JP4997552B2 - 酸化チタン粒子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、10面体の箱型形状を有する酸化チタン粒子の製造方法に関する。
近年、10面体の箱型形状を有し、主としてアナターゼ型結晶からなる酸化チタン粒子(以下、「10面体酸化チタン粒子」と称する。)とその製造方法が報告されている(特許文献1,2及び非特許文献1を参照)。また、これらの報告には、10面体酸化チタン粒子が光触媒として高い活性を有していることも報告されている。
上記文献で報告されている10面体酸化チタン粒子の製造方法は、四塩化チタンと酸素を含むガスを、ある条件の下で、急加熱し、急冷却する方法である。しかしながら、この方法で得られる10面体酸化チタン粒子は、粒子径が100nm以上のものがほとんどである。したがって、従来の製造方法では、粒子径が100nm以下の10面体酸化チタン粒子を選択的に得ることは困難であり、10面体の箱型形状を有したまま、粒子径を小さくすることが課題となっている。
一方、微粒子酸化チタンを得る方法として、四塩化チタンを気相で酸化する際に、酸化性ガスとして酸素と水蒸気を使用する方法が知られている(特許文献3を参照)。
国際公開04/063431号パンフレット 特開2006−52099号公報 特許第3656355号公報 草野・寺田・阿部・大谷、第98回触媒討論会(平成18年9月)討論会A予稿集、234頁
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、その目的は、小粒径の10面体酸化チタン粒子を選択的に効率よく製造することができる酸化チタン粒子の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、四塩化チタンを気相で高温にて酸化する際に、急加熱、急冷却する方法と、酸化性ガスとして酸素と水蒸気を使用する方法を併用したある特定の条件の下で、粒子径が100nm以下の10面体酸化チタン粒子が選択的に得られることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の手段を提供する。
[1] 四塩化チタン蒸気を含むガスと、水蒸気を含む酸化性ガスとを接触させることによって、10面体の箱型形状を有し、粒子径が1nm〜100nmの範囲にある10面体酸化チタン粒子を選択的に製造する酸化チタン粒子の製造方法であって、それぞれ500℃以上に予熱された四塩化チタン蒸気を含むガスと水蒸気を含む酸化性ガスとが混合され、800℃以上に加熱された領域へと送られる工程を含み、
前記四塩化チタン蒸気を含むガスが、四塩化チタン蒸気と酸素を含む混合ガスであって、この四塩化チタン蒸気を含むガス中の四塩化チタン濃度が3〜40体積%、且つ、この四塩化チタン蒸気を含むガス中の(酸素(O 換算)の物質量[mol])/(四塩化チタンの物質量[mol])の比が0.1〜7であり、
前記水蒸気を含む酸化性ガスが、水蒸気と酸素の混合ガスであって、この水蒸気を含む酸化性ガス中の水蒸気の濃度が10〜80体積%、且つ、この水蒸気を含む酸化性ガス中の(酸素(O 換算)の物質量[mol])/(水蒸気の物質量[mol])の比が0.1〜5であり、
なお且つ、前記四塩化チタン蒸気を含むガスと前記水蒸気を含むガスを併せたガスの組成が、四塩化チタン:酸素:水蒸気=1:0.5〜13:0.3〜5(体積比)であり、
前記水蒸気を含む酸化性ガスの量を、前記四塩化チタン蒸気を含むガスの量に対して、体積比で、0.5〜5倍とし、
前記800℃以上に加熱された領域におけるガスの滞留時間を300ミリ秒以下とすることを特徴とする酸化チタン粒子の製造方法。
前記滞留時間が100ミリ秒以下である請求項に記載の酸化チタン粒子の製造方法。
] 更に、前記四塩化チタン蒸気を含むガスと前記水蒸気を含むガスを併せたガスの組成が、四塩化チタン:酸素:水蒸気=1:1〜6:0.3〜3(体積比)である請求項1又は2に記載の酸化チタン粒子の製造方法。
以上のように、本発明に係る酸化チタン粒子の製造方法では、四塩化チタンを気相で高温にて酸化する際に、急加熱、急冷却する方法と、酸化性ガスとして酸素と水蒸気を使用する方法を併用した上記本発明の条件の下で、粒子径が1nm〜100nmの範囲にある10面体酸化チタン粒子を選択的に効率よく製造することが可能である。また、得られた小粒径の酸化チタン粒子は、光触媒材料として好適である。したがって、本発明によれば、このような光触媒材料として好適な10面体酸化チタン粒子を工業的に製造することが可能である。
以下、本発明を適用した酸化チタン粒子の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明を適用した酸化チタン粒子の製造方法は、四塩化チタン蒸気を含むガスと、水蒸気を含む酸化性ガスとを接触させることによって、10面体の箱型形状を有し、粒子径が1nm〜100nmの範囲にある10面体酸化チタン粒子を選択的に製造する酸化チタン粒子の製造方法であって、それぞれ500℃以上に予熱された四塩化チタン蒸気を含むガスと水蒸気を含む酸化性ガスとが混合され、800℃以上に加熱された領域へと送られる工程を含むことを特徴とする。
具体的に、本発明における「10面体酸化チタン粒子」とは、上述した特許文献1に定義されている酸化チタン粒子と同様に、10面体の箱型形状を有する酸化チタン粒子のことを意味する。
また、本発明における「10面体酸化チタン粒子を選択的に製造する」とは、得られた酸化チタン粉末を任意にサンプリングし、電子顕微鏡にて観察した際に、任意の視野において観察される酸化チタン粒子の少なくとも80%以上が、上記条件に該当することを意味する。
本発明における「水蒸気を含む酸化性ガス」とは、水蒸気を含み、四塩化チタン蒸気と高温で接触した際に、酸化チタンを生成させるガスのことを意味する。本発明では、そのような水蒸気を含む酸化性ガスとして、少なくとも酸素と水蒸気の2成分を含むガスを使用する。具体的に、水蒸気を含む酸化性ガスとしては、酸素(O)と水蒸気を含むガス、又は、オゾン(O)と水蒸気を含むガスなどを用いることができる。また、水蒸気を含む酸化性ガスは、これらのガスを混合したものであったもよく、これらのガスが不活性ガスによって希釈されたものであってもよい。したがって、水蒸気を含む酸化性ガスとしては、水蒸気と酸素の混合ガス、水蒸気と不活性ガスの混合ガス、水蒸気と酸素と不活性ガスの混合ガスなどを用いることができ、さらに、酸素と不活性ガスの混合ガスとして、空気を用いてもよい。
一方、本発明では、四塩化チタン蒸気を含むガスとして、例えば、四塩化チタン蒸気と不活性ガスの混合ガス、四塩化チタン蒸気と酸素の混合ガス、四塩化チタン蒸気と酸素と不活性ガスの混合ガスなどを用いることができる。また、酸素と不活性ガスの混合ガスとして、空気を用いてもよい。
本発明では、四塩化チタン蒸気を含むガスが、予熱工程にて酸化チタンを生成させないことが重要である。ここで、上述した四塩化チタン蒸気を含むガスのうち、四塩化チタン蒸気と不活性ガスのみを混合したガスは、800℃以上に加熱された領域に送られた際に四塩化チタン蒸気と酸素との混合が不十分となり、10面体形状を選択的に得ることが困難となる。したがって、本発明では、四塩化チタン蒸気を含むガスとして、四塩化チタン蒸気と酸素の混合ガス、又は、四塩化チタン蒸気と酸素と不活性ガスの混合ガスの何れかを用いることが好ましい。
本発明において、四塩化チタン蒸気を含むガスと水蒸気を含む酸化性ガスは、接触すると直ちに反応する。したがって、10面体酸化チタン粒子を選択的に得るためには、接触する際の温度が重要である。具体的には、四塩化チタン蒸気と水蒸気を含む酸化性ガスは、接触する前に、それぞれ500℃以上に予熱されていることが望ましい。一方、500℃未満で予熱すると、四塩化チタン蒸気を含むガスと水蒸気を含むガスが接触した際に、良好な10面体酸化チタン粒子が得られない。
本発明では、四塩化チタン蒸気を含むガスと水蒸気を含むガスが接触した後、これらのガスが直ちに800℃以上に加熱された領域に送り込まれることが好ましい。また、800℃以上に加熱された領域内におけるガスの滞留時間は、300ミリ秒以下であることが好ましく、さらに好ましくは、100ミリ秒以下である。一方、ガスの滞留時間が300ミリ秒を超えると、得られる酸化チタン粒子の粒子径が大きくなり、ルチル型結晶も多くなるため、良好な10面体酸化チタン粒子が得られなくなる。
本発明では、四塩化チタン蒸気を含むガス中の四塩化チタン濃度が、3〜40体積%であることが好ましい。四塩化チタン濃度が3体積%未満になると、10面体酸化チタン粒子の割合が少なくなる。一方、四塩化チタン濃度が40体積%を超えると、酸化チタン粒子の粒子径が大きくなる。したがって、四塩化チタン蒸気を含むガス中の四塩化チタン濃度は、3〜40体積%の範囲であることが好ましく、より好ましくは15〜30体積%の範囲である。
本発明では、四塩化チタン蒸気を含むガス中の(酸素(O換算)の物質量[mol])/(四塩化チタンの物質量[mol])の比が、0.1〜7であることが好ましい。この値が0.1未満になると、10面体酸化チタン粒子の割合が少なくなる。一方、この値が7を超えると、酸化チタン粒子の粒子径が大きくなる。したがって、四塩化チタン蒸気を含むガス中の(酸素(O換算)の物質量[mol])/(四塩化チタンの物質量[mol])の比は、0.1〜7の範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜5の範囲である。
本発明では、水蒸気を含む酸化性ガス中の水蒸気の濃度が、10〜80体積%であることが好ましい。水蒸気の濃度が10体積%未満になると、酸化チタン粒子の粒子径が大きくなる。一方、水蒸気の濃度が80体積%を超えると、10面体酸化チタン粒子の割合が少なくなる。したがって、水蒸気を含む酸化性ガス中の水蒸気の濃度が、10〜80体積%の範囲であることが好ましく、より好ましくは15〜40体積%の範囲である。
本発明では、水蒸気を含む酸化性ガス中の(酸素(O換算)の物質量[mol])/(水蒸気の物質量[mol])の比が、0.1〜5であることが好ましい。この値が0.1未満になると、10面体酸化チタン粒子の割合が少なくなる。一方、この値が5を超えると、10面体酸化チタン粒子の割合が少なくなる。したがって、水蒸気を含む酸化性ガス中の(酸素(O換算)の物質量[mol])/(水蒸気の物質量[mol])の比は、0.1〜5の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3の範囲である。
本発明では、水蒸気を含む酸化性ガスの量が、四塩化チタン蒸気を含むガスの量に対して、体積比で、0.5〜5倍であることが好ましい。この体積比が0.5倍未満になると、酸化チタン粒子の粒子径が大きくなる。一方、この体積比が5倍を超えると、10面体酸化チタン粒子の割合が少なくなる。したがって、水蒸気を含む酸化性ガスの量が、四塩化チタン蒸気を含むガスの量に対して、体積比で、0.5〜5倍の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.8〜2の範囲である。
本発明では、四塩化チタン蒸気を含むガスと水蒸気を含むガスを併せたガスの組成が、四塩化チタン:酸素:水蒸気=1:0.5〜13:0.3〜5(体積比)の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、四塩化チタン:酸素:水蒸気=1:1〜6:0.5〜3(体積比)の範囲である。
上記ガス組成に関する条件については、これらの範囲を外れると、10面体酸化チタン粒子が選択的に得られない。この原因については不明であるが、四塩化チタンが水蒸気によって加水分解される際の濃度及び速度、並びに、それに続く未反応四塩化チタンと酸素の反応速度、反応ゾーンでの滞留時間などが関与して、限定された好適条件を作り出しているものと推定される。
以上のように、本発明を適用した酸化チタン粒子の製造方法では、四塩化チタンを気相で高温にて酸化する際に、急加熱、急冷却する方法と、酸化性ガスとして酸素と水蒸気を使用する方法を併用した上記本発明の条件の下で、粒子径が1nm〜100nmの範囲にある10面体酸化チタン粒子を選択的に効率よく製造することが可能である。また、得られた小粒径の酸化チタン粒子は、光触媒材料として好適である。したがって、本発明によれば、このような光触媒材料として好適な10面体酸化チタン粒子を工業的に製造することが可能である。
次に、本発明を適用した酸化チタン粒子の製造方法に用いられる反応装置の一例を図1に示す。
この反応装置は、図1に示すように、四塩化チタン蒸気を含むガスと水蒸気を含む酸化性ガスとを反応させるための反応管1と、この反応管1の一部(加熱部1aという。)を局所的に加熱するための赤外線電気炉2と、反応管1内で生成された酸化チタンの粉末を回収するための生成物回収部3とを備えている。
具体的に、反応管1には、例えば石英などからなる円筒管を用いている。また、反応管1には、水蒸気を含む酸化性ガスを導入するための導入管4が一端側(上流側)に接続されていると共に、四塩化チタン蒸気を含むガスを導入するための導入管5が一端側(上流側)から内部に挿入されている。
導入管4の上流側には、例えば水と酸素(O)及び窒素が導入される導入口4aと、この導入口4aから導入された水を気化する気化器6とが設けられている。そして、水蒸気を含む酸化性ガスは、導入口4aから水と酸素(O)及び窒素を導入し、気化器6を通過することによって、水蒸気と酸素(O)及び窒素の混合ガスとなって、導入管4から反応管1へと導入される。
導入管5の上流側には、例えば四塩化チタン(TiCl)が導入される導入口5bと、例えば酸素(O)が導入される導入口5bと、導入口5aから導入された四塩化チタン(TiCl)を気化する気化器7とが設けられている。そして、四塩化チタン蒸気を含むガスは、導入口5aから酸素(O)、導入口5bから四塩化チタン(TiCl)を導入し、これらが気化器6を通過することによって、四塩化チタン蒸気と酸素(O)の混合ガスとなって、導入管5から反応管1へと導入される。
また、導入管5の先端は、反応管1内の赤外線電気炉2から赤外線が照射される部分に位置している。一方、反応管1の他端側(下流側)からは、バッフル8が挿入されている。バッフル8は、反応管1内に導入されたガスを高温となる反応管1の外周側へと導くものであり、例えば石英管の先端を尖った形状に閉塞させたものからなる。また、バッフル8の先端は、反応管1内で導入管5の先端と対向しており、この部分が反応管1の加熱部1aを形成している。なお、バッフル8は、後述する反応ゾーンBにおけるガスの滞留時間を短くすることにも寄与している。
反応管1の加熱部1aには、白金板が巻き付けられている。加熱部1aは、この白金板と赤外線電気炉2との組み合わせによって、急加熱、急冷却を可能としている。すなわち、赤外線電気炉2から照射される赤外線を白金板が吸収して発熱することにより、白金と接触している部分のみが局所的に加熱される。これにより、加熱部1aを1200℃程度まで加熱することが可能である。なお、加熱部1aの温度は、赤外線電気炉2による赤外線照射を温度制御器(図示せず。)が制御することによって、任意に設定することが可能である。
また、白金板が巻き付けられた加熱部1aのうち、導入管5の先端までが四塩化チタン蒸気を含むガスと水蒸気を含む酸化性ガスとが予熱される部分(予熱ゾーンAという。)であり、ここから先が四塩化チタンを気相で高温にて酸化する部分(反応ゾーンBという。)である。
生成物回収部3は、バグフィルターなどからなり、反応管1の他端側(下流側)に接続された排出管9を通して反応管1内で生成された酸化チタンの粉末を回収する。なお、生成物回収部3では、排出管9が閉塞しないように、下流からポンプ(図示せず。)にて吸引する構成とすることが好ましい。
以上のような構成を有する反応装置では、上述した四塩化チタン蒸気を含むガスと水蒸気を含む酸化性ガスとが、それぞれ予熱ゾーンAにて500℃以上に予熱された後に、導入管5の先端から出た水蒸気を含む酸化性ガスと四塩化チタン蒸気を含むガスとが混合されて、800℃以上に加熱された反応ゾーンBへと送り込まれる。反応ゾーンBに送り込まれた四塩化チタン蒸気を含むガスと水蒸気を含む酸化性ガスは、反応ゾーンBにて接触すると直ちに反応し、この反応ガスの滞留時間が300ミリ秒以下となる範囲で反応ゾーンBを通過する。そして、反応ゾーンBを通過したガスは、直ちに冷却されて、生成物回収部3へと送られる。
このような反応装置を用いた場合には、四塩化チタンを気相で高温にて酸化する際に、急加熱、急冷却する方法と、酸化性ガスとして酸素と水蒸気を使用する方法を併用することができるため、上述した本発明の条件の下で、10面体の箱型形状を有し、粒子径が1nm〜100nmの範囲にある10面体酸化チタン粒子を選択的に効率よく製造することができる。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
実施例1では、上述した図1に示す反応装置を用いて、以下の条件の下で実際に酸化チタンの粉末を製造した。
すなわち、実施例1では、反応管1の加熱部1aに白金板を10cmほど巻きつけ、この部分(加熱部1a)に赤外線加熱炉2からの赤外線が当たるようにして、赤外線加熱炉2を温度制御器で制御しながら、白金板の表面温度が1200℃になるようにした。
反応管1には、内径21.4mmの石英管を使用し、バッフル8には、外径12.7mmの石英管を使用し、その先端を約30°の尖った形状に閉塞させた。また、加熱部1aの断面積は、2.3cmである。
四塩化チタン蒸気を含むガスを導入する導入管5の先端は、白金板を巻き付けた加熱部1a(10cm)の上流側から6cmの位置に配置し、ここまでを予熱ゾーンAとし、ここから先を高熱の反応ゾーンB(4cm)とした。
水蒸気を含む酸化性ガスには、水蒸気と酸素(O)及び窒素の混合ガスを用い、水及び酸素と窒素の混合ガスを導入口4aから導入し、気化器6を通過させた後、導入管5の先端から反応管1へと導入した。また、気化器6を通過した後の混合ガスの組成は、水蒸気:酸素:窒素=20:20:60(体積比)とし、流量が合計で600NmL/minとなるように混合ガスを導入した。
四塩化チタン蒸気を含むガスには、四塩化チタン蒸気と酸素(O)の混合ガスを用い、TiClを導入口5aから導入し、酸素(O)を導入口5bから導入し、気化器7を通過させた後、導入管4の先端から反応管1へと導入した。また、気化器6を通過した後の混合ガスの組成は、四塩化チタン:酸素=20:80(体積比)とし、流量が合計で600NmL/minとなるように混合ガスを導入した。
また、全反応ガスの組成は、四塩化チタン:酸素:水蒸気=1:5:1とし、反応ゾーンBにおける反応ガスの滞留時間は、約50ミリ秒とした。
(比較例1)
比較例1では、実施例1の水蒸気を含む酸化性ガスの代わりに、水蒸気を含まない酸化性ガス、すなわち酸素と窒素の混合ガスを導入口4aから導入した以外は、実施例1と同様の条件下で酸化チタンの粉末を製造した。
(比較例2)
比較例2では、実施例1の水蒸気を含む酸化性ガスを導入管5から導入せずに、四塩化チタン蒸気と酸素(O)の混合ガス(四塩化チタン濃度が6%)のみを導入管4からゆっくり(300NmL/min)導入した以外は、実施例1と同様の条件下で酸化チタンの粉末を製造した。
そして、これら実施例1、比較例1及び比較例2で得られた酸化チタン粉末を電子顕微鏡で観察した。以下、実施例1、比較例1及び比較例2の各製造条件と、得られた酸化チタン粒子の観察結果をまとめたものを表1に示す。なお、酸化チタン粉末は、任意にサンプリングした3箇所の粉末を取り、それぞれ走査型電子顕微鏡の試料室に導入し、5箇所以上の視野にて観察した。
Figure 0004997552
表1に示すように、実施例1で得られた酸化チタン粉末は、粒子径が50〜90nmの範囲にある10面体酸化チタン粒子であった。
一方、比較例1で得られた酸化チタン粉末は、10面体酸化チタン粒子ではなく、粒子径も30〜200nmの範囲で広い分布を示した。
また、比較例2で得られた酸化チタン粉末は、10面体酸化チタン粒子であったが、粒子径が70〜150nmの範囲で広い分布を示し、粒子径が大きいものが含まれていた。
以上のように、本発明によれば、10面体の箱型形状を有し、粒子径が1nm〜100nmの範囲にある10面体酸化チタン粒子を選択的に効率よく製造することが可能である。
図1は、本発明を適用した酸化チタン粒子の製造に用いられる反応装置の一例を示すブロック図である。
符号の説明
1…反応管 1a…加熱部 2…赤外線電気炉 3…生成物回収部 4,5…導入管 6,7…気化器 8…バッフル 9…排出管

Claims (3)

  1. 四塩化チタン蒸気を含むガスと、水蒸気を含む酸化性ガスとを接触させることによって、10面体の箱型形状を有し、粒子径が1nm〜100nmの範囲にある10面体酸化チタン粒子を選択的に製造する酸化チタン粒子の製造方法であって、それぞれ500℃以上に予熱された四塩化チタン蒸気を含むガスと水蒸気を含む酸化性ガスとが混合され、800℃以上に加熱された領域へと送られる工程を含み、
    前記四塩化チタン蒸気を含むガスが、四塩化チタン蒸気と酸素を含む混合ガスであって、この四塩化チタン蒸気を含むガス中の四塩化チタン濃度が3〜40体積%、且つ、この四塩化チタン蒸気を含むガス中の(酸素(O 換算)の物質量[mol])/(四塩化チタンの物質量[mol])の比が0.1〜7であり、
    前記水蒸気を含む酸化性ガスが、水蒸気と酸素の混合ガスであって、この水蒸気を含む酸化性ガス中の水蒸気の濃度が10〜80体積%、且つ、この水蒸気を含む酸化性ガス中の(酸素(O 換算)の物質量[mol])/(水蒸気の物質量[mol])の比が0.1〜5であり、
    なお且つ、前記四塩化チタン蒸気を含むガスと前記水蒸気を含むガスを併せたガスの組成が、四塩化チタン:酸素:水蒸気=1:0.5〜13:0.3〜5(体積比)であり、
    前記水蒸気を含む酸化性ガスの量を、前記四塩化チタン蒸気を含むガスの量に対して、体積比で、0.5〜5倍とし、
    前記800℃以上に加熱された領域におけるガスの滞留時間を300ミリ秒以下とすることを特徴とする酸化チタン粒子の製造方法。
  2. 前記滞留時間が100ミリ秒以下である請求項に記載の酸化チタン粒子の製造方法。
  3. 更に、前記四塩化チタン蒸気を含むガスと前記水蒸気を含むガスを併せたガスの組成が、四塩化チタン:酸素:水蒸気=1:1〜6:0.3〜3(体積比)である請求項1又は2に記載の酸化チタン粒子の製造方法。
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