JP4992076B2 - 股関節運動シミュレータ - Google Patents
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Description
このため、人工股関節が脱臼するメカニズムが未だに解明されておらず、股関節の動きを正確に再現できるシミュレータの開発が望まれている。
特に、骨盤及び大腿骨の形状には個性があり、患者によって骨盤の寛骨臼に対する大腿骨の大腿骨頭の取り付け角度が異なっており、シミュレータは各患者に対応した様々な股関節の動きが再現できる必要がある。
図1はこの発明を実施するための第1の実施形態における股関節運動シミュレータを示す概略構成図、図2(a)は骨盤モデル駆動機構のリンク部の前面図、図2(b)は骨盤モデル駆動機構の左側面図、図2(c)は骨盤モデル駆動機構のリンク部の上面図、図3は身体運動計測を説明するための説明図、図4は生体力学解析を説明するための説明図、図5(a)は歩行時の股関節角度の推移例を示したグラフ、図5(b)は歩行時の関節間力の推移例を示したグラフ、図6は図1に示す股関節運動シミュレータの制御部の制御を示すブロック線図、図7(a)はリンクの長さの推移例を示したグラフ、図7(b)はリンクに働く力の推移例を示したグラフ、図8は患者の股関節に股関節運動シミュレータを対応させた状態を示した説明図である。
また、この第1の実施形態においては、骨盤モデル駆動機構40として、パラレルリンクロボット機構を用いたが、大腿骨モデル1の外転及び内転運動並びに外旋及び内旋運動を再現することができるのであれば、この駆動機構に限られるものではない。
なお、リンク43による6自由度の再現にはリンク43の延び縮みだけでなく角度も関係するが、図2においては、角度の説明は省略する。
また、図2(a)において、紙面に対して、手前側を前側、奥側を後側とし、紙面の上下左右をそれぞれ上側、下側、左側、右側として、定義する。
また、6本のリンク43をそれぞれ、図2(a)において、左側のリンク43aから反時計回りに、リンク43a、リンク43b、リンク43c、リンク43d、リンク43e、リンク43fとする。
さらに、左側面図である図2(b)は、リンク43aの後側にリンク43b、リンク43eの後側にリンク43d、リンク43fの後側にリンク43c、をそれぞれ配置しているために、3本のリンクのみ図示している。
また、左右の動きであるが、リンク43a、リンク43c及びリンク43dが伸び、リンク43b、リンク43e及びリンク43fが縮むことで、左側への動きを再現し、リンク43b、リンク43e及びリンク43fが伸び、リンク43a、リンク43c及びリンク43dが縮むことで、右側への動きを再現する。
また、上下の動きであるが、すべてのリンク43a、リンク43b、リンク43c、リンク43d、リンク43e及びリンク43fが伸びることで、上側への動きを再現し、すべてのリンク43a、リンク43b、リンク43c、リンク43d、リンク43e及びリンク43fが縮むことで、下側への動きを再現する。
さらに、左右ロールの動きであるが、リンク43b、リンク43c及びリンク43dが伸び、リンク43a、リンク43e及びリンク43fが縮むことで、左ロールの動きを再現し、リンク43a、リンク43e及びリンク43fが伸び、リンク43b、リンク43c及びリンク43dが縮むことで、右ロールの動きを再現する。
また、左右ヨーの動きであるが、リンク43b、リンク43d及びリンク43fが伸び、リンク43a、リンク43c及びリンク43eが縮むことで、左ヨーの動きを再現し、リンク43a、リンク43c及びリンク43eが伸び、リンク43b、リンク43d及びリンク43fが縮むことで、右ヨーの動きを再現する。
このように、前後、左右、上下の3自由度では、再現できる動きは直進運動のみであるが、パラレルリンクロボット機構は、回転運動のロール、ピッチ、ヨーを加えた6自由度、およびこれらの6自由度を組み合わせることで、様々な動きを再現することができる。
ここで、股関節の運動には、屈曲と伸展、内転と外転、内旋と外旋がある。屈曲と伸展は、矢状面に対して行われる運動で、関節を構成する骨の間の角度が小さくなる運動を屈曲、大きくなる運動を伸展という。また、内転と外転は、正中面に対して行われる運動で、正中面から遠ざかる運動を外転、近づく運動を内転という。また、内旋と外旋は、正中軸に対して行われる運動で、内方に動かす運動を内旋、外方に動かす運動を外旋という。
また、股関節の可動域の正常値として、屈曲運動は0°〜125°、伸展運動は0°〜15°、内転運動は0°〜20°、外転、外旋及び内旋運動は0°〜45°の範囲を有し、屈曲及び伸展運動は外転及び内転運動並びに外旋及び内旋運動と比較して可動域が極めて広い。
力センサ3は、骨盤モデル駆動機構40の骨盤モデル固定部42と骨盤モデル2との間に配設され、大腿骨モデル1の大腿骨頭1a及び骨盤モデル2の寛骨臼2a間に生じる関節間力を検出する。
まず、図3に示すように、2台以上の図示しないカメラを使用して、被験者4の体表面に取り付けた体表マーカ5の三次元運動軌跡を計測すると同時に、床反力計6を使用して身体に作用する床からの反力(床反力7)を計測する(ステップ1:身体運動計測)。
つぎに、図4及び図5に示すように、ステップ1における計測結果に基づいて、骨盤8に対する大腿骨9の相対角度θ[deg](以下、股関節角度θと称す)と関節間力f[N]をモデル解析により算出する(ステップ2:生体力学解析)。
なお、ステップ1及びステップ2において、大腿骨モデル1及び骨盤モデル2に与えるデータを被験者4から取得したが、既存の公表計測データを採用してもよい。
つぎに、図6及び図7に示すように、前述した股関節運動シミュレータ10のサーボモータ31aとリニアアクチュエータ45の位置と力を同時に制御して、ステップ2で算出した股関節角度θと関節間力fを股関節運動シミュレータ10で再現する(ステップ3:位置と力のハイブリット制御)。
図6に示すように、ステップ2で算出した股関節角度θ及び関節間力fのデータのうち、外転及び内転運動(Abd/Add)方向に対応するX軸におけるなす角θAbd/Add及び分力Fxのデータを股関節角度θt及び関節間力ftとして制御部50にそれぞれ同時に入力する。また、屈曲及び伸展運動(Flex/Ext)方向に対応するY軸におけるなす角θFlex/Ext及び分力Fyのデータを股関節角度θt及び関節間力ftとして制御部50にそれぞれ同時に入力する。また、外旋及び内旋運動(OR/IR)方向に対応するZ軸におけるなす角θOR/IR及び分力Fzのデータを股関節角度θt及び関節間力ftとして制御部50にそれぞれ同時に入力する。すなわち、各軸に対応する股関節角度及び関節間力のデータを各軸間でパラレルに入力する。
また、力センサ3によって、関節間力fを検出し、検出した関節間力fを主フィードバック量として、基準入力である関節間力ftにフィードバックする。
また、股関節の運動及び関節間力を正確に再現することで、実際の日常生活動作と同じ条件で、人工股関節の耐久試験や摩耗試験を実施することができる。
1a 大腿骨頭
2 骨盤モデル
2a 寛骨臼
3 力センサ
4 被験者
5 体表マーカ
6 床反力計
7 床反力
8 骨盤
9 大腿骨
10 股関節運動シミュレータ
30 大腿骨モデル駆動機構
31a サーボモータ
31b 中心軸
32 連結部
40 骨盤モデル駆動機構
41 基板
42 骨盤モデル固定部
43,43a,43b,43c,43d,43e,43f リンク
44 ジョイント
45 リニアアクチュエータ
46 エンコーダ
50 制御部
51 位置制御則
52 逆動力学
53 力制御則
54 座標変換
55 運動学
Claims (5)
- 大腿骨のうち少なくとも大腿骨頭を型取った大腿骨モデルと、骨盤のうち少なくとも寛骨臼を型取った骨盤モデルとを用いて股関節の運動を再現するための股関節運動シミュレータにおいて、
前記股関節における足の屈曲及び伸展運動を再現するために前記大腿骨モデルを動かす大腿骨モデル駆動機構と、
前記股関節における関節間力並びに足の外転及び内転運動並びに外旋及び内旋運動を再現するために前記骨盤モデルを動かす骨盤モデル駆動機構と、
前記股関節の運動及び関節間力を再現するために前記大腿骨モデル駆動機構及び骨盤モデル駆動機構を同時に駆動するように制御する制御部と
を備えたことを特徴とする股関節運動シミュレータ。 - 前記請求項1に記載の股関節運動シミュレータにおいて、
前記大腿骨モデル駆動機構は、回転又は往復運動を中心軸に生じさせるサーボモータ、前記サーボモータの中心軸と前記大腿骨モデルとを繋ぐ連結部からなり、
前記サーボモータによる回転又は往復運動により前記大腿骨モデルを往復運動させることを特徴とする股関節運動シミュレータ。 - 前記請求項1又は2に記載の股関節運動シミュレータにおいて、
前記骨盤モデル駆動機構は、基台、前記骨盤モデルが固定される骨盤モデル固定部、前記基台及び骨盤モデル固定部を相互に異なる6箇所で支持する6本のリンク、前記リンクの両端に配設され前記基台及び骨盤モデル固定部に前記リンクを結合するジョイント、6本の前記リンクのそれぞれに対応して配設され対応するリンクを当該リンクの長手方向に伸縮されるリニアアクチュエータからなり、
6本の前記リンクをそれぞれ独立に動かすことにより前記基台に対する前記骨盤モデル固定部の位置及び姿勢を動かすことを特徴とする股関節運動シミュレータ。 - 請求項3に記載の股関節運動シミュレータにおいて、
前記大腿骨モデルの大腿骨頭及び前記骨盤モデルの寛骨臼間に生じる関節間力を検出する力センサと、前記リンクの長さを検出するエンコーダとを備え、
検出した前記関節間力をフィードバックすることで、所望の関節間力となるように前記大腿骨モデル駆動機構及び骨盤モデル駆動機構を制御し、
検出した前記リンクの長さに基づいて前記骨盤モデルの寛骨臼に対する前記大腿骨モデルの大腿骨頭の相対角度を算出し、当該相対角度をフィードバックすることで、所望の股関節角度となるように前記大腿骨モデル駆動機構及び骨盤モデル駆動機構を制御することを特徴とする股関節運動シミュレータ。
- 請求項1乃至4に記載の股関節運動シミュレータにおいて、
前記大腿骨モデルと前記骨盤モデルとの摺接面である前記大腿骨頭又は寛骨臼に圧力センサを埋設したことを特徴とする股関節運動シミュレータ。
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