JP4999171B2 - タンパク質機能解析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、タンパク質およびペプチドのナノアレイの構造を解析するタンパク質機能解析装置に関する。
タンパク質をはじめとする生体分子の機能を理解する上で、その立体構造を解析することは不可欠である。
すなわち、生体分子が機能する際、他の分子との反応及び外界からの刺激に伴ってその構造を変化させることにより特定の機能を有することになる。
上述した生体分子の構造解析には、X線回折法や電子顕微鏡/電子線回折法が多く用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
しかし、上述した構造解析の方法にては、解析対象の試料を結晶化させたり、あるいは凍結させたりすることが必要であり、生体分子が生体内において有する構造及び構造変化を反映しているか否かは明らかとすることができない。
また、核磁気共鳴(NMR)法のように、溶液中にての観察を可能とする手法もあるが、非常に多量のサンプル量を必要とすること、アミノ酸中の同位体元素(13C等)が必要であること、解析が非常に煩雑であること、NMRの中でも特に高性能な装置(すなわち分解能及び感度が高く高精度の測定が行える装置)を必要とすることなどが要求される。
このため、NMR法は非常に限られた一部のタンパク質にのみに適用されているのが現状である。
一方、走査型トンネル顕微鏡(STM)や原子間力顕微鏡(AFM)などの走査プローブ顕微鏡(SPM)、特にAFMは溶液中における試料の観察が可能であることから、生体試料を生きたまま、すなわち、生体内の条件に近い状態にて構造を解析できる解析方法として生体分子の観察に応用されている(例えば、非特許文献2参照)。
Eva Pebay-peyroula, Gbriele Rummel, Jurg P.Rosenbusch, Ehud M. Landau, "X-ray Structure of Bacteriohodopsin at 2.5 Angstroms from Microcrystals Grown in Lipidic Cubic Phase", SCIENCE, VOL.277, 12 SEPTEMBER 1997(downloaded from "www.sciencemag.org" on July 4,2007) Daniel J. Muller, Frank A. Schabert, Georg Buldt, and Andreas Engel, "Imaging Purple Membranes in Aqueous Solutions at Sub-Nanometer Resolution by Atomic Force Microscopy", Biophysical Journal, Volume 68, May 1995, pp.1661-1666
しかしながら、タンパク質、特に生体膜中に存在する膜タンパク質に関しては、その機能が非常に重要であるにも関わらず、測定に適した一部のもの、例えば、二次元結晶構造を形成する bacterio Rhodopsin や Connexin などにしか適用されていない。
一般の膜タンパク質は生体中に浮遊する状態にて存在すると考えられており、上記の二次元結晶構造を有する膜タンパク質に比較して、動的で非常に柔らい構造を有するタンパク質であると予想される。
従来のSPMにおいては、観察する生体分子をマイカなどの平坦な基板を試料板として用いている。このマイカの表面は親水性であるため、生体分子は一定程度の相互作用を介して基板に固定されると考えられている。
しかしながら、タンパク質の解析においては、従来の手法を用いた場合、解析対象のタンパク質が安定に基板表面に固定されずに、測定に必要な期間固定されずに高解像の測定が行えなかった。
実際、現在までにAFMを用いて膜タンパク質の構造解析が試みられているが、膜端膜質の部分構造を観察するまでには至っていない。
さらに、膜タンパク質の構造を定性的に観察できる場合、この構造と活性との相関を得るために定量的な構造情報(高さ、幅、部分構造間の距離など)を抽出する必要があり、現在の方法にては当然に行うことができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、動的で柔らかい構造を有するタンパク質を、その機能を維持した構造の形態にて基板に固定し、その構造情報を測定することができるタンパク質機能解析装置を提供することを目的とする。
本発明のタンパク質機能解析装置は、測定対象である測定対象タンパク質の高さ、幅、部分構造間の距離を含む構造情報を、溶液内にて解析するタンパク質機能解析装置であり、静電的相互作用にて、前記測定対象タンパク質と形状が異なるインターフェース分子により、表面が分子修飾された基板と、前記構造情報を前記溶液内において測定する走査プローブ測定装置とを有し、前記インターフェース分子に対し、静電的相互作用により前記測定対象タンパク質を結合させ、前記走査プローブ測定装置が測定した前記測定対象タンパク質の像の画像データにおいて、前記測定対象タンパク質各々に対する刺激の有無によるトポグラフィー像を生成し、それぞれのトポグラフィー像から対応する前記測定対象タンパク質の高さ及び幅を求め、測定対象タンパク質毎の刺激の有無による高さ及び幅のパラメータによる散布図を生成する解析装置を有することを特徴とする。
本発明のタンパク質機能解析装置は、前記走査プローブ測定装置が異なる種類の測定対象タンパク質を同一基板に対し、前記インターフェス分子を介して結合させ、当該異なる種類の測定対象タンパク質毎に前記構造情報を測定することを特徴とする。
本発明のタンパク質機能解析装置は、前記溶液のpHをインターフェース分子の等電点より低く、かつ測定対象タンパク質の等電点より高く設定することを特徴とする。
本発明のタンパク質機能解析装置は、前記インターフェース分子として、ポリ−D−リジンを用いることを特徴とする。
以上説明したように、本発明のタンパク質機能解析装置によれば、生体分子、特にタンパク質の構造と活性との間の相関を解析するため、基板表面を生体分子にて修飾(分子修飾)することにより、この生体分子に対して測定対象のタンパク質を固定させることで、従来の方法では測定が困難な動的で柔らかいタンパク質を、その構造と機能とを維持した形態にて観察することが可能となり、その機能を維持した構造の構造情報を測定することができる。
本発明は、基板とサンプルであるタンパク質との相互作用を最適化し、基板に対してタンパク質を機能を保持した形態にて固定するシステムを用いることにより、従来に比較してタンパク質の観察を安定的に、かつ高解像度にて行うことを可能とするものである。
すなわち、本発明のタンパク質機能解析装置は、測定対象である測定対象タンパク質の高さ、幅、部分構造(タンパク質の構成するサブユニット)間の距離を含む構造情報を、溶液内にて解析するタンパク質機能解析装置であり、静電的相互作用にて、表面がインターフェース分子により分子修飾された基板と、構造情報を測定する測定装置とを有し、インターフェース分子に対し、静電的相互作用により測定対象タンパク質を結合させ、測定対象タンパクを安定した状態にて構造情報を測定する。
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態によるタンパク質機能解析装置を図面を参照して説明する。図1は同実施形態によるタンパク質機能解析装置の構成例を示すブロック図である。
生体分子修飾試料台1は、例えばマイカなどの基板であり、表面が生体分子により修飾されている。
走査プローブ顕微鏡装置2は、STMやAFMであり、本実施形態においてはAFMを用いており、片持ち梁(カンチレバー)の先端に取り付けられた探針と試料との間に働く力により、観察対象の表面構造を検出するものである。
上記走査プローブ顕微鏡装置2は、検出対象に対し、行方向及び列方向にカンチレバーを走査させる制御を行い、解析対象範囲における解析対象物表面に対し、カンチレバーの先端の探針を順次接触させ、凹凸を検出する処理を行い、この探針による1回の検出処理(データの読み取り)がAFM像の画像データにおける1画素に対応する。行及び列方向に対する一回の走査する距離における検出処理は生成する画像データの解像度に対応して設定される。
解析用装置3は、AFM像の解析のための画像処理プログラムがインストールされたパーソナルコンピュータなどから構成されており、上記走査プローブ顕微鏡装置2の検出した表面構造のAFMの検出結果である、生体分子修飾試料台1の表面の凹凸に対応した検出値を、生体分子修飾試料台1表面の2次元座標系の座標位置に対応させて一旦データベース4に蓄積する。
そして、解析用装置3は、順次この検出値をデータベース4から読み出して、凹凸に対応した検出値からタンパク質のAFM凹凸像(AFM像)の生成処理を行い、生成されたAFM像の画像データをデータベース4へ記録する。
すなわち、解析用装置3は、上記画像データを各画素の階調データとして、画素位置を示す座標に対応させて構成している。上記階調データは、解析対象物である試料の凹凸の高さの数値(例えば、nm)を、例えば1nm単位にて量子化したものと生成する。
以下、本実施形態における特徴である上記生体分子修飾試料台1について図を参照して詳細に説明する。図2は生体分子修飾試料台1の表面を分子修飾し、解析対象のタンパク質を固定する処理を説明する概念図である。
まず、溶液にインターフェース分子として用いる生体分子のポリマーを溶解させるが、このとき、球状に変形した生体分子が解析対象のタンパク質と混同する場合がある。
このため、インターフェース分子を溶解した溶液を微少孔を有するフィルタを通す(濾過する)ことにより、球状となった生体分子を除去する。
インターフェース分子として用いるポリマーの形状に対応した径の微少孔のフィルタを用いることにより、線状のポリマーのみを通過させ、球状となったポリマーを完全に取り除くことができる。
しかし、インターフェース分子として用いられる、タンパク質とは完全に区別できる形状の生体分子のみが混入された溶液を作成する。本実施形態においては、上記インターフェース分子として、生体分子由来のポリ−D−リジンを用いる。溶液は、純水中にポリ−D−リジンを溶解(1mg/ml)して、上述したようにフィルタリングを行ったものである。
図2(a)に示すように、ポリ−D−リジンが溶解した上記溶液を、生体分子修飾試料台1の表面に滴下して、室温にて30分間保持(インキュベート)する。
そして、図2(b)に示すように、溶液を除去して、ポリ−D−リジンを静電的相互作用により生体分子修飾試料台1の表面に吸着させ、ポリ−D−リジンにより生体分子修飾試料台1の表面を分子修飾させる。
図3はAFMにより生体分子修飾試料台1の表面を観察した結果の画像(以下、AFM像)を示すものであるが、図3(a)に示すように、被修飾の生体分子修飾試料台1の表面は平坦であるが、図3(b)に示すように、分子修飾された生体分子修飾試料台1の表面はポリ−D−リジンが複数存在していることが判る。
この分子修飾に用いたポリ−D−リジンは、生体分子修飾試料台1の表面からの高さの平均が約0.5nmと小さく、かつ線状の構造であることから、生体分子修飾試料台1の表面の観察結果のAFM像において、解析対象のタンパク質と十分に形状的に区別することができる。
また、ポリ−D−リジンは、正に荷電している状態にあり、生体分子修飾試料台1の表面に対し、静電的相互作用にて吸着している。
したがって、上記溶液のpHは、ポリ−D−リジンの等電点より低い値に調整されていることが必要である。
次に、例えば、バッファー溶液として、「25mM Tris-HCl,137mM NaCl,2.7mM KCl」の溶液を用い、この溶液に解析対象のタンパク質を予め設定した量にて溶解させて、分子修飾した生体分子修飾試料台1(図2(c))と、分子修飾していない生体分子修飾試料台1との各々を、それぞれ上記バッファー溶液に浸してAFM観察を行った。解析対象のタンパク質の予め設定した量とは、有る時間内に生体分子修飾台1のインターフェース分子に解析対象のタンパク質が吸着するために必要な含有量である。
図4は、上述したような処理過程を経て、解析対象のタンパク質を生体分子修飾試料台1の表面に固定して、AFMにて解析した結果のAFM像を示している。
図4(a)から判るように、分子修飾を行っていない生体分子修飾試料台1においては、解析対象のタンパク質と生体分子修飾試料台1の表面との界面における相互作用が不十分であり、解析対象のタンパク質の生体分子修飾試料台1表面への密着性が悪い。このため、AFM観察を行う期間、解析対象のタンパク質を生体分子修飾試料台1の表面に固定させることができず、常にバッファー溶液に浮遊する状態であることが判る。
一方、図4(b)から判るように、分子修飾を行った生体分子修飾試料台1においては、解析対象のタンパク質と生体分子修飾試料台1の表面との界面における相互作用が十分であり、解析対象のタンパク質の生体分子修飾試料台1表面への密着性が良く、比較的長時間にわたってAFM観察を行うことができた。
上述した構成により、生体分子修飾試料台1の表面をインターフェース分子により修飾してない従来例のように、膜タンパク質のように柔らかく、生体分子修飾試料台1の表面に対する密着性が低い試料を測定する際、AFMの探針が接触することにより、試料を生体分子修飾試料台1の表面から離脱させたり、固定が不十分のため、試料の固定位置の揺らぎを起こすと言うことが無くなるため、本実施形態のタンパク質機能解析装置は、従来例に比較してより高解像度のAFM像を得ることができる。
したがって、解析対象の薬剤(アゴニスト)刺激による単一の膜タンパク質の時間依存的な構造変化などを、他のタンパク質の影響を受けずに、生体内における構造に対応した機能を維持したままにてAFM観察を行うことができる。
このとき、ポリ−D−リジンが正に荷電しており、解析対象のタンパク質が負に荷電した状態にあり、解析対象のタンパク質はポリ−D−リジンに対し、静電的相互作用にて吸着された状態にて固定されている。
ここで、バッファー溶液のpHは、解析対象のタンパク質とポリ−D−リジンとの間に十分な静電的相互作用を持たせるため、ポリ−D−リジン、すなわちインターフェース分子の等電点より低く、かつ測定対象タンパク質の等電点より高く設定(調整)しておく必要がある。
これにより、上記バッファー溶液中において、ポリ−D−リジンの正味電荷(ネットチャージ)を正に、解析対象のタンパク質の正味電荷を負に調整することで、生体分子修飾試料台1の表面に対してポリ−D−リジンが静電的相互作用にて吸着して固定され、このポリ−D−リジンに対して解析対象のタンパク質を静電相互作用にて吸着して固定する。
すなわち、解析対象のタンパク質をインターフェース分子を介して、生体分子修飾試料台1の表面に固定させることで、従来の方法では測定が困難な動的で柔らかいタンパク質を、その構造と機能とを維持した形態にて観察することができる。
<第2の実施形態>
上述した第1の実施形態と同様に、インターフェース分子を介して、生体分子修飾試料台1表面に解析対象のタンパク質を固定し、この解析対象のタンパク質の薬剤依存的な構造変化のAFM観察を行い、図5に示すAFM像を得た。
タンパク質、特に細胞膜に存在するチャネル(イオンチャネル)タンパクと呼ばれる一群のタンパク質には、特定の薬剤に対して反応し、チャネル中心にポア(イオンの通路となる孔)を形成し、これにより細胞外のイオンを細胞内に流入(取り込み)あるいはその逆の流出(吐き出し)の反応を引き起こす。
従来のAFM観察においても、二次元結晶状構造を示すタンパク質については、そのような構造変化が確認されていたが、通常のチャネルタンパク、細胞中に浮遊して存在するものについては、活性化に伴う上記ポアの形成、構造変化ならびにタンパク質の部分構造(サブユニット)等が確認できるほとの高解像度のAFM観察はできなかった。
しかしながら、本実施形態においては、図5(a)に示す膜タンパク質の構造が薬剤依存的な構造変化により、図5(b)に示す状態に変化すること、すなわちポア形成及びサブユニット構造のAFM観察に成功した。
ここで、図5(a)及び図5(b)各々のAFM観察の位置は異なるが、薬剤刺激により膜タンパク質の構造が変化、すなわち膜タンパク質が図5(a)の塊状から、図5(b)の複数のサブユニットに分離した形状に変化している様子が観察できた。
タンパク質などの生体分子を直接に観察する技術として電子顕微鏡があるが、電子顕微鏡により得られる画像は、一般的にS(信号)/N(ノイズ)比が悪い。
したがって、本実施形態のように高解像度の画像を得るためには、数千枚から数万枚の画像データを平均化する処理が必要となる。
一方、本実施形態にて示した画像は、一回のスキャンにより、高解像度のものが得られていることが、図5から確認できる。
このように、本実施形態は、タンパク質などの生体分子のAFM観察に対し、非常に有効であることが判る。
<第3の実施形態>
上記第2の実施形態で記載したように、本発明においては従来に比較して非常に高解像度の膜タンパク質のAFM像を得ることができるが、よりS/N比を向上させて高解像度のAFM像を得るためには複数の画像データの平均化処理を行うことが必要である。
図6がAFM像の平均化処理を行った画像データを示しており、図6(a)が図5(a)の膜タンパク質のAFM像の平均化処理をしたものであり、図6(b)が図5(b)の膜タンパク質のAFM像の平均化処理をしたものである。
画像データにおける平均化の処理において、それぞれの画像データ中におけるタンパク質の画像部分を重ね合わせる必要がある。
しかしながら、電子顕微鏡の観察から得られた画像データにおいて、基板上に固定されたタンパク質各々が様々な方向を向いているため、タンパク質の画像が異なった向きとなるので、これらの異なった向きを合わせる必要があり、例えば、ソフトウェアによる画像処理を行うことにより、平均化を行う画像データの各タンパク質の画像全てが特定の同一方向を向くように回転させる。
一方、本実施形態においては、解析対象のタンパク質が無作為に生体分子修飾試料台1表面に固定されているわけではなく、静電的相互作用によって基板に吸着されて固定されている。
そのため、本実施形態において、解析対象のタンパク質の向きが同一方向となるよう制御されるため、固定された各解析対象のタンパク質の向きが揃うこととなり、電子顕微鏡を用いた場合と異なり、解析用装置3は、画像データにおける平均化の処理において画像処理のソフトウェアを用いてタンパク質の向きを合わせる必要がない。
したがって、本実施形態によれば、解析用装置3は、AFM像の画像データにおけるタンパク質の画像の平均化処理を、AFM観察により得られたままの画像データを、データベース4から読み出して、各画像データの対応する画素毎の平均化することにより行う。
すなわち、解析用装置3は、各画像データの画素毎に検出値を加算し、加算した画像データの数により除算する計算を順次行うことにより、タンパク質の画像の平均化処理を行う。
<第4の実施形態>
第1から第2の実施形態にて得られた薬剤刺激等による時間変化におけるAFM像や、その画像データにおける解析対象のタンパク質の画像(タンパク質の構造)の変化あるいは変化量が正しいか否かを判断するために、変化あるいは変化量を定量的に判定する必要がある。
図7にを用いて上述した時間経過によるタンパク質の画像の変化及び変化量を定量的に判定する処理の流れを説明する。図7はタンパク質の画像の変化及び変化量の定量的処理を説明する概念図である。以下の処理は、解析用装置3が行う。
解析用装置3は、分子修飾した生体分子修飾試料台1表面に固定された、図7(a)に示すタンパク質の画像データをデータベース4から読み出し、図7(b)に示すように、枠Wにて囲まれて選択されているタンパク質の画像データからトポグラフィー像を生成する。
このトポグラフィー像は、各検出位置の凹凸の高さを検出強度にて表したものであり、生体分子修飾試料台1表面に、インターフェース分子を介して吸着されている各解析対象のタンパク質毎に生成される。
例えば、解析用装置3は、利用者が上記画像データから解析対象として上記枠Wにて囲んで選択したタンパク質の画像と同様の特徴を有する画像のタンパク質を、画像データから抽出するようにしても良いし、利用者が選択対象を全て自身にて囲んで選択しても良い。
そして、解析用装置3は、上記トポグラフィー像各々から、それぞれのタンパク質の高さ及び幅を求め、図7(c)に示すように、全トポグラフィー像全体における高さと幅とのそれぞれのパラメータについてのヒストグラムを生成する
次に、解析用装置3は、上記ヒストグラム(パラメータ値及びそのパラメータ値を有するタンパク質の数)から、薬剤刺激の無い場合と有る場合とにおいて高さ及び幅それぞれのパラメータの平均値を算出する。
これにより、利用者は解析対象のタンパク質における高さ及び幅それぞれのパラメータ及びその変化量についての全体的な傾向を確認することができる。
また、解析用装置3は、横軸(X軸)を幅、縦軸(Y軸)を高さのパラメータとして、検出された各タンパク質を、対応する幅、高さの位置を座標としてプロット(配置)することにより、図7(d)に示す散布図を、薬剤刺激の無い場合と有る場合とでプロットのマークを異ならせ生成する。利用者はこの散布図からタンパク質のパラメータ及びその変化量についての全体的な傾向を確認することができる。
最終的には、図7(e)に示すコンピュータグラフィック(CG)画像にて、解析対称のタンパク質の構造変化をしめすこととなる。
上述してきたように、上述した本実施形態によれば、解析対象のタンパク質のAFM像,各パラメータの平均的な値、薬剤刺激の無い場合と有る場合におけるその変化量と、解析対象のタンパク質の1分子毎の各パラメータの値及びその変化量とが得られ、それらを総合的に解析することにより、利用者が従来において未知であったタンパク質の構造及び各刺激による構造変化のモデルを推定することができる。
また、本実施形態において、解析対象のタンパク質を、複数の異なる種類のタンパク質として、図8(a)に示すように、同一の生体分子修飾試料台1表面に吸着させて解析を行うようにしても良い。
これにより、各タンパク質の刺激の無い場合と有る場合と画像から、トポグラフィー像を生成することにより、タンパク質の種類毎の刺激に対する反応(構造の変化)を一分子レベル毎に定量的に解析・評価することができる。
また、図8(b)に示すように、種類毎に各タンパク質の幅及び高さのパラメータによる散布図を生成することにより、刺激の無い場合と有る場合とのタンパク質の構造の変化及び変化量の傾向を推定することができる。
本実施形態においては、各タンパク質がインターフェース分子により、それぞれ異なった位置に固定され、他の種類のタンパク質の干渉を抑制することができるため、個々のタンパク質の一分子単位の解析を行うことができる。
従来例においては、上述したような薬剤刺激に対するスクーリーニングにおいては、解析対象のタンパク質を発現する細胞を用いている。
上述したような細胞を用いてタンパク質を発現する実験系においては、実際に解析したいタンパク質以外の種類のタンパク質も発現されている場合が多い。
このため、すでに述べたように従来の場合タンパク質が固定されずに浮遊する可能性も高く、従来例においては他のタンパク質を介した2次的な作用が解析結果に混入してしまう可能性がある。
しかしながら、本実施形態においては、解析に必要な時間、生体分子修飾試料台1表面に十分吸着されて固定されているため、解析対象のタンパク質を同定して、解析対象のタンパク質のみの解析を行うことが可能である。
一方、ビアコア社が販売する表面プラズモン共鳴測定装置を用いた測定においては、多数のタンパク質と他の分子との間の相互作用を有無(反応の有無)を屈折率変化から評価し、多数のタンパク質全体の平均的な評価を行うことができる。
上述したような一種類のタンパク質の他の分子との相互作用を検出するスクリーニング系が存在しているものの、本実施形態のように、直接に一分子単位の構造変化の挙動を観察できる訳ではない。
また、上述したスクリーニング系においては、多数のタンパク質の反応から、全体の平均的な反応を観察するため、本実施形態のように、複数の異なる種類のタンパク質を同時に観察することはできない。
さらに、上述したスクリーニング系においては、解析対象のタンパク質が複数のサブユニットにて構成されている場合、例えば、どのサブユニット構成がどの種類の薬剤刺激に反応するか否かの判定を、複数の種類のタンパク質の混合状態にて判定することは非常に困難である。
上述したように、本実施形態によれば、生体分子修飾試料台1表面にインターフェース分子を介して固定されたタンパク質、すなわち一分子単位の挙動を直接AFM像として捉えることにより、混合状態においてどのサブユニットの組成及び構造が薬剤刺激に反応するかという、従来技術にては判定が困難であった情報を得ることができる。
なお、図1における解析用装置3の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりタンパク質の解析処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
本発明の第1〜第4の実施形態において用いられるタンパク質機能解析装置の構成を示すブロック図である。 本発明における解析対象のタンパク質の解析の流れを説明する概念図である。 本発明における解析対象のタンパク質の解析の流れを説明する概念図である。 インターフェース分子が予め試料台表面に設けられている場合と設けられていない場合とのタンパク質の試料台への固定状態を説明するAFM像である。 本実施形態の生体分子修飾試料台1に吸着された解析対象のタンパク質の薬剤依存性を説明するAFM像である。 図5におけるAFM像の平均化処理を行った画像データである。 解析対象のタンパク質の画像の変化及び変化量を定量的に解析する流れを説明する概念図である。 複数の異なる種類のタンパク質の画像の変化及び変化量を定量的に解析する流れを説明する概念図である。
符号の説明
1…生体分子修飾試料台
2…走査プローブ顕微鏡装置
3…解析用装置
4…データベース

Claims (4)

  1. 測定対象である測定対象タンパク質の高さ、幅、部分構造間の距離を含む構造情報を、溶液内にて解析するタンパク質機能解析装置であり、
    静電的相互作用にて、前記測定対象タンパク質と形状が異なるインターフェース分子により、表面が分子修飾された基板と、
    前記構造情報を前記溶液内において測定する走査プローブ測定装置と
    を有し、
    前記インターフェース分子に対し、静電的相互作用により前記測定対象タンパク質を結合させ、
    前記走査プローブ測定装置が測定した前記測定対象タンパク質の像の画像データにおいて、前記測定対象タンパク質各々に対する刺激の有無によるトポグラフィー像を生成し、それぞれのトポグラフィー像から対応する前記測定対象タンパク質の高さ及び幅を求め、測定対象タンパク質毎の刺激の有無による高さ及び幅のパラメータによる散布図を生成する解析装置を有することを特徴とするタンパク質機能解析装置。
  2. 前記走査プローブ測定装置が異なる種類の測定対象タンパク質を同一基板に対し、前記インターフェス分子を介して結合させ、当該異なる種類の測定対象タンパク質毎に前記構造情報を測定することを特徴とする請求項1記載のタンパク質機能解析装置。
  3. 前記溶液のpHをインターフェース分子の等電点より低く、かつ測定対象タンパク質の等電点より高く設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタンパク質機能解析装置。
  4. 前記インターフェース分子として、ポリ−D−リジンを用いることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のタンパク質機能解析装置。
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