JP4988018B2 - 太陽光発電制御装置 - Google Patents
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Description
太陽光発電システムでは、限られた太陽電池出力を有効に利用するために、最大電力点追跡(MPPT:Maximum Power Point Tracking)制御が不可欠である。
MPPT制御は、発電環境に応じて変化する太陽電池の出力電力が常時最大となるように、太陽電池の動作電圧、電流をコントロールするものである。現在、ほとんどの太陽光発電システムで採用されている。
太陽電池の最大電力点を追跡する方法としては各種方法が考案されているが、発電環境の変化が激しい場合には、必ずしも発電環境に対応して素早く追跡しきれているとは言い難い。
ここで、コントローラ5のマイクロプロセッサは太陽電池2の電圧と電流とを乗算することによって太陽電池2の出力電力を算出し、メモリー内にその時の電圧、電力値を記憶することができる。また、コントローラ5はDC/DCコンバータ(あるいはDC/ACインバータ)6の出力をコントロールして、太陽電池2の動作電圧を変化させることができる。
次に、コントローラ5の指示により、DC/DCコンバータ6はその出力電力を増減することによって、太陽電池2から見たDC/DCコンバータ6のインピーダンスを変化させて、太陽電池2の動作電圧をV1に比べて数V高い電圧である任意の電圧値V2へステップ状に変化させる(ステップS4)。
コントローラ5のマイクロプロセッサは、太陽電池2の動作電圧がV2に整定するであろう任意のある一定の期間(例えば0.5秒)をおいて(ステップS5)、V2の時の太陽電池出力電流I2を測定し、V2とI2とを乗算して太陽電池出力電力W2を算出し、メモリーにV2とW2との値を記憶する(ステップS6〜S8)。
そして、電圧V3へ変化させた時に電力が増えた場合(ステップS16でYES)には次の基準点をV3とし、ステップS11に戻って、更に電圧を降下させる方向に移行する。
逆に電力が減った場合(ステップS16でNO)には、ステップS4に戻り、再度、電圧を上昇させる方向に移行する。
更に、この弊害は、電圧が異なる2つの動作点における出力電力の計測時点の間隔が長時間化することで助長されることになる。即ち電圧設定値を現状の値からステップ状に変化させた次の設定値に移行させ、この移行後の電圧における正確な出力電力を計測するためには、太陽電池が当該移行後の電圧で安定した動作状態に至るまでの時間、整定時間が必要となる。
しかるに、この方式は、重畳電圧源または重畳電流源という高価なハードウェアが必要になるとともに、主回路構成が複雑になるという問題点がある。
しかるに、この場合、3時点における3つのデータを基に1回の比較演算を行い次ステップの電圧設定値を決めるので、制御動作がその分遅くならざるを得ず、しかも、その3点の内、2点のデータは同一動作電圧であって日射量変化の判定のみに利用され電力−電圧特性上の現在位置探知のためのデータには成り得ないので、結果として最大電力点追跡の制御応答としては不十分と言わざるを得ない。
ここでは、少なくとも、複数の計測データから有極の関数式により決定される近似曲線の曲率を求めるという複雑な演算処理が必要となり、その分ソフトウェアが複雑になるとともに、演算処理時間が大となって迅速な追跡制御を実現することが困難となる。
出力電力の比較を、第1の設定値で動作させたときの出力電力検出値W1と、上記第1の設定値より所定量増加または減少させた第2の設定値で動作させたときの出力電力検出値W2と、上記第1の設定値より所定量減少または増加させた第3の設定値で動作させたときの出力電力検出値W3との3者について行い、
第1の条件(W1>W2かつW1>W3)と第2の条件(W1<W2かつW1<W3)とのいずれかが成立するときは上記第1の設定値を動作設定値に決定し、
上記第1および第2の条件が共に不成立のときは、上記3者の内、出力電力検出値が最大となるものの設定値を動作設定値に決定するものである。
出力電力の比較を、第1の設定値で動作させたときの出力電力検出値W1と、上記第1の設定値より所定量増加または減少させた第2の設定値で動作させたときの出力電力検出値W2と、上記第1の設定値より所定量減少または増加させた第3の設定値で動作させたときの出力電力検出値W3との3者について行い、
第1の条件(W1>W2かつW1>W3)と第2の条件(W1<W2かつW1<W3)とのいずれかが成立するときは上記第1の設定値を動作設定値に決定し、
上記第1および第2の条件が共に不成立で、それぞれ
第3の条件(W2>W1)が成立するときは上記第2の設定値を動作設定値に決定し、
上記第3の条件が不成立のときは上記第3の設定値を動作設定値に決定するものである。
出力電力の比較を、第1の設定値で動作させたときの出力電力検出値W1と、上記第1の設定値より所定量増加または減少させた第2の設定値で動作させたときの出力電力検出値W2と、上記第1の設定値より所定量減少または増加させた第3の設定値で動作させたときの出力電力検出値W3との3者について行い、
第1の条件(W1>W2かつW1>W3)と第2の条件(W1<W2かつW1<W3)とのいずれかが成立するときは上記第1の設定値を動作設定値に決定し、
上記第1および第2の条件が共に不成立のときは、上記3者の内、出力電力検出値が最大となるものの設定値を動作設定値に決定するので、発電環境の変化を加味するとともに速やかな最大電力動作点追跡制御が可能となり、全体として大きな発電電力量が確保できる。
出力電力の比較を、第1の設定値で動作させたときの出力電力検出値W1と、上記第1の設定値より所定量増加または減少させた第2の設定値で動作させたときの出力電力検出値W2と、上記第1の設定値より所定量減少または増加させた第3の設定値で動作させたときの出力電力検出値W3との3者について行い、
第1の条件(W1>W2かつW1>W3)と第2の条件(W1<W2かつW1<W3)とのいずれかが成立するときは上記第1の設定値を動作設定値に決定し、
上記第1および第2の条件が共に不成立で、それぞれ
第3の条件(W2>W1)が成立するときは上記第2の設定値を動作設定値に決定し、
上記第3の条件が不成立のときは上記第3の設定値を動作設定値に決定するので、発電環境の変化を加味するとともに速やかな最大電力動作点追跡制御が可能となり、全体として大きな発電電力量が確保できる。
図1はこの発明の実施の形態1における太陽光発電制御装置のMPPT制御を説明するためのフローチャートである。なお、制御装置のハード構成は従来の図10と同様であるので重複を避けるため図示は省略する。
今回提案するMPPT制御も、太陽電池の電圧または電流の設定値を順次ステップ状に変化させ、これら設定値が互いに異なる複数の動作点における太陽電池の出力電力の比較から太陽電池の最大電力動作点を追跡制御するものであるが、従来の図12では電圧値が互いに異なる2つの動作点における出力電力の比較から次に採用すべき動作電圧値を決定するのに対し、ここでは電圧値が互いに異なる3つの動作点における出力電力の比較から次に採用すべき動作電圧値を決定する。
先ず、現状の太陽電池動作電圧V1を第1の設定値として太陽電池出力電流I1を計測し(ステップT1)、コントローラ5のマイクロプロセッサは、V1とI1とを乗算することにより太陽電池出力電力W1を算出し(ステップT2)、メモリーにV1とW1との値を記憶する(ステップT3)。
次に、設定目標値をV1より所定量高い第2の設定値であるV2へ移動し(ステップT4)、これに応じてDC/DCコンバータ6はその出力電力を増減させ、太陽電池2から見たDC/DCコンバータ6のインピーダンスを変化させることにより、動作電圧を上昇させ、この整定のために0.5秒待機する(ステップT5)。なお、実施の形態1においてこの整定のために一定時間(0.5秒)待機するという点は従来と同様である。
整定後の動作電圧V3、出力電流I3を計測し(ステップT11)、コントローラ5のマイクロプロセッサは、V3とI3とを乗算することにより太陽電池出力電力W3を算出し(ステップT12)、メモリーにV3とW3との値を記憶する(ステップT13)。
先ず、ケースK1(W1>W2>W3)は、計測時間が経過するにつれて出力電力が単調減少しているので、一つはこの間で日射量が連続的に減少していることが考えられる。この場合は、上述した通り、設定電圧値は移動させないのが得策であり、元の電圧V1を採用する。また、3点の電圧の中央にある電圧V1における出力電力W1が最大であるので、別の可能性として、この間に日射量の変化がなく、しかも、電圧V1が最大電力動作点またはその近傍にあることが考えられる。従って、この場合も採用すべき電圧はV1となる。
以上のように、ケースK1、K2の場合は、次設定値としてV1を採用すべきことから、図1のフローチャートでは、これをステップT14の第1の条件(W1>W2かつW1>W3)の成立(YES)で判別し、この場合、動作電圧をV1に戻す(ステップT15)。
従って、このケースK4、K6をステップT16の第2の条件(W1<W2かつW1<W3)の成立(YES)で判別し、動作電圧をV1に戻す(ステップT15)。
これを、ステップT17の第3の条件(W2>W1)の成立(YES)で判別し、動作電圧V2に上昇させる(ステップT18)。なお、このケースK3は、図2において、3点の電圧が最大電力点の電圧より手前に位置する場合が相当する。
図1のフローチャートでは、このケースK5の場合をステップT17における不成立(NO)で判別し、現状の動作電圧、即ち、3点の内最終時点の動作電圧V3を、新たなV1、従って、次回の比較演算の3点値の中央電圧値に設定する(ステップT1)。
図4はこの発明の実施の形態2における太陽光発電制御装置を示すブロック図である。この形態2は従来技術で説明した整定に要する時間の短縮を図ることで、追跡制御の制御速度の向上を実現するものである。ここでは、図4のコントローラ5の内部に常時監視手段51を設けている。この常時監視手段51は、常に(あるいは、1秒間に100回程度の非常に速い繰り返し周期で)太陽電池の動作電圧をモニターする構成となっている。
次に、ステップU4で、設定目標値をV1より所定量高い第2の設定値V2へ移動し、これに応じてDC/DCコンバータ6はその出力電力を増減させ、太陽電池の動作電圧を上昇させていく。
この実施の形態2においては、常時監視手段51によりこの電圧変化を常時監視し、この監視電圧とV2との差がΔV=|V2−V1|の3%以内になったか否かを常時判別する(ステップU51)。電圧差が3%以内でなければ(ステップU51でNO)、動作設定値をV2に移動させた時点(図7では時刻t1が相当)からの経過時間が、回路条件にかかわらず整定に必要な十分な時間として従来から設定されている時間0.5秒以上であるか否かを判別する(ステップU52)。0.5秒未満の間はステップU51の判別動作を繰り返す。
動作設定値をV2に移動させた時点からの経過時間が0.5秒になっても電圧差が3%以内にならないときは(ステップU52でYES)、この時点で電圧監視を打ち切り、ステップU6〜U8で、V2′とW2′との値を記憶する。このケースは監視動作等に何らかの異常が発生してこの整定の時間が無駄に長大化することを防止することを想定したもので、通常の制御動作では起こり得ないと考えられる。
このため、全体として、最大電力点追跡制御の速度が高まり、また、3点の出力電力の計測の時間ずれがその分短縮されるので、その間における日射量の変化による影響も低減し、追跡制御の精度の向上が期待できる。
4 電流モニター回路、5 コントローラ、51 常時監視手段、
6 DC/DCコンバータ、7 負荷。
Claims (4)
- 太陽電池からの電力をその電圧を変換して負荷または系統に供給する電力変換手段、上記太陽電池の出力電力を検出する電力検出手段、および上記電力変換手段を制御することにより上記太陽電池の電圧または電流の設定値を順次ステップ状に変化させ、これら設定値が互いに異なる複数の動作点における上記太陽電池の出力電力の比較から採用すべき動作設定値を決定し太陽電池の最大電力動作点を追跡制御する電力制御手段を備えた太陽光発電制御装置において、
出力電力の比較を、第1の設定値で動作させたときの出力電力検出値W1と、上記第1の設定値より所定量増加または減少させた第2の設定値で動作させたときの出力電力検出値W2と、上記第1の設定値より所定量減少または増加させた第3の設定値で動作させたときの出力電力検出値W3との3者について行い、
第1の条件(W1>W2かつW1>W3)と第2の条件(W1<W2かつW1<W3)とのいずれかが成立するときは上記第1の設定値を動作設定値に決定し、
上記第1および第2の条件が共に不成立のときは、上記3者の内、出力電力検出値が最大となるものの設定値を動作設定値に決定することを特徴とする太陽光発電制御装置。 - 太陽電池からの電力をその電圧を変換して負荷または系統に供給する電力変換手段、上記太陽電池の出力電力を検出する電力検出手段、および上記電力変換手段を制御することにより上記太陽電池の電圧または電流の設定値を順次ステップ状に変化させ、これら設定値が互いに異なる複数の動作点における上記太陽電池の出力電力の比較から採用すべき動作設定値を決定し太陽電池の最大電力動作点を追跡制御する電力制御手段を備えた太陽光発電制御装置において、
出力電力の比較を、第1の設定値で動作させたときの出力電力検出値W1と、上記第1の設定値より所定量増加または減少させた第2の設定値で動作させたときの出力電力検出値W2と、上記第1の設定値より所定量減少または増加させた第3の設定値で動作させたときの出力電力検出値W3との3者について行い、
第1の条件(W1>W2かつW1>W3)と第2の条件(W1<W2かつW1<W3)とのいずれかが成立するときは上記第1の設定値を動作設定値に決定し、
上記第1および第2の条件が共に不成立で、それぞれ
第3の条件(W2>W1)が成立するときは上記第2の設定値を動作設定値に決定し、
上記第3の条件が不成立のときは上記第3の設定値を動作設定値に決定することを特徴とする太陽光発電制御装置。 - 設定値とする太陽電池の電圧または電流の変化を監視する監視手段を備え、
第1の動作点における電力検出が終了した後、設定目標値を次ステップの設定目標値に変更して次に電力を検出すべき第2の動作点に移行する場合、上記監視手段の出力と上記次ステップの設定目標値との偏差量を検出し、この偏差量が予め定めた所定範囲内になった時点における出力電力検出値を上記第2の動作点における出力電力とすることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽光発電制御装置。 - 第1の動作点から第2の動作点に移行する場合、設定目標値を次ステップの設定目標値に変更してからの経過時間を検出し、この経過時間が予め定めた所定時間となった時点で偏差量が所定範囲内になっていないときは、当該所定時間における出力電力検出値を上記第2の動作点における出力電力とすることを特徴とする請求項3記載の太陽光発電制御装置。
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