JP4986302B2 - 難培養化したビール類混濁乳酸菌の作製方法及びビール類混濁乳酸菌の検査培地 - Google Patents

難培養化したビール類混濁乳酸菌の作製方法及びビール類混濁乳酸菌の検査培地 Download PDF

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Description

本発明は、難培養化したビール類混濁乳酸菌の作製方法及びビール類混濁乳酸菌の検査培地に関し、詳しくは難培養化したビール類混濁乳酸菌の作製方法と、ビール類混濁乳酸菌の検査培地と、前記検査培地を用いたビール類中の乳酸菌の検査方法と、に関する。
ビール類産業における微生物検査法では、製品に対して有害な微生物を培地で検出する手法が主流である(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、ラクトバチルス・リンドネリ(Lactobacillus lindneri)やラクトバチルス・パラコリノイデス(L. paracollinoides)等に属す、MRS培地等の通常の乳酸菌検査培地で検出することができない難培養有害菌株が製品ビール類で微生物事故を引き起こす事例が発生しており、適切な微生物管理を実施していても品質事故が起こるリスクが存在する。
その一方で、ビール類有害微生物検査培地或いは検出装置を開発・販売するメーカーでは、MRS培地等の通常の乳酸菌検査培地で生育可能な当該菌種を保有していても、難培養状態のラクトバチルス・リンドネリ(Lactobacillus lindneri)やラクトバチルス・パラコリノイデス(L. paracollinoides)を保有していないことが多いため、難培養状態にある当該菌種に対する有効な検出法の開発が難しいという問題があった。
上記したように、ビール産業における微生物検査法では、製品に対して有害な微生物を培地で検出する手法が主流である。
しかしながら、現在公知にされているビール混濁乳酸菌検出培地には、難培養乳酸菌の検出力が弱いこと、非混濁菌株に対する選択性が低いことなどが問題とされている。
また、これまで、1枚の培地では漏れなくビール混濁乳酸菌を検出することは困難であり、3枚以上の異なる培地を併用することが、European Brewery Conventionで推奨されている。
しかしながら、上記推奨策は、工場における品質管理を煩雑にするだけでなく、非混濁株が擬陽性株として検出される可能性を高めることにつながり現実的でない。
難培養乳酸菌株を漏れなく検出でき、かつ、選択性の高い培地を開発できれば、微生物検出時にビール混濁性の判定が行えるため、遺伝学的検査法を持たない検査室でもビールの微生物検査が実施可能となることから、そのようなビール類混濁乳酸菌検査培地が求められている。
EBC ANALYTICA MICROBIOLOGICA II(1992); Section 4 Detection of Contaminants
本発明の目的は、人工的な環境下で難培養ビール類有害菌株を作製し、当該菌に対する有効な対抗施策を考案するための生物材料を提供することにある。
即ち、本発明は、第一に、通常の検査培地で検出することができない難培養有害菌株を作製する方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、第二に、難培養乳酸菌株を漏れなく検出でき、かつ、選択性の高いビール類混濁乳酸菌検査培地を提供することを目的とするものである。
換言すると、微生物検出時にビール類混濁性の判定が行え、遺伝学的検査法を持たない検査室でもビール類の微生物検査が実施可能となる、ビール類混濁乳酸菌検査培地を提供することを目的とするものである。
本発明は、第三に、そのような検査培地を用いたビール類中の乳酸菌の検査方法を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る本発明は、pH4.0〜5.5に調整したビール類に乳酸菌を植菌して嫌気培養し、得られた培養液を前記pHに調整したビール類に植菌する操作を5回以上繰り返した後、50〜65℃にて5〜15分間の加熱処理を行うことを特徴とする、難培養化したビール類混濁乳酸菌の作製方法を提供するものである。
請求項2に係る本発明は、pH4.0〜5.5に調整したビール類に乳酸菌を植菌して嫌気培養し、得られた培養液を前記pHに調整したビール類に植菌する操作を20回より多く繰り返すことを特徴とする、難培養化したビール混濁乳酸菌の作製方法を提供するものである。
本発明によれば、通常の検査培地で検出することができない難培養有害菌株を作製することができる。
次に、本発明によれば、上記のような難培養有害菌株を生物材料として、現行培地の欠点を補うことのできる培地、つまり難培養乳酸菌株を漏れなく検出でき、かつ、選択性の高いビール類混濁乳酸菌検査培地が提供される。
換言すれば、微生物検出時にビール類混濁性の判定が行え、遺伝学的検査法を持たない検査室でもビール類の微生物検査が実施可能となる、ビール類混濁乳酸菌検査培地が提供される。
さらに、本発明によれば、そのような検査培地を用いたビール類中の乳酸菌の検査方法が提供される。
従って、本発明によれば、公的菌株保存機関より入手可能な培養可能株から、通常の検出培地で生育しない難培養有害菌を人工環境下で作製することにより、得られた難培養菌株を生物材料として、新規検出培地の開発、或いは培地に依存しない迅速有害菌検出装置の開発が可能となる。
また、本発明により提供される検査培地は、ラクトバチルス・リンドネリ(Lactobacillus lindneri)及びラクトバチルス・パラコリノイデス(L. paracollinoides)を含めたビール類混濁乳酸菌株の検出培地(検査培地)として、或いはビール類飲料の加熱殺菌効果を検証する培地として有用であることが示された。
請求項1に係る本発明は、難培養化したビール類混濁乳酸菌の作製方法に関し、pH4.0〜5.5に調整したビール類に乳酸菌を植菌して嫌気培養し、得られた培養液を前記pHに調整したビール類に植菌する操作を5回以上繰り返した後、50〜65℃にて5〜15分間の加熱処理を行うことを特徴とするものである。
請求項1に係る本発明では、pH4.0〜5.5に調整したビール類に乳酸菌を植菌して嫌気培養する。
ここでビール類としては、上面発酵ビールや下面発酵ビールであるなど、その種類を問わない。また、ビールのみならず、いわゆる発泡酒やその他の雑酒等も含まれる。
ビール類は、pH4.0〜5.5、好ましくは4.2〜5.0に調整しておくことが必要である。ビール類のpHが4.0未満では、非常に乳酸菌の生育が悪く、一方、ビール類のpHが5.5を超えると、乳酸菌へのホップが与えるダメージが小さくなり、ビールへの馴化がしにくくなるため、本発明の目的を達成することができない。
pHの調整は、例えば塩酸あるいは水酸化ナトリウム等の手段により行えばよい。
乳酸菌としては、ビール類を混濁させ、しかも難培養化するようなものであれば特に制限されないが、例えばラクトバチルス・リンドネリ(Lactobacillus lindneri)やラクトバチルス・パラコリノイデス(L. paracollinoides)等、通常の検査培地(MRS培地)で検出しにくい難培養有害菌種に属する、難培養化する前の乳酸菌株が好適である。
嫌気培養は、2〜10日、好ましくは4〜7日、より好ましくは5〜7日程度行えばよい。
次いで、得られた培養液を、前記pH、つまりpH4.0〜5.5、好ましくは4.2〜5.0に調整したビール類に植菌する。
この植菌操作、つまり植え継ぎ操作を5回以上、好ましくは10回以上繰り返す。上限は特に制限されないが、通常、30回までとする。従って、通常、5〜30回、好ましくは10〜30回繰り返す。
以上の如き工程により、本来ビール類中で生育力を示す乳酸菌が馴化される。
しかる後、50〜65℃にて5〜15分間、好ましくは52〜60℃にて5〜15分間の加熱処理を行う。
前述したビール中での乳酸菌の馴化により、乳酸菌はホップへの耐性を獲得するが、その後の加熱処理を行わない場合、ビール及び通常培地(MRS培地)の両方で生育することが判明し、加熱処理を施すことにより、ビールで生育し、通常培地(MRS培地)で生育しない菌株を取得することができる。
ここで加熱処理温度が50℃未満であったり、或いは加熱処理時間が5分間未満であったりすると、通常培地(MRS培地)で生育する菌株も得られ、難培養化したビール類混濁乳酸菌のみを得ることができない。一方、加熱処理温度が65℃を超えたり、或いは加熱処理時間が15分間を超えたりすると、乳酸菌が死滅してしまう。
このような加熱処理工程を行うことにより、通常の検査培地(MRS培地)で生育することができず、検出することができない、難培養化したビール類混濁乳酸菌を人工的に作製することができる。
一旦難培養化したビール類混濁乳酸菌は、その後、加熱処理を施さなくても、ビール類での植え継ぎにより難培養状態を維持することができる。
次に、請求項2に係る本発明は、難培養化したビール混濁乳酸菌の作製方法に関し、pH4.0〜5.5に調整したビール類に乳酸菌を植菌して嫌気培養し、得られた培養液を前記pHに調整したビール類に植菌する操作を20回より多く繰り返すことを特徴とするものである。
請求項2に係る本発明では、pH4.0〜5.5に調整したビール類に乳酸菌を植菌して嫌気培養する。
ここで、ビール類としては、上面発酵ビールや下面発酵ビールであるなど、その種類は問わない。また、ビールのみならず、いわゆる発泡酒やその他の雑種等も含まれる。
ビール類は、pH4.0〜5.5、好ましくは4.2〜5.0に調整しておくことが必要である。ビール類のpH4.0未満では、非常に乳酸菌の生育が悪く、一方ビール類のpHが5.5を超えると、乳酸菌へのホップが与えるダメージが小さくなり、ビール類への馴化がしにくくなるため、本発明の目的を達成することができない。
pHの調整は、例えば塩酸あるいは水酸化ナトリウム等の手段により行えばよい。
乳酸菌としては、ビール類を混濁させ、しかも難培養化するようなものであれば特に制限はないが、例えばラクトバチルス・リンドネリ(Lactobacillus lindneori)やラクトバチルス・パラコリノイデス(L. paracollinoides)等、通常の検査培地(MRS培地)で検出しにくい難培養有害菌種に属する、難培養化する前の乳酸菌株が好適である。
嫌気培養は、2〜10日、好ましくは4〜7日、より好ましくは5〜7日程度行えばよい。
次いで、得られた培養液を、前記pH、つまり4.0〜5.5、好ましく4.2〜5.0に調整したビール類に植菌する。
この植菌操作、つまり植え継ぎ操作を20回より多く、好ましくは40回以上繰り返す。上限は特に制限されないが、通常70回までとする。
以上のごとき工程により、ビール類中で生育し、通常培地(MRS培地)で生育しない菌株を取得することができる。
請求項2に係る本発明で得られる難培養化した乳酸菌株は、請求項1に係る本発明で得られる乳酸菌株に比べ、難培養化した株を取得するまでに時間を要するものの、加熱によるストレス負荷を行っていない点で、請求項1に係る本発明とは異なる。
請求項2に係る発明で得られた難培養化した乳酸菌株は、請求項1に係る発明で得られた難培養化した乳酸菌株とは性状が異なることが期待され、難培養ビール有害菌株の生物試料としての価値が大いにあると思われる。
次に、請求項3に係る本発明は、請求項1及び2の方法により作製された、難培養化したビール類混濁乳酸菌はもとより、それ以外のビール類混濁乳酸菌をも検査(検出)することのできる検査培地(検出培地)に関するものである。
即ち、請求項3に係る本発明は、ビール類1Lに対して、寒天を含まない粉末MRS培地を16g以下の割合で添加してなる、ビール類混濁乳酸菌の検査培地を提供するものである。
ここでビール類としては、請求項1及び2に係る本発明についての説明中で述べたように、上面発酵ビールや下面発酵ビールであるなど、その種類を問わず、ビールのみならず、いわゆる発泡酒やその他の雑酒等も含まれるが、苦味価が10〜30BUであることが好ましい。
寒天を含まない粉末MRS培地は、特に乳酸菌全体の良好な生育を支持していることから、乳酸菌用の培地として通常用いられているものであって、その組成は次の如きものである。
[寒天を含まない粉末MRS培地組成(精製水1Lあたり)]
・ペプトン 10.0g
・肉エキス 8.0g
・酵母エキス 4.0g
・ブドウ糖 20.0g
・リン酸一水素カリウム 2.0g
・モノオレイン酸ソルビタン(ポリソルベート80) 1.0g
・酢酸ナトリウム 5.0g
・クエン酸アンモニウム 2.0g
・硫酸マグネシウム 0.2g
・硫酸マンガン 0.04g
上記粉末培地52.2gを1Lの精製水に加えてよく混和し、撹拌しながら加熱し、1分間沸騰させて完全に溶解し、これを培養容器に分注し、121℃で15分間、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)し液体培地化して使用する。
これ以降、「寒天を含まない粉末MRS培地」を「粉末MRS培地」という。
粉末MRS培地は、Difco社、Merck社、Biokar社などから市販されているものを用いることができる。
ビール類への粉末MRS培地の添加量は、ビール類1Lに対して、16g以下、好ましくは0.5〜10g、より好ましくは2.0〜6.0gである。
ここでビール類への粉末MRS培地の添加量が、ビール類1Lに対して0gでも十分に難培養化したビール類混濁乳酸菌は生育するが、2.0〜6.0g添加することにより、より早く生育が観察できる。一方、ビール類への粉末MRS培地の添加量が、ビール類1Lに対して16gを超えると、難培養化したビール類混濁乳酸菌の生育が困難となる。
このような請求項3に係る本発明による、ビール類混濁乳酸菌の検査培地に、さらに寒天を添加することにより、平板培地化したものが、請求項4に記載のビール類混濁乳酸菌の検査培地である。
寒天の添加量は、ビール類1Lに対して、10〜30gである。
また、請求項3に係る本発明による、ビール類混濁乳酸菌の検査培地又は上記した請求項4による、ビール類混濁乳酸菌の検査培地に、さらに酢酸ナトリウムを添加したものが、請求項5に記載のビール類混濁乳酸菌の検査培地である。
酢酸ナトリウムの添加量は、ビール類1Lに対して、3g以下、好ましくは0.25〜2gである。
酢酸ナトリウムを添加することにより、腸内細菌の増殖を抑制することができる。
さらに、酵母の生育抑制のため、シクロヘキシミドを添加することができる。シクロヘキシミドの添加量は、ビール類1Lに対して、5〜50mgである。
このようにして、ビール類1Lに対して、寒天を含まない粉末MRS培地(粉末MRS培地)を16g以下、10〜30gの寒天、3g以下の酢酸ナトリウム、5〜50mgのシクロヘキシミドをそれぞれ添加し、pH4.5〜5.5に調整することにより、ビール類混濁乳酸菌の検査培地として好適なものが得られる。
請求項3〜6のいずれかに記載のビール類混濁乳酸菌の検査培地は、粉末化することにより、より利便性を向上することができる。液体培地を調製するときに、本粉末培地を所定量水に溶解するだけでよいので、非常に便利である。粉末化には、加熱乾燥法、凍結乾燥(フリーズドライ)法等の公知の方法を使用することができ、特に制限されるものではないが、培地成分の劣化、分解等を抑えることができることから、凍結乾燥法が好ましい。
凍結乾燥法における予備凍結温度は、−25℃以下が好ましく、また、凍結時間は16時間以上が好ましい。乾燥効率を上げるためには、十分に培地が凍結している必要がある。凍結乾燥機における凍結物の乾燥は、1mmHg以下の減圧下で行うのがよく、温度は、品温が40℃程度になるように設定するのが好ましい。
上記した如き請求項3〜7のいずれかに記載のビール類混濁乳酸菌の検査培地は、難培養化したビール混濁乳酸菌の検出が可能なものである。
そして請求項3〜8に係る本発明による、ビール類混濁乳酸菌の検査培地を用いて、ビール類中の乳酸菌を検査する方法を提供するのが、請求項9に係る本発明である。
即ち、請求項9に係る本発明は、ビール類中の乳酸菌の検査方法(検出方法)に関し、ビール類中の乳酸菌を検査するにあたり、請求項3〜8のいずれかに記載のビール類混濁乳酸菌の検査培地を用いることを特徴とするものである。
検査方法(検出方法)として具体的には、前記した如き請求項3〜8に係る本発明による、ビール類混濁乳酸菌の検査培地に、検査対象(検出対象)であるビール類を適量メンブラン集菌を行ったものを培養すればよい。
このようにして、ビール類中の乳酸菌、特に難培養化したビール類混濁乳酸菌を検査することができる。
即ち、請求項9に係る本発明によれば、通常の検査培地(MRS培地)で検出することができない、ビール類中の難培養有害菌株を検出することができる。
請求項9に係る本発明によれば、ビール類中の難培養化したビール類混濁乳酸菌はもとより、ビール類中の混濁乳酸菌を1枚の培地で漏れなく検出することができる。
なお、前記した請求項3〜8に係る本発明による、ビール類混濁乳酸菌の検査培地は、難培養化したビール類混濁乳酸菌の検査のみならず、加熱殺菌の条件の設定にも利用することができる。
以下、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1(難培養化したビール混濁乳酸菌の作製1)
ラクトバチルス・リンドネリ(L. lindneri)DSM20692株を約10cells/mlとなるように、pH5.0に調整したピルスナー・タイプのガス抜きビール(苦味価20B.U. スーパードライ等)10mlに植菌した。25℃で1週間嫌気培養し、生育した当該株培養液100μlを同様にpH5.0に調整したガス抜きビール10mlに植え継いだ。pH5.0に調整したガス抜きビールでの植え継ぎを15回繰り返して得られた当該株培養液に対して、60℃にて10分間の加熱処理を行って、難培養化したラクトバチルス・リンドネリ(L. lindneri)DSM20692VN株を作製した。
まず、得られた菌株の菌液(以下、試料液という)における生菌数を計測するために、試料液を10倍、100倍、1000倍等と段階希釈を行い、pH5.0に調整したガス抜きビールへ植菌し、25℃で2週間以内にすなわち生育が確認された場合、希釈試料液に生菌を含むと判断した。なお、生育の確認はビール中における目視での混濁の有無で判断した。本計測法では、それぞれの希釈段階の試料液に対して3本のガス抜きビール(pH5.0)を用意し、試料液中の生菌数は、段階希釈試料液中に含まれる生菌の有無に基づき、最確数法にて求めた。その結果、試料液10μl中の生菌数は460個と推定された。
次に、得られた菌株がビール有害性を示すか否かを調査するため、製品ビールの代表サンプルとして選択したpH4.2に調整したガス抜きビールに、試料液10μlを植菌した。植菌後、約1ヶ月でビール中に混濁が生じ、生育性が確認された。これにより、得られた菌株の製品ビールへの有害性が示された。
一方、培養試験においては、試料液10μlをMRSブロスに植菌し、25℃で2週間嫌気培養したが、目視による生育性の確認ができなかった。
ここで、MRSブロスは、Merck社製の、寒天を含まない粉末MRS培地を用い、上記粉末培地52.2gを1Lの精製水に加えてよく混和し、撹拌しながら加熱し、1分間沸騰させて完全に溶解し、これを培養容器に分注し、121℃で15分間、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)し液体培地化して使用した(以下、同様)。
以上から、得られた菌株ラクトバチルス・リンドネリDSM20692VN株は、検査培地(MRS培地)では検出できないにもかかわらず、本株により、製品流通期間中の品質事故が発生する可能性が示された。
なお、ラクトバチルス・リンドネリDSM20692株は、本発明で記載する一連の処理を実施しない場合(つまり難培養化していない場合)、100個程度の植菌では、MRSブロスにおいて、4日程度で生育を確認することができる。
実施例2
実施例1でpH4.2に調整したガス抜きビールで生育した、難培養化したラクトバチルス・リンドネリ(L. lindneri)DSM20692VN株について、混濁ビール液0.1μlをMRSブロス並びにpH4.2に調整したガス抜きビールに熱処理を付加することなく植菌した。25℃で2週間嫌気培養を行った結果、ビール生育株はMRSブロスでは生育性を示さなかった。
一方、ガス抜きビール(pH4.2)では、3週間以内に生育性を示し、検査培地で検出されないにも関わらず、製品流通期間中に品質事故が発生する可能性が示された。また、試料液0.1μl中の当該株生菌数は、実施例1に記載した最確数法で求めた結果、93個と推定された。
以上の結果から、一旦難培養状態に陥ったラクトバチルス・リンドネリ(L. lindneri)DSM20692VN株は、加熱処理を付加しなくても、難培養状態を維持することが示唆され、本手法により得られた難培養株も、検出培地或いは迅速検出装置の開発及び評価のための生物材料として有用であると考えられた。
なお、実施例1で得られた難培養株は、加熱殺菌により工程管理を行っているビールメーカーの微生物検査法開発に適し、実施例2で得られた難培養株は除菌フィルターにより工程管理を行っているビールメーカーの微生物検査法開発に適していると考えられる。
実施例3(難培養化したビール混濁乳酸菌の検査培地)
(1)難培養化したビール混濁乳酸菌の検査培地の検討
難培養状態に陥った当該菌株を検出する培地を検討するため、ガス抜きビール1Lに、寒天を含まない粉末MRS培地(以降、単に「粉末MRS培地」という。Merck社製)を、それぞれ0g、2.61g、5.22g、15.66g、26.1g、52.2gとなるよう添加した後、pH5.0に調整し、当該菌株、つまり難培養化したラクトバチルス・リンドネリ(L. lindneri)DSM20692VN株の生育性を調べた。この試験は2点併存で実施した。
粉末MRS培地添加量と、難培養化したラクトバチルス・リンドネリ(L. lindneri)DSM20692VN株の生育性との関係を表1に示す。なお、表1中、「−」は、培養期間中生育が認められなかったことを示す。
Figure 0004986302
表1に示すように、ビール1Lに対して、26.1g以上の粉末MRS培地を含む場合、25℃で2週間以内に生育性を示さないことが判明した。
一方、表1に示すように、ビール1Lに対して、粉末MRS培地を2.61g含む培地において、当該株の生育性は最も良く、培養7日目で検出可能なことが判明した。
従って、ビール1Lに対して、粉末MRS培地を16g以下の割合で添加することにより、難培養化したビール混濁乳酸菌の検査培地が得られることが分かる。
(2)難培養化したビール混濁乳酸菌の検査培地の検出感度の検討
上記(1)で有用性が認められた培地(以下、NCBD培地と称する。)の検出感度を調査した。
上記(1)で示した一連の難培養化処理を実施した、ラクトバチルス・リンドネリ(L. lindneri)DSM20692VN株を最確数法で2.3個含むと推定された試料液をNCBD培地に接種した結果、N=2の試験において、7日及び8日で検出することができた。このため、NCBD培地は、難培養乳酸菌株を高感度に検出できる培地であると考えられた。
また、通常、ビールの熱殺菌条件を検討する際、MRS培地等の一般培地を使用することが多い。しかしながら、実施例1に示すように、60℃にて10分加熱後、ラクトバチルス・リンドネリ(L. lindneri)DSM20692VN株が460個存在すると推定される場合でも、MRS培地では生菌数なしと誤判定してしまうこととなり、誤った加熱殺菌条件を設定してしまう可能性が高い。このため、NCBD培地を利用した加熱殺菌効果検証試験は、従来の一般培地を使用した加熱殺菌条件検証試験よりも信頼度が高いと考えられる。
実施例4(難培養化したビール混濁乳酸菌の作製2)
ラクトバチルス・パラコリノイデス(L. paracollinoides)JCM11969株を約10cells/mlとなるように、pH4.2に調整したガス抜きビールに10ml植菌した。25℃で5日間嫌気培養し、生育した当該株培養液100μlを、同様にpH4.2に調整したガス抜きビール10mlに植え継いだ。pH4.2に調整したガス抜きビールでの植え継ぎを30回繰り返して得られた当該株培養液に対して、52℃にて5分間の加熱処理を行って、難培養化したラクトバチルス・パラコリノイデス(L. paracollinoides)JCM11969VN株を作製した。
得られた菌株の菌液(以下、試料液という)における生菌数を実施例1記載の最確数法にて計測したところ、試料液10μl中の生菌数は460個と推定された。
次に、得られた菌株がビール有害性を示すか否かを調査した。実施例1と同様に、pH4.2に調整したガス抜きビールに、試料液10μlを植菌し、2週間以内でビール中に混濁が生じ、生育性が確認された。これにより、得られた菌株の製品ビールへの有害性が示された。
一方、培養試験においては、試料液10μlをMRSブロスに植菌し、25℃で2週間嫌気培養したが、目視による生育性の確認ができなかった。
以上から、得られた菌株ラクトバチルス・パラオリノイデスJCM11969VN株は、検査培地(MRS培地)では検出できないにもかかわらず、本株により、製品流通期間中の品質事故が発生する可能性が示された。
また、試料液をNCBD培地に接種した場合、6日で検出することができ、難培養化したラクトバチルス・パラオリノイデスJCM11969VN株に対しても、NBCD培地は有用であることが判明した。
なお、ラクトバチルス・パラオリノイデスJCM11969株は、本発明で記載する一連の処理を実施しない場合(つまり難培養化していない場合)、100個程度の植菌では、MRSブロスにおいて、4日程度で生育を確認することができる。
実施例5(難培養化したビール混濁乳酸菌の作製3)
ラクトバチルス・リンドネリ(L. lindneri )DSM20692株を約10cell/mlとなるようpH4.2に調整したピルスナー・タイプのガス抜きビール(苦味価20B.U.)10mlに植菌した。25℃で1週間嫌気培養し、生育した当該株培養液100μlを同様にpH4.2に調整したガス抜きビール10mlに植え継いだ。pH4.2に調整したガス抜きビールでの植え継ぎを40回繰り返して、当該菌株の難培養化した株を作製した。
得られた菌株の菌液(以下、試料液という)における生菌数を実施例1記載の最確数法にて計測したところ、試料液1μl中の生菌数は2400個と推定された。
次に、得られた菌株がビール有害性を否かを調査した。実施例1と同様に、pH4.2に調整したガス抜きビールに、試料液1μlを植菌し、6日目でビール中に混濁が生じ、生育性が確認された。これにより、得られた菌株の製品ビールへの有害性が示された。
一方、培養試験においては、試料液10μlをMRSブロスに植菌し、25℃で2週間嫌気培養したが、目視による生育性の確認ができなかった。
以上から、得られたラクトバチルス・リンドネリDSM20692株の難培養化株は、検査培地(MRS培地)では検出できないにもかかわらず、本株により、製品流通期間中の品質事故が発生する可能性が示された。
なお、ラクトバチルス・リンドネリDSM20692株は、本発明で記載する一連の処理を実施しない場合(つまり難培養化していない場合)、100個程度の植菌では、MRSブロスにおいて、4日程度で生育を確認することができる。
実施例6(難培養化したビール混濁乳酸菌の作製4)
ラクトバチルス・パラコリノイデス(L. paracollinoides)JCM11969株を約10cell/mlとなるようpH4.2に調整したピルスナー・タイプのガス抜きビール(苦味価20B.U.)10mlに植菌した。25℃で1週間嫌気培養し、生育した当該株培養液100μlを同様にpH4.2に調整したガス抜きビール10mlに植え継いだ。pH4.2に調整したガス抜きビールでの植え継ぎを70回繰り返して、当該菌株の難培養化した株を作製した。
得られた菌株の菌液(以下、試料液という)における生菌数を実施例1記載の最確数法にて計測したところ、試料液0.01μl中の生菌数は1100個と推定された。
次に、得られた菌株がビール有害性を否かを調査した。実施例1と同様に、pH4.2に調整したガス抜きビールに、試料液0.01μlを植菌し、5日目でビール中に混濁が生じ、生育性が確認された。これにより、得られた菌株の製品ビールへの有害性が示された。
一方、培養試験においては、試料液0.01μlをMRSブロスに植菌し、25℃で2週間嫌気培養したが、目視による生育性の確認ができなかった。
以上から、得られたラクトバシルス・パラオリノイデスJCM11969株の難培養化株は、検査培地(MRS培地)では検出できないにもかかわらず、本株により、製品流通期間中の品質事故が発生する可能性が示された。
なお、ラクトバシルス・パラオリノイデスJCM11969株は、本発明で記載する一連の処理を実施しない場合(つまり難培養化していない場合)、100個程度の植菌では、MRSブロスにおいて、4日程度で生育を確認することができる。
実施例7
実施例3で有用性を認められた培地(NBCD培地)に寒天を加えることにより、平板培地化して検査培地とし、環境から頻出される雑菌14種に対する検査培地の選択性を調査した。検査培地の組成は次のとおりである。なお、ビールは、アサヒビール社製のアサヒ・スーパードライ(登録商標)を用いた。
(1)検査培地成分(1Lあたり)
・寒天を含まない粉末MRS培地 2.61g
・寒天 15g
・シクロヘキシミド 10mg
・ビール 1000ml
以上の成分を5N NaOHでpH5.0に調整したものを用いた。
(2)選択性評価
表2に記載のビール工場頻出14菌種について、約100cellsを上記(1)の検査培地に塗抹し、嫌気条件下で25℃にて14日間培養して、雑菌14種に対する上記(1)の検査培地の選択性を調査した。結果を表2に示す。
その結果、ビール非混濁性環境細菌については、概ね極めて良好な選択性を示したが、場合によってはPantoea属のような腸内細菌科が生育することが認められた。
Figure 0004986302

実施例8
培地選択性の改善を行うため、酢酸ナトリウムの添加を行った。
即ち、実施例7の検査培地に、表3に示す割合で、酢酸ナトリウムを添加したものを検査培地とした。なお、酢酸ナトリウムの添加量は、ビール1Lに対するものである。
供試菌株約100cellsを、上記した如き検査培地に塗抹し、嫌気条件下で25℃にて14日間培養した。
その結果、表3に示すように、酢酸ナトリウム0.5gあるいは1.0gを培地1Lあたり添加することにより、難培養乳酸菌株の生育を抑制することなく、腸内細菌科の生育を抑制できることが分かった。
Figure 0004986302

実施例9
実施例8の結果から、以下の組成の培地を作製し(以下、ABD培地とする。)、European Brewery Conventionが推奨するビール混濁乳酸菌検出培地(VLB S-7、Raka-Ray、MRS agar)、American Society of the Brewing Chemistsが推奨するBMB培地ならびにミュンヘン工科大学Back教授が推奨するNBB-A培地と、培地の選択性及び培地の検出力について、それぞれ比較を行った。なお、ビールは、アサヒビール社製のアサヒ・スーパードライ(登録商標)を用いた。
European Brewery Conventionが推奨するビール混濁乳酸菌検出培地(VLB S-7、Raka-Ray、MRS agar)としては、European Brewery Convention, Detection of contaminants. In: EBC Analytica Microbiologica II, Analytica Microbiologica Sub-committee, Eds., Fachverlag Hans Carl: Neurnberg, 1992, Section 4, pp. 1-51.に記載されたものを用いた。
次に、American Society of the Brewing Chemistsが推奨するBMB培地としては、Barney, M.C., Kot, E.J. and Chicoye, E., Culture medium for detection of beer spoilage microorganisms. 1990, U.S. Patent 4,906,573.に記載されたものを用いた。
さらに、ミュンヘン工科大学Back教授が推奨するNBB-A培地としては、Back, W., Nachweis von Bierschaedlingen mittels NBB. In: Farbatlas und Handbuch der Getraenkebiologie, Verlag Hans Carl: Neurnberg, 1994, vol.1, pp. 145-155.に記載されたものを用いた。
(1)培地の組成(1Lあたり)
・寒天を含まない粉末MRS培地 2.61g
・酢酸ナトリウム 0.5g
・寒天 15g
・シクロヘキシミド 10mg
・ビール 1000ml
以上の成分を5N NaOHでpH5.0に調整したものを用いた。
(2)培地の選択性
ビール工場環境頻出14菌種ならびにビール非混濁乳酸菌9株を用いて、培地の選択性を評価した。結果を表4に示す。
試験方法は、実施例7および8と同様、供試菌株約100cellsを培地に塗抹し、嫌気条件下で25℃にて14日間培養して行った。
その結果、表4に示すように、ABD培地のビール非混濁細菌に対する特異性は極めて高く、公知の培地と比較して圧倒的な優位性を示した。
(3)培地の検出力
漏れなく検出する必要があるビール混濁乳酸菌株について、公知のビール混濁乳酸菌検出培地と比較した。結果を表5に示す。
試験方法は、実施例7および8と同様、供試菌株約100cellsを培地に塗抹し、嫌気条件下で25℃にて14日間培養して行った。
その結果、表5に示すように、ABD培地は、検出に若干の日数を要する場合があるものの、検出菌数では他の培地と遜色がなく、しかも公知の培地で従来検出が困難な難培養性乳酸菌株では極めて優れた検出力を示した。
以上のことから、ABD培地は、1枚の培地で漏れのない微生物検査を行うために非常に優れた培地であることが明らかとなった。
さらに、選択性を併せて考慮すると、ABD培地は微生物が検出された時点で混濁性の判定ができるという他の培地にはない特性を持っているため、培地の検出以降有効なビール混濁性判定を持たないビール工場にとっては、価値の高い培地であると考察した。
Figure 0004986302

Figure 0004986302

実施例10
実施例9記載のABD培地3リットルを、ステンレス製のトレーに盛り付け、凍結乾燥庫にて、−30℃にて20時間予備凍結した。トレーをフリーズドライ機に移し、1mmHg以下の減圧下で、品温が40℃になるよう、棚温度75℃に設定し、24時間乾燥させ粉末培地60gを得た。
本発明によれば、人工的な環境下で難培養化したビール類混濁乳酸菌株を作製し、当該菌に対する有効な対抗施策を考案するための生物材料が提供される。
また、本発明によれば、難培養化したビール類混濁乳酸菌を含むビール類混濁乳酸菌をもれなく、短期間で検出できる検査培地が提供される。
それ故、本発明は、ビール類製造分野等において有効に利用することができる。

Claims (2)

  1. pH4.0〜5.5に調整したビール類に乳酸菌を植菌して嫌気培養し、得られた培養液を前記pHに調整したビール類に植菌する操作を5回以上繰り返した後、50〜65℃にて5〜15分間の加熱処理を行うことを特徴とする、難培養化したビール類混濁乳酸菌の作製方法。
  2. pH4.0〜5.5に調整したビール類に乳酸菌を植菌して嫌気培養し、得られた培養液を前記pHに調整したビール類に植菌する操作を20回より多く繰り返すことを特徴とする、難培養化したビール混濁乳酸菌の作製方法。
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