JP4993514B2 - 造影剤 - Google Patents

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Description

本発明は、クッパー細胞に取り込まれやすいリポソーム並びにかかるリポソームを含む医薬品に関する。リポソームは、金属元素タングステン又はタングステンと他の金属元素との混合物からなる被覆コアの粒子をコントラスト増強剤として含む。本発明は、画像診断、特に肝腫瘍のX線撮像における造影剤としてのかかる医薬品の使用、並びにかかるリポソームを含む造影剤にも関する。
すべての画像診断は体内の様々な構造からの異なる信号レベルを得ることに基づく。例えばX線撮像では、ある身体構造を画像として視覚化するため、その構造によるX線の減衰と周囲の組織での減衰とが異なっていなければならない。身体構造と周囲の信号の差はコントラストと呼ばれ、身体構造とその周囲とのコントラストが大きいほど画像の質が高く、診断を行う医者に有用であるので、画像診断でのコントラストを高める手段に多大な検討がなされてきた。さらに、コントラストが大きいほど、その撮像操作で小さな身体構造を視認できるようになり、換言すれば、コントラストの増強によって空間解像度を高めることができるので、診断法の標的の検出がより安全に達成される。
診断のための画像の質は、所与の空間解像度では、その撮像法の固有ノイズレベルによって大きく左右されるので、コントラストレベルとノイズレベルの比が画像診断のための有効な診断品質係数を表すことが分かる。コントラストレベルとノイズレベルの比は一般にシグナルノイズ比(SNR)と呼ばれる
かかる診断品質係数を向上させることは、古くからのしかも今もって重要な目標である。X線、磁気共鳴画像(MRI)及び超音波のような技術において、診断品質係数を向上させる一つの方法は撮像すべき身体領域にコントラスト増強剤つまり造影剤を導入することである。
例えばX線では、初期の造影剤の例は、造影剤が分配された身体領域のX線の減衰を強める不溶性無機バリウム塩であった。最近、X線造影剤の分野では、可溶性含ヨウ素化合物、特にAmersham Health AS社からOmnipaque(商標)及びVisipaque(商標)という商品名で市販されているようなヨウ素化アリール化合物が主流となりつつある。
重金属をコントラスト増強元素として含むX線造影剤に関する研究の大半は、重金属イオンのアミノポリカルボン酸(APCA)キレートに集中している。多くの体内部位の効果的な撮像には、その体内部位に比較的高濃度の金属イオンを局在化させる必要があるという認識に立って、2以上の独立したキレート基を有する物質であるポリキラントがこの目的の達成に使用できるかもしれないと示唆されている。その後の研究は、錯化部分自体が2以上のコントラスト増強原子を含む錯体である多核錯体の使用に集中している(Yu,S.B. and Watson,A.D., Chem. Rev. 1999, 2353−2377参照)。例えば、X線又は超音波用の錯体は2以上の重金属原子を含み、MRI用の錯体は2以上の常磁性金属原子を含む。Yu及びWatsonは、金属系X線造影媒体の使用について検討している。タングステン粉末を血管過剰増生腫瘍の治療及び術前塞栓術に用いられる塞栓剤中のX線造影剤として使用することが記載されている。ただし、重金属錯体の一般的な血管内使用は安全性への懸念及び用量の要件によって制限される可能性が高いと記載されている。
非経口投与用のX線造影剤は主として本質的に親水性で、ほぼ同じ細胞外体内分布を有し、好ましくは腎臓から排出される。体内の器官及び細胞に蓄積する器官特異的なX線造影剤並びに血液プール中での滞留時間が長いX線造影剤(血液プール造影剤)を達成するための様々な試みがなされている。例えば、ヨウ素化アリール系X線造影剤は、血管内での半減期を改善するためデンプンのような高分子基材に連結されている。生分解性粒子に基づく肝臓造影剤の候補が、例えばKao et al, Academic Radiology,2003,10,475−483、国際公開第89/00988号及び同第90/07491号で提案されている。イオン性又は非イオン性ヨウ素化アリール化合物を含むリポソームも提案されている(例えば、国際公開第88/09165号及び米国特許第5676928号参照)。最近、目標器官又は細胞の受容体と結合する特異的ベクターのようなターゲティング基も提案されている。
PCT/NO2004/00036には、金属元素タングステンと適宜他の金属元素とからなるコアをコーティング層で被覆してなる粒子が提案されている。この文献に記載された粒子は、腎臓からの排泄を担保するため好ましくは腎臓の閾値である約6〜7nm未満であるべきである。コーティングはモノマーでもポリマーでもよく、生体内での半減期の短い粒子を与える。腫瘍及びマクロファージを始めとする様々な体内器官及び構造のターゲティングのため、抗体のようなターゲティング基を埋め込んだ表面コーティングも提案されている。
腫瘍学では、肝細胞腫のような肝腫瘍及び肝臓への転移の早期診断が世界での主な死亡原因である。癌の早期診断に役立つ方法及び製品が絶えず必要とされている。癌組織は概して健常組織とは血管分布が異なり、コントラストの異なる領域として検出し得る。しかし、肝臓のX線検査には通例大量のヨウ素化造影剤が必要とされ、約9gのヨウ素を含有する造影剤を注入しなければならないこともある(国際公開第88/09165号参照)。クッパー細胞は肝臓に存在し、粒子を取り込んで最初に分解する。クッパー細胞は肝腫瘍組織には存在しないか、存在するとしてもごくわずかである。したがって、適当なX線造影剤の投与後の肝臓のX線検査で癌性肝組織を信号のない又は非常に低い組織として識別できる可能性がある。
肝腫瘍の撮像のための特異的X線造影剤を提供しようとする試みはいずれも市販品をもたらすには至らなかった。その際に問題となったのは、標的器官又は構造でのコントラストが不十分で、極めて高用量の造影剤(例えば、従来のヨウ素化X線造影剤をリポソームに封入したもの)が必要とされ、副作用を生じかねないことである。このように、従前は、特に小さな病変の安全で正確な診断を担保するのに十分なシグナルノイズ比(SNR)を達成するのは困難であった。
国際公開第88/09165号パンフレット 国際公開第89/00988号パンフレット 国際公開第90/07491号パンフレット 米国特許第5676928号明細書 Yu, S.B. and Watson, A.D., Chem. Rev. 1999, 2353-2377 Kao et al, Academic Radiology, 2003, 10, 475-483
今回、驚くべきことに、クッパー細胞に取り込まれやすいリポソームであって、腫瘍組織の同定のためのX線造影検査で十分なコントラストを与えるものを提供できることが判明した。かかるコンパウンドは、金属元素タングステンと適宜他の金属元素とからなるコアをコーティング層で被覆してなる粒子を有するリポソームである。タングステン含有粒子は主にリポソームの内部に含まれている。驚くべきことに、かかるタングステン含有粒子を含むリポソームは、十分なコントラストとSNRを達成するのに十分なクッパー細胞による造影剤の取り込みをもたらす。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。様々な実施形態は特許請求の範囲にも記載されており、本発明の記載内容全体の一部をなす。
タングステン含有コアを含む被覆粒子はPCT/NO2004/00036に開示されており、その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
本願では「コア」、「金属コア」及び「タングステン(含有)コア」という用語は互換的に用いられ、コアとコーティングを含む粒子については「粒子」、「金属粒子」及び「タングステン(含有)粒子」と互換的に呼ぶ。
本発明は、リポソームが十分な量の粒子を封入するとともにクッパー細胞による取り込みに適した粒径のものとなるようにリポソーム造影剤を製造できるという知見に基づく。
85nmを超える粒径のリポソームは、オプソニン作用及び受容体によって媒介されるクッパー細胞による食作用によって血液コンパートメントから取り除かれ、肝臓に移動して分解され、最終的に排出される。
したがって、造影剤として用いられるリポソームは、クッパー細胞によって効果的に認識され取り込まれるのに十分な粒径とする必要がある。そこで、リポソームの直径は概して85nm超とすべきである。平均粒径は好ましくは100nm以上、さらに好ましくは200nm〜1000nm(1μm)とすべきである。
本願で提供するリポソームは、タングステン含有粒子に対する効率的な輸送手段として機能させるため、5gW/g脂質〜50gW/g脂質、好ましくは約20gW/g脂質のような十分な封入容量をもつ。なお、Wはタングステンを表し、脂質はリポソーム膜形成性脂質をいう。タングステン/脂質比が高いと、安全性の面からも有利である。そこで、平均粒径100nm以上の比較的大きなリポソームが一般に好ましい。リポソーム内の空間つまり封入容量は、リポソーム直径が増すとその3乗で増大するからである。リポソーム径の上限は一般に1000nm(1μm)を超えるべきではない。リポソームがこれよりも大きいと、毛細血管内で詰まって血流を閉塞するおそれがあるだけでなく、安定性に劣るからである。
リポソームは多層構造でも単層構造でもよいが、両親媒性物質の二重層を何層か含んでいるのが好ましく、単層又は二層構造であるのが好ましい。ただし、両親媒性物質の二重層を3〜5層含むリポソームも使用できる。
肝臓の質量の約80%をなす肝細胞もリポソームをある程度取り込む。クッパー細胞による取り込みを促進し、肝細胞による取り込みと区別するため、食作用を惹起する物質をリポソームに導入しておくのが好ましい。かかる物質の具体例としては、リポ多糖類(LPS)及びリポテイコ酸(LTA)が挙げられる。かかる物質は好ましくはリポソームの膜に導入される。
膜形成性脂質の例としては、さらに、リポペプチド、親油性となるように誘導体化した炭水化物(例えば1以上の脂肪アシルを有するもの)、スフィンゴ脂質、糖脂質、グリセロ脂質、コレステロール及びリン脂質が挙げられる。
リン脂質の例としては、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミド、ホスファチジルイノシトール、カルジオリピド(cardiolipid)、及びこれらの対応リゾ(加水分解)アナログが挙げられる。
比較的長鎖の親油性脂肪酸残基をもつリン脂質が好ましい。脂肪酸残基は、炭素原子数10以上の親油性残基、例えば炭素原子数12の直鎖又は枝分れ鎖(アルキル又はアルケニル残基など)を有するべきである。好ましくは親油性残基は炭素原子数16以上、さらに好ましくは18のもの、例えばパルミチン酸又はステアリン酸残基とすべきである。脂肪残基の炭素原子数が14未満であると、リポソームの内部の粒子含有相(通常は水性相)を保持する能力が相対的に低くなり、投与後のリポソームの血中安定性が低くなる。一方、脂肪酸残基の炭素原子数が28以上であると、生体適合性が低下し、リポソーム製造時に高温が必要となる。
さらに別の好ましい選択肢として、クッパー細胞による取り込みを一段と促進するとともに、リポソームのクラスター形成を抑制するため、リポソームが負に荷電した表面をもつようにすべきである。同じ表面電荷をもつリポソームは互いに反発する。したがって、リポソームは好ましくは電気的に中性の脂質(リン脂質など)と負電荷脂質(リン脂質など)との混合物から製造すべきである。
荷電基は、コンパウンドの使用環境のpHでイオン化していなければならない。特に重要な点として、荷電基は生理的pH、特に血液のpHで荷電していなければならない。
リン脂質は合成リン脂質でも、天然源から得られるリン脂質でもよい。好ましい中性リン脂質としては、例えば、中性糖リン脂質、例えば部分的又は完全に水添した天然リン脂質、例えば大豆又は卵黄から得られるリン脂質、或いは合成リン脂質、特に半合成又は合成ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジラウロイルホスファチジルコリン(DLPC)、DOPC−ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ホスファチジルコリン(PC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)及びスフィンゴミエリン(SM)が挙げられる。
好ましい負電荷リン脂質としては、例えば、ホスファチジルセリン、例えば部分的又は完全に水添した大豆又は卵黄由来の天然ホスファチジルセリン、或いは半合成又は合成ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)又はジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ホスファチジルグリセロール、例えば部分的又は完全に水添した大豆又は卵黄由来のホスファチジルグリセロール、或いは半合成ホスファチジルグリセロール、特に半合成又は合成ジパルミトイルホスファチジルグリセロール((DPPG)又はステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ホスファチジルイノシトール、例えば部分的又は完全に水添した大豆又は卵黄由来のホスファチジルイノシトール、或いは半合成ホスファチジルイノシトール、特に半合成又は合成ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)又はジステアロイルホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、例えば部分的又は完全に水添した大豆又は卵黄由来のホスファチジン酸、或いは半合成ホスファチジン酸、特に半合成又は合成ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)又はジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)が挙げられる。かかる荷電リン脂質は一般に単独で使用されるが、1種以上の荷電したリン脂質を使用してもよい。
リポソームに封入されるタングステン含有粒子は、コアとコーティング層を含む粒子である。粒子の粒径は広く変更し得るが、3nm以上、例えば3nm〜100nmとすべきである。この目的には、粒径20nm未満の粒子、例えば3〜20nmの粒子がさらに好ましい。
粒子はコアとコアを実質的に完全に被覆するコーティングとからなる。粒子のコアは金属形態のタングステン又はタングステンと他の適当な金属元素との混合物を含む。好ましくは、タングステン含有量は20〜100重量%、さらに好ましくは50〜100%、さらに一段と好ましくは85〜100重量%、特に好ましくは95〜100重量%である。約100%タングステンのコアが概して好ましい。
金属タングステンは、X線減衰値が比較的高く、毒性が低く、妥当な価格で入手できる。
コアにタングステンコアだけでなく他の金属元素を導入すると、コアの特性、例えば、安定性、単分散性を改善し、金属コアの合成及び/又は生成速度を促進することができる。好ましくは、1種類の元素又は元素混合物として5〜15重量%のレニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル又はモリブデンが添加剤として適しているが、最も好ましいのはレニウムとイリジウムである。これらの元素はいずれもタングステンと混和性であり、少量のレニウム及び/又はイリジウムは金属コアの低温塑性を向上させる。
粒子に減衰性を付与する金属コアは、粒子全体の好ましい大きさを考慮に入れた上で、減衰性に関して十分な大きさのものであることが重要である。したがって、粒子は、望ましい減衰性を与えるため、できるだけ多量の金属原子を含んでいなければならない。
タングステン含有コアは程度の差はあっても反応性であるので、反応性表面を不動態化するため金属コアをコーティングする必要がある。コーティングの性質は、金属コアを保護してコアが反応しないようにすべきであり、例えば、空気暴露時の発火、インビボ用の製剤時の反応、体内環境での反応などを起こさないようにすべきである。コーティングは、所与の粒径についてコントラスト増強剤の量を最適化するため、比較的薄くしなければならない。コーティングの厚さは好ましくは1〜5nmとすべきである。金属コアとコーティングとの結合は、金属コアとコーティングとの分離を防ぐため十分に強いものとすべきである。
肝臓では、リポソームがクッパー細胞に取り込まれ、食作用を受ける。粒子は比較的ゆっくりと分解され、生体から排出される。タングステンのようなコア金属がある程度漏れ出しても許容される。タングステンは比較的毒性が低く、放出された金属は腎臓を通して迅速に排出されるからである。
コーティング層はモノマー層でもポリマー層でもよいが、好ましくはポリマーコーティングとすべきである。モノマー層でも十分に安定な粒子が得られる場合には、そうしたモノマー層も好適である。
モノマーコーティングを有するタングステン含有コアは、PCT/NO2004/00036に記載されている。
モノマーコーティングは、好ましくは、周囲の水性環境に面した親水性部分と不活性中間層と金属コアに面した金属結合部分とを有する非金属材料の層からなり、親水性の分子を少なくとも所定分率で含んでいて、好ましくは各分子が1以上の親水性基を有しているべきである。コーティングは、同時に、コア表面(例えば、タングステンコアの表面)を不動態化するのに十分な密度でコア表面を被覆しているべきである。不動態化はコア表面で起こり、金属配位基とコア表面との間で電子移動が生じる。金属配位基の例は、以下で説明する式A−L−MにおけるA基である。好ましい態様では、コーティングは、コーティングの厚さが1分子にすぎないことを意味する単層コーティングである。モノマーコーティングはコーティング層を薄くすることができ、明確な特性をもつという利点がある。ポリマーコーティングも単一分子からなるといえるが、コアとの結合様式がモノマーコーティングとは異なる。モノマーコーティングは、コアに面した金属結合部分がコアと放射状に結合し、中間部分が放射状に延び、親水性部分が水性環境に面している。ポリマーコーティングは金属表面全域に巻き付き、ポリマー鎖の複数の箇所で金属コアと相互作用する。粒子の有効性は、粒子のタングステンのコアが粒子のどれだけ多くの部分を構成しているかによって決まる。
単層コーティングは好ましくは一般式A−L−Mで構成され、式中、Aは好ましくは表1から選択される1種以上の金属配位基であり、Lは存在しないか或いは好ましくは表2から選択される1種以上の連結基であり、Mは好ましくは表3から選択される1種以上の荷電親水性基である。連結基は、好ましくは表2の任意の数の断片が線状、枝分れ又は1以上の環として配列したものからなる。枝分れは多座配位コーティングを生じるようにA基側に向かっていてもよいし、或いは親水度を高めるためM基に向かって枝分れしていてもよい。両方向への枝分れでもよい。表2の連結断片は、フェニル環に結合していてもよいし、或いは芳香族又は非芳香族の複素環式基に結合していてもよい。nは正の整数であり、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜4である。oは0又は正の整数であり、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜2である。pは正の整数であり、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜4である。表1のA基の点線は、タングステン元素との結合、H原子との結合、L基との結合、別のA基との結合、又はoが0である場合にはM基との結合を示す。L基の点線は、A基との結合、H原子との結合、別のL基との結合又はM基との結合を示す。M基の点線は、L基との結合、H原子との結合、別のM基との結合、又はoが0である場合にはA基との結合を示す。
Figure 0004993514
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R基は独立にH及びC〜Cアルキル基からなる群から選択される基であり、C〜Cアルキル基は適宜1以上の−OH基で置換されていてもよいし、C〜Cアルキル基の1以上のC原子はエーテル基でちかんされていてもよい。
ポリマーコーティング層は、医薬品としての使用に適し、ナノ粒子当たり少数の荷電基を含む親水性のポリマー材料の層を含む。コーティングは、タングステンコアの表面を不動態化するのに十分な密度で表面を被覆しているべきである。ポリマー表面層は金属コアの表面に共有結合していてもよいし、非共有結合力で吸着・保持されていてもよい。モノマーコーティングについて上述したように、コーティング層はできるだけ薄く、同時に、タングステンコア表面に所要の不動態化を与えるものであるのが好ましい。ポリマーは天然又は合成単独重合体又は共重合体とすることができる。この目的には数多くのポリマーが利用でき、当業者であれば従来技術で公知の適当なポリマーを選択できるはずである。有用な一群のポリマーとしては、ポリエーテル(例えばPEG、適宜枝分れしていてもよい)、ポリアセタール、ポリビニルアルコール及びそれらの極性誘導体、ポリエステル、ポリカーボネート、脂肪族及び芳香族ポリアミドを始めとするポリアミド、ポリペプチド、デンプン及びセルロースのような炭水化物、ポリシアノアクレート及びポリシアノメタクリレートが挙げられるが、ポリマーが最低限の荷電基を含んでいて、最も好ましくは親水性でもあることが条件とされる。アクリル酸モノマーからなるポリマーが特に好ましい。制御された適当な数の荷電基をもつ層を得るには、共重合体も好ましく、共重合体は2種以上のモノマー又はブロックを含むことができる。モノマーの少なくとも1種がポリマーコーティングに荷電基をもたらすものであればよい。電荷は水への溶解度を高め、粒子が凝集するおそれを低減する。
ポリマーコーティングの形成に使用される好適なモノマーの例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 0004993514
モノマーFを使用すると、架橋ポリマーが形成される。
コーティング材料のモノマーは、ポリマーコーティング層における親油性基の少なくとも一部として親油性基をさらに含んでいてもよい。
造影剤は非経口的に、例えば静脈内、動脈内又は皮下に投与されることが多い。造影剤は経口的に或いは外部に開いた管、例えば胃腸管、膀胱又は子宮を通して投与することもできる。適当な担体は当技術分野で周知であり、例えば投与経路などに応じて左右される。賦形剤又は溶媒のような担体の選択は当業者がなし得る事項である。医薬品、例えば造影剤を溶解又は懸濁して造影剤を調製するため通常は水性担体が使用される。水、水性緩衝液、食塩水、グリシン、ヒアルロン酸などの様々な水性担体を使用することができる。
一実施形態では、本発明は、上述のリポソームを薬学的に許容される溶剤又は賦形剤と共に含んでなる医薬品、具体的には、診断薬、特にX線造影剤として用いられる医薬品を包含する。
粒子溶液の粘度及びオスモル濃度についても考慮する必要がある。粘度は投与を容易にするため一般に40mPas未満とすべきである。副作用、特にオスモル濃度に関連した副作用を防止するため、投与用の粒子溶液は、血液と同じ浸透圧又は若干高浸透圧とすべきである。注射用医薬品の浸透圧を適切に調整するには、ソルビトールのような適当な賦形剤を適量加えればよい。製剤のpHは、生理学的に許容される範囲内にすべきである。pHはトリス緩衝液のような許容される緩衝液で調整すればよい。
本発明のリポソームを含む溶液は、タングステン含有量が約1.0〜約4.0gタングステン/ml溶液、具体的には1.5〜約3.0gタングステン/ml溶液、さらに具体的には約2.2gタングステン/ml溶液となるように処方することができる。
さらに別の実施形態では、本発明は診断方法及び撮像方法を包含し、リポソームをヒト又は動物の身体に投与する。身体を診断装置で検査し、検査データをコンパイルする。データを用いて画像を生成したり、診断に利用できるように、必要に応じてデータをさらに処理してもよい。データは肝腫瘍の視覚化又は同定に用いることができる。
肝腫瘍は、肝臓において造影剤で増強されない領域として識別される。これは、造影剤が肝臓のクッパー細胞によって取り込まれるからである。クッパー細胞は肝腫瘍組織には全く或いはごくわずかしか存在しない。本発明の診断薬の粒子がクッパー細胞によって活発に取り込まれれば、肝臓においてコントラストが増強されていない領域として肝腫瘍を識別できる。肝腫瘍の診断には、本発明の診断薬を一回の大量投与で投与するのが好ましい。
本発明の方法における信号の取り込みには少なくとも大きな病変については単純なX線撮像を使用することもできるが、X線コンピュータ断層撮像(CT)の使用が極めて好ましい。CT用のX線(120kV)に対するタングステンのモル吸収率は5500HU(Hounsfield unit)/モルである。最新のCTは妥当な解像度についてのノイズレベルが約15HUであり、ミリメートル単位で病変部を識別することができる。
タングステン粒子が封入されたリポソームは、以下のa)及びb)の指針に従って製造できる。
a)タングステン粒子の製造
一般に、被覆粒子は、コーティング層を構成する化合物の存在下で、タングステン(0)源(例えばヘキサカルボニルタングステンW(CO))を熱分解することによって製造する。
親水性層で被覆されたタングステンコアを含む粒子は、不活性ガス雰囲気中で、ヘキサカルボニルタングステンW(CO)を、すべての反応性部位が保護されたコーティング構成分子及び還元剤と混合することによって製造できる。還元終了後、保護基を除去する。或いは、還元は水溶液又は逆ミセル中で行うこともできる。
ポリマー被覆粒子は、1種以上のモノマーの存在下、脱水・脱酸素した高沸点溶媒中でタングステン(0)源(例えばヘキサカルボニルタングステンW(CO))を熱分解することによって製造される。モノマーの熱重合が起こると、分解で形成されたタングステン粒子がポリマーコーティングで覆われる。モノマーが、シリルエーテルで保護した極性基(−OH、−COOH)を含む場合、保護基は水性溶液中で開裂して、親水性ポリマーで被覆された粒子が得られる。
一般に、乾燥溶剤を使用すべきである。吸湿性の溶剤(ジグライム、トリグライム)は、アルミナを通してパーコレーションし、モレキュラーシーブ上で保存すべきである。溶剤はすべて反応に用いる前に、溶剤中にアルゴン気流を25〜30分間吹き込んで脱酸素しておくべきである。この方法では、溶剤の選択が重要であり、溶剤は幾つかの規準を満たさなくてはならない。一つは、出発原料は溶解するが、得られたポリマー被覆粒子は溶液中に保持できることである。この点で、ポリエーテルであるジ−及びトリグライムが特に有用である。特にトリグライムは沸点が高いので、粒子から最後の一酸化炭素分子が離脱するレベルまで昇温できる。他の有用な溶剤としては、ジフェニルエーテルその他の不活性高沸点芳香族化合物が挙げられる。また、トリオクチルホスフィンオキシド(及び他のアルキル類似体)、トリオクチルホスフィン(及び他のアルキル類似体)、高沸点アミド及びエステルも有用である。
さらなる重要なプロセスパラメーターは、反応混合物からW(CO)が昇華する傾向を抑制できることである。これは、冷却器又は容器壁面から固形ヘキサカルボニルタングステンが絶えず洗い戻されるように少量の低沸点溶剤を混合しておくことによって達成できる。シクロオクタン及びn−ヘプタンを5〜15%の体積分率で使用するのが良い選択肢であろう。
粒子の後処理には、ペンタンその他の低沸点アルカンを加えて沈殿させるのが好都合である。低沸点溶剤は粒子を乾燥する際に有利である。
製造及び後処理の手順の詳細については、以下の実施例1及び2、並びにPCT/NO2004/00036に記載されており、その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
b)リポソームの製造
金属含有粒子が封入されたリポソームは、当技術分野で公知の方法で製造することができる。リポソームの製造方法としては、数枚のフィルターを通して押出す方法、薄膜水和法、逆相蒸発法などの幾つかの方法がある。これらの方法については、実施例7〜9で説明する。
以下の実施例で本発明をさらに例証するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。温度はすべて摂氏単位である。粒子のタングステン含有量は蛍光X線分析(XFS)で測定した。製造物の粒径は動的光散乱を用いて測定した。
実施例1
モノマーB及びCのポリマーで被覆されたタングステンナノ粒子の製造
磁気攪拌子と冷却器を備えた丸底フラスコに、ヘキサカルボニルタングステンW(CO)(500mg、1.4mmol)、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート(C)(390mg、3.0mmol)、及びトリメチルシリルで保護した2−カルボキシエチルアクリレート(B)(120mg、0.55mmol)を入れた。冷却器にはセプタムを付け、減圧/アルゴンサイクルを数回繰り返してフラスコ及び冷却器を脱気した。脱気したジグライム(30ml)及びヘプタン(2ml)をセプタムを通してシリンジで加えた。反応混合物を、アルゴン雰囲気中で加熱還流した。3時間後に、反応混合物(この時点で少量の黒色沈殿を含む黒色溶液であった。)を室温に冷却し、脱気したペンタン(60ml)に加え、遠心した。沈殿をペンタンで洗浄し、真空乾燥した。
収量:430mgの暗灰色粉末。蛍光X線分析の結果、タングステン含有量は約60%であった。
コメント:ヘキサカルボニルタングステンが昇華して冷却器に付着するのを防ぐためにヘプタンが必要である。トリメチルシリル保護基は、水溶液中で自動的に開裂して、好ましいカルボキシレートGを生じる。
粒子は、共重合したCとBの薄いコーティングで被覆された結晶質タングステンコアを有する。粒子は4〜5nmである。
実施例2
モノマーB及びDのポリマーで被覆されたタングステンナノ粒子の製造及び分析
冷却器と磁気攪拌子を備えたガラスフラスコに、ヘキサカルボニルタングステン(440mg、1.2mmol)、モノマーB(970mg、5.0mmol)及びモノマーD(300mg、1.1mmol)を入れた。減圧/アルゴンサイクルを数回繰り返して、フラスコと冷却器をアルゴン雰囲気とした。冷却器の上端のセプタムを通してシリンジでシクロオクタン(30ml)を加えた。反応溶液を攪拌し、18時間加熱還流した。最初の数時間で、溶液はゆっくりと暗色になり、最終的に黒色となった。反応完了後、溶液を室温に冷却し、ペンタン(50ml)に加えた。得られたスラリーを遠心し、沈殿物をペンタンで洗浄し、真空乾燥した。
収量:400mgの暗色粉末。
分析結果
H NMR:ブロードな共鳴が、4.3、4.1、3.8、3.5、2.8、2.7〜2.2、1.8〜1.2、0.8、0.1(ppm)に現れた。
IR:1939w、1852w、1731vs、1560m。
XFS:57%W。
水への溶解性:>500mg/ml。
実施例3
モノマーA及びCのポリマーで被覆されたタングステンナノ粒子の製造及び分析
実施例2の手順に従って、ヘキサカルボニルタングステン(500mg、1.4mmol)、モノマーA(120mg、0.55mmol)及びモノマーC(390mg、3.0mmol)をガラスフラスコに入れた。冷却器を通してジグライム(30ml)及びヘプタン(2ml)を加えた。反応溶液を攪拌し、次いで3時間加熱還流した。収量:410mgの暗色粉末。
分析結果
H NMR:ブロードな共鳴が、4.1、3.5、3.2、2.5〜2.2、1.9〜1.3(ppm)に現れた。
IR:1995w、1894w、1727vs、1540s。
XFS:55%W。
TEM:粒径3〜4nmの粒子コアを示す顕微鏡写真が得られた。
劣化実験:スペクトル全体(300〜800nm)で吸収が指数関数的に減少した。吸収は最大で4.3時間で22%減少した(350nm)。
電気泳動実験:粒子の移動から、負電荷をもつことが示唆された。
実施例4
モノマーA及びCのポリマーで被覆されたタングステンナノ粒子の製造及び分析
冷却器と磁気攪拌子を備えたガラスフラスコに、ヘキサカルボニルタングステン(1.5g、4,3mmol)、モノマーC(1.15g、9.0mmol)及びモノマーA(0.36g、1.6mmol)を加えた。減圧/アルゴンサイクルを数回繰り返して、フラスコと冷却器をアルゴン雰囲気とした。脱気したトリグライム(85ml)とシクロオクタン(15ml)を冷却器上部のセプタムを通してシリンジで加えた。混合物を150℃で4時間撹拌した。次いで、温度を約200℃(還流)に30分間上げた。生じた黒色の溶液を室温に冷却し、ペンタン(1:1)で希釈し、遠心した。沈殿を回収し、ペンタンで2回洗浄し、真空乾燥した。乾燥生成物を、脱気した水中で撹拌し、溶解するまでNaOHで滴定した。得られた溶液を凍結乾燥した。収量:950mgの暗灰色粉末。
実施例5
モノマーEのポリマーで被覆されたタングステンナノ粒子の製造及び分析
実施例7の手順に従って、ヘキサカルボニルタングステン(2.3g、6.5mmol)及びモノマーE(7.6g、32mmol)をガラスフラスコに入れた。冷却器を通してシクロオクタン(100ml)を加えた。反応溶液を攪拌し、次いで60時間加熱還流した。
分析結果
粒径を動的光散乱法で求めた。粒径5.8〜7.8nmの粒子が全粒子体積の99%を占めていた。
実施例6A
モノマーA、C及びFのポリマーで被覆されたタングステンナノ粒子の製造及び分析
冷却器と磁気攪拌子を備えたガラスフラスコに、ヘキサカルボニルタングステン(1.0g、2.8mmol)、トリグライム(45ml)及びヘプタン(3ml)を入れた。減圧/アルゴンサイクルを数回繰り返して、フラスコと冷却器をアルゴン雰囲気とした。溶解するまでスラリーを加熱攪拌した。次いで、溶液を160℃に加熱した後、モノマーC(1.8g、14mmol)、モノマーA(280mg、1.3mmol)及びモノマーF(280mg、1.4mmol)の混合物を、セプタムを通してシリンジで加えた。溶液を165〜170℃で3時間攪拌した。反応完了後、溶液を室温に冷却し、ペンタン(50ml)に加えた。得られたスラリーを遠心し、沈殿物をペンタンで洗浄し、真空乾燥した。収量:800mgの暗色粉末。
分析結果
H NMR:ブロードな共鳴が、4.2、3.5、3.3、2.3、2.0〜1.4(ppm)に現れた。
IR:1921w、1825w、1727vs、1534m。
XFS:47%W。
実施例6B
モノマーコーティングを有するタングステン粒子
W(CO)のような適当なタングステン(0)錯体の溶液と、末端の極性基をマスクしたアルキルチオールとを、高沸点不活性溶剤中で、1:5のモル比で混合する。混合物を180〜220℃で10〜20時間加熱する。ヘプタンを加え、暗色の混合物を遠心して、暗色の物質を回収する。これを超音波処理によってジクロロメタンに再懸濁し、再度遠心する。この操作を、粉末が高沸点溶剤を含まないことがNMR分析で確認されるまで繰り返す。通常は2回で十分である。保護基の除去或いはマスク基の化学的変性(例えば酸化)のいずれかによって極性基のマスクを外す。粒子は、脱マスク剤混合物から第一工程と同様に遠心及び溶剤強さの変更によって精製することができる。
実施例7
フィルターを通しての押出によるタングステン粒子封入リポソームの製造
製造に用いる材料:
実施例1〜6のいずれかで得られたタングステンの水性懸濁液(300mg/ml)
脂質混合物、例えばH−EPC/H−EPSNa(11:1)15g
H−EPC: 水添卵ホスファチジルコリン
H−EPS: 水添卵ホスファチジルセリンナトリウム
保存液: トロメタモール(24.2g)、エデト酸ナトリウムカルシウム89%(2.8g)、5M塩化水素(pH7.4となるまで)、水で100mlに調整
製造:
リポソーム濃縮液を調製するため、300mlのタングステン懸濁液(300mg/ml)を低温(5〜10℃)の反応装置に加える。脂質を撹拌によって低温液体に分散させる。混合物を75〜80℃に加熱して約半時間撹拌し、10000〜13000rpmのホモジナイザーセルに十分な流速(通例70ml/分)で流す。混合物を、加熱ジャケットを備えた加圧槽(約80℃)に移し、1μmのポリカーボネート製フィルター7枚を備えた押出機から約2.5バールの圧力で押し出す。
リポソームを遠心によって単離する。濃縮物は、タングステン約160mg/ml注射液の最終タングステン濃度まで保存液で希釈される。
実施例8
薄膜水和法によるタングステン粒子封入リポソームの製造
合計100mgの脂質DPPC:DPPG(10:1)(10mg/ml)を、10mlのクロロホルム:メタノール溶剤混合物(2:1)に溶解する。溶解した脂質を含む溶液を、500ml丸底フラスコに移した後、ロータリーエバポレータを用いて、フラスコ壁に乾燥脂質膜が堆積するまで蒸発させる。痕跡量の有機溶媒を除去するため、蒸発は最初に乾燥残留物が現れてから1時間継続する。
脂質膜に緩衝タングステン懸濁液(実施例1〜6)(300mg/ml)10mlを添加して、乾燥脂質を水和する。次いで、フラスコを脂質の転移温度よりも約10℃高い温度で大気圧にて約2時間約100rpmで回転させる。
リポソームを100nmのメンブレンフィルターに10回通すメンブラン押出によってリポソームの粒径を減少させる。
実施例9
逆相蒸発法(REV)によるタングステン粒子封入リポソームの製造
逆相蒸発ベシクルを調製するため、合計100mgの脂質DPPC:DPPG(10:1)を7.5mlのクロロホルム:メタノール溶剤混合物(2:1)に溶解する。撹拌を続けながら、5mlのタングステン懸濁液(実施例1〜6)(300mg/ml)を溶液に加える。得られた溶液を、37℃、弱い減圧下(約600ミリバール)のロータリーエバポレーターで中間ゲルが形成するまで緩やかに乾燥する。乾燥は、ゲルが逆転してリポソーム懸濁液となるまで続ける。
ゲルが逆転してリポソーム懸濁液が生成した後も、痕跡量の有機溶剤を除去するため、10〜20分間乾燥を継続する。
封入されなかったタングステンは、サイズ排除クロマトグラフィーによってリポソームから分離する。

Claims (16)

  1. 金属元素タングステン又はタングステンと他の金属元素との混合物からなるコアをコーティング層で被覆してなる粒子を含むことを特徴とするリポソーム。
  2. 当該リポソームがリポ多糖類及び/又はリポテイコ酸を含む、請求項1記載のリポソーム。
  3. 当該リポソームの表面が負電荷を帯びている、請求項1又は請求項2記載のリポソーム。
  4. 当該リポソームが負電荷脂質を含む、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のリポソーム。
  5. 前記負電荷脂質が負電荷リン脂質である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のリポソーム。
  6. 当該リポソームが天然脂質を含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のリポソーム。
  7. 当該リポソームの粒径が85nm超である、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のリポソーム。
  8. 当該リポソームの平均直径が100nm以上ある、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のリポソーム。
  9. 前記粒子の直径が3nm超ある、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のリポソーム。
  10. 前記粒子のコアが、金属タングステン20〜100重量%タングステン含有量を有する、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載のリポソーム。
  11. 前記粒子のコアが、金属タングステンと、金属形態のレニウム、イリジウム、ニオブ、タンタル又はモリブデン元素の1種以上とを含む、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載のリポソーム。
  12. 前記粒子のコーティングがポリマーコーティング層を含む、請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載のリポソーム。
  13. 請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載のリポソームをんでなる診断薬。
  14. 溶剤及び/又は賦形剤をさらに含む、請求項13記載の診断薬。
  15. クッパー細胞のインビボイメージング用造影剤であって、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載のリポソームを含む造影剤
  16. 押出法、薄膜水和法又は逆相蒸発法を含む、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載のリポソームの製造方法。
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