JP5000546B2 - サージ吸収装置 - Google Patents

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Description

本発明は、一般家庭などの電力需要家に設置された分電盤内に組み込まれた主幹ブレーカを保守点検する際などに使用されるサージ吸収装置に関する。
例えば一般家庭などの電力需要家では、交流単相3線式の配電線に住宅用分電盤が設置されているのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。この住宅用分電盤は、基台に一つの主幹ブレーカと多数の分岐ブレーカを配列して構成されたものである。
近年では、住宅内で使用される家電機器の多様化に伴い、雷サージが電線に侵入したときに、その雷サージから家電機器や情報機器を保護するための避雷器や、地震を検知して回路を遮断する感震器などの高機能機器を搭載した住宅用分電盤が知られている。
特開2007−97307号公報
ところで、前述した住宅用分電盤では、保守点検作業者が住宅用分電盤内の主幹ブレーカのオン・オフを実施し、漏電の有無などの各種検査を行う場合がある。この保守点検時、作業員が主幹ブレーカをオン・オフするに際して、開閉サージが発生することがある。
近年の一般家庭では、インバータ制御による家電機器等が多く使用されるようになっており、これら機器の多くには避雷素子としてのバリスタが組み込まれている。特に、起電力を発生させるような家電機器たとえばコンデンサやモータ類を備えた機器が主幹ブレーカの二次側に接続されていると、前述したように主幹ブレーカのオン・オフ時に発生した開閉サージが家電機器等に搭載されたバリスタに印加されることになる。これらバリスタのうち雷サージの印加や経年変化によって劣化したものが存在すると、そのバリスタが開閉サージによって破損する可能性があり、最終的には短絡状態になって搭載機器の故障を招いてしまうおそれがある。
そこで、本発明は、前述の問題点に鑑みて提案されたもので、主幹ブレーカのオン・オフ時に発生する開閉サージによりその主幹ブレーカに接続された機器搭載のバリスタの損傷、ひいては搭載機器の故障を未然に防止できるサージ吸収装置を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明に係るサージ吸収装置は、交流単相3線式の配電線に接続された分電盤内の主幹ブレーカの保守点検における開閉操作時のみに主幹ブレーカに接触させ、主幹ブレーカの開閉操作時に発生する開閉サージを吸収するサージ吸収装置であって、主幹ブレーカのL1相端子に接触させるための第1接触子と、主幹ブレーカのN相端子に接触させるための第2接触子と、主幹ブレーカのL2相端子に接触させるための第3接触子とを備え、第1接触子と第2接触子との間、および第2接触子と第3接触子との間に、主幹ブレーカに接続された負荷内に設けられたバリスタの動作開始電圧よりも低い動作開始電圧をもつ開閉サージ吸収用バリスタをそれぞれ接続したことを特徴とする。
本発明では、主幹ブレーカのL1相端子に接触させる第1接触子とN相端子に接触させる第2接触子との間、ならびに前記第2接触子と主幹ブレーカのL2相端子に接触させる第3接触子との間のそれぞれに、この主幹ブレーカに接続された負荷に搭載されたバリスタの動作開始電圧よりも低い動作開始電圧を持つ開閉サージ吸収用バリスタを接続している。これにより、負荷側の絶縁状態を検査する際などに主幹ブレーカをオン・オフさせた際に開閉サージが発生したとしても、開閉サージ吸収用バリスタの動作開始電圧が負荷に搭載されたバリスタよりも低いことから、その開閉サージに対して開閉サージ吸収用バリスタが導通し、負荷側のサージにはその動作開始電圧より低い電圧が印加される。このように、主幹ブレーカによって発生する開閉サージは本発明装置側のバリスタで常に吸収される。これにより、漏電検査時などに往々にして発生する負荷搭載のバリスタの開閉サージによって損傷し、搭載機器の故障を惹き起こすという現象の発生が防止される。
本発明のサージ吸収装置においては、さらに開閉サージ吸収用バリスタのそれぞれの後段に、交直変換回路を介してコンデンサ、特に静電容量の大きい電解コンデンサを付設した構成とすることが望ましい。
このようにすれば、主幹ブレーカのオン・オフ時に発生するサージを開閉サージ吸収用バリスタだけでなく、コンデンサによっても吸収することが可能となり、開閉サージが負荷搭載のバリスタに流れ込むことをより一層確実に回避することができる。この開閉サージを吸収するためには、大容量の電解コンデンサが好適である。電解コンデンサは極性を有することから、この電解コンデンサと開閉サージ吸収用バリスタとの間に全波整流回路を設けて、その極性と同じ極性の電圧が印加されるようにする。
本発明に係るサージ吸収装置は、主幹ブレーカのL1相端子,N相端子,およびL2相端子に第1接触子,第2接触子,第3接触子をそれぞれ接触させた際に第1,第2接触子間に印加されるL1−N相間、および第2,第3接触子間に印加されるN−L2相間の交流電圧それぞれを検出する電圧検出回路と、主幹ブレーカのオン・オフによってL1−N相間およびL2−N相間において発生する開閉サージを検出するサージ検出回路と、これら相間電圧および開閉サージの吸収をそれぞれ表示させる表示回路と、電圧検出回路およびサージ検出回路の出力に基づいて表示回路を駆動制御する制御回路とを具備した構成が望ましい。
このように、電圧検出回路、サージ検出回路および表示回路とそれらの回路を制御する制御回路を具備すれば、主幹ブレーカのL1相−N相間電圧およびL2相−N相間電圧と開閉サージの吸収とをそれぞれ表示させることが可能となる。つまり、電圧検出回路により主幹ブレーカのL1相とN相との間およびL2相とN相との間に印加される交流電圧を検出し、電圧検出回路の検出出力に基づいて表示回路を制御回路により駆動制御すれば、主幹ブレーカのL1相−N相間電圧およびL2相−N相間電圧が表示可能である。また、サージ検出回路により主幹ブレーカのL1相とN相との間およびL2相とN相との間に流れる開閉サージを検出し、サージ検出回路の検出出力に基づいて表示回路を制御回路により駆動制御すれば、開閉サージを吸収したことを表示し、作業者にそれを報知させることが可能となる。
本発明に係るサージ吸収装置は、主幹ブレーカのL1相、N相およびL2相の各端子に接触させることにより電気的な接続が可能な三本の接触子を突出させた第一の筐体部と、開閉サージ用バリスタを含む回路部品を収容した第二の筐体部とからなる筐体を備え、第二の筐体部に対して第一の筐体部を折り畳み可能に枢着し、第一の筐体部の接触子を格納する収納部を第二の筐体部に設けた構造とすることが望ましい。
このようにすれば、装置の使用時には第二の筐体部に対して第一の筐体部を開いた状態とすることで、第一の筐体部から突出する接触子を主幹ブレーカの各端子に接触させることにより電気的な接続が可能となる。また、装置の非使用時には第二の筐体部に対して第一の筐体部を折り畳んで閉じた状態とすることで、第一の筐体部の接触子を第二の筐体部の収納部に格納することができ、作業服のポケット等への収容や持ち運びが容易になるコンパクトなサージ吸収装置が実現できる。
本発明に係るサージ吸収装置は、第二の筐体部に、L1−N相間電圧およびL2−N相間電圧を表示するとともに、開閉サージの吸収を表示する表示モニタを配設した構造とすることが望ましい。
このようにすれば、前述したように電圧検出回路とサージ検出回路の出力に基づいて表示回路を制御回路により駆動制御することにより、その表示回路の出力に基づいて、第二の筐体部に配設された表示モニタでL1−N相間電圧およびL2−N相間電圧を表示すると共に開閉サージの吸収を表示することが可能となる。このL1−N相間電圧およびL2−N相間電圧の表示で、サージ吸収装置が主幹ブレーカに正常に接続されていることを目視により容易に確認でき、また、開閉サージの吸収の表示で、このサージ吸収装置により開閉サージを確実に吸収したことも目視により容易に確認できる。
本発明のサージ吸収装置における接触子は、その先端部が接触子本体に突出退入可能に挿着され、接触子本体内に収納されたばねにより先端部を突出方向に付勢することにより、その先端部を主幹ブレーカのL1相、N相およびL2相の各端子に弾性的に接触可能とした構造が望ましい。
このようにすれば、主幹ブレーカの端子に凹凸等の寸法公差があったり、また、接触子に長短の寸法公差があったりしても、接触子の先端部を主幹ブレーカの端子に全ての接触子を確実に接触させることができる。その結果、サージ吸収装置を使用する上で信頼性の向上が図ることができる。
本発明に係るサージ吸収装置は、第一の筐体部に設けられた三本の接触子が、主幹ブレーカのL1相、N相およびL2相の各端子ピッチに応じて、第1接触子と第2接触子との離間ピッチおよび第2接触子と第3接触子との離間ピッチを、第2接触子を基準にして第一の筐体部に内蔵されたカム機構により連動させて可変とした構造を具備することが望ましい。
このようにすれば、主幹ブレーカの品種対応が容易となる。つまり、主幹ブレーカには、その品種に応じてL1相、N相およびL2相の各端子ピッチが異なるため、第1接触子と第2接触子との離間ピッチおよび第2接触子と第3接触子との離間ピッチを、N相端子に接触させる第2接触子を基準にして連動させて可変とすれば、異なる品種の主幹ブレーカに対してサージ吸収装置を共通して使用することが可能となる。また、N相用の第2接触子を基準に連動させて可変とする手段に、コンパクトで簡易なカム機構を採用すれば、サージ吸収装置の小型化も容易である。
本発明によれば、主幹ブレーカに接続した負荷に搭載されたバリスタの動作開始電圧よりも低い動作開始電圧を持つ開閉サージ吸収用バリスタを、主幹ブレーカのL1相端子、N相端子、L2相端子のそれぞれに接触させる第1,第2接触子間および第2、第3接触子間のそれぞれに接続したことにより、主幹ブレーカのオン・オフ時に過大なサージが発生したとしても、開閉サージ吸収用バリスタが導通し、負荷搭載のバリスタにはその導通電圧よりも低い電圧が常に印加される。このように、開閉サージを本発明装置に搭載された開閉サージ吸収用バリスタで吸収することができることから、主幹ブレーカに接続された負荷が開閉サージによる故障が未然に防止することができる。
本発明に係るサージ吸収装置の実施形態を以下に詳述する。このサージ吸収装置は、一般家庭などの電力需要家における交流単相3線式の配電線に接続された住宅用分電盤の内部の主幹ブレーカを保守点検するためのものである。
図1は本発明の実施形態におけるサージ吸収装置の内部回路構成を示す。この実施形態のサージ吸収装置は、住宅用分電盤の内部に組み込まれた主幹ブレーカ60(図7参照)の三つの端子(L1相端子61、N相端子62およびL2相端子63)に接触させることにより電気的な接続が可能となる三本の第1〜第3接触子11〜13(必要に応じてL1相接触子11、N相接触子12およびL2相接触子13と称す)を有する。なお、交流単相3線式の配電線は、100Vが印加された二本の電圧線(L1相、L2相)と一本の中性線(N相)からなる。
主幹ブレーカ60(図7参照)のL1相端子61に接触させるL1相接触子11と主幹ブレーカ60のN相端子62に接触させるN相接触子12との間に開閉サージ吸収用バリスタ14,15を接続すると共に、主幹ブレーカ60のL2相端子63に接触させるL2相接触子13と主幹ブレーカ60のN相端子62に接触させるN相接触子12との間に開閉サージ吸収用バリスタ16,17を接続する。
これらバリスタ14〜17は、主幹ブレーカ60のL1相、N相およびL2相の各端子61〜63を介して配電線に接続された負荷としての家電機器に組み込まれた負荷用バリスタの動作開始電圧よりも低い動作開始電圧を持つように設定されている。なお、L1相接触子11とバリスタ14との間、およびL2相接触子13とバリスタ17との間には、バリスタ14,15や、バリスタ16,17のいずれかが特性劣化などで異常発熱したときに回路を遮断するための温度ヒューズ20,21と、それらが過大なサージなどで過電流が発生により回路を遮断するためのガラス管ヒューズ18,19がそれぞれ接続されている。
負荷に搭載されたバリスタの動作開始電圧よりも低い動作開始電圧を持つ開閉サージ吸収用バリスタ14,15を、接触子11,12を介して主幹ブレーカ60のL1相端子61とN相端子62との間に接続するとともに、バリスタ16,17を、接触子13,12を介して主幹ブレーカ60のL2相端子63とN相端子62との間に接続すれば、主幹ブレーカ60のオン・オフ時に開閉サージが発生したとしても、バリスタ14〜17の動作開始電圧が負荷搭載のバリスタよりも低いので、それに応じて導通し、負荷搭載のバリスタに加わる電圧をその導通電圧よりも低く保持する。このため、負荷搭載のバリスタは開閉サージによって導通することがない。
このように、開閉サージを本発明装置のバリスタ14〜17で吸収し、家電機器などの負荷に搭載されたバリスタをそれから効果的に防護し、その破壊を防ぎ、さらには家電機器などの負荷の故障を防止することができる。
例えば、負荷に搭載されるバリスタの動作開始電圧を200Vとした場合、開閉サージ吸収用バリスタ14〜17の動作開始電圧を150〜180Vに設定すればよい。バリスタ14〜17の動作開始電圧が180Vよりも高いと、負荷搭載のバリスタの動作開始電圧に近似するために不適である。さらに、負荷搭載のバリスタの特性が経年変化し、それによって動作開始電圧が低下することを考慮すると、開閉サージ用バリスタ14〜17の動作開始電圧を180V以下とすることが望ましい。
また、開閉サージ吸収用のバリスタ14〜17の動作開始電圧が150Vよりも低いときには、交流電源電圧100Vの実効値141Vに近似するため、開閉サージの発生時のみならず、定常時にもこれらバリスタ14〜17が導通動作してしまうことになって不適である。
具体的には、市販品のバリスタ(動作開始電圧82V)を使用することから、L1相接触子11とN相接触子12との間に二個のバリスタ14,15(動作開始電圧82V×2)を直列接続すると共に、L2相接触子13とN相接触子12との間に二個のバリスタ16,17(動作開始電圧82V×2)を直列接続することにより、L1相接触子11とN相接触子12との間およびL2相接触子13とN相接触子12との間のそれぞれに、動作開始電圧164Vの開閉サージ用バリスタ14〜17を構成している。
この実施形態では、開閉サージ吸収用バリスタ14〜17の後段に、複数のダイオード(D1〜D4とD5〜D8)でブリッジ構成された交直変換回路22,23を介して開閉サージ用の電解コンデンサ24,25を付設した構成としている。これにより、主幹ブレーカ60のオン・オフ時に発生する開閉サージをバリスタ14〜17だけでなく、電解コンデンサ24,25によっても吸収することが可能となり、開閉サージが負荷内のバリスタに印加されることをより一層確実に抑止できる。
開閉サージを吸収するためには、通常のコンデンサよりも容量の大きい電解コンデンサ24,25が好適である。この電解コンデンサ24,25は極性を持つことから、交流入力を直流変換する交直変換回路22,23を電解コンデンサ24,25の入力側に設ける必要がある。
L1相接触子11とN相接触子12との間およびL2相接触子13とN相接触子12との間に印加される交流電圧を検出する電圧検出回路26が、L1相接触子11とL2相接触子13との間に接続されている。また、L1相接触子11とN相接触子12との間およびL2相接触子13とN相接触子12との間に流れる開閉サージを検出するサージ検出回路27,28が、L1相接触子11およびL2相接触子13に直列接続された制限抵抗29,30の両端とN相接触子12との間に接続されている。これら電圧検出回路26およびサージ検出回路27,28の出力に基づいて、主幹ブレーカ60のL1相−N相間電圧およびL2相−N相間電圧と開閉サージの吸収とをそれぞれ表示させる表示回路31を駆動制御する制御回路32が設けられている。
電圧検出回路26では、L1相接触子11とN相接触子12との間およびL2相接触子13とN相接触子12との間に印加される交流電圧を検出し、その電圧検出回路26の検出出力に基づいて表示回路31を制御回路32により駆動制御することにより、主幹ブレーカ60のL1相−N相間電圧およびL2相−N相間電圧を後述の表示モニタ50(図4参照)で表示する。また、サージ検出回路27,28では、L1相接触子11とN相接触子12との間およびL2相接触子13とN相接触子12との間に流れる開閉サージを検出し、そのサージ検出回路27,28の検出出力に基づいて表示回路31を制御回路32により駆動制御することにより、開閉サージを吸収したことを後述の表示モニタ50で表示する。
図2〜図6はこの実施形態におけるサージ吸収装置の外観を示す。サージ吸収装置は、主幹ブレーカ60(図7参照)のL1相端子61、N相端子62およびL2相端子63のそれぞれに接触させることにより電気的な接続を可能とする三本の接触子11〜13が突出した第一の筐体部40と、開閉サージ用バリスタ14〜17を含む回路部品(図1の回路構成)を実装した配線基板41を収容した第二の筐体部42とからなる筐体43を備えている。
このサージ吸収装置では、第二の筐体部42に対して第一の筐体部40を枢着部44で回動させることにより折り畳み可能としている。第二の筐体部42の枢着部側に凹所45が設けられ、この凹所45に折り畳まれた第一の筐体部40を格納するようにしている。また、第一の筐体部40の接触子11〜13を格納する収納部46〜48を第二の筐体部42に設けた構造としている。その接触子11〜13の収納部46〜48は、第二の筐体部42の外面に接触子11〜13が延びる方向に沿うような溝状に形成されている。
三つの収納部46〜48のうち、N相接触子12が格納される収納部47は、接触子12の外径よりも若干大きな幅寸法で形成され、L1相接触子11とL2相接触子13が格納される残り二つの収納部46,48は、後述するようにN相接触子12との離間ピッチを可変とすることに対応させて幅広に形成されている。第一の筐体部40の外面にL1相接触子11とL2相接触子13のN相接触子12に対する離間ピッチを手動で変更するためのダイヤル式の可変レバー49が設けられている。
サージ吸収装置を使用するときには、第二の筐体部42に対して第一の筐体部40を開いた状態とすることで(図6参照)、第一の筐体部40から突出する接触子11〜13を主幹ブレーカ60の対応する端子61〜63に接続することが可能となる。また、サージ吸収装置を使用しないときには、第二の筐体部42に対して第一の筐体部40を折り畳んで閉じた状態とすることで、第一の筐体部40の接触子11〜13を第二の筐体部42の収納部46〜48に格納することができ、作業服のポケット等への収容や持ち運びが容易になる。
サージ吸収装置における第二の筐体部42の外面(接触子11〜13の収納部46〜48が位置する外面の反対側)に、主幹ブレーカ60のL1相−N相間電圧およびL2相−N相間電圧を表示すると共に開閉サージの吸収を表示する表示モニタ50を配設している。この表示モニタ50は、図1に示す回路構成における表示回路31に接続された7セグメントLEDで構成され、その表示回路31の出力に基づいてL1相−N相間電圧およびL2相−N相間電圧あるいは開閉サージの吸収を選択的に表示する。
このL1相−N相間電圧およびL2相−N相間電圧の表示で、サージ吸収装置が主幹ブレーカ60に正常に接続されていることを目視により容易に確認でき、また、開閉サージの吸収の表示で、このサージ吸収装置により開閉サージを確実に吸収したことも目視により容易に確認できる。
このサージ吸収装置における接触子11〜13は、その導電性先端部11a〜13aが筒状の接触子本体11b〜13bに突出退入可能に挿着され、その接触子本体11b〜13b内に収納されたばね(図示せず)により先端部11a〜13aを突出方向に付勢することにより、その先端部11a〜13aを主幹ブレーカ60のL1相、N相およびL2相の各端子61〜63に弾圧接触可能な構造としている。なお、接触子本体11b〜13bの外周は、ゴムあるいは樹脂により絶縁被覆されている。
このように、接触子11〜13の先端部11a〜13aを主幹ブレーカ60の端子61〜63に弾圧接触可能としたことにより、主幹ブレーカ60の端子61〜63に凹凸等の寸法公差があったり、また、接触子11〜13に長短の寸法公差があったとしても、その接触子11〜13を主幹ブレーカ60の端子61〜63に確実に接触させることができる。その結果、サージ吸収装置を使用する上で信頼性の向上が図れる。
ここで、住宅用分電盤に設けられた主幹ブレーカ60には、例えば30A用や50A用などのように複数の品種があり、それら品種によってL1相端子61、N相端子62およびL2相端子63の離間ピッチが異なる。そこで、第一の筐体部40に設けられた三本の接触子11〜13は、主幹ブレーカ60のL1相端子61、N相端子62およびL2相端子63の離間ピッチに応じて、N相接触子12とL1相接触子11との離間ピッチおよびN相接触子12とL2相接触子13との離間ピッチを、N相接触子12を基準にして第一の筐体部40に内蔵されたカム機構51により連動させて可変とした構造を具備する。
なお、N相接触子12とL1相接触子11との離間ピッチおよびN相接触子12とL2相接触子13との離間ピッチを可変とすることにより、第一の筐体部40の端面には、L1相接触子11およびL2相接触子13が挿通されて離間ピッチの変更により移動可能なように長孔52,53を形成している。
このカム機構51は、種々の構造のものが適用可能であり、前述した第一の筐体40の外面に設けられた可変レバー49の回動操作により作動するように可変レバー49と連結されている。また、L1相接触子11およびL2相接触子13を、N相接触子12を基準に連動させて可変とする手段に、コンパクトで簡易なカム機構51を採用したことにより、サージ吸収装置の小型化も容易である。
このように、N相接触子12とL1相接触子11との離間ピッチおよびN相接触子12とL2相接触子13との離間ピッチを、N相接触子12を基準に連動させて可変としたことにより、異なる品種の主幹ブレーカ60に対して一台のサージ吸収装置を共通して使用することが可能となり、主幹ブレーカ60の品種変更に迅速に対応することができる。
以上の構成からなるサージ吸収装置の使用例を以下に詳述する。図7はサージ吸収装置の接触子11〜13を主幹ブレーカ60の端子61〜63に接触させた状態を示す。また、図8は図1のサージ吸収装置の回路構成に基づく動作フローを示す。なお、以下の説明では、通常の状態である主幹ブレーカ60のオン状態からその主幹ブレーカ60をオフする場合を例示する。
まず、サージ吸収装置の第一の筐体部40に設けられた可変レバー49を回動操作することにより、主幹ブレーカ60のL1相端子61、N相端子62およびL2相端子63の離間ピッチに、N相接触子12とL1相接触子11との離間ピッチおよびN相接触子12とL2相接触子13との離間ピッチを一致させた上で、その第一の筐体部40を第二の筐体部42に対して開いた状態とする。
その状態で第一の筐体部40から突出するL1相接触子11、N相接触子12およびL2相接触子13の各先端部11a〜13aを主幹ブレーカ60の二次側のL1相端子61、N相端子62およびL2相端子63に接触させる(STEP1)。このとき、L1相接触子11、N相接触子12およびL2相接触子13の各先端部11a〜13aが主幹ブレーカ60のL1相端子61、N相端子62およびL2相端子63に弾圧接触するので、L1相接触子11、N相接触子12およびL2相接触子13と主幹ブレーカ60のL1相端子61、N相端子62およびL2相端子63との確実な電気的接続が得られる。
このようにして、サージ吸収装置のL1相接触子11、N相接触子12およびL2相接触子13の各先端部11a〜13aを主幹ブレーカ60の二次側のL1相端子61、N相端子62およびL2相端子63に接触させた時点で、L1相−N相間電圧およびL2相−N相間電圧を電圧検出回路26で検出し、その電圧検出回路26の検出出力に基づいて制御回路32により表示回路31を駆動制御し、その表示回路31の出力に基づいて第二の筐体部42の表示モニタ50にL1相−N相間電圧「100V」およびL2相−N相間電圧「100V」をセグメント表示する(STEP2)。
この表示モニタ50にL1相−N相間電圧およびL2相−N相間電圧が表示されなければ、サージ吸収装置の故障か、あるいは接触子11〜13と端子61〜63との接触不良である(STEP3)。故障の場合には、サージ吸収装置を交換することになり(STEP4)、接触不要の場合には、再度、接触子11〜13を端子61〜63に接触し直すことになる。
表示モニタ50によるL1相−N相間電圧およびL2相−N相間電圧の表示を確認した上で、主幹ブレーカ60をオフする(STEP5)。この主幹ブレーカ60のオフ時に開閉サージが発生した場合(STEP6)、その開閉サージを開閉サージ吸収用バリスタ14〜17および電解コンデンサ24,25で吸収する(STEP7)。また、その開閉サージをサージ検出回路27,28で検出し、その検出出力に基づいて制御回路32により表示回路31を駆動制御し、その表示回路31の出力に基づいて、L1相−N相間電圧およびL2相−N相間電圧の表示をオフし(STEP8)、第二の筐体部42の表示モニタ50に開閉サージの吸収を示す「P」の文字を表示する(STEP9)。なお、主幹ブレーカ60のオフ時に開閉サージが発生しない場合には、L1相−N相間電圧およびL2相−N相間電圧の表示をオフするのみとなる。
表示モニタ50による開閉サージの吸収「P」の表示を1秒間点滅させた後(STEP10)、その表示をオフする(STEP11)。その後、サージ吸収装置のL1相接触子11、N相接触子12およびL2相接触子13の各先端部11a〜13aを主幹ブレーカ60の二次側のL1相端子61、N相端子62およびL2相端子63に接触させた状態を解除し、第一の筐体部40を第二の筐体部42に対して閉じて折り畳んだ状態とすれば、主幹ブレーカ60の保守点検が完了する(STEP12)。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明の実施形態で、サージ吸収装置の回路構成を示す回路図である。 図1のサージ吸収装置の外観で、第一の筐体部を閉じた状態を示す正面図である。 図2の側面図である。 図2の背面図である。 図1のサージ吸収装置の外観で、第一の筐体部を開いた状態を示す側面図である。 図5の正面図である。 図5および図6のサージ吸収装置の使用例で、接触子を主幹ブレーカの端子に接触させた状態を示す図である。 図1の回路構成に基づく動作フローを示すフローチャートである。
符号の説明
11〜13 第1〜第3接触子
11a〜13a 先端部
11b〜13b 接触子本体
14〜17 開閉サージ吸収用バリスタ
22,23 交直変換回路
24,25 電解コンデンサ
26 電圧検出回路
27,28 サージ検出回路
31 表示回路
32 制御回路
40 第一の筐体部
42 第二の筐体部
43 筐体
46〜48 収納部
50 表示モニタ
51 カム機構
60 主幹ブレーカ

Claims (7)

  1. 交流単相3線式の配電線に接続された分電盤内の主幹ブレーカの保守点検における開閉操作時のみに前記主幹ブレーカに接触させ、前記主幹ブレーカの開閉操作時に発生する開閉サージを吸収するサージ吸収装置であって、前記主幹ブレーカのL1相端子に接触させるための第1接触子と、前記主幹ブレーカのN相端子に接触させるための第2接触子と、前記主幹ブレーカのL2相端子に接触させるための第3接触子とを備え、
    前記第1接触子と前記第2接触子との間、および前記第2接触子と前記第3接触子との間に、前記主幹ブレーカに接続された負荷内に設けられたバリスタの動作開始電圧よりも低い動作開始電圧をもつ開閉サージ吸収用バリスタをそれぞれ接続したことを特徴とするサージ吸収装置。
  2. 前記開閉サージ吸収用バリスタのそれぞれの後段に、交直変換回路を介して開閉サージ吸収のための電解コンデンサを付設した請求項1に記載のサージ吸収装置。
  3. 前記主幹ブレーカのL1相端子とN相端子との間およびL2相端子とN相端子との間に印加される交流電圧を検出する電圧検出回路と、前記L1相端子と前記N相端子との間および前記L2相端子と前記N相端子との間のそれぞれにおける開閉サージを検出するサージ検出回路と、前記L1相端子と前記N相端子との間および前記L2相端子と前記N相端子との間の電圧の印加と開閉サージの吸収とをそれぞれ表示させる表示回路と、前記電圧検出回路および前記サージ検出回路の出力に基づいて表示回路を駆動制御する制御回路とを具備した請求項1又は2に記載のサージ吸収装置。
  4. 前記主幹ブレーカのL1相、N相およびL2相の各端子に接触させることにより電気的な接続が可能な三本の第1、第2、第3接触子を突出させた第一の筐体部と、前記開閉サージ吸収用バリスタを含む回路部品を収容した第二の筐体部とからなる筐体を備え、前記第二の筐体部に対して前記第一の筐体部を折り畳み可能に枢着し、前記接触子を格納する収納部を前記第二の筐体部に設けた請求項1〜3のいずれか一項に記載のサージ吸収装置。
  5. 前記第二の筐体部に、L1相−N相間電圧およびL2相−N相間電圧を表示すると共に開閉サージの吸収を表示する表示モニタを配設した請求項4に記載のサージ吸収装置。
  6. 前記接触子は、その先端部が接触子本体に突出退入可能に挿着され、前記接触子本体内に収納されたばねにより前記先端部を突出方向に付勢することにより、その先端部を主幹ブレーカのL1相、N相およびL2相の各端子に弾圧接触可能とした請求項4又は5に記載のサージ吸収装置。
  7. 前記第一の筐体部に設けられた三本の接触子は、主幹ブレーカのL1相、N相およびL2相の各端子ピッチに応じて、第1接触子と第2接触子との離間ピッチおよび第2接触子と第3接触子との離間ピッチを、第2接触子を基準にして第一の筐体部に内蔵されたカム機構により連動させて可変とした請求項4〜6のいずれか一項に記載のサージ吸収装置。
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