JP4995858B2 - 荷電粒子線装置の光軸調整方法 - Google Patents
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Description
M×(P1-P1’)+(P2-P2’)=0 …(1)
となる光軸の条件が、軸外色収差を打ち消す条件(収差補正条件)になる。
Ex=(Iobj×Nobj)/√Vi …(2)
で表される。いま、ビームのエネルギーをViからVi+ΔVに変化させたとすると、レンズの強さ(Ex)は、次のように変化する。
ここで、ΔExは、式(2)の関係から次式で表される。
励磁電流をIobjからIobj+ΔIobjに変化させて式(4)と同じ変化ΔExを作るには、励磁電流の変化量ΔIobjを
ΔIobj=-0.5×Iobj×(ΔV/Vi) …(5)
とすればよい。
ΔIc=-0.5×Ic×(ΔV/Vi) …(6)
とすれば、コンデンサレンズにおいて、ビームエネルギーをViからVi+ΔVに変化させたのと同じ励磁変化を作ることができる。
Δw=A×(C+D×WAL) …(7)
図1は、本発明の一例である走査電子顕微鏡の概略構成図である。陰極1と第一陽極2の間には、コンピュータ40で制御される高圧制御電源20により電圧が印加され、所定のエミッション電流で一次電子線4が陰極1から引き出される。陰極1と第二陽極3の間には、コンピュータ40で制御される高圧制御電源20により加速電圧が印加され、陰極1から放出された一次電子線4が加速されて後段のレンズ系に進行する。一次電子線4は、レンズ制御電源21で制御された集束レンズ5で集束され、絞り板8で一次電子線の不要な領域が除去された後に、レンズ制御電源22で制御された集束レンズ6、及び対物レンズ制御電源23で制御された対物レンズ7により、試料10に微小スポットとして集束される。対物レンズ7は、インレンズ方式、アウトレンズ方式、及びシュノーケル方式(セミインレンズ方式)など、種々の形態をとることができる。また、試料に負の電圧を印加して一次電子線を減速させるリターディング方式も可能である。さらに、各々のレンズは、複数の電極で構成される静電型レンズで構成してもよい。
図1の構成を有する走査電子顕微鏡により、ビーム傾斜時に発生する軸外色収差を補正するための実施例について、その主要部分を抜粋した図4を用いて以下に詳細に説明する。
(ΔIc/Ic)=(ΔIobj/Iobj) …(8)
(ΔIc/Ic)=k・(ΔIobj/Iobj) …(9)
を用いる。ここで、kは対物レンズ領域と集束レンズ領域におけるビームエネルギーの違いに依存する係数であり、予め計算や実験で決めることができる。
本実施例では、図1の構成を有する走査電子顕微鏡により、ビーム傾斜時に発生する軸外色収差を補正するための光軸条件を自動で調整する実施例について、図4及び図5を用いて詳細に説明する。
この処理では、式(9)に基づいて集束レンズと対物レンズの電流変化量(ΔIc,ΔIobj)を計算する。
(ii) S2〜S4
レンズ電流を変化させて取得した2枚の画像から、視野ずれ量(W1)を検出する。
アライナー(偏向コイル51)に予め定めた変化量A0を加えて、アライナー制御値を変化させる。
(iv) S6〜S7
S2〜S4の処理を繰り返して、制御値変更後のアライナーに対する2枚の画像の視野ずれ量(W2)を検出する。
視野ずれ量W1、W2からアライナーの最適制御値を計算する。この計算は式(7)に基づいて行うことができる。すなわち、WAL=A0のときの視野ずれ量W1より、
W1=A×(C+D×A0) …(10)
の関係が得られる。次に、WAL=A0+ΔA1のときの視野ずれ量W1より、次式の関係が得られる。
W2=A×(C+D×(A0+ΔA1)) …(11)
C=(1/A)・[W1−(A0/ΔA1)(W2−W1)] …(12)
D=(1/A)・(W2−W1)/ΔA1 …(13)
WAL=−C/D …(14)
で計算される。よって、アライナーの最適制御値(軸外収差が補正される条件)は、式(12)及び式(13)より、
WAL=−[W1−(A0/ΔA1)(W2−W1)]/[(W2−W1)/ΔA1] …(15)
として計算されるため、式(12)、式(13)に未知数Aが含まれていても、アライナーの最適制御値の算出ができる。
(vi) S9
式(15)によって算出されたアライナー制御値WALをアライナーに設定する。
対物レンズ7の軸外で発生する色収差をウィーンフィルタ70で補正して一次ビーム4を試料10上で傾斜するときの光軸調整法における本発明の実施例を、図6に示す。図6の実施例では、対物レンズ7に対する物点(ビームクロスオーバ点)が見かけ上の偏向支点になるように偏向コイル61と62を動作させて、一次ビーム4を対物レンズ7の軸外に入射させる。このとき、一次ビーム4は対物レンズ7の軸外で振り戻されて試料上の元の位置P2に到達するが、対物レンズの軸外で色収差を発生する。対物レンズ上部に配置したウィーンフィルタ70は、対物レンズ7の軸外で発生した色収差がちょうど補正されるように動作させる。色収差が補正される動作条件を調整するために、本実施例では、対物レンズの励磁電流と、ウィーンフィルタの電流または電圧を、予め定めた値だけ同時に変動させる。このとき、色収差が補正される条件以外では、パラメータの変動に対応して像の動きが発生する。この像の動きが最小になるように、偏向コイル61と62の偏向量、あるいは、ウィーンフィルタ70の動作条件を調整する。本実施例により対物レンズ7の軸外で発生する色収差が補正される原理を以下に説明する。
rE=rB …(16)
rE=KE・VE/Vi …(17)
rB=KB・IB/Vi1/2 …(18)
Δr=0.5×rB×ΔV/Vi=0.5×rE×ΔV/Vi …(19)
ΔIB=−0.5×IB×(ΔV/Vi) …(20)
ΔVE=−VE×(ΔV/Vi) …(21)
となるため、対物レンズの電流Iobjとウィーンフィルタの動作条件(電流、または電圧)を同時に変化させて、視野の動きが最小になるようにウィーンフィルタ70の強さ、あるいは、偏向コイル61,62の条件を決めることができる。また、図7の処理ステップS11〜S19を実行することにより、色収差補正条件を自動で演算することも可能である。
この処理では、式(20)に基づいて対物レンズとウィーンフィルタの電流変化量(ΔIobj,ΔIB)を計算する。
(ii) S12〜S14
対物レンズ電流とウィーンフィルタ電流を同時に変化させて取得した2枚の画像から、視野ずれ量(W1)を検出する。
アライナーに予め定めた変化量A0を加えて、アライナー制御値を変化させる。
(iv) S16〜S17
S12〜S14の処理を繰り返して、制御値変更後のアライナーに対する2枚の画像の視野ずれ量(W2)を検出する。
視野ずれ量W1,W2からアライナーの最適制御値を計算する。この計算は式(7)に基づいて行うことができる。すなわち、WAL=A0のときの視野ずれ量W1より、
W1=A×(C+D×A0) …(22)
の関係が得られる。次に、WAL=A0+ΔA1のときの視野ずれ量W1より、
W2=A×(C+D×(A0+ΔA1)) …(23)
の関係が得られる。式(22)、(23)より、未知数C、Dを次のように解くことができる。
C=(1/A)・[W1−(A0/ΔA1)(W2−W1)] …(24)
D=(1/A)・(W2−W1)/ΔA1 …(25)
WAL=−C/D …(26)
で計算される。よって、アライナーの最適制御値(軸外収差が補正される条件)は、式(24)及び式(25)より、
WAL=−[W1−(A0/ΔA1)(W2−W1)]/[(W2−W1)/ΔA1] …(27)
として計算されるため、式(24)、式(25)に未知数Aが含まれていても、アライナーの最適制御値の算出ができる。
式(27)によって算出されたアライナー制御値WALをアライナーに設定する。
なお、S1において、ウィーンフィルタの電流ΔIBの代わりに、式(21)のΔVEを用いても同じ結果が得られる。
図8に示す実施例では、対物レンズ上部に配置した偏向コイル61a,61bにより一次ビーム4をその集束軌道に沿うように離軸させて対物レンズ7に入射させる。対物レンズ7の磁界内に配置した偏向コイル62a,62bでは、軌道の向きを反転させて180°ずれた方向の集束軌道に沿って一次ビームを傾斜して試料に入射させる。このとき、偏向コイルのわずかな位置ずれにより色収差の補正誤差が発生する。本実施例では、この色収差の補正ずれによる分解能劣化を回避するために、以下の手順で調整を行なう。
(2) 予め定められた振幅で、対物レンズ7の励磁電流を変化させて、励磁電流の変化に連動した像の動きを確認する。
(3) 対物レンズ7の励磁電流変化に連動した像の動きが最小になるように、偏向コイル61bの電流を調整する。
この処理では、対物レンズ電流の設定値に対応して電流変化量(ΔIobj)を計算する。
(ii) S22〜S24
対物レンズ電流を変化させて取得した画像から、視野ずれ量(W1)を検出する。
(iii) S25
アライナー(例えば偏向コイル61b)に予め定めた変化量A0を加えて、アライナー制御値を変化させる。
S22〜S24の処理を繰り返して、制御値変更後のアライナーに対する視野ずれ量(W2)を検出する。
(v) S28
視野ずれ量W1,W2からアライナーの最適制御値を計算する。この計算は式(7)に基づいて行うことができる。すなわち、WAL=A0のときの視野ずれ量W1より、
W1=A×(C+D×A0) …(28)
の関係が得られる。次に、WAL=A0+ΔA1のときの視野ずれ量W1より、
W2=A×(C+D×(A0+ΔA1)) …(29)
の関係が得られる。
C=(1/A)・[W1−(A0/ΔA1)(W2−W1)] …(30)
D=(1/A)・(W2−W1)/ΔA1 …(31)
WAL=−C/D …(32)
で計算される。よって、アライナーの最適制御値(軸外収差が補正される条件)は、式(30)及び式(31)より、
WAL=−[W1−(A0/ΔA1)(W2−W1)]/[(W2−W1)/ΔA1] …(33)
として計算されるため、式(30)、式(31)に未知数Aが含まれていても、アライナーの最適制御値の算出ができる。
(vi) S29
式(33)によって算出されたアライナー制御値WALをアライナーに設定する。
Claims (1)
- 荷電粒子源から放出された一次荷電粒子線を、対物レンズと、前記対物レンズよりも前記荷電粒子源側にあって一次荷電粒子線の光軸を調整するための少なくとも1段の偏向手段で構成される第1の光軸調整手段と、前記対物レンズの磁界内で一次荷電粒子線の光軸を調整する2段の偏向コイルで構成される第2、第3の光軸調整手段を備えた荷電粒子光学系を通して集束して試料上で走査すると共に、前記第1、第2、第3の光軸調整手段によって前記一次荷電粒子線を試料に傾斜して入射させ、一次荷電粒子線の走査によって試料から発生する信号粒子を検出して試料像を取得する荷電粒子線装置の光軸調整方法において、
前記第1、第2、第3の光軸調整手段のうち少なくとも2つ以上の組み合せの光軸調整手段の制御値として第1の制御値を設定して前記対物レンズの制御値を変化させて2枚の試料像を取得するステップと、
前記2枚の試料像間の第1のずれ量を求めるステップと、
前記第1の制御値を第2の制御値に変更し、前記対物レンズの制御値を変化させて2枚の試料像を取得するステップと、
前記2枚の試料像間の第2のずれ量を求めるステップと、
前記第1及び第2の制御値、並びに前記2枚の試料像間の前記第1及び第2のずれ量をもとに、前記対物レンズの制御値を変化させて得られる2枚の試料像間のずれ量が0になる前記第1、第2、第3の光軸調整手段のうち少なくとも2つ以上の組み合せの光軸調整手段の制御値を演算するステップと、
前記第1、第2、第3の光軸調整手段のうち少なくとも2つ以上の組み合せの光軸調整手段に前記演算された制御値を設定するステップと、
を有することを特徴とする荷電粒子線装置の光軸調整方法。
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JP2009069502A JP4995858B2 (ja) | 2009-03-23 | 2009-03-23 | 荷電粒子線装置の光軸調整方法 |
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