JP4988305B2 - 眼科測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被検眼の眼内の波面収差を測定する眼科測定装置に関する。
被検眼の眼底にスポット状の光束を投光し、眼底からの反射光束の波面情報を波面センサによって検出することにより、被検眼の波面収差(特に、高次の収差成分)を測定する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−216092号公報
ところで、上記従来装置において、測定感度を向上すべく、SLD(スーパー・ルミネッセンス・ダイオード)やLD(レーザ・ダイオード)などの干渉性の高い光源を用いた場合、干渉性が高いがゆえにスペックルノイズと呼ばれるノイズが波面センサによって検出されてしまい、良好な測定画像を得ることができない。したがって、被検眼の波面収差を精度良く測定することが困難であった。
本発明は、上記問題点を鑑み、被検眼の波面収差を精度良く測定する眼科測定装置を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 被検眼眼底にスポット状の測定光を照射する測定光照射光学系と、被検眼眼底に照射した前記測定光の反射光束を複数の光束に分割して複数の指標像からなるパターン像として二次元撮像素子に受光させる受光光学系と、
前記測定光照射光学系の光路であって前記受光光学系の光路とならない位置に配置され,被検眼眼底に投光される投光光束を偏向させる光束偏向手段と、
前記受光光学系からの出力に基づいて被検眼の眼内の波面収差を測定する測定手段と、を備え、
前記測定手段は、
前記光束偏向手段を駆動させて眼底上に照射される測定光の位置を時系列的に変更させるとともに,前記受光光学系によって受光される前記位置変更毎のパターン像を各々取得するパターン像取得手段と、
前記パターン像取得手段に取得された各パターン像を処理して、前記光束偏向手段による偏向に基づく前記各パターン像の位置変化を,対応する偏向情報に基づいて補正処理する補正処理手段と、を有し、補正された各パターン像同士を加算処理して被検眼の眼内の波面収差を測定することを特徴とする。
(2) (1)の眼科測定装置において、前記補正手段は前記光束偏向手段による前記偏向情報に基づいて得られる前記パターン像のズレ方向及びズレ量から前記測定光を偏向させないとしたときの前記パターン像の受光情報が得られるように補正することを特徴とする。
(3) (2)の眼科測定装置において、前記光束偏向手段は、音響光学的光偏向素子であることを特徴とする。

本発明によれば、スペックルノイズを抑制して被検眼の波面収差を精度良く測定することができる。
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る眼科測定装置の光学系及び制御系の構成について説明するための概略構成図である。被検眼Eの前方のダイクロイックミラー15の透過光路O1上には、被検眼の波面収差を測定するための波面収差測定光学系10が配置されている。測定光学系10は、測定光源からスポット状の測定光を被検眼眼底に照射する測定光照射光学系10aと、被検眼眼底に照射した測定光の反射光束を複数の光束に分割して複数の指標像からなるパターン像として二次元撮像素子に受光させる受光光学系10bとを含み、二次元受光素子からの出力に基づいて被検眼の眼内の波面収差が測定される。
測定光照射光学系10aには、測定光源11から、光束偏向部100、リレーレンズ12、絞り40、対物レンズ14が被検眼に向けて順次配置されている。なお、測定光源11には、SLDやLD等の干渉性が高く光源部の小さい高輝度の光源が用いられている。また、測定光源11は、被検眼眼底と共役な位置に配置される。この場合、光路外に配置されたSLD光源から光ファイバーを介して測定光束が出射されるようにしてもよい。すなわち、光ファイバの出力端を測定光源11とみなすようにしてもよい。また、絞り40は、眼底に投光される測定光束の光束径を細くして眼底上に鮮明なスポット像を形成させる役割を有し、測定光照射光学系10aの光路中に配置される(好ましくは、被検眼角膜と共役な位置)。
また、光束偏向部100は被検眼の眼底に投光される測定光束を測定光軸L1に直交する方向に偏向させるための部材であり、測定光照射光学系10aの光路であって受光光学系10bの光路とならない位置に配置されている(例えば、測定光源11とリレーレンズ12との間)。本実施形態では、光束偏向部100として、非機械的に光を偏向させる音響光学的光偏向素子(AOD)が用いられる。なお、これに限るものではなく、偏向プリズムや可動反射ミラー等を用いるようにしてもよい。
受光光学系10bには、被検眼前方から、対物レンズ14、ハーフミラー13、リレーレンズ16、全反射ミラー17、コリメータレンズ19、マイクロレンズアレイ20、レンズアレイ20を通過した光束を受光する二次元受光素子22が順次配置されている。なお、ハーフミラー13は、光源11からの測定光束を透過し、眼底からの反射光を反射する特性を有する。また、受光光学系10bは、被検眼の瞳孔とレンズアレイ20とが光学的に略共役な関係となるように構成されている。ここで、マイクロレンズアレイ20は、測定光軸L1と直交する面に二次元的に配置された微小レンズと遮光板からなり眼底反射光を複数の光束に分割する。なお、上記の構成は、いわゆるシャックハルトマン方式の波面センサを用いたものであるが、瞳孔共役位置に直交格子上のマスクを配置し、マスクを透過した光を二次元受光素子により受光するようないわゆるタルボット式波面センサを用いるようにしてもよい(例えば、本出願人による特開2006−149871号公報参照)。
また、本実施形態においては、測定光源11、コリメータレンズ19、レンズアレイ20、二次元受光素子22は、一体のユニット25として光軸方向に移動機構26によって移動される構成となっている。ここで、ユニット25は、被検眼の球面屈折誤差に応じて測定光源11及び二次元受光素子22が被検眼眼底と光学的に共役な関係となるように光軸方向に移動され、被検眼の球面屈折誤差を補正する視度補正機構として機能する。
また、ダイクロイックミラー15の反射方向には、眼Eを観察するための対物レンズ36、ダイクロイックミラー37、全反射ミラー38が配置されている。ミラー38の反射方向の光路O2上には、眼Eに固視標を固視させるための図示なき固視標投影光学系が配置されている。
また、ダイクロイックミラー37の反射方向の光路O3上には、結像レンズ31、眼Eの前眼部付近と略共役な位置に配置されたエリアCCD等の二次元撮像素子32を含み眼Eを撮影し被検眼像を得る観察光学系30が配置されている。
また、ダイクロイックミラー15は測定光学系10が持つ測定光源から発せられる波長の光を透過し、図示無き前眼部照明光源やアライメント用光源から発せられた波長の光(近赤外光)及び可視光を反射する特性を有する。また、ダイクロイックミラー37は可視光を透過し、近赤外光を反射する特性を有している。
なお、図示無き前眼部照明によって照明された被検眼前眼部からの反射光束は、ダイクロイックミラー15、対物レンズ36、ダイクロイックミラー37、結像レンズ31を介して、二次元撮像素子32に結像される。また、図示無き固視標投影光学系によって発せられた固視光束は、ミラー38で反射された後、前述の前眼部反射光束と逆の光路を通っった後、被検眼の眼底に到達される。
70は制御部であり、二次元受光素子22の出力画像信号を得て被検眼の波面収差等を解析するプログラムを有し、眼の光学特性を解析する手段を兼ねる。なお、制御部70には、光源11、二次元受光素子22、光束偏向部100、記憶手段としてのメモリ75、移動機構26、二次元撮像素子30、被検眼前眼部や測定結果が表示される表示モニタ7、ジョイスティック5等が接続されている。
ここで、モニタ7の表示画面には二次元撮像素子32によって撮像される前眼部像が表示されるため、検者は、ジョイスティック5を用いて光学系全体が内蔵された装置筐体を移動させ、被検眼に対して測定光軸L1を位置合わせする。そして、位置合わせ完了後、検者によってジョイスティック5の頂部に設けられた測定開始スイッチ5aが押されると、測定開始のトリガ信号が発生される。そして、制御部70は、これに基づいて測定光源11を点灯させ測定を開始する。
ここで、測定光源11から出射された光束は、光束偏向部100、リレーレンズ12、絞り40、ハーフミラー13、対物レンズ14、ダイクロイックミラー15、被検眼の瞳孔を介して被検眼の眼底に投光される。これにより、被検眼の眼底上に点光源像が形成される。
ここで、光束偏向部100が制御部70によって駆動されると、光束偏向部100を通過する測定光束が測定光軸L1に対して垂直な方向に偏向され、被検眼の眼底上で点光源像が二次元的に移動される。これにより、眼底上で照射される測定光の位置が時系列的に変更可能となる。なお、本実施形態の光束偏向部100では、測定光軸L1に対して上下左右各方向に測定光束が一定距離分だけ時系列的に偏向される。また、本実施形態の装置では、被検眼の眼特性(波面収差、屈折力分布等)を得るための1回分の測定において、光束偏向部100による測定光の複数の偏向内容は、決められており、その偏向方向、偏向量、偏向回数等の偏向情報はメモリ75に予め記憶されている。制御部70は、測定時にこの偏向情報に基づいて光束偏向部100を駆動させ、測定光を所定回数偏向させる。
被検眼の眼底に投光された点光源像は、反射光束として被検眼を射出し、ダイクロイックミラー15で透過され、対物レンズ14で集光された後、ハーフミラー13で反射され、リレーレンズ16にて一旦集光された後、全反射ミラー17で反射される。そして、全反射ミラー17で反射された光束は、コリメータレンズ19を介して、レンズアレイ20によって複数の光束に分割された後、二次元受光素子22に受光される。なお、前述のように測定光束が偏向されると、二次元受光素子22に受光されるパターン像全体は、図2に示すように測定光束の偏向方向に応じて移動される。
ここで、レンズアレイ20で複数の光束に分割され二次元受光素子22に受光されるパターン像(図2参照)は、被検眼の収差(低次収差、高次収差)の影響によって変化するため、無収差の光が通過したときにできるパターン像に対して、被検眼からの反射光により生じるパターン像を解析すれば、被検眼の波面収差分布や屈折力分布を測定することが可能になる。
以下に、図2を用いて、光束偏向部100によって位置変更される毎のパターン像を各々取得し、光束偏向部100による偏向に基づく各パターン像の位置変化を,対応する偏向情報に基づいて補正し、補正された各パターン像同士を加算処理することにより被検眼の波面収差を求める手法について説明する。
具体的には、制御部70は、二次元受光素子22によって検出されるパターン像を複数回取得(撮像)し、メモリ75に加算処理を行うための画像データとしてそれぞれ記憶させる。パターン像の取得は、所定間隔(例えば、1/30秒間隔)で行われ、得られた画像データが順次メモリ75に出力される。本実施形態では、取得されたパターン画像を、撮影順に、第1画像、第2画像、第3画像、第4画像として説明する。
また、制御部70は、前述のようにパターン画像を1フレーム取得するのに同期して、光束偏向部100を駆動させることにより測定光束の偏向状態を切り換える。ここで、第1画像は、測定光束が測定光軸L1に対して上方向に偏向された状態でのパターン像、第2画像は、測定光束が測定光軸L1に対して左方向に偏向された状態でのパターン像、第3画像は、測定光束が測定光軸L1に対して下方向に偏向された状態でのパターン像、第4画像は、測定光束が測定光軸L1に対して右方向に偏向された状態でのパターン像、といったように、各フレーム毎のパターン画像と測定光束の偏向状態とが一対の関係となる。なお、図2における基準画像は、測定光軸L1と測定光束が眼底上で同軸となった際のパターン像の受光位置を表す。
この場合、光束偏向部100によって偏向される測定光束の偏向状態(偏向方向及び偏向量)に応じて眼底上での点光源像の位置が異なるため、二次元受光素子22上に受光されるパターン像の受光位置が変化する。すなわち、パターン像における各ドット像同士の位置関係は変化しないが、パターン像全体が所定方向に所定量ずれた状態となる。ここで、第1画像では基準画像に対してΔdだけ上方向にずれ、第2画像では基準画像に対してΔdだけ左方向にずれ、第3画像では基準画像に対してΔdだけ下方向にずれ、第4画像では基準画像に対してΔdだけ右方向にずれる。
次に、制御部70は、波面収差を求めるための演算処理に移行する。ここで、制御部70は、予めメモリ75に記憶されている偏向情報に基づいて光束偏向部100によって偏向される測定光束に応じて変化するパターン像の受光位置の位置ずれデータ、より詳しくは、偏向させない測定光にて得られるパターン像の受光位置に対する偏向した測定光にて得られるパターン像の受光位置の位置ずれデータをメモリ75に予め記憶しておき、メモリ75に記憶されたパターン像に対して、対応する位置ずれデータを用いてパターン像の受光位置に関して補正処理をかける。例えば、図2に示す第1画像の場合、上方向への位置ずれΔ↑dが差し引かれるようにオフセットをかける。また、第2画像の場合、左方向への位置ずれΔ←Δdが差し引かれるようにオフセットをかける。
上記のようにして各パターン像の画像データに対して補正処理がなされたら、制御部70は、補正された各画像データに対して加算処理を行う。これにより、各ドット像の輝度値が増幅されるため、各ドット像とノイズ成分とのコントラストが明確になり、各ドット像の位置検出精度が向上される。
その後、制御部70は、上記のように加算処理された後のパターン像における各ドット像の偏位量を検出することで、反射光束の波面の傾きを求める。波面の傾きの解析は、特表2003−526404号公報等に記載されているような周知の数学的技術を使用することができる。解析された波面の傾きは、周知のゼルニケ(Zernike)多項式の展開を適用することによって定量化される。球面屈折誤差(S)、乱視屈折誤差(C)、乱視軸角度(A)は多項式次数2次以下の項で表され、高次収差成分は多項式次数3次以上で求められる。波面収差分布や屈折力分布等の光学特性の解析結果は、制御部70に接続されたモニタ7にマップ等の形で表示される。
以上説明したように、パターン像を複数取得する際に光束偏向部100によって測定光束が偏向されることにより、二次元受光素子22にパターン像と共に検出されるスペックルノイズが測定光束の偏向状態に応じて各々変化される。よって、これを加算処理することによってスペックルノイズが相対的に中和除去される。
また、本実施形態では、測定光束を偏向させる光束偏向部100が測定光照射光学系10aの光路中であって受光光学系10bの光路とならない位置に配置されている。したがって、光束偏向部100によって偏向される光束径が小さく収差の影響を受けにくいため、光学系の影響によって生じる収差が抑制されたパターン像を得ることができる。また、測定光照射光学系の光路中であって受光光学系10bの光路とならない位置であれば、光束偏向部100の配置位置は特に限定がされず、光学設計が簡易化される。なお、光束偏向部100による偏向量を考慮すると、測定光源11から離れた位置に配置されることが好ましい。
これに対し、測定光照射光学系10a及び受光光学系10bの共通光路に光束偏向部100が配置される場合、瞳孔と共役位置に光束偏向部100を配置する必要がある。この場合、光束偏向部100によって偏向される光束径が大きく光束偏向部100を通過することによる収差の影響が避けられないため(特に、周辺部)、測定精度の低下につながる。また、前述の収差の影響を回避するために、可動ミラーの反射面やプリズムの一面を非球面にしようとすれば、光学部材が高価となり、装置のコストアップにつながる。
なお、以上の説明においては、光束偏向部100を用いて眼底に投光される投光光束を偏向させるような構成としたが、これに限るものではなく、測定光源11やリレーレンズ12を機械的に移動させて投光光束を偏向させる構成としても良い。
本実施形態に係る眼科測定装置の光学系及び制御系の構成について説明するための概略構成図である。 光束偏向部によって眼底上の測定光の位置が変更されたときのパターン像の位置変化及び補正処理について説明する図である。
符号の説明
10 測定光学系
10a 測定光照射光学系
10b 受光光学系
20 マイクロレンズアレイ
22 二次元受光素子
70 制御部
100 光束偏向部

Claims (3)

  1. 被検眼眼底にスポット状の測定光を照射する測定光照射光学系と、被検眼眼底に照射した前記測定光の反射光束を複数の光束に分割して複数の指標像からなるパターン像として二次元撮像素子に受光させる受光光学系と、
    前記測定光照射光学系の光路であって前記受光光学系の光路とならない位置に配置され,被検眼眼底に投光される投光光束を偏向させる光束偏向手段と、
    前記受光光学系からの出力に基づいて被検眼の眼内の波面収差を測定する測定手段と、を備え、
    前記測定手段は、
    前記光束偏向手段を駆動させて眼底上に照射される測定光の位置を時系列的に変更させるとともに,前記受光光学系によって受光される前記位置変更毎のパターン像を各々取得するパターン像取得手段と、
    前記パターン像取得手段に取得された各パターン像を処理して、前記光束偏向手段による偏向に基づく前記各パターン像の位置変化を,対応する偏向情報に基づいて補正処理する補正処理手段と、を有し、補正された各パターン像同士を加算処理して被検眼の眼内の波面収差を測定することを特徴とする眼科測定装置。
  2. 請求項1の眼科測定装置において、前記補正手段は前記光束偏向手段による前記偏向情報に基づいて得られる前記パターン像のズレ方向及びズレ量から前記測定光を偏向させないとしたときの前記パターン像の受光情報が得られるように補正することを特徴とする眼科測定装置。
  3. 請求項2の眼科測定装置において、前記光束偏向手段は、音響光学的光偏向素子であることを特徴とする眼科測定装置。
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