JP4998431B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
例えば、筒内直噴式ガソリンエンジンにおいては、インジェクタから噴射されたエマルジョン燃料が燃焼室を形成するピストンやシリンダの壁面に到達する前にマイクロ波を照射し、燃料を微粒化して燃焼させることにより、燃料の壁面への付着を防止することができる。燃料が壁面に付着しなければ、噴射された燃料が高効率に燃焼に供されるので、燃費の向上につながる。また、壁面に付着した燃料が壁面の熱によって分解されることによって生じる大気汚染物質である炭化水素(以下、「HC」という。)の発生を抑制することができ、HCの排出を低減可能である。
請求項5に記載の燃料噴射装置は、燃焼室の温度を測定可能な温度測定手段を有している。温度測定手段は、燃焼室の温度を直接測定するように構成してもよいし、例えば排ガス温度を測定することにより間接的に測定するように構成してもよい。
請求項8に記載の燃料噴射装置は、エマルジョン燃料の燃焼に伴い、燃焼室から排出される排ガス中の炭化水素濃度を測定可能な炭化水素濃度測定手段を有している。マイクロ波照射制御手段は、炭化水素濃度測定手段により測定される排ガス中の炭化水素濃度に応じて、照射されるマイクロ波の照射期間及び照射出力の少なくとも一方が可変となるようにマイクロ波照射手段を制御する。排ガス中の炭化水素濃度に応じてマイクロ波照射量をフィードバック制御することにより、適切にマイクロ波を照射することができる。これにより、燃料の微粒化が促進され、壁面への燃料の付着が防止されるので、排ガス中のHC濃度を低減することができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による燃料噴射装置を図1に示す。燃料噴射装置1は、車両に搭載された筒内直噴式の4気筒のガソリンエンジンに適用される。なお、図1では1つの気筒についてのみを示し、他の気筒については省略した。燃料噴射装置1は、内燃機関としてのエンジン10に燃料を噴射するための装置であり、インジェクタ30、マイクロ波照射手段としてのマイクロ波発生装置40、電子制御装置(以下、「ECU」という。)50等を具備している。
インジェクタ30は、シリンダヘッド12に設けられ、エマルジョン燃料を燃焼室19内に直接噴射する。具体的には、インジェクタ30は、インジェクタ30の先端付近に形成された図示しない噴孔からピストン13の頂面に形成されるキャビティ14に向けてエマルジョン燃料を噴射する。
S102では、ECU50により算出されたエマルジョン燃料の噴射量Tqを取得する。
S103では、S102で取得されたエマルジョン燃料の噴射量Tqが所定量QLより大きいか否かを判断する。エマルジョン燃料の噴射量Tqが所定量QLより小さい場合(S103:NO)、マイクロ波照射を行わず、本処理を終了する。すなわち、エマルジョン燃料の噴射量Tqが所定量QL以下の場合、マイクロ波を照射しなくても燃料が壁面に到達しないと推察されるので、マイクロ波照射を行わないものとする。一方、エマルジョン燃料の噴射量Tqが所定量QLより大きい場合(S103:YES)、S104へ移行する。
なお、S100〜S105が、「マイクロ波照射制御手段」の機能としての処理に相当する。
インジェクタ30から噴射されるエマルジョン燃料の噴射量がQL以下の場合、マイクロ波発生装置40からマイクロ波の照射を行わない(図4中のS103:NO)。
インジェクタ30から噴射されるエマルジョン燃料の噴射量がQLより大きい場合、図5に示す対応関係でエマルジョン燃料の噴射量に基づいてマイクロ波照射期間を決定する。
クランク角A1において、インジェクタ30からのエマルジョン燃料の噴射が開始される(図4中のS100:YES)。すると、ECU50では、時間T0の経時が開始される(図4中のS101)。エマルジョン燃料の噴射開始からの時間T0が所定時間T1を超えたとき(図4中のS104:YES)、照射出力をR1とし、照射期間をT2として、マイクロ波が照射される(図4中のS105)。エマルジョン燃料にマイクロ波が照射されると、ガソリンに内包されている水が励起し、昇温し、蒸発する。これにより、周囲のガソリンが微粒化される。
本発明の第2実施形態による燃料噴射装置を図7に示す。燃料噴射装置5は、車両に搭載された4気筒のコモンレール式ディーゼルエンジンに適用される。なお、図7では、1つの気筒についてのみを示し、他の気筒については省略した。燃料噴射装置5は、内燃機関としてのエンジン510に燃料を噴射するための装置であり、インジェクタ530、マイクロ波照射手段としてのマイクロ波発生装置540、ECU550等を具備している。
S201では、S200で取得された燃焼室519の温度が所定温度より小さいか否かを判断する。なお、本実施形態において、所定温度は400Kであるものとする。燃焼室519の温度が所定温度以上の場合(S201:NO)、マイクロ波を照射しなくてもエマルジョン燃料中の水が蒸発可能であると考えられるため、マイクロ波照射を行わず、本処理を終了する。燃焼室519の温度が所定温度より小さい場合(S201:YES)、S202へ移行する。
S203では、インジェクタ530からエマルジョン燃料の噴射開始からの時間T5の計時を開始する。
S205では、S204で取得されたエマルジョン燃料の噴射量Tq5が、所定量QL5より大きいか否かを判断する。エマルジョン燃料の噴射量Tq5が所定量QL5以下の場合(S205:NO)、マイクロ波照射を行わず、本処理を終了する。エマルジョン燃料の噴射量Tq5が所定量QL5以上である場合(S205:YES)、S206へ移行する。
なお、S200〜S207が、「マイクロ波照射制御手段」の機能としての処理に相当する。
インジェクタ530から照射されるエマルジョン燃料の噴射量がQL5以下の場合には、マイクロ波発生装置540からマイクロ波の照射を行わない(図9中のS205:NO)。
インジェクタ530から照射されるエマルジョン燃料の噴射量がQL5より大きい場合、図10に示す対応関係でエマルジョン燃料の噴射量に基づいてマイクロ波照射期間を決定する。
燃焼室519の温度が400K以上である場合、マイクロ波発生装置540からマイクロ波の照射を行わない(図9中のS201:NO)。
燃焼室519の温度が400K未満である場合、図11に示す対応関係で、燃焼室519の温度に基づいてマイクロ波照射出力を決定する。
クランク角A3において、インジェクタ530からエマルジョン燃料の噴射が開始される(図9中のS202:YES)、すると、ECU550では、時間T5の計時が開始される(図9中のS203)。エマルジョン燃料の噴射開始からの時間T5が、所定時間T6を超えたとき(図9中のS206:YES)、照射出力をR2とし、照射期間をT7として、マイクロ波が照射される。エマルジョン燃料にマイクロ波が照射されると、軽油に内包されている水が励起し、昇温し、蒸発する。これにより、周囲の軽油が微粒化される。
これにより、燃焼室519の温度に基づいて、適切にマイクロ波を照射し、軽油を微粒化することができる。特に、エンジン始動時などの燃焼室の温度が低い場合における燃料の微粒化を促進することができる。
上記実施形態では、マイクロ波発生装置としてマグネトロンを用いたが、他の実施形態では、水を励起可能なマイクロ波を発生可能な装置であればどのようなものであってもよく、クライストロン、ジャイロトロンなどが例示される。
上記実施形態では、エマルジョン燃料は予めエマルジョン化されたものを用いたが、他の実施形態では、燃料と水とを別々に搭載し、車上でエマルジョン化するように構成してもよい。また、燃料としては、ガソリンや軽油だけでなく、ジメチルエーテルなどの他の燃料を用いてもよい。
Claims (8)
- 内燃機関の燃焼室にエマルジョン燃料を噴射するインジェクタと、
前記内燃機関の運転状態に応じて前記インジェクタから噴射されるエマルジョン燃料の噴射量及び噴射時期を含む噴射情報を算出し、当該噴射情報に基づき前記インジェクタを制御する噴射制御手段と、
前記インジェクタから噴射されるエマルジョン燃料にマイクロ波を照射可能なマイクロ波照射手段と、
前記噴射制御手段により算出される前記噴射情報に基づき、前記インジェクタから噴射されるエマルジョン燃料にマイクロ波を照射するように前記マイクロ波照射手段を制御するマイクロ波照射制御手段と、
を備えることを特徴とする燃料噴射装置。 - 前記マイクロ波照射制御手段は、
前記インジェクタからエマルジョン燃料の噴射が開始されてから所定時間経過後にマイクロ波が照射されるように前記マイクロ波照射手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。 - 前記マイクロ波照射制御手段は、
前記噴射制御手段により算出されるエマルジョン燃料の噴射量に基づいて、照射されるマイクロ波の照射期間及び照射出力の少なくとも一方が可変となるようにマイクロ波照射手段を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料噴射装置。 - 前記マイクロ波照射制御手段は、
前記噴射制御手段により算出されるエマルジョン燃料の噴射量が所定量以上であるとき、前記マイクロ波照射手段からマイクロ波を照射するように前記マイクロ波照射手段を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。 - 前記燃焼室の温度を測定可能な温度測定手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
- 前記マイクロ波照射制御手段は、
前記温度測定手段により測定される前記燃焼室の温度に基づいて、照射されるマイクロ波の照射期間及び照射出力の少なくとも一方が可変となるように前記マイクロ波照射手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の燃料噴射装置。 - 前記マイクロ波照射制御手段は、
前記温度測定手段により測定される前記燃焼室の温度が所定温度以下であるとき、前記マイクロ波照射手段からマイクロ波を照射するように前記マイクロ波照射手段を制御することを特徴とする請求項5または6に記載の燃料噴射装置。 - エマルジョン燃料の燃焼に伴い、前記燃焼室から排出される排ガス中の炭化水素濃度を測定可能な炭化水素濃度測定手段を有し、
前記マイクロ波照射制御手段は、
前記炭化水素濃度測定手段により測定される排ガス中の炭化水素濃度に応じて、照射されるマイクロ波の照射期間及び照射出力の少なくとも一方が可変となるように前記マイクロ波照射手段を制御することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
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