JP4992147B2 - 二重ばねを有するワンショット注射器 - Google Patents

Description

本発明は注射装置に関し、特に、高い粘性を有する流体状の薬剤を取り扱うことが可能な注射装置に関するものである。

本発明は、薬剤や、たとえば美容整形上の処置に用いられるような他の種類の流体を射出するための注射装置に関している。

この種の薬品は高い粘性を有することが多く、そのために、流体を押し出して中空の針を通して注射する際に、強い力が要求される。

自動化された注射機能を有する自動注射器は多くの場合、螺旋状に巻かれた圧縮ばねとともに動作し、そのばねはプランジャロッドに作用し、それがまた薬剤容器の内側においてストッパーに作用し、それによって、薬剤が、取り付けられた針を通って放出される。ばねの他の端は、多くの場合装置のハウジングの内側端部表面に当接するため、ハウジングはばねの力に耐えうる寸法でなければならない。

このことは、粘性の高い流体を取り扱うときは、薬剤を放出するために強い力を要することから、より顕著なものとなる。その上、巻かれたばねの直径および針金の線径の両方が極めて大きくなる。ばねが大きくなると装置が大きくなり、そのような装置の大きさを許容できない用途や顧客もある。

文献ＷＯ９４２１３１６は、互いに協働して作動する直径の異なる２つのコイルばねを配設した注射装置を開示する。２つのばねを有するという考えは、駆動部材のかなり長い動程に対処するものであり、これは、ひとつのばねでは、完全に押し付けたときにゆがみが生じる傾向あり、また、装置の内側の部品と絡み合うため、困難であろう。

二重ばね配列とともに、１つのばねが端板と細長いカップの底との間に配設される。カップはまた外に向かってフランジを有し、第２のばねが、このフランジと、円筒状の駆動部材を横切る壁との間で作動する。

この設計は、長い動程に対処するために用いることができるが、より大きな力を要する場合には利用できない。媒介カップのために、２つのばねの力を加えることはできない。後方のばねがカップを前方に移動させ、それに伴って前方のばねも移動するため、前方のばねは駆動部材に作用する。このことは、後方のばねは、前方のばねの力のためにカップが後方へ移動しない程度に、高い強度を有していなければならないことを意味する。

本発明の目的は、注射器の大きさを何ら実質的に大きくすることなく、高い粘性を有する液体の射出に対処することが可能な注射器を提供することである。

この目的は、請求項１に記載の特徴を有する注射器により達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項の主題として記載される。

本発明の主要な局面によれば、本発明は、概ね細長いハウジングと、医薬を入れるため
に用いられるとともに、内部に密封状態で摺動可能に配設されたストッパーを含む容器と、エネルギ蓄積手段と、前記ストッパーと接触する外側前端が設けられた駆動手段とを備え、前記エネルギ蓄積手段からの力が駆動手段に作用するときに、ストッパーが容器の前端に向かって移動し、医薬を射出する医薬投与装置であって、前記エネルギ蓄積手段が、駆動手段内において、前記駆動手段の内壁と装置の後方固定部との間に配設された少なくとも２つの荷重ばねを備える医薬用投与装置によって特徴付けられる。

本発明の他の局面によれば、前記駆動手段が、その後端に円柱状空間を形成する管状拡大部を有する管状プランジャロッドである。

本発明のさらなる局面によれば、１つの荷重ばね手段前記管状プランジャロッドの内側に配設され、少なくとも第２の荷重ばねが前記管状拡大部の内側に配設されている。

本発明のさらに他の局面によれば、負荷状態において前記少なくとも２つの荷重ばね手段を保持するために前記駆動手段に作用することが可能な保持手段をさらに備える。

本発明のさらなる局面によれば、前記駆動手段を解除するために前記保持手段に作用し、それによって前記少なくとも２つの負荷をかけられた荷重ばね手段を解除する作動手段（５４）をさらに備える。

本発明のさらに他の局面によれば、前記ハウジング内で摺動可能に配された針シールドをさらに備え、該針シールドは、前記針シールドが注射部位に押し付けされるときに、前記作動手段に作用することが可能である。

本発明のさらに他の局面によれば、さらに、前記作動手段が、前記装置が注射部位から外されるときに、前記針シールドを前記装置の前端に向かって押し付ける、弾力手段をさらに備える。

本発明は種々の利点を有する。装置に少なくとも２つのばね力手段を設けているので、非常に大きな単一のばねを用いることを必要とすることなく、大きな力を得ることができる。この装置によれば、このように、大きく嵩張ることによりユーザにとってあまり魅力がなくなるような装置を用いることなく、高い粘性を有する液状の薬剤を取り扱うことが可能となる。

好ましくはプランジャロッドの内側に１つのばね力手段が配設され、第２のばね力手段がプランジャロッドの外側に配設されるため、装置のサイズを妥当な大きさの範囲内に維持することができる。

また好ましくは、注射器は自動的な貫通および注射機能を備え、これらの機能は、針シールドが注射部位に対して押し付けられることによって作動する。

本発明の利点のこれらの局面および他の局面は、以下の詳細な説明および添付図面により明らかとなる。

以下の詳細な発明の説明において、添付の次の図面を参照する。
１ａ，１ｂは、本発明の注射器の、ユーザに納入される状態の断面図であり、すべての図において、ｂの断面はａの断面に対して９０°をなしている。 ２ａ，２ｂは、図１に示す注射器の、使用の準備ができた状態の断面図である。 ３ａ，３ｂは、図１に示す注射器の、貫通を開始した状態の断面図である。 ４ａ，４ｂは、図１に示す注射器の、貫通が完了した状態の断面図である。 ５ａ，５ｂは、図１に示す注射器の、注射が完了した状態の断面図である。 ６ａ，６ｂは、図１に示す注射器の、注射部位から退避した状態の断面図である。

発明の詳細な説明
図に示す実施形態の注射器は、各図の左側に前端１２を有し、その反対側に後端１４を有する細長いハウジング１０を備え、このハウジング前端１２が、後述するように、使用中に注射部位に押し付けられる。ハウジングの前端には、概ね管状の針シールド１６が摺動可能に配設されている。針シールドの後端は、後述する態様でハウジングの後部に延びている。

針シールドの内部には、薬剤容器ホルダ１８が設けられ、この容器ホルダの内部には、たとえばカートリッジまたはシリンジなどの容器２０が配されており、この容器２０には、それに取り付けられた針を通して投与される薬剤が入れられる。

容器ホルダの後方部には、内側を向いた棚状突起２６を有する舌片２４が設けられている。これらの棚状突起は概ね管状の部分３０の外側を向いた円周状の棚状突起２８と協働し、これらの部品間のスナップ嵌合を生じさせる。その管状の部分の後端には、内側を向いた環状の棚状突起３２が設けられている。

その筒状の部分の内部には、薬剤容器内でストッパー３６と接する前端を有する、たとえば管状プランジャロッドなどの駆動手段３４が設けられている。管状プランジャロッドの内部には、管状プランジャロッドの前端の内壁とハウジングの後部内壁との間に、たとえば第１コイル駆動ばねなどの第１エネルギ蓄積手段３８が設けられている。管状プランジャロッドには、円柱状空間を形成する概ね管状の拡張部４０が設けられ、その円柱状空間の中には、その前端内壁とハウジングの後部内壁との間に、たとえば第２コイル駆動ばねなどの第２エネルギ蓄積部材４２が設けられている。管状拡張部の外側表面には、外周溝４４が設けられている。

プランジャロッドの管状拡張部の外側には、概ね管状の保持スリーブ４６が設けられている。保持スリーブの一部には、いくつかの細長いスロットが設けられ、それにより、スロット間にアーム４８が形成されている。アームの端には、外側を向いた棚状突起５２および内側を向いた棚状突起５０が設けられている。

保持スリープの外側には、保持スリープのアームの断面計測値よりもやや大きい直径を有する、作動スリーブ５４が設けられている。作動スリーブの外周には棚状突起５６が設けられており、針シールドの舌片５８がその棚状突起の後方の空間にスナップ嵌合し、それによって、針シールドが作動スリーブに固定される。作動スリーブには、後方に面する棚状突起６０がさらに設けられ、たとえばコイルばねなどの弾力性手段６２が、その棚状突起と保持スリーブの外周棚状突起６４との間に設けられており、これにより、作動スリーブおよび針シールドが装置の前方に向かって押し付けられる。

装置は、次のように機能することが意図される。装置がユーザに届くときには、保護キャップ７０が装置の前端に配設されている。保護キャップは、針を滅菌状態で覆う管状シース７２を備える。キャップが外されると、シースも外れる。これにより、針シールド１６も前方に移動し、図２に示すように注射器の前端において多少突き出す。

注射器はこれで使用可能な状態になる。針シールド１６の前端が注射部位に押し付けられ、これによって、図３に示すように、針シールドが装置のハウジング内に押し込まれる。針シールドは作動スリーブ５４に接続されるため、作動スリーブはハウジング内を後方へ移動する。

作動スリーブのその動きは、作動スリーブを、保持部材４６のアーム４８の外側に突き出した棚状突起５２を越えて移動させる。アームがこのように自由に径方向に曲がることにより、アームの内側を向いた棚状突起が、管状プランジャロッド３４の筒状部４０の溝４４との把持係合状態から外れる。その結果、管状プランジャロッドが、管状プランジャロッドに対して共に作用する第１および第２駆動ばね３８，４２の力によって自由に前進できる状態になる。管状部３０の内側を向いた棚状突起３２は、なおも管状プランジャロッドの溝４４内に位置し、管状部が容器ホルダ１８に接続されるため、図４に示すように、それらはばねの力によって前方へ移動する。容器ホルダがある距離移動して針が貫通すると、容器ホルダはハウジング内に配された係止棚７４に当接する。しかしながらばねの力は、管状プランジャロッドをさらに前方へ移動させ、それによって、内側を向いた棚状突起３２は、図５に示すように、管状プランジャロッド３４の環状溝４４との係合から外れる。

管状プランジャロッド３４がさらに移動することにより、薬剤容器の内側のストッパー３６が移動し、これによって、二重のばね３８，４２からの押圧力が薬剤を針２２の通路を通って押し出し、患者の組織内に注射される。注射は、ストッパーが容器の前端にあるとき、および／または、管状プランジャロッドの管状部の前端が容器の後端壁に接触するときに完了する。

この時点で装置を注射部位から外してもよい。作動スリーブ５４に作用するばね６２は、針シールドが作動スリーブに接続されるため、図６のように針シールドを前方に移動させ、それによって針を覆う。このようにして、装置は、廃棄してよい状態となる。

以上述べられ、図面に示された実施形態は、本発明の限定されない実施例に過ぎないと見なされ、また、特許請求の範囲の記載の範囲内で変更されうるものと理解されるべきである。

Claims (5)

1. 概ね細長いハウジング（１０）と、医薬を入れるために用いられるとともに、内部に密封状態で摺動可能に配設されたストッパーを含む容器（２０）と、エネルギ蓄積手段と、前記ストッパーと接触する外側前端が設けられた管状プランジャロッド（３４）とを備え、前記エネルギ蓄積手段からの力が前記管状プランジャロッドに作用するときに、前記ストッパーが前記容器の前記前端に向かって移動し、医薬を射出する医薬投与装置であって、前記エネルギ蓄積手段が、前記管状プランジャロッド（３４）内において、該管状プランジャロッド（３４）の内壁と装置の後方固定部との間に配設された少なくとも２つの駆動ばね（３８，４２）を備え、前記管状プランジャロッドはその後端に円筒状空間を形成する管状拡大部（４０）を有し、１つの駆動ばねが前記管状プランジャロッドの内側に配設され、少なくとも第２の駆動ばねが前記管状拡大部の内側に配設されている、医薬用投与装置。
2. 負荷状態において前記少なくとも２つの駆動ばねを保持するために前記管状プランジャロッドに作用することが可能な保持部材（４６）をさらに備える、請求項１に記載の医薬用装置。
3. 前記管状プランジャロッドを解除するために前記保持部材に作用し、それによって前記少なくとも２つの負荷をかけられた駆動ばねを解除する作動スリーブ（５４）をさらに備える、請求項２に記載の医薬用装置。
4. 前記ハウジング内で摺動可能に配された針シールド（１６）をさらに備え、該針シールドは、前記針シールドが注射部位に押し付けられるときに、前記作動スリーブに作用することが可能である、請求項３に記載の医薬用装置。
5. 前記作動スリーブは、前記装置が注射部位から外されるときに、前記針シールドを前記装置の前端に向かって押し付ける、コイルばね（６２）をさらに備える、請求項４に記載の医薬用装置。

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