JP4989008B2 - 易重合性液体の管路輸送方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は易重合性液体を管路で輸送する方法に関するものである。特に本発明は易重合性液体を取扱う工場などにおいて、易重合性液体を管路で輸送するに際し、易重合性液体が管路内で重合するのを防止する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
易重合性液体、例えば(メタ)アクリル酸やそのエステルなどの取扱いに際しては、重合を防止することに細心の注意が払われている。一般にこれらの易重合性液体には、その重合を防止するため種々の重合防止剤が添加されている。また酸素が重合防止効果があるので、貯蔵や取扱いはできるだけ酸素を含む雰囲気中で行うのが望ましいとされている。また温度が高いと重合が促進されるので、これらの易重合性液体は低温で取扱うべきものとされており、例えば蒸留精製には減圧蒸留が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
易重合性液体を取扱う工場などでは、上述のようにその重合を防止するのに種々の手段をとっているが、それでも若干の重合が起ることがある。例えばアクリル酸の製造工場ではプロピレンを気相で接触酸化してアクリル酸を生成させ、このアクリル酸を水で吸収してアクリル酸水溶液とし、これを複数の蒸留塔からなる蒸留装置で蒸留して精製されたアクリル酸として出荷している。工場内には蒸留塔間や蒸留塔と貯槽とを結ぶ管路が複雑に張りめぐらされているが、これらの管路で重合が起ることがある。管路での重合は、アクリル酸が停滞しやすい場所、例えば常時は閉鎖されているバイパス管や、試料の抜出し管など、本管から分岐している管路で起り易い。従って本発明は、易重合性液体の輸送用管路内における重合を防止する方法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、重合防止剤を含有する易重合性液体を分岐を有する管路で輸送するに際し、分岐点で分れた管路のうち長期に亘り使用されないことがある管路に、分岐点から500mm以内に管路を閉鎖する弁を設けることにより、このような管路における易重合性液体の重合を防止することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は任意の易重合性液体の管路輸送に適用することができるが、(メタ)アクリル酸やそのエステルなどの管路輸送に適用すると効果が大きい。アクリル酸のエステルとしてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−メトキシエチル等が挙げられる。メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸やそのエステルは通常は酸素の存在下に取扱われているので酸素が溶解しており、また種々の重合防止剤が添加されている。重合防止剤としては、t−ブチルニトロオキシド;2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジノオキシル、4,4′,4″−トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシル)フォスファイト等のN−オキシル化合物:ハイドロキノン、メトキノン、ピロガロール、カテコール、レゾルシン等のフェノール化合物;フェノチアジン、ビス(α−メチルベンジル)フェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、ビス(α−ジメチルベンジル)フェノチアジン等のフェノチアジン化合物;塩化第2銅、酢酸銅、炭酸銅、アクリル酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等の銅化合物などが挙げられる。
【0006】
本発明では、易重合性液体を管路で輸送するに際し、主管路から分岐した管路であって長期、例えば1ヶ月以上に亘り使用されないことがある管路に、分岐点から500mm以内、好ましくは300mm以内に管路を閉鎖する弁を設ける。周知のように、工場等においては、液体の輸送用管路には種々の理由で、主管路から長期に亘り使用されない管路を分岐させることがある。このような管路の直径は輸送量に応じて決定されるが、通常は22.5mm以上である。これらの管路のなかには数ヶ月、場合によっては6ヶ月や1年以上も使用されないものもある。例えば図1に示すように、主管路101に設けた制御弁103を迂回するバイパス管路102を設け、制御弁の保守、点検のために主管路を遮断しなければならない場合でも、バイパス管路を経由して液体の輸送が続行できるようになっていることがある。バイパス管路は常時は弁で閉鎖されている。従ってバイパス管路への分岐点から弁までのバイパス管路には液体が停滞するので、重合性液体の場合にはこの部分で重合が起き易い。しかし本発明のようにバイパス管を閉鎖する弁を分岐点から500mm以内、好ましくは300mm以内に設けると、この部分において重合が起る可能性を大きく減少させることができる。その理由は明らかではないが、主管路を流れる液体中の酸素や重合防止剤などが、拡散によりこの部分の液体に供給されるためではないかと考えられる。すなわち停滞している重合性液体中にもともと含まれていた酸素や重合防止剤などはその濃度が経時的に減少するが、主管路を流れる重合性液体から酸素や重合防止剤などが拡散により供給されるので、結果的にこれらの濃度が維持され、重合が防止されると考えられる。なお、バイパス管路は1000mm以内の長さとし、両端から500mm以内の位置に弁を設けるのが好ましく、このようにすると何らの処置を施さなくても弁の下流側における重合も防止することができる。弁としては管路を開閉し得るものであればよく、常用のゲート弁、ボール弁、ニードル弁、バタフライ弁など任意のものを用いることができる。
【0007】
図2はポンプ203に固形物が流入しないように、管路201を2つに分岐させ、分岐したそれぞれの管路にストレーナ202を設けた例である。常時は1個のストレーナを作動させ、作動中のストレーナを手入れする必要が生じたときに、弁の切替により休止中のストレーナを作動させる。このように液体が通過する装置を備えた分岐管路を複数列並列に設け、常時はいずれか一つの装置に主管路を流れる液体を通過させ、必要が生じたときに弁の切替により他の装置を作動させる例としては、ポンプを2台並設して交互に運転する方法が挙げられる。図2に示す場合にも、分岐した各管路には、その両端の取付点から500mm以内、好ましくは300mm以内に管路を閉鎖する弁を設けることにより、休止中の管路の取付け部分における重合を防止することができる。
【0008】
図3は、主管路301内に内部を流れる重合性液体から試料を取出すための抜出し管302を設けた例である。抜出し管302は細く、かつ常時は不使用なので、内部に滞留している重合性液体が重合して抜出し管302を閉塞する恐れがある。この場合にも弁を設ける位置を分岐点から500mm以内、好ましくは300mm以内とすることにより、抜出し管が重合により閉塞するのを防止することができる。
【0009】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
蒸留精製して得られた温度40℃、純度99.8重量%の精製アクリル酸に重合禁止剤としてメトキシハイドロキノン200重量ppmを添加したものを、図4に示す管路(管径1.5インチ)を経て1000kg/Hrで輸送した。図4において401は主管路、402はアクリル酸が規格外となったときに系外に抜出すための配管である。従って管路401の弁は常時開であり、管路402の弁は常時閉である。管路402の弁を分岐点から1000mmの位置に設置した場合には、6ヶ月間管路401を経てアクリル酸の輸送を行ったのちアクリル酸の輸送を停止して管路402の弁を点検したところ、弁の上流側のアクリル酸中に重合物が生成していた。これに対し、管路402の弁を分岐点から250mmの位置に設置して同様にアクリル酸の輸送を行った場合には、6ヶ月後にアクリル酸の輸送を停止して管路402の弁を点検したところ、弁の上流側のアクリル酸中に重合物は認められなかった。
【0010】
【発明の効果】
本発明によれば、工場内でアクリル酸等の易重合性液体を輸送する管路に、常時は使用しない分岐管が設けられていても、分岐点から当該分岐管を閉鎖している弁までの間における易重合性液体の重合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液体の輸送用配管に、制御弁を迂回するバイパス配管を設けた図である。
【図2】液体の輸送用配管に、2個のストレーナを並列に設置した図である。
【図3】液体の輸送用配管に試料抜出し管を設けた図である。
【図4】液体の輸送用配管に流路変更管を設けた図である。
Claims (5)
- 重合防止剤を含有する易重合性液体を分岐を有する管路で輸送する方法であって、分岐点で分れた管路のうち、1か月以上に亘り使用されないことがある管路を閉鎖する弁を、この管路に、分岐点から易重合性液体が停滞する間隔を有すると共に500mm以内に設けることを特徴とする方法。
- 重合防止剤を含有する易重合性液体を管路で輸送する方法であって、管路に当該管路の一部分を迂回する長さ1000mm以内のバイパス管路を設け、かつバイパス管路の両端の取付点から易重合性液体が停滞する間隔を有すると共に500mm以内にバイパス管路を閉鎖する弁を設けることを特徴とする方法。
- 重合防止剤を含有する易重合性液体を管路で輸送する方法であって、管路の一部には、当該管路を分岐させて、途中に該液体が通過する装置を備えた分岐管路を複数列並列に設け、かつそれぞれの分岐管路には、その両端の取付点から易重合性液体が停滞する間隔を有すると共に500mm以内にそれぞれの分岐管路を閉鎖する弁を設けることを特徴とする方法。
- 管路を閉鎖する弁を分岐点から易重合性液体が停滞する間隔を有すると共に300mm以内に設けることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- 弁を設ける管路の直径が22.5mm以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
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