JP4990606B2 - 乳酸菌含有飼料 - Google Patents

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Description

本発明は、特定の乳酸菌を含有する飼料に関する。
現在の畜産業においては、経営の効率化のため、食肉の生産性向上が図られている。その一環として、多頭化飼育が試みられているが、飼育密度の増加に伴い、飼育環境が劣化するため、家畜の健康が害されることが多くなる。家畜の疾病予防のために、抗生物質等の各種の動物用医薬品を添加した飼料が用いられているが、このような動物用医薬品等の多用には、耐性菌の出現や、食肉への医薬品の残存等の問題がある。そこで、家畜等にもともと備わっている生理機能を活性化させることにより、薬剤等に頼らず、家畜等の健康を維持し、安全な食肉を提供することが強く望まれている。
家畜等の生理機能を活性化させるものとして、例えば、(1)ラクトバチルス(Lactobacillus)属及びロイコノストック(Leuconostoc)属に属する少なくとも1種以上の乳酸菌を含んでなることを特徴とする飼料添加物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。該飼料添加物は、整腸作用を有するため、家畜等の健康状態が改善されることに加え、飼料効率が良いため、糞尿の臭気を少なくし、飼育環境を改善する効果も有するものである。
その他、例えば、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus・faecalis)菌EC−12株(コンビ社)を主原料とした殺菌乳酸菌入り混合飼料「ラクセルフォース」(兼松株式会社製)が市販されている。該混合飼料は、主に離乳期子豚の餌に混合し給餌することにより、下痢便の改善、感染症予防による離乳期子豚の死亡頭数減少等の効果が期待されるものである。該混合飼料の効果は、主原料であるエンテロコッカス・フェカリスの、生体内でのインターフェロン(IFN)−γ産生能増強作用によるものと推測される。
IFN−γは、抗ウィルス作用、抗腫瘍作用、免疫応答調節作用等を有しており、特に、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、細胞障害性T細胞等の免疫担当細胞の分化誘導・活性化に重要な役割を果たすものである。IFNの直接投与は、様々な副作用を引き起こすおそれがあるため、生体にもともと備わっているIFN−γ産生能を増強させることが好ましい。
特開2004−329056号公報
しかしながら、上記(1)の飼料添加物では、整腸作用等により、家畜の健康向上に役立つものの、感染症等に対し、有効な予防法とは言い難い。また、上記の市販混合飼料は、感染症予防効果が期待されるものの、未だ効果が不充分である。
本発明は、従来になく高効率かつ安全に、家畜の免疫機能を向上させ得る飼料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ロイコノストック・メセントロイデス(Leuconostoc・mesenteroides)に分類される新規乳酸菌が、IFN−γ産生能増強効果を有すること、及び、該乳酸菌を含有する飼料により、従来になく高効率かつ安全に、家畜の免疫機能を向上させ得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ロイコノストック・メセントロイデスABRD LuM−5(FERM P−20501)を含有することを特徴とする飼料を提供するものである。
また、本発明は、前記ABRD LuM−5用いて発酵させたことを特徴とする飼料を提供するものである。
また、本発明は、前記ABRD LuM−5用いて、ビール粕を発酵させたことを特徴とする飼料を提供するものである。
また、本発明は、前記ABRD LuM−5用いて発酵させた発酵物を含有することを特徴とする飼料を提供するものである。
また、本発明は、前記ABRD LuM−5用いて、ビール粕を発酵させた発酵物を含有することを特徴とする飼料を提供するものである。
本発明の飼料により、家畜の免疫機能を向上させ得るため、薬剤等に頼らず、家畜等の健康を維持し、安全な食肉を提供することができる。免疫機能向上効果が大きいため、従来品よりも少量で効果が期待でき、経済的にも好ましい。また、使用される乳酸菌ABRD LuM−5(FERM P−20501)及びABRD LuM−1(FERM P−20500)は、共に漬け物から単離された乳酸菌であるため、副作用なく安全に家畜の飼料として使用できる。
まず、本発明のロイコノストック・メセントロイデスに分類される乳酸菌ABRD LuM−5(FERM P−20501)(以下、FERM P−20501と略記する)及びABRD LuM−1(FERM P−20500)(以下、FERM P−20500と略記する)の分離手段及び菌学的性質を示す。
<FERM P−20500及びFERM P−20501の分離手段>
漬け物(白菜キムチ)から分離した乳酸菌の中から、IFN−γ産生能の高い乳酸菌を選択することにより、FERM P−20500及びFERM P−20501を分離・同定した。具体的には、以下の方法により、分離することができる。
漬け物10gに生理食塩水90mlを加え混合し、更に生理食塩水で段階的に希釈して乳酸菌選択培地(5%馬脱繊維素血液添加BL寒天培地、1.5%寒天含有MRS培地、PES培地、M−E培地、Mma−LBS培地)に塗末し培養した。培養条件は、5%馬脱繊維素血液添加BL寒天培地及び1.5%寒天含有MRS培地の場合には30℃にて2日間、PES培地の場合には20℃にて3〜4日間、M−E培地の場合には37℃にて1日間、Mma−LBS培地の場合には35℃にて9〜10日間、いずれも嫌気条件下とした。菌の集落が形成されたら、別の同種の平板培地に画線塗布し同様に培養した。更に同じ操作を繰り返し、単一集落を形成する乳酸菌を分離した。分離した乳酸菌をそれぞれMRS培地に接種し、30℃で一晩培養した。該培養液を波長660nmでの吸光度(OD660)が1.0となるように調製し、MRS培地に1/100(v/v)(菌数:10cells/mL)の割合で接種した。30℃で24時間培養(本培養)し、生菌数約10〜10cells/mLの培養液を得た。得られた培養液を8,000rpm(約10,000×g)で20分間の遠心分離をして集菌し、これを蒸留水で2回洗浄して菌体を得た。この菌体を、用いた液体培地量の1/100量の蒸留水で懸濁し、105℃で1分間加熱して死菌体懸濁液を得た。該死菌体懸濁液を、凍結乾燥により乾燥処理し、死菌体菌末を得た。
次に、前記死菌体菌末のIFN−γ産生能を測定した。
まず、マウスから摘出した脾臓を、細胞培養液(AIM−V、GIBCO社製)を用いて洗浄・濾過した後、5×10cells/mLの脾臓細胞浮遊液を調製した。該細胞浮遊液を96穴平底培養プレートに200μL/ウェルとなるように播いた後、それぞれのウェルに、最終濃度100μg/mLとなるように前記死菌体菌末を添加した。該96穴平底培養プレートを、37℃、5%CO条件下で2日間培養した後、培養上清中のIFN−γ濃度をELISA法により測定した。前記死菌体菌末を添加しないコントロールの培養上清中のIFN−γ濃度と比較して、有意にIFN−γ濃度が高かった乳酸菌を選択することにより、FERM P−20500及びFERM P−20501を得た。ELISA法は、予め96穴平底プレートに結合させる抗体としてanti−mouse IFN−γ抗体(CALTAG laboratories社製)を、捕捉したIFN−γを検出するためにBiotin rat anti−mouse IFN−γ抗体(BD Pharmingen社製)とHRP標識Avidin試薬(horseradish peroxidase Avidin D,Vector社製)を、それぞれ用いて、常法により行った。
<菌学的性質及び生理学的性質>
本発明の新規乳酸菌株FERM P−20500の16SリボソームRNA遺伝子の塩基配列を配列表の配列番号1に示す。同じく新規乳酸菌FERM P−20501の16SリボソームRNA遺伝子の塩基配列を配列表の配列番号2に示す。既知微生物の塩基配列のデータベース上で、これらの16SリボソームRNA遺伝子の塩基配列について相同性検索を行ったところ、FERM P−20500及びFERM P−20501のいずれも、既知のロイコノストック・メセントロイデスに属する微生物の塩基配列と99%の相同性を有していた。従って、本発明の乳酸菌はいずれもロイコノストック・メセントロイデスに属する微生物と同定された。なお、FERM P−20500等の16SリボソームRNA遺伝子の塩基配列は、常法により同定した。
また、相同性が99%であり、完全に一致している既知微生物が検索されなかったことから、新規な乳酸菌であることが確認された。
さらに、FERM P−20501及びFERM P−20500の死菌体粉末は、公知のロイコノストック・メセントロイデスに属する乳酸菌の死菌体粉末よりも、マウスから摘出した脾臓細胞に対するIFN−γ産生能増強効果が明らかに強いことが判明した。
FERM P−20501等は、いずれも公知のロイコノストック属乳酸菌と同様に、公知の培地を用いて、常法により培養することができる。公知の培地として、例えば、MRS培地等がある。培養温度は、20〜37℃が好ましい。
本発明の飼料は、ロイコノストック・メセントロイデスに分類される乳酸菌FERM P−20501又はFERM P−20500を含有することを特徴とする飼料である。FERM P−20501等を用いて基本飼料を発酵させた飼料であってもよく、適量のFERM P−20501等を基本飼料に単に添加した飼料であってもよい。
本発明の飼料は、FERM P−20501等を用いて発酵させた飼料であることが好ましい。発酵させることにより、飼料の抗菌性が高められ、安全な長期保存が可能となるためである。また、乳酸菌の分解酵素等により、飼料の消化吸収性を高めることもできるためである。さらに、FERM P−20501等が増殖することにより、スターターとしての乳酸菌量を抑えることができるため、経済的にも好ましい。
FERM P−20501等を用いて発酵させた飼料の製造方法は、通常乳酸菌を用いて発酵させる方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、基本飼料に、1x10〜1x1010CFU/gのFERM P−20501等を接種したものを、フレキシブルなバック等に密封充填し、常温で1〜14日間静置すること等により発酵させることができる。発酵の際のバック等の外気温は、特に限定されるものではないが、10〜37℃が好ましい。
また、該基本飼料は、給餌対象の家畜等に応じて適宜選択されるものであり、通常家畜等の飼料に用いられるものであれば、特に限定されるものではない。市販の飼料等でもよいが、植物性の材料を主として用いるものであることが好ましい。FERM P−20501等は漬け物から単離された乳酸菌であるため、及び、ロイコノストック属は植物性材料に適合した乳酸菌であるためである。
特に、FERM P−20501等を用いてビール粕を発酵させた飼料が好ましい。ビール粕は、ビール製造過程において、麦芽等の原材料の糖化処理後に発生する不溶性の副産物である。ビール粕には、麦芽由来の酵素等により細かく分解された糖類やタンパク質等が豊富に含有されているために、FERM P−20501等の増殖に適しており、かつ、飼料としても、栄養価・消化吸収性の両方に優れており、好ましい。また、ビール粕の再利用の観点からも好ましい。なお、FERM P−20501等による発酵を促進するために、ビール粕に、グルコース等の物質をさらに添加しても良い。
本発明の飼料は、FERM P−20501等を用いて発酵させた発酵物を含有する飼料であることが好ましい。予め製造しておいた該発酵物を、基本飼料に含有させることにより、飼料毎に発酵させるよりも、より簡便に、均質なFERM P−20501等を含有した飼料を製造することができるためである。該発酵物をそのまま基本飼料に含有させてもよく、該発酵物を希釈したものを基本飼料に含有させてもよい。
FERM P−20501等を用いて発酵させた発酵物の製造方法は、通常乳酸菌を用いて発酵させる方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、炭素源、窒素源、ミネラル、ビタミン等を含有する培地等に、1x10〜1x1010CFU/gのFERM P−20501等を接種したものを、FERM P−20501等を用いて発酵させた飼料と同様に発酵させて製造することができる。該培地等は、特に限定されるものではないが、ビール粕を用いることが好ましく、グルコース等の物質をさらに添加したビール粕を用いることがより好ましい。
本発明の飼料に含有されるFERM P−20501等は、生菌体であってもよく、死菌体であってもよい。
本発明の飼料中のFERM P−20501等の含有量は、特に限定されるものではない。基本飼料に凍結乾燥機あるいはスプレードライヤー等で乾燥したFERM P−20501等の死菌体を添加する場合には、理論値で1x10〜1x10CFU/gであることが好ましい。FERM P−20501等を用いて発酵させた飼料等の生菌体を含有する飼料の場合は、1x10〜1x10CFU/gであることが好ましい。
本発明の飼料に含有される、FERM P−20501等の形状や、FERM P−20501等を用いて発酵させた発酵物の形状は、通常飼料に含有されるものに用いられる形状であれば、特に限定されるものではない。該形状には、例えば、粉末状、粒状、顆粒状、フレーク状、ペレット状がある。但し、乾燥処理後に粉砕して粉末状にする場合には、乾燥処理は60〜80℃の温和な条件で行うことが好ましい。また、粒状や顆粒状にする場合に用いられる賦形剤は、通常飼料の製造に用いられるものであれば、特に限定されるものではない。
本発明の飼料には、通常飼料に添加される様々な物質を添加してもよい。該添加される物質として、例えば、ビタミンやミネラル、抗酸化剤等がある。
給餌対象の家畜等に応じて、様々な物質を配合してもよい。該配合される物質として、例えば、粉末カゼイン、糖蜜等がある。
本発明の飼料を給餌する方法は、特に限定されるものではなく、通常用いられる飼料と同様に家畜等に摂食させることができる。FERM P−20501等の1日あたりの摂取量も、特に限定されるものではなく、家畜等に自由摂取させることができるが、飼料に対し0.01%(w/v)以上の添加比率で混合するのが好ましい。
次に試験例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の試験例に限定されるものではない。
(試験例1)
まず、FERM P−20501を用いてビール粕を発酵させた発酵物を含有する飼料(FERM P−20501含有飼料)を作製した。予め常法により1晩培養したFERM P−20501を、およそ1x10CFU/gとなるように、グルコース、炭酸カルシウム等と共にビール粕に添加し、混合した。650kgの該混合物を、フレキシブルコンテナバックに充填し、密封後、常温で1〜14日間静置することにより、発酵させた。発酵後、フレキシブルコンテナバックから取り出した該混合物を、70℃で乾燥させた後、粉砕して、粉末状のFERM P−20501含有発酵物を得た。該FERM P−20501含有発酵物には、1.2x1010CFU/gのFERM P−20501が含有されていた。
マウスに、FERM P−20501含有飼料を摂食させ、免疫機能の変化を測定した。
具体的には、AIN−93G粉末食(オリエンタル酵母工業株式会社製)を基本飼料とし、これに前記FERM−20501含有発酵物を0.01%又は0.1%となるように加えて、FERM P−20501含有飼料とし、これを一週間マウスに自由摂食させた。比較対象として、基本飼料のみを摂食させたマウス群と、基本飼料にエンテロコッカス・フェカリス菌EC−12株(コンビ社)を2.5x1011cells/g含有した混合飼料「ラクセルフォース」(兼松株式会社製)を0.01%又は0.1%となるように加えた飼料を摂食させたマウス群を用いた。
一週間摂食後、免疫抑制剤として、デキサメタゾン(DEX)を各マウスに、5mg/kgとなるように腹腔内投与した。DEXは合成副腎皮質ホルモンとして知られており、副腎皮質ホルモンによるストレス性の免疫抑制のモデルとして用いた。DEX投与後18時間経過後、解剖し、各マウスの免疫機能を測定した。具体的には、NK細胞活性と貪食能を測定した。
Figure 0004990606
表1は、各試験群の試料中の乳酸菌量と供試験動物数を示したものである。試験群4のみ供試験動物数が5匹であるのは、腹腔内投与失敗により、1匹死亡したためである。なお、マウスは、日本SLC株式会社より購入した6週齢の雄性のBALB/cマウスを、1週間維持した後、実験に用いた。
NK細胞活性は、各マウスの脾臓細胞の、標的細胞の細胞死への影響を観察することにより測定した。標的細胞として、マウス胸腺細胞腫由来のYAC−1細胞を用いた。YAC−1細胞は、予め、PKH26 Red Fluorescent Cell Linker Kit (SIGMA社製)を用いて蛍光標識し、細胞培養液(AIM−V、GIBCO社製)を用いて2×10cells/mLの細胞浮遊液に調製した。
まず、マウスから摘出した脾臓を、該細胞培養液を用いて洗浄・濾過した後、1×10cells/mLの脾臓細胞浮遊液を調製した。該脾臓細胞浮遊液と、該PKH26標識YAC−1細胞浮遊液を、1:50の割合になるように混合した混合細胞浮遊液を、96穴平底培養プレート(住友ベークライト株式会社製)に播き、37℃、5%CO条件下で4時間培養した。コントロールとして、PKH26標識YAC−1細胞浮遊液のみを96穴平底培養プレートに播き、同様に培養した。
該混合細胞浮遊液に、蛍光色素TOPRO−3(Molecular Probes社製)を添加して死細胞を染色した後、BD FACSCanto(ベクトン・ディッキンソン社製)を用いてフローサイトメトリーを行い、PKH26標識YAC−1細胞の死細胞率を測定した。NK細胞活性(%)は、YAC−1細胞の全死細胞率(%)からYAC−1細胞の自然死細胞率(%)を差し引くことにより算出した。なお、YAC−1細胞の全死細胞率は、該混合細胞浮遊液の死細胞率であり、YAC−1細胞の自然死細胞率は、PKH26標識したYAC−1細胞浮遊液のみで培養した場合の死細胞率である。
貪食能は、蛍光標識したラテックスビーズを、各マウスの末梢血中の顆粒球に貪食させることにより測定した。
まず、1.5mLチューブに、5μLの1×10beads/mLに調製した蛍光ラテックスビーズ溶液(Polysciences社製)と、45μLの眼窩採血により得た新鮮なマウス末梢血を加え、軽く攪拌した後、37℃で30分間インキュベートした。さらに、赤血球を破壊するために、450μLの氷冷した赤血球可溶化溶液(NHCl:8.29g/L、KHCO:1.0g/L、EDTA・2Na:0.037g/L)を加えて軽く攪拌した後、BD FACSCantoを用いてフローサイトメトリーを行い、末梢血中顆粒球の貪食能を測定した。
貪食能は蛍光ラテックスビーズを貪食した顆粒球の存在比(%)と、顆粒球1細胞あたりが貪食したビーズ数(beads)を乗じたものを指標とした。
図1はNK細胞活性の測定結果を、図2は顆粒球貪食能の測定結果を、それぞれ示したものである。図中の1〜5は、表1の試験群を示したものである。
図1及び2より明らかであるように、FERM P−20501含有飼料を摂食させたマウス(試験群2及び3)は、基本飼料のみを摂食させたマウス(試験群1)や、ラクセルフォース含有飼料を摂食させたマウス(試験群4及び5)に比べ、NK細胞活性と顆粒球貪食能が向上する傾向が観察された。特に顆粒球貪食能は明らかに向上していた。したがって、本発明のFERM P−20501を用いてビール粕を発酵させた発酵物を含有する飼料には、免疫機能を向上させる効果があり、安全に家畜の感染症を予防することが期待し得ることが明らかである。また、0.01%という低濃度のFERM P−20501含有飼料においても、NK細胞活性と顆粒球貪食能の向上効果が観察されたことから、経済的にも優れていることが分かった。
(試験例2)
次に、FERM P−20501の死菌体の乾燥粉末を前記基本飼料に添加した飼料が、免疫機能向上効果を有するかどうかを観察した。
まず、FERM P−20501を飼料添加用培地(4.0(w/v)%グルコース、1.0(w/v)%酵母エキス)に接種し、30℃で24時間静置して嫌気培養(前培養)した。得られた前培養液を波長660nmでの吸光度(OD660)が1.0となるように調製し、該飼料添加用培地に1/100(v/v)(菌数:10CFU/mL)の割合で接種したものを、pHが6.0を維持するように水酸化ナトリウム溶液を用いてpH調整をしながら、30℃で24時間、100rpmの攪拌培養(本培養)を行った。得られた本培養液を8,000rpm(約10,000×g)で20分間の遠心分離をして集菌し、これを蒸留水で2回洗浄して菌体を得た。この菌体を、用いた飼料添加用培地量の1/100量の蒸留水で懸濁し、105℃で1分間加熱して死菌体懸濁液を得た。該死菌体懸濁液を、凍結乾燥により乾燥処理し、死菌体菌末を得た。該死菌体菌末には、2.8x1012CFU/gのFERM P−20501が含有されていた。
次に、前記基本飼料に、FERM P−20501が理論値でそれぞれ、0CFU/g、1.0x10CFU/g、1.0x10CFU/g、1.0x10CFU/g、1.0x10CFU/gとなるように死菌体菌末を添加した飼料を、試験例1と同様に、マウスに一週間自由摂食させた。その後、全て試験例1と同様にして、各マウスの免疫機能を測定した。
Figure 0004990606
表2は、各試験群の試料中のFERM P−20501含有量と供試験動物数を示したものである。試験群1のみ供試験動物数が4匹であるのは、腹腔内投与失敗により、2匹死亡したためである。なお、試験群4の1.0x10CFU/gのFERM P−20501死菌体菌末含有飼料と、試験例1の0.1%FERM P−20501含有飼料が、FERM P−20501含有量として同等である。
図3はNK細胞活性の測定結果を、図4は顆粒球貪食能の測定結果を、それぞれ示したものである。図中の1〜5は、表2の試験群を示したものである。
図3及び4より明らかであるように、飼料中のFERM P−20501含有量依存的に、NK細胞活性と顆粒球貪食能が向上する傾向が観察された。但し、顆粒球貪食能は、1.0x10CFU/g含有飼料が最も活性が高く、1.0x10CFU/g含有飼料は1.0x10CFU/g含有飼料と同程度であったことから、至適な濃度があると推測される。
試験例1及び2の結果から、試験例1で観察されたFERM P−20501を用いてビール粕を発酵させた発酵物を含有する飼料が有する家畜の免疫機能向上効果はFERM P−20501自身による効果であることが明らかである。
本発明の飼料は、公知のロイコノストック属乳酸菌を含有するものと同様に、整腸作用が期待できることに加え、新規乳酸菌により、免疫機能向上効果を有するものであり、安全に家畜等の健康状態を改善できる飼料として、畜産業の分野で利用が可能である。
試験例1の各試験群における、マウスの脾臓細胞のNK細胞活性の測定結果を示したものである。 試験例1の各試験群における、マウスの末梢血中の顆粒球貪食能の測定結果を示したものである。 試験例2の各試験群における、マウスの脾臓細胞のNK細胞活性の測定結果を示したものである。 試験例2の各試験群における、マウスの末梢血中の顆粒球貪食能の測定結果を示したものである。

Claims (5)

  1. ロイコノストック・メセントロイデス(Leuconostoc・mesenteroides)ABRD LuM−5(FERM P−20501)を含有することを特徴とする飼料。
  2. 前記ABRD LuM−5用いて発酵させたことを特徴とする、請求項記載の飼料。
  3. 前記ABRD LuM−5用いて、ビール粕を発酵させたことを特徴とする、請求項記載の飼料。
  4. 前記ABRD LuM−5用いて発酵させた発酵物を含有することを特徴とする、請求項記載の飼料。
  5. 前記ABRD LuM−5用いて、ビール粕を発酵させた発酵物を含有することを特徴とする、請求項記載の飼料。
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