が、必要とされる範囲において光学活性システムを励起できる強度をもって到達できれば良い。導光層の面内方向における光透過性の程度としては、具体的には、励起光及び/又は復帰光の波長域における単位長さあたりの吸光度(Absorbance)として1/cm以下、好ましくは0.1/cm以下、さらに好ましくは0.01/cm以下、特に好ましくは0.005/cm以下、理想的には物質固有の吸収が無視できる程小さいことである。単位長さあたりの吸光度が高過ぎると、光が吸収され到達距離が短くなるため、この積層体を利用した板状光学部材の大きさに制約が生じる。
本発明の積層体を遮光・調光・遮熱・隠蔽用として利用する場合は、積層体の面に垂直な方向に対して被制御光が透過することが予定される。そのために、導光層は、被制御光に対する一定の透過性を有する必要がある。導光層の被制御光に対する透過性としては、被制御光の波長域における単位長さあたりの吸光度(Absorbance)として20/cm以下、好ましくは10/cm以下とすることができる。単位長さあたりの吸光度が高過ぎると、被制御光が殆ど吸収され、透過を目的とした状態での透過率が極めて低くなるので、調光する意味が低減する。ただし、被制御光は積層体の厚み方向を進行するので、面内方向を伝搬する制御光と比較して導光層中を通過する距離は短いので、導光層には制御光に対して必要とされるような高い被制御光透過性は不要である。また、積層体における被制御光の透過率は目的とする機能に応じて変化させることが好ましく、一定の吸収を導光層に意図的に付与して、光学活性システムの光学特性変化に重畳させて、目的とする光学特性変化を実現することもできる。
制御される光学特性が反射特性であり、被制御光が光学活性層に対して導光層と反対側面から入射して光学活性層で反射される場合は、被制御光は導光層中を通過しないので、導光層の被制御光の透過性に対する制約は生じない。
導光層は制御光の伝搬性を高めるため、屈折率が積層体の他の層に対して一定の範囲にあることが好ましい。導光層の屈折率の値は相対的に決定されるもので、導光層のみで決定できるものではないが、好ましくは1.1以上、2以下である。
導光層を形成する物質としては、本発明における要件を満たせば特に制約は無い。また、制御光と被制御光の種類に応じて好適な物質は変化する。例えば、各種ガラス、石英のような無機材料、CaF、KBr、KI、NaClのようなイオン性結晶、水、水溶液、有機液体などの液体材料、空気や窒素、二酸化炭素等のガス、さらには真空等であっても良い。また、高分子系材料として、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー、ポリシクロヘキサン等のシクロオレフィン系ポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、塩化ビニルや塩化ビニリデン等の塩化ビニル系ポリマー、ポリアクリル酸及びその塩等のアクリル酸系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート等のアクリルエステル系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコールとその誘導体などの他、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂等の架橋系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ナイロン系ポリマー、さらにはポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド等の所謂エンジニアリングプラスチック、また、シロキサン樹脂、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシプロピレン誘導体、さらにはセルロースとその誘導体、デキストラン、ポリ乳酸等の生物由来の高分子物質などが好適に用いられる。また、これらの物質が共重合やブロック重合されていても良い。これらの高分子系材料は重量、加工性、形状任意性の点から好ましい。
これらの中で好ましい物質は、ガラスや石英等の無機材料又は各種ポリマー等の高分子材料である。より好ましくは熱可塑性の高分子材料であり、さらに好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、アクリルエステル系ポリマー、ポリビニルアルコールとその誘導体ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート系ポリマーであり、最も好ましくはアクリルエステル系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート系ポリマーである。
導光層の厚みは制御光が光学活性層に有効に到達できるように設定することが好ましい。導光層が、ある程度の厚みがあれば面内方向に進行する制御光が、導光層中を妨げられずに進行できる距離が長くなり、この積層体を利用した板状光学部材の大型化に有利である。導光層の厚みが薄い場合であっても、制御光の進行する角度が積層体の面に対して低い角度に制御されていれば、導光層中を妨げられずに進行できる距離は長くなる。また、導光層の厚みが薄い場合は、制御光を導光層の界面で反射させて伝達させる方法を採用すると、制御光の到達距離を大きくすることができ、大面積化に対しては好適である。
導光層の厚みは、制御光が光学活性層に有効に到達できるように設定することが好ましい。導光層がある程度の厚みがあれば側面から導入した制御光が光学活性層に直達することができ、制御光の利用効率は高くなる。導光層の厚みが薄い場合であっても、制御光の入射角が積層体の面に対して低い角度に制御されていれば、光学活性層に直達させることができる。導光層が薄い場合は、制御光を反射させて伝達させる方法を採用すると、制御光の到達距離を大きくすることができ、大面積化に対しては好適である。
導光層の厚みは好ましくは20cm以下、より好ましくは2cm以下、さらに好ましくは1cm以下、特に好ましくは5mm以下である。導光層が厚くなりすぎると積層体の厚み、導光層の材料によっては重量も増加する。そのため角度制御、反射伝搬方式を利用して、制御光が活性システムの光学特性を変化させうるだけの強度をもって光学活性層に到達できる限度で薄くすることが好ましい。なお、導光層の厚みの下限には特に制限はないが、通常0.001mm以上である。
導光層は、機械的強度を有し、外形を維持するための構造体(以下基板と称する)と兼用されていても良い。基板を使用することにより積層体が形状自立性を有するようになり、応用範囲が広くなる。そして基板を有する構成において、導光層の機能を当該基板に持たせることにより導光層を別途設ける必要がなくなり、積層体の厚み、重量の点で有効である。
基板としては、導光層に必要な特性を満たした上で一定の機械的強度を有していれば種々の物質が使用できる。例えば、各種ガラス、石英のような無機材料、CaF、KBr、KI、NaClのようなイオン性結晶、また、高分子系材料としてポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー、ポリシクロヘキサン等のシクロオレフィン系ポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、塩化ビニルや塩化ビニリデン等の塩化ビニル系ポリマー、ポリアクリル酸及びその塩等のアクリル酸系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート等のアクリルエステル系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコールとその誘導体などの他、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂等の架橋系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ナイロン系ポリマー、さらにはポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド等の所謂エンジニアリングプラスチック、また、シロキサン樹脂、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシプロピレン誘導体、さらにはセルロースとその誘導体、デキストラン、ポリ乳酸等の生物由来の高分子物質などが好適に用いられる。また、これらの物質が共重合やブロック重合されていても良い。高分子系材料は重量、加工性、形状任意性の点から好ましい。
これらの中で好ましい物質は、ガラスや石英等の無機材料又は各種ポリマー等の高分子材料である。より好ましくは熱可塑性の高分子材料であり、さらに好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、アクリルエステル系ポリマー、ポリビニルアルコールとその誘導体ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート系ポリマーであり、最も好ましくはアクリルエステル系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート系ポリマーである。
導光層と兼用される基板の厚みとしては制御光が光学活性層に有効に到達できるようにすることが好ましい。ある程度の厚みがあれば面内方向に進行する制御光が、導光層中を妨げられずに進行できる距離が長くなり、この積層体を利用した板状光学部材の大型化に有利である。厚みが薄い場合であっても制御光の進行する角度が積層体の面に対して低い角度に制御されていれば、導光層中を妨げられずに進行できる距離は長くなる。また、厚みが薄い場合は、制御光を導光層の界面で反射させて伝達させる方法を採用すると制御光の到達距離を大きくすることができ、大面積化に対しては好適である。導光層が厚くなりすぎると、積層体の厚み、重量も増加する。そのため角度制御、反射伝搬方式を利用して、制御光が活性システムの光学特性を変化させうるだけの強度をもって光学活性層に到達できる限度で薄くすることが好ましい。ただし、導光層が薄すぎると基板としての強度が維持できなくなる。この場合の導光層の厚みは好ましくは20cm以下、より好ましくは2cm以下、更に好ましくは1cm以下、特に好ましくは5mm以下である。また好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは1mm以上、特に好ましくは2mm以上である。
導光層は機械的強度を有し自立性を維持するためのフィルム(以下フィルム又は基材と称する)と兼用されていても良い。フィルムを使用することにより、積層体が自立性を有するようになり、取り扱いが容易となり応用範囲が広くなる。そしてフィルムを有する構成において導光層の機能を当該フィルムに持たせることにより、導光層を別途設ける必要がなくなり、積層体の厚み、重量の点で有効である。
フィルムとしては、導光層に必要な特性を満たした上で一定の機械的強度を有していれば種々の物質が使用できる。例えば、高分子系材料としてポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー、ポリシクロヘキサン等のシクロオレフィン系ポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、塩化ビニルや塩化ビニリデン等の塩化ビニル系ポリマー、ポリアクリル酸及びその塩等のアクリル酸系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート等のアクリルエステル系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコールとその誘導体などの他、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂等の架橋系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ナイロン系ポリマー、さらにはポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド等の所謂エンジニアリングプラスチック、また、シロキサン樹脂、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシプロピレン誘導体、さらにはセルロースとその誘導体、デキストラン、ポリ乳酸等の生物由来の高分子物質などが好適に用いられる。また、これらの物質が共重合やブロック重合されていても良い。高分子系材料は重量、加工性、形状任意性の点から好ましい。
これらの中で好ましい物質は、各種ポリマー等の高分子材料である。より好ましくは熱可塑性の高分子材料であり、さらに好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、アクリルエステル系ポリマー、ポリビニルアルコールとその誘導体ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート系ポリマーであり、最も好ましくはアクリルエステル系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート系ポリマーである。
導光層と兼用されるフィルムの厚みとしては、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.2cm以下、特に好ましくは0.1mm以下である。また、好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.01mm以上、さらに好ましくは0.02mm以下、特に好ましくは0.05mm以上である。これよりも厚くなりすぎると、フィルムとしての性能が損なわれ積層体の厚み、重量も増加する。また、薄すぎるとフィルムとしての強度が維持できなくなる。
導光層は、必要に応じて異なる物質の積層体によって形成されていても良い。例えば、屈折率の異なる層を積層することにより制御光の伝搬を制御したり、機械的構造の異なる層を積層することにより強度を持たせたり、熱伸縮特性を制御したりすることができる。また、表層側に粘着性や接着性、各種気体の透過や遮断性を有する層を設けることにより、機能を付与することもできる。さらには、被制御光の強度、色調を制御する層を含んで形成することにより、光学的外観を調整することもできる。
導光層はまた必要に応じて他の物質を含んでいても良い。例えば、耐候性向上、耐光性向上、保存特性向上、色調調整、色安定性向上、光学特性変化促進、光学特性繰り返し性向上等の目的に応じて、添加剤やフィラー等を加えることができる。加えられる添加剤、フィラーとしては、酸化防止剤、ラジカル補足剤、安定化剤、pH調整剤、色素、還元剤、構造補強材等が挙げられる。また、制御光を散乱させて光学活性層の方向へ導くための拡散粒子を入れることもできる。この拡散粒子は制御光に対する吸収が小さいことが好ましい。また、積層体が遮光目的の板状光学部材、光学特性制御装置に利用される場合は、被制御光に対する吸収が大きすぎないことが好ましく、透過性が必要とされる場合は被制御光に対する散乱も小さいことが好ましい。
導光層の製法としては特に制約はなく、導光層の性質に応じて適当な手段が採用されれば良い。導光層が基板やフィルムと兼用されている場合は、基板やフィルムの一般的な製法が利用できる。導光層が基材やフィルムの上に形成される場合は、基材やフィルムの上に塗布、ラミネート等の手法で形成することができる。導光層が積層体構成となっている場合は、逐次塗布やラミネート、共押し出し等の手法で形成することができる。導光層が空気の層を含んで形成される場合は、2枚の平面状部材に挟まれた空間を形成することにより導光層が構成される。導光層が液体や特定種類の気体、あるいは真空の層を含んで形成される場合は、2枚の平面状部材に挟まれた空間を形成し、さらに側面部分をシールして閉鎖空間を構築し、気密保持性を有するように構成する必要がある。
<光学活性層>
光学活性層は、励起光により光学特性が変化する光学活性システムを有する層である。
励起光により光学特性が変化する光学活性システムは、励起光により光学特性が変化すれば特に制約はない。広く使用されるのは各種のフォトクロミック材料である。
フォトクロミック材料としては、有機フォトクロミック材料として、例えば、以下のものが挙げられる。
クロメン(chromene)、例えば、ナフトピラン、ベンゾピラン、インデノナフトピラン、フェナントルピラン;
スピロピラン、例えば、スピロ(ベンズインドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)ベンゾピラン、スピロ(インドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)キノピラン、スピロ(インドリン)ピラン;
オキサジン、例えば、スピロ(インドリン)ナフトキサジン、スピロ(インドリン)ピリドベンゾキサジン、スピロ(ベンズインドリン)ピリドベンゾキサジン、スピロ(ベンズインドリン)ナフトキサジン、スピロ(インドリン)ベンゾキサジン;
水銀ジチゾネート、フルギド、フルギミド(fulgimide);
ジアリールエテン及びその誘導体;
ポリジアセチレン及びその誘導体;
上述したようなフォトクロミック化合物の混合物;
このようなフォトクロミック化合物は、米国特許第5,645,767号、同第6,153,126号及び同第6,296,785B1号の第30欄、第44行〜第31欄、第5行に記載される。近赤外域の光で活性化される有機フォトクロミック材料としては例えば、公開特許公報2004−315728号公報に記載されているような4,4’−ビピリジン誘導体が挙げられる。
これらの材料は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
光学活性層中におけるフォトクロミック材料の量は、フォトクロミック材料として機能し、目的とする光学特性を得ることができれば特に制約はない。最も高濃度の場合は、フォトクロミック材料単独で層を形成することも可能である。高分子マトリックス中にフォトクロミック材料を混合させて光学活性層とする場合のフォトクロミック材料の濃度は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、特に好ましくは2重量%以上である。また、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下である。この濃度が低すぎると、被制御光の十分な光学特性変化が得られない場合がある。逆に、この濃度が高すぎるとマトリックスの強度が低下したり、光学特性変化挙動が低下することがある。
無機のフォトクロミック材料としては、ポリオキソモリブデンクラスター錯体、カルコゲナイドガラス、ハロゲン化銀化合物等が挙げられる。また、前述の特許文献4、特許文献6、非特許文献2に例示されたものが挙げられる。
フォトクロミック材料の他に励起光により光学特性が変化する活性システムとしては、光導電材料等が挙げられる。また、励起光により特定の物性値が変化した結果として光学特性が変化する物質もある。例えば、励起光により光学活性システムの温度が上昇した結果、温度変化により光学特性が変化する系が挙げられる。このような系においては、通常の温度感応型調光素子に用いられる素材が用いられる。この場合、熱効率を向上させるため、励起光を吸収する材料を光学活性層に添加することが好ましい。さらにかかる活性システムの別の例としては、感光ゲルや光によって分子、粒子の移動、配向が生じ、結果として光学特性が変化する系も挙げられる。
光学特性の変化は励起光により変化が生じれば良く、定常状態への復帰については目的に応じて異なるものが使用できる。熱的に不安定なシステムでは、照射時のみ励起状態への変化が生じているので、励起光を照射している間だけ光学特性を変化させることができ、照射を中止すると速やかに定常状態になるので、応答性の速い光学特性制御装置を構築可能な積層体が得られる。熱的に安定なシステムでは、一旦照射すると光学特性が変化した状態が維持されるので、励起光を切ってもしばらくは変化状態が続くことから、励起光の照射が間欠的で良いため、エネルギー消費の点で有利である。光学的にのみ復帰するシステムでは復帰光が必要となるが、すべてを光で制御できるため好ましい。またオン、オフの時点でのみ励起光乃至復帰光を照射すれば良いので、エネルギー的にも有利である。
光学活性システムにより制御される光学特性としては、透過率、反射率、散乱特性、ヘイズ等が挙げられる。例えば、透過率、反射率を制御することにより、機械的手法、電気的手法に依存しない遮光、遮熱装置を得ることが可能となる。また、散乱、ヘイズを制御することにより、明るさを損なうことなく遮蔽機能を発現するプライバシー保護装置が得られる。光学特性の変化は全波長域で均一である必要はなく、必要に応じて特定の波長とすることも可能である。可視の透過率、反射率を選択的に制御することにより機械的手法、電気的手法に依存しない遮光、遮熱、表示装置を得ることが可能となり、可視の特定の波長の透過率、反射率を選択的に制御することにより遮光、遮熱に加えて色調調整や表示が可能な装置を得ることができる。近赤外域を選択的に制御すれば視認される色調に変化を与えることなく、夏季には熱線を遮断し、冬季には透過させる、といった熱線制御装置を得ることが可能となる。制御される特性として好ましい光学特性は、この積層体を用いる光学特性制御装置の用途によって異なるが、調光や遮熱目的の場合は、光学活性層に垂直な方向の光の透過率あるいは反射率、特に好ましくは透過率である。
光学特性の変化の範囲は特に制限はなく、必要に応じて調整することができる。例えば、目的とする被制御光の透過率の範囲としては0%〜100%とすることや、0%〜20%、10%〜50%あるいは80%から100%とすることもできる。調整範囲は使用される対象、目的とする機能によって適宜調整すれば良い。明るさを必要とする用途では上限を高くし、遮蔽を重視する場合は下限を低くすれば良い。これらは、光学活性層の厚み、活性層中の光学活性材料の含有量、により変化させることが可能であり、さらには励起光の強度等によって連続的に変わりうるので、段階的に調光(チューニング)させることも可能である。
目的とする被制御光の反射率の範囲としては例えば、0%〜100%とすることや、0%〜20%、10%〜50%あるいは80%から100%とすることもできる。
目的とする被制御光のヘイズの範囲としては0〜10とすることや、0〜30、0〜50あるいは5から50とすることもできる。調整範囲は使用される対象、目的とする機能によって適宜調整すれば良い。ヘイズの場合は、隠蔽を必要としない状態においては透明性が高い方が開放感があるため下限は5以下とすることが好ましい。隠蔽目的を十分に発現させるのためには上限は30以上であることが好ましい。
励起光としては、制御光として光学活性システムの制御に使用されうる光であれば特に制約はないが、使用される光学活性システムの励起波長に対応している必要がある。波長としては紫外線から赤外線まで全波長域の光が利用されうる。
本発明において紫外光とは波長400nm以下の光、赤外光とは波長700nm以上1000μm以下の光、近赤外光とは赤外光のうち波長700nm以上2500nm以下の光を指す。
紫外光と近赤外光を含む赤外光は不可視であることから、積層体の色や励起光のオンオフによる外観の変化を考慮する必要がないため好ましい。ただし、本発明においては、後述の励起光遮蔽層を設けることができ、励起光が可視光であっても外部への励起光の漏れや外部からの励起光に対応した環境光の照射の影響を調整できるため、可視光を用いることは妨げられない。紫外光はエネルギーが高く光学活性システムの選択の余地が大きいため好ましい。近赤外光は不可視であり励起光遮蔽層を設けても積層体の無色透明性を維持できるため好ましい。光学活性システムが特定の波長域の光に対して応答する場合は制御光としての性質上、その特定の光を主成分としていることが好ましく、他の成分を含まないことがより好ましい。光学活性システムを活性化できる成分が多い方が効率的な励起が可能であり、活性化できない成分を含まない方がエネルギー消費の点で有利である。
復帰光としては制御光として光学活性システムの制御に使用されうる光であれば特に制約はないが、使用される光学活性システムの復帰波長に対応している必要がある。波長としては紫外線から赤外線まで全波長域の光が利用されうる。紫外光と近赤外光を含む赤外光は不可視であるため、積層体の色や復帰光のオンオフによる外観の変化を考慮する必要がないため好ましい。ただし、本発明においては、光学的外観を調整する層を設けることができるため、復帰光が可視光であっても外部への復帰光の漏れや、復帰光に対応した環境光の照射の影響を調整することが可能であるため、可視光を用いることは妨げられない。また、復帰光を被制御光と重なる波長とすることにより、その強度を大きくし、復帰を容易にすることもできる。紫外光はエネルギーが高く光学活性システムの選択の余地が大きいため好ましい。近赤外光は不可視であるため好ましい。
光学活性システムが特定の波長域の光に対して応答する場合は、制御光としての性質上、その特定の光を主成分としていることが好ましく、他の成分を含まないことがより好ましい。光学活性システムが応答できる成分が多い方が効率的な復帰が可能であり、応答できない成分を含まない方がエネルギー消費の点で有利である。
光学活性層は光学活性システム単独の層として形成することができる。フォトクロミック材料を光学活性システムとして使用する場合は、例えば、これらの物質を蒸着やスパッタリングのような製膜法を用いて基板上に製膜することにより形成することができる。
また、光学活性層は光学活性システムを含む層として形成することもできる。この場合はマトリックス成分として存在する物質が機械的強度や耐候性を補強する役割を果したり、光学活性システムを好適に保持する機能を果たすこともできるため好ましい。例えば、一部の光学活性システムにおいてはガラス転移温度の低い高分子マトリックスの存在が光学特性変化の発現のために必要ともなっている。
マトリックス材料としては光学活性システムが機能すれば特に制約は無い。また、制御光と被制御光の種類に応じて好適な物質は変化する。例えば、各種ガラス、石英のような無機材料、CaF、KBr、KI、NaClのようなイオン性結晶、水、水溶液、有機液体などの液体材料、空気や窒素、二酸化炭素等のガスであっても良い。また、高分子系材料としてポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー、ポリシクロヘキサン等のシクロオレフィン系ポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、塩化ビニルや塩化ビニリデン等の塩化ビニル系ポリマー、ポリアクリル酸及びその塩等のアクリル酸系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート等のアクリルエステル系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコールとその誘導体などの他、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂等の架橋系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ナイロン系ポリマー、さらにはポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド等の所謂エンジニアリングプラスチック、また、シロキサン樹脂、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシプロピレン誘導体、さらにはセルロースとその誘導体、デキストラン、ポリ乳酸等の生物由来の高分子物質などが好適に用いられる。また、これらの物質が共重合やブロック重合されていても良い。高分子系材料は重量、加工性、形状任意性の点から好ましい。
また、一部の光学活性システムにおいては、高分子のガラス転移点(Tg)が低い方が、光学活性システムの光学特性変化が容易になるため好ましい。
これらの中で、好ましい物質はガラスや石英等の無機材料又は各種ポリマー等の高分子材料である。より好ましくは熱可塑性の高分子材料であり、更に好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、アクリルエステル系ポリマー、ポリビニルアルコールとその誘導体ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート系ポリマーであり、最も好ましくはアクリルエステル系ポリマー、ポリビニルアルコール誘導体ポリマー、低Tgのアクリルエステル系ポリマー、低Tgのポリビニルアルコール誘導体ポリマー、及びこれらの共重合ポリマー(ユニットとしてポリエチレン、ポリプロピレンを含んでも良い)である。
光学活性層の厚みは、光学特性変化の目的を達成でき、制御光が有効に利用されるようにすることが好ましい。光学活性層が厚すぎると、制御光が光学活性層の内の一部のみを励起するだけで減衰してしまい、光学活性層に無駄な部分が生じる。光学活性層が薄すぎると、制御光が光学活性層で吸収しきらずに透過していくようになり、制御光の利用効率が低下する。また、光学特性変化が小さくなり、被制御光の制御範囲が小さくなる。光学活性層の厚みは、光学活性層が光学活性システム単独の層として形成されている場合においては、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは2μm以下、特に好ましくは1μm以下である。また好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上、更に好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.1μm以上である。また、光学活性層が、光学活性システムがマトリックス中に含有されている層として形成されている場合においては、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、更に好ましくは1mm以下、特に好ましくは0.1mm以下である。最も好ましくは0.03mm以下である。また、好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.005mm以上である。
光学活性層は基板と兼用されていても良い。基板を使用することにより、積層体が形状自立性を有するようになり、応用範囲が広くなる。そして、基板を有する構成において、光学活性層の機能を当該基板に持たせることにより、光学活性層を別途設ける必要がなくなり、積層体の厚み、重量の点で有効である。
この場合の基板としては、光学活性を発現できるものであれば、基板が導光層を兼用する場合と同様の種々の物質が使用でき、厚み等の範囲もそれに準ずる。
また、光学活性層はフィルムと兼用されていても良い。フィルムを使用することにより、積層体が自立性を有するようになり、取り扱いが容易となり応用範囲が広くなる。そして、フィルムを有する構成において、光学活性層の機能を当該フィルムに持たせることにより、光学活性層を別途設ける必要がなくなり、積層体の厚み、重量の点で有効である。
この場合のフィルムとしては、光学活性を発現できるものであれば、フィルムが導光層を兼用する場合と同様の種々の物質が使用でき、厚み等の範囲もそれに準ずる。
光学活性層は必要に応じて他の物質を含んでいても良い。例えば、耐候性向上、耐光性向上、保存特性向上、色調調整、色安定性向上、光学特性変化促進、光学特性繰り返し性向上等の目的に応じて、添加剤やフィラー等を加えることができる。加えられる添加剤、フィラーとしては、酸化防止剤、ラジカル補足剤、安定化剤、pH調整剤、色素、還元剤、構造補強材等が挙げられる。
光学活性層は必要に応じて異なる物質の積層体によって形成されていても良い。例えば、光学活性システムが異なる層を積層することにより制御光に対する光学特性変化の挙動を変えることができる。また、機械的構造の異なる層を積層することにより強度を持たせたり、熱伸縮特性を制御したりすることができる。さらに表層側に粘着性や接着性、各種気体の透過や遮断性を有する層を設けることにより機能を付与することもできる。さらには被制御光の強度、色調を制御する層を含んで形成することにより、光学的外観を調整することもできる。
光学活性層の製法としては特に制約はなく、光学活性層の性質に応じて適当な手段が採用されれば良い。光学活性層が基板やフィルムと兼用されている場合は基板やフィルムの一般的な製法が利用できる。光学活性層が基材やフィルムの上に形成される場合は、基材やフィルムの上に塗布、ラミネート等の手法で形成することができる。光学活性層が積層体構成となっている場合は、逐次塗布やラミネート、共押し出し等の手法で形成することができる。光学活性層が液体の層を含んで形成される場合は、2枚の平面状部材に挟まれた空間を形成するが、積層体が板状光学部材に形成される段階で、側面部分をシールして閉鎖空間を構築し、気密保持性を有するように構成する必要がある。
<光伝搬用積層構成−外部反射型層構成>
本発明の積層体においては、導光層の屈折率が導光層に隣接する層の屈折率より低くなるように形成するのが好ましい。本発明においては、励起光及び/又は復帰光は導光層中を面内方向に伝搬して光学活性システムに到達し、その光学特性を変化させる。制御光の指向性が高く制御光の進行角度が良く制御されていれば、制御光は導光層中を直進して活性層に直接照射され、光学活性物質の光学特性を変化させる(図1参照)。しかし、光学特性制御装置の形態によっては、積層体の厚みが薄いことが好まれることがあり、特に窓材として利用される場合は、全厚の薄さが要求される。その結果として導光層の厚みも薄くなり、直射のみに依存すると部材の面積が大きい場合は、制御光の進行角度が極めて小さく狭い範囲に制御されるとともに、光学特性の変化の程度をそろえるために制御光の強度の角度分布を精密に制御することが必要になってくる。
一方で、直射光のみによらず、導光層と導光層に隣接する層との界面における反射を利用する手法がある。これによれば、何回かの反射を繰り返して励起光及び/又は復帰光がより遠距離まで到達するので、積層体の厚み減少、積層体を利用した部材の大面積化の観点から好ましい。導光層の屈折率が導光層に隣接する層の屈折率より低ければ、層の界面において外部反射が生じ、一部の光は屈折して隣接層内に侵入し、一部の光は反射して導光層内に戻される(図2参照)。この反射率、透過率は各層の屈折率、吸収率、光の入射角、偏光によって決定される。これらは光学に関する一般的な解説書、例えば「薄膜ハンドブック」、日本学術振興会編、オーム社、第1版第6刷、1995年、「光学薄膜の設計・作製・評価技術」、小倉繁太郎監修、技術情報協会、2001年、等に記載されている。
界面における反射率としては、概略の傾向として、入射角が大きい(光の進行方向が積層体平面により平行的)場合は、反射率が高くなり、これは屈折率の差が大きいほど高くなる。屈折率の差はそれぞれの層の屈折率の比が反射率、透過率に影響する。導光層の屈折率に対する導光層に隣接する層の屈折率の比は好ましくは1.01以上、より好ましくは1.02以上、特に好ましくは1.03以上である。また、好ましくは10以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは1.2以下である。屈折率の比が小さいと、光の殆どが界面で透過してしまい、反射を繰り返してより遠方に伝搬するという効果が小さくなる。屈折率の比が大きくなると、反射率は高くなるが、屈折して透過する光の割合が低下して光学活性システムに到達する光の割合が低下する。
反射率の値としては、反射の繰り返しの結果、この積層体から形成される板状光学部材の全面に励起光が到達できるようになっていれば良く、それは板状光学部材の大きさや厚みで変化するが、好ましくは主たる入射角の光に対して50%以上であることが好ましく、特に好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。また、99%以下、特に95%以下であることが好ましい。反射率が高すぎると屈折する光が減少し、光学活性システムに到達する光の割合が低下する。反射率が低すぎると、初期の反射で大半の光が導光層外にでてしまうため、遠方の光学活性システムに到達する光の割合が低下し着色ムラが生じる。
屈折した光は積層厚み方向に対して一定の角度を持って進行し、光学的相互作用を受けなければ積層体の表面から外部へ放出されることになる。積層体が光学活性層を含んでいると、光学活性層で吸収され光学特性を変化させる。光学活性層の厚みは光学活性物質の量、吸収強度に応じて屈折した光が有効に吸収される厚みとすることが好ましい。屈折した光は積層厚み方向に対して進行していくことから、光学活性層の位置は導光層に隣接している必要はなく、間に別の層を挟んでいても良い。この場合、間に存在する層は励起光及び/又は復帰光を吸収しないことが好ましい。
反射した光は入射場所で反射され、入射した際とほぼ同一の角度を持って導光層の反対側界面かつ入射側面からより遠方に向けて進行する。反対側界面が同一の構成を有していれば、ここでも一部が透過して屈折光となり、一部はさらに反射して再び反対側の界面かつさらに遠方へ向けて進行する。これを繰り返すことによって、部材の厚み、ひいては導光層の厚みが薄く、部材の面積が大きくても、側面からの光導入で部材内全体に励起光を誘導することが可能となる。一方の界面は金属膜のように反射性物質を形成して反射率を高くし、励起光の到達距離をより高くすることも可能である。この場合でも、金属膜の厚みを極薄くして、ハーフミラーレベルにすることにより窓材として利用することが、尚可能である。
より好ましくは、導光層の両側に光学活性層を設ける構成である。これにより制御光がより有効に利用され、積層体全体としての光学特性変化も大きくすることが可能となる。光学活性層の配置形態や種類は同一であっても異なっていても良い。同一とすれば素材や製法を共通にできるためコスト面で有利であり、制御光や光学特性変化が共通するので、設計を最適化することも容易になり、制御光の有効活用、光学特性変化の最大化が図れる。一方で異なる構成とすれば、例えば、色調や変化速度の異なる光学活性物質を両側の層に分けて配置することにより、色合いやその変化速度を目的に応じて設計することが可能となる。
<光伝搬用積層構成−内部反射型層構成>
本発明における積層体においては、導光層の屈折率が導光層に隣接する層の屈折率より一定の条件を満たすように高く形成することもできる。本構成も直射光のみによらず、反射の繰り返しにより制御光を伝搬させるものであるが、反射は導光層と導光層に隣接する層との界面における全反射(内部反射)を利用する手法である。これによれば何回かの反射を繰り返して励起光及び/又は復帰光がより遠距離まで到達するので、外部反射を利用する場合と同様、部材の厚み減少、大面積化の観点における利点がある。導光層の屈折率が導光層に隣接する層の屈折率より高ければ、入射角が一定の値以上において層の界面において全反射が生じ、すべての光は導光層内に反射される。反対側も同じ構成であれば、再び全反射が生じて光は理論上は無限に伝搬していく。全反射の生じる角度は導光層と導光層に隣接する層の屈折率、光の入射角、偏光によって決定される。これらは全反射に関する一般的な解説書、例えば、N.J.Harrick、「INTERNAL REFLECTION SPECTROSCOPY」、Interscience Publishers、1967等に記載されている。
全反射の生じる入射角としては、入射角が大きい(光の進行方向が積層体平面により平行的)場合は、全反射しやすく、これは屈折率の差が大きいほど高くなる。屈折率の差は屈折率の比として反射率、透過率に影響する。導光層に隣接する層の屈折率に対する導光層の屈折率の比は励起光、復帰光の入射角によって変わりうるが、好ましくは1.01以上、より好ましくは1.02以上、特に好ましくは1.03以上である。また、好ましくは5以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下である。屈折率の比が小さいと全反射の生じる入射角の範囲が小さくなり、制御光の入射角を精密に制御する必要が生じる。屈折率の比が大きくなると全反射は生じやすいが、後述のように侵入深さが小さくなり光学活性層の有効厚みが減少する。
全反射した光は、積層厚み方向に対して一定の角度を持って全反射を繰り返しながら導光層内部を反射しながら進行し、積層体の反対側面に到達して反射して内部へ戻るか、積層体外部へ放出されることになる。そのため、部材の厚み、ひいては導光層の厚みが薄く、部材の面積が大きくても、側面からの光導入で部材内全体に励起光を誘導することが可能となる。
光は、導光層の界面で全反射し、減衰を受けること無く反射を繰り返しながら進行する。従って、導光層に励起光及び/又は復帰光に対する吸収がなければ、光の減衰は一見生じない。しかし、全反射に際しては低屈折率層側に一定の強度の光が滲み出る。この滲みだし光(エバネッセント波)により吸収が生じ、全反射している光に吸収が生じる。これは、全反射吸収分光法において広く利用されている原理である。そのため、導光層に光学活性層が隣接していると、滲みだし光(エバネッセント波)により光学活性層中の光学活性物質による吸収が生じる。そこで光学活性層を導光層に対して低屈折率で隣接させておくことにより、エバネッセント波で光学活性システムの光学特性を変化させることが可能となる(図3参照)。光学活性層の厚みは光学活性物質の量、吸収強度に応じて変化するが、エバネッセント波の存在深さは通常波長程度であるから、波長の数倍程度あれば十分である。エバネッセント波は進行波ではないため、界面から離れた層には励起光は到達しない。そのため、エバネッセント波が存在しない位置の光学活性層は光学特性変化には寄与しないが、製造工程上等の理由により厚くしても問題はない。また、制御光が外部に放出されるのを防ぐ意味での制御光遮蔽層は不要となる。
光学活性層は少なくとも導光層の一方の側に隣接して形成されていれば良い。導光層の光学活性層が形成されていない側の界面は、全反射条件を満たし制御光に対して吸収性を有しない構成としておくことにより、制御光を全反射させることができ、制御光をロスすることなく伝搬させることができる。より簡便には空気と隣接させることも可能である。また、金属膜のような反射性物質を形成して反射率を高くすることも可能である。この場合でも、金属膜の厚みを極薄くしてハーフミラーレベルにすることにより窓材として利用することが尚可能である。
光学特性変化を大きくしたい場合は、導光層の両側に光学活性層を設ける構成とすることが好ましい。これにより励起光により励起される光学活性層の厚みが2倍になり、光学特性変化を大きくすることが可能となる。光学活性層の配置形態や種類は同一であっても異なっていても良い。同一とすれば素材や製法を共通にできるため、コスト面で有利であり、制御光や光学特性変化が共通するので、設計を最適化することも容易になり、制御光の有効活用、光学特性変化の最大化が図れる。一方で、異なる構成とすれば、例えば、色調や変化速度の異なる光学活性物質を異なる層に配置することにより、色合いやその変化速度を設計することが可能となる。
<光伝搬用積層構成−散乱併用導光層利用構成>
本発明の積層体においては、導光層を制御光に対して一定の散乱を有するものとすることにより、制御光を光学活性層に導くこともできる。導光層中を面内方向に伝搬する制御光は、直射、外部反射、内部反射により導光層内を進行するが、導光層が制御光に対して一定の散乱性を有していれば、一部の光は散乱され進行方向が変化する。進行方向が変化した光の一部は導光層の外部に放出され光学活性層に到達する。特に、内部全反射との組み合わせでは、伝搬効率を高く保った上で、制御光が到達する範囲がエバネッセント波の範囲に制限されるという内部反射利用方式の限界を克服することができるため好ましい。このような導光層の例としては、例えば、ビーズ入りアクリル導光板「パネビー」((株)きもと社製)のようなものが利用できる。散乱の程度は光の伝搬と導光層外への一定の放出がバランスするようにすることが好ましい。強すぎると導光層中を光が実質的に進行しなくなる。弱すぎると散乱を利用する効果が小さくなる。
散乱性の付与は屈折率の異なる構造、通常は粒子(拡散粒子)の添加により行われる。制御光の伝搬を確保するため拡散粒子は制御光に対する吸収が無いことが好ましい。また、板状光学部材の利用目的が透明性を有する用途の場合は被制御光に対する散乱がないようにすることが好ましい。散乱性の調整は、制御光と被制御光の波長、及びそれらの波長における導光層マトリックス、拡散粒子の屈折率の値を適宜設計することにより行うことができる。例えば、制御光を近赤外光とし、被制御光を可視光として、マトリックスと拡散粒子の屈折率が可視光域では一致し、近赤外域では異なるような屈折率の波長依存性を有する材料でマトリックスと拡散粒子を構成すれば、被制御光に対しては透明で、制御光に対しては一定の散乱を有する導光層とすることができる。
<励起光遮蔽層>
本発明の実施形態の一つにおいては、励起光を遮蔽する手段を含む層を、導光層と活性システムを有する光学活性層を含んでなる積層体の少なくとも片側に設置することができる。
本発明の一つの実施形態においては、導光層中を面内方向に進行する励起光により光学活性システムが活性化される。即ち、導光層側から到達する励起光により光学活性システムが活性化される。ここで励起光の種類が、積層体が使用される環境下、即ち積層体を用いて構成される光学特性制御装置が使用される場所に存在しない種類の光であれば問題ないが、環境に存在する種類の光であると、積層体の面に垂直方向から被制御光とともに入射した励起光により活性システムが励起され、意図しない時点において光学特性が変化する可能性がある。そこで、励起光を少なくとも部分的に遮蔽する手段を含む層を導光層と活性システムを有する光学活性層を含んでなる積層体の少なくとも片側に設けることにより、環境に由来する励起光を減衰させ、環境に存在する光の変動により意図しない光学特性変化が生じることを抑制し、制御性を高めることができる。
励起光遮蔽層の目的は、環境に存在する励起光が積層体の面外から光学活性層に到達し光学特性を変化させることを抑制することにある。従って、導光層と光学活性層に対して積層体中のより外側の層として積層されている必要がある。
環境に存在する励起光に対応する光が積層体の一方の側からのみ到来する場合は、導光層と光学活性層を含んでなる積層体の、環境に存在する励起光が到来する面側のみに設置すれば良い。
より好ましい構成としては、励起光遮蔽層が導光層と光学活性層を含んでなる積層体の両側に位置する構成である。これにより、いずれの側からの環境光にも影響されない制御性の高い光学特性制御装置を得ることが可能となる。特に好ましくは、導光層の両側に光学活性層が位置し、その両外側に励起光遮蔽層が存在するものである。これにより導光層中を面内方向に進行する励起光はより有効に利用され、外部からの意図しない励起は抑制される。
また、励起光遮蔽層の目的は環境に存在する光が積層体の面外から光学活性層に到達し光学特性を変化させることを抑制することにあることから、励起光を完全に遮断しなくとも、光学活性システムの意図しない励起を抑制できれば、励起光を低減させる程度のものであっても良い。好ましい値としては、励起光に対する透過率で50%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは1%以下である。
励起光遮蔽層は、外部からの環境由来の励起光に対応する光を遮断する一方で、導光層中を面内方向に進行する励起光が積層体の面から外部へ放出されることを防ぐ役割も果たす。励起光が反射、屈折光に分かれて屈折光が光学活性システムを励起する場合、光学活性層で励起光が吸収されきらないと、一部の光が積層体の外側表面に到達し、積層体外へ放出される可能性がある。その結果、励起光が紫外線である場合は、人体に影響を生じる可能性があり、近赤外線、赤外線であれば熱源となる。また、可視光線であれば積層体の外観に影響を与える。このように励起光遮蔽層は内部の励起光が外部へ放出されるのを防止する役割も果たしうる。
励起光遮蔽層の構成は、励起光を必要な程度で低減させることができれば特に制約はなく、目的とする光の波長、低減度合いに応じて構成すれば良い。低減させる手法としては光の吸収、反射、散乱等が挙げられるが、好ましくは吸収、反射である。特に好ましくは吸収である。吸収は外光由来の励起光の入射角度に依存せずに効果を発現することができ、特定の波長のみに対して効果を発現させることが容易であり、外部からの励起光遮蔽と内部からの励起光漏れ防止に同等に機能するので特に好ましい。また反射によればエネルギーを吸収しないため、積層体の温度上昇を防ぐことができ、励起光が近赤外光の場合は特に好ましい。
励起光遮蔽層は、層の基本形成物質を励起光に対する吸収性、反射性を示す物質とすることによって形成することができる。これによれば、極めて簡単な層構成により励起光を遮蔽するという目的を達成することができる。
励起光遮蔽層の基本形成物質としての、励起光に対する吸収性を示す材料としては、励起光が紫外線の場合は、例えば、紫外域に吸収を有するガラスや高分子系材料としてポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー、ポリスチレン系ポリマーなどの芳香環を有するポリマー、ポリエチレンテレフタレート等の芳香環を有するポリエステル系ポリマーなどの他、ポリカーボネート系ポリマー、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂などが好適に用いられる。また、これらの物質が共重合やブロック重合されていても良い。
励起光が可視光線の場合は、例えば、可視域に吸収を有するガラスや高分子系材料としてドープポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子などが好適に用いられる。
励起光が近赤外域を含む赤外域にある場合は、対応する波長域に吸収を有する材料を用いれば良い。近赤外域では後述のマトリックスに吸収性物質を含有させる形態を利用することが好ましい。
励起光遮蔽層の基本形成物質としての、励起光に対する吸収性を示す材料としては、各種の金属薄膜や高分子多層膜、誘電体積層膜、カイラル液晶膜等も挙げられる。これらの膜は材質、膜厚、積層構成により反射する波長領域が異なるため目的に応じて設計すれば良い。高分子多層膜、誘電体積層膜、カイラル液晶膜等は波長選択性が高いので目的とする励起光のみを反射させることができ好ましい。例えば、励起光が近赤外光である場合に、近赤外光のみを反射し、可視光には影響しないため、光学的外観を損なうことなく励起光遮蔽の目的を達成することができる。また、金属薄膜によれば、極めて薄い膜で遮蔽効果を発現することができるため好ましい。
励起光遮蔽層は、層の基本形成物質に励起光に対する吸収性を示す物質を含有させることによっても形成することができる。これによれば簡単な層構成により励起光を遮蔽するという目的を達成することができる。
層の基本形成物質のうち、マトリックス材料としては、励起光に対する吸収性を示す物質を保持し機能させることができれば特に制約は無い。例えば、各種ガラス、石英のような無機材料、CaF、KBr、KI、NaClのようなイオン性結晶、水、水溶液、有機液体などの液体材料であっても良い。また、高分子系材料としてポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー、ポリシクロヘキサン等のシクロオレフィン系ポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、塩化ビニルや塩化ビニリデン等の塩化ビニル系ポリマー、ポリアクリル酸及びその塩等のアクリル酸系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート等のアクリルエステル系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコールとその誘導体などの他、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂等の架橋系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ナイロン系ポリマー、さらにはポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド等の所謂エンジニアリングプラスチック、また、シロキサン樹脂、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシプロピレン誘導体、さらにはセルロースとその誘導体、デキストラン、ポリ乳酸等の生物由来の高分子物質などが好適に用いられる。また、これらの物質が共重合やブロック重合されていても良い。高分子系材料は重量、加工性、形状任意性の点から好ましい。
これらの中で好ましい物質は、ガラスや石英等の無機材料又は各種ポリマー等の高分子材料である。より好ましくは熱可塑性の高分子材料であり、さらに好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、アクリルエステル系ポリマー、ポリビニルアルコールとその誘導体ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート系ポリマーであり、最も好ましくはアクリルエステル系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート系ポリマーである。
励起光に対する吸収性を示す物質としては、励起光が紫外線の場合は、例えば、紫外域に吸収を有するガラス粒子や酸化チタン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化セリウム、等の無機材料が挙げられる。これらの物質は粒子としてマトリックス材料中に配合することができる。粒子の粒径としては好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上である。また、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、特に好ましくは100nm以下である。粒径が大きくなりすぎると散乱の影響が大きくなり、紫外線以外の透明性が低下する。小さくなりすぎると取り扱いが困難になり物質としての特性も不安定になる。
また、高分子系材料としてポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー、ポリスチレン系ポリマーなどの芳香環を有するポリマー、ポリエチレンテレフタレート等の芳香環を有するポリエステル系ポリマーなどの他、ポリカーボネート系ポリマー、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂などが好適に用いられる。また、これらの物質は共重合やブロック重合されていても良い。また、高分子系材料は層のマトリックス材料に混合して用いられても良く、粒子として配合されていても良い。混合して用いられる場合はマトリックスとの相溶性が高いことが好ましい。粒子として配合される場合の粒子の粒径としては好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上である。また、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、特に好ましくは100nm以下である。
別に、有機系材料として紫外線吸収性能を有する分子を使用しても良い。例えば、分子内に芳香環を有する分子などが好適に利用できる。好ましい例としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、メチル−3[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタリミド−メチル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、等のベンゾトリアゾール系分子、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系分子、2−エトキシ−2’−エチル−オキサリック酸ビスアニリド等の蓚酸アニリド系分子、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系分子、トリアジン系分子、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系分子などが挙げられる。
励起光に対する吸収性を示す物質としては、励起光が可視光線の場合は、例えば、可視域に吸収を有するガラス粒子や酸化鉄、酸化クロム、酸化銅、鉄や銅イオンを含む結晶性物質等の無機材料が挙げられる。これらの物質は粒子としてマトリックス材料中に配合することができる。粒子の粒径としては好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上である。また、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、特に好ましくは100nm以下である。粒径が大きくなりすぎると散乱の影響が大きくなり透明性が低下する。小さくなりすぎると取り扱いが困難になり物質としての特性も不安定になる。
また、高分子系材料としてドープポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子などが使用できる。また、高分子系材料は層のマトリックス材料に混合して用いられても良く、粒子として配合されていても良い。混合して用いられる場合はマトリックスとの相溶性が高いことが好ましい。粒子として配合される場合の粒子の粒径としては好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上である。また、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、特に好ましくは100nm以下である。
別に、有機系材料として可視光吸収性能を有する分子、所謂色素を利用することも好ましい。色素は様々な種類が多々の目的に応じて開発されており、目的に応じて選択することができる。
励起光に対する吸収性を示す物質としては、励起光が赤外線の場合は、例えば、赤外域に吸収を有するガラス粒子、各種の酸化物、金属イオンを含む結晶性物質等の無機材料が挙げられる。また、各種の高分子や低分子等の有機材料が挙げられる。特に、励起光が近赤外線の場合は、例えば、各種のジイモニウム塩化合物、各種のニッケル錯体、ナフタロシアニンとその誘導体等の有機物が使用できる。また、6硼化ランタンや変性酸化タングステンなどの無機物が使用できる。これらの物質は粒子としてマトリックス材料中に配合することができる。粒子の粒径としては好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上である。また、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、特に好ましくは100nm以下である。粒径が大きくなりすぎると散乱の影響が大きくなり透明性が低下する。小さくなりすぎると取り扱いが困難になり物質としての特性も不安定になる。
また、高分子系材料としてドープポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子などが使用できる。また、高分子系材料は層のマトリックス材料に混合して用いられても良く、粒子として配合されていても良い。混合して用いられる場合はマトリックスとの相溶性が高いことが好ましい。粒子として配合される場合の粒子の粒径としては好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上である。また、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、特に好ましくは100nm以下である。
層の基本形成物質に対する励起光に対する吸収性を示す物質の配合量としては、励起光に対する物質の吸収性と励起光遮蔽層の厚みに応じて必要な量を配合すれば良い。通常は0.001重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.1重量%以上である。また、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。
励起光遮蔽層の厚みは励起光減衰の目的を達成できれば特に制約はない。好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは1mm以下、特に好ましくは0.05mm以下、最も好ましくは0.01mm以下であり、好ましくは0.0001mm以上、より好ましくは0.001mm以上である。
励起光遮蔽層は基板と兼用されていても良い。基板を使用することにより積層体が形状自立性を有するようになり、取り扱いが容易になる。そして基板を有する構成において、励起光遮蔽層の機能を当該基板に持たせることにより、励起光遮蔽層を別途設ける必要がなくなり、積層体の厚み、重量の点で有効である。
基板としては励起光遮蔽性を発現できるものであれば良く、励起光遮蔽層が層の基本形成物質が励起光に対する吸収性を示すことによって形成されている場合に使用される物質が好適に利用できる。
励起光遮蔽層はまたフィルムと兼用されていても良い。フィルムを使用することにより積層体が自立性を有するようになり、取り扱いが容易になる。そしてフィルムを有する構成において、励起光遮蔽層の機能を当該フィルムに持たせることにより、励起光遮蔽層を別途設ける必要がなくなり、積層体の厚み、重量の点で有効である。
フィルムとしては励起光遮蔽性を発現できるものであれば良く、励起光遮蔽層が層の基本形成物質が励起光に対する吸収性を示すことによって形成されている場合に使用される物質が好適に利用できる。
励起光遮蔽層は必要に応じて異なる物質の積層体によって形成されていても良い。例えば、励起光に対する吸収性を示す物質が異なる層を積層することにより励起光に対する減衰挙動を調整することができる。また、機械的構造の異なる層を積層することにより強度を持たせたり、熱伸縮特性を制御したりすることができる。さらに外側に粘着性や接着性、各種気体の透過や遮断性を有する層を設けることにより各種の機能を付与することもできる。さらには被制御光の強度、色調を制御する層を含んで形成することにより、光学的外観を調整することもできる。
励起光遮蔽層は必要に応じて他の物質を含んでいても良い。例えば、耐候性向上、耐光性向上、保存特性向上、色調調整、色安定性向上、光学特性変化促進、光学特性繰り返し性向上等の目的に応じて添加剤やフィラー等を加えることができる。加えられる添加剤、フィラーとしては、酸化防止剤、ラジカル補足剤、安定化剤、pH調整剤、色素、還元剤、構造補強材等が挙げられる。
励起光遮蔽層の製法としては特に制約はなく、励起光遮蔽層の性質に応じて適当な手段が採用されれば良い。励起光遮蔽層が基板やフィルムと兼用されている場合は基板やフィルムの一般的な製法が利用できる。励起光遮蔽層が基材、フィルムの上に形成される場合は、基材やフィルムの上に塗布、ラミネート等の手法で形成することができる。励起光遮蔽層が積層体構成となっている場合は、逐次塗布やラミネート、共押し出し等の手法で形成することができる。
<積層体層構成>
本発明の積層体はその他の層を含んで構成されても良い。
他の層としては、例えば、機械的強度を維持する基材層、紫外線(UV)を遮断し耐候性を付与するUVカット層、スクラッチ性を向上させるハードコート層、色調を調整する着色層、酸素や水分の透過を遮断して内層を保護するガスバリヤー層、導電性を付与する導電層等が挙げられる。また、光学活性システムにより制御される被制御光を恒常的に減光する層を有していても良い。被制御光は光学活性システムにより能動的に制御されるが、通常の状態においても一定の程度まで減衰しておいた方が好ましい場合もある。また、活性システムの能力から制御範囲が限られることもあり、恒常的減光手段を併用することにより制御範囲を調整することもできる。恒常的に減光する度合は80〜10%が好ましい。
また、復帰光を遮蔽する手段を含む復帰光調整層を有していても良い。本発明の実施の形態の一つにおいては光学活性システムが板状光学部材の側面より導入された復帰光により定常状態へ復帰される構成が可能である。ここで復帰光の種類が環境に存在する種類の光である場合は、復帰光調整層を設けることにより積層体の面に垂直方向から被制御光とともに入射した復帰光の量を調整することが可能となり、より速やかな復帰や意図しない復帰を防止し、制御性を高めることができる。復帰光調整層の目的は、環境に存在する復帰光が積層体の面外から光学活性層に到達する場合にその光量を調整し、制御光として存在する復帰光と合わせて光学特性を任意に制御することにある。従って復帰光の遮蔽の程度は目的に応じて部分的なものであっても良い。一例としては復帰光に対する透過率で50%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは1%以下である。
積層体は上述の各層より形成され、その構成は目的を達成できれば特に制限はされない。通常は独立した基材もしくはフィルム上に各層を順次形成するか、いずれかの層を基材もしくはフィルムと兼用して残りの層をその上に順次形成することができる。積層体の製法としては特に制約はなく、積層体の性質に応じて適当な手段が採用されれば良い。基板やフィルムを利用する場合は板やフィルムに製膜する塗布や、真空プロセスの一般的な製法が利用できる。各層がフィルム若しくはフィルムの上に塗布、ラミネート等の手法で形成されている場合はラミネート等によって貼り合わせても良い。
本発明において好ましい層構成の一つとしては、導光層を基材兼用として設計し、これに光学活性層を設け、少なくとも太陽光に晒される可能性がある側にはUVカット層、人や物体に接触する可能性のある側にはハードコート層を設ける構成である。UVカット層、ハードコート層は両面に設けると特に好ましく、機能が兼用される場合は1層で兼用しても良い。
好ましい構成の別の一つとしては、外部反射利用構成において導光層を空気とし、片側表面に光学活性層を形成した基材を2枚、光学活性層を内側に間隔をあけて対向させて、導光層を構成するものである。この場合、導光層の透過性が極めて高いため、励起光の伝搬効率、励起光種の選択自由度が高くなる。また、光学活性層が導光層に隣接しているため、励起光が光学活性層に減衰無く到達するので好ましい。さらに空気層が断熱層として機能するため、省エネルギー用の部材として有用である。さらに光学活性層が2層あるので光学特性変化が大きくなり、励起光も有効に活用できる。この場合、基材の導光層と反対側にあたる外側に励起光遮蔽層を設けることがより好ましく、励起光遮蔽層は両側に設けられることが特に好ましい。少なくとも太陽光のような強い光源に向いている面に励起光遮蔽層を設けることにより、光学特性変化の任意制御性を確保することが可能となり、両側に励起光遮蔽層を設けることにより制御性がより完全になる。さらに外側で少なくとも太陽光に晒される可能性がある側にはUVカット層を設け、最外側で接触する可能性のある面にはハードコート層を設ける構成が特に好ましい。このような構成を図4に示す。図4において、1Aは導光層(空気)、2A,2Bは光学活性層、3A,3Bは基材、4A,4Bは励起光遮蔽層、5はハードコート層である。
UVカット層とハードコート層は両面に設ければ効果が高い。UVカット層とハードコート層は共通されていても良い。また、UVカット層と基材の間には励起光遮蔽層が設けられることがより好ましい。励起光がUV光の場合はUVカット層が励起光遮蔽層の役割を果たすのでいずれか一方があれば良い。
好ましい構成の別の一つとしては、外部反射利用構成において導光層を基材とし、基材の両側に光学活性層を形成するものである。この場合、導光層と基材が兼用されているため、全体が薄くなり厚み、重量の点で有利である。また、基材は励起光の透過性を有していれば良いので、他の成分を混合したりする必要性が低くなり、選択性、取り扱いが容易になる。さらに光学活性層が2層あるので光学特性変化が大きくなり、励起光も有効に活用できる。また、光学活性層を基材の両側表面に設けると、光学活性層が導光層に隣接しているため励起光が光学活性層に減衰無く到達するので好ましい。この場合、基材の導光層と反対側にあたる外側に励起光遮蔽層を設けることがより好ましく、励起光遮蔽層は両側に設けられることが特に好ましい。少なくとも太陽光のような強い光源に向いている面に励起光遮蔽層を設けることにより、光学特性変化の任意制御性を確保することが可能となり、両側に励起光遮蔽層を設けることにより制御性がより完全になる。別に外側で、少なくとも太陽光に晒される可能性がある側にはUVカット層を設け、最外側で接触する可能性のある面にはハードコート層を設ける構成が特に好ましい。このような構成を図5に示す。図5において、1Bは導光層(基材)である。その他、図4に示す部材と同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
UVカット層とハードコート層は両面に設ければ効果が高い。UVカット層とハードコート層は共通されていても良い。この場合、励起光を可視光、近赤外、赤外域の光とすると基材における透過性を高くすることでき好ましく、近赤外光とすると積層体の色調に変化を与えることがなく、励起光遮蔽層が熱線カットの役割をも兼用するため特に好ましい。
好ましい構成のさらに別の一つとしては、内部反射利用構成において導光層を基材とし、基材の上に光学活性層を形成し、基材の反対面は全反射構成とするものである。また、基材の両側表面に光学活性層を形成する手法は特に好ましい。これらの場合、導光層と基材が兼用されているため、全体が薄くなり厚み、重量の点で有利である。また、基材は励起光の透過性を有していれば良いので他の成分を混合したりする必要性が低くなり選択性、取り扱いが容易になる。さらに両側表面に光学活性層を形成する手法は、光学活性層が2層あるので光学特性変化が大きくなるため好ましい。これら場合、基材の導光層と反対側にあたる外側に励起光遮蔽層を設けることがより好ましく、励起光遮蔽層は両側に設けられることが特に好ましい。少なくとも太陽光のような強い光源に向いている面に励起光遮蔽層を設けることにより、調光の任意制御性を確保することが可能となり、両側に励起光遮蔽層を設けることにより制御性がより完全になる。さらに外側で、少なくとも太陽光に晒される可能性がある側にはUVカット層を設け、最外側で接触する可能性のある面にはハードコート層を設ける構成が好ましい。UVカット層とハードコート層は共通されていても良い。この場合、励起光を可視光、近赤外、赤外域の光とすると基材における透過性を高くすることができ好ましく、近赤外光とすると色調に変化を与えることがないとともに、励起光遮蔽層が熱線カットの役割を兼用し、さらに全反射におけるエバネッセント波の侵入深さを大きくすることができるため、活性化される光学活性システムの量を大きくすることができるので特に好ましい。
<板状光学部材>
本発明の積層体は必要なサイズに形成されて光学特性制御装置の板状光学部材として利用される。板状光学部材の側面は、制御光を積層体内へ導入するために処理される。板状光学部材は、積層体の上下に別の層や板を追加しても良く、複数の積層体からなっていても良い。
以下において、本発明の積層体を用いて形成される板状光学部材を「本発明の板状光学部材」と称す場合がある。
<板状光学部材外形>
本発明の板状光学部材は、上述の積層体を必要なサイズの板とすることにより形成される。板状光学部材を形成するにあたっては積層体を形成後、必要なサイズに裁断して利用しても良く、積層体の基材を予め板状光学部材の必要サイズに合わせて形成し、その上に積層体を形成しても良い。
板状光学部材の平面サイズは、目的とする遮光・調光・遮熱・隠蔽・表示などの機能を有する光学特性制御装置の大きさに合わせて決定されるものであり、特に制約は無い。好ましくは10cm角以上、さらに好ましくは20cm角以上である。この大きさが、小さすぎると本発明の効果が相対的に小さくなる。上限は構造体としての強度限界と制御光の到達距離、エネルギー強度が満たされる限り特に制約は無い。
板状光学部材の厚みは特に制約は無いが、極端に厚くなると本発明の効果が相対的に小さくなる。一般的には平面サイズ(平面の制御光が進行することが予定される方向の長さ)の好ましくは1/3以下、より好ましくは1/6以下、更に好ましくは1/10以下、特に好ましくは1/20以下、とりわけ好ましくは1/50以下であり、好ましくは1/10000000以上、より好ましくは1/1000000以上、特に好ましくは1/1000以上である。板状光学部材の厚みが極端に薄くなると、制御光の伝搬効率が低下したり、機械強度に問題が生じたりすることがある。板状光学部材の厚みは、通常制御光の波長以上の厚みである。
板状光学部材の平面視形状はこれを用いる光学特性制御装置に合わせて形成すれば良い。簡便には矩形であるが、角を切り落とした矩形や円形、さらには曲線を有する様な形状であっても良い。
本発明においては、板状光学部材を構成する積層体が湾曲していても良い。これにより積層体の形状を設置場所に合わせて変形させたり、意匠性を付与したりすることが可能となり付加価値が向上する。湾曲の程度が側面からの励起光の直射を遮る程度に達した場合でも、反射の繰り返しによる伝搬構成を採用することにより積層体全面の光学特性を変化させることができるため問題は無い。また、電気的応答により調光を実現する手法においては、マイクロメートルスケールで対向する電極を大面積で湾曲形成することは短絡防止等の観点から困難であるが、本発明においては励起光の伝搬さえ確保されれば良いので、そのような問題は無い。
板状光学部材を湾曲させる手法としては、全体をフィルム状として可撓性を付与し、必要に応じて巻き付けたり、曲げたりしても良く、板状となった積層体を加熱して湾曲処理しても良い。また、予め湾曲加工や射出成型により湾曲形状となった基材上に積層する手法によっても良い。
本発明においては、積層体の主たる構造がプラスチックであると好ましい。これにより積層体の軽量化を図ることが可能となる。主たる構造とは大半を占める層、もしくは構造を維持するために寄与する層を意味する。これらの層が部分的にプラスチック以外の成分を含んでいても構わない。
<制御光取り込み>
本発明の積層体においては導光層中を制御光が面内方向に進行する。そのため、積層体を板状光学部材に加工した段階で、導光層中に制御光を取り込むために、板状光学部材の側面乃至上下面の少なくとも一部分が光を積層体内に導入するために処理されていることが好ましい。本発明における積層体はその積層構造をもって機能を発現するものであるが、機能を発現するための制御光が効率的に取り込まれるようにすることが積層体の設計上も好ましい。
処理される側面としては光が導入される部分がすべて処理されることが好ましい。ただし、導入されない側面を処理しても構わない。板状光学部材が矩形の場合は光が導入される部分が存在する辺をすべて処理することが作業工程上簡便となりうる。
また、板状光学部材の厚み方向においては、導光層が存在する部分について処理がされていれば良い。ただし、積層体中の他の層も含めて処理されていてもかまわない。この場合は光が導光層に導かれるように処理されていると特に好ましい。
光を積層体内に導入するために側面の一部分を処理する方法としては、積層体の側面を平滑化する処理、積層体の側面に凸面、凹面、斜め面、山面、谷面等の特定の形状を付与する処理、積層体の側面中導光層以外の側面について反射性を持たせる処理、積層体の側面に反射率を低減する層を形成する処理等が挙げられる。
本発明の積層体においては、導光層中を制御光が面内方向に進行し、光学活性システムの光学特性を変化させる。そのため、積層体を板状光学部材に加工した段階で、導光層中を面内方向に進行し、板状光学部材の側面に到達した制御光を積層体内に反射するために板状光学部材の側面の少なくとも一部分が処理されていることが好ましい。本発明における積層体はその積層構造をもって機能を発現するものであるが、機能を発現するための制御光が有効に利用されることが積層体の設計上も好ましい。
処理される側面としては光が導入される側面以外のすべて処理されることが好ましい。
また厚み方向としては導光層が存在する部分について処理がされていれば良い。ただし、積層体中の他の層も含めて処理されていてもかまわない。
積層体内より進行してくる光を積層体内に反射させる処理としては、積層体の側面に反射膜を形成することや反射性を有する部材を設置することが挙げられる。
<光学特性制御装置>
本発明の積層体は、板状光学部材に形成された上で制御光の制御手段を付与して、光学特性制御装置として利用される。
<制御光及び光源>
制御光は光学活性システムの光学特性を変化させる励起光ないし復帰光である必要がある。その波長は光学活性システムの種類により変わりうる。光学活性システムが特定の波長域の光に対して応答する場合は制御光としての性質上、その特定の光を主成分とし、他の成分を含まないことがより好ましい。
制御光の光源としては制御光を有していれば良い。例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光灯、白熱灯、発光ダイオード、半導体レーザー、各種レーザー、ストロボランプ等の人工光源が利用できる。特に、発光ダイオード、半導体レーザーは発光の指向性が高いため、導光層中の制御光の進行方向を容易に制御でき、レーザーでは偏光面の制御もできるため好ましい。
用いられる光源としては、太陽光のような自然光源(太陽光のように自然由来の光を以下自然光、その光源を自然光源と呼ぶ)や、屋外光、屋内光のように環境に存在する光を用いても良い。
<励起光制御>
人工光源は電源のオンオフで容易に励起光の制御が可能であり、光学特性制御を頻繁に行う用途にも対応できるため好ましい。また、光源種類によっては、発光強度も中間的に制御できるので調光目的として好ましい。自然光源や環境光を利用する場合は、シャッターを用いることにより制御光のオンオフが可能である。この方法は消費エネルギーが少なくなるため、長期間にわたりオンオフのどちらかが続く用法や省エネルギー目的の用途にとって好ましい。
<復帰光及び光源>
本発明においては、光学活性システムが励起光により光学特性が変化し、復帰光により励起光により変化された状態から初期状態に復帰させることができるものであっても良い。この場合に、導光層中を面内方向に復帰光が進行するようにすることが特に好ましい。これにより、復帰過程をも制御することが可能となり、より任意性の高い光学特性制御システムを形成することが可能となる。また、励起状態が比較的安定な場合でも、強制復帰が可能となり、光学活性システムの選択の幅が広がる。励起状態が比較的安定な光学活性システムを利用すれば、間欠的に励起光を照射し光学特性を変化させ続け、復帰させたいときは復帰光で急速に元の状態に戻すというような装置形態が可能となり、トータルエネルギー削減の点でも効果がある。
復帰光としては、励起光で活性化して光学特性を変化した光学活性システムを元の状態に復帰させる光である必要がある。光学活性システムの種類により、復帰光の波長としては紫外線から赤外線まで全波長域の光が該当しうる。光学活性システムが特定の波長域の光に対して復帰応答する場合は制御光としての性質上、その特定の光を主成分としていることが好ましく、他の成分を含まないことがより好ましい。光学活性システムを復帰させる成分が多い方が効率的な復帰が可能であり、復帰に寄与しない成分を含まない方がエネルギー消費の点で有利である。
制御光としての復帰光の光源、導入、入射制御は制御光として励起光の場合と同様にすることができる。
また、復帰光を被制御光と重なるものとして、板状光学部材の垂直方向から入射する復帰光と制御光としての復帰光の重畳により制御を行っても良い。
<作動形態>
本発明の基本構成及び作動タイプの一つとしては、定常状態が無色あるいは一定の濃度で着色しており、励起状態で着色あるいはより濃く着色する光学活性システムを利用するものが挙げられる。積層体はかかる光学活性システムを含む光学活性層を含んで形成され、積層体に含まれる他の層の寄与と合わせて定常状態において一定の光学特性を有する。ここで、導光層中を面内方向に進行する励起光が作用することにより、励起光が光学活性システムに到達し、これを励起状態にすると積層体の光学特性が変化する。例えば、積層体の面に垂直方向における光透過率の低下や、積層体の表面の色調を変化が発現し、遮光・調光・遮熱・隠蔽・表示等の機能を発揮できる。定常状態への復帰は励起光の停止による熱若しくは自然復帰若しくは復帰光による強制復帰によりなされる。このようにして、本発明の積層体を利用して通常状態で透明若しくは微着色、励起光オン状態で遮光・隠蔽となる光学特性制御装置が得られる。
本発明の基本構成及び作動タイプの別の一つとしては、定常状態が無色あるいは部分的に着色しており、励起状態で着色あるいはより濃く着色する光学活性システムであって、利用環境下で既に励起状態にある光学活性システムを利用するものが挙げられる。積層体はかかる光学活性システムを含む光学活性層を含んで形成され、積層体に含まれる他の層の寄与と合わせて定常状態において一定の光学特性を有する。ここで、導光層中を面内方向に進行する復帰光が作用することにより、利用環境下の励起光より復帰光の効果が大きくなると光学活性システムが定常状態に復帰して積層体の光学特性が変化し、例えば積層体の面に垂直方向における光透過率の増加や、積層体の表面の色調を変化が発現し、遮光・調光・遮熱・隠蔽・表示等の機能を発揮できる。励起状態への復帰は復帰光の停止によりなされる。このようにして通常状態で着色・不透過、復帰光オン状態で透明若しくは微着色となる光学特性制御装置が得られる。
<用途>
本発明の積層体は、能動的な遮光・調光・遮熱・隠蔽・表示などの機能を必要とする光学特性制御装置、遮光装置、調光装置、隠蔽装置、表示装置に利用することができる。しかして、本発明の積層体は、大面積化、曲面形成等が容易であることから、家屋、オフィス、店舗の窓・ショーウインドウ、飛行機、自動車等移動手段の窓、アーケードや競技施設等の屋外施設の屋根、屋内の仕切り窓に利用することが可能である。
以下に実施例及び比較例を例示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(1)光学活性システム
光学活性システムとして、有機のフォトクロミック色素である、下記構造式で表されるジアリールエテン系の色素(色素A)を用いた。
Figure 0005003354
色素Aの励起光は紫外域にあり、そのピーク波長は277nm(ヘキサン中)である。色素Aの励起により変化する光学特性は可視域の吸収であり、励起光非照射の場合の無色透明から、励起光の照射により青紫色に変化する。吸収スペクトルのピーク波長は578nm(ヘキサン中)である。励起光の照射を停止しても着色状態が維持されるが、可視光の存在下で徐々に退色して非励起状態に復帰する。各状態におけるスペクトル(ヘキサン中)を図6に示す。
(2)光学活性層、励起光遮蔽層、基板
色素Aを9重量部と、ポリメタクリル酸メチル81重量部をトルエン410重量部に溶解して、光学活性層作製用の塗液を調製した。これを100μm厚みのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に乾燥厚みが10μmとなるようにバーコーターで塗布し、乾燥した。
次いで、光学活性層が形成されたPETフィルムを長さ100cm、幅40cm、厚み3mmのアクリル板に貼り付けた。アクリル板は紫外線カット剤を含有する組成のものを使用した。そのため、色素Aに対する励起光に対しては励起光を遮蔽する励起光遮蔽層として機能する。アクリル板の透過スペクトルを図7に示す。
(3)板状光学部材
光学活性層が形成されたアクリル板を光学活性層が内側になるようにして光学活性層が形成されていない別のアクリル板と対向させ、板の2つの長辺部及び1つの短辺部に20mm角のアルミニウム製中空角棒を設置することにより、20mmの空隙よりなる導光層を形成した。これにより、基板を兼用する励起光遮蔽層となるアクリル板、空気から形成される導光層、色素Aを含有する光学活性層、光学活性層の基材であるPETフィルム、接着層、基板を兼用する励起光遮蔽層となるアクリル板より形成される積層体を形成した。この積層体の平面視外観は完全な透明で反対側が明瞭に視認された。
(4)特性評価用装置
この積層体を用いて導光層の周囲3辺部にスペーサーが設けられ、短辺の1辺部が開口した厚み20mmの空隙よりなる導光層を有する板状光学部材とした。この板状光学部材の短辺側にある側面開口部の一方に密接して、長さ29cm、太さ12mmの点灯スイッチ付きのUV蛍光灯Aを、開口部と平行になるように設置し、光学特性制御装置を作製した。
UV蛍光灯Aの波長域は280nmから380nmであり、中心波長は351nm、その強度は距離5cmにおいて2mN/cmである。UV蛍光灯Aの分光分布スペクトルを図8に示す。また、装置の概要を図9に示す。図9において、50は板状光学部材、51はUV蛍光灯、52は反射板、53は電源ボックスである。
(5)特性評価
積層体は通常の屋内において光源非点灯時は無色透明であった。
次いで、UV蛍光灯を点灯することによって積層体の光学特性の変化を調べた。非点灯時は無色透明であったが、UV蛍光灯を点灯すると直後から部材が青紫色透明に変化し始め、10分程で安定した濃さになり部材の透過性が低下した。UV蛍光灯を消灯しても着色は残存したが、強い照明下で徐々に退色した。点灯と消灯を多数回繰り返しても特性の変化はなかった。また、励起光は積層体の外側では検出されなかった。非点灯時と点灯時の積層体の積層面に垂直方向の透過スペクトルを図10に示す。また、図11に、照射開始10分後における積層体の積層面に垂直方向の点灯時の透過率と非点灯時の透過率の差を光源からの距離の関数として示す。
(6)効果
本実施例より、窓として機能しうる面を遮ることなく、導光層中を面内方向に励起光を進行させることによって、積層体の光学特性を無色透明から着色状態に変化させることが可能であることが示された。透過スペクトルにおいて吸収が増加していること、着色は青紫であってUV域にある励起光とは異なることから単に内部に導入された光によるイルミネーションで色が付いて見える現象とは異なることは明らかである。これにより着色した色素の吸収、色合いを利用して遮光・調光・遮熱・隠蔽・表示の機能を有する光学特性制御装置を得ることができる。本実施例における色素は熱戻りが殆どないことから、励起光を導入して着色させればその後励起光を切ってもかなりの時間着色状態を維持するため、エネルギーを多量に消費せず上記機能を発揮することが可能となる。
<比較例1>
実施例1において、光学活性層を有するアクリル板1枚だけを使用し、導光層を形成しなかった以外は実施例1と同様にして積層体を作製した。これにより、色素Aを含有する光学活性層、光学活性層の基材であるPETフィルム、接着層、励起層遮蔽層を兼用する基板となるアクリル板より形成される積層体が形成された。
このようにして得られた積層体に実施例1と同様にしてUV蛍光灯を設置し、光学特性制御装置を作製して評価した。
この光学特性制御装置は励起光が導光層中を面内方向に進行するものではなく、積層体の面外斜め方向で励起光遮蔽層を有しない側から励起光が光学活性層に照射されるものである。
積層体は通常の屋内において光源非点灯時は無色透明であった。次いでUV蛍光灯を点灯することによって積層体の光学特性の変化を調べたところ、照射面において青紫色に着色することが確認された。ただし、蛍光灯から距離が遠い部分の着色濃度は実施例1のものと比較して低かった。また、装置周辺では光源からの直接光、積層体表面からの反射光によりUV光が検出され保護手段が必要であった。図11に照射開始10分後における積層体の積層面に垂直方向の透過率と非点灯時の透過率の差を光源からの距離の関数として示す。
実施例1と比較例1に比較より、比較例1のように積層体の側面からでなく上面から励起光を照射してもある程度の光学特性変化を得ることは可能であるが、励起光が外部から単に照射されているだけで反射した光がそのまますべて環境中に失われるので、効率が悪く、距離が遠くなると着色の程度が低下する一方、実施例1では励起光が伝搬し内部に閉じこめられている構成となっているため遠方までより濃く着色できることが示された。さらに比較例1では励起光が積層体の外部から照射されるため励起光が人体を直射することが可能であり、励起光はUV光であるため視認される外観には影響しないものの安全性の問題を生じている。
[実施例2]
(1)光学活性システム
光学活性システムとして有機のフォトクロミック色素である市販の色素(色素B、記録素材総合研究所製、サニーカラーパープル)を用いた。色素Bの励起光は紫外域にありそのピーク波長は365nmである。色素Bの励起により変化する光学特性は可視域の吸収であり、励起光非照射の場合の無色透明から、励起光の照射により赤紫色に変化する。吸収スペクトルのピーク波長は540nmである。励起光の照射を停止すると速やかに元の無色透明状態へ復帰する。色素Bの各状態におけるスペクトルを図12に示す。
(2)光学活性層、励起光遮蔽層、基板
色素Bを2重量部と、ポリエチレンビニルアセテート98重量部をトルエン400重量部に溶解して、光学活性層作製用の塗液を調製した。これを100μm厚みのPETフィルム上に乾燥厚みが20μmとなるようにバーコーターで塗布し乾燥した。乾燥後塗膜面に100μm厚みのPETフィルムを上からラミネートすることにより光学活性層が間に挟まれたPETフィルム多層膜を形成した。
次いで光学活性層が形成されたPETフィルム多層膜を長さ30cm、幅21cm、厚み2mmのアクリル板に貼り付けた。アクリル板は紫外線カット剤を含有する組成のものを使用した。そのため色素Bに対する励起光に対しては励起光を部分的に遮蔽する励起光遮蔽層として機能する。アクリル板の透過スペクトルを図13に示す。
(3)積層体
光学活性層が形成されたアクリル板を光学活性層側が内側になるようにして光学活性層が形成されていない別のアクリル板と対向させ、板の2つの長辺及び1つの短辺に、導光層に向いた面にアルミニウムよりなる反射膜が形成された2cm角の角棒を設置することにより、2cmの空隙よりなる導光層を形成した。これにより基板を兼用する励起光遮蔽層となるアクリル板、空気から形成される導光層、PETフィルム、色素Bを含有する光学活性層、光学活性層の基材であるPETフィルム、接着層、基板を兼用する励起光遮蔽層となるアクリル板より形成される積層体を形成した。積層体の平面視外観は完全な透明であった。
(4)特性評価用装置
この積層体を用いて導光層の周囲3辺部にスペーサーが設けられ、1辺部が開口した厚み2cmの空隙よりなる導光層を有する板状光学部材とし、この板状光学部材の側面開口部の一方に密接してUV蛍光灯Aを、開口部と平行になるように設置して光学特性制御装置を作製した。板状光学部材の開口部と対向していない蛍光灯の他部分は反射板により遮蔽した。装置の概要を断面図として図14に示す。図14において、61A,61Bはアクリル板、62はスペーサー、63は反射板、64はUV蛍光灯である。
(5)特性評価
積層体は通常の屋内において光源非点灯時は無色透明であった。晴天時の屋外日陰においては微かに着色が見られた。晴天時の太陽光直射時は薄く着色した。
次いで屋内においてUV蛍光灯を点灯することによって積層体の光学特性の変化を調べた。非点灯時は無色透明であったが、蛍光灯を点灯すると直後から積層体が赤紫色透明に変化し始め、1分程で安定した濃さになり部材の透過性が低下した。蛍光灯を消灯すると2分程で元の無色透明状態に完全に復帰した。点灯と消灯を多数回繰り返しても特性の変化はなかった。また、励起光は積層体の外側では検出されなかった。非点灯時と点灯時における積層体の積層面に垂直方向の透過スペクトルを図15に示す。また、表1に積層体の光源からの距離20cmでの非点灯時と点灯時の波長540nmにおける透過率及びその差を示す。
(6)効果
本実施例より、窓として機能しうる面を遮ることなく積層体中を面内方向に励起光を進行させることによって、光学特性を無色透明から着色状態に変化させることが可能であることが示された。これは色素を変えても実現可能であり、フォトクロミック色素の選択により色合いが変更できるとともに、熱戻りの大きい色素では速やかな無色−着色変化が得られることが示された。
[実施例3]
実施例2において、対向させるアクリル板も光学活性層を形成したものを使用した以外は実施例2と同様にして積層体を作製した。積層体の構成は、基板を兼用する励起光遮蔽層となるアクリル板、接着層、光学活性層の基板であるPETフィルム、色素Bを含有する光学活性層、PETフィルム、空気から形成される導光層、PETフィルム、色素Bを含有する光学活性層、光学活性層の基板であるPETフィルム、接着層、基板を兼用する励起光遮蔽層となるアクリル板となった。
このようにして得られた積層体を、スペーサーに反射膜を形成しなかった以外は実施例2と同様にしてUV蛍光灯を設置し、光学特性制御装置を作製して評価した。UV蛍光灯を点灯することによって光学特性の変化を調べたところ、実施例2のものよりも着色濃度が増加していることが確認された。表1に積層体の光源からの距離20cmでの非点灯時と点灯時の波長540nmにおける透過率及びその差を示す。
[比較例2]
実施例2において、光学活性層を有するアクリル板1枚だけを使用し、導光層を形成しなかった以外は実施例2と同様にして積層体を作製した。これによりPETフィルム、色素Bを含有する光学活性層、光学活性層の基材であるPETフィルム、接着層、基板を兼用する励起光遮蔽層となるアクリル板よりなる積層体が形成された。このようにして得られた積層体を実施例2と同様にしてUV蛍光灯を設置することにより光学特性制御装置を作製して評価した。この光学特性制御装置は、励起光が導光層中を面内方向に進行するのではなく、積層体の面外斜め方向で励起光遮蔽層を有しない側から励起光が光学活性層に照射されるものである。
この積層体は通常の屋内において光源非点灯時は無色透明であった。晴天時の屋外日陰においては明瞭に着色が見られた。晴天時の太陽光直射時は濃厚な着色が見られた。
UV蛍光灯を点灯することによって積層体の光学特性の変化を調べたところ、照射面において赤紫色に着色することが確認されたが、蛍光灯から距離が遠い部分の着色濃度は実施例2のものと比較して低かった。また、装置周辺では光源からの直接光、積層体表面からの反射光によりUV光が検出され保護手段が必要であった。表1に積層体の光源からの距離20cmでの非点灯時と点灯時の波長540nmにおける透過率及びその差を示す。
Figure 0005003354
実施例2と実施例3より、光学活性層を導光層の両側に設けることにより、励起光の利用効率が高まり、光学活性システムの総量も増加することにより着色濃度がより濃くなることが分かる。また、実施例2と比較例2の比較より、比較例2のように積層体の側面からでなく、上面に励起光を照射してもある程度の光学特性変化を得ることは可能であるが、励起光が外部から単に照射されているだけで、反射した光がそのまますべて環境中に失われるので、効率が悪く、距離が遠くなると着色の程度が低下することが分かる。一方、実施例2では、導光層中を励起光が伝搬する構成となっているため、遠方まで着色できることが示された。また、環境中に励起光が存在する場合は、比較例2では自発作動してしまう一方、実施例2では意図した場合のみ明瞭に着色させることが可能で、能動的制御が可能であることが示された。さらに、比較例2では励起光が部材の外部から照射されるため、励起光が人体を直射することが可能であり、励起光はUV光であるため視認される外観には影響しないものの安全性の問題を生じている。
[実施例4]
(1)光学活性システム
光学活性システムとして、有機のフォトクロミック色素である下記構造式で表されるジアリールエテン系の色素(色素C)を用いた。
Figure 0005003354
色素Cの励起光は紫外域にあり、そのピーク波長は345nm(テトラヒドロフラン中)である。色素Cの励起により変化する光学特性は可視域の吸収であり、励起光非照射の場合の無色透明から、励起光の照射により青紫色に変化する。吸収スペクトルのピーク波長は578nm(テトラヒドロフラン中)である。励起光の照射を停止しても着色状態が維持されるが、可視光の存在下で徐々に退色して非励起状態に復帰する。色素Cの各状態におけるスペクトル(テトラヒドロフラン中)を図16に示す。
(2)光学活性層、励起光遮蔽層、基板
色素Cを9重量部と、ポリメタクリル酸メチル91重量部をトルエン400重量部に溶解して、光学活性層作製用の塗液を調製した。これを100μm厚みのPETフィルム上に乾燥厚みが6μmとなるようにバーコーターで塗布し乾燥した。
次いで光学活性層が形成されたPETフィルムを実施例2で用いたものと同様のアクリル板に貼り付けた。このアクリル板は紫外線カット剤を含有する組成のものである。そのため色素Cに対する励起光に対しては励起光を遮蔽する励起光遮蔽層として機能する。
(3)積層体
光学活性層が形成されたアクリル板を光学活性層が内側になるようにして光学活性層が形成されていない別のアクリル板と対向させ、板の2つの長辺及び1つの短辺に、導光層に向いた面にアルミニウムよりなる反射膜が形成された2cm角の角棒を設置することにより、2cmの空隙よりなる導光層を形成した。これにより基板を兼用する励起光遮蔽層となるアクリル板、空気から形成される導光層、PETフィルム、色素Cを含有する光学活性層、光学活性層の基材であるPETフィルム、接着層、基板を兼用する励起光遮蔽層となるアクリル板より形成される積層体を形成した。積層体の外観は完全な透明であった。
(4)特性評価装置
この積層体を用いて導光層の周囲3辺部にスペーサーが設けられ、1辺部が開口した厚み2cmの空隙よりなる導光層を有する板状光学部材とし、この板状光学部材の側面開口部の一方に密接してUV蛍光灯Aを、実施例2と同様に、開口部と平行になるように設置して光学特性制御装置を作製した。
(5)特性評価
積層体は通常の屋内において無色透明であった。晴天時の屋外日陰においても無色透明であり、晴天時の太陽光直射時は微かに着色した。
次いで屋内においてUV蛍光灯を点灯することによって積層体の光学特性の変化を調べた。非点灯時は無色透明であったが、UV蛍光灯を点灯すると直後から部材が青紫色に変化し始め、3分程で安定した濃さになり積層体の透過性が低下した。UV蛍光灯を消灯しても着色は残存したが、室内照明下で徐々に退色した。点灯と消灯を多数回繰り返しても特性の変化はなかった。また、励起光は積層体の外側では検出されなかった。非点灯時と点灯時の積層体の透過スペクトルを図17に示す。また、表2に積層体の光源からの距離20cmでの非点灯時と点灯時の波長578nmにおける透過率及びその差を示す。
(6)効果
本実施例より、窓として機能しうる面を遮ることなく、積層体の導光層中を面内方向に励起光を進行させることによって、光学特性を無色透明から着色状態に変化させることが可能であることが示された。これは色素を変えても実現可能であり、色素の種類により着色濃度や色合いを変えることもできることが示された。本実施例における色素は熱戻りが殆どないことから、励起光を導入して着色させればその後励起光を切ってもかなりの時間着色状態を維持させることが可能であるため、エネルギーを多量に消費せず遮蔽機能を発揮することが可能となる。
[実施例5]
対向させるアクリル板も光学活性層を形成したものを使用した以外は実施例4と同様にして光学特性制御装置を作製した。積層体の積層構成は、基材を兼用する励起層遮蔽層となるアクリル板、接着層、光学活性層の基材となるPETフィルム、色素Cを含有する光学活性層、空気から形成される導光層、色素Cを含有する光学活性層、光学活性層の基材となるPETフィルム、接着層、基材を兼用する励起層遮蔽層となるアクリル板となった。
このようにして得られた積層体を、実施例4と同様にしてUV蛍光灯を設置することにより、光学特性制御装置を作製して評価した。UV蛍光灯を点灯することによって光学特性の変化を調べたところ、着色濃度が増加していることが確認された。表2に積層体の光源からの距離20cmでの非点灯時と点灯時の波長578nmにおける透過率及びその差を示す。
[比較例3]
実施例4において、光学活性層を有するアクリル板1枚だけを使用し、導光層を形成しなかった以外は実施例4と同様にして積層体を作製した。これにより色素Cを含有する光学活性層、光学活性層の基材でなるPETフィルム、接着層、基材を兼用する励起層遮蔽層となるアクリル板より形成される積層体が形成された。このようにして得られた積層体を実施例4と同様にしてUV蛍光灯を設置することにより光学特性制御装置を作製して評価した。この光学特性制御装置は励起光が導光層中を面内方向に進行するのではなく、積層体の面外斜め方向で励起光遮蔽層を有しない側から励起光が光学活性層に照射されるものである。
積層体の板状光学部材部分は通常の屋内において光源非点灯時は無色透明であった。晴天時の屋外日陰、太陽光直射時においては明瞭な着色が見られた。
次いで屋内においてUV蛍光灯を点灯することによって積層体の光学特性の変化を調べたところ、照射面において青紫色に着色することが確認された。ただし、蛍光灯から距離が遠い部分の着色濃度は実施例4のものと比較して低かった。また装置周辺では光源からの直接光、積層体表面からの反射光によりUV光が検出され保護手段が必要であった。表2に積層体の光源からの距離20cmでの非点灯時と点灯時の波長578nmにおける透過率及びその差を示す。
Figure 0005003354
実施例4と実施例5によれば、光学活性層を導光層の両側に設けることにより励起光の利用効率が高まり光学活性システムの総量も増加することにより着色濃度がより濃くなることが分かる。また、実施例4と比較例3に比較より、比較例3のように積層体の側面からではなく上面に励起光を照射してもある程度の光学特性変化を得ることは可能であるが、励起光が外部から単に照射されているだけで反射した光がそのまますべて環境中に失われるため、効率が悪く、距離が遠くなると着色の程度が低下することが分かる。一方、実施例4では、励起光が導光層内を伝搬する構成となっているため、遠方まで着色できることが示された。また、環境中に励起光が存在する場合は、比較例3では自発作動してしまう一方、実施例4では意図した場合のみ明瞭に着色させることが可能で能動的制御が可能であることが示された。さらに、比較例3では励起光が積層体の外部から照射されるため励起光が人体を直射することが可能であり、励起光はUV光であるため視認される外観には影響しないものの安全性の問題を生じている。
[実施例6]
(1)光学活性システム
光学活性システムとして実施例2で用いた有機のフォトクロミック色素である市販の色素Bを用いた。
(2)光学活性層、基板
色素Bを2重量部と、ポリエチレンビニルアセテート98重量部をトルエン400重量部に溶解して、光学活性層作製用の塗液を調製した。基板として6cm角、厚み1cmの含水石英(シグマ光機製)を6cm角の上下板面は光学研磨し、1対の対向する側面は透明性が得られるまで研磨し、残りの側面はスリガラス面としたものを用いた。この基板の研磨した側面からは反対側が視認できた。スリガラス面である側面側は透過視認性はなかった。上記の塗液をこの石英板の6cm角の板面の一方の面に乾燥厚みが20μmとなるようにバーコーターで塗布し乾燥した。
石英板の板面に垂直方向(厚み方向)の透過スペクトル及び面内方向の透過スペクトルを図18に示す。
(3)積層体
上記の石英板を用いて光学活性層、基板を兼用する導光層となる石英板より形成される積層体とした。この積層体の積層面に垂直方向の外観は完全な透明であった。
(4)特性評価装置
この積層体を用いて板状光学部材とした。この板状光学部材は1対の対向側面が制御光を積層体内へ導入するための側面処理として研磨されている板状光学部材である。板状光学部材の研磨した側面にUVファイバーランプ(キセノン光源)を、スリットを間において中心入射角が10度、励起光の進行方向が側面から光学活性層へ直射方向となるように設置し、UVファイバーランプが設置された側面と対向する研磨側面に平行してアルミニウムの反射膜を形成した板材を設置することにより光学特性制御装置を作製した。用いたUVファイバーランプは中心波長365nm、その強度は距離10cmにおいて1mW/cmである。UVファイバーランプの分光分布を図19に、また、装置の概要を断面図として図20に示す。
図20において、70は石英板であり、70A,70Bは研磨側面、71は光学活性層、72はスリット、73はUVファイバーランプ、74は光源とその電源である。
(5)特性評価
積層体は通常の屋内において無色透明であった。太陽光下においては赤紫色に着色した。
次いで屋内においてUVファイバーランプを点灯することによって、積層体の光学特性の変化を調べた。非点灯時は無色透明であったが、UVファイバーランプを点灯すると速やかに部材が赤紫色透明に変化した。表3に光源が非点灯時と点灯時における積層体の積層面に垂直方向の波長540nmにおける透過率及びその差を示す。UVファイバーランプを消灯すると2分以内に元の無色透明状態に完全に復帰した。点灯と消灯を多数回繰り返しても特性の変化はなかった。
[実施例7]
実施例6と同じ積層体を使用し、光学特性制御装置の蛍光灯の設置場所を板状光学部材の研磨した側面に平行に、スリットを間において中心入射角が10度、励起光の進行方向が側面から光学活性層へ反対方向となるように設置した。また、反射板は設置しなかった。それ以外は実施例6と同様にして光学特性制御装置を作製し評価を行った。装置の概要を断面図として図21に示す。図21において、図20におけると同一機能を奏する部材には、同一符号を付してある。
このものは、非点灯時は無色透明であったが、UVファイバーランプを点灯すると速やかに部材が赤紫色透明に変化した。UVファイバーランプを消灯すると2分以内に元の無色透明状態に完全に復帰した。点灯と消灯を多数回繰り返しても特性の変化はなかった。表3に光源が非点灯時と点灯時における積層体の積層面に垂直方向の波長540nmにおける透過率及びその差を示す。
[実施例8]
実施例6において、光学活性層を石英板の両板面に形成し光学活性層を2層とした。これにより光学活性層、基材を兼用する導光層となる石英板、光学活性層より形成される積層体とした。この積層体を用いて実施例6と同様にして光学特性制御装置を作製し評価を行った。
このものは非点灯時は無色透明であったが、UVファイバーランプを点灯すると速やかに部材が赤紫色透明に変化した。表3に光源が非点灯時と点灯時における積層体の積層面に垂直方向の波長540nmにおける透過率及びその差を示す。UVファイバーランプを消灯すると2分以内に元の無色透明状態に完全に復帰した。点灯と消灯を多数回繰り返しても特性の変化はなかった。
[実施例9]
実施例6において、光学活性層を石英板の両板面に形成し光学活性層を2層とした。そして光学活性層の上に励起光遮蔽層として市販のガラス保護フィルム(3M社製、スコッチティントピュアカット80)を貼り付けた。このフィルムはUVカット機能と熱線カット機能を有するほぼ透明のフィルムである。これによりUVカット層を兼用する励起光遮蔽層、粘着層、光学活性層、基材を兼用する導光層となる石英板、光学活性層、粘着層、UVカット層を兼用する励起光遮蔽層よりなる積層体を形成した。用いたガラス保護フィルムの透過スペクトルを図22に示す。積層体の外観は完全な透明であった。
この積層体を用いて、板状光学部材の蛍光灯が設置された以外の側面に平行してアルミニウムの反射膜を形成した板材を設置し、磨りガラス面は黒色のビニールテープで被覆し、それ以外は実施例6と同様にして光学特性制御装置を作製し評価を行った。
この光学特性制御装置の板状光学部材は太陽光下でも微かに着色する程度であった。次いでUVファイバーランプを点灯することによって板状光学部材の光学特性の変化を調べたところ、非点灯時は無色透明であったが、UVファイバーランプを点灯すると速やかに部材が赤紫色透明に変化した。
表3に光源が非点灯時と点灯時における板状部材の板面に垂直方向の波長540nmにおける透過率及びその差を示す。UVファイバーランプを消灯すると2分以内に元の無色透明状態に完全に復帰した。点灯と消灯を多数繰り返しても特性の変化はなかった。
Figure 0005003354
実施例6、7、8、9より、導光層が基材を兼用している場合にも、窓として機能しうる面を遮ることなく、導光層中を制御光を面内方向に進行させることによって、光学特性を無色透明から着色状態に変化させることが可能であることが示された。これにより一枚の板で板状光学部材を構成し、光学特性制御装置を作製できることが示された。
実施例7より導入光が光学活性層を直射しなくとも導光層の反対面で反射することにより光学活性層に到達しており、導光層内を反射で伝搬していることが示された。
実施例8より光学活性層を導光層の両面に形成することにより積層体の光学特性変化が大きくなることが示された。
実施例9より励起光遮蔽層を設ければ環境光に左右されず光学特性を能動的に制御できることが示された。
[実施例10]
(1)光学活性システム
光学活性システムとして実施例2で用いた有機のフォトクロミック色素である市販の色素Bを用いた。
(2)光学活性層、励起光遮蔽層、基板
色素Bを2重量部と、ポリエチレンビニルアセテート98重量部をトルエン400重量部に溶解して、光学活性層作製用の塗液を調製した。これを長さ32cm、幅24cm、3mm厚みのPET板上に乾燥厚みが20μmとなるようにバーコーターで塗布し乾燥した。PET板は予め塗布面の反対面にUVカットフィルム(キング社製)を貼り付け処理したものを用いた。PET板は、フィルムを構成するポリエチレンテレフタレートがベンゼン環を骨格中に含有し、かつPET板の厚みが2mmあるため紫外線領域において一定の吸収を示す。そのため色素Bに対する励起光に対しては励起光を部分的に遮蔽する励起光遮蔽層として機能する。PET板、UVカットフィルム貼り付けPET板の透過スペクトルを図23に示す。
(3)積層体
同じようにして形成された光学活性層を有するPET板を2枚、光学活性層が内側になるようにして対向させ、板の3辺部に1cm角のアクリル角棒を設置することにより、厚み1cmの空隙よりなる導光層を形成した。アクリル角棒の導光層側は予めアルミニウム反射膜をスパッタリングにより製膜した。これにより励起光遮蔽層、接着層、基板及び励起光遮蔽層となるPET板、光学活性層、空気から形成される導光層、光学活性層、基板及び励起光遮蔽層となるPET板、接着層、励起層遮蔽層より形成される積層体を形成した。
(4)特性評価装置
この積層体を用いて導光層の周囲3辺部に内面に反射膜を有するスペーサーが設けられ、励起光が導入される開口部となっている1辺には制御光を積層体内へ導入するための側面処理として直径1cmの石英棒を設置された板状光学部材とした。板状光学部材の石英棒が設置された部分に密接してUV光源を設置した。UV光源は長さ20cm、太さ3mmの冷陰極UVランプ(KLV社製、TBB30−200)を、内径5mm角の1辺が開いた矩形で内部に反射膜が形成されたランプハウス内にシリコンチューブをスペーサーとして用いることにより取り付けたものを使用した。UVランプと石英棒は平行しており最短距離は1mmである。UVランプはシリコン被覆導線、コネクターを介して、蛍光灯点灯用インバーターに接続した。インバーターはスイッチを介してAC−DC電源に接続した。UV冷陰極ランプの波長域は350nmから390nmであり中心波長は365nm、その強度は距離1cmにおいて1.3mW/cmである。ランプが設置されている部分の板状光学部材の側面、上面は遮蔽体を取り付けた。冷陰極UVランプの分光分布を図24に示す。
このようにして得られた光学特性制御装置の概要を断面図として図25に示す。図25において、80A,80Bは基板(光学活性層,UVカットフィルム付きPET板)、81はアクリル角棒のスペーサー(反射膜付き)、82は石英丸棒、83はUV光源である。
(5)特性評価
この積層体は通常の屋内において無色透明であった。また、太陽光下においても透明性を維持した。
次いでUV蛍光灯を点灯することによって積層体の光学特性の変化を調べた。非点灯時は無色透明であったが、蛍光灯を点灯すると直後から部材が赤紫色透明に変化し始め、1分程で安定した濃さになり部材の透過性が低下した。蛍光灯を消灯すると2分程で元の無色透明状態に完全に復帰した。点灯と消灯を多数回繰り返しても特性の変化はなかった。また、励起光は積層体の外側では検出されなかった。図26に積層体の波長540nmでの非点灯時と点灯時の透過率の差を光源からの距離の関数として示す。
本発明の積層体を用いれば、物理的な遮蔽手段に依存することなく、積層体自身の光学特性の変化により能動的に遮光・調光・遮熱・隠蔽・表示などの機能が発現する光学特性制御装置、及びそれに用いる板状光学部材を得ることができる。また、能動制御手段は光であるため、大面積化、曲面形成等が容易である。そのため、家屋、オフィス、店舗の窓・ショーウインドウ、飛行機、自動車等移動手段の窓、アーケードや競技施設等の屋外施設の屋根、屋内の仕切り窓に対して、低コストで省エネルギーに有効であり、意匠性にも富んだ光学特性制御装置が得られる。
このように、本発明は能動的に遮光・調光・遮熱・隠蔽・表示が必要とされる幅広い応用分野においてその効果が期待でき、その産業上の使用可能性は非常に有用かつ広範なものである。
本発明の積層体における励起光の導光層透過を説明する概念図である。 本発明の積層体における励起光の導光層透過と屈折を説明する概念図である。 本発明の積層体における励起光の滲みだし光を説明する概念図である。 本発明の積層体の実施の形態の一例を示す模式図である。 本発明の積層体の実施の形態の他の例を示す模式図である。 ジアリールエテン系色素Aの定常状態及び励起状態の透過スペクトルを示すチャートである。 実施例1で用いたアクリル板の透過スペクトルを示すチャートである。 実施例1で用いたUV蛍光灯Aの分光分布スペクトルを示すチャートである。 実施例1で作製した光学特性制御装置の構成を示す概略図である。 実施例1で作製した板状光学部材の透過スペクトルを示すチャートである。 実施例1及び比較例1で作製した板状光学部材の透過率差と光源からの距離との関係を示すグラフである。 色素Bの定常状態及び励起状態の透過スペクトルを示すチャートである。 実施例2で用いたアクリル板の透過スペクトルを示すチャートである。 実施例2で作製した光学特性制御装置の構成を示す概略図である。 実施例2で作製した板状光学部材の透過スペクトルを示すチャートである。 色素Cの定常状態及び励起状態の透過スペクトルを示すチャートである。 実施例4で作製した板状光学部材の透過スペクトルを示すチャートである。 実施例6で用いた石英板の各方向における透過スペクトルを示すチャートである。 実施例6で用いたUVファイバーランプの分光分布スペクトルを示すチャートである。 実施例6で作製した光学特性制御装置の構成を示す概略図である。 実施例7で作製した光学特性制御装置の構成を示す概略図である。 実施例9で用いたガラス保護フィルムの透過スペクトルを示すチャートである。 実施例10で用いたPET板、UVカットフィルム貼り付けPET板の透過スペクトルを示すチャートである。 実施例10で用いた冷陰極UVランプの分光分布スペクトルを示すチャートである。 実施例10で作製した光学特性制御装置の構成を示す概略図である。 実施例10で作製した板状光学部材の非点灯時と点灯時の透過率差と光源からの距離との関係を示すチャートである。
符号の説明
1,1A,1B 導光層
2A,2B 光学活性層
3A,3B 基板
4A,4B 励起光遮蔽層
5 ハードコート層
6 UVカット層
10 励起光光源
50 板状光学部材
51 UV蛍光灯
52 反射板
53 電源ボックス
61A,61B アクリル板
62 スペーサー
63 反射板
64 UV蛍光灯
70 石英板
70A,70B 研磨側面
71 光学活性層
72 スリット
73 UVファイバーランプ
74 光源、電源
80A,80B 基板
81 スペーサー(反射膜付き)
82 石英丸棒
83 UV光源

Claims (12)

  1. 励起光により光学特性が変化する活性システムを有する光学活性層と、層の面内方向において励起光透過性を有する導光層とを含んで形成される積層体からなる窓材
  2. 励起光により光学特性が変化し、復帰光により励起光によって変化した状態から初期状態に復帰させることが可能な活性システムを有する光学活性層と、層の面内方向において復帰光透過性を有する導光層を含んで形成される積層体からなる窓材
  3. 導光層と光学活性層を含んでなる層群の少なくとも片側に励起光を少なくとも部分的に遮蔽する励起光遮蔽層を含む層を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の窓材
  4. 導光層の両側に光学活性層が存在する請求項1ないしのいずれかに記載の窓材
  5. 導光層が光学活性層と隣接してなる請求項1ないしのいずれかに記載の窓材
  6. 光学活性層に対して導光層の反対側に励起光遮蔽層を設けたことを特徴とする請求項又はに記載の窓材
  7. 励起光により光学特性が変化する活性システムの光学特性の変化により制御される被制御光を恒常的に減光する層を有していることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の窓材
  8. 励起光が可視光又は近赤外光であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の窓材
  9. 導光層内を層の面内方向に進行する励起光が、導光層の界面において内部全反射若しくは反射率50%以上の外部反射を生じることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の窓材
  10. 積層体の主たる構造がプラスチックを主として形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の窓材
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の窓材において、励起光を導光層内の層の面内方向に進行させることにより光学活性層中の光学活性システムの光学特性を変化させる光学特性制御方法。
  12. の透過率が可変の請求項1ないし10のいずれかに記載の窓材
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