JP4991361B2 - 回転工具 - Google Patents

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Description

本発明は基体の表面に被覆層を成膜してなる回転工具に関する。
現在、フライス切削用切削工具やドリル、エンドミルといった回転工具では耐摩耗性および耐欠損性が必要とされるため、硬質基体の表面に様々な被覆層を成膜して回転工具の耐摩耗性と耐欠損性を向上させる手法が使われている。
例えば、特許文献1では、基体表面の硬質被覆膜の成膜条件を調整してTiAlN系の硬質被膜中に存在する膜厚以上の大きさを持った粗大粒子を低減することによって、フライス加工や溝入れ加工用のホルダ付き切削工具として用いた場合に被削材の耐溶着性や耐摩耗性が改善されることが開示されている。また、特許文献2では、ドリルやエンドミル等の工具に用いられる硬質膜として、TiAlMN系被覆層を成膜した後に加熱酸化処理を施して、TiAlMN系の素地中にTi酸化物、Al酸化物およびM酸化物等が分散分布した組織とすることによって、被覆膜の耐摩耗性が向上することが開示されている。さらに、特許文献3では、TiAlN系硬質膜中に、膜の素地と組成比率の異なるTiAlN複合窒化物分散粒子や、膜の素地と異なる元素を含むTiAlVN、TiAlZrN、TiAlCrN等の分散粒子を分散させて膜を強化した複合硬質膜が記載され、素地と分散粒子が同種の結晶構造であるために特性向上のシナジー効果を発揮させることができることが開示され、フライス切削における性能が向上したことが記載されている。
特開2002−346812号公報 特開平10−251831号公報 特開2002−129306号公報
しかしながら、上記特許文献1のような粗大粒子を低減した被覆層では、被覆層表面の平滑性が高くなって被削材の溶着抑制や耐摩耗性向上の効果はあるものの、被覆層の耐欠損性が低くなってしまうとともに被覆層中に大きな残留応力が発生してしまい、被覆層自身が自己破壊してしまう恐れがあった。また、特許文献2のように、Ti酸化物、Al酸化物およびM酸化物等が分散した被覆層では、素地と分散粒子との間に脆弱な窒酸化物や炭窒酸化物が生じて被覆層の強度や靭性が低下するという問題があった。さらに、特許文献3のように、TiAlNの素地中にTiAlVN、TiAlZrN、TiAlCrNの分散粒子を分散させて膜を強化した複合硬質膜でも、被覆層の耐欠損性は向上するものの十分でなく、また、残留応力が依然として高くて残留応力を低減する必要があった。
そこで、本発明の表面被覆工具は、上記問題を解決するためのものであり、その目的は、耐摩耗性が高く、かつ高い耐欠損性を有する回転工具を提供することである。
本発明の回転工具は、基体の表面に被覆層が被覆され、中心軸線周りに回転する工具本体の先端面および外周面の少なくとも一方にすくい面と逃げ面との交線である切刃が少な
くとも1つ設けられてなり、前記被覆層の表面に複数のマクロ粒子が突出し、前記中心軸線に垂直な断面において、前記マクロ粒子の長軸と、前記基体と前記被覆層との界面に平行な直線からの垂線との交わる角度の平均値を、前記切刃から遠ざかる方向への傾き度合いを示す平均傾き角度としたとき、前記すくい面における前記マクロ粒子の平均傾き角度が、前記逃げ面における前記マクロ粒子の平均傾き角度よりも大きいものである。
また、上記構成において、前記断面の前記すくい面における前記マクロ粒子の平均傾き角度が5〜20°であることが望ましく、前記断面の前記逃げ面における前記マクロ粒子の平均傾き角度が0〜5°であることが望ましい。
さらに、上記構成において、前記すくい面における前記マクロ粒子の面積比率が、前記逃げ面における前記マクロ粒子の面積比率に比べて小さいことが望ましい。
このとき、上記構成において、前記すくい面における前記マクロ粒子の面積比率が2〜10面積%であり、前記逃げ面における前記マクロ粒子の面積比率が10〜30面積%であることが望ましい。
また、上記構成において、前記被覆層が、Ti1−a−bAlab(Cx1−x)(ただし、MはTiを除く周期表4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上、0.40≦a≦0.65、0≦b≦0.5、0≦x≦1)からなることが望ましい。
本発明の回転工具によれば、すくい面におけるマクロ粒子が切刃から遠ざかる方向への傾き度合いを示す平均傾き角度が、逃げ面におけるマクロ粒子の平均傾き角度よりも大きいことにより、すくい面を通過する切屑の衝撃が分散してかかることになりマクロ粒子が脱落することを抑制できて耐チッピング性が向上する。また、すくい面におけるマクロ
粒子の形状が切屑の流れを妨げない滑らかな形状となるので、被覆層の切屑に対する摩擦が低下して切屑の排出性が改善されるとともに切屑の溶着も抑制できる。
また、逃げ面においては、マクロ粒子がこすれ摩耗により脱落するのを抑制して、逃げ面での耐摩耗性を高めることができる。このとき、すくい面におけるマクロ粒子の平均傾き角度が5〜20°であること、逃げ面におけるマクロ粒子の平均傾き角度が0〜5°であることが望ましい。
また、前記すくい面に突出する前記マクロ粒子の面積比率が、前記逃げ面に突出する前記マクロ粒子の面積比率に比べて少ない構成であれば、すくい面における切屑の流れを妨げず切削抵抗が大きくなることを抑制できるとともに、逃げ面において各マクロ粒子にかかる応力を小さくしマクロ粒子がこすれ摩耗により脱落するのを抑制して、逃げ面での耐摩耗性を高めることができる。なお、すくい面に突出するマクロ粒子の面積比率が2〜10面積%であり、逃げ面に突出する前記マクロ粒子の面積比率が10〜30面積%であることが、すくい面における切削抵抗を低減できるとともに逃げ面における耐摩耗性を向上できる点でより望ましい。
また、前記被覆層が、Ti1−a−bAlab(Cx1−x)(ただし、MはTiを除く周期表4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上、0.40≦a≦0.65、0≦b≦0.5、0≦x≦1)からなることが、被覆層の耐摩耗性および耐酸化性を向上させる点で望ましい。
本発明の回転工具の好適例であるソリッドエンドミルの一例について(a)概略側面図、(b)中心軸に垂直なB−B断面における概略断面図である図1、並びに図1(b)の断面における、(a)すくい面、(b)逃げ面透過型電子顕微鏡(TEM)写真である図2を基に説明する。
図1によれば、エンドミル1は、中心軸線周りに回転する回転軸線Aを有する円柱状のエンドミル本体2の先端面および外周面の少なくとも一方に切刃が少なくとも1つ設けられた(図1では先端面に半径方向に延びる底刃3と、底刃3の外周端部であるコーナー部4からエンドミル本体2の外周部5に延びる外周刃6が設けられている。)形状からなる。なお、エンドミル本体2は切削加工機のチャック(図示せず)等に固定されて保持される。また、エンドミル1は、図1(b)の中心軸に垂直なB−B断面図に示すように、基体9の表面に被覆層10を被覆したものである。
そして、図2(a)に示すように、被覆層10の表面に複数のマクロ粒子11が切刃から遠ざかる方向に傾いて突出しており、切刃である底刃3と外周刃6に続くすくい面13においてマクロ粒子11の長軸と、基体9と被覆層10との界面に平行な直線Cからの垂線との交わる角度(θ r1 、θ r2 の平均値を、切刃から遠ざかる方向への傾き度合いを示す平均傾き角度(θ )としたとき5〜20°であることが望ましい
これによって、マクロ粒子11が基体9と被覆層10との界面の垂線方向に突出する場合に比べてすくい面13を通過する切屑の衝撃が分散してかかることになり、マクロ粒子11が脱落することを抑制できて耐チッピング性が向上する。また、マクロ粒子11の形状が切屑の流れを妨げない滑らかな形状となるので、被覆層10の切屑に対する摩擦が低下して切屑の排出性が改善されるとともに切屑の溶着も抑制できる。
ここで、すくい面13におけるマクロ粒子11の平均傾き角度θ は、逃げ面15におけるマクロ粒子11の平均傾き角度(θ)よりも大き、望ましくは逃げ面15における平均傾き角度(θ)が0〜5°であることが、逃げ面15においてマクロ粒子11がこすれ摩耗により脱落するのを抑制して、逃げ面15での耐摩耗性を高めることができるために望ましい。
また、すくい面13に突出するマクロ粒子11の面積比率が、逃げ面15に突出するマクロ粒子11の面積比率に比べて小さい構成であれば、すくい面13における切屑の流れを妨げず切削抵抗が大きくなることを抑制できるとともに、逃げ面15において各マクロ粒子11に集中してかかる応力を分散してマクロ粒子11がこすれ摩耗により脱落するのを抑制して、逃げ面15での耐摩耗性を高めることができる。なお、すくい面13に存在するマクロ粒子11のすくい面13における面積比率が2〜10面積%であり、被覆層10の逃げ面15表面に存在するマクロ粒子11の逃げ面15における面積比率が10〜30面積%であることが、すくい面13における切削抵抗の低減と逃げ面15における耐摩耗性の向上の点でより望ましい。
なお、上記構成によって、被覆層10の内部に発生する残留応力を低減できて被覆層10の厚みを厚くしても自己破壊することなく安定した成膜が可能であるとともに、被覆層10の靭性が高くて耐欠損性が向上する。そのため、上記被覆層10は厚膜化しても被覆層10がチッピングしにくく、被覆層10の膜厚が0.5〜6μmであっても、被覆層10が剥離やチッピングすることを防止できて十分な耐摩耗性を維持することができる。
また、被覆層10の組成については、Ti1−a−bAlab(Cx1−x)(ただし、MはTiを除く周期表4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上、0.40≦a≦0.65、0≦b≦0.5、0≦x≦1)からなることが硬度および耐酸化性向上の点で望ましく、中でも、Ti1−a−b−c−dAlM’Si(C1−x)(ただし、M’はTi、Wを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素から選ばれる1種以上であり、0.4≦a≦0.65、0≦b≦0.3、0.01≦c≦0.1、0.005≦d≦0.1、0≦x≦1である。)からなることが望ましく、この組成領域では、酸化開始温度が高くなって耐酸化性が高くて切削時の耐摩耗性が向上するとともに切刃先端に発生しやすいチッピングが抑制できて耐欠損性が高いものとなる。また、金属MはNb、Mo、Ta、Hf、Yから選ばれる1種以上であることが酸化開始温度を高める点で望ましく、中でもNbまたはMoを含有することが耐摩耗性・耐酸化性に最も優れる点で望ましい。
さらに、被覆層10の非金属成分であるC、Nは切削工具に必要な硬度および靭性に優れたものであり、被覆層10表面に発生するドロップレットの過剰な発生を抑制するために、x(C含有比率)の特に望ましい範囲は0≦x≦0.5である。なお、被覆層10の組成はエネルギー分散型X線分析法(EDX)またはX線光電子分光分析法(XPS)にて測定できる。
また、すくい面13における被覆層10の膜厚t よりも逃げ面15における被覆層10の膜厚t の方が厚いことが、マクロ粒子11のすくい面13における面積比率を小さくして切屑の流れを妨げないとともに、摩耗しやすい逃げ面15における摩耗を抑制するために望ましい。なお、すくい面13における被覆層10の膜厚tと、逃げ面15における被覆層10の膜厚tとの比t /t は0.2〜0.9であることが望ましい。
ここで、被覆層10の内部は、柱状結晶7を主体として構成されていることが被覆層10の耐摩耗性および耐欠損性をともに高める点で望ましい。そして、マクロ粒子11の組成は柱状結晶7の組成と同じであってもよく、柱状結晶7を構成するTi、AlおよびM成分の含有比率が異なった組成であってもよい。また、被覆層10の内部にも粒状結晶8が分散して存在していてもよい。
なお、マクロ粒子11は、Alを主成分とするか、TiまたはM(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上である。)を主成分とする粒状結晶からなり、平均粒径が0.05〜1μmであることが、被覆層10の硬度と靭性を両立できる点で望ましい。特に、粒状結晶8は、少なくともAlの含有比率が被覆層10の全体における含有比率より多いAl系粒状結晶と、TiまたはMの含有比率が被覆層10の全体における含有比率より多いTi/M系粒状結晶とを含むことが望ましい。これによって、異なった硬度および靭性を有する粒状結晶8が存在し、これら
の粒状結晶8の分散状態を制御することによって、被覆層10の耐摩耗性および耐欠損性のバランスを調整ことができる。
また、柱状結晶7、マクロ粒子11および粒状結晶8中に含まれる各元素の含有比率は、透過型電子顕微鏡測定装置に備え付けられたエネルギー分散型分光(EDS)分析装置を用いて測定することができる。
なお、断面組織観察における粒状結晶8の存在比率は0.1〜30面積%であることが、被覆層10の耐欠損性を高めることができるとともに、被覆層10の耐摩耗性を維持できる点で望ましい。
また、基体9としては、炭化タングステンや、炭窒化チタンを主成分とする硬質相とコバルト、ニッケル等の鉄族金属を主成分とする結合相とからなる超硬合金やサーメットの他、窒化ケイ素や、酸化アルミニウムを主成分とするセラミック、多結晶ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素からなる硬質相と、セラミックや鉄族金属等の結合相とを超高圧下で焼成する超高圧焼結体等の硬質材料が好適に使用される。
(製造方法)
次に、本発明の回転工具の一例である回転工具の製造方法について説明する。
まず、工具形状の基体9を従来公知の方法を用いて作製する。次に、基体9の表面に、被覆層10を成膜する。被覆層10の成膜方法としてはイオンプレーティング法等の物理蒸着(PVD)法が好適に適応可能である。詳細な成膜方法の一例について、(a)アークイオンプレーティング成膜装置(以下、AIP装置と略す。)20の模式図、(b)成膜中の試料の回転状態を示す模式図である図3に基づいて説明する。
図3のAIP装置20は、真空チャンバ21の中にNやAr等のガスをガス導入口22から導入し、カソード電極23とアノード電極24とを両者が対向するように配置して、両者間に高電圧を印加してプラズマを発生させ、このプラズマによってターゲット25から所望の金属あるいはセラミックスを蒸発させるとともにイオン化させて高エネルギー状態とし、このイオン化した金属を試料(エンドミル本体2)の表面に付着させて図1(b)のように基体9の表面に被覆層10を被覆する構造となっている。また、図3(a)によれば、エンドミル本体2は試料支持台26上に複数本つ立てた状態で載置されて、複数段(3段)の試料支持台26が積層されたタワー27が回転台28上に複数((a)では2セット、(b)では6セット図示されている。)配置された構成となっている。さらに、図3(a)によれば、エンドミル本体2を加熱するためのヒータ29と、ガスを系外に排出するためのガス排出口30と、エンドミル本体2にバイアス電圧を印加するためのバイアス電源31が配置されている。
そして、本発明によれば、図3(a)におけるエンドミル本体2の先端と上段の試料支持台26との隙間d(d、d、d)が30〜80mmとなるように調整するとともに、図3(b)において符号を付して示すターゲット25の前に位置するエンドミル本体2が、以下に記載の成膜時の回転においてターゲットに対して最も近づく向きになる、具体的には、図3(b)に示すエンドミル本体2が、成膜時の回転において再度ターゲット25の前に位置したときの周期を試料の回転数としたとき、回転数が3〜6rpmとなるようにエンドミル本体2試料支持台26および回転台28の回転速度を調整することにより、被覆層10の表面に発生するマクロ粒子の向きを制御できる。
すなわち、エンドミル本体2は、被覆層10の膜厚を均一化するために、図3(b)に示すように、エンドミル本体2が自転しながら、それぞれの試料支持台26が自転し、さらに回転台2が公転するように回転しながら成膜される。本発明によれば、エンドミル本体2、試料支持台26および回転台28の回転速度を調整することにより、マクロ粒子11の向きを所定の範囲内に制御することが可能である。
なお、ターゲット25としては、金属チタン(Ti)、金属アルミニウム(Al)、金属M(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上)をそれぞれ独立に含有する金属ターゲット、これらを複合化した合金ターゲット、これらの化合物粉末または焼結体からなる混合物ターゲットを用いることができる。
また、プラズマを発生するためにはアーク放電やグロー放電などを用い、導入ガスとしては窒素源の窒素(N)ガスや炭素源のメタン(CH)/アセチレン(C)ガスを用いることができる。このとき、窒素に対するアルゴンガス流量が0〜4:6の割合の窒素(N)ガスとアルゴン(Ar)ガスの混合ガスを用いることが望ましい。
なお、被覆層10の結晶構造および配向性を制御して高硬度な被覆層10を作製できるとともに基体9との密着性を高めるために、エンドミル本体2には30〜200Vのバイアス電圧を印加することが好ましい。
また、本実施態様はソリッドエンドミルを用いたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばドリルについても好適であり、さらにはポジ型のフライスチップやスローアウェイエンドミル、すくい面にブレーカ溝が付いたフライスチップやスローアウェイエンドミルに対しても好適に使用することができる。
平均粒径0.5μmの炭化タングステン(WC)粉末に対して、金属コバルト(Co)粉末を10質量%、炭化バナジウム(VC)粉末を0.1質量%、炭化クロム(Cr)粉末を0.6質量%との割合で添加、混合し、ソリッドエンドミル用の棒状ブランク(刃径10mmΦ、長さ60mm、2枚刃形状)を成形して焼成した。そして、刃径10mm、2枚刃のエンドミルの研削工程を経た後、アルカリ、酸、蒸留水の順によって表面を洗浄してエンドミル基体を作製した。
そして、表1に示すターゲットを装着したアークイオンプレーティング装置内に上記基体をセットし基体を550℃に加熱して表1に示す被覆層を成膜した。なお、成膜条件は窒素ガスとアルゴンガスの混合ガスを総圧力4Paの雰囲気中、アーク電流150A、バイアス電圧50V〜100Vとした。
得られたエンドミルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて外周刃のすくい面と逃げ面における被覆層の組織観察を行い、突出粒子の状態を確認した。また、同装置に付随のエネルギー分散分光分析法(EDS)を用いて突出粒子、柱状結晶、粒状結晶の組成について定量分析を行った。なお、定量分析については任意各3箇所について測定を行いその平均値とした。結果は表1に示した。
次に、得られたエンドミルを用いて以下の切削条件にて切削試験を行った。結果は表2に記載した。
切削方法:肩切削、
被削材 :SCM440
切削速度:70m/min
送り :0.05mm/rev
切り込み:5mm
切削状態:乾式
評価方法:2時間切削評価後の摩耗量と欠損状態の確認
表1、2より、試料先端と試料支持台との間隔が30mmよりも狭い試料No.11では、すくい面においてマクロ粒子が平均して切刃側に傾いてしまい、すくい面における切削抵抗が増大してチッピングが発生し摩耗量も大きくなった。また、試料先端と試料支持台との間隔が80mmよりも広い試料No.12では、すくい面においてマクロ粒子が平均して垂直に突出し、すくい面における切削抵抗が大きくてチッピングが発生し摩耗量も大きいものであった。さらに、試料の回転数が3rpmより遅い試料No.9でも、すくい面においてマクロ粒子が平均して垂直に突出し、すくい面における切削抵抗が大きくてチッピングが発生し摩耗量も大きいものであった。
これに対して、本発明に従い、すくい面においてマクロ粒子が切刃から遠ざかる方向に傾いて突出している試料No.1〜8、10および13では、いずれも切削抵抗が小さくなってチッピングの発生も少なく摩耗量も小さくなった。
本発明の回転工具の好適例であるソリッドエンドミルの一例を示す、(a)は、概略側面図であり、(b)は、中心軸に垂直なB−B断面における概略断面図である。 図1(b)の断面における、(a)は、すくい面、(b)は、逃げ面透過型電子顕微鏡写真である。 本発明の回転工具を製造する際の被覆層の成膜工程に用いる、(a)は、アークイオンプレーティング成膜装置の模式図であり、(b)は、成膜中の試料の回転状態を示す模式図である。
符号の説明
1 エンドミル
2 エンドミル本体
3 底刃
4 コーナー部
5 外周部
6 外周刃
7 柱状結晶
8 粒状結晶
9 基体
10 被覆層
11 マクロ粒子
13 すくい面
15 逃げ面
20 アークイオンプレーティング成膜装置(AIP装置
21 真空チャンバ
22 ガス導入口
23 カソード電極
24 アノード電極
25 ターゲット
26 試料支持台
27 タワー
28 回転台
29 ヒータ
30 ガス排出口
31 バイアス電源
、d、d エンドミル本体の先端と上段の試料支持台との隙間

Claims (6)

  1. 基体の表面に被覆層が被覆され、中心軸線周りに回転する工具本体の先端面および外周面の少なくとも一方にすくい面と逃げ面との交線である切刃が少なくとも1つ設けられてなり、前記被覆層の表面に複数のマクロ粒子が突出し、前記中心軸線に垂直な断面において、前記マクロ粒子の長軸と、前記基体と前記被覆層との界面に平行な直線からの垂線との交わる角度の平均値を、前記切刃から遠ざかる方向への傾き度合いを示す平均傾き角度としたとき、前記すくい面における前記マクロ粒子の平均傾き角度が、前記逃げ面における前記マクロ粒子の平均傾き角度よりも大きい回転工具。
  2. 前記断面の前記すくい面における前記マクロ粒子の平均傾き角度が5〜20°である請求項1記載の回転工具。
  3. 前記断面の前記逃げ面における前記マクロ粒子の平均傾き角度が0〜5°である請求項または記載の回転工具。
  4. 前記すくい面における前記マクロ粒子の面積比率が、前記逃げ面における前記マクロ粒子の面積比率に比べて小さい請求項1乃至のいずれか記載の回転工具。
  5. 前記すくい面における前記マクロ粒子の面積比率が2〜10面積%であり、前記逃げ面における前記マクロ粒子の面積比率が10〜30面積%である請求項記載の回転工具。
  6. 前記被覆層が、Ti1−a−bAl(C1−x)(ただし、MはTiを除く周期表4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上であり、0.40≦a≦0.65、0≦b≦0.5、0≦x≦1)からなる請求項1乃至のいずれか記載の回転工具。
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