JP4993072B2 - 光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置用の対物レンズユニット及び光ピックアップ装置 - Google Patents

光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置用の対物レンズユニット及び光ピックアップ装置 Download PDF

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Description

本発明は、光ピックアップ装置用の単玉の対物レンズ及び光ピックアップ装置用の対物レンズユニット、及び光ピックアップ装置に関し、特にワーキングディスタンスが長い光ピックアップ装置用の対物レンズ及び光ピックアップ装置用の対物レンズユニット、及び光ピックアップ装置に関する。
近年、光ピックアップ装置において、光情報記録媒体である光ディスクに記録された情報の再生や、光ディスクへの情報の記録のための光源として使用されるレーザ光源の短波長化が進み、例えば、青紫色半導体レーザや、第2高調波を利用して赤外半導体レーザの波長変換を行う青色SHGレーザ等、波長380〜420nmのレーザ光源が実用化されつつある。
これら青紫色レーザ光源を使用すると、DVD(デジタルバーサタイルディスク)と同じ開口数(NA)の対物レンズを使用する場合で、直径12cmの光ディスクに対して、15〜20GBの情報の記録が可能となり、対物レンズのNAを0.85にまで高めた場合には、直径12cmの光ディスクに対して、23〜25GBの情報の記録が可能となる。以下、本明細書では、青紫色レーザ光源を使用する光ディスク及び光磁気ディスクを総称して「高密度光ディスク」という。
ところで、高密度光ディスクとして、現在2つの規格が提案されている。1つはNA0.85の対物レンズを使用し保護基板厚みが0.1mmであるブルーレイディスク(以下、BDと略記する)であり、もう1つはNA0.65乃至0.67の対物レンズを使用し保護基板厚みが0.6mmであるHD DVD(以下、HDと略記する)である。また、現在において、多種多様な情報を記録したDVDやCD(コンパクトディスク)が販売されている。
ここで、例えばノートPCなどに搭載する場合を考慮すると、光ピックアップ装置にはコンパクトであることが要求される。光ピックアップ装置のコンパクト化を図ろうとする場合、対物レンズの有効径を小さくすることが効果的であるといえる。ところが、一般的には対物レンズの有効径を小さく抑えると、焦点距離が短くなり、動作時に光ディスクとの接触を回避するために必要なワーキングディスタンスが短くなるという問題がある。特にBDと、CD又はDVDとの互換を図ろうとすると、CD、DVD使用時にも十分なワーキングディスタンスを確保せねばならず、そのためにBD使用時にはさらに長いワーキングディスタンスが必要となる。更に、フォーカシング及びトラッキングのために対物レンズを駆動するアクチュエータの負担を軽減するために、対物レンズをより軽くすることが求められている。
これに対し、以下の特許文献においては、種々の対物レンズが開示されている。
特開2003−5032号公報 特開2003−114380号公報 特開2003−107341号公報 特開2003−91854号公報
しかるに、特許文献1の実施例9に開示された対物レンズの場合、小径であるため、光ピックアップ装置のコンパクト化に貢献するが、高屈折率を有するためレンズが重くなるとともに、材料コストが高くなるという問題がある。また、特許文献3の実施例1、特許文献4の実施例1,2,3に開示された対物レンズの場合、小径且つ低屈折率であるが、これらの例はさらに小径であるため、ワーキングディスタンスが短くなるという問題があり、特に、規格が異なる複数種の光ディスクに対する情報の記録又は再生に対して共用される互換対物レンズとして用いるために必要なワーキングディスタンスを得ることは非常に困難である。また、特許文献1の実施例9、特許文献2の実施例2、特許文献3の実施例1、特許文献4の実施例3,4,5,6に開示された対物レンズの場合、屈折率に対して、軸上の厚さ及び焦点距離がバランス良く最適化されていないため、実使用上の光学性能を保持したまま、実使用上の最適なワーキングディスタンスを確保することができないという問題がある。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、少なくとも高密度光ディスクに対して情報の記録又は再生が可能な光ピックアップ装置に用いられる対物レンズであって、光ピックアップ装置のコンパクト化を実現可能であり、且つ、実使用上の光学性能を保持しつつ、焦点距離に対してワーキングディスタンスが比較的長く、実使用上の最適なワーキングディスタンスを確保することができる光ピックアップ装置用の対物レンズ及びそれを用いた光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、光源からの波長λ1(380nm<λ1<420nm)の光束のみを光情報記録媒体の情報記録面に集光することにより情報の記録及び/または再生を行う光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
前記対物レンズは、少なくとも1つの面が非球面である単玉レンズであり、
光源側の有効径をφ(mm)、光軸上の厚さをd(mm)、焦点距離をf(mm)、像側の開口数をNA、及び前記波長λ1における屈折率をnとしたときに、次式を満たすことを特徴とする。
2.0≦φ≦2.8 (1)
1.5<n<1.8 (2)
0.7<d/f<1.1 (3)
0.8<NA<0.9 (4)
−1.17n+2.8<d/f<−0.59n+2.0 (5)
単玉の対物レンズを用いることで光ピックアップ装置のコンパクト化が可能となり、さらに前記対物レンズが条件式(1)〜(5)を満たすことで、少なくとも高密度光ディスクに対して情報の記録又は再生が可能な光ピックアップ装置に用いられる対物レンズにあって、光ピックアップ装置の更なるコンパクト化を実現できるとともに、レンズの軸上の厚さと焦点距離の最適化を図り、レンズの最小肉厚部(一般には、レンズの光学面の周辺部に位置するフランジ部)が薄くなりすぎることなく、十分な厚さを確保できて製造が容易であり、且つ、焦点距離に対してワーキングディスタンスが比較的長く、実使用上の最適なワーキングディスタンスを確保することができる単玉の対物レンズを得ることができる。これにより、対物レンズの量産性を維持しつつ、対物レンズのワーキングディスタンスを長くすることと、光ピックアップ装置のコンパクト化という相反する要求を両立することができる。
特に、条件式(1)を満足することにより、光ピックアップ装置のコンパクト化を実現可能にしつつ、ワーキングディスタンスが短くなり過ぎることを抑制できる。また、条件式(2)を満足することにより、対物レンズの軽量化を確保することができる。また、条件式(3)を満足することにより、実用可能なレベルの光学性能と比較的長いワーキングディスタンスとを容易に実現し得る。また、条件式(4)を満足することにより、例えばBDに対して必要な像側の開口数を確保することができ、少なくともBDに対する情報の記録又は再生が可能な光ピックアップ装置用の対物レンズとして、上述した実使用上の最適化を図った対物レンズを得ることができる。また、条件式(5)は、ワーキングディスタンスがより長く、光学性能を含めて良くバランスがとれた対物レンズを得るための最適な屈折率nとd/fの関係を示したものである。図1において、条件式(5)の下限は線Aで示され、条件式(4)の上限は線Bで示されている。本発明の設計例は、全て線Aと線Bとで挟まれた領域に存在する。線Aと線Bとで挟まれた領域に存在する2点の従来例は特に小径(φ1.70mm)であり、条件式(1)を満たしていない。その他の従来例は、線Bより上の領域に存在する。このように、条件式(5)を満たすことで、対物レンズの性能を実用可能レベルに保持したまま、ワーキングディスタンスが最適な長さを実現した対物レンズを得ることができる。
請求項2に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項1に記載発明において、前記対物レンズは、少なくとも1つの面が非球面である単玉屈折レンズであることを特徴とする。
請求項3に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項1又は2に記載の発明において、次式を満たすことを特徴とする。
1.5<n<1.75 (6)
この条件式(6)を満足することにより、対物レンズをより軽量化することができる。
請求項4に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項に記載発明において、前記対物レンズはワーキングディスタンスをWD(mm)としたときに、次式を満たすことを特徴とする。
0.515≦WD≦0.658 (7)
請求項5に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項3又は4に記載の発明において、次式を満たすことを特徴とする。
0.9≦d/f≦1.092 (8)
この条件式(8)を満足することにより、実使用上の最適なワーキングディスタンスを確保しつつ、光ピックアップ装置の更なるコンパクト化に貢献することができる。
請求項6に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項1又は2に記載の発明において、次式を満たすことを特徴とする。
1.55<n<1.8 (
この条件式()を満足することにより、軸上の厚さをより薄くすることができると共に、光学面の最大の面角度を小さくすることができ、レンズを成形する金型等の型の加工やレンズの成形をより容易に行うことができる。
請求項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項1〜のいずれかに記載発明において、前記対物レンズはガラス製であることを特徴とする。ガラスは光学樹脂に比べて屈折率が高いので、光源側の面の非球面の面角度を緩和することができ、金型加工が正確に行えるようになる。また、ガラスは樹脂に比べて耐環境性が高いので、温度・湿度変化等の環境変化が起こった場合の対物レンズの結像性能の劣化が少なくてすむ。
請求項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項に記載発明において、次式を満たすことを特徴とする。
1.55<n<1.75 (10
この条件式(10)を満足することにより更に、ガラス製でありながら、比較的軽量で、且つ、光学面の最大の面角度を小さくすることができ、レンズを成形する金型等の型の加工やレンズの成形をより容易に行うことができる安価な対物レンズを得ることができる。このようなガラス製の対物レンズとしては、1.60<n<1.75を満たすことが更に好ましい。
請求項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項1〜のいずれかに記載発明において、前記対物レンズは樹脂製であることが好ましい。樹脂製の対物レンズは軽量であるため、フォーカシングアクチュエータへの負担を軽減でき、さらにアクチュエータによる対物レンズのより精緻な位置制御が可能となる。その結果、フォーカシング誤差の低減、アクチュエータの小型化、省電力化等が達成できる。さらに、金型を用いた射出成形法により安価に大量生産できる。
また、前記対物レンズは、平均粒径が30nm以下の無機粒子を分散させた樹脂製であり、温度変化に対する屈折率変化|dn/dT|は、8×10-5未満であることが好ましい。以下において、平均粒径30nm以下の粒子を微粒子という。
このような樹脂として、例えば熱可塑性樹脂中に分散される無機微粒子としては特に限定はなく、得られる樹脂組成物の温度による屈折率の変化率(以後、|dn/dT|とする)を小さくする目的を達成可能な無機微粒子の中から任意に選択することができる。具体的には酸化物微粒子、金属塩微粒子、半導体微粒子などが好ましく用いられ、この中から、レンズとして使用する波長領域において吸収、発光、蛍光等が生じないものを適宜選択して使用することが好ましい。
このような酸化物微粒子としては、金属酸化物を構成する金属が、Li、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Nb、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ta、Hf、W、Ir、Tl、Pb、Bi及び希土類金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属である金属酸化物を用いることができる。具体的には、例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉛、これら酸化物より構成される複酸化物であるニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物(MgAl24)等が挙げられる。また、上記酸化物微粒子として希土類酸化物を用いることもでる。具体的には酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム等も挙げられる。金属塩微粒子としては、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩などが挙げられ、具体的には炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム等が挙げられる。
また、上記半導体微粒子とは、半導体結晶組成の微粒子を意味し、該半導体結晶組成の具体的な組成例としては、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫等の周期表第14族元素の単体、リン(黒リン)等の周期表第15族元素の単体、セレン、テルル等の周期表第16族元素の単体、炭化ケイ素(SiC)等の複数の周期表第14族元素からなる化合物、酸化錫(IV)(SnO2)、硫化錫(II,IV)(Sn(II)Sn(IV)S3)、硫化錫(IV)(SnS2)、硫化錫(II)(SnS)、セレン化錫(II)(SnSe)、テルル化錫(II)(SnTe)、硫化鉛(II)(PbS)、セレン化鉛(II)(PbSe)、テルル化鉛(II)(PbTe)等の周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、砒化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、砒化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、砒化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)等の周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物(あるいはIII−V族化合物半導体)、硫化アルミニウム(Al23)、セレン化アルミニウム(Al2Se3)、硫化ガリウム(Ga23)、セレン化ガリウム(Ga2Se3)、テルル化ガリウム(Ga2Te3)、酸化インジウム(In23)、硫化インジウム(In23)、セレン化インジウム(In2Se3)、テルル化インジウム(In2Te3)等の周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、塩化タリウム(I)(TlCl)、臭化タリウム(I)(TlBr)、ヨウ化タリウム(I)(TlI)等の周期表第13族元素と周期表第17族元素との化合物、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、酸化カドミウム(CdO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)、テルル化水銀(HgTe)等の周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物(あるいはII−VI族化合物半導体)、硫化砒素(III)(As23)、セレン化砒素(III)(As2Se3)、テルル化砒素(III)(As2Te3)、硫化アンチモン(III)(Sb23)、セレン化アンチモン(III)(Sb2Se3)、テルル化アンチモン(III)(Sb2Te3)、硫化ビスマス(III)(Bi23)、セレン化ビスマス(III)(Bi2Se3)、テルル化ビスマス(III)(Bi2Te3)等の周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化銅(I)(Cu2O)、セレン化銅(I)(Cu2Se)等の周期表第11族元素と周期表第16族元素との化合物、塩化銅(I)(CuCl)、臭化銅(I)(CuBr)、ヨウ化銅(I)(CuI)、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)等の周期表第11族元素と周期表第17族元素との化合物、酸化ニッケル(II)(NiO)等の周期表第10族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化コバルト(II)(CoO)、硫化コバルト(II)(CoS)等の周期表第9族元素と周期表第16族元素との化合物、四酸化三鉄(Fe34)、硫化鉄(II)(FeS)等の周期表第8族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化マンガン(II)(MnO)等の周期表第7族元素と周期表第16族元素との化合物、硫化モリブデン(IV)(MoS2)、酸化タングステン(IV)(WO2)等の周期表第6族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化バナジウム(II)(VO)、酸化バナジウム(IV)(VO2)、酸化タンタル(V)(Ta25)等の周期表第5族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化チタン(TiO2、Ti25、Ti23、Ti59等)等の周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合物、硫化マグネシウム(MgS)、セレン化マグネシウム(MgSe)等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化カドミウム(II)クロム(III)(CdCr24)、セレン化カドミウム(II)クロム(III)(CdCr2Se4)、硫化銅(II)クロム(III)(CuCr24)、セレン化水銀(II)クロム(III)(HgCr2Se4)等のカルコゲンスピネル類、バリウムチタネート(BaTiO3)等が挙げられる。なお、G.Schmidら;Adv.Mater.,4巻,494頁(1991)に報告されている(BN)75(BF21515や、D.Fenskeら;Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,29巻,1452頁(1990)に報告されているCu146Se73(トリエチルホスフィン)22のように構造の確定されている半導体クラスターも同様に例示される。
一般的に熱可塑性樹脂のdn/dTは負の値を持つ、即ち温度の上昇に伴い屈折率が小さくなる。従って、熱可塑性樹脂組成物の|dn/dT|を効率的に小さくする為には、dn/dTが大きい微粒子を分散させることが好ましい。熱可塑性樹脂のdn/dTと同符号の値を持つ微粒子を用いる場合には、微粒子のdn/dTの絶対値が、母材となる熱可塑性樹脂のdn/dTよりも小さいことが好ましい。更に、母材となる熱可塑性樹脂のdn/dTと逆符号のdn/dTを有する微粒子、即ち、正の値のdn/dTを有する微粒子が好ましく用いられる。このような微粒子を熱可塑性樹脂に分散させることで、少ない量で効果的に熱可塑性樹脂組成物の|dn/dT|を小さくすることができる。分散される微粒子のdn/dTは、母材となる熱可塑性樹脂のdn/dTの値により適宜選択することができるが、一般的に光学レンズに好ましく用いられる熱可塑性樹脂に微粒子を分散させる場合は、微粒子のdn/dTが−20×10-6よりも大きいことが好ましく、−10×10-6よりも大きいことが更に好ましい。dn/dTが大きい微粒子として、好ましくは、例えば、窒化ガリウム、硫化亜鉛、酸化亜鉛、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムなどが用いられる。
一方、熱可塑性樹脂に微粒子を分散させる際には、母材となる熱可塑性樹脂と微粒子の屈折率の差が小さいことが望ましい。また、熱可塑性樹脂と分散される微粒子の屈折率の差が小さいと、光を透過させた場合に散乱を起こし難いという現象がある。熱可塑性樹脂に微粒子を分散させる際、粒子が大きい程、光を透過させた時の散乱を起こしやすくなるが、熱可塑性樹脂と分散される微粒子の屈折率の差が小さいと、比較的大きな微粒子を用いても光の散乱が発生する度合いが小さいことが見出されている。熱可塑性樹脂と分散される微粒子の屈折率の差は、0〜0.3の範囲であることが好ましく、更に0〜0.15の範囲であることが好ましい。
レンズ等の光学材料として好ましく用いられる熱可塑性樹脂の屈折率は、1.4〜1.6程度である場合が多く、これらの熱可塑性樹脂に分散させる微粒子の材料としては、例えばシリカ(酸化ケイ素)、炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物などが好ましく用いられる。
また、比較的屈折率の低い微粒子を分散させることで、熱可塑性樹脂組成物のdn/dTを効果的に小さくすることができる。屈折率が低い微粒子を分散した熱可塑性樹脂組成物の|dn/dT|が小さくなる理由について、詳細はわかっていないものの、樹脂組成物における無機微粒子の体積分率の温度変化が、微粒子の屈折率が低いほど、樹脂組成物の|dn/dT|を小さくする方向に働くのではないかと考えられている。比較的屈折率が低い微粒子としては、例えばシリカ(酸化ケイ素)、炭酸カルシウム、リン酸アルミニウムが好ましく用いられる。
熱可塑性樹脂組成物のdn/dTの低減効果、光透過性、所望の屈折率等を全て同時に向上させることは困難であり、熱可塑性樹脂に分散させる微粒子は、熱可塑性樹脂組成物に求める特性に応じて、微粒子自体のdn/dTの大きさ、微粒子のdn/dTと母材となる熱可塑性樹脂のdn/dTとの差、及び微粒子の屈折率等を考慮して適宜選択することができる。更に、母材となる熱可塑性樹脂との相性、即ち、熱可塑性樹脂に対する分散性、散乱を引き起こし難い微粒子を適宜選択して用いることは、光透過性を維持する上で好ましい。
例えば、レンズに好ましく用いられる環状オレフィンポリマーを母材として用いる場合、光透過性を維持しながら|dn/dT|を小さくする微粒子としては、シリカが好ましく用いられる。
上記の微粒子は、1種類の無機微粒子を用いてもよく、また複数種類の無機微粒子を併用してもよい。異なる性質を有する複数種類の微粒子を用いることで、必要とされる特性を更に効率よく向上させることもできる。
また、無機微粒子は、平均粒径が1nm以上、30nm以下が好ましく、1nm以上、20nm以下がより好ましく、さらに好ましくは1nm以上、10nm以下である。平均粒径が1nm未満の場合、無機微粒子の分散が困難になり所望の性能が得られない恐れがあることから、平均粒径は1nm以上であることが好ましく、また平均粒径が30nmを超えると、得られる熱可塑性材料組成物が濁るなどして透明性が低下し、光線透過率が70%未満となる恐れがあることから、平均粒径は30nm以下であることが好ましい。ここでいう平均粒径は各粒子を同体積の球に換算した時の直径(球換算粒径)の体積平均値を言う。
さらに、無機微粒子の形状は、特に限定されるものではないが、球状の微粒子が好適に用いられる。具体的には、粒子の最小径(微粒子の外周に接する2本の接線を引く場合における当該接線間の距離の最小値)/最大径(微粒子の外周に接する2本の接線を引く場合における当該接線間の距離の最大値)が0.5〜1.0であることが好ましく、0.7〜1.0であることが更に好ましい。
また、粒径の分布に関しても特に制限されるものではないが、本発明の効果をより効率よく発現させるためには、広範な分布を有するものよりも、比較的狭い分布を持つものが好適に用いられる。
請求項10に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項1〜のいずれかに記載発明において、光情報記録媒体が複層の情報記録面を有することを特徴とする。光情報記録媒体が複層であることにより、単層で記録又は再生できる情報量の複数倍の情報量が記録又は再生可能となる。
請求項11に記載の光ピックアップ装置は、波長λ1(380nm<λ1<420nm)の光束を出射する第1光源と、請求項1〜10のいずれかに記載の光ピックアップ装置用の対物レンズと、光検出器とを有し、前記第1光源から出射される波長λ1の光束を、前記対物レンズを介して、厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体の情報記録面に対して集光させることにより情報の記録又は再生を行うことを特徴とする。ここで、情報の記録又は再生とは、光ピックアップ装置の製品スペックとしては、光情報記録媒体の情報記録面上に情報を記録することのみを行う製品であってもよく、情報記録面上に記録された情報を再生することのみを行う製品であってもよく、また更に光情報記録媒体の情報記録面上に情報を記録すること及び情報記録面上に記録された情報を再生することを両方可能な製品であってもよいことは勿論である。従って、本発明の対物レンズ或いは対物レンズユニットも、記録だけあるいは再生だけを行うために用いられるものであってもよいし、記録及び再生の両方を行うために用いられるものであってもよい。なお、ここでいう再生とは、単に情報を読み取ることを含むものである。
請求項13に記載の光ピックアップ装置は、請求項12に記載の発明において、波長λ3(λ2<λ3)の光束を出射する第3光源を有し、前記波長λ3の光束を、前記対物レンズを介して、厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体の情報記録面に対して集光させることにより情報の記録又は再生を行うことを特徴とする。これにより、例えばBD、DVDやCDなどの異なる3種類の光ディスクに対して互換可能に情報の記録又は再生を行うことができる。上記条件式(1)〜(5)を満たすことで、十分なワーキングディスタンスが得られるので、異なる3種類の光情報記録媒体に対しても互換可能に情報の記録又は再生を行うことができる。また、ある光情報記録媒体に対しては記録を行い、別の光情報記録媒体に対しては再生を行うために用いられるものであってもよいし、ある光情報記録媒体に対しては記録及び再生を行うために用いられるものであってもよい。
請求項14に記載の光ピックアップ装置は、波長λ1(380nm<λ1<420nm)の光束を出射する第1光源と、波長λ2(λ1<λ2)の光束を出射する第2光源と、波長λ3(λ2<λ3)の光束を出射する第3光源と、請求項10に記載の対物レンズユニットとを有し、
前記対物レンズはガラス製であり、
前記第1光源から出射される前記波長λ1の光束を、前記対物レンズユニットの前記収差補正素子と前記対物レンズとを介して、厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体の情報記録面に対して集光させることにより情報の記録又は再生を行い、
前記第2光源から出射される前記波長λ2の光束を、前記対物レンズユニットの前記収差補正素子と前記対物レンズとを介して、厚さt2(t2>t1)の保護層を有する第2光情報記録媒体の情報記録面に対して集光させることにより情報の記録又は再生を行い、
前記第3光源から出射される前記波長λ3の光束を、前記対物レンズユニットの前記収差補正素子と前記対物レンズとを介して、厚さt3(t3>t2)の保護層を有する第3光情報記録媒体の情報記録面に対して集光させることにより情報の記録又は再生を行うことを特徴とする。
本明細書中において、対物レンズとは、光ピックアップ装置に光情報記録媒体を装填した状態において、最も光情報記録媒体側の位置で、これと対向すべく配置される集光作用を有するレンズを指すものとする。
本明細書においては、保護基板をその情報記録面上に有する光ディスクの他に、情報記録面上に数〜数十nm程度の厚さの保護膜を有する光ディスクや、保護基板或いは保護膜の厚さが0の光ディスクも含み、情報記録面を複層に形成したものも含むものとする。また、本明細書においては、高密度光ディスクには、情報の記録/再生用の光源として、青紫色半導体レーザや青紫色SHGレーザを使用する光磁気ディスクも含まれるものとする。
本明細書においては、DVDとは、DVD−ROM、DVD−Video、DVD−Audio、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW等のDVD系列光ディスクの総称であり、CDとは、CD−ROM、CD−Audio、CD−Video、CD−R、CD−RW等のCD系列光ディスクの総称であるが、情報記録面を複層に形成したものも含むものとする。
本発明によれば、焦点距離に対してワーキングディスタンスの長い光ピックアップ装置用の対物レンズ、及びそれを用いた光ピックアップ装置を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。図2は、高密度光ディスクに対して情報の記録及び再生を行える、第1の実施の形態にかかる光ピックアップ装置PU1の概略断面図である。
図2において実線でその光線経路を描いたように、まず青紫色半導体レーザLDを発光させる。青紫色半導体レーザLDから射出された発散光束は、偏光ビームスプリッタPBSを透過し、コリメートレンズCOLにより平行光束に変換された後、λ/4波長板QWPを透過し、絞りAPにより光束径が規制され、対物レンズユニットOUの対物レンズOLによってBDの保護層PLを介して情報記録面RL上に形成されるスポットとなる。対物レンズユニットOUは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACTによってフォーカシングやトラッキングを行う。
そして情報記録面RLで情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズOL、開口絞りAP、λ/4波長板QWP、コリメータCOLを透過した後、偏光ビームスプリッタPBSで反射され、シリンドリカルレンズCYを介して光検出器PDの受光面に収束する。そして、光検出器PDの出力信号を用いてBDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光検出器PD上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいてフォーカシングアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータACTが、半導体レーザLDからの光束をBDの情報記録面RL上に結像するように対物レンズOLを移動させるようになっている。
図3は、高密度光ディスクBD(第1光ディスク)、DVD(第2光ディスク)及びCD(第3光ディスク)の全てに対して情報の記録/再生を行える、第2の実施の形態にかかる光ピックアップ装置PU2の概略断面図である。尚、本実施の形態においては、第2半導体レーザLD2と第3半導体レーザLD3とは、同一基板上に隣接して配置され、波長が異なる2つのレーザを1つの光源ユニットとして一体化したユニット光源LUを構成している。
光ピックアップ装置PU2において、BDに対して情報の記録又は再生を行う場合には、図3において実線でその光線経路を描いたように、まず青紫色半導体レーザLD1を発光させる。青紫色半導体レーザLD1から射出された発散光束は、第1コリメートレンズCOL1により平行光束に変換された後、ダイクロイックプリズムDPにより反射され、偏光ビームスプリッタPBSを通過し、ビームエキスパンダEXPを構成する第1レンズEXP1及び第2レンズEXP2を透過することにより拡径された後、λ/4波長板QWPを透過し、図示しない絞りにより光束径が規制され、鏡枠Bにより光軸方向に固定された樹脂製の収差補正素子CLと対物レンズOLとからなる対物レンズユニットOUによってBDの保護層PL1を介して情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。対物レンズユニットOUは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACT1によってフォーカシングやトラッキングを行う。
情報記録面RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズユニットOU、λ/4波長板QWP、第2レンズEXP2、第1レンズEXP1を透過した後、偏光ビームスプリッタPBSで反射され、第3コリメートレンズCOL3を通過する際に収斂光束となり、センサーレンズSENにより非点収差が付加され、光検出器PDの受光面上に収束する。そして、光検出器PDの出力信号を用いてBDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU2において、DVDに対して情報の記録又は再生を行う場合には、ユニット光源LUの発光点EP1を発光させる。発光点EP1から射出された発散光束は、図3において破線でその光線経路を描いたように、第2コリメートレンズCOL2により平行光束に変換された後、ダイクロイックプリズムDP、偏光ビームスプリッタPBSを透過し、第1レンズEXP1、第2レンズEXP2を透過することにより拡径され、λ/4波長板QWPを透過し、対物レンズユニットOUによってDVDの保護層PL2を介して情報記録面RL2上に形成されるスポットとなる。対物レンズユニットOUは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACT1によってフォーカシングやトラッキングを行う。
情報記録面RL2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズユニットOU、λ/4波長板QWP、第2レンズEXP2、第1レンズEXP1を透過した後、偏光ビームスプリッタPBSで反射され、第3コリメートレンズCOL3を通過する際に収斂光束となり、センサーレンズSENにより非点収差が付加され、光検出器PDの受光面上に収束する。そして、光検出器PDの出力信号を用いてDVDに記録された情報を読み取ることができる。
また、光ピックアップ装置PU2において、CDに対して情報の記録又は再生を行う場合には、第1レンズEXP1と第2レンズEXP2の間隔がBDに対する情報の記録/再生時よりも狭くなるように、1軸アクチュエータACT2により光軸方向に第1レンズEXP1を駆動させた後、ユニット光源LUの発光点EP2を発光させる。発光点EP2から射出された発散光束は、図3において一点鎖線でその光線経路を描いたように、第2コリメートレンズCOL2により平行光束に変換された後、ダイクロイックプリズムDP、偏光ビームスプリッタPBSを透過し、第1レンズEXP1、第2レンズEXP2を透過することにより拡径され、λ/4波長板QWPを透過し、対物レンズユニットOUによってCDの保護層PL3を介して情報記録面RL3上に形成されるスポットとなる。対物レンズユニットOUは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACT1によってフォーカシングやトラッキングを行う。
情報記録面RL2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズユニットOU、λ/4波長板QWP、第2レンズEXP2、第1レンズEXP1を透過した後、偏光ビームスプリッタPBSで反射され、第3コリメートレンズCOL3を通過する際に収斂光束となり、センサーレンズSENにより非点収差が付加され、光検出器PDの受光面上に収束する。そして、光検出器PDの出力信号を用いてCDに記録された情報を読み取ることができる。
(実施例)
以下、本実施の形態に好適な実施例について説明する。実施例1〜6,9の対物レンズは第1の実施の形態の光ピックアップ装置に好適であり、実施例7,8,10の対物レンズは第2の実施の形態の光ピックアップ装置に好適である。尚、これ以降(表のレンズデータ含む)において、10のべき乗数(例えば、2.5×10-3)を、E(例えば、2.5E−03)を用いて表すものとする。
対物レンズユニットの収差補正素子や対物レンズの光学面は、それぞれ数1式に、表に示す係数を代入した数式で規定される、光軸の周りに軸対称な非球面に形成されている。
また、特に、第2の実施形態において、回折構造(位相構造)により各波長の光束に対して与えられる光路差は、数2式の光路差関数に、表に示す係数を代入した数式で規定される。
(実施例1)
実施例1のレンズデータ(樹脂製の対物レンズの焦点距離、像側開口数、倍率を含む)を表1に示す。
(実施例2)
実施例2のレンズデータ(樹脂製の対物レンズの焦点距離、像側開口数、倍率を含む)を表2に示す。
(実施例3)
実施例3のレンズデータ(ガラス製の対物レンズの焦点距離、像側開口数、倍率を含む)を表3に示す。
(実施例4)
実施例4のレンズデータ(ガラス製の対物レンズの焦点距離、像側開口数、倍率を含む)を表4に示す。
(実施例5)
実施例5のレンズデータ(ガラス製の対物レンズの焦点距離、像側開口数、倍率を含む)を表5に示す。
(実施例6)
実施例6のレンズデータ(ガラス製の対物レンズの焦点距離、像側開口数、倍率を含む)を表6に示す。
(実施例7)
実施例7のレンズデータ(ガラス製の対物レンズの焦点距離、像側開口数、倍率を含む)を表7に示す。実施例7において第2面、第3面よりなる光源側の収差補正素子(図3におけるCL)は樹脂製であり、両面とも平面に光路差関数が付与されている。ただし第2面、第3面は、光軸からの距離yが規定範囲の上限より大きい領域では光路差関数は付与されていない。この光路差関数は異なる情報記録媒体に対して互換をする際に、保護層の厚さの違いによって生じる球面収差を補正するものである。
(実施例8)
実施例8のレンズデータ(ガラス製の対物レンズの焦点距離、像側開口数、倍率を含む)を表8に示す。実施例8において第2面、第3面よりなる光源側の収差補正素子(図3におけるCL)は樹脂製であり、両面とも平面に光路差関数が付与されている。ただし第2面、第3面は、光軸からの距離yが規定範囲の上限より大きい領域では光路差関数は付与されていない。この光路差関数は異なる情報記録媒体に対して互換をする際に、保護層の厚さの違いによって生じる球面収差を補正するものである。
(実施例9)
実施例9のレンズデータ(ガラス製の対物レンズの焦点距離、像側開口数、倍率を含む)を表9に示す。
(実施例10)
実施例10のレンズデータ(ガラス製の対物レンズの焦点距離、像側開口数、倍率を含む)を表10に示す。実施例10において第2面、第3面よりなる光源側の収差補正素子(図3におけるCL)は樹脂製であり、両面とも平面に光路差関数が付与されている。この光路差関数は異なる情報記録媒体に対して互換をする際に、保護層の厚さの違いによって生じる球面収差を補正するものである。
実施例7,8において第2面に付与されている光路差関数は、波長λ1(本実施の形態では、λ1=408nm)の第1光束及び波長λ3(本実施の形態では、λ3=785nm)の第3光束を回折せず、波長λ2(本実施の形態では、λ2=658nm)の第2光束を回折するものであり、光軸を含む断面形状が階段状とされたパターンが同心円上に配列された構造であって、所定のレベル面(本実施の形態では5レベル面)の個数毎に、そのレベル面数に対応した段数分の高さだけ段をシフトさせた構造(本実施の形態においては4段シフトさせた構造)となっている。
階段構造の各段差Δ1は、Δ1=2・λ1/(n1−1)=1.468μmを満たす高さに設定されている。ここで、n1は波長λ1(本実施の形態ではλ1=408nm)における収差補正素子CLの屈折率である。
階段構造により第1光束に付加される光路差L1は2×λ1であるので、第1光束は階段構造により何ら作用を受けずにそのまま透過する。
また、段差Δ1により第3光束に付加される光路差N1は0.997×λ3≒1×λ3(本実施の形態ではλ3=785nm)であるので、第3光束も階段構造により何ら作用を受けずにそのまま透過する。
一方、段差Δ1により第2光束に付加される光路差M1は1.198×λ2≒1.20×λ2(本実施の形態ではλ2=658nm)であり、段差Δ1の前後のレベル面を通過する第2光束の位相差(光学的に等位相となる2πの整数倍分を差し引いた位相差)は2π×0.20となる。1つの鋸歯は5分割されているため、鋸歯1つ分ではちょうど第2光束の位相差は5×2π×0.20=2πとなり、1次回折光が発生する。
このように、階段構造は第2光束のみを選択的に回折させることにより、BDの保護層厚さとDVDの保護層厚さの違いによる球面収差を補正する。
尚、階段構造で発生する第1光束の0次回折光(透過光)の回折効率は100%、第2光束の1次回折光の回折効率は87.5%、第3光束の0次回折光(透過光)の回折効率は100%であり、何れの光束に対しても高い回折効率を得ている。
実施例7,8において第3面に付与されている光路差関数は、第1光束及び第2光束を回折せず、第3光束を回折するものであり、同じ深さの溝が光軸を中心として同心円状に複数配列された構造(バイナリ構造)となっている。
バイナリ構造の各段差Δ2は、Δ2=5・λ1/(n1−1)=3.670μmを満たす高さに設定されている。ここで、n1は波長λ1における収差補正素子CLの屈折率である。
段差Δ2により第1光束に付加される光路差L2は5×λ1であるので、第1光束はバイナリ構造により何ら作用を受けずにそのまま透過する。
また、段差Δ2により第2光束に付加される光路差M2は2.994×λ2≒3×λ2であるので、第2光束もバイナリ構造によりほとんど作用を受けずにそのまま透過する。
一方、段差Δ2によりにより第3光束に付加される光路差N2は2.493×λ3=2.5×λ3であり、段差Δ2の前後のレベル面を通過する第3光束の位相差(光学的に等位相となる2πの整数倍分を差し引いた位相差)は2π×0.5となる。バイナリ構造1つ分ではちょうど第3光束の位相差は2×2π×0.5=2πとなり、1次回折光が発生する。
このように、バイナリ構造は第3光束のみを選択的に回折させることにより、BDの保護層厚さとCDの保護層厚さの違いによる球面収差を補正する。
尚、バイナリ構造で発生する第1光束の0次回折光(透過光)の回折効率は100%、第2光束の0次回折光(透過光)の回折効率は100%、第3光束の1次回折光の回折効率は40.5%である。
各実施例に関して、上述の式(1)〜(3)に対応する値を表11にまとめて示す。
本発明における実施例と従来例を屈折率 n と d/f の観点から比較したグラフである。 本実施の形態にかかる光ピックアップ装置の概略断面図である。 本実施の形態にかかる互換光ピックアップ装置の概略断面図である。
符号の説明
ACT アクチュエータ
ACT1 第1のアクチュエータ
ACT2 第2のアクチュエータ
CL 収差補正素子
COL コリメータ
COL1 第1のコリメータ
COL2 第2のコリメータ
COL3 第3のコリメータ
CY シリンドリカルレンズ
DP ダイクロイックプリズム
EP1 第1発光点
EP2 第2発光点
LD 半導体レーザ
LD1 第1半導体レーザ
LU ユニット光源
OL 対物レンズ
OU 対物レンズユニット
PBS 偏光ビームスプリッタ
PD 光検出器
PL 光ディスクの保護層
PL1 第1光ディスクの保護層
PL2 第2光ディスクの保護層
PL3 第3光ディスクの保護層
PU1 光ピックアップ装置
PU2 光ピックアップ装置
QWP λ/4波長板
RL 情報記録面
RL1 第1光ディスクの情報記録面
RL2 第2光ディスクの情報記録面
RL3 第3光ディスクの情報記録面
SEN センサーレンズ

Claims (11)

  1. 光源からの波長λ1(380nm<λ1<420nm)の光束のみを光情報記録媒体の情報記録面に集光することにより情報の記録及び/または再生を行う光ピックアップ装置用の対物レンズであって、
    前記対物レンズは、少なくとも1つの面が非球面である単玉レンズであり、
    光源側の有効径をφ(mm)、光軸上の厚さをd(mm)、焦点距離をf(mm)、像側の開口数をNA、及び前記波長λ1における屈折率をnとしたときに、次式を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。
    2.0≦φ≦2.8 (1)
    1.5<n<1.8 (2)
    0.7<d/f<1.1 (3)
    0.8<NA<0.9 (4)
    −1.17n+2.8<d/f<−0.59n+2.0 (5)
  2. 前記対物レンズは、少なくとも1つの面が非球面である単玉屈折レンズであることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  3. 次式を満たすことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
    1.5<n<1.75 (6)
  4. 前記対物レンズはワーキングディスタンスをWD(mm)としたときに、次式を満たすことを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
    0.515≦WD≦0.658 (7)
  5. 次式を満たすことを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
    0.9≦d/f≦1.092 (8)
  6. 次式を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
    1.55<n<1.8 (9)
  7. 前記対物レンズはガラス製であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  8. 次式を満たすことを特徴とする請求項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
    1.55<n<1.75 (10)
  9. 前記対物レンズは樹脂製であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  10. 前記光情報記録媒体は複層の情報記録面を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  11. 波長λ1(380nm<λ1<420nm)の光束を出射する第1光源と、請求項1〜10のいずれかに記載の光ピックアップ装置用の対物レンズとを有し、前記波長λ1の光束を、前記対物レンズを介して厚さt1の保護層を有する第1光情報記録媒体の情報記録面に対して集光させることにより情報の記録又は再生を行うことを特徴とする光ピックアップ装置。
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